2016年1月13日水曜日

我が国の領空防衛と島嶼防衛のために ~Wing Spirit~

【防衛最前線・総集編】
空自の装備を一挙公開! F15、F35、PAC3、空中給油機


 航空自衛隊は、第二次大戦後にアメリカ軍の全面協力の下で生まれた軍種です。そのせいか海自や陸自と比べるとやや自由の雰囲気があるといわれています。
 日米戦争の前は、「アジアの超大国」大日本帝国の最新兵器として海軍、陸軍の航空隊配属機として運用されていたが、昭和20年のポツダム宣言受諾、降伏文書の調印式を経て、我が国が敗戦を受け入れた時から、アジアの超大国としての国際地位は低下してしまい、我が国は二等国になってしまいます。
 すなわち「国防線」といわれる国家の最終防衛ラインを破られ、自力では自国の独立が守れなくなってしまったのです。
 そこでアメリカ軍の我が国の都市空爆で悪名高かったカーチス・ルメイ少将らが加わって、アメリカ合衆国の太平洋を挟んで西側の国防線を守れるような「必要最小限」な航空戦力の整備からはじまったのが、航空自衛隊の出発となります。
 つまり戦後の我が国の空軍力は、日本列島と近海を守るという任務が与えられており、近年では、共産中国の南西諸島への侵攻に備えて、島嶼防衛も本来任務に加えられています。

航空自衛隊の主力戦闘機F15(空自愛知県小牧基地)

2016.1.13 07:00更新 http://www.sankei.com/premium/news/160113/prm1601130003-n1.html

「防衛最前線」で紹介した防衛装備を3回で振り返る。最終回は航空自衛隊。軍拡著しい中国を念頭に置いた航空優勢の確保や、北朝鮮の弾道ミサイル対応など空自に求められる役割は幅広い。

F15戦闘機

 日本領空に接近した軍用機と一触即発の危険にさらされる緊急発進(スクランブル)の中軸を担うのが、F15J戦闘機だ。同機が最新鋭機として配備されたのは昭和56年。戦闘機の世界ではベテランの域に入りつつあるが、今後も空の守りを担い続ける。息の長い選手生活の秘訣は「拡張性」の高さにある。
 空自関係者は「F15はもともと機体が大きく、設計に余裕がある。レーダーやミサイルなど新たな機能が追加できるので、何年たっても『古い戦闘機』にならない。コンパクトな機体のF2戦闘機と比べると、格段に拡張性が高い」と解説する。
 これまでに空自が調達したF15は200機以上。このうち約100機について、拡張性を生かした「近代化改修」が進められている。
 新レーダーAPG63V1は探知能力が向上した一方、故障も少なくなった。セントラル・コンピューターの演算処理速度も増し、多くの敵機を同時追跡することができる。短距離空対空ミサイルAAM5は発射角度がより幅広くなり、中距離型AAM4Bは搭載レーダーが敵機に誘導する。データリンク16も搭載し、空中警戒管制機AWACSなどから得られたデータを共有。ディスプレーで敵味方の位置情報を瞬時に把握することができる…。
 こうした一連の改修で“若返り”を果たした戦闘機は「F15J改」、「F15MJ」と呼ばれる。


F35戦闘機



 政府が次期主力戦闘機に選定した最新鋭ステルス戦闘機がF35だ。最大の特徴は、敵のレーダーに捕捉されにくい高度なステルス性だ。「ファースト・ルック、ファースト・アタック、ファースト・キル(最初に発見し、最初に攻撃し、最初に殺す)」を可能とするF35は第5世代戦闘機に分類される。
 政府は次期主力戦闘機としてメーカー提案があったF35、FA18E/F、ユーロファイターの3機種からF35を選んだ。防衛省内では「複数の機種の中から選定する場合は、メーカー同士がアンチ・キャンペーンを張る。大なり小なり批判があるのは当然の現象」という声もあるが、いまだに他の機種を選定するべきだったとの批判は収まっていない。
 政府がF35を42機調達することを決定したのは、民主党政権時代の平成23年12月だった。安倍首相は、24年12月の政権交代を機にF35導入を白紙に戻すことも可能だったが、日頃、民主党に批判的な首相も前政権の方針を踏襲した。
 むしろ、安倍首相は「わが国を防衛するためにはF35が絶対的に必要だ。この世代の戦闘機を持たなければ、残念ながら日本の国を守ることができない」と述べ、F35にかける期待を隠そうともしない。日本周辺では中国がJ20(殲20)、ロシアがT50など第5世代戦闘機の開発を急ピッチで進めており、3機種の中で唯一の第5世代機だったF35の導入は不可欠だ-という思いがにじむ。
 期待と批判。その2つを背負って飛ぶF35は、29年度に空自三沢基地(青森県三沢市)に配備される見通しだ。


地対空誘導弾パトリオット(PAC3)




 日本の弾道ミサイル防衛は「多層防衛」を基本としている。敵がミサイル発射射後、上層での迎撃は海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載した海上自衛隊のイージス艦が担う。そしてイージス艦が撃ち漏らしたミサイルを下層段階で迎撃するのが、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)だ。PAC3がミサイル迎撃に失敗すれば国土や国民への着弾被害が出る可能性が高まるため“防空最後の要”と位置づけられる。

 発射装置やミサイルのほか、レーダー装置、射撃管制装置、情報調整装置、無線中継車、電源車などで構成される。ミサイルの全長は約5メートル、直径約25センチ、重量約300キロ、速度は数マッハとされる。
 自衛隊にPAC3が配備されたのは平成19年。その前年に北朝鮮が日本海に向け7発の弾道ミサイルを発射するなど、北によるミサイルの脅威が急速に高まる中での導入だった。
 弾道ミサイルが飛来し、日本の国土などに被害が出る可能性がある場合、防衛相はミサイルの「破壊措置命令」を発令することができる。
 21年3月、北朝鮮が弾道ミサイルを発射する可能性が高まったことから、初めて防衛相による破壊措置命令が下された。
 24年3月と12月に北朝鮮当局から「地球観測衛星」打ち上げの事前通報が入った際も、それぞれ破壊措置命令が出された。イージス艦を日本海や東シナ海に配備するとともに、PAC3部隊を沖縄県や首都圏に展開した。
 その後も北朝鮮はミサイル発射をたびたび行っている。ただし、日本政府は「手の内を明かすことになる」として、近年は破壊措置命令の公表を控える方針をとっている。


空中給油機KC767

http://image.search.yahoo.co.jp/search?rkf=2&ei=UTF-8&p=KC767%E7%A9%BA%E4%B8%AD%E7%B5%A6%E6%B2%B9%E6%A9%9F#mode%3Ddetail%26index%3D0%26st%3D0より

 航空戦では戦闘機の滞空可能時間が長いほど戦局を有利に進めることができる。戦闘機の性能で差をつけるのには限界もあり、飛行中の戦闘機に燃料を供給する空中給油機の存在がモノをいう。
 空自は現在、空中給油機「KC767」を4機運用している。米ボーイング社の旅客機「767-200ER」をベースに開発され、機体後方に給油ブームなどの空中空輸システムを装備している。
 KC767を運用しているのは航空自衛隊とイタリア空軍のみ。空中給油機は他にも米空軍の「KC135」や「KC10」などがあるが、KC767は空中給油機として世界初の遠隔視認装置を採用。機体底部の5台のカメラを使い、操縦席後部に位置する操作卓で給油口から伸びる長さ約6メートルのパイプの位置を確認しながら、戦闘機への給油を行う。
 空中給油を受けることで、戦闘機の滞空時間は「数倍」(空自関係者)に伸びる。警戒空域に戦闘機を長時間待機させ、敵機への早期対処を行う「空中警戒待機」と呼ばれる作戦がとりやすくなるなど、防空能力が高まるとされる。KC767の存在により、戦闘機は燃料の残量に気を取られることなく、安心して任務にあたることができる。
 また滞空時間が長くなれば、戦闘機が母基地に帰還する回数も減る。基地から遠く離れた訓練空域での滞空時間も長くなり、効率的な飛行訓練を行うことが可能になった。基地周辺の騒音軽減や離着陸時の事故防止なども期待できる。


E767早期警戒管制機

http://image.search.yahoo.co.jp/search?p=E767%E6%97%A9%E6%9C%9F%E8%AD%A6%E6%88%92%E7%AE%A1%E5%88%B6%E6%A9%9F&aq=-1&oq=&ei=UTF-8#mode%3Ddetail%26index%3D5%26st%3D0より


 中国にとって巡航ミサイルは、米軍の展開を阻む接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略の「中核をなすもの」(海上自衛隊関係者)と位置付けられている。台湾や日本はおろか、米領グアム、オーストラリアのダーウィン、インド洋の英領ディエゴガルシアも射程に収めているとされ、米国防総省も警鐘を鳴らしている。
 巡航ミサイルは低空飛行するため、水平線の向こう側の捕捉能力に欠ける地上レーダーでは早期発見が難しい。このため、巡航ミサイル防衛で中心的な役割を担うのが、航空自衛隊のE767早期警戒管制機だ。「空中警戒管制機(Airborne Warning And Control System)」の頭文字を取り、「AWACS(エーワックス)」と呼ばれることが多い。
 敵の航空機や巡航ミサイルが日本の領空に近づいてくるのをいち早く察知する。高高度から約800キロの範囲を視野に収めることができ、約12時間の飛行で約7200キロを飛ぶ。
 より小回りがきくE2C早期警戒機と役割分担して早期警戒に当たるが、E2Cにない「管制」の能力も備えている。E2CやOP3C画像情報収集機のデータを集約し、敵機を迎え撃つ戦闘機に敵の位置や進行方向を伝える中継局の役割も担う。E767が「空飛ぶ司令塔」呼ばれるのはこのためだ。
 全長49メートル、全幅48メートルの大きな機体を生かし、多種多様な電子機器を積み込むことができる。韓国軍やオーストラリア軍も導入を検討したが、1機で約550億円するコストがネックとなり見送られた。米軍ですら保有しておらず、世界で空自だけ4機を運用している。E767はE2Cとともに外国軍機の“第一発見者”となるべく、再び騒がしくなった日本周辺の空に目を光らせている。(政治部 石鍋圭)

航空自衛隊

奥尻島レーダーサイト

航空自衛隊での離島防衛

スクランブル





 

0 件のコメント:

コメントを投稿