2015年9月5日土曜日

共産中国にとっての尖閣諸島・魚釣島の価値について

第一章 共産中国にとっての魚釣島の価値について

「中国の脅威について・・(中略)・・尖閣諸島に一個大隊800人~1200人程度の軍隊を駐留させるだろうと言われている。資源調査と称して大陸棚の占有権を主張するためにも、今後中国はありとあらゆる手段を用いて、日本及び諸外国に難問を強大な武力を背景にぶつけてくるであろう。特に、自虐国民である国家日本が最大の標的に現在なりつつある。」(社団法人愛知県警備業協会警備員集合教育センター講師、竹原鉦輝氏、平成62月警備評論掲載資料より抜粋)

一般的に共産中国にとっての尖閣諸島魚釣島の価値は、1968年に国連によって確認された尖閣諸島沖合の海底に眠るといわれる海底油田及び天然ガスの採掘権の確保を狙って、国際海洋法による排他的経済水域を手に入れることにあるといわれる。
 我が国の排他的経済水域と重なるため大陸と尖閣諸島の間に中間線を設定しても、それを共産中国が遵守してくれる保障はどこにもない。
 共産中国が日中中間線ギリギリの場所に春暁、白樺などの天然ガス田を構築し、既に天然ガスや原油の採掘が始まっている様子をみると尖閣諸島の領有権を主張することは、経済的な理由によるものであることがわかる。
 しかし上記の竹原氏の記述を見るときに、一個大隊(800人~1200人)の軍隊の駐留ということがどういう資料を根拠にされたのか不明ではあるが、尖閣諸島の領有が海底資源確保を狙った経済的な目的の他に「軍事目的」であることも十分理解できることである。
 共産中国が領有権を主張する区域は、尖閣諸島の魚釣島、北小島、南小島、沖の北岩、沖の南岩の五か所と考えられる。これらの島々の北東海域にある久場島(黄尾嶼)、大正島(赤尾嶼)は在日米海軍の射爆撃場として使っていいことになっているため無人島といえども現在までの段階としては、アメリカとの対立を警戒する共産中国が領有権を主張する範囲に含めているとは考え難い。 ただ久場島、大正島にしても在日米軍自体が1979年から射爆撃場として使用していないため、アメリカの出方をみながら領有権を主張してくる可能性はある。
 尖閣諸島魚釣島からの直線距離をあげてみると、

上海まで約650
台北まで約225
那覇まで約500

となってくる。上海までの距離と沖縄県の那覇までの距離にそれほど違いはなく、台北までの距離は那覇までの直線距離の半分以下である。
 こういう点から考えると、魚釣島と周辺島嶼群を領有してここに軍事施設を構築していけば、通信施設であれば台湾や在日米軍、沖縄の我が国自衛隊の動きを把握することも可能であるし、陸上戦闘部隊やこれを揚陸させるための艦艇群を配置させておけば、台湾に軍事的政治的な圧力をかけられるだけではなく、同時に沖縄に駐留する在日米軍や我が国自衛隊にも強い軍事的影響力を与えることができるであろう。
 すなわち尖閣諸島の魚釣島及び周辺島嶼群は共産中国にとっては、経済的に重要な領土権益であると同時に軍事的に優位性を確保できる戦略的要衝であると考えることができる。
 冒頭の竹原氏の「800人~1200人の軍隊」に戻るが、前述でみたような戦略上の拠点要地の確保となると兵員の数でも竹原氏が指摘されるような数ですむとは思われない。
 もし8001200人の部隊で駐留、占拠を実行するとしたら、軍隊の中でも特に治安維持や戦闘能力にたけた特殊部隊を送り込んでくることも考えられる。沖縄や台湾への上陸作戦の意図を推察すると海兵隊の侵攻も考えられるだろう。

 いずれにしても直接国家としての軍事力を侵攻させてくるのは最終局面と考えられる。
平成229月の漁船衝突事件でも明らかなように、豊かな漁場が存在する魚釣島周辺海域であるから、民間人(漁民)がまず魚釣島周辺海域で漁を行い、共産中国の主権海域であるという既成事実を作った上で徐々に民間人の漁船の「退避場所」として魚釣島、北小島、南小島への上陸を行い、やがて我が国の海上保安庁が排除しようと「干渉」してくると国境警備隊を送り、これを除こうと我が国自衛隊に防衛出動の兆候がみえると人民解放軍(海軍)が出動するという形をとるものと考えられる。
 共産中国の側が固有の領有権を主張する尖閣諸島に対して、我が国の側が「不当な」主権を主張して先制攻撃(防衛出動)してきた行為に対して防衛を行う、民間人保護のため、自衛のために部隊を駐留させるという形を徹底してくるものと思われるのである。
 もちろん先行して尖閣諸島にやってくる民間人(漁民)も純粋な漁民ではない。平成22年の衝突事件でも明らかなように大枚はたいて購入した漁船を異国の国境警備船に体当たりさせるような漁民は常識的にはいない。ということは、あの時の衝突行為は、明らかに我が国の側に対しての「妨害行為」であり攻撃とみて間違いない。漁民は純粋な漁民などではなく正式な軍属ではない軍隊協力者、いわゆる民兵(海上民兵)、第二次大戦時にさんざん皇軍を悩ませた便衣兵と同じような存在であろうと考えられるのである。

第二章 日米連携で海の平和守れ「南シナ海守れるのは両国だけ」東海大学の山田吉彦教授が講演
大阪「正論」懇話会 で講演する山田吉彦東海大学教授=1日午後、大阪市北区(岡本義彦撮影)
2015.9.1 16:51更新 http://www.sankei.com/west/news/150901/wst1509010057-n1.html

大阪「正論」懇話会の第40回講演会が平成2791日、大阪市北区のホテル阪急インターナショナルで開かれ、東海大学教授の山田吉彦氏が「海洋安全保障を展望する~日本とアジア」と題して講演した=写真。講演では、中国が南シナ海を空から支配しようとしていると説明し、日本は米国と連携して海の平和を守るべきだと訴えた。
 中国が東シナ海で建設したガス田開発のプラットホームについて「16カ所も作ったが、純粋なガス施設は3つか4つ。あとはヘリポートを設けるためだ」と指摘。ヘリコプターを運用できる大型の海警局の船を次々と建造していることとあわせ「東シナ海や南シナ海でヘリを運用し、空から周辺の島ごと海を管理しようとしている」と説明した。
 特に南シナ海は東南アジア諸国にとっても重要な貿易航路である一方、中国が5万個の機雷を用意している点にも触れ「南シナ海を守る力を持っているのは米国と日本だけ。これが一体となって行動できるようになれば抑止効果となり、中国は動けない」と述べ、安全保障関連法案を成立させ、米国と連携して「世界の海を守るべきだ」と強調した。

《維新嵐コメント》
 共産中国が東シナ海の日中中間線付近で進めている「ガス田」開発の実態と本当の狙いについて、よくわかる講演会だろうと思います。
 保守派論客から尖閣諸島の魚釣島に陸上自衛隊の部隊を駐屯させたらどうか的な発言を聞くことがありますが、そういう方に限って聞いてみたいのは、周囲を海に囲まれた魚釣島に陸上戦闘部隊を上陸・駐屯させたとしても常時定期的に物資を補給しなければなりません。
 攻める人民解放軍の論理からすれば、島にいる日本の陸自部隊を壊滅させようとして必ず兵站線を攻撃してきます。
 物資の補給がなくなれば、後は日本人なら容易に想像がつきます。
ガダルカナルの二の舞となることでしょう。
 陸自よりもできれば海上保安庁のヘリポートや港湾施設を建造したほうが共産中国の方が嫌がるのではないでしょうか?
 目的は「海難救助」を目的とする施設を建造することで、領有権を政府が担保することができ、共産中国は攻めにくくなります。


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