【防衛最前線・総集編】海自の装備を一挙公開!
2016.1.6 07:00更新 http://www.sankei.com/politics/news/160106/plt1601060001-n1.html
《維新嵐こう思う》
昭和18年のマリアナ沖海戦の時にわが国海軍としては、初めて空母である大鳳が旗艦となり、Z旗が翻りました。
絶対国防圏防衛を主眼とするこの海戦は、我が国のさんざんな敗北に終わり、これ以後わが国海軍が組織としてアメリカ艦隊に対抗することは不可能になってしまいました。
あの屈辱の敗北から70年余りがたち、ヘリコプター専用の空母とはいえ、旗艦となるべき司令部機能を併設された新型護衛艦「いずも」と「かが」が竣工しました。これ以前に配備されているやはりヘリ空母とでもいうべき全通甲板をもつ「ひゅうが」と「いせ」を加えると、我が国は4隻の空母を基幹とする海軍力が整備されることになったわけです。
第二次大戦までの時代背景のように、戦艦同士の派手な打ち合いで勝負が決する時代ではありませんが、日米戦争後アジアの覇者として君臨するアメリカ第七艦隊に優位性を確保すべく、原子力潜水艦を大量に配備する人民解放軍の「覇権主義」は、我が国とその近海防衛にも避けて通れない負の脅威になりつつあります。
これらに対し戦略的地勢を最大限活用して海軍戦力としての優位性を担保することを目標として、アメリカ第七艦隊に対抗する人民解放軍の潜水艦部隊、水上部隊の作戦目的を挫くために、顕在的な脅威感を与え続けるための、艦隊海軍力の創設と効果的な配備は、我が国防衛のためには欠かせない、歴史的な悲願であるといっていいでしょう。
海洋国家である日本には、国防上「強力な」海軍と「機動的な」海兵隊が不可欠です。これからもこうした点をふまえて国の政治がさまざまなしがらみに左右されて国防の基本的観点を外さないように草の根の庶民レベルの視点で防衛力の整備をみていきましょう。
そしていつの日か「自衛隊」ではなく、日本国の「国防軍」として海軍力を運用できるように一人一人の軍事、防衛リテラシーの向上に努めていきましょう。
強力な海軍力と機動的な海兵隊は、海洋国家の「生きる力」なのです。
そしていつの日か「自衛隊」ではなく、日本国の「国防軍」として海軍力を運用できるように一人一人の軍事、防衛リテラシーの向上に努めていきましょう。
強力な海軍力と機動的な海兵隊は、海洋国家の「生きる力」なのです。
これまで「防衛最前線」で紹介した装備を3回で振り返る。2回目は、中国や北朝鮮の脅威と直接対峙する機会が多い海上自衛隊に焦点を当てる。
護衛艦いずも
平成27年3月、海上自衛隊の護衛艦「いずも」が就役した。中国各紙は「準空母」と呼び、日本の「右傾化」を証明するものだと難じた。中国国防省も「日本は歴史から学び、自衛政策を守り、平和発展の道を歩むとの約束に従うべきだ」と批判した。
これに対し、日本政府は、いずもが空母であることを否定している。攻撃型空母とは、敵を攻撃する戦闘機を搭載する能力を有していなければならないが、いずもはF35など垂直発着可能な戦闘機を艦載できる設計にはなっていない。
とはいえ、いずもはヘリコプター5機が同時に離着陸できる巨大甲板を有する海自最大の艦船。さまざまな場面で活躍が期待されている。
同じヘリ搭載型護衛艦は「ひゅうが」と「いせ」が就航しているが、乗員以外の収容可能人数はひゅうが型が約100人であるのに対し、いずもは約450人。日本国内で大規模災害が発生した際は避難所として機能し、緊急時の在外邦人輸送にも役立つ。
他の護衛艦やイージス艦とともに編成される護衛隊群の中枢艦となるいずもは、最新鋭のC4Iシステムで優秀な“司令塔”となる。大量の陸上自衛官を輸送することもでき、水陸両用作戦など陸海空自衛隊が連携する統合任務の中核を担うことも可能だ。
P3C哨戒機
P3C哨戒機は、かつて「対潜哨戒機」と呼ばれたように、日本周辺海域を航行する潜水艦の警戒・監視が主要な任務だ。
捜索用レーダー、熱源を探知する赤外線暗視装置、鉄の塊である潜水艦が航行することで生じる磁場の乱れをつかむ磁気探知機(MAD)、敵が発する電波を手がかりに位置を特定する電波探知装置(ESM)、そして海中に投下し潜水艦のスクリュー音をとらえる音響探知機(ソノブイ)。ハイテク機器を駆使して敵潜水艦を追い詰めるP3Cだが、海自関係者は「最後は人間の目がものを言う」と口をそろえる。
訓練では海自の潜水艦が“敵”としてP3C部隊と攻防戦を繰り広げる。海自の潜水艦乗組員は「日本のP3C部隊は世界一いやらしい部隊だ。米国の部隊と比べても、逃げるのが難しい」と明かす。P3Cパイロットは「一度発見した潜水艦を見失うなんてことがあれば、恥ずかしくて基地に帰れなくなる」と語る。
P3C部隊は2人のパイロットのほか、警戒・監視に必要な情報を集約して指示を出す戦術航空士(TACCO)、音響やレーダーなどを分析する対潜員ら11人で構成される。このチームワークで敵潜水艦を捜索し、追い詰め、有事となれば攻撃する。
海自はP3Cの後継機として最新鋭国産哨戒機P1の導入を進めているが、約70機の入れ替えが完了するまでは四方の海に目を光らせ、耳を澄まして敵の動向を探ることになる。
潜水艦けんりゅう
その巨体は、まさに「鉄の鯨」に見えた。海自の最新鋭潜水艦「そうりゅう」型の4番艦「けんりゅう」だ。海自は26年10月30日、広島県呉市の海自呉基地で、記者団に艦内を公開した。
乗艦直前、海自関係者が記者団のカメラを回収していく。潜水艦は「機密の宝庫」とも呼ばれる。特にそうりゅう型は、原子力を使わない通常動力型では世界最大で、日本の先端技術が結集されているため、厳戒態勢が敷かれている。
艦内に入ると、通路も部屋も狭く感じる。魚雷の横には、ところせましとベッドが置かれていた。潜水艦はこんなものかと思ったが、そうりゅう型は特別に狭い。
その原因はディーゼルエンジンに加え、スターリングエンジンを搭載しているからだ。このスターリングエンジンこそ、そうりゅう型の特色だ。吸気筒を水上に出して大気中から酸素を取り込む必要がなく、第3国の哨戒機や水上艦艇から見つりにくい非大気依存推進(AIP)機関なのだ。低速航行であれば、長時間潜っていられる「水中持続力」が格段に向上した。爆発を伴わないため、静粛性にも優れている。
海自関係者は「潜水艦の最大の強みは隠密性だ。いるかどうか分からないところから、いきなり魚雷攻撃を仕掛けられる。潜水艦1隻で空母を沈めることもできる」と語る。
隠密性を確保しているのは、スターリングエンジンだけではない。船体全面には、敵の音波探知機(ソナー)の音波を吸収したり、反射したりするゴムタイルを装備している。潜望鏡を水面から出す時間を短縮するため、一瞬でデジタル画像を録画し、後でゆっくり再生・確認することも可能だ。
艦内のいたるところでは、スピーカーやパイプなどあらゆる機器の振動を抑えるためにゴムが備え付けられている。テレビもヘッドホンで見るなど、敵に音を聞き取られずに隠れることを徹底している。
これだけ隠密性を課されれば、潜水艦乗組員はさぞかし“お堅い”人物が多いかと思いきや、そうでもない。海自内で潜水艦乗りといえば、総じて性格が明るく、豪快な人というイメージで語られることが多い。
それもそのはず。潜水艦乗組員に選ばれるのは、心理適性検査(CAS)などでストレス耐性が強いと判定された自衛官ばかりなのだ。海自幹部は「潜水艦勤務は密閉された空間で何カ月も過ごさなければならない。ストレスに強い人間でなければ務まらない」と明かす。
イージス艦
政府は、30年度までに海自のイージス艦を現在の6隻態勢から8隻態勢へ増強する方針を掲げている。海自関係者は「この2隻分の差が大きな変化をもたらす」と説明する。
日本の主要都市を弾道ミサイルから守るためには、最低でもイージス艦2隻が必要だが、イージス艦は4年に1度、半年間の定期検査を受けなければならない。8隻態勢になることで「常に最高の状態でイージス艦2隻が任務に就ける」(海自関係者)というわけだ。
海自のイージス艦は、米国が開発した防空システム「イージス・システム」を搭載した護衛艦。同時に多数の対空目標を捕らえるフェーズドアレイ・レーダーを搭載し、十数個の敵に向けてミサイルを発射できる。北朝鮮が弾道ミサイルを発射した場合はイージス艦の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)が大気圏外で迎撃し、撃ち漏らせば地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が着弾直前に迎撃する。
新たに調達されるイージス艦は共同交戦能力(CEC)を搭載し、さらに進化する。これまでのイージス艦は、味方の艦艇が捕捉した敵の情報を受け取っても、改めて自分のレーダーで敵を捕捉し直さなければ攻撃できなかった。ところが、新システムでは僚艦の敵情報を受け取れば、そのデータを基にして即座に攻撃できる。
掃海艦あわじ
海自の新型掃海艦の命名・進水式が10月に開かれ、「あわじ」と名付けられた。平成29年3月に就役する。
海自の掃海艦艇の大半が木造なのに対し、あわじの船体には繊維強化プラスチック(FRP)が採用された。機雷の除去を任務とする掃海艦艇には、護衛艦のような鋼材は使用できない。感応機雷の出現以降、触雷を避けるために船質に非磁性を求められるようになったためだ。
これまでは木造が主流だったが、海水による腐食が進みやすく、船体の寿命が15年程度と短い。FRPを使用することで海水に強くなり、耐久性や強度も増し、寿命は倍の30年近くに延びるとされる。
すでに諸外国の海軍ではFRPの採用が進んでいるが、海自では中型掃海艇の「えのしま」型の2隻にとどまっていた。あわじは全長67メートル、基準排水量690トンを誇り、「えのしま」型から約120トン大型化。海自における最大のFRP製の掃海艦となった。
海自の機雷掃海能力は、現在でも世界屈指のレベルにあるといわれる。湾岸戦争終結後、過酷な条件下で成功させたペルシャ湾での掃海作業は各国の海軍から称賛された。最新鋭の掃海能力を持つあわじが新たに加わることで、その地位はさらに盤石になることが期待される。(政治部 石鍋圭)
《維新嵐こう思う》
この他にも海自護衛艦に搭載される対潜哨戒・攻撃ヘリSH60Jが改良されたり、輸送艦おおすみ型が、「島嶼防衛」のために改良されて実質的な「強襲揚陸艦」となったことにより、陸上装備の上陸への利便性が向上しています。
水陸両用作戦という島嶼防衛のための装備運用、ドクトリンの開発については未だ不十分な点がありますが、事なかれ主義と利権確保のために軍事を見る目が曇ってしまった政治家の思惑に関わりなく、軍事防衛のエキスパートとしての自衛官によって開発、整備が進められることを願っています。
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