2020年1月21日火曜日

日米が「守りあう」時代 ~巡航ミサイル迎撃システム~ 日米安全保障体制の新たな形

共同交戦能力(CEC)とは何か?

日米同盟を新たな次元に進化させる最新鋭装備。共産中国の巡航ミサイル攻撃からアメリカ空母や日米の護衛艦などを守るために開発された。導入されれば従来の戦闘は時代遅れになるといわれる。

従来のイージス艦艇の「戦術データリンク」は、敵が水平線上より上に姿を現し、自らのレーダーで探知できるようになるまで迎撃することができない。巡航ミサイルをみつけてから迎撃できる時間は数十秒程度とされる。

共同交戦能力CECの戦闘イメージ 
つまり早い話が、低空から飛来する「巡航ミサイルの迎撃システム」ですね。


イージス艦まや(2020年3月就役)

 CECを搭載したイージス艦艇は、航空機などが前方で探知した敵の巡航ミサイルのデータを瞬時に共有、統合された火器管制システムによる「遠隔交戦(エンゲージ・オン・リモート)」で、敵ミサイルがみえない段階で航空機などのレーダー情報に基づく共同対処によって迎撃することが可能である。

E2D早期警戒機

アメリカ軍は、イージス艦艇の他に早期警戒機E2Dに導入されている。自衛隊では、20203月に就役するイージス艦まや、20213月に就役する同型艦はぐろへの搭載が決まっており、早期警戒機E2D13機体制をめざす)への導入を検討中である。

F35ステルス戦闘機

 CECとの統合が可能な装備としては、第五世代ステルス戦闘機であるF35に搭載される多機能先進データリンク(MADL)が遠隔交戦能力を保有する。アメリカ軍はF35を敵に気づかれないように前線に飛ばし、巡航ミサイル攻撃などの探知を担うという構想を持っている。

日米のイージス艦艇、F35戦闘機、E2D早期警戒機が広範囲な防衛ネットワークを構築し、互いに守りあう時代がくることはそんなに遠いことではない。

防衛省によると、CECシステムは高速・大容量のデータを送受信でき、データの更新頻度が高く、飛来するミサイルや敵の航空機の目標情報をリアルタイムで共有できる。同省が秋田、山口両県に配備計画を進める陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」に装備することも可能とみられる。 
 同システムは、20年度にも那覇基地(沖縄県)に配備される見通しの航空自衛隊の早期警戒機E2Dにも装備される可能性がある。水上艦では死角となる水平線以遠から低高度、高速で飛来する巡航ミサイルをE2Dが探知してイージス艦に中継、迎撃する構想が検討されている。https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_jsdf20180728j-01-w550


陸上イージス、共同交戦能力搭載せず=防空機能欠如、既存兵器で補完


【ワシントン時事】日本が導入する陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」に、早期警戒機やイージス艦との間で敵ミサイルなどの位置情報を共有できる共同交戦能力(CEC)システムを搭載しないことが5日、関係者への取材で分かった。秋田、山口両県への配備が検討されているイージス・アショアは弾道ミサイル防衛のみに特化し、航空機や巡航ミサイルに対する防空能力は持たないことになる。

 CECは自艦のレーダーが敵ミサイルや航空機の位置を探知しなくても、味方のレーダーが捉えた情報を基に迎撃を可能にするシステム。複数の艦船や航空機のレーダーを連動させれば、迎撃範囲や対処速度を大幅に向上できる。航空機や低空を飛行する巡航ミサイルに対する防空能力を付与するため、イージス・アショアにも搭載されるとみられていた。
 だが、関係者は「イージス・アショアは弾道ミサイル防衛のためのものだ」と説明。「CECは装備としてあるに越したことはなく、将来検討するかもしれないが、現時点で搭載予定はない」と明らかにした。
 別の関係者は、CECを搭載すれば数百億円の追加費用が発生すると指摘。「費用対効果」の観点から、イージス・アショアとその周辺に対する攻撃には、既存のイージス艦や地対空ミサイルで対応する方針だと語る。
 米海軍のイージス艦や海上自衛隊の最新イージス艦「まや」型、航空自衛隊の新型早期警戒機E2DにはCECが搭載される。米軍筋は日本が北朝鮮の弾道ミサイルだけでなく、中国の脅威に対応するには防空能力強化が必要だと強調し、「将来の必要性は自明なのに、なぜ弾道ミサイル防衛だけに限定するのか」と首をかしげる。
 イージス・アショア導入費用をめぐっては、防衛省が当初、1基約800億円との見通しを提示。その後1基当たり約1340億円になると上方修正し、批判を浴びた経緯がある。
 搭載するレーダーに米ロッキード・マーチン社製の「SSR」を選定したことで、今後開発試験にかかる費用が発生する可能性もある。CEC搭載を断念した背景には、高騰する取得費用に対する批判を避ける狙いもありそうだ。


弾道ミサイル迎撃にはイージスアショアとセット?でICBM監視レーダーを検討中

アメリカ軍は、共産中国、北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)に対する監視を強化するために最新鋭の固定式レーダー「HDR(アメリカ本土防衛レーダー)」の日本配備を検討中である。


我が国の国防圏はアメリカ合衆国の国防圏と重なる、だからこその共同防衛

 アメリカのトランプ大統領が、在日米軍の駐留費負担増を我が国政府に要求してきていますが、そもそもこちらから頼んで駐留してもらっているわけでもないのに何で「外国の軍隊」の駐留経費まで払わないといけないのか、と単純に思います。

 韓国も我が国と同様の要求をトランプ政権からされているようですが、米トランプ政権サイドからしてみれば、同盟国の国家主権を守ってやっている(防衛義務を果たす)のだから、基地用地提供、駐留経費負担は当たり前だろうという論理なのでしょうが、駐留経費まで100%負担してしまえば、アメリカ軍はアメリカの同盟国の「傭兵」化するということをトランプ政権内で認識している方はどれくらいおみえになるだろうか?

 有事になればアメリカ軍が即応して外敵に対応、つまり迎撃してくれる、ということはアメリカ軍が「守る」対象はアメリカ合衆国である。同盟国は「独立した主権国家」であり、そこを有事の際に防衛するのはその国の「国防軍」であり、アメリカ軍が防衛義務を持つ性格のものではない。しかし防衛義務を主張してくるというのは、どういうことであろうか?

 主権国家には国境線の他に、防衛上の仮想ラインである「国防線」というものがある。つまり我が国も韓国も、ついでに台湾もフィリピンもアメリカ合衆国の「国防線」の内側に存在する国家群なのである。いわば日米安全保障条約や米比相互防衛援助協定などはこのアメリカの国防線を同盟国に意識させるための取り決めといっても過言ではない。

 アメリカは、第二次大戦以降、大日本帝国に代わり、北東アジアや東シナ海、南シナ海、西太平洋を自国の「国防圏」に含めてきたのである。悔しいことではあるが、我が国はアメリカの論理を受け入れる=降伏することにより、アメリカの国防圏に組み込まれたといっていい。

 つまり我が国は、第二次大戦で「負け」を受け入れることによって、国際社会での地位を失い、明治以降戦争に勝利することで広げてきた領土領海、つまり国防圏をも失うことになったのである。そして戦後国連の常任理事国であるアメリカの軍事覇権下でもって、アメリカに次ぐ地位の国家になるまで再生したのである。

 現在我が国は、国連では「非常任理事国」を務め、同じような立場の国が他に9ケ国存在するが、国際的な地位は、第二次大戦前のようにはいっていない。

政治的、軍事的にアメリカを意識した国防戦略に基づいて防衛力が整備されるのは仕方ないことなのである。それが嫌なら共産中国の国防圏に入るという選択肢ももちろんあるが、主義主張が違いすぎるため受け入れられない。ロシアは議会制民主主義の国だが、前身のソビエト連邦はやはり主義主張が違いすぎたため、こちらの体制には入っていない。

 つまり我が国は自由主義、議会制民主主義の体制を確保し続けるためには、同じ海洋国家としてのアメリカ合衆国と「同盟国関係」という従属関係を維持しなければならない、ということである。日本、韓国、フィリピン、台湾はアメリカからみれば「西側の国防線」にあたる同盟国と呼ばれる「従属国」であるといえる。防衛の主体はアメリカを中心に考えているということである。

日米共同軍事演習

アメリカ合衆国は、自国の国防圏を防衛するために我が国や韓国などに駐留しています。あくまでアメリカ軍が防衛する対象は自国です。アメリカの国防圏はそれだけ広大なわけです。二等国である同盟国の国防圏はアメリカのそれより小さい。だから共同防衛にする方が効率がいい、ということでしょう。

そこのところをふまえた議論を左巻きのみなさん、右巻きのみなさんにお願いしたいという気持ちはあります。第二次大戦で自国の政治的論理を実現できなかった時点で、我が国の国際的な地位は二等国に落ちてしまったのです。それは軍事的な背景で現在も維持されているのです。

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