2015年12月5日土曜日

沖縄メディアが報じない不都合な真実を知れ!

ロバート・D・エルドリッヂ☓佐藤守対談
これは「第2の一色事件」! 「何が語られていないか」に注目せよ
沖縄の真実は、在沖メディアによって捻じ曲げられて報じられている反基地派の不法行為を発信し、職を追われた元海兵隊高官と、在沖空自トップを務め、沖縄の実情を身を持って知る2人の衝撃対談
20151109 06:55 http://blogos.com/article/140776/

反基地派の無法ぶりが明らかになった


佐藤:今回のエルドリッヂさんの事件、私は非常に残念だし、怒りを覚えていますよ。エルドリッヂさんは基地内に侵入した活動家を拘束した警備員をかばうため、現地メディアに対して監視カメラの映像を示して立証し警備員の正義を証明したところ、逆に解雇されてしまいました。これで沖縄メディアや活動家たちがさらにエルドリッヂさんを攻撃するのではないかと心配でなりません。彼は3・のときのトモダチ作戦の功労者です。あの未曾有の災害の時、仙台空港の復旧事業で先頭になって活躍しました。被災者の支援や生存者の救助活動を円滑化させるため不眠不休で通訳を行ったから早期の復旧ができたんです。そんな恩人がこのような境遇に追い込まれているのを見過ごすことはできないですよ。 
ロバート・D・エルドリッチ氏
エルドリッヂ:今年の2月、普天間基地の移設予定先である名護市辺野古のキャンプ・シュワブで、沖縄平和運動センターの山城博治氏が、基地内に不法侵入して警備員に拘束される様子を映した映像を友人を通じて公開しました。ところが、許可なくメディアに接触したとして解雇処分を受けました。映像を公開したのは違法ではないし、映像も機密指定はありません。私の今までの実績と今後の課題を考えると、不当、いややり過ぎだと今でも思っています。

海兵隊といえば、勇気があって、正義のためにはどんな困難にも立ち向かって、仲間を守る。今回の上層部の決定がそうでなかったのは残念です。

佐藤:どの組織にも「制服を着た役人」はいるんですよ!海兵もだらしなくなったな~と思います。これじゃとても頼りになる同盟国軍とは言えなくなってしまう。もっとも高位高官らは2年程度で交代するわけで、その間ことがあったら昇進に引っかかる。事なかれ主義ですね。

まぁ日本でも上司に届け出たとか出なかったといって、ばかばかしい議論の末にいきなりクビになった空幕長がいましたが。

この事件はまさに『第2の一色事件』ですよ!まさに構造が同じです。私も最後の勤務地が沖縄でした。沖縄の基地で今、何が行われているか。実情はどうなっているか。これら現地の実情は、未だにほとんど正確に伝えられてはいません。

エルドリッヂ:反対運動をする人にも、声をあげる権利は言論の自由で認められています。けれどルール、法律は守らなければならない。彼らはそれを守る責任があります。基地への不法侵入や警備員への暴力はいけない。平和運動とは言えない。

佐藤:エルドリッヂさんの行為だけが不当だという印象を定着させようとしているんですよ。

基地反対派の実情とは

エルドリッヂ:沖縄の現状というのは残念ながら正確に日本国民に伝わっているとは言えません。 
佐藤守氏
佐藤:そもそも普天間基地は、占領下に作られた基地に後から住民が移住してきたんです。少なくとも今の住民が住んでいた土地に基地ができたのではないんですよ。

この問題の発端は橋本政権の時に「普天間返還」が唐突に持ち出されたからですが、このとき軍用地地主には何の相談もありませんでした。あのときは地主間に大きな動揺が走り、自民政権に対する疑念となりました。また、私の友人の沖縄の銀行関係者は「これで沖縄経済は大変なことになる!」と言いました。それこそ「これで沖縄の銀行はすべて潰れるぞ!」と。つまり軍用地主に対して、金融機関は多額の融資を行っていました。今でも「軍用地の登記簿求む」なんて看板があったりします。もし軍用地ではなくなってしまったら担保としての価値がなくなってしまい、不良債権で沖縄の銀行は立ちいかなくなるというわけです。そして確かに3行とも潰れた。ちなみに普天間や嘉手納基地地主には沖縄の金融機関や報道機関のトップのそうそうたる面々が名を連ねていた。彼らは基地利権を貪っていたんですね。だから移転と聞いて真っ青になった。

それに当時の現地新聞は、楚辺通信所(象のオリ)の明け渡しを要求している地主の知花氏のことを大々的に報じていましたが、楚辺通信所の地主総数は443人で契約完了地主は442人、つまり、知花さんたった一人だけが契約に反対していたのです。面積の・%も契約済みだったのです

これは普天間基地もそうで、2328人中1624人が契約済みで、704人が反対していました。その面積は6049坪で、全体のわずか0%に過ぎなかったのです。

契約を済ませた地主は安定的な地代収入を期待しているわけですから、大方の地主達は知花氏はじめ無責任な一坪地主達に怒りを覚えていたのです。

エルドリッヂ:私も普天間基地の移設は反対です。そもそも普天間は世界一危険な基地ではありません。また、確かに人が住んでいるところに飛行場を作ってはいけませんが、普天間はそうではありませんでした。ところが、辺野古は確かに普天間に比べて人口は少なかもしれませんが、すでにそこに住んでいる住民がいます。それに基地が移設されれば、それに伴って基地の経済的利益をあてにして住民も移り住んできます。それに一部の人は基地ができるのを待っているかのようですよ、基地ができたら出来たできっと抗議電話の嵐が待っている。「時間を制限せよ」「、騒音がうるさい」と。結局、辺野古に移しても辺野古が第二の普天間になるだけで、何の解決にもなりません。抗議の電話やファックスを直接受ける部署で勤めていたから分かります。

佐藤:こんな裏話は沖縄の人はみんな知っているんですが、なかなか伝わらない。こういうことを退官直後に雑誌『諸君』に「沖縄の本音は基地存続:海上ヘリポートなど机上の空論!橋本総理よ、基地と共生してきた沖縄県民の本当の声を聞け」という一文にまとめました。これを読んだ総理が沖縄の実情(真水不足、航空機の塩害、住民の大半がすでに土地契約を終えていたこと等々)を知って、なぜ情報を伝達しなかったのか、と防衛庁幹部を叱責したと聞いています。

いま、辺野古などで反対運動をやっている人たちは、かつて全共闘などで過激な活動をしてきた人が多い。しかも彼らは沖縄以外の場所から集まってきている。こういう現状を米軍は認識しているんですか。

エルドリッヂ:私は積極的に情報を集めていたので、反対派の人たちの多くが沖縄の住民ではないことを把握していて、上にも報告し,その他の分析を提供しました。しかし、正直、米軍も現状をあまり把握せず、事なかれ主義で考えている。

佐藤:彼らはプロの活動家であって、儲かる場所で興行するサーカスみたいなものですよ。

沖縄をめぐる5つの対立

エルドリッヂ:辺野古移設問題には少なくても5つの対立があると私は以前から指摘をしています。一つ目は先ほど佐藤さんも触れた基地のある南部と基地のない北部の対立です。基地があれば、それだけ地元にお金が流れるので経済的格差が生まれる。

二つ目は基地の財政的負担をめぐる日米政府の思惑の対立です。

そして三つ目は日本国と沖縄の対立です。この対立軸も、メディアによって事実と違う方向にねじ曲げられています、まるで沖縄が基地反対で盛り上がり、それこそ独立するのではないかというように。

四つ目は移設先の名護市における東西対立です。つまり人口の多い名護市中心部と人口の少ない辺野古地区の対立というわけです。

そして最後の5つ目は辺野古内の反対派と賛成派の対立です。しかし、辺野古の住民においては賛成派のほうが圧倒的に多い。ところが、県外から来た活動家たちが大幅に増えたことで、本来辺野古に住んでいた住民の声が聞こえなくなってきている。

これらの対立軸はさらに言えば、同じ家庭の中でも対立があり同じ人間でも年齢、時代によって考え方が変わるでしょう。とにかくこれら対立軸に思想的、利権的、人間関係的な思惑が複雑に絡み合っているのです。残念ながら多くのメディアはこういう複雑な対立軸を理解せずに、メディアが表面的に報じているので、基地問題の本質が理解できずに同じ間違いを繰り返し続けている。それが残念です。

佐藤:そういう活動家が流れ流れて沖縄に来るんですよね。私が特に話しておきたいのは沖縄内の南北対立です。つまり基地関連予算が潤沢に投下されていた那覇や普天間のある南部地区から、移設先の辺野古のある北部地区へ“特権”の一部が移転するのを妨害しようとする「南北間の利権争い」です。沖縄県が基地で得られる総収入は年間約2056億円と公表されています。これには沖縄に駐留する自衛隊員8千人と家族1万人の生活費や部隊糧食費、事業費、防衛局の基地対策経費、さらには米軍の光熱費や総務省の基地交付金、さらには内閣府の沖縄振興開発事業費などは含まれていないので、これらを含めると沖縄県に入る合計額は年5829億円という巨額なものになると想定されます(守屋武昌著『「普天間」交渉秘録』新潮社)

そんな“うまい汁”を、易々と北部に渡してなるものか!という利権争いが背後にあるんです。心ある沖縄県民はこの利権にまみれた対立を憂慮してきたんですが、メディアの虚報の渦にかき消されてしまったんです。それでも防衛省が登記簿などを整理して日本政府とアメリカ政府そして住民が年かけて合意したのに、それを民主党の鳩山首相が反故にしてしまった。地元が怒り狂うわけです。

基地は負担ではなく財産

エルドリッヂ:メディアが沖縄の真実を気持ち悪いほど歪めて報じてしまっています。5年前にも読谷で基地運動に反対する県民集会が開催され、万人以上が参加したと沖縄メディアは報じましたが、でも実際は2万人でした。ところが、どのメディアも報道を鵜呑みにしてしまい、翌日の朝日新聞などは社説に7回も「負担」という言葉を使って、沖縄は基地に反対しているという論を展開しました。

私はその前から普天間関係の記事を2回ほどまとめて反論をし、いい意味で注目されました。この集会の後、もう一度反論を書くことにしました。今回も「負担」という言葉を使うのをやめよう。基地は負担であると同時に財産でもある。もっと公平な議論をしないと正しい公共政策ができないと訴えました。その反論を載せようと思ったのですが、大使館が止めました。上層部は「今はタイミングが悪い」と。しかし、正しいことを言うのにタイミングなんてあるのでしょうか。その判断は大きな間違いでした。

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年後のオスプレイ配備の際、不利な状態で対応せざるを得なかった。ところで、この前大使館に対して厳しい報告書が国務省監察官から出ました。「広報外交ができていない」と。その通り!

佐藤:では普天間基地問題はどう解決するべきか。思い切って県外移設ができるのか。そもそも移設の目的な何なのか。移設の目的は騒音防止も大事ですが、一番は飛行の安全を確保することです。結局は普天間基地をそのまま継続した上で、飛行安全向上策や騒音被害軽減策を講じるのが一番よいのでしょう。そうすれば、既存の地主の生活は確保されますので、沖縄経済の安定につながります。それにこれ以上登記簿問題の噴出を防止できます。ただし、普天間をそのまま継続するなら米軍再編を一部変更する必要がありますし、那覇空港の混雑解消策は別に考えなければなりません。それに沖縄の「南北問題」の解決は先延ばしになるかもしれません。でも一度普天間移設を言い出し、様々な議論を尽くして移転先が辺野古に決定した。にもかかわらず、民主党政権が辺野古移設を取りやめた。その後翁長知事が誕生して基地反対運動がこじれにこじれた。もはや抜き差しならない状態になっている以上、元に戻すしかないでしょう。

シナは舌なめずりしている

佐藤:これで喜ぶのはシナですよ。シナは日米を離間させたいと心から願っています。シナは日米の軍事力の怖さを知っている。だからこそ、彼らは常に日米関係を観察しています。そんなさなかに海兵隊の弱さを見せてしまったのが一番怖いですよ。我々が努力しても、これでシナは別のシグナルと捉えるでしょう。

在沖縄米軍は、東南アジア方面の軍事的安定に欠かせない“かなめ石”です。だから中国としてはこれを排除するため、日米間にくさびを打ち込みたいんです。

今回のエルドリッヂ氏の解雇事件で露呈した世界に冠たるアメリカ海兵隊の硬直した官僚主義は、シナ人民解放軍から笑い者にされるでしょう。彼らの目標は海兵隊を日本から離脱させることです。エルドリッヂさんに対する今回の“いやがらせ”はその第一歩ですよ!

海兵がそこまでなっているとは思いたくありませんでしたよ。それが反日勢力に利用されているのが残念でならない。

エルドリッヂ:軍隊が平時において賢く判断ができないなら、有事の時に正しい判断ができるはずがありません。今回は基地反対運動に対して正しいメッセージを発信しようとしたのに潰されてしまった。戦う人を応援しなければならないのに、応援しなかったんです。

佐藤:まさに敵に塩を送るようなもんですよ。いや、敵にキャンディーか()

エルドリッヂ:当時の在沖海兵隊の組織内にいろいろな問題が存在し、意思決定が正しく出来ていません。これでは次に戦う人の環境が難しくなってしまいます。反対派に対して正しいメッセージを発信すると組織を首になるという前例を作ってしまったわけですから。今後、事実を明らかにしようとする幹部がいても、攻撃すればすぐ首になる。そう基地反対活動家はタカをくくっているでしょう。

佐藤:もし共和党が政権とったら変わりますかね?

エルドリッヂ:残念ながらあまり変わらないかと思います。そもそも軍隊の官僚化です。

佐藤:海兵隊だけはそうじゃないと思われていましたが、残念ながらそうではなかった。

エルドリッヂ:政治的に慎重になっているのは、健全ではない高度な文民統制に陥っているのかもしれません。

佐藤:「シビリ・アン・コントロール」ですね()

エルドリッヂ:それでも日米関係がうまくいくか否かは日本次第な部分が大きいです。日本はアメリカにとっては数ある同盟国の一国です。でも一番重要な同盟国であることに変わりません。ですから、安保法制を含めて、日本人が日本人の力と知恵で沖縄の問題を解決しなければならないと思います。沖縄の人々が自己利益や利害を超えて国を意識しないといけない。この問題を解決できれば、日米はより緊密な関係を築けると思います。逆に解決できなければ一番得をするのは中国です。そのためには、あらゆる問題の先送りを止めてほしい。今すぐ取り組んでほしい。それだけを強く訴えたいです。

《維新嵐一言》
アメリカのオバマ政権は、「日米同盟」を最重要な同盟関係と認識しましたね。

【ロバート・D・エルドリッヂ】
1968年アメリカ・ニュージャージー州生まれ。ヴァージニア州リンチバーグ大学国際関係学部卒。
神戸大学大学院法学研究科(日本政治外交史)博士課程修了。博士(政治学)。「サンフランシスコ
講和条約と沖縄の処理ー「潜在主義」をめぐる吉田・ダレスの「交渉」」で読売論壇新人賞受賞。平和・安全保障研究所研究員。大阪大学国際公共政策研究科助教授などを経て、2009年より在沖縄米軍海兵隊外交政策部次長をとつとめた。基地反対運動家の不法侵入を映したキャンプ・シュワブ前の監視カメラ映像を許可なく流出させたとして、同職を解任処分された。




【佐藤守】
1939年樺太に生まれ、防衛大学校卒(7期)。航空自衛隊に入隊。幹部候補生学校戦闘機課程を修了。第7航空団第305飛行隊長、航空幕僚幹部防衛部防衛課、三沢基地司令、松島基地司令などを経て南西航空混成団司令。飛行時間3800時間。



負担額ナント1兆円!それでも日本政府が辺野古に新基地を作りたい理由~米海兵隊は完全撤退の可能性すらあるのに
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150913-00045067-biz_gendai-nb&p=1

ここは、日本だと思っていますか

辺野古バスの車内で

 もし機会があったら、一度乗ってみられるといい。那覇市の沖縄県庁前から毎朝10時に出発する辺野古バス(「島ぐるみ会議」運行)に、である。
 予約は不要で料金は往復1000円。たったそれだけで辺野古(那覇から約60km北東)の美ら海を眺め、新基地反対運動の現場を見ることができる。私が乗ったバスの同乗者は30人。6割強が那覇市近辺の住民で、あとは北海道や東京、大阪などから来た人たちだった。
 乗車前、私の気持ちは少し重かった。だって沖縄に基地を押しつけているのは「本土」の私たちだ。基地を引き取ろうともせず、現場を見学に行っても地元の人たちには迷惑なだけだろう。冷ややかな視線を向けられても仕方ないと思っていた。
 ところが車内の空気はまるでちがった。和やかだ。60代後半と思しき沖縄の女性が仲間とマイクを握る。
 「私たち、ぴちぴちの辺野古フラワーズです。ドライフラワーじゃないですよ()。歌いたくてうずうずしてるんですが、いいですか」と断って、山本リンダのヒット曲「どうにもとまらない」の替え歌をノリノリで歌いだした。

 ♪噂はまったくその通りおいらの狙いは9条さ いつでも戦のできる国 それがおいらの夢なのさ
♪ああ憲法は変えればいいさ お友達で決めればOKさ 魔法の言葉 解釈改憲 もうどうにもとまらない

 
これを皮切りに皆が替え歌を次々と歌う。その中には抵抗の志気を鼓舞する歌もあれば、自分たちの姿を戯画化して笑い飛ばす歌もある。傑作だったのはやはり辺野古フラワーズの「呆けない小唄」である。

 ♪辺野古 辺野古で今日もゆく笑い忘れず よくしゃべり頭と足腰使う人 辺野古大学呆けません
♪入れ歯入れても 白髪でも頭はげても まだ若い ゲート前での座り込み 座るだけなら まだできる
♪ゲート前での座り込み 後ろ機動隊迫り来る 駈けてるつもりが ノロノロと 息を切らして 呆けません

 爆笑の渦である。ああ、こうして「本土」の人間をもてなしてくれているんだなと私は感じた。彼女たちにも心の底では言いたいことが一杯あるだろう。でも、そんな素振りは微塵も見せない。どこまでも朗らかだ。

毎朝、機動隊と攻防

 午前11時半、キャンプ・シュワブの第1ゲート前に到着した。国道沿いの土手にブルーシートのテントが並び、総勢200人ほどがいた。
 昨年、辺野古の新基地建設が始まって以来、約400日、24時間態勢でつづく座り込みの現場である。
 ここが最も緊迫するのは毎朝7時前後だ。工事用トラックが基地に入るのを阻止しようと人々が座り込む。機動隊がそれをごぼう抜きするのでけが人が絶えない。私たちのバスが着いたのは、その機動隊との攻防が終わって数時間後のことだ。
 それでも炎天下のゲート前でデモが断続的に行われる。デモのない時でも必ず何人かが歩道際に座り込み、ゲートから出てくる米兵らにプラカードを掲げて訴えかけている。そのプラカードの一枚に書かれた英語を読んで私は思わず息を呑んだ。

 「ウィ・リスペクト・ユー・バット・ノット・ユア・ジョブズ」。
 あなたの人格には敬意を払うが、任務は尊敬できない、とでも訳したらいいのだろうか。
 徹底して非暴力・不服従を貫く沖縄の抵抗運動を象徴するような言葉である。決して相手の人格を全否定しない。国籍や立場が違っても、同じ心情を共有できるはずだというメッセージが込められている。米兵にとっては敵意をむき出しにされるよりよほど胸に応えるだろう。

あらためて、新基地は本当に必要なのか?

 昼食後、「本土」組はバスで15Km離れた辺野古漁港に向かった。ここには11年前からつづく座り込みテントがある。テント内にはさまざまな資料が展示されていて、担当の女性がわかりやすく解説してくれる。まさに「辺野古大学」である。
 彼女によれば、ここに計画されているのは普天間基地の代替施設なんて代物じゃない。
オスプレイ搭載の強襲揚陸艦が接岸できる軍港と、在沖海兵隊の全必要量を賄う弾薬庫を備え、オスプレイ100機が駐機できる最新鋭の機能を持った基地だ。
 いまの普天間基地には軍港がない。そのため海兵隊は佐世保にいる強襲揚陸艦の到着を待ってしか海外遠征できない。弾薬の出し入れも既存の辺野古弾薬庫で行わなければならぬ。そんなデメリットを一気に解消するのが辺野古の新基地だという。
 でも、米軍再編で海兵隊は5年後にグアムなどへ分散配備される。しかも沖縄に残る海兵隊の主力は年中、海外を回っていて沖縄には3ヵ月前後しかいない。場合によっては完全撤退する可能性まである海兵隊のため、なぜ日本が1兆円も投じて新基地を作る必要があるのか。
 そう訊こうと思ったら、彼女が先回りして説明してくれた。

 「日本側にもメリットがあるんです。1兆円の公共事業は自民党の利権になるし、新基地は海兵隊がいないとき自衛隊が使えますからね。現実にキャンプ・ハンセンなどでは日米共同訓練が以前から行われています。今の集団的自衛権の問題と新基地建設は直結しているんですよ」

 なるほどそういうことか。名目は米軍基地でも、実際には日米共用になる。将来、海兵隊がいなくなっても、自衛隊の基地として使える。政府の目論見では、情勢がどう変わっても沖縄は「基地だらけの島」でありつづけるというわけだ。
 第1ゲート前に戻ると「西原町から来た前期高齢者」と名乗る男性が哀切なハーモニカの音を響かせながら、沖縄のフォーク歌手・安里正美さんの歌を路上で歌っていた。その声に耳を傾けるうち目頭が熱くなった。
 ♪癒しの島だと言いながら 多くの人が訪れるけど 足早に通り過ぎていく 冬の風のように 日本人でしょうか 僕は 日本だと思いますか ここは……(
『週刊現代』2015912日号より)

《維新嵐こう思う》
沖縄県名護市の辺野古への普天間基地移設の本音は、①アメリカ軍の軍事的な要求の実現と②日本の政治家の利権のため、③自衛隊への配慮のため、ということのようですね。あながち的外れなことではないでしょう。そういえば自衛隊は今や自民党の票田になってますね。
特に①は、アメリカ軍とりわけ地上軍戦力の抑止力担保という意味でアメリカ海兵隊を国内に「人質」化している、ともみれるかと思います。アメリカ海兵隊は、一日でも早く北朝鮮や共産中国のミサイルのリスクの低い場所にさがりたいでしょうからね。

米軍シュワブ基地侵入疑い・辺野古反対の中心人物逮捕
2015125 2024 http://news.livedoor.com/article/detail/10917026/

 沖縄県警名護署は平成27年12月5日、米軍普天間飛行場の移設先、同県名護市辺野古沿岸部近くの米軍キャンプ・シュワブの敷地内に正当な理由なく侵入したとして、日米地位協定に伴う刑事特別法違反の疑いで、辺野古移設反対の運動を統率する沖縄平和運動センター議長の山城博治容疑者(63)を逮捕した。
 シュワブ近くで県警機動隊員に暴行したとして、公務執行妨害の疑いで、一緒に抗議活動をしていた住所職業不詳の北島義久容疑者(77)ら男2人も現行犯逮捕した。
 山城容疑者は米軍に身柄を拘束された後、名護署に引き渡された。調べに対し容疑を否認しているという。残る2人は、いずれも黙秘している。
《維新嵐こう思う》
なるほど政府には、「法律違反」という形で反対派を一掃する「奥義」がありましたね。話してもらちがあかないなら実力行使ということですな。


在沖海兵隊が存在する正しい説明
20151211日(Fri http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5715

小谷哲男 (こたに・てつお)  日本国際問題研究所 主任研究員

http://wedge.ismedia.jp/mwimgs/c/0/60/img_c025a2787bd6008787a89467943c33006840.jpg
1973年生まれ。同志社大学大学院法学研究科博士課程満期退学。ヴァンダービルト大学日米関係協力センター客員研究員、岡崎研究所特別研究員等を歴任。専門は日米同盟と海洋安全保障。法政大学非常勤講師及び平和・安全保障研究所・安全保障研究所研究委員を兼務。中公新書より海洋安全保障に関する処女作を出版準備中。
 日米同盟は、防衛協力の指針(ガイドライン)の改定と平和安全保障法制の成立によってさらに強化される。北朝鮮の核ミサイル開発が進み、中国が強硬な海洋進出を行う中、日米同盟の強化は避けては通れない。だが、米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設問題は、日米同盟の足元を揺るがしかねない状況にある。日本政府と沖縄県の対立が、ついに法廷闘争に持ち込まれたからだ。
沖縄県側に勝ち目はないというのが大方の見方
 普天間移設に必要な辺野古の埋め立ては、201312月に仲井眞弘多前知事が公有水面埋立法に基づいて承認した。ところが、1411月の沖縄県知事選挙で、辺野古移設反対を公約に掲げて仲井眞前知事を破った翁長雄志知事は、「法的瑕疵(かし)がある」として埋め立て承認を取り消した。所管の国土交通大臣は、沖縄防衛局の行政不服審査法に基づく申し出によって翁長知事による承認取り消し効力を停止し、政府は移設工事を続けている。
 今回、埋め立て承認の取り消し撤回を求めた石井啓一国交相の是正指示を沖縄県が拒否すると発表したため、政府は地方自治法に基づき、翁長知事に指示に従うことを命じるよう福岡高等裁判所那覇支部に提訴した。判決は数か月で出る見込みだが、敗訴した側は上告も可能だ。最終的に政府の主張が認められれば、国交相が行政上の強制執行である「代執行」に踏み切り、知事に代わって埋め立て承認の取り消しを撤回する。
 122日に開かれた第1回口頭弁論で、翁長知事は沖縄の基地負担を国民に問うと訴えた。翁長知事は逆提訴も検討している。だが、仲井眞前知事の埋め立て承認に法的問題はなく、沖縄県側に勝ち目はないというのが大方の見方だ。おそらく、翁長知事もそれを承知の上で政府との対決姿勢を維持しているのだろう。辺野古移設への反対を続けることによって、来年の参議院選挙と沖縄県議会選挙を有利に進め、最終的には2018年に自らの再選につなげることができるからだ。
 就任後、翁長知事は「あらゆる手段」を使って移設を中止させると明言した。その上で、埋め立て承認の妥当性を検証する第三者委員会の設置や、米政府・議会関係者に直接辺野古移設の中止を訴えたるための訪米、沖縄全戦没者追悼式での政府批判など、政治的パフォーマンスを繰り返し、果ては国連人権委員会で米軍施設が集中する沖縄は「差別」されていると訴えた。
 沖縄県議会も、県外土砂を使用した国の辺野古の埋め立てを阻止するため、埋め立てによる外来生物の侵入防止を目的とした県外土砂規制条例案を賛成多数で可決し、知事を側面支援している。翁長知事への支持は県外からも寄せられ、様々な分野の著名人が共同代表を務める「辺野古基金」には35000万円以上が集まり、反対する市民運動を支援している。本土からの活動家も加わった辺野古での反対運動は、過激さを増している。平和安全保障法案に関して的外れな批判を繰り返した学生団体SEALDsも、今度は辺野古移設に批判の矛先を向けている。
このままでは沖縄県知事が辺野古移設反対の先頭に立つ中、移設作業が進むという、日米同盟の維持にとって極めて好ましくない構図が定着してしまう。地元が米軍基地反対の声が強めれば強めるほど、中国や北朝鮮には日米同盟が弱体化していると見えるだろう。中国は尖閣諸島での示威行為を強め、北朝鮮も核ミサイルの恫喝をさらに行えば、日本の安全保障環境は一層厳しくなる。
 代執行訴訟は日本政府が有利だが、他方で沖縄のさらなる反発を招くだろう。代執行後に、どのように沖縄との関係を修復しつつ辺野古移設を進めるかについて考えておくべきだ。
関係者が積み重ねてきた知恵と努力の結晶
 翁長知事は、県知事選や衆院選、名護市長および市議会選挙の結果、辺野古移設反対が沖縄の「民意」だという。しかし、翁長知事のいう「民意」に移設で直接影響を受ける辺野古の住民の声は含まれているのだろうか。96年に日米両政府が普天間の移設で合意して以降、移設先として自ら名乗りを上げたのは辺野古の住民だけだ。それは苦渋の決断だったに違いない。しかし、だからこそ、辺野古から山を隔てた名護市中心部の住民の声よりも、辺野古の住民の決断がまず尊重されるべきだ。このため、政府が沖縄県を介さず、辺野古3地区の要望を直接聞くようになったことは、「民意」を聞くという意味で正しい。普天間飛行場の周辺住民も安全への不安から移設を求める声が強く、普天間の危険性の除去は必ず行わなければならない。
 そもそも、辺野古への移設計画は、抑止力を維持しつつも、普天間の危険性の除去と固定化の回避のために、関係者が積み重ねてきた知恵と努力の結晶である。翁長知事は米軍占有施設の74%が沖縄に集中していることを批判するが、普天間の返還と嘉手納より南の施設の返還で、この状況はある程度緩和される。それは沖縄本島への米軍基地の集中という現状を根本的に変えるものではないが、市街地のど真ん中に位置する普天間の危険性の除去につながるし、跡地利用は沖縄経済振興の可能性を広げることにもなる。日米両政府は124日に嘉手納より南の米軍施設の前倒し返還に合意したが、目に見える形での同様の負担の軽減を続けて行くべきだ。特に、沖縄本島北部の新興に貢献できるよう、交通インフラの改善につながる施設返還を優先するのが望ましい。
 日米両政府は、早ければ2022年度の普天間返還を予定している。日本政府は、埋め立てを承認した仲井眞前知事の要請に基づき、20192月までの普天間飛行場の運用停止も目指す。普天間の運用停止と辺野古への移設をできるだけ時差なく実現することが、政治の責任だ。だが、翁長知事は辺野古への移設に反対する一方、普天間飛行場の運用停止については予定通りの実施を求めている。また、20192月までの普天間の運用停止は、あくまで日本政府と沖縄県の間の目標に過ぎない。アメリカ政府はこれに関与していないが、アメリカ政府との交渉なしに運用停止は実現できない。
普天間が持つヘリポート、空中給油、有事の滑走路という3つの機能の内、ヘリポート機能以外はすでに本州および沖縄の別の基地に移転されている。普天間に配備さえているオスプレイの訓練の本州への移転も着実に進んでいる。普天間の運用はすでに大きく縮小されているのだ。この事実をふまえ、普天間の危険性の完全な除去のために、日本政府と沖縄県は運用停止に向けて協議を通じて共通の認識を共有し、その上でアメリカ政府との交渉を行うべきだ。
沖縄の経済発展も安定した国際環境あってこそ
 日本政府は、在沖米海兵隊が抑止力だと説明してきた。だが、沖縄はこの説明に納得していない。実際、海兵隊が抑止力だという説明は厳密には正しくない。抑止とは、相手が受け入れがたい報復を行なえる態勢を築くことによって、相手の攻撃を踏みとどまらせることだ。抑止力を構成しているのは、核兵器を頂点とする米軍全体の能力と、アメリカ政府が必要な時にその能力を使う意志である。米軍が日本に駐留し、日米が緊密な関係を維持することが抑止力の維持につながる。在沖海兵隊はその高い即応能力により、抑止力の一部を構成している。日本政府は在沖海兵隊に関する正しい説明を沖縄にするべきだ。
 沖縄が目指す公共事業と観光、そして基地(「3K経済」)からの脱却と、周辺アジア諸国との連携のハブとしての自立は、安定した国際環境なしに達成できない。在沖海兵隊は安定した国際環境の維持に不可欠である。一方、安定した国際環境の下で緊張緩和が続けば、やがて沖縄に米軍が駐留する必要性が下がるかもしれない。普天間の辺野古への移設は、賛成派と反対派が正面から対立し、法廷闘争に持ち込まれてしまったが、このような戦略的視野を持って語られるべきだろう。






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