2016年1月17日日曜日

南沙諸島の覇権領有からみる共産中国の海洋戦略

中国が人工島に建設した滑走路、爆撃機も使用可能に
いよいよ南沙諸島の完全支配へ大手
北村 淳
ファイアリークロス礁に着陸した民間機と同型のイージージェット エアバスA319(出所:Wikimedia Commons

今年(2016年)の正月早々、12日、中国は南沙諸島(スプラトリー諸島)のファイアリークロス礁(永暑礁)に建設していた滑走路に“民間機”を着陸させるテストフライトを行った。それに引き続いて6日には、海南島の海口美蘭国際空港を飛び立った民間旅客機(中国政府借り上げ)2機がおよそ2時間後にファイアリークロス礁滑走路に着陸した。6日のフライトの模様は多数の写真で公開された。
 中国当局によると、2日に実施した民間機着陸は、建設を完了した滑走路の強度などをテストするための文字通りのテストフライトであったという。そして6日のフライトは、地上管制塔と交信しながら旅客機が飛行場に着陸したものであり、テストフライトとは性格が違うものであるとコメントしている。要するに、フィアリークロス滑走路の運用は実質的に開始されたということなのであろう。

ソフトイメージ演出のため、ファイアリークロス礁でポーズをとる“女性兵士”たち

あっという間に誕生した人工島航空拠点
中国が南沙諸島に人工島の建設を開始したのが確認されたのは2014年初頭であった。そして本コラム(「着々と進む人工島の建設、いよいよ南シナ海を手に入れる中国2014626日)でも取り上げたように、その当時の情報ではファイアリークロス礁を埋め立てて人工島を建設する計画が確認されたといった段階であった。
 それが1年と経たないうちに、7つもの環礁で人工島建設や埋め立て作業が進展しているだけでなく、ファイアリークロス礁には3000メートル級と思われる滑走路の建設が開始されている状況が確認された(本コラム「もうどの国にも止められない中国の人工島建設2015423日)。そして2015年秋には、ファイアリークロス礁、スービ礁、ミスチーフ礁にそれぞれ3000メートル級滑走路が出現しつつある状況に立ち至った(本コラム「人工島に軍用滑走路出現、南シナ海が中国の手中に2015924日)。

南沙諸島における滑走路設置状況

このようにファイアリークロス礁を人工島に改造して軍事拠点を建設する計画が明らかになってからわずか2年も経たないうちに、3000メートル級滑走路が運用可能な状態へと進展してしまったのである。本コラムで繰り返し取り上げてきたように、南沙諸島では、中国が急造した少なくとも7カ所の人工島による人民解放軍基地群が機能し始めることが確実になったといえよう。
爆撃機の拠点を確保した中国軍
米海軍の航空専門家たちによると、ファイアリークロス礁の滑走路に旅客機が問題なく着陸したことにより、戦闘機はもちろんのこと爆撃機の運用も保証されたということである。


ファイアリークロス滑走路に着陸したエアバスA-319の重量は16万ポンドで、必要な滑走路は7100フィート。ボーイングB737-300/400型の重量は15万ポンドでA-319と同じ滑走路が必要となる。そしてボーイングB737-700/800型の重量は18万ポンドで9800フィートの滑走路が必要である。
 それに対して、アメリカ軍にとって最も関心がある中国人民解放軍の轟炸6型(H-6)爆撃機の重量はおよそ17万ポンドで、必要な滑走路の長さは9000フィート以下である。そして2本の主脚にはそれぞれ4輪のタイヤが装着されている。

中国人民解放軍の轟炸6K型爆撃機

 したがって、ファイアリークロス礁滑走路に降り立った民間旅客機の機体重量などの条件を考えると、10252フィート(3125メートル)の長さがあり、A-319B-737が問題なく着陸・離陸したファイアリークロス礁滑走路をH-6爆撃機が使用することには、全く支障がないことになる。つまり中国は、戦闘機や偵察機や小型輸送機だけでなく爆撃機や大型輸送機それに大型旅客機までもが発着可能な航空拠点(軍事拠点)を南沙諸島に確保したのである。
 爆撃機の運用拠点を南沙諸島に確保したことによって、中国人民解放軍は南シナ海全域のみならずオーストラリア北西沿岸までを攻撃可能圏内に収めることになった。このため、日本に原油や天然ガスを送り込む各種タンカーが航行する南シナ海を縦貫する「シーレーン」はもとより、南シナ海での脅威を避けて西太平洋に回り込む「迂回航路」も、中国軍爆撃機や戦闘攻撃機の脅威にさらされることが確実になってしまったのだ。

脅威にさらされる迂回航路

一気にライバルに差をつけた3000メートル級滑走路
3000メートル級滑走路を備えたファイアリークロス礁人工島が完成するまで、中国当局は「南シナ海の大部分(九段線で囲まれた海域)は中国の海洋国土である」と主張していたものの、航空施設は保有していなかった
一方、中国とともに南沙諸島の領有権を主張しているベトナム、フィリピン、マレーシアそして台湾は、それぞれ南沙諸島に小規模ながらも航空施設を保有してきていた。そのため、南沙諸島をめぐる領有権紛争において、中国は陸上航空施設を保有していないというマイナス要因を抱えていたのである。
 南沙諸島におけるベトナムのスプラトリー島滑走路は550メートル、台湾の太平島滑走路は1200メートル(台湾軍C-130輸送機が使用)、フィリピンのパグアサ島滑走路は1300メートル(未舗装)、マレーシアのスワロー礁滑走路は1367メートル(中強度舗装)と、いずれも比較的短い滑走路である。それらに対して、一気に3000メートル級滑走路を誕生させた中国は、航空施設の面でも完全に優位に立った。
 そして、ファイアリークロス礁に加えてスービ礁とミスチーフ礁にも3000メートル級滑走路が誕生し、その他の4つの人工島にも小型の滑走路あるいはヘリポートが姿を現す日が近い。
 滑走路の数や長さだけでなく、中国航空戦力に対して、ベトナムやマレーシアの航空戦力は質量ともに圧倒的に劣勢である。ようやく旧式戦闘機を入手する運びとなったフィリピンに至っては、中国から見れば航空戦力はゼロに近い。台湾軍は、太平島にC-130輸送機を送り込んでおり、戦闘機を展開させる事も理論的には可能であるが、中国海軍や空軍が目を光らせる南シナ海の真っ只中の1500キロメートル以上も離れた孤島に少数の戦闘機を配置しても戦略的価値が見出せない。まして、直近の数カ所の環礁に、中国軍が3つも3000メートル級滑走路を手にしてしまったならば、これらの国々が軍事的に中国に対抗することは不可能となってしまうのである。
名実ともに南沙諸島を支配する中国
中国は滑走路をはじめとする航空施設だけではなく、ファイアリークロス礁やサウスジョンソン礁などに大型軍艦の着艦が可能な港湾施設の建設も進めている。また、ミスチーフ礁には潜水艦基地の建設が始められたという情報も伝えられている。
 このように、中国人民解放軍の航空戦力や海軍戦力が拠点として使用可能な南沙諸島基地群が近い将来に現実のものとなることは確実である。その暁には、周辺諸国がどのような論理に依って立って中国による南シナ海支配に対抗しようとも、アメリカや日本が異を唱えようとも、南沙諸島周辺海域、そして南シナ海の大半の海域は中国の軍事的コントロール下に置かれることになってしまうのだ。
【緊迫・南シナ海】新滑走路が完成間近、中国が工事加速・米研究所が衛星写真を公表
2016.1.16 13:29更新 http://www.sankei.com/world/news/160116/wor1601160043-n1.html

米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は2016115日、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島で中国が造成する人工島を撮影した最新の衛星写真を公表し、ミスチーフ(美済)礁とスービ(渚碧)礁で滑走路の完成が間近に迫っていると指摘した。
 中国はすでにファイアリクロス(永暑)礁の滑走路で試験飛行を実施している。ファイアリクロス礁の滑走路は整地作業開始から完成まで少なくとも7カ月を要したのに対し、ミスチーフ礁は3~4カ月で完成に近づいており、CSISは中国が工事を急いでいると分析した。
 ミスチーフ礁には滑走路のほか、防潮壁や桟橋も確認された。スービ礁では高さ約30メートルの塔のような構造物も建設されているという。

維新嵐滑走路、港湾施設(防潮壁、桟橋)により、経済拠点とは違うことは明らかでしょう。少なくとも爆撃機とその護衛の戦闘機、大型の輸送艦や潜水艦の配備が可能であるように建設が進められていたとしたら納得はできますが、外れてほしい予測です。

武力衝突危機高める中国“曖昧戦略”
岡崎研究所
20160115日(Fri)  http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5838

デンマーク王立国防大学校准教授のオドガードが、2015年1210日付ニューヨークタイムズ紙掲載の論説にて、南シナ海での主張の法的説明を曖昧にしながら武力行使を公言する中国の政策は非常に危険である、と中国を批判しています。
南シナ海で中国により建設が進む人工島(Getty Images
曖昧な主張が状況を一層危うくする
 すなわち、南シナ海緊張の最大の要因は中国の硬軟両様戦略にある。中国は意図的に領有権主張を避けるが、他方で、厳密に定義されていない領有権の主張を守るために武力の行使にコミットしている。
 中国は過去数十年、南シナ海の約8割をカバーする九段線の地図を公布している。習近平は117日に「南シナ海の島々は古代から中国の領土だった。領土と正当な海洋の権利・権益を守ることは中国政府の義務である」と述べた。
 1027日の米イージス艦ラッセンのスビ礁の12海里内航行に関する対米抗議に当たり中国は曖昧な言葉しか使用しなかった。中国国防省は領海、排他的経済水域を侵犯したとは言わず、「中国の主権と安全保障権益に脅威を与え、地域の平和と安定を危うくした」と述べた。人工島を建設したスビ礁に対して領有権を主張することは避け、スビ礁の周辺海域について中国が権限を持っているかどうかについても言及を避けた。
 自らの主張を明確に定義しないでそれを守るために武力を行使するという中国の意図的な曖昧さは、状況を一層危険なものにする。本年の国防白書は、周辺国が中国の環礁や島嶼に軍事的プレゼンスを強める場合、軍事力を使用する旨述べている。或る退役軍人は、中国軍は戦争の準備ができていると述べている。
 インドネシア、ベトナム、タイ、ミャンマー、マレーシア、シンガポールなど東南アジア諸国はヘッジ政策で対応している。対中経済関係の緊密化により中国の影響力を受け入れ、他方で、米との防衛協力の強化を図っている。米中のどちらにも味方しないように見られることが優先事項になっている。
 中国は米の同盟システムに対抗するため他国の艦艇や航空機の自由な航行に介入したいと考えている。中国による国際海域への規制は許さないことを示す必要がある。中国が緊張を和らげたいのであれば、米国が今後もアジアの一部であることを受け入れ、緊張を高める現状変更はしないことが必要である、と論じています。
出典:Liselotte Odgaard,Chinas Dangerous Ambiguity in the South China Sea’(New York Times, December 10, 2015
http://www.nytimes.com/2015/12/11/opinion/chinas-dangerous-ambiguity.html?partner=rssnyt&emc=rss&_r=0
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http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5838?page=2

中国が曖昧戦略を採る理由
 中国の曖昧戦略の問題点を突く論評です。経済利益のために対中関係を強める欧州において、中国の動きを批判的に観察、分析している学者がいることは良いことです。
 国際政治、軍事政策の中で曖昧政策は一つの重要な手段となりますが、それは必然的に誤算などのリスクを生み出すことにもなります。それを防ぐためには、戦略対話や、時に応じて相手国の出方を試すことも必要になります。筆者が、中国が南シナ海についての法的考えを曖昧にしたまま、武力の行使も厭わないとしていることは非常に危険だとするのは、理解できる議論です。中国が意図的に法的議論の曖昧化に転じているとの分析は10月頃から言われています。
 何故中国は法的説明を曖昧にしようとしているのか、敢えて推測すれば、第一に、九段線(国際法上受け入れられるものではない)や今まで中国が採ってきた措置、海洋法の規定などを理路整然と中国に有利なように説明するのは難しいことが分かってきたのではないでしょうか。法的議論は極めて複雑であり中国はそれに勝てないことが分かってきた可能性があります。第二に、法律論は曖昧にして問題を政治問題にしておくほうが有利だと判断したのではないかとも思われます。政治問題であれば勝ち負けははっきりしないですし、二国間の外交交渉に持ち込むこともできます。第三に、時間を稼ぐことが出来れば南シナ海で既成事実を固めることも出来ると判断した可能性があります。
 「東南アジア諸国は経済で中国の影響力を受け入れ、防衛では対米関係強化を図っている(ヘッジ政策)」との筆者の説明は的を射ています。しかし、その間に中国の影響力は忍び寄っており、中国の主張が既成事実化していくことに注意しなければなりません。
 南シナ海の問題についてのオバマ政権の認識は当初甘いものだったと言わざるを得ません。しかし、関係国の働きかけや9月の米中首脳会談の不調によりオバマがラッセン派遣を決断したのは意味があります。ただ、航行の自由作戦は継続することが宣言されていますが、やはりオバマ政権が積極的であるようには見えません。
 関係国は引き続き協力を強めコアリッション(連合)を維持していくことが重要です。11月の東アジア首脳会議で各国首脳がこの問題につき発言し、大きな議論になり共同声明にも反映されたことは成功でした。日本も良い役割を果たしたと言われています。中国にも一定のインパクトを与えたものと思われます。
《維新嵐》こう思う

片手で握手を求めながら、もう一方の手で剣に手をかけている、まさに「口に蜜あり、腹に剣あり」の共産中国の戦略性が際立っているのが、海洋への覇権拡大戦略であろうと思います。
北村論文をはじめ関係記事、論文を読めば一目瞭然。
共産中国が、南沙諸島を海洋覇権の前進拠点として、海軍や空軍のための「要塞化」を進めていることはまちがいないです。ここに人民解放軍の拠点を作られると、既存の権益、権利を侵される国が多すぎます。南沙諸島の周辺国、利害を共有する各国がしっかり連携して、共産中国に「圧力」をかけていかないといずれすべて根こそぎもっていかれることは目に見えています。
南シナ海や東シナ海は、漢人だけの海ではありません。
今だからこそ経済連携、軍事連携を強くつなげていく外交戦略が不可欠なのです。

アメリカは既に次の動きをみせています。

J.C.ステニス空母打撃群、西太平洋へ向け出港

配信日:2016/01/15 22:25
http://flyteam.jp/airline/united-states-navy/news/article/58817
USS J.C.ステニスとUSS W.P.ローレンス()USSチャン・フー()


アメリカ海軍は、2016115日、空母USSジョン.C.ステニス(CVN-74)が、西太平洋地域へのパトロール航海のため、ワシントン州ブレマートンを予定通り出港すると発表しました。

ステニスは、第9空母航空団(CVW-9)を搭載し、イージス巡洋艦USSモービル・ベイ(CG-53)とイージス駆逐艦USSストックデール(DDG-106)USSウィリアムP.ローレンス(DDG-110)USSチャン・フー(DDG-93)を率いる空母打撃群(JCS CSG)の旗艦として行動します。

また、JCS CSGは、海軍が進めるプロジェクト「グレート・グリーン・フリート」の中心でもあり、今回の航海で代替燃料の使用やエネルギーの効率化に取り組みます。

ステニスの前回の展開は、20128月から20135末までの予定外の航海で、その後201411月までブレマートンのピュージェットサウンド海軍工廠にドック入りして予定された改修工事を受けていました。

CVW-9
所属飛行隊
41戦闘攻撃飛行隊(VFA-41)ブラックエイセス F/A-18F
14戦闘攻撃飛行隊(VFA-14)トップハッターズ F/A-18E
151戦闘攻撃飛行隊(VFA-151)ビジランティーズ F/A-18E
97戦闘攻撃飛行隊(VFA-97)ウォーホークス F/A-18E
25戦闘攻撃飛行隊(VFA-25)フィスト・オブ・ザ・フリート F/A-18E
133電子攻撃飛行隊(VAQ-133)ウイザーズ EA-18G
112早期警戒飛行隊(VAW-112)ゴールデンホークス E-2C
71海上攻撃ヘリコプター飛行隊(HSM-71)ラプターズ MH-60R
14海上戦闘ヘリコプター飛行隊(HSC-14)チャージャーズ MH-60S
30艦隊補給支援飛行隊第4分遣隊(VRC-30 Det.4)プロバイダーズ
C-2



南沙諸島は共産中国の昔からの領土というけれど・・・。

中国強弁の「南沙諸島」は日本の領土だっ

た・終戦まで実効支配

論説委員・榊原智

2016.1.26 12:05更新 http://www.sankei.com/politics/news/160126/plt1601260020-n1.html

 南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島が、元は日本の領土だったことをご存じですか。南シナ海問題をめぐる背景知識の一つとして紹介したいと思います。

 中国は今、南沙諸島で、国際法(国連海洋法条約)に照らして領土にはできない暗礁を勝手に埋め立てて「人工島」を造り、滑走路を造るなど軍事基地化を進め、領土であると強弁しています。
 南沙諸島の領有権を中国と争っているフィリピン、ベトナムといった沿岸国はもとより、日本や米国など多くの国々が中国を批判しています。しかし、中国は今年1月に入って、人工島の一つ、ファイアリークロス礁に造った滑走路で航空機を離着陸させました。中国の傍若無人な振る舞いは、今年も国際社会を悩ませそうです。


1952(昭和27)年4月発効のサンフランシスコ平和条約第2条のf項にこうあります。
 「日本国は、新南群島及び西沙群島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」
 ここでいう新南群島が南沙諸島を指すのです。
 新南群島は、1918(大正7)年に海軍中佐の小倉卯之助という探検家が発見し、島の一つに標柱を立てています。いわば南方領土の発見です。ちなみに小倉が探検に使った帆船は、明治時代に千島探検で名を馳(は)せた元海軍大尉、郡司成忠の所有でした。郡司は作家、幸田露伴の実兄です。
 その後、ラサ島燐礦(りんこう)会社(現・ラサ工業)という日本の会社が、大正期から1929(昭和4)年にかけて、新南群島で肥料の原料となるリン資源グアノの採掘をしていました。最盛期には140人ほどの日本人が働いていました。
 また、日本統治下にあった台湾の高雄を根拠とする漁業者が、マグロ漁の中継点にしたり、貝の採取をしたりしていました。


ラサ島燐礦会社は、政府に領土編入を陳情しましたが、外務省がぼやぼやしていたのか領有宣言をしていなかったのです。
 すると1933(昭和8)年になって、インドシナ(今のベトナムなど)を支配していたフランス(仏印当局)が、新南群島のうち9つの島の領有を宣言しました。これに日本と中華民国が抗議しています。
 大阪毎日、東京日日の両新聞社(現毎日新聞社)はこのとき、新南群島へ探検隊を派遣し、日本の領土だと大々的に報じています。
 結局、1939(昭和14)年に平沼騏一郎内閣が日本の領有を宣言し、台湾の高雄市に組み込みました。日本の主張は正当であり、1945(昭和20)年の敗戦まで日本は実効支配をしています。
 日本の敗戦で再びフランスが占領しましたが、同国がベトナムから引き揚げたことに伴って1950年代には空白の地となり、領有権争いの対象になったのです。


中国(中華人民共和国)が今、領有権を主張しているのは、中華民国の立場を踏襲したからなのですが、戦前に中華民国や清朝が南沙諸島を領有していた事実はありませんでした。
 また、日本が、台湾の行政区画に属させたことから、南沙諸島は台湾のもの、中国のものと主張することも成り立ちません。
 日本は、台湾に付属する島々だから高雄市に編入したのではないからです。台湾とは別に日本人が発見し、日本の会社が利用していたことから領土とし、たまたま地理的に近い台湾・高雄市の行政区画に入れただけだったのです。
 日本が領有権を主張することはもはやできませんが、南沙諸島は、日本と無縁の島々ではないのです。

 もし、日本の領土のままであれば、今、南シナ海で中国の横暴がまかり通るようなことはなかったでしょう。

※どうも今日では、南沙諸島の領有権は、台湾にありそうですな。戦前戦中は、大日本帝国ですか。共産中国に領有権を主張する権利はないですな。

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