2015年12月22日火曜日

ついに始動!インド人もびっくりの大国インドの安全保障戦略と安倍晋三内閣の国家戦略

【インド・モディ首相のインド洋戦略】中国の「真珠の首飾り」に対抗
岡崎研究所
20150729日(Wedhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/5190

インドのObserver Research財団のモハン戦略研究部長が、National Interest誌ウェブサイトに626日付で掲載された論説で、モディ首相はインド洋におけるより野心的な外交政策に乗り出した、と述べています。
 すなわち、モディ首相はさる20153月、訪問先のモーリシャスで、インド洋の島嶼諸国に対する海洋関与についての以下の5つの要素からなる枠組みを提示した。
 1)インド自身のため、そして世界政治におけるインド洋の戦略的重要性の高まりを十分考慮して、関連諸国のため、インド洋の安全を確保する。
 2)地域のパートナー諸国との安全保障協力を強化する。モディはセーシェルで、沿岸監視レーダー計画を発表した。これはインド洋に海洋状況把握網(maritime domain awareness network)を建設するという野心的計画の一部であり、監視レーダーをモーリシャスに8基、セーシェルに8基、スリランカに6基、モルディヴに10基配備する予定である。
 モディはモーリシャスで、インド製オフショア巡回船の進水式に参列し、その際小島嶼諸国に海洋能力構築への協力を明らかにした。
 3)インド洋の安全保障についての多角的協力体制を作る。
 モディは、テロ、海賊、災害との戦いに関する地域取決めの強化を支援すると述べた。モディは、インドとモルディヴ、スリランカの3国間の安全保障協力にモーリシャスとセーシェルが参加することを期待すると述べた。インドがモーリシャスとセーシェルの戦略施設を使用することになれば、島嶼諸国でインドが戦略的足がかりを得る可能性が出てくる。
 4)インドが島嶼諸国の海洋資源利用のための協力を強化する。
5)インドは永らく地域外の主要国との協力に及び腰であったが、最近のオバマの訪印が示すように、米国の地域での役割を受け入れる方に舵を切った。と同時に、モディは中国への門戸も開いている。米国へ開けた態度をとることで、中国に対する戦略的交渉の立場が強まるかもしれない。
 モディのインドは、インド洋の安全確保、ならびに集団的安全保障と経済統合のための地域機構の推進で、積極的役割を果たすことにもはや躊躇しない、しかしモディの構想はインドのインド洋戦略の活性化への第一歩にすぎない、その実施に当たり、インドは多くの問題に遭遇するだろう、と指摘しています。
出典:C. Raja Mohan,Revealed: India's Master Plan for the Indian Ocean’(National Interest, June 26, 2015
http://www.nationalinterest.org/blog/the-buzz/revealed-indias-master-plan-the-indian-ocean-13198
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 モディ首相がインド洋の安全保障につき、積極的な役割を果たす姿勢を明らかにしたことは歓迎すべきことです。本来インドがインド洋の安全確保につき関心を持つのは当然ですが、ここにきて積極的に関与する政策を打ち出しているのは、中国の影響力の増大を念頭に置いてのことであると考えて間違いないでしょう。インドは中国を封じ込める政策はとらないでしょうが、他方、中国が「一帯一路」構想などでインド洋に対する影響力を増大することも放置はできないでしょう。

 論説はインドのインド洋島嶼諸国に対する関与を中心に論じていますが、インドが中国を念頭にインド洋関与を積極化しようとすれば、島嶼諸国だけでは不十分です。中国の「真珠の首飾り」構想には、島嶼諸国のほかに、ミャンマー、マレーシア、バングラデシュ、スリランカ、パキスタンが入っています。パキスタンはインドのライバルですから、これを除くとしても、インドはこれら諸国もインド洋の安全確保構想に加え、ミャンマー、マレーシア、バングラデシュ、スリランカの諸国との二国間、あるいは多国間の関与を進める必要があるでしょう。今年も日本は米印主催のマラバール演習に参加しましたが、例えば、マラバール演習をインド洋の安全を確保するための、上記諸国も含めた多国間のプラットフォームに育て上げるといったことが考えられます。日本としてもインド洋の海洋安全保障に積極的に協力していく必要があります。
安倍晋三内閣の国家戦略
【安全保障ダイアモンド構想】
安倍晋三の日米とアジア諸国による中国包囲網


アジア太平洋地域の多国間協力として提唱している。日本と米ハワイ、豪州、インドをひし形に結び、面での抑止力を働かせる戦略構想。「強い日米同盟」構築、豪州との2+2外務防衛閣僚会議の開催で準同盟国化の促進、インドとも安全保障面での関係強化をはかる。
インドとの関係強化のための我が国の側のアイテムは?
安倍首相「新幹線、日印新時代にふさわしい」 インドの導入合意を歓迎
2015.12.12 17:06更新 http://www.sankei.com/world/news/151212/wor1512120049-n1.html

 インド訪問中の安倍晋三首相は20151212日、モディ首相との首脳会談後に共同記者発表を行い、インドの高速鉄道計画への日本の新幹線システム導入で合意したことを受け、「日印新時代の幕開けにふさわしいプロジェクトだ。他の高速鉄道路線にも導入されることを期待する」と述べた。
 また、安倍首相は日印原子力協定締結で原則合意したことについて「日本による協力を平和目的に限定する内容を確保した」と評価。モディ首相も「両国の戦略的パートナーシップの新たなレベルを示すシンボルだ」と語った。(ニューデリー 田北真樹子)
国内では、安全保障関連法制を整備し、「専守防衛」という従来からの我が国の防衛戦略は堅持するものの邦人保護を目的としたいわゆる集団的自衛権の行使を一部容認するように「憲法解釈」を変更されるに至った。しかし国内での抵抗は依然強く、反日リベラル系団体を支持団体にもつ民主党、日本共産党などはこれら一連の動きを「憲法違反」であるとして反対の姿勢を貫いている。
高速鉄道網と原子力発電所の技術の売り込みでしたね。

インドへ輸出が決まった日本の「新幹線システム」って何?
20151222 110 http://news.livedoor.com/article/detail/10984408/
 インドを訪問した安倍晋三首相は20151212日、インドのモディ首相と覚書を交わし、インドの高速鉄道敷設に日本の「新幹線システム」を導入することを確認した。日本にとって2007年に開業した台湾新幹線以来、2例目の「新幹線システム輸出」となる。日本だけではなく、9月にインドネシアに高速鉄道の輸出を決めた中国や、高速鉄道「TGV」を持つフランスなど世界各国が、自国の高速鉄道方式を輸出しようとしのぎを削っている。各国の仕様が異なる中、今回インドへ輸出が決まった日本の「新幹線システム」とは、どのようなものなのか。
鉄道輸出の最重要ターゲットであるインド
 日印両政府が交わした「高速鉄道に関する協力覚書」では、インド西部の主要都市ムンバイと北西部の都市アーメダバード間、約500キロにおける高速鉄道敷設について、日本の新幹線システムを利用して整備することが決まった。日本政府は、この計画に対して約14600億円の円借款を提供し、あわせて人材育成や技術移転を行うことに合意した。
  安倍政権は、「積極的なインフラ輸出」をアベノミクスの施策のひとつとして位置づけている。政府は、20146月に決定した「インフラシステム輸出戦略」改訂版で、2020年に我が国企業が交通分野で7兆円のインフラシステム受注することを目標に据える。中でもインドは、交通インフラ輸出の最重要ターゲットのひとつだった。
  インドの鉄道は、営業距離が約66千キロと、アメリカ、ロシア、中国に次ぐ世界第4位であり、第3位の中国に肉薄している(2014年世界銀行調べ)。人口が多いことから旅客数も多い上、アメリカと異なり「鉄道を使う文化」がある。しかも、インドの鉄道は近代化が遅れており、一般鉄道の高速化や高速鉄道の敷設が急務だった。インドへの高速鉄道輸出は、当初フランスが先行していた。2段階で行われる「事業化調査」の1回目は、2009年よりフランスが担当した。その後日本政府が巻き返し、2013年の安倍首相とインドのシン首相(当時)との首脳会談で、路線図、運行計画などを検討する2回目の事業化調査は日本が担当することとなった。今年6月に終了した日印共同調査の結果、新幹線システムの導入が決まった。
日本の「新幹線システム」とは
 今回インドに導入が決まった「新幹線システム」とは何なのか。国土交通省鉄道局国際課の担当者によれば「決まった定義はないが、日本の新幹線の特徴を指す」ものだという。欧州などでは一般の列車と兼用の線路を使うことが多い高速鉄道だが、日本の新幹線の最大の特徴は「新幹線用の専用軌道を敷く」ことだという。
  日本式の新幹線システムでは、新幹線用の専用線路を高架に走らせるため、線路に車などの障害物が侵入することはほとんどない。すると新幹線の車両の強度を、障害物との衝突に耐えられるほど強化する必要がなくなる。その結果、車両の重量が軽くなり、高架や橋の強度を低く抑えられて建設コストが下がり、維持負担が軽くなる。専用軌道を敷くことにより、日本の新幹線システムはライフサイクルコスト、つまり運用期間全体の長期的なコストが低く抑えられることが最大の特徴だと、同担当者は強調する。
  車体が軽いことから、車両を広く作ることができる利点もある。フランスの高速鉄道「TGV」は左右に2座席ずつ、1列に4席だが、新幹線は左右に2座席と3座席ずつ、一列に5座席作ることができる。また、日本の新幹線は車内の気密性が高い。車内の気密性が高いと、トンネルに突入する際に空気の圧縮の影響を受けにくく、その分トンネルを小さく作ることができ、トンネル施工の費用を低く抑えられるという。
  日本の新幹線が誇る定時運行や1時間に15本の運行を可能にするダイヤ、従業員教育の質の高さも、「新幹線システム」の売りのひとつだ。同担当者は「専用軌道を用いる新幹線システムは、建設時には費用が高いように見えるが、総合的に考えれば安いはずだ」と話す。
官民を挙げたセールスで勝ち取ったインド新幹線
 今回のインドの高速鉄道導入において、競合していたのは中国だったと報じられている。日本に決まった決め手は何だったのか。国交省の担当者は、主に3つの理由を挙げる。
  一つは、日印首脳間の信頼関係の醸成だ。安倍首相はシン前首相、モディ首相と首脳会談を重ね、経済分野から安全保障分野までわたる親密な関係を構築してきた。

 二点目に、官民が連携したトップセールスの成功が挙げられる。首相に限らず、大臣等が頻繁にインドを訪問し、新幹線を売り込んだ。民間もインドで一般の人を対象にしたセミナーを開催し、新幹線システムの理解に努めた。そのうえで、日印共同で行われた事業化調査を通じて、日本の新幹線システムが優れているとインド側に納得させられたのが大きいという。
  三点目は、資金面での援助だ。日本政府は今回、インドに対して償還期間50年、利子率年0.1%で、最大約14600億円という異例の円借款を提供した。
 同省の担当者はそのほかに、今回首脳間の合意とは別に国交省とインド鉄道省との間で結ばれた「鉄道分野の技術面における協力覚書」が、インド側にとって大きな評価ポイントだったのではないかと推測している。日本政府は、今回のムンバイ・アーメダバード間の高速鉄道敷設とは別に、インド国鉄全体の近代化、高度化に対して幅広い技術協力を約束した。この提案が、巨大な鉄道網と人口を抱えながら、近代化の遅れているインド国鉄にとって魅力的に映ったようだ。
 今回日本とインドが同意した新幹線システムによる高速鉄道敷設は、インドの高速鉄道構想の一部に過ぎない。同省は今回の新幹線システム輸出を成功させ、さらに輸出を拡大したい考えだ。(中野宏一/THE EAST TIMES
【湯浅博の世界読解】傲慢中国黙らせた「強い日米同盟」

 【平成27年日米首脳会談の意義】~アメリカの我が国に対する期待の変化が感じ取れます。(維新嵐こう思う)

昨秋(2014年秋)、チェイニー副大統領の首席補佐官だったスクーター・リビー氏に会って、「米国の次期大統領は誰がふさわしいか」と聞いてみた。
 即答で戻ってきた答えには仰天した。彼は平然と「シンゾウ・アベ」と言ってのけたのだ。
 もちろん、冗談には違いないが、オバマ大統領に対する不満と合わせ、頭の片隅にある思いの一端をのぞかせたのだろう。その理由をリビー氏は安倍晋三首相のもつ指導力、対外的な戦略観、組織の掌握力などを次々に挙げた。
 首相による米議会演説後のウォールストリート・ジャーナル紙には、共和党大統領候補のルビオ上院議員が「強い日米同盟を必要とするアジア」とのテーマで寄稿し、安倍訪米の意義を描いた。首相の領有権に対する「法の支配」重視、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への取り組みを含め、「米国と目標を共有しており、全面的に支援すべきだ」と後押しする。韓国系の代理人である下院議員らが、慰安婦に言及しないことを「恥ずべきもの」と述べたが、限られた少数派にすぎない。
 日米関係が「不動の同盟」である限り、中国は対日姿勢を抑制せざるを得ず、韓国は孤立感から軌道修正を迫られる。そして東南アジアの国々は、傲慢な中国との均衡のために、強い日米同盟を歓迎した。
 今回の日米首脳会談が明示したのは、同盟が不断の変化を遂げており、日米分断を策しても無駄であるとの強力なメッセージであった。中国が日米同盟を「冷戦期の遺物」(洪磊外務省報道官)といったところで、部外者の希望的観測にすぎない。
 当のオバマ大統領は、歓迎式典で「同盟は時代に合った形で広げ、未来に照準を合わせる」と変化を強調し、安倍首相が「日米関係は不断に発展」と応じているからだ。その具体化が、合意した「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の再改定であり、日米安保条約の改定に匹敵するものなのだ。
 中国は習近平国家主席が米国に持ち掛けた「新型の大国関係」が、排除されたと感じているだろう。米国ではすでに、マケイン上院軍事委員長ら超党派有力議員が国務、国防長官あてに共同書簡を送り、中国の行動を阻止する戦略をとるよう持ち掛けた。権威ある外交問題評議会も最近、米軍の増強と同盟国との軍事協力を含む「対中大戦略」を構築するよう要請している。
 最近のオバマ政権は、中国との競争を隠さなくなってきた。中国主導のアジアインフラ投資銀行への不参加を同盟国によびかけ、TPPに関連して「国際経済のルールは中国に作らせてはならない」との意思を明確に表明している。
 では、韓国にあっては、日米共同声明が敵対国から不動の同盟へ転換表明したことをどう感じたか。感情的な対日批判を繰り返す韓国に、日米は「和解モデル」を突きつけたといえる。朴槿恵大統領は201554日の会議で「歴史問題に埋没せず」に、安全保障を切り離す現実路線で対応するとの立場を表明せざるを得なかった。
 日米同盟の分断が困難である以上、中国は今後、日米韓から韓国の切り離しをもくろむだろう。日米は逆に、韓国に対し米中双方によい顔をするバランス外交の放棄を迫る。力不足のバランス外交は、同盟を阻害するだけだからである。(東京特派員)

《維新嵐こう思う》
外交、安全保障では共産中国に警戒しつつ、外交、軍事の強化に強めている一方、経済的にはTPP構想のメリットをあげながら参加を呼びかける、というアメリカの二枚舌外交は十分信頼できるようなレベルではないが、確実にいえることは、アメリカのアジアでの安全保障戦略は、オバマ政権下で固まってきたといえる。
 安倍内閣の外交戦略とむかう目的は一緒であるから、紛争ではなく国際法規、多角的な国際抑止力で国益を守りましょう。

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