2020年1月25日土曜日

三菱電機へのサイバー攻撃 攻撃者たちの素顔  ネットバンキング詐欺の恐怖

中国系ハッカー集団「tick」の他に関与したハッカー集団が三菱電機の社内調査において判明している。

ハッカー集団「BlackTech」(ブラックテック)の存在

主に台湾や日本の製造業を標的にしていて、組織内の機密情報を盗み出すことを目的とする集団。ブラックテックも三菱電機のグループ企業退職者も含めて最大で8122人分の個人情報と官民の取引先の機密を流出させた可能性がある。

三菱電機は過去にもブラックテックの攻撃にさらされており、2017年の後半に中国にある三菱電機の関係会社を経由して(自社サーバーか?)国内システムに侵入されている。その後不正なアクセスは確認されなかったが、2019年になって本社や拠点にも拡大したという。

マルウェアの特徴

2019628日に社内システムに不審な動きを確認したことをきっかけに社内調査に着手する。社内のPCに導入されていたウイルス対策ソフト『ウイルスバスター』(トレンドマイクロ社)の管理サーバーにマルウェアを潜伏させていた。ウイルスバスターのウイルス対策がなされていない脆弱性を悪用されており、ウイルスバスターの法人向け製品で確認された。
 社内のPCに修正ファイルなどを送る管理サーバーが乗っ取られ、不正なアクセスにつながる改ざんされたファイルが社内のPCにばらまかれてしまったものと思われる。

複数の攻撃者から狙われた!

ハッカー集団ティックは、防衛関連の機密情報を主に狙う組織だが、彼らも侵入の足掛かりとして中国にある関係会社を利用する。三菱電機は同時期に複数のハッカー集団から攻撃されたものと思われる。

過去10年間に三菱電機がうけた攻撃を調査したところ、ティック、ブラックテックを含む少なくとも4つの中国系ハッカー集団が関与した疑いが確認された。


中国系ハッカー集団ブラックテックによる攻撃の手口の特徴

外部と社内ネットワークを結ぶ通信中継装置の脆弱性をみつけ侵入する。そこから社内のPCに不正アクセスし、情報を窃取する。

同じく中国系ハッカー集団ティックによる攻撃の手口の特徴

2016年のセキュリティ企業ラックの調査によると、「重要インフラの事業者を主に狙ったハッカー集団」とされる。技術流出に加え、停電や交通機関のマヒといった社会生活へのリスクが表面化した。電力、航空、鉄道、情報通信、公共団体などの重要インフラを標的とする。

ハッカー集団オーロラパンダ(Aurora Panda)の特徴

主な標的として官公庁やIT企業があげられる。

ハッカー集団?エムディビ(Emdivi)の特徴

20156月の日本年金機構の加入者情報流出事件(125万件)で使用されたマルウェアがエムディビ。エムディビはマルウェアのネーミングであるが、今回の三菱電機への攻撃にも使用されていた。ただし未だこのマルウェアを使う集団は特定されていない。


なぜ攻撃されたのが三菱電機なのか?

今回の攻撃の共通点としては以下の手法をあげることができる。
標的型攻撃(特注マルウェアで対策ソフトウイルスバスターを回避)、不正アクセス(組織のネットワークに不正侵入)、スパイ活動(機密情報を窃取し、外部に送信)

三菱電機は、軍民両方にいかせる技術ノウハウを持つ企業である。複数のハッカー集団から攻撃を受けるのは、「ある意味必然であり、今後も狙われ続けるという意識が必要である。」との指摘がある。

「ハッカー集団が関わる国の政策や関心事と標的は連動する傾向にある。まずはハッカーの性質を知り、対策をたてることが重要である。」


あらゆる機器が標的に サイバー攻撃の著者が解説

高度標的型攻撃への対処



また近年拡大し巧妙化してきているサイバー攻撃として、ネットバンキング詐欺があげられる。

ネットバンキングの恐怖

インターネットバンキングの利用者口座から預金が不正に送金される問題で、被害が大手銀行だけでなく、地方銀行やネット銀行の口座にまで拡大してきている。

琉球銀行では2019年12月に不正送金事案が7件あり、合計約558万円の被害が確認された。手口はまず、詐欺グループが利用者の携帯電話に琉球銀行を装ったSMSを送信する、「口座が不正利用されている。」などと口座の一時利用停止を促し、偽サイトに誘導してIDやパスワードを盗み取ると、すぐに利用者の口座から預金を引き出す、というものであった。

フィッシング対策協議会はこれまでに20の金融機関の偽サイトを確認した。その中には琉球銀行、北海道銀行、京都銀行など10の地方銀行の他、大阪信用金庫など9の信用金庫、住信SBIなど4ネット銀行もあった。

新たな手口も確認されている。

①SMSでドコモやアマゾン、楽天の偽のログイン画面に接続させ、IDとパスワードを盗み取る。
②「本人確認のため」などとネットバンキングを選ばせ、そのIDとパスワードを盗み取る

2019年の12月ごろから増加しているといわれる。

金融業界が作るセキュリティ団体「金融ISAC」で不正送金対策を担当する岩本俊二座長は「SMSやメールなどを通じて、ネットバンクのIDやパスワードを入力させることはない」と注意を喚起している。

ネットバンキングのリスク管理のための動画









2020年1月21日火曜日

セキュリティ模範企業三菱電機への戦略的サイバー攻撃

 大手総合電機メーカーの三菱電機は、サイバー攻撃の被害を防ぐシステムの提供を行うなどサイバーセキュリティ事業を強化している。東京五輪・パラリンピックの開催を前にサイバー攻撃対策の屋台骨を支える企業が大規模な攻撃を受け、情報が流出したとなれば、民間業界に与える影響は大きい。三菱電機側は、情報流出の可能性がある取引先への説明を進めているとみられるが、不正アクセスを最初にみつけてから半年に渡り攻撃を受けたことは公表していない。
「サイバー攻撃を受けることはあるが、個別の内容についてはあったかどうかを含めてお答えできない。」としている。



 被害の実態

 複数の関係者や社内調査により、少なくとも国内国外の120台超のPC40台超のサーバーに不正にアクセスされた形跡がみつかった。

 被害は、自社の取引先との共同開発、商談、製品の受注に関する情報、社内の幹部が参加する会議の資料、研究所内で共有される情報などが含まれる。他には防衛技術の性能、重要な社会インフラに関する情報が流出した恐れがある。

 防衛省、環境省、内閣府、原子力規制委員会、資源エネルギー庁など10を超える官公庁や政府機関、電力、通信、JR、私鉄、自動車大手企業を中心に少なくとも数十社の国内外の民間企業に関する各種の情報が不正アクセスを受けた。

攻撃の経緯

 20196月から国内の情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)のサーバーに不審なファイルの動作を検知する。これをきっかけとして社内の調査を進めたところ、営業本部や電子システム事業本部の大半、本社の管理部門の一部で不正なアクセスが確認された。

 不正アクセスは、中国にある関係会社から始まり、国内拠点に広がった。神奈川県でみつかったものと同じファイルが中国の拠点や他の複数の拠点でもみつかったため、大規模な攻撃を受けた可能性が想定され、調査が行われた。乗っ取りに成功したアカウントを使用して社内ネットワークに侵入、機密情報に触れる権限が広い中間管理職層のPCを標的に不正アクセスが続いた。情報は送信用の端末に集約され、数回に分けて送信され、外部に流出した可能性が高い。

攻撃は高い技術 防御は困難か?

 今回の三菱電機へのサイバー攻撃について社内調査で名前があがったのが、以前から存在が知られていた中国系のハッカー集団である「Tick」だった。こうした集団はいずれも高度な技術を駆使して機密情報を盗み出すことで知られている。

 今回の被害は三菱電機に留まらず、我が国にとって深刻な事態である。

  国の安全保障に関わる防衛や、国がセキュリティー対策の最重要課題に掲げる重要インフラに関する情報が不正アクセスを受けたこと。先端技術が外部に流出した懸念に加え、盗んだ情報を悪用し、電力や交通機関がマヒするような新たなサイバー攻撃につながる恐れがある。
  国の基幹を支える企業で、長期間に渡り不正アクセスが全社的に広がっていた点。20196月の発覚から半年以上が経過しても公表していないのは、被害が広範囲に及んでいることも関係するとみられる。

三菱電機のサイバーセキュリティ対策がおろそかだったわけではない。PCにウイルス対策ソフトを導入し、社内ネットワークで不審な通信を監視するなどの対策をとっていた。しかし対策ソフトはマルウェアを検知せず役に立たなかった。これは同社を攻撃するためだけのマルウェアが使われた可能性が高いことを示唆している。

我が国を支える多くの組織が日々ハッカーに狙われており、今回の事例は氷山の一角にすぎない。国は問題解決を被害企業だけに任せるのではなく、国をあげて再発防止に取り組む姿勢が求められる。

【動画】


三菱電機に大規模サイバー攻撃 中国の集団が関与の可能性

2020/1/20 12:25 (JST) https://this.kiji.is/591796883535692897

 三菱電機は令和二年120日、大規模なサイバー攻撃を受け、個人や取引先の政府機関、企業に関する情報が外部に流出した可能性があると発表した。防衛や電力、鉄道などの機密性の高い情報や、取引先に関わる重要な情報は流出していないことを確認したと説明。本社などのパソコンやサーバーに不正アクセスを受けた形跡があった。中国のサイバー攻撃集団が関与した可能性があるとみられる。
 防衛省、原子力規制委員会、資源エネルギー庁、内閣府、環境省といった政府機関とのやりとりのほか、電力、鉄道、通信などの民間企業との共同開発、製品の受注といった取引関連の会議資料などが流出した可能性があるという。

三菱電、サイバー攻撃で8千人の情報流出か
1/20() 16:44配信 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200120-00000111-kyodonews-bus_all

 三菱電機は令和二年120日、同社が受けたサイバー攻撃で従業員、退職者、採用応募者など合計8122人の個人情報が流出した恐れがあると発表した。


三菱電機にサイバー攻撃 8000人分超の個人情報 流出の可能性
2020120 1824https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200120/k10012251691000.html

 大手電機メーカー、三菱電機は会社のネットワークが大規模なサイバー攻撃を受け、政府機関とのやり取りや取引先企業の情報、それに8000人分を超える個人情報が外部に流出した可能性があると明らかにしました。会社が事業の柱としている防衛や電力など社会インフラに関わる機微な情報や機密性の高い情報は流出していないとしています。

発表によりますと、三菱電機は去年6月、社内の端末が不審な動きをしていたことから詳しく調べたところ、会社のネットワークが第三者によって大規模なサイバー攻撃を受けたことがわかったということです。外部からのアクセスを制限するなどの対策を講じましたが、政府機関とのやり取りや企業機密などが外部に流出した可能性があるとしています。

流出した可能性があるのは、防衛省や原子力規制委員会など政府機関とのやり取りに関する情報や、自社や取引先企業が作成した技術に関する資料や会議の資料などです。

また、自社の採用試験に応募した学生などの氏名や住所のほか人事制度に関する社員の情報、それにグループの企業年金基金がもつ退職者の氏名などおよそ8100人分の個人情報が流出した可能性があるとしています。

三菱電機は、事業の柱としている防衛や電力、鉄道など社会インフラに関わる機微な情報や機密性の高い技術情報、それに取引先に関わる重要な情報は流出していないことを確認したとしています。三菱電機は「関係するお客様に多大なるご心配とご迷惑をおかけすることを深くおわび申し上げます」としています。

官房長官「機微情報の流出ないと報告」

菅官房長官は臨時閣議のあとの記者会見で、「政府として報告を受けており概要は承知している。三菱電機によれば、不正アクセスにより、採用応募者や社員に関する個人情報、自社の営業・技術関連情報などが外部に流出した可能性があるということだ」と述べました。

一方で、菅官房長官は「防衛装備品や電力関係などの機微情報の流出がないことは確認済みだという報告を受けている。現在、三菱電機は原因究明などの対応を行っていると聞いており、政府としても経済産業省、内閣サイバーセキュリティセンターを中心に引き続き注視していきたい」と述べました。
河野防衛相「機微情報の流出なしとの報告」
河野防衛大臣は20日夕方、防衛省で記者団に対し、「去年の夏ごろから報告を頂いているが、これまでのところ、『防衛省の機微情報の流出はなかったと確認されている』と報告をもらっている」と述べました。

そのうえで、河野大臣は「サイバー分野での防護は非常に大事だ。防衛省としても、企業に対して、規則を定めたり、必要な機材をそろえたりということを義務づけているので、手続きができているか確認しながら、機密情報を守れるように努力していきたい」と述べました。

自衛隊の装備品製造に関わる

防衛省によりますと、三菱電機は陸・海・空の各自衛隊が運用する各種のレーダーや防衛省が利用する通信衛星や測位衛星など幅広い防衛装備品の製造に関わっています。

会社が保有する情報には、レーダーの性能など自衛隊の能力に関わる機密性の高い情報も含まれるということですが、会社側から、社内調査でこれらの情報の流出は確認されなかったと報告があったということです。

防衛省は民間企業との間で保全が必要な情報のやりとりを伴う契約を行う際、特約条項などを設けて情報管理の方法を具体的に定めているということで防衛省は「被害の全容に関する会社側の今後の調査や再発防止策の内容について確認していく」としています。
専門家「非常に巧妙 気付くことも難しい」

サイバーセキュリティーの専門家で国の委員も務めてきた岩井博樹さんは「中国などではサイバー攻撃を組織的に行うハッカー集団が複数、活動していると指摘されている。こうした集団が日本の大企業やその下請け企業が持つ知的財産や技術情報を狙っているとみられる。攻撃は非常に巧妙で、気付くことも難しくなってきている。企業はウイルス対策ソフトを最新のものにするなどの基本的な対策は当然だが、メールの添付ファイルやリンクを不用意に開かず、内容に少しでも違和感を感じたら電話などで相手に確認するなど、徹底する必要がある。今回は大企業が狙われたが、ことしは東京オリンピック・パラリンピックもあることから今後、さまざまな組織が狙われるおそれがあるので、サイバー攻撃対策を強化することが重要だ」と話しています。

日商 三村会頭「防御策 国全体で準備を」

日本商工会議所の三村会頭は記者団に対し「三菱電機はサイバー攻撃について最も知識のある会社だと思うが、その企業ですら、攻撃されるということは、サイバー攻撃にどう対策をとるべきか、もう一度、関係者で対処すべき課題だと思う」と述べました。

そのうえで三村会頭は「アタック側の技術がどんどん進行し、防御するのが非常に難しい。オリンピックなどの大きなイベントがめじろ押しなので、防御策を国全体として何とか準備していただきたい」と述べました。


密接に官民連携したサイバー戦略の策定を!これは「世界大戦」ですよ。

※今回の三菱電機へのサイバー攻撃は、サーバーにマルウェアを潜伏させて、社内の機密情報を時間をかけて窃取する形の標的型攻撃ですが、厳重にサイバーセキュリティの対策をされている企業が攻撃されたことで、厳重な防御といえども「完璧な」防御が存在しないことが実証された形となりました。政府のサイバー防衛隊が仮に民間企業のセキュリティまでカバーできたとしても、完全にシステムを守り切ることはできないでしょう。今回のインシデントを三菱電機だけでなく、すべての企業が詳細に分析して、各社の既存のシステム防御を見直すきっかけになるかと思います。

情報セキュリティ、サイバーセキュリティの世界はこれでいいということは永遠にないかと思います。政府がやるべきこととしては、サイバー攻撃を軍事紛争と同じと考えないことでしょう。夢専守防衛、集団的自衛権の行使ダメというような思想は、改めるべきです。国家の防衛戦略としてサイバー攻撃をとらえ、世界的な情報戦に対応していくべきです。手をこまねいていれば、我が国が丸裸にされ、身ぐるみはがされるだけです。

「サイバー攻撃」国家の影
 世界では近年、重要インフラをターゲットにしたサイバー攻撃に国家の関与が取りざたされる例が相次ぎ、「サイバー戦争」の様相をみせている。
 最も有名な例は、2010年(平成22年)にイランのウラン濃縮工場の遠心分離機が「スタクスネット」と呼ばれたマルウェアで破壊された例がある。
 アメリカ・ニューヨークタイムズは2012年にアメリカ、イスラエル両政府機関が関与したと報じた。逆にアメリカセキュリティ会社は、イラン政府と関わりのあるとするハッカー集団がアメリカ電力会社に不正侵入を試みていたと今月公表した。
 
 ウクライナで2015年、2016年に続けておきた大規模停電では、電力会社の制御システムに侵入したマルウェアが原因であった。ウクライナ政府は、ロシア政府による攻撃であると非難した。
 こうした攻撃について、自らの関与を認めた国家はない。我が国では外国政府の関与が疑われる攻撃の被害は明らかになっていない。今回、重要インフラに関する情報が狙われたことは、我が国が世界の潮流と無関係でないことを示している。


【深田萌絵】サイバー攻撃から国を守れ!【WiLL増刊号 #011】 https://www.youtube.com/watch?v=2_efMzgj2uY
通信の歴史、通信のしくみ、軍事における通信の重要性、AIについて、サイバー攻撃における「正当防衛権」の主張=つまり自衛権の行使をサイバー空間で認めよ!それはその通りですね。

【深田萌絵】日本は国民を守れない「サイバー小国」【小林ゆみ】【WiLL増刊号 #138】 https://www.youtube.com/watch?v=1gE_b5KbUD4
 深田さんの動画の中では、我が国にはサイバー戦部隊はないといわれていますが、一応というか税金で運営されるサイバー戦部隊は防衛省内に「サイバー防衛隊」がありますね。最近人数も増員して組織も拡張させたようですが、結局我が国のサイバー戦部隊での問題は、諸外国のサイバー戦部隊のように「使えない」ということ。なぜなら従来型の軍事組織とは全く次元の違う戦い方のサイバー戦部隊に「専守防衛」という従来の我が国特有の使えない概念をあてはめるからです。また21世紀になって立ち上げられたサイバー戦部隊をアメリカの傘の下におさめようとする発想でしょう。どこの国もサイバー戦部隊は、時代のニーズに応じてゼロから立ち上げ、組織を充実させ、ノウハウを蓄積してきました。我が国はIT大国なのに、なんでサイバー戦部隊までアメリカの下におかなければならないのか?  
 動画中でもふれていますが、もはやサイバー攻撃は「軍事攻撃」です。ハッキングはミサイルと同じ、マルウェアは核弾頭と同じです。サイバー戦部隊の強化は、核武装するのに匹敵するようなことだと理解しています。もはやサイバーセキュリティは、企業単位で個々に取り組む時代ではありません。「国防」です。そのための細かいノウハウについて深田さんはご指摘されているという点で勉強になる動画かと思います。国会議員は与党の支持率だけさげればいい、というような近視眼的な視点で国会にのぞむのではなく、大局的な視点をもって、国防に寄与するノウハウを提示できるように議員活動をしてほしい。

日米が「守りあう」時代 ~巡航ミサイル迎撃システム~ 日米安全保障体制の新たな形

共同交戦能力(CEC)とは何か?

日米同盟を新たな次元に進化させる最新鋭装備。共産中国の巡航ミサイル攻撃からアメリカ空母や日米の護衛艦などを守るために開発された。導入されれば従来の戦闘は時代遅れになるといわれる。

従来のイージス艦艇の「戦術データリンク」は、敵が水平線上より上に姿を現し、自らのレーダーで探知できるようになるまで迎撃することができない。巡航ミサイルをみつけてから迎撃できる時間は数十秒程度とされる。

共同交戦能力CECの戦闘イメージ 
つまり早い話が、低空から飛来する「巡航ミサイルの迎撃システム」ですね。


イージス艦まや(2020年3月就役)

 CECを搭載したイージス艦艇は、航空機などが前方で探知した敵の巡航ミサイルのデータを瞬時に共有、統合された火器管制システムによる「遠隔交戦(エンゲージ・オン・リモート)」で、敵ミサイルがみえない段階で航空機などのレーダー情報に基づく共同対処によって迎撃することが可能である。

E2D早期警戒機

アメリカ軍は、イージス艦艇の他に早期警戒機E2Dに導入されている。自衛隊では、20203月に就役するイージス艦まや、20213月に就役する同型艦はぐろへの搭載が決まっており、早期警戒機E2D13機体制をめざす)への導入を検討中である。

F35ステルス戦闘機

 CECとの統合が可能な装備としては、第五世代ステルス戦闘機であるF35に搭載される多機能先進データリンク(MADL)が遠隔交戦能力を保有する。アメリカ軍はF35を敵に気づかれないように前線に飛ばし、巡航ミサイル攻撃などの探知を担うという構想を持っている。

日米のイージス艦艇、F35戦闘機、E2D早期警戒機が広範囲な防衛ネットワークを構築し、互いに守りあう時代がくることはそんなに遠いことではない。

防衛省によると、CECシステムは高速・大容量のデータを送受信でき、データの更新頻度が高く、飛来するミサイルや敵の航空機の目標情報をリアルタイムで共有できる。同省が秋田、山口両県に配備計画を進める陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」に装備することも可能とみられる。 
 同システムは、20年度にも那覇基地(沖縄県)に配備される見通しの航空自衛隊の早期警戒機E2Dにも装備される可能性がある。水上艦では死角となる水平線以遠から低高度、高速で飛来する巡航ミサイルをE2Dが探知してイージス艦に中継、迎撃する構想が検討されている。https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_jsdf20180728j-01-w550


陸上イージス、共同交戦能力搭載せず=防空機能欠如、既存兵器で補完


【ワシントン時事】日本が導入する陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」に、早期警戒機やイージス艦との間で敵ミサイルなどの位置情報を共有できる共同交戦能力(CEC)システムを搭載しないことが5日、関係者への取材で分かった。秋田、山口両県への配備が検討されているイージス・アショアは弾道ミサイル防衛のみに特化し、航空機や巡航ミサイルに対する防空能力は持たないことになる。

 CECは自艦のレーダーが敵ミサイルや航空機の位置を探知しなくても、味方のレーダーが捉えた情報を基に迎撃を可能にするシステム。複数の艦船や航空機のレーダーを連動させれば、迎撃範囲や対処速度を大幅に向上できる。航空機や低空を飛行する巡航ミサイルに対する防空能力を付与するため、イージス・アショアにも搭載されるとみられていた。
 だが、関係者は「イージス・アショアは弾道ミサイル防衛のためのものだ」と説明。「CECは装備としてあるに越したことはなく、将来検討するかもしれないが、現時点で搭載予定はない」と明らかにした。
 別の関係者は、CECを搭載すれば数百億円の追加費用が発生すると指摘。「費用対効果」の観点から、イージス・アショアとその周辺に対する攻撃には、既存のイージス艦や地対空ミサイルで対応する方針だと語る。
 米海軍のイージス艦や海上自衛隊の最新イージス艦「まや」型、航空自衛隊の新型早期警戒機E2DにはCECが搭載される。米軍筋は日本が北朝鮮の弾道ミサイルだけでなく、中国の脅威に対応するには防空能力強化が必要だと強調し、「将来の必要性は自明なのに、なぜ弾道ミサイル防衛だけに限定するのか」と首をかしげる。
 イージス・アショア導入費用をめぐっては、防衛省が当初、1基約800億円との見通しを提示。その後1基当たり約1340億円になると上方修正し、批判を浴びた経緯がある。
 搭載するレーダーに米ロッキード・マーチン社製の「SSR」を選定したことで、今後開発試験にかかる費用が発生する可能性もある。CEC搭載を断念した背景には、高騰する取得費用に対する批判を避ける狙いもありそうだ。


弾道ミサイル迎撃にはイージスアショアとセット?でICBM監視レーダーを検討中

アメリカ軍は、共産中国、北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)に対する監視を強化するために最新鋭の固定式レーダー「HDR(アメリカ本土防衛レーダー)」の日本配備を検討中である。


我が国の国防圏はアメリカ合衆国の国防圏と重なる、だからこその共同防衛

 アメリカのトランプ大統領が、在日米軍の駐留費負担増を我が国政府に要求してきていますが、そもそもこちらから頼んで駐留してもらっているわけでもないのに何で「外国の軍隊」の駐留経費まで払わないといけないのか、と単純に思います。

 韓国も我が国と同様の要求をトランプ政権からされているようですが、米トランプ政権サイドからしてみれば、同盟国の国家主権を守ってやっている(防衛義務を果たす)のだから、基地用地提供、駐留経費負担は当たり前だろうという論理なのでしょうが、駐留経費まで100%負担してしまえば、アメリカ軍はアメリカの同盟国の「傭兵」化するということをトランプ政権内で認識している方はどれくらいおみえになるだろうか?

 有事になればアメリカ軍が即応して外敵に対応、つまり迎撃してくれる、ということはアメリカ軍が「守る」対象はアメリカ合衆国である。同盟国は「独立した主権国家」であり、そこを有事の際に防衛するのはその国の「国防軍」であり、アメリカ軍が防衛義務を持つ性格のものではない。しかし防衛義務を主張してくるというのは、どういうことであろうか?

 主権国家には国境線の他に、防衛上の仮想ラインである「国防線」というものがある。つまり我が国も韓国も、ついでに台湾もフィリピンもアメリカ合衆国の「国防線」の内側に存在する国家群なのである。いわば日米安全保障条約や米比相互防衛援助協定などはこのアメリカの国防線を同盟国に意識させるための取り決めといっても過言ではない。

 アメリカは、第二次大戦以降、大日本帝国に代わり、北東アジアや東シナ海、南シナ海、西太平洋を自国の「国防圏」に含めてきたのである。悔しいことではあるが、我が国はアメリカの論理を受け入れる=降伏することにより、アメリカの国防圏に組み込まれたといっていい。

 つまり我が国は、第二次大戦で「負け」を受け入れることによって、国際社会での地位を失い、明治以降戦争に勝利することで広げてきた領土領海、つまり国防圏をも失うことになったのである。そして戦後国連の常任理事国であるアメリカの軍事覇権下でもって、アメリカに次ぐ地位の国家になるまで再生したのである。

 現在我が国は、国連では「非常任理事国」を務め、同じような立場の国が他に9ケ国存在するが、国際的な地位は、第二次大戦前のようにはいっていない。

政治的、軍事的にアメリカを意識した国防戦略に基づいて防衛力が整備されるのは仕方ないことなのである。それが嫌なら共産中国の国防圏に入るという選択肢ももちろんあるが、主義主張が違いすぎるため受け入れられない。ロシアは議会制民主主義の国だが、前身のソビエト連邦はやはり主義主張が違いすぎたため、こちらの体制には入っていない。

 つまり我が国は自由主義、議会制民主主義の体制を確保し続けるためには、同じ海洋国家としてのアメリカ合衆国と「同盟国関係」という従属関係を維持しなければならない、ということである。日本、韓国、フィリピン、台湾はアメリカからみれば「西側の国防線」にあたる同盟国と呼ばれる「従属国」であるといえる。防衛の主体はアメリカを中心に考えているということである。

日米共同軍事演習

アメリカ合衆国は、自国の国防圏を防衛するために我が国や韓国などに駐留しています。あくまでアメリカ軍が防衛する対象は自国です。アメリカの国防圏はそれだけ広大なわけです。二等国である同盟国の国防圏はアメリカのそれより小さい。だから共同防衛にする方が効率がいい、ということでしょう。

そこのところをふまえた議論を左巻きのみなさん、右巻きのみなさんにお願いしたいという気持ちはあります。第二次大戦で自国の政治的論理を実現できなかった時点で、我が国の国際的な地位は二等国に落ちてしまったのです。それは軍事的な背景で現在も維持されているのです。

2020年1月8日水曜日

我が国における情報戦略・情報機関の実態

「首相直属」で情報収集
テロ対策で対外情報機関の創設も
2015.02.05http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150205/plt1502051830002-n1.htm
イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」による日本人やヨルダン空軍パイロットの殺害事件を受け、国連安全保障理事会は非難声明を発表、米軍を中心とする有志連合は「イスラム国壊滅」に向けて大攻勢を仕掛ける構えだ。一方、日本では、激動する世界情勢の中で、国民の生命と財産を守るため、首相直属の対外情報機関の創設を求める声が強まっている。米国のCIA(中央情報局)や、英国のMI6(秘密情報局)のような組織を創設することで、残忍・狡猾な国際テロ集団などと対峙しようという構想だ。
 「政府の情報機能を強化し、より正確かつ機微な情報を収集して国の戦略的な意思決定に反映していくことが極めて重要だ。ご指摘のような対外情報機関の設置については、さまざまな議論のあるものと承知している」

 安倍晋三首相は20152月4日の衆院予算委員会でこう答弁した。警察官僚OBで「外事警察のプロ」である自民党の平沢勝栄衆院議員の「対外情報機関を創設すべきではないか」という質問に答えた。

 先進主要国で、国際テロや大量破壊兵器、諸外国の政情などの海外情報を収集・分析する情報機関がないのは日本だけだ。同じ敗戦国であるドイツですら、BDN(ドイツ連邦情報局)を持っている。現在でも、外務省や防衛省、警察庁、公安調査庁などが、情報収集や分析にあたっているが、人員や予算面の限界や、省庁の縦割りの弊害などが指摘されてきた。
 こうしたなか、日本人10人が犠牲となるアルジェリア人質事件(2013年1月)が発生した。国際テロの情報収集力不足など、日本の危機管理上のさまざまな問題点が浮かび上がった。

 この事件を受け、対外情報機関創設の機運が高まり、超党派の衆院議員団は昨年1月、英国を訪問し、国外情報を収集するMI6や、テロリストやスパイを監視するMI5(情報局保安部)などを視察した。MI6は、映画「007シリーズ」で、ジェームズ・ボンドが活躍した組織である。
 視察後、参加議員の多くは、「紛争回避やテロ防止、防衛力強化のためには、対外情報機関は不可欠だ」「他国の情報に頼るのは独立国のすることではなく危険だ」と感想を語った。
 自民、公明両党は2014年4月、対外情報機関の創設に向けて協議を進めることを確認した。そして、日本人にテロの脅威を改めて実感させた今回の事件を契機に「早急に詰めないといけない」(石破茂地方創生担当相)との声が高まっている。
 
日本の「情報のプロ」たちは対外情報機関の創設には賛成だが、外務省主導ではなく、首相直属の組織を提案する。
 
初代内閣安全保障室長の佐々淳行氏は「『外交一元化』の名のもと、重要情報は外務省に集中してきたが、その情報を外務省が官邸に入れないケースが多々あった」と指摘し、こう続ける。
 
「安倍首相は今回、この苦しみを数カ月間にわたって味わい続けたのではないか。過去にも、重要な情報を外務省が握りつぶしていたことが後に発覚し、当時の小泉純一郎首相が激怒したことがある。戦前は首相直属の情報機関があったが、GHQ(連合国軍総司令部)の意向で廃止された。海外での日本人誘拐や身代金要求の多発が予想される今こそ、これを復活させなければならない」


 元公安調査庁調査第2部長の菅沼光弘氏も「外務省の領事部や中東アフリカ局に、邦人保護で活躍できる人材がおらず、今回の事件では事実上何もできなかった。首相直属の対外情報機関を作らない限り、国際テロに対峙することなどできない」と語る。
 
対外情報機関を創設するメリットは、テロ対策だけにとどまらない。
 
前出の佐々氏は「慰安婦問題などで、中国や韓国が虚偽の情報を国際社会に流布するのを防ぐため、新機関に“日本の悪口探し班”を設けることも必要だ。各国の閣僚らの発言を常時チェックし、首相や官房長官の名で国連総会などで反論する態勢を作る。そうすれば『うかつに悪口を言えばすぐ反論してくる国』という認識が国際社会に定着する。ともかく、世論も熟してきている。安倍首相は、安全保障法制整備の次は、対外情報機関の創設に本気で取り組むはずだ」と語る。
 
「国民を守る」という、国家として当然の責務を果たすための態勢を整えなければならない。

最強の情報機関はどこだ!~勝つための情報学~


【「内閣情報局」設置構想が再浮上】

極めて低い日本のインテリジェンスの総合力
2015.02.17http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150217/plt1502171140001-n1.htm
「内閣情報局」設置構想が再び浮上している。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(ISIL)による日本人殺害脅迫事件を受けた、安倍晋三首相の国会答弁が引き金となった。安倍首相は2015年2月4日の参院予算委員会で次のように語った。
 「政府の情報機能を強化し、より正確かつ機微な情報を収集して国の戦略的な意思決定に反映していくことが極めて重要だ」-。

 政府の情報収集・分析力強化を図るため米中央情報局(CIA)のような対外情報機関の設置に関して「さまざまな議論があると承知している」と、答弁したことが大きい。
 これに呼応するかのように、初代内閣安全保障室長の佐々淳行氏も直近の『文藝春秋』(3月号)で内閣情報局創設を提言した。

 では、わが国にはどのような情報組織(機関)があるのか。

 まず、内閣官房に内閣情報調査室(内閣情報官・北村滋=1980年警察庁入庁)がある。

 外務省-国際情報統括官組織(国際情報統括官・岡浩=82年外務省)。

 防衛省-統合幕僚会議情報本部(情報本部長・宮川正=82年旧防衛庁)。

 法務省-公安調査庁(長官・寺脇一峰=78年法務省)

 警察庁-警備局外事情報部(外事情報部長・瀧澤裕昭=82年警察庁)。


 これ以外にも内閣官房に関連組織(機関)がある。昨年1月に発足した国家安全保障局(局長・谷内正太郎=69年外務省)と、内閣危機管理室(内閣危機管理監・西村泰彦=79年警察庁)である。


 国家の危機管理に当たって不可欠なのは、単なる情報収集の機能ではなく、インテリジェンスの総合力である。

 それは「シギント」と呼ばれる通信傍受や衛星監視で収集・分析した情報と、「ヒューミント」と呼ばれる人間的要素の情報を総合した「情報力」を意味する。
 ところが、わが国の場合、総合的な情報力といえるようなものは端的に言って皆無に近い。

 情報を扱う政府機関はいくつもあるが、いずれも情報を収集・分析・評価する能力、つまりインテリジェンス機能は極めて低く、情報を総合化する仕組みが不十分なのだ。

 自前のインテリジェンスと情報管理体制を持たないに等しい。こうしたことから内閣情報局構想が浮上したのだ。

 縦割り組織の弊害は古くて新しい問題である。それにしても、現有の内閣情報調査室約170人、内閣危機管理室約70人、国家安全保障局約70人ではわびしすぎる。やはり「ヒトとカネ」なのだ。 (ジャーナリスト・歳川隆雄)


【コラム】防衛省-「陸上幕僚監部運用支援・情報部別班」
 冷戦時代から首相や防衛大臣に知らせず、独断でロシア、共産中国、韓国、東欧などに拠点を設置し、身分を偽装した自衛官に情報活動をさせてきた。別班は「DIT」(防衛情報チーム)と呼ばれる。数十人いるメンバー全員が陸上自衛隊小平学校の「心理戦防護課程」の修了者である。同課程は諜報(秘密の情報収集)、防諜(スパイの侵入、活動を防ぐこと)の活動を教育、訓練した旧陸軍中野学校の後継機関とされる。

 別班の海外展開は冷戦時代に始まり、主に旧ソ連、共産中国、北朝鮮に関する情報収集を目的に、国や都市を変えながら常時3ケ月程度の拠点を維持、最近はロシア、韓国、ポーランドなどで活動しているといわれる。

 別班員を海外に派遣する際には自衛官の籍を抹消し、他省庁の職員に身分を変えることもあるといわれる。現地では日本の商社の支店社員などを装い、社員に成りすました別班員が協力者を使って軍事、政治、治安情報を収集、出所を明示せずに陸幕長と情報本部長に情報をあげる仕組みが整っている。
身分偽装まで行う海外情報活動に法的根拠はなく、資金の予算上の処理などもはっきりしない。

 冷戦時代の別班発足当初はアメリカ陸軍の指揮下で活動したとされる。陸上幕僚監部運用支援・情報部長の直轄となった現在でも「米軍と密接な関係がある」と指摘する関係者は多い。

 特定秘密保護法の成立により、自衛隊の広範な情報が秘密指定され、国会や国民の監視がさらに困難になるのは必至、ということであった。

 防衛省の改革として2018年にこれまで部隊同士の連携がなかった陸海空3自衛隊のヒューミント部隊を情報本部が一元管理する仕組みが構築される。そのヒューミント部隊の中核が首相も防衛大臣も知る由もない非公然部隊「別班」である。
防衛省、自衛隊では「別班など過去も現在も存在しない。」という説明を繰り返している。

 非合法な任務の遂行さえ求められる別班員は、自らの仕事内容を家族や知人に一切明かすことが許されない。それどころか「年賀状を出すな」「防衛大学校の同期会には行くな」などと他者との関りを絶つように厳しく指示される。そのため「妻子に対しても、心の中で壁を作ってしまう」「親友がいなくなった。人生を変えられてしまった」「別班は人を騙して情報をとる。違法なことを含めて」「何かあれば蜥蜴のしっぽ切りであろう」「自分に何かあったとき、家族がどうなるのか常に心配だった」という複雑な胸中を吐露する別班OBもいた。

「別班は存在しない」と国会で答弁されていますが・・・。
「別班」は存在するのでしょうか?
存在するはずです。でも「非合法な」情報機関の存在を認める国家はないでしょう。

【自衛隊特殊部隊臨戦、対テロ極秘任務】北朝鮮拉致被害者「奪還」も
2015.02.06http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150206/plt1502061830002-n1.htm

イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」による日本人殺害事件を受け、安倍晋三首相が、自衛隊による邦人救出に向けた法整備に意欲を示している。日本人が海外でテロ組織などに拘束された場合、その救出を他国に頼るしかない“情けない現状”が浮き彫りになったからだ。実現へのハードルは高いが、仮に自衛隊の救出命令が出されれば、特殊部隊が出動する。その作戦遂行能力はどのくらいあるのか。専門家が分析した。 

 
「海外で邦人が危険な状況に陥ったときに、救出も可能にするという議論を、これから行っていきたい」
 
安倍首相は2015年2日の参院予算委員会でこう強調した。人質事件が、日本人2人の殺害映像が公開されるという凄惨(せいさん)な結末を迎え、海外での自衛隊による邦人救出は通常国会の主要な論点に浮上している。

 国家にとって「自国民の保護」は重要な使命である。米国では、陸軍特殊部隊(通称グリーンベレー)や、陸軍第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊(同デルタフォース)、海軍特殊部隊(同シールズ)。英国では、陸軍特殊空挺部隊(同SAS)などが、海外での救出任務に当たっている。
 自衛隊が邦人救出に乗り出す場合、専門家の間で投入の可能性が高いと予測されているのが、陸上自衛隊習志野駐屯地(千葉県)に置かれている特殊部隊「特殊作戦群(特戦群)」だ。
 ゲリラや特殊部隊による攻撃への対処が主任務だが、訓練の内容などは明らかにされておらず、隊員は家族にさえ特戦群に所属していることを告げてはならないという。


軍事ジャーナリストの井上和彦氏は「海外での人質救出に出向くのは、特戦群以外にない。十分な作戦遂行能力を持っている。あとは政治判断だ」と指摘し、続けた。
 「対ゲリラ戦闘は、正規の戦闘とは大きく異なる。相手は組織の体をなした『軍隊』ではないので、どんな配置で戦いを挑んでくるかも予想しにくい。こうした状況に対応するには、高度なメンタル面の鍛錬も必要になるが、特戦群ではそうした訓練も行われている」

 特戦群では、北朝鮮による日本人拉致被害者の奪還を念頭に、離島に上陸して一般人にまぎれて目的地へと潜入する訓練なども行われているとされる。「砂漠、ジャングルなど、日本国内にない環境での訓練の充実と、語学に習熟した隊員の確保が必要」(井上氏)という課題はあるが、救出ミッションに挑む最有力候補といえそうだ。
 同じ習志野駐屯地の精鋭部隊「第1空挺団」も実力は高い。

 元韓国国防省北韓分析官で拓殖大客員研究員の高永●(=吉を2つヨコに並べる)(コウ・ヨンチョル)氏は「秘密裏の人質救出作戦にも対応できるよう、非常に厳しい訓練を積んでいる。相当の能力がある」とみる。
 このほか、米海軍シールズを参考に、海上自衛隊江田島基地(広島県)に創設された特殊部隊「特別警備隊(特警隊)」も高度な訓練を積んでおり、「救出作戦に適任」との指摘もある。

 ただ、元陸上自衛官で安全保障研究家の濱口和久氏は「特戦群も第1空挺団も特警隊も、極めて高い能力を持っているが、作戦遂行のためには、まずは『情報』が必要だ」といい、続けた。


 「今回の人質事件でも、日本政府はイスラム国について十分に情報を得ることができていなかった。情報もなく、単に『人質を救出せよ』というミッションを与えられても、部隊の能力は発揮できない。現地での人脈に通じた人材の育成などが必要ではないか」
 米国のCIA(中央情報局)や、英国のMI6(秘密情報局)のような、対外情報機関の創設が急務というわけだ。

 課題は他にもある。

 2014年7月の安保法制に関する閣議決定では、邦人救出の条件として「受け入れ国の同意」と「国に準ずる組織がいない」ことを掲げている。安倍首相は参院予算委での答弁で、「(今回の人質事件では)シリアが同意することはあり得ない」「法的要件を整えてもオペレーションができるのかという大問題もある」と指摘している。
 特殊部隊の経験者はどう思うのか。

 前出の海自・特警隊の創設準備に携わり、即応部隊を率いる小隊長を務めた伊藤祐靖(すけやす)氏に聞いた。伊藤氏は、沖縄・与那国島を舞台に、人質を取った武装集団に元特殊部隊隊員が立ち向かう姿を描いた、麻生幾氏の小説『奪還』(講談社文庫)のモデルにもなった人物である。

 伊藤氏は「作戦遂行能力があろうがなかろうが、やるならやる。(最高指揮官である首相が決断し、救出命令が出たら)何をしてでもやる」と語った。

※北朝鮮の拉致被害者の奪還については、安倍内閣になってからは内閣情報調査室が活動していますね。



北朝鮮による拉致問題については、被害者家族の高齢化だけでなく、拉致被害者のみなさんの高齢化も切迫した問題です。金王朝体制を倒し、この政権を堂々と批判できる政権の樹立が達成されれば話は早いとは思いますが・・。我が国への北朝鮮による「侵略」行為は糾弾し、解決しなければなりません。

戦前の情報機関の実態
~元警視庁北芝健氏が語ります。

ムー度満点!トーク vol9.北芝健 陸軍中野学校について、諜報戦略について語ってます。 https://www.youtube.com/watch?v=SZSz7mGVku4  
北芝健の警察・公安の知られざるサイキック(心霊)捜査 暴露話! ムーの基礎知識 2013年12月号 ゲストコーナー 
https://www.youtube.com/watch?v=H4Y9_Jw_BE8

※北芝健氏が出演する番組にしては、ミステリーすぎるな、と思っていたら、警察機関による心霊捜査について話していました。日本の公安は、きちんと物証を固めてから逮捕するので、霊能力を使った捜査は否定されていると思っていましたが、そうでもないようです。