豪州新首相の安全保障政策はいかに
岡崎研究所 2016年04月12日(Tue) http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6504
米SAISのマンケン教授は、2016年3月8日付のCipher Briefで、豪州は野心的な国防白書を出すとともに、日本とインド等との関係を深化させていると述べています。同論評の要旨は次の通りです。
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地政学に基づき国防政策形成されてきたが……
2016年2月25日にターンブル政権が公表した国防白書は野心的な軍近代化計画を打ち出した。これには、12の攻撃潜水艦、9の対潜水艦戦フリゲート艦、12の沿岸警備船、7のP-8A海洋偵察機、MQ-4C無人機、対機雷戦能力、陸上配備の対艦ミサイル能力、72のF-35A戦闘機、12のE/A-18G電子戦攻撃機、陸軍両用部隊能力、宇宙やサイバー能力の調達や向上などが含まれている。このために豪州は2020年までに防衛費の対GDP比を2%に引き上げるとしている。
豪州の国防政策は、地理的特徴、地政学上の考え方、地域情勢と同盟関係によって形成され進化してきた。第一に、豪州は大きな大陸であるが2300万の人口しかいない。遠隔地に位置することから伝統的に安全感を得てきた。同時に自衛に限っても軍の展開には多大の能力が必要となる。
第二に、太平洋とインド洋に面し有能な海軍力を保有してきたが、基本的には海洋国家というよりは大陸国家の考えを持ってきた。海洋戦略思想家であるM.エバンスは、豪州の国防政策には歴史的に海洋の意識が欠如していると指摘している。
第三に、豪州の国防計画は、豪州大陸防衛の必要性と豪州軍が歴史的に本国から遠いところで戦ってきたという現実との間で揺れ動いてきた。遠隔地より本国周辺地域を重視すべきとの考えには理屈がある。他方、豪州軍は、第一次、第二次世界大戦、朝鮮戦争、湾岸戦争やイラク、シリアでの紛争に参加してきた。
第四に、豪州の国防計画は極めて重要な部分を大国の同盟国に依存してきた。建国からシンガポールの陥落までは英国が同盟国であり、その後は米国が同盟国となった。
米豪同盟への疑問も
最近の国際情勢はこれらの考慮を大きく変えている。一つは、精密攻撃兵器などの発展と、特に中国の展開能力の進展により、脅威から自国を隔離する豪州の能力が低下してきたことがある。第二に、周辺地域での航空、海洋脅威の増大のため海軍力の増強が必要になっている。第三に、今後豪州は自国防衛の能力だけでなく、厳しくなる環境の下での軍の展開能力を必要としている。
第四に、米国が縮小する一方で中国が力を増大させていることにより、一部の関係者は米豪同盟の今後の価値について疑問を提起し始めた。しかし、ローウィ研究所などの調査によると、米豪同盟は一貫して強く支持されており、懐疑派はごく少数である。実際、他の識者達は米豪同盟を一層強化すべきと主張している。さらに豪州は、近年日本やインドとの関係を深めている。またインドネシアとの関係を改善している。これらの努力は、アジア太平洋の軍事バランスに対応して今後一層増大するものと思われる。
出典:Thomas Mahnken ‘Canberra’s Evolving Security Policy’(Cipher Brief, March 8, 2016)
http://thecipherbrief.com/article/asia/canberra%E2%80%99s-evolving-security-policy
http://thecipherbrief.com/article/asia/canberra%E2%80%99s-evolving-security-policy
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上記論説で、元米国防総省政策企画担当次官補代理のトーマス・マンケンは、豪州の安全保障政策の重要な要素について、明解な均衡のとれた全体像を提供しています。
突然の辞任に追い込まれたアボット首相の後を継いだターンブル首相は、どちらかというと親中派に近いのではないかとみられていましたが、米国や日本などとの関係強化を打ち出し、今回、かかる国防白書を出したことに安心感を覚えます。日本としても、優先順位の高い政策として、豪州との安全保障、外交分野での関係強化に一層努めていくことが重要です。
同盟国間のネットワーク強固に豪州が果たせる役割
インド洋とアジア太平洋の間に位置する豪州の戦略的な役割は極めて重要です。また、豪州が日本、インド、インドネシアなどとの関係を深め、積極的な役割を果たすことは、米国を中心とする同盟の多国間ネットワークを強固にします。それは、米国の政策文書が提唱している政策でもあり、厳しい環境にあるアジア太平洋の安定には、必要なことでしょう。
他方、この記事も言及しているように、ここ数年、豪州では、米豪同盟の価値について種々の議論があるようです。2014年には、フレーザー元首相が「危険な同盟」と題する著作を出し、その後も米豪同盟により豪州は米中戦争に巻き込まれるといった議論をして、驚かせているようです。さらに、民間団体マリックビル平和グループは、2015年の年国防白書について意見書を出し、米国との同盟により豪州はいくつかの不必要な紛争に関与することになった、対米同盟は豪州の独立を妥協させるものだ、地域の緊張を高める、豪州の最善の利益にならない、2009年以降米豪関係は強化されているがこの政策について政府はきちっとした説明をしていない等述べています。
これらの同盟管理に係る動きには、米国の安全保障関係者も関心を払っているようです。日本もよく注視していく必要があります。
《維新嵐》 豪州の2016年の国防白書をみても本来大陸国家である豪州が海軍力を大きく増強している様子がまざまざとうかがわれます。すなわち12隻の潜水艦と9隻の対潜水艦戦フリゲートの増強は、海軍の主力艦が現代においては潜水艦であることによる潜水艦そのものの増強、仮想敵国の潜水艦を撃破するためのフリゲート、潜水艦哨戒のための偵察機の充実がまず注目されます。太平洋、南シナ海、インド洋の3つの海をカバーしなければならないという強い動機がうかがわれることから、導入を検討している潜水艦については、制海権を確保するためにステルス的な動きが確実に担保できる「攻撃型潜水艦」を選ぶことでしょう。
陸軍の海兵隊能力向上もうたわれていることもあり、実戦を実際に戦うよりも、軍事力の充実をみて「戦わずして勝てる」ような抑止力向上に増強の力点がおかれているように感じました。
潜水艦の受注に神経をとがらしているでしょうが、仮に海自運用の潜水艦が運用されなくても部隊運用にフィットできる潜水艦であれば問題ないでしょう。
宇宙戦、サイバー戦で豪州がどういうドクトリンを開発しているのか興味がわくところです。
日本は受注先に選ばれるのか…中国は「日本は敗戦国」と歴史持ち出して牽制、懸念される豪首相のさじ加減
2016.4.5 18:41更新 http://www.sankei.com/world/news/160405/wor1604050027-n1.html
オーストラリアのターンブル首相は2016年4月5日までに、日本、ドイツ、フランスが受注を争う次期潜水艦の共同開発相手について、選定を「間近だ」としながら、決定時期は解散総選挙の行方に「左右される」との考えを示した。開発に慎重な野党を牽制した形だが、中国が南シナ海への進出圧力を強めるなか、有力視される日本の潜水艦選定が、豪政局の“荒波”に翻弄される事態も懸念される。
豪政府は今年2月にまとめた国防白書で、「台頭する中国は地域でさらなる影響力拡大を模索する」と指摘し、次期潜水艦を12隻調達する正式計画を示した。建造費500億豪ドル(約4兆円)超と豪史上最大の防衛装備品調達となる。
ターンブル氏は、3日放送の豪ニュース番組スカイニュースに出演。最大野党の労働党が2013年まで率いた政権を、国内で艦船を建造せず「海軍が無視された」とあてこすったが、潜水艦選定時期を問われ「選挙次第だ」とした。選挙前に潜水艦問題で労働党に揚げ足をとられまいとする思惑もありそうだ。
造船企業が集積する南部アデレードでは2日、造船業労働者100人以上が「雇用維持の約束を」とデモ行進し、労働党も同調して政権批判を強めた。
ターンブル氏は先月、建設関連の労働組合を監督する機関を設置する法案を提出するとし、今月18日の議会招集を発表。法案が去年に続き上院で再度否決されれば、首相は上下両院を解散できる。総選挙の7月前倒し実施をちらつかせ、議会を揺さぶった格好だ。
ターンブル氏は昨年9月、アボット首相(当時)への反発が広がった与党自由党の党首選で、アボット氏に勝利し、高い支持率を得た。だが、税制改正などをめぐり野党の攻勢が強まるなか、ダブル選に打って出て政権基盤の強化を模索する構えとみられる。
豪政府の潜水艦選定をめぐっては、親日派とされたアボット氏や米国が日本の「そうりゅう」型を支持し、本命視されてきた。だが、独仏が豪州国内建造比率引き上げでアピールし、巻き返しを図っている。
一方、最大の貿易相手国である中国の王毅外相は2月、豪州側に「日本は第二次大戦の敗戦国で、戦後の武器輸出は日本の平和憲法や法律の厳しい制約を受けている」と牽制した。
日本側は、豪海軍との機密共有や地元労働者訓練などでアピールするが、「冷徹な合理主義者」(地元メディア)とされるターンブル氏の政治手腕が、潜水艦選定に影響を与えそうだ。
《維新嵐》 先の国防白書を見る限りでは、共産中国からの横槍については、対中戦略として海軍力の増強があるため、懸念には及ばないかと思います。
豪州政府の海軍力、とりわけ潜水艦の増強についてどこに受注されるか最後まで懸念されるのは、国内の今までの潜水艦を開発してきた既得権益集団にどう政府が納得させられるか、というところでしょうか。
豪州国内に「そうりゅう」型潜水艦反対派あり、日米同盟推進派よりも「親中派」勢力の主張も根強くあり、新型潜水艦の受注は、まだ予断を許さない状況にあります。
豪州国内に「そうりゅう」型潜水艦反対派あり、日米同盟推進派よりも「親中派」勢力の主張も根強くあり、新型潜水艦の受注は、まだ予断を許さない状況にあります。
決定間近、オーストラリアは日本の潜水艦を選ぶのか
楽勝ムードではなくなってきた「そうりゅう」
北村淳 2016.4.14(木)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46571
「そうりゅう」型2番艦「うんりゅう」(写真:海上自衛隊)
かねてより史上最大級の武器取引として注目を浴びている、オーストラリア海軍次期潜水艦を選定する作業の結論が、数週間以内に出される見通しである。
選定の対象となっている潜水艦は、日本の「そうりゅう」(三菱重工・川崎重工)、ドイツの「タイプ216」(TKMS:ティッセンクルップ・マリン・システムズ)、それにフランスの「ショートフィン・バラクーダ」(DCNS:造船役務局)である。
「そうりゅう」採用派が唱える戦略的理由とは
日本の「そうりゅう」の採用を支持するオーストラリアの人々の多くは中国脅威論に立脚している。つまり、中国が南シナ海とりわけ南沙諸島に軍事拠点を設置することにより、オーストラリアと中国の間の軍事的緊張が高まった場合にはオーストラリアが利用しているシーレーンが脅威を受けるだけでなく、ダーウィン周辺地域は中国軍爆撃機の攻撃圏内にすっぽりと収まってしまうといった想定がベースにある。
このような軍事的脅威を抑止するために、または万一の場合には中国海洋戦力と対決するために、オーストラリアはアメリカとの同盟関係を強化するとともに、日本との軍事協力を進展させて豪米日軍事同盟的なネットワークを構築するべきである、という主張だ。
一方、日本の側から見ると、安倍政権が「そうりゅう」の売り込みに躍起になっているのは、三菱重工や川崎重工の経済的利益を確保するためではなく、日米豪同盟関係を生み出して中国の軍事的脅威に対抗しようという、政治的国益を手に入れるためである。
「そうりゅう」を採用することは、オーストラリアにとっても日本にとってもまさに国防上の利害が一致する取引ということになる。
そのうえ、なんとしてでもオーストラリアに「そうりゅう」を採用させたい安倍政権は、最新鋭潜水艦建造技術という日本の軍事的最高機密までもオーストラリアと共有してもかまわないという姿勢を示している。オーストラリアは、フランスやドイツの潜水艦を採用した場合、日本の最新鋭潜水艦建造技術のような最高軍事技術を手にすることはできない。「オーストラリアの国防にとって『そうりゅう』採用ほど“美味しい”選択肢はない」とオーストラリアの「そうりゅう」推進派の人々は主張する。
オーストラリアが中国と敵対する必要はない
これに対して、昨今オーストラリア国内で主張されるようになってきたのが、「次期潜水艦選定は商業的取引に徹するべきである」という主張である。これらは、いわば「そうりゅう」採用反対派である。
ただし、これらの人々も、「そうりゅう」の採用がオーストラリアと日米の軍事同盟関係を強化することは認める。「だからこそ、オーストラリアは「そうりゅう」の採用を見送り、商業的取引であるドイツあるいはフランスの潜水艦を採用すべきである」と主張するのである。
なぜならば、「中国の南シナ海への進出は、オーストラリアの国益を直接侵害するものではない。まして東シナ海で日本が中国に軍事的圧迫を加えられているからといって、オーストラリアが中国と軍事的に対峙する理由は何も見つからない」というのだ。
さらに反対派は、「そうりゅう」を採用すべきではないと次のように警告する。
安倍首相が率いる日本政府は、「『そうりゅう』の採用により日米豪の軍事連携が強化されて、中国の海洋進出政策を封じ込める原動力になる」といった対中戦略の側面を強調する。だが、そのように強調すればするほど、オーストラリアが「そうりゅう」を採用することが、性能面での判断というよりは、中国に対抗するための戦略的判断であったと、みなされるようになる。したがって、オーストラリア政府が「そうりゅう」採用を決定するということは、場合によっては12隻のオーストラリア版「そうりゅう」を投入して日本やアメリカと共に中国海軍と戦うことを意味するのだ。はたして、これがオーストラリアの国防外交政策にとって正しい選択なのであろうか?──という問題提起である。
このような「そうりゅう」採用反対派の主張に歩を合わせるように、これまでは潜水艦売り込みには積極的な動きを見せなかったドイツ政府も、「オーストラリアがドイツの潜水艦を採用したからといって、オーストラリアと中国の外交通商関係にひびが生ずるわけではないし、もちろんドイツと中国の関係に何らかの影響があるわけではない」として、積極的にTKMSの「タイプ216」の売り込みを後押しする姿勢に転じている。
タイプ216想像図(TKMSのHPより)
性能面の宣伝でも追い上げるDCNS
このように戦略的側面からの議論だけではなく、性能の面からも「そうりゅう」に対する反撃が強化されている。とりわけフランスの造船役務局(DCNS)は「ショートフィン・バラクーダ」の優秀さのアピールを強力に推進している。
ショートフィン・バラクーダ想像図(DCNSのHPより)/articles/-/46571?page=4
ショートフィン・バラクーダは、原子力潜水艦を通常動力に変更した潜水艦である。
DCNSによると、原子力潜水艦と通常動力潜水艦を建造しているのはフランスのDCNSだけであって、「ショートフィン・バラクーダ」は両者の長所を兼ね備えることができる。
日本政府は「そうりゅう」の最先端技術をオーストラリアに供与すると言っているが、フランス政府もDCNSが誇る原子力ミサイル潜水艦の技術を供与することになる。つまり、オーストラリアが軍事的最先端技術を獲得することができるという利点は、「そうりゅう」だけでなく「ショートフィン・バラクーダ」でも差異はない。
オーストラリアが12隻の通常動力潜水艦で実施する作戦は、主としてオーストラリアの北部海域を防衛するためである。具体的には、インドネシアからニューギニアにかけての列島線の海峡部に潜水艦を潜ませて、敵潜水艦や艦艇を待ち受けて迎撃することである。そのためには、ステルス性能に優れていることと優秀なセンサーが搭載されていることが重要なことは言うまでもない。
また、場合によっては接近してくる敵潜水艦や水上艦艇を追尾して迎撃しなければならない局面も生ずるであろう。もし、追尾する目標が原子力潜水艦や高速の水上戦闘艦であった場合、「そうりゅう」や「タイプ216」はいくら高精度のソナーを備えており静粛性や潜航深度が優れていたとしても、プロペラ推進潜水艦である以上、絶対に追尾することはできない。
しかしながら、DCNSは小型原子力潜水艦建造で培ったポンプジェット推進(ウォータージェット推進)技術を「ショートフィン・バラクーダ」に導入することができる。このため、通常動力潜水艦とはいえ海中でも高速で敵艦を追尾攻撃することが可能である。原子力潜水艦に比べて小型の通常動力潜水艦にポンプジェット推進システムを搭載できる技術力を持っているのはDCNSだけである。
最後になって予断を許さな
い状況に
日本では「ショートフィン・バラクーダ」や「タイプ216」の“カタログ性能”は計画段階にしか過ぎないと見ている。それよりも、すでに海上自衛隊で運用している実績がある「そうりゅう」の経験的に証明されている静粛性や驚異的な潜航深度などの性能面のほうが圧倒的に優位であると信じられている。
それに加えて、「中国脅威論」を唱える日本政府の強力な売り込み工作が功を奏して、アボット前オーストラリア首相をはじめとする多くの人々を「そうりゅう」採用に傾かせたものと考えられてきている。
しかし、次期潜水艦選定の最終局面に入った現段階で、フランス勢とドイツ勢の巻き返しも功を奏しつつある。とりわけオーストラリア国内から上がっている「果たして中国を敵に回して日本と同盟関係を結ぶことが、本当にオーストラリアの国益に合致するのか?」という声のインパクトは、「そうりゅう」にとっては最強の難敵だ。
オーストラリア海軍の次期潜水艦選定は最終段階を迎えて、安倍政権が「そうりゅう」の売り込みに積極的になればなるほど、また、アメリカがそれとなく日本の肩を持てば持つほど、「そうりゅう」採用の足を引っ張りかねないという、皮肉な状況になってしまっている。
《維新嵐》
世界の「兵器ビジネス」の過酷さを我が国防衛産業界もあらためて味わう格好になっているかと思います。
兵器ビジネスは受注額が大きいため一度利権が生じてしまうと、利益享受を受ける側としてはなかなか既得権を手放すことができない側面もあるようですね。
また潜水艦の性能自体も我が国の「そうりゅう型」ばかりが優れているわけでもなさそうです。
いくらカタログスペックがよくても、相手国の防衛事情から派生するニーズにうまく答えられないようでは、本当にその国にとって「いい装備」であるとはいえないでしょう
潜水艦の機密情報の問題もありますし、落選したなら潔くひきさがる覚悟が必要です。
兵器ビジネスの分野では、新参者のわが日本の軍需メーカーは、「破格の条件」の豪州潜水艦購入についても前途多難で楽勝でない様子が以下の記事からもうかがわれます。
兵器ビジネスの分野では、新参者のわが日本の軍需メーカーは、「破格の条件」の豪州潜水艦購入についても前途多難で楽勝でない様子が以下の記事からもうかがわれます。
【豪次期潜水艦】
日本が脱落か?入札で「熱意が欠けていた」と地元メディア
日本が脱落か?入札で「熱意が欠けていた」と地元メディア
2016.4.20 15:48更新 http://www.sankei.com/world/news/160420/wor1604200013-n1.html
【シドニー=吉村英輝】オーストラリア公共放送(ABC)は2016年4月20日、主要閣僚らで構成する国家安全保障会議(NSC)が、次期潜水艦調達計画の共同開発相手をドイツとフランスに絞り込み、日本を除外する決定を下したもようだと伝えた。同放送は、決定内容は来週にも発表されるとしている。
同放送は、19日夜に開催されたNSCのこの決定が、「最終判断かは不明」ともしている。日本が脱落した根拠として、豪州政府担当者らが、入札で日本側に「熱意が欠けていた」ことを懸念したとした。
調達をめぐっては、米国政府の元高官らが、同じ同盟国である日本からの調達を推していた。だが、同放送は、オバマ米大統領が、調達は「主権」に従いなされるものだと、ターンブル豪首相に確約したことにも言及した。
日本、ドイツ、フランスが受注を目指す豪次期潜水艦12隻は、建造費だけで500億豪ドルかかる豪州史上最大の防衛装備品調達。豪国防省は各国提案の潜水艦能力を検証する「競争評価手続き」を終え、ペイン国防相が、NSCに報告していた。
豪政府の潜水艦選定をめぐっては、親日派とされたアボット前首相や米国が日本の「そうりゅう」型を支持し、本命視されてきた。だが、独仏が豪州国内建造比率引き上げでアピールし、巻き返しを図っていた。
警察、潜水艦報道で捜査「日本劣勢」漏えい容疑
2016.4.23 12:30更新 http://www.sankei.com/world/news/160423/wor1604230042-n1.html
オーストラリアの連邦警察は、大詰めを迎えている同国の次期潜水艦共同開発相手の選定で受注を競う日独仏の3者のうち日本が劣勢と相次いで報じられたことを巡り、情報漏えいの疑いで捜査に乗り出した。地元メディアが2016年4月23日までに報じた。政府は国防省の検討結果を基に内閣の国家安全保障会議(NSC)で最終選考を進めており、週明け以降に発表されるとみられている。
20~21日に一部地元メディアが、日本の提案が候補から「除外された」、「最も弱い」などと報じた。秘匿されるべきNSCに絡む情報漏えいを問題視した国防省が捜査を要請した。
報道を受け、日本側も情報収集を進め、巻き返しを図っている。国防省が捜査を要請したことが図らずも報道の正確さを事実上裏付けたとの見方や、国防関係者の間で日本劣勢の情勢に憤慨する声も上がっているという。(共同)
初めての本格的な兵器輸出になりますから、とにかくあきらめないことでしょう。失敗でも次への糧にすればいいことです。
【ついに決定しました!残念!】
http://www.sankei.com/world/news/160426/wor1604260024-n2.html
【ついに決定しました!残念!】
共同開発相手はフランスに決定・日本の「そうりゅう型」は落選
中国の圧力に日和る?
2016.4.26 11:45更新 http://www.sankei.com/world/news/160426/wor1604260024-n1.html
オーストラリアのターンブル首相は平成28年4月26日、記者会見し、日本、ドイツ、フランスが受注を争っていた次期潜水艦の共同開発相手について、フランス企業に決定したと発表した。日本は、官民を挙げて、通常動力型潜水艦では世界最高レベルとされる「そうりゅう型」を売り込んだが、選ばれなかった。
ターンブル氏は、造船業が集積する南部アデレードで会見し「フランスからの提案が豪州の独特なニーズに最もふさわしかった」と選考理由を述べた。さらに、海軍装備品の中でも最も技術レベルが必要とされる潜水艦が「ここ豪州で、豪州の労働者により、豪州の鉄鋼で、豪州の技術により造られるだろう」とし、豪州国内建造を優先した姿勢を強調。7月に実施する総選挙に向けてアピールした。
地元メディアによると、ターンブル氏は25日夜、フランスのオランド大統領に電話をし、結果を伝えたという。
日本は受注競争で、「そうりゅう型」の実績や性能の高さ、日米豪の安保協力深化を訴えた。一方、フランス政府系造船会社「DCNS」は潜水艦の輸出経験が豊富で、現地建造による2900人雇用確保など地元経済への波及効果を早くからアピールしてきた。
次期潜水艦は建造費だけで500億豪ドル(約4兆3千億円)で、オーストラリア史上最高額の防衛装備品調達。アボット前首相は日本の潜水艦を求めたが、支持率低迷で昨年9月にターンブル氏に政権を追われて交代。ターンブル氏が経済連携を重視する中国は、豪州側に日本から潜水艦を調達しないよう、圧力をかけていた。
《維新嵐》 北村氏の懸念があたってしまいました。フランスが豪州の潜水艦開発のパートナー国です。TPPや他の兵装での連携など安保面での「同盟」構築は可能性はあるでしょう。南シナ海の公海自由航行において豪州との連携は欠かせませんからね。
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