2016年3月9日水曜日

優れたインテリジェンス能力で着実に既成事実を積み上げる共産中国をどう抑止していくのか?

日本列島を“包囲”する中国海軍艦隊…大手を振って海峡通過!列島を一周できる領海法の“大問題”


日本海から津軽海峡を経て太平洋へ。人民解放軍海軍艦隊は日本列島を一周している。

2016.3.8 10:30更新 http://www.sankei.com/west/news/160308/wst1603080002-n1.html

北朝鮮による核実験や長距離弾道ミサイルの発射で朝鮮半島情勢に注目が集まるなか、中国海軍の艦隊が日本列島を一周した。北朝鮮に対応する自衛隊や在日米軍の動向を探るのが主な目的だったとみられる。中国の強引な進出は東シナ海や南シナ海で際だっているなか、すでに中国海軍艦隊は日本列島周辺にも忍び寄っており、“日本列島包囲網”を築いている。

中国海軍の艦隊が堂々と日本列島を1周

 防衛省によると、日本列島を一周したのは、中国海軍ルフ級駆逐艦1隻、ジャンカイII級フリゲート1隻、ドンディアオ級情報収集艦1隻、フーチン級補給艦1隻の合計4隻。1月27日に対馬海峡を北上し、2月2日に津軽海峡を通過。日本列島の太平洋側を南下し、九州南端の大隅海峡を通り抜けたことが確認されている。
 このうちのドンディアオ級情報収集艦は2月4日から同8日にかけて千葉県の房総半島南東沖で往復航行を行った。その具体的な狙いは今のところ分かっていない。しかし、房総半島沖を南西に進み、反転して北東に航行する動きを繰り返したことから、自衛隊関係者の1人は「神奈川・横須賀にある自衛艦隊司令部や米海軍基地などの情報を収集するのが目的だったのではないか」とみている。

米国の覇権に挑戦するため太平洋へ進出

 実をいうと、中国海軍艦隊が日本列島を一周したのは今回が初めてではない。2013年7月にはミサイル駆逐艦など5隻が対馬海峡を北上して、宗谷海峡を通過。太平洋で軍事演習を実施した後、宮古海峡を通って、中国本土に帰った。


このように中国海軍艦隊が日本列島の海峡を大手を振って通過していくのは常態化している。中国は米国の覇権に挑戦するために太平洋への進出を図っており、その海洋戦略の一環として、接近阻止(A2)戦略・領域拒否(AD)作戦をとっている。自らが設定した防衛ラインを米軍に突破されても、その領域内では米軍の自由な行動を許さないという発想だ。
 中国はこの戦略に基づいて、日本列島から台湾、フィリピン、南シナ海に伸びる「第1列島線」と、日本から小笠原諸島、グアムを結ぶ「第2列島線」を設定しており、近年では太平洋で盛んに軍事演習を行っている。

中国海軍にとっては目障りな日本列島

 ただ、中国は日本のように直接、太平洋には面していない。世界地図を広げてみると一目瞭然だが、中国本土から太平洋に打って出るには、台湾とフィリピンの間のバシー海峡か、中国の海洋進出を防ぐ障壁のように南北に連なる日本列島の海峡をすり抜けていかなければならない。
 こうした地理上の制約を受けている中国海軍は2000年以降、日本列島の海峡通過を頻繁に繰り返すようになった。2000年5月には情報収集艦が対馬海峡から日本海に入り、津軽海峡を通過し、大隅海峡を抜けて東シナ海に戻った。海峡の地形や潮流など水上艦艇や潜水艦の航行に必要なデータ収集が主目的だったとみられる。

既成事実を着々と積み上げる

2000年代後半になると、中国海軍は艦隊を編成して日本列島の海峡を突破するようになる。2008年10月には、ミサイル駆逐艦など4隻の艦隊が津軽海峡を通って太平洋に進出。この艦隊も日本列島沿いに南下し、宮古海峡を通過して東シナ海に入った。このように中国海軍は既成事実を着々と積み上げている。
 中国海軍艦隊による日本列島の海峡通過の常態化は、日本の国家安全保障にとっては重大な問題だが、法的には問題はない。
 日本政府は1977年に施行した領海法で、沿岸から12カイリ(約22キロ)を領海としている。しかし、津軽海峡、対馬海峡、宗谷海峡、大隅海峡は「特定海峡」とし、領海を3カイリ(約5・6キロ)しか宣言していない。このため、中央部は公海となっており、中国海軍の艦隊は事実上、日本側から制約を受けることなく行動できる。

国際法を研究した上で海洋戦略を立案

 日本政府は「特定海峡」を設けた理由について、「国際交通の自由を保障するためだ」としている。ただ、これを額面通りに受け取るわけにはいかない。領海法を制定した当時は米ソ冷戦の真っただ中だ。核ミサイルを搭載した米ソの潜水艦が海中に潜ったまま津軽海峡などを航行していた可能性は強く、海域のすべてを領海としてしまうと核兵器を「造らず、持たず、持ち込ませず」としてきた非核三原則との整合性が問われる事態となりかねない。

中国海軍だけでなく外国軍艦の行動をチェックするために当然、海峡をすべて領海とすべきだというアイデアも出てくる。しかし、国連海洋法条約では海峡をすべて領海とした場合、国際海峡に関しては軍用または民間を問わず、外国の船舶や航空機が自由に航行・飛行できるという通過通航権の問題が浮上する。


 海上自衛隊元幹部の1人は「中国は国連海洋法条約や日本国内の海洋に関する議論を研究し、その盲点などを把握した上で、海軍艦隊の作戦行動を綿密に立案しているとみられる。日本側は中国のこうした意図を十分に踏まえた上で対応すべきだ」と話している

《維新嵐》しかし考えてみれば共産中国の海軍艦艇に関するデータの収集と分析には、都合がいいとはいえないでしょうか?むこうから「最新艦艇」についてお披露目をしてくれているわけですからね。仮にそうでも機密事項として海自は、わざわざ公表はしないかな。

【対抗抑止手段①】~軍事同盟を軸にした国際連携~

海上自衛隊、三陸沖で日米加の哨戒機で共同訓練を実施 

配信日:2016/03/06 22:25
http://flyteam.jp/airline/japan-maritime-self-defense-force/news/article/60706
海上自衛隊 P-3C

海上自衛隊は、201639()から311()まで、アメリカ海軍、カナダ空軍と対潜訓練と通信訓練などを実施します。

訓練の実施場所は三陸沖海域で、海自は八戸基地の第2航空群からP-3C1機、厚木基地の第4航空群からP-11機、参加させます。アメリカ海軍は第16哨戒飛行隊のP-8A1機、カナダ空軍からは第19航空団のCP-1401機、それぞれ参加します。

訓練に際し、カナダ空軍のCP-140201638()から315()まで訪日し、八戸基地に滞在します。

海上自衛隊の護衛隊群、アメリカ海軍と日本からグアムの海空域で洋上訓練

配信日:2016/03/08 21:15
http://flyteam.jp/airline/japan-maritime-self-defense-force/news/article/60781
海上自衛隊は、2016228()から320()まで、平成27年度第2回護衛隊群米国派遣訓練を実施しています。アメリカ海軍の協力により、日本からグアムに至る海空域で、即応態勢に移行する練成期間中の護衛隊群の戦術技量、部隊運用能力の向上を図ります。主な訓練は、対空戦訓練、対潜戦訓練、対水上戦訓練などを実施します。

訓練に参加する艦艇は護衛艦「はるさめ(DD-102)」、「くらま(DDH-144)」、「あまぎり(DD-154)」、「きりしま(DDG-174)」で人員は約900名です。なお、はるさめ、くらま、あまぎりにはSH-60J/Kが搭載されているほか、きりしまには着艦スペースが設けられています。

【対抗抑止手段②】~アメリカ第7艦隊への艦艇支援~

【ステニス空母打撃群・南シナ海を航海】中国艦艇の追走受ける

配信日:2016/03/08 21:25
http://flyteam.jp/airline/united-states-navy/news/article/60813
201634日、南シナ海でUSSモービル・ベイ(CG-53)と補給を受けるUSSジョンC.ステニス(CVN-74)
EA-18Gグラウラー(ジョンCステニス艦載機)

アメリカ海軍は、空母USSジョンC.ステニス(CVN-74)を旗艦とする空母打撃群(JCSSG)が、201631日から36日まで南シナ海で通常の作戦を実施し、ルソン海峡を通ってフィリピン海へ抜けたと37日に発表しました。

JCSSG
115日から航海を開始し、毎日航空機の運用を実施しています。航空運用の合間には高速戦闘支援艦USNSレーニア(T-AOE-7)から先進バイオ燃料や航空燃料、物資の補給を受けています。

南シナ海は、世界で最も海上交通が多く、中国による人工島建設の問題を抱えている海域です。途中、中国海軍の艦艇が追走しましたが、両国海軍のクルーはお互いプロフェッショナルらしい対応をしました。

JCSSG
司令官のRonald Boxall少将は「我々は航海の自由の権利を行使し、我々の存在が地域の平和と安定を促進している」と話しています。

JCSSG
には、ステニス搭載の第9空母航空団(CVW-9)、イージス巡洋艦USSモービル・ベイ(CG-53)とイージス駆逐艦USSストックデール(DDG-106)USSウィリアムP.ローレンス(DDG-110)USSチャン・フー(DDG-93)が含まれます。

CVW-9
所属飛行隊
41戦闘攻撃飛行隊(VFA-41)ブラックエイセス F/A-18F
14戦闘攻撃飛行隊(VFA-14)トップハッターズ F/A-18E
151戦闘攻撃飛行隊(VFA-151)ビジランティーズ F/A-18E
97戦闘攻撃飛行隊(VFA-97)ウォーホークス F/A-18E
25戦闘攻撃飛行隊(VFA-25)フィスト・オブ・ザ・フリート F/A-18E
133電子攻撃飛行隊(VAQ-133)ウイザーズ EA-18G
112早期警戒飛行隊(VAW-112)ゴールデンホークス E-2C
71海上攻撃ヘリコプター飛行隊(HSM-71)ラプターズ MH-60R
14海上戦闘ヘリコプター飛行隊(HSC-14)チャージャーズ MH-60S
30艦隊補給支援飛行隊第4分遣隊(VRC-30 Det.4)プロバイダーズ
C-2


【対抗抑止手段③】~アメリカ海軍による軍事作戦FON~

二度目の“航行の自由作戦” 敢行した米国の真意は

岡崎研究所
20160308日(Tue)  http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6266
Diplomat誌のティエッツィ編集長が、2016130日に行われた米国によるトリトン島への航行の自由作戦は昨年10月の作戦とは違う法的意味を持ち、それゆえ中国の強硬な反応を惹起している、と指摘しています。論旨は次の通り。
iStock
 130日、米駆逐艦カーティス・ウィルバーは、航行の自由作戦(FONOP)の一環として、中国が実効支配するパラセル諸島のトリトン島(ベトナム、台湾も領有を主張)の12カイリ内を航行した(「航行の自由作戦FONOP」)。これは事前の通報が必要とされない無害通航として計画されたものだった。
 中国外務省は、中国の法律を犯し中国の承認なくしてその領海に侵入したとして厳しい反応を示すとともに、中国の領海接続水域法により外国の軍船は領海に入る際は中国の承認を必要とする旨を述べた。
 米国の狙いは、無害通航について事前の承認を要求する正にこの国内法に対抗することにあった。アシュトン・カーター国防長官は声明の中で、「この作戦は、領海を通過する際に事前の承認ないし通告を要求し自由航行の権利と自由を制限しようとする中国、ベトナム、台湾の試みに挑戦したものである。過剰な主張は海洋法条約に具現される国際法と整合しない」と述べた。
一層強まる中国の反発
 21日、中国外務省は米国のこの説明を拒否した。さらに、「米国は航行の自由の名のもとに海洋覇権を追求しており、米国による力の示威が南シナ海の軍事化の最大の原因である」と主張した。同省報道官は中国の艦艇や航空機は直ちに対応したと述べたが、米国防省は中国艦艇による米艦の追尾はなかったと述べた。
 10月の作戦と今回の作戦はいずれもFONOPと分類されているが、法的な理由は明確に違う。10月の作戦は中国が建設した人工島は法的には低潮高地であり島とは見なされないことを突き付けるものだった。中国は怒ったが人工島にも領海があると主張することは避け、非難は曖昧だった。
 しかし今回は違う。中国はパラセル諸島の領海を明示的に主張するのに対して、米国は、中国の主張の二つの点(事前の承認と領海の基線の引き方)について対抗している。米国は、中国の主張は過剰であり国際法に整合しないと拒絶する。中国の反発は一層強いものになる可能性がある。
 米国のFONOPはこれで終わりではない。ハリー・ハリス米太平洋軍司令官は、FONOPはこれから増える、「挑戦水域」での複雑さと範囲も拡大していくだろうと述べている。
出典:Shannon Tiezzi,China Rejects Latest US FONOP in the South China Sea’(Diplomat, February 2, 2016
http://thediplomat.com/2016/02/china-rejects-latest-us-fonop-in-the-south-china-sea/
***
130日の第二回目の航行の自由作戦は、領海の有無ではなく領海の中味に関する中国の立場)に真っ向から挑戦するという点で、第一回目より法的意味合いはより直截である、との論説の指摘はその通りでしょう。
今回の作戦の背景に透ける歴史的経緯
 しかし、問題は領海の線引きと無害通航だけに限られません。この記事は言及していませんが、中国がこの島を実効支配するようになった歴史的経緯にも注意が必要です。トリトン島は、元来、南ベトナムが実行支配していました。しかし、1974年に中国が銃撃戦により同島を含むパラセル諸島の全島を自らの支配下に置きました。その後統一されたベトナムが中国にこの件を提起してきましたが問題は解決されず今日に至っています。米国は領土紛争については判断を明らかにしないとの原則論を維持していますが、今回の作戦の実施決断にはこのような歴史的背景もあるかもしれません。ここ数十年の中国の一貫した「振る舞い」が問題なのです。1月に公表されたCSISの『アジア太平洋リバランス報告』も、2030年までに南シナ海が事実上中国の湖になる危険がある旨を警告しています。
 今回作戦への中国の反応が厳しかったと見るか、抑制的だったと見るか、見方は分かれます。筆者は厳しかったと見ており、一層厳しくなる可能性があると指摘します。他方、中国の言明にもかかわらず、中国による追尾はなかったと米国防省は明らかにしています。対中警戒心が高まる国際政治状況や上記の歴史的経緯などを考えれば、中国の立場は完全ではありません。中国としては、公的立場は強く維持しつつも、現状を既成事実化し問題がこれ以上大きくなることは当面避けることが有利と考えているかもしれません。
 米国が航行の自由作戦を継続していくことが、妥当かつ必要なことです。ハリス太平洋軍司令官の「作戦の複雑さと範囲は今後増大するだろう」との発言は示唆的です。二回目の作戦はもっと早く行われるべきだった、との批判があります。バラク・オバマ大統領が軍部による計画を抑えていたとも報じられています。米議会ではジョン・マケイン議員などが早期に実施すべきとオバマを批判していました。215-16日の米ASEAN首脳会議の開催がオバマの決断を促したと見方もあります。ともあれ、二回目の作戦が実施されたことには意味があります。

0 件のコメント:

コメントを投稿