憲法改正では、まず自衛隊の明記を
大阪大教授・坂元一哉 (大阪大教授・さかもと かずや)
2016.1.25 14:20更新 http://www.sankei.com/premium/news/160125/prm1601250011-n1.html
明治憲法(大日本帝国憲法)が改正されてから、今年で70年になる。
この憲法改正は、日本の政治の仕組みに大きな変化をもたらした。貴族院を廃止して、国会議員はすべて国民が選ぶ。首相は、国会議員が国会議員のなかから選ぶ。それまで憲法外にあった内閣制度に関する規定を憲法内に書き込んで強化する、といった変化である。憲法学者のなかには、この改正を「革命」の結果という人もいた。
だが「革命」はいい過ぎだろう。改正は、明治以来の議会制度を大きく改良したが、議会制度そのものを生み出したわけではない。また明治憲法も、改正された憲法(日本国憲法)も、第一条以下の条文でまず、天皇を国家制度の中核に位置づけている。実際、当時の政府が憲法改正において何より配慮したのは、改正が、そこを変えるような「革命」になるのを防ぐことだった。
この点、憲法改正に取り組んだ幣原喜重郎首相が、枢密院で行った説明は興味深い。天皇の地位は従来、「世襲ノ御威光(ごいこう)」によるものだった。だが改正憲法では、その地位(日本国と日本国民統合の象徴)は、国民の「至高ノ総意」にも基づく。これにより「皇位ノ淵源」は「一層深ク其ノ基礎ハ一層確(かた)イコトトナツタ」。つまり「国体」は守られるだけでなく、よりよく守られるという説明である。
あらためていうまでもなく、明治憲法の改正は、連合国の占領下、日本国民に主権がないなかで行われた。草案はGHQ(連合国軍総司令部)の部員たちが、わずか9日間で起草したものである。そうしたことから、この改正の正当性には、常に疑問がつきまとってきた。
ただこの改正が、未曽有の敗戦にともなう国内政治の混乱のなかで、天皇を守り、「革命」を防ぐとともに、議会制度を改良して、戦後民主政治の法的基盤を固める改正になったことは疑いようがない。
そのことの確認は、現行憲法の改正論議にも、小さくない意義があるだろう。憲法改正については最近、時代の変化と必要に応じた改正、たとえば緊急事態や環境問題への対応、あるいは地方分権を促進するための改正を説く声が聞かれる。
だが私は、現行憲法の改正は、そうした改正の前にまず、70年前の憲法改正における最大の欠陥として、長く国民的議論がなされてきたものに関する改正から始めるべきだと考える。すなわち憲法に、国家と国民の安全を守る実力組織の規定がない、という欠陥である。
幸いいま国民の間には、そうした実力組織である自衛隊は合憲との明確なコンセンサスがある。そうであれば、憲法のなかに自衛隊の存在を新しく書き込むような改正は、そう難しいことではないだろう。
憲法に自衛隊が明記されれば、国家安全保障の法的基盤は確実に強化される。だが同時にそれは、明治憲法改正の一大欠陥を修正する、という意味で、現行憲法の正当性を高めることにも役立つと思う。
《維新嵐これだけはいいたいです!》
現行憲法に明記すべき「国家、国民の安全を守る実力組織の規定」とは自衛隊ではない。というより今の我が国はもう自衛隊シンドロームから脱却すべきである。
自衛隊は、戦後我が国を占領統治したアメリカにより否定された軍事力が朝鮮戦争において、必要性があらためて認識され、日本列島周辺を守るべき必要最低限の軍事力が整備されるに至った、いわばアメリカのご都合によって編成された巨大な「警察組織」であるといえる。
つまりその目的は、独立国であればあたりまえの論理である「国家の主権と独立を守る」ための「国防組織」という前提がないのである。
あるのは、アメリカ合衆国の西側、国防線を守るためのアメリカ軍の一部隊ともいうべき「暴力装置」であるといえる。
日本列島を主戦場にしてでも「本土決戦」を行ってアメリカ合衆国を守る、つまり本来の創立背景からみれば、自衛隊とはアメリカ軍のための「暴力装置」であって我が国の国民国家を守る存在ではないのである。
日本国の主権と独立を守るための軍隊であるならば、まず前提として本土を戦場に想定するような防衛戦略などとるはずがない。陸上自衛隊が北海道で戦車戦を繰り広げれば、必ず国民に犠牲がでる、国民の尊い生命が亡くなることを前提にした防衛計画など、本来独立国の防衛戦略といえるだろうか?
憲法に明記されるべき国家国民を守るべき実力組織とは、本来アメリカ軍の傘下部隊として創立した自衛隊であってはならない。
本当に我が国が独立国として自立した存在であるなら、「自衛隊」表記ではなく、やはり「国防軍」として明記すべきであろう。
大日本帝国の陸海軍のような軍隊ではなく、祭祀王である天皇を頂点とした議会制民主主義国家にふさわしい新時代に即応した内容でなければならない。
未来永劫変わらない法律など存在しない。古代の養老律令でも格式といった追加法令によってリアルな政治が行われていたように憲法は時代にあわせて改正が不可欠である点は否定しない。
しかし憲法の基本理念、国家の在り方、国体については絶対変えてはならない。
軍事組織であれば、侵略戦争を抑止して国家の主権と独立を守るため「防衛戦争」を実行できる「国防軍」表記こそが憲法にふさわしい文言であると考える。
『とある国家の超国防軍』
私的に我が国の「国防軍」の在り方を考察してみたい。
まず日本国国防軍は、最高司令長官は内閣総理大臣である点は変わらない。戦前のように天皇を大元帥として、本来「祭祀王」である天皇を軍人にして、軍服を着せてパレードをさせてしまった大日本帝国の「過ち」は犯さない。天皇はあくまで「国家の象徴」=元首ではあるが、指揮官はまた別である。
軍法裁判を確立する。現行憲法では、特別裁判所の設置は禁止されていて、特別裁判所とは軍事裁判のことを指すといわれるのが、現在のスタンダードな解釈であるが、国防軍を創設となれば軍人の規律を保ち、軍内部の情報統制を行う関係から軍事法廷を作らないわけにはいかない。
集団的自衛権の行使一部容認の時のように、「現行憲法の条文解釈の変更」ということで、憲法にいう「特別裁判所」は軍事裁判ではない、という定義解釈にする手もあるが、これは憲法改正点に加えてもいいだろう。内閣法制局の長官には、官邸の憲法解釈に反対しないよう根回ししておくことはもちろんである。
下のような自民党石破氏の発言のような「徴兵忌避」「軍隊忌避」をとりしまる意味が主体の軍事法廷ではもちろんない。あくまで内部の規律維持、軍隊内部のいじめの取り締まり、女性などへの不法な暴力の取り締まりを含めたもの、内部からの情報漏洩の防止とりしまりであろう。
~小林よしのり氏、自民党石破氏の軍事法廷、国防軍発言に憤る~
軍種の改革については以下のような形で改革すべきであろう。
まず「統合軍」としての機能は維持、というより大規模災害への対処をも含めた有事への対応という意味では、統合軍として編成、出撃するために現在の「統合幕僚長」の権限は強化すべきと考える。
陸軍の改革(大陸型陸軍から日本海兵隊へ)
島嶼防衛、フロムザシー戦略を基本ドクトリンとした「海兵隊」的な編成を行う。
我が国の陸軍は、有事には周辺の侵攻拠点に対し、海から上陸して攻撃を加える存在でなければ抑止能力は発揮できない。台湾有事の際には、戦略上重要な台湾の拠点に上陸して、人民解放軍と戦えるだけの戦闘能力をもたねばならない。朝鮮半島有事の際にも、韓国軍や米軍と協調して上陸作戦ができる能力を構築しておく。
海軍の改革(あくまでブラウンウォーターネイビーを編成、空母は台湾防衛までを想定)
対潜哨戒、攻撃を主体とする現在の護衛艦隊の在り方で問題はないが、陸上部隊を上陸させられるように「水陸両用戦隊」を編成し、強襲揚陸艦、輸送揚陸艦、戦車や装甲車を揚陸させられる揚陸艇を配備する。
また海兵隊の上陸を支援するように、攻撃型空母で揚陸拠点、地上攻撃目標を破壊できる能力も備えたい。F-2攻撃機を空母から発進させて上陸拠点を空中から攻撃できる形はとりたい。空母は、イギリスやフランス海軍が保有するような型の空母がふさわしい。
空軍の改革(国際的な地球防衛軍の主力へ)
今や領空の範囲が宇宙空間へのびていることは自明であろう。あくまで宇宙戦を想定した装備の開発が行われなければならない。それが平和秩序維持のためには欠かせない。
企業の宇宙開発の軍事面からのサポートを行い、地球外生命体?UFO現象の調査機関を設立してコンタクトを試みる。未知のテクノロジー、スキルを学び、取り入れることで他国に対して優位にたち、政治的な立ち位置を固める。アメリカのUFO開発との連携も欠かせない。一方で島嶼防衛をドクトリンとする攻撃飛行隊を編成し、空母の離発着訓練を行っておく。
サイバー戦部隊の軍種への独立を実現
現在のサイバー防衛隊の予算と規模を拡大して、陸海空と並ぶ軍種に昇格させる。こちらから攻撃できるだけの情報戦だけでない在り方を構築できるのが目標となる。
情報戦略を駆使できるようなドクトリンを開発する。
特殊工作部隊の創設
要人警護、要人暗殺、対テロリスト作戦、海外での邦人保護のための機動力にあふれた特殊部隊を新たに創設する。我が国は朝鮮戦争以降、北朝鮮の特殊工作員により大勢の邦人がいわれもなく拉致されたのである。アルジェリア人質事件、ISの日本人殺害など海外で邦人が被害にあうケースが後をたたない。犯人らと交渉する必要というより、人質を奪還できる体制づくりが急務である。
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