日米同盟の深化・拡大、対中戦略の共有を提言
日米有識者が「2030年までの同盟」報告書
2016.2.29 22:01更新 http://www.sankei.com/politics/news/160229/plt1602290030-n1.html
日米の著名な外交・安全保障の有識者らで構成する日米安全保障研究会は2016年2月29日、「2030年までの日米同盟」と題した報告書をまとめ、発表した。中国の動向について「強引な行動や領有権拡大の主張を強めることはあっても弱める可能性は低い」と予測し、地域の最大の不確定要素になると指摘。日米が同盟関係を深化・拡大するとともに、「調整された対中戦略」を共有することが不可欠だと強調した。
研究会は笹川平和財団と米戦略国際問題研究所(CSIS)が共同で設置。加藤良三元駐米大使、アーミテージ元米国務副長官、ハムレCSIS所長が共同議長を務める。報告書を近く安倍晋三首相に提出する予定だ。
報告書は今後15年の戦略環境について、日米など自由民主主義体制は中露など権威主義体制との競争激化にさらされると指摘した。戦争を回避し、可能な分野で協調していくため、「責任ある行動を助長し、安定を揺るがす行動には代償を払わせる」戦略をとるべきだとした。また、「すべての国が平和で繁栄し、自由である」ことを日米同盟の「世界ビジョン」として共有し、世界規模で役割を果たす重要性を指摘した。
中国の台頭に対応していくため「現行の日米同盟を改め、調整された対中戦略を確立」すべきだと提言。具体策として、
①戦略対話・調整の強化
②自衛隊と米軍の相互運用性強化
③防衛産業協力の推進-などを挙げた。
日米の政策調整や統合の範囲を地理的に拡大し、対テロやサイバー分野などに広げるべきだとした。
さらに、安定的な同盟の持続のため、日本国内の米軍基地問題の解決が重要だと指摘。将来的には、米軍が自衛隊基地を借りて共同駐留する形が望ましいとした。
《維新嵐》 米軍と自衛隊との一体化が進んでいることが指摘されて既に久しいが、日米のシンクタンクまでがある意味「一体化」して提言されていることに意外な気持ちは隠せません。
しかし昨今、日米同盟という防衛体制をアメリカ側が積極的に活用しようというスタンスがこれで確実になったな、と思います。
まさに対中戦略で軍事的に優位性を担保するためには、アメリカはどんな形であれ利用しようということでしょう。
安倍内閣の安全保障関連法についても提言をしています。
安全保障関連法・不断の見直し必要
産経新聞平成28年3月1日(火)7時55分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160301-00000070-san-pol
日米安全保障研究会の報告書は2030年の国際情勢を見据え、日米同盟が直面する課題を分析し、対処する方策を示した。何より自衛隊と米軍の緊密な連携と、相互運用性の向上が欠かせない。昨年9月に成立した安全保障関連法によって集団的自衛権の行使に道を開き、抑止力を強めたが、いまも防衛法制の不備は指摘され、不断の検証と見直しが求められている。
報告書は「アジア太平洋地域の安全保障環境を決定する上で、最も不透明な要素の一つが中国の動向」と指摘し、中国が軍事費の増強と領有権拡大の動きを強めることはあっても弱める可能性は低いと分析する。中国は尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海空域で威嚇行為を繰り返し、南シナ海でも軍事拠点化を進め、一方的に緊張を高めている。
こうした中国の動向をにらみ、安倍晋三首相は、昨年4月に「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の再改定に踏み切った。その後の安保関連法の成立と合わせ、日本の防衛法制は大きく進展した。ただ、ふさぎ切れていない安全保障上の「切れ目」はいくつも残されている。
その一つが、武装集団による離島への不法上陸・占拠など、「有事」ではないが治安維持を担う警察や海上保安庁の能力では対処できない「グレーゾーン事態」だ。ただ、治安出動や海上警備行動では自衛隊の武器使用に大きな制約がある。自衛隊に必要な武器使用権限を与えることが不可欠だが、法制化は見送られている。
抑止力が働かない「力の空白」は、力による現状変更の試みを誘発しやすくなる。グレーゾーン事態は報告書も触れてはいるが、これを防ぐには防衛法制を不断に見直すしかなく、日米同盟を強固な形に仕上げなくてはならない。
報告書は「アジア太平洋地域の安全保障環境を決定する上で、最も不透明な要素の一つが中国の動向」と指摘し、中国が軍事費の増強と領有権拡大の動きを強めることはあっても弱める可能性は低いと分析する。中国は尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海空域で威嚇行為を繰り返し、南シナ海でも軍事拠点化を進め、一方的に緊張を高めている。
こうした中国の動向をにらみ、安倍晋三首相は、昨年4月に「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の再改定に踏み切った。その後の安保関連法の成立と合わせ、日本の防衛法制は大きく進展した。ただ、ふさぎ切れていない安全保障上の「切れ目」はいくつも残されている。
その一つが、武装集団による離島への不法上陸・占拠など、「有事」ではないが治安維持を担う警察や海上保安庁の能力では対処できない「グレーゾーン事態」だ。ただ、治安出動や海上警備行動では自衛隊の武器使用に大きな制約がある。自衛隊に必要な武器使用権限を与えることが不可欠だが、法制化は見送られている。
抑止力が働かない「力の空白」は、力による現状変更の試みを誘発しやすくなる。グレーゾーン事態は報告書も触れてはいるが、これを防ぐには防衛法制を不断に見直すしかなく、日米同盟を強固な形に仕上げなくてはならない。
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