2017年6月3日土曜日

南シナ海と東シナ海の「制海権」と「制空権」を獲りたい共産中国

「失地回復」を大義名分に「侵略色」を薄め、「国防戦争」としてのアピールを強める共産中国

南シナ海問題、諸悪の根源は根拠のない「九段線」だ

トランプ政権がFONOPをようやく再開
北村淳
戦争平和社会学者。東京生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。警視庁公安部勤務後、平成元年に北米に渡る。ハワイ大学ならびにブリティッシュ・コロンビア大学で助手・講師等を務め、戦争発生メカニズムの研究によってブリティッシュ・コロンビア大学でPh.D.(政治社会学博士)取得。専攻は軍事社会学・海軍戦略論・国家論。米シンクタンクで海軍アドバイザーなどを務める。現在安全保障戦略コンサルタントとしてシアトル在住。日本語著書に『アメリカ海兵隊のドクトリン』(芙蓉書房)、『米軍の見た自衛隊の実力』(宝島社)、『写真で見るトモダチ作戦』(並木書房)、『海兵隊とオスプレイ』(並木書房)、『尖閣を守れない自衛隊』(宝島社)、『巡航ミサイル1000億円で中国も北朝鮮も怖くない』(講談社)等がある。

 南シナ海で洋上燃料補給のために待機する米海軍のミサイル駆逐艦デューイ(2017519日撮影、25日公開、資料写真)。(c)AFP/US NAVY/Mass Communication Specialist 3rd Class Kryzentia WeiermannAFPBB News

先週の2017525日、アメリカ海軍駆逐艦デューイは、中国が人工島を建設した南シナ海南沙諸島のミスチーフ礁から12海里内海域を通航した。トランプ政権が発足して以降初めての南シナ海でのFONOP(航行自由原則維持のための作戦)が実施されたことになる。
なかなか始まらなかった南シナ海でのFONOP
中国は南シナ海に「九段線」(下の図)という不明瞭な境界線を国際海洋法条約とは全く無関係に設定して、南シナ海の大半の領域を自国の主権的海域であると主張し、南沙諸島でいくつかの環礁(暗礁も含む)を埋め立てて人工島建設に着手した。それに対してフィリピン政府が警告を発し始めたのは、20142月のことであった。
中国が設定している九段線(太い点線)


しかし、アメリカをはじめとする国際社会の関心を集めることにはならなかった。またたくまに中国の人工島造成プロジェクトは進展し、早くも2014年秋には4つの人工島が姿を見せつつある状況が確認された。アメリカ海軍などではこの動きを問題にしたものの、オバマ政権は関心を示さなかった。
2015年になると、中国の人工島建設はますます急ピッチで進められ、7つの環礁が人工島と化し、いくつかの人工島には滑走路も建設されている状況まで確認されるようになった。この状況に米海軍では強い危惧の念を発し続けたが、オバマ政権は相変わらず静観し続けた。
ミスチーフ礁(1):20151月、埋め立て前のミスチーフ礁(写真:CSIS、以下同)
ミスチーフ礁(2):埋め立て前のミスチーフ礁には小さなコンクリート製の建造物だけが存在していた
ミスチーフ礁(3):20159月、人工島建設が進むミスチーフ礁
ミスチーフ礁(4):2016年7月、ミスチーフ礁には滑走路はじめ数多くの施設が誕生
 しかしながら、いよいよ人工島──それも3つもの人工島に3000メートル級滑走路が誕生しつつある状況が明らかになると、オバマ政権もようやく重い腰を上げ、中国に対して自制を促す姿勢を示す行動を取り始めた。そこで始められたのが、アメリカ海軍による「南シナ海でのFONOP(航行自由原則維持のための作戦)」である。
FONOPの目的とは
それまでにもアメリカは世界中の海でFONOPを実施していた。その目的は、海洋国家であるアメリカが国是としている「公海での航行自由原則」が脅かされようとしている海域にアメリカ海軍の軍艦や航空機を派遣して、「アメリカは航行自由原則が踏みにじられることは断固として容認しない」という強固な意思を示すことにある。
 したがって、アメリカが南シナ海の南沙諸島や西沙諸島などの周辺海域でFONOPを実施する目的は、中国(あるいは中国と領有権を争っている他の国)による領有権の主張に反対するため」ではない(アメリカ外交は第三国間の領域紛争には関与しないことを大鉄則としている)。あくまで「中国(あるいは他の国)が当該海域で『公海での航行自由原則』を踏みにじることがないように、『行き過ぎた主権的権利の主張』に対して警告を発するため」である。
オバマ政権下でのFONOP
 アメリカ太平洋軍やアメリカ海軍としては、このようになFONOPによって中国に人工島から手を退かせることができないのは十分に承知している。それでも、できるだけ頻繁に、かつ中国を刺激するような形で、FONOPを実施すべきであると考えていた。
 というのは、そのような強硬な態度を示さなければ、中国による人工島の軍事拠点化を暗に認めたことになってしまい、南シナ海での中国の軍事的優勢に拍車をかけることになってしまうからだ。
しかしながら、中国に融和的であった(かつ軍事的行動を極力用いたがらなかった)オバマ政権は、ごく形式的なFONOPの実施しか認めなかった。そして、その回数も海軍側の意図とは違い、3カ月に一度程度にしか過ぎなかった。
214日ぶりに再開されたFONOP
 このようなオバマ政権の南シナ海での腰が引けた姿勢を強く批判していたのがトランプ大統領候補である。したがって、トランプ政権が発足するとすぐに、アメリカ海軍、とりわけ対中強硬派の主唱者である太平洋軍司令官ハリー・ハリス海軍大将は、南シナ海でのFONOPの実施再開を強く要請した。
 しかしながら、太平洋軍の上部機関であるペンタゴン(国防総省)内では南シナ海でのFONOPに関して様々な議論が存在していて一枚岩ではなかった。また、ペンタゴン自身の高官人事が停滞しているために、太平洋軍側の度重なるFONOP実施要請に対してなかなかゴーサインが出されなかった。
 そうこうしているうちに北朝鮮のICBM開発問題が持ち上がり、フロリダで開かれた米中首脳会談でトランプ大統領が習近平主席に北朝鮮ICBM問題で中国の協力を求める形になってしまった。さすがのトランプ政権としても、中国側に協力を依頼しておき、その一方で中国側の神経を逆なでする南シナ海でのFONOPを実施することはできない。そのため、オバマ政権下で最後に行われた昨年1021日のFONOPから半年以上も再開されることがない状態となってしまったのである。
業を煮やしたハリス司令官は、議会での証言などで南シナ海でのFONOP実施の必要性を力説したり、日本を訪問した際には異例の与那国島視察を実施した。南シナ海問題と類似する東シナ海問題に対しても米軍は強い関心を持っていることを中国側に強くアピールするためであった。
 また、アメリカのメディアも、太平洋軍側がFONOP再開を要請しているにもかかわらずトランプ大統領がなかなか承認しない、という報道を行った。加えて、201762日から4日にかけてシンガポールで開催されるシャングリ・ラ会合にマティス国防長官も出席する、といった事情を踏まえて、2017525日にようやく南シナ海での7カ月ぶりのFONOPが実施されたのである。

アメリカ海軍駆逐艦デューイ(写真:米海軍)
真の問題は根拠のない「九段線」
ただし、たとえFONOPを頻繁に実施したとしても、あくまでその目的は「公海での航行自由原則」を尊重するようにメッセージを発することにある。そうである以上、南沙諸島をはじめとする南シナ海で中国が軍事的優勢を占めることに対する障害にはならない。
 しかしながら、たとえ中国による人工島の軍事拠点化を直接阻むことや、中国による南シナ海での軍事的優勢に打撃を与えることなどはできなくとも、アメリカだけではなく国際社会がFONOPをはじめとして何らかの形で「南シナ海の大半は航行自由原則が尊重される公海である」ということを示し続けない限り、ハリス大将が主張するように南シナ海での航行自由は踏みにじられてしまうことになる。
中国当局は、南シナ海の大部分に当たる「九段線」内の海域は「中国の主権的海域である」と主張している。その主張をもとに、「中国が主権を有する陸地から12海里内を航行使用とする全ての船舶は事前に中国当局から通行許可を得なければならない」(国際海洋法条約の規定に反している)としていることを忘れてはならない。



中国共産党の根拠なき持論
「沖縄はもともと中国だった」…貪欲すぎる覇権主義、次は韓国にも

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で中国の公船や漁船に対応する海上保安庁の巡視船(左端)。中国側の身勝手な領有権主張は覇権国家としての野望のあらわれだ=2016年8月(海上保安庁提供)
 「沖縄はもともと中国だった」。中国共産党員の1人は、中国が沖縄県石垣市の尖閣諸島に対する領有権を主張し公船派遣を強める前、こう言い放った。
 中国共産党にとって、沖縄は歴史的に“中国のもの”だったという主張は、国際法や国際常識を無視して領有権を主張する身勝手極まりない発言だが、今、中国が覇権国家を突き進むその精神と一致するこの一言には、軍事衝突をも恐れない野望が隠されている。

「冗談」ですむのか

 この言葉を聞いた親中派の日本人は笑いながら「冗談」と済ませていた。しかし、第二次大戦後、大戦への反省と、国民の生命と財産を守るという最も基本的な国の役割である国防の取り組みを混同した主張によって、日本は今も大きな脅威にさらされている。
 中国は、南シナ海でフィリピンやベトナムなどと対立しながら岩礁を埋め立てて軍事拠点を構築した。中国は歴史的な経緯を主張して管轄権を主張し、係争相手との対話を無視し公船だけでなく軍隊も派遣。先進7カ国(G7)や東南アジア諸国連合(ASEAN)など国際社会が、岩礁埋め立てや拠点構築など一方的な現状変更の中止を求めても滑走路を整備しミサイルを配備した。

南シナ海すでに中国の軍事拠点

 日本政府関係者は、南シナ海について「中国の軍事拠点となり、同海域に潜む潜水艦がいつでも弾道ミサイルを発射し、島に構築した基地を生かして制空権を奪おうとしている」と警戒する。
 もちろん、中国が自国防衛に取り組むのは当然の権利だが、中国が南シナ海のほぼ全域を囲い込むように独自に引いた境界線「九段線」は、米研究者から「中国から遠く離れ、誰がどうみても中国のものとは思えない」と指摘される。
 中国本土から遠く離れ東南アジア諸国に隣接した海域を「中国のものだ」と主張しているのだ。
 中国が東シナ海に公船を派遣して尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返すその姿勢は、世界最強の軍事力を誇る米国(オバマ政権)の警告を無視して南シナ海で軍事拠点を構築したその行動と同根といえる。

中国は朝鮮半島を利用

 米国の安全保障研究家の1人は、中国が北朝鮮をかばい続ける理由について「韓国を最前線にした米国を中心とする民主主義陣営と対峙(たいじ)する中国にとって、北朝鮮は中国と韓国との間にある重要な緩衝地だ」と指摘する。
 米韓軍との戦争を想定した際、北朝鮮という旧共産圏の国があることは、大きな防衛的効果を持つ。逆に、北朝鮮が韓国側に加われば、中朝国境が衝突の最前線となる。
 中国共産党体制の崩壊や自国に軍事的脅威を向けなければ、中国の防衛には利用価値が非常に高い地域というのだ。
 確かに中国は、北朝鮮に友好国として通常兵器や核兵器を大量に供与し北朝鮮の軍事力を一機に高めることも可能だが、していない。隣国の途上国であるにも関わらず、経済や産業支援に注力しているとも思えないその状態は「中国は朝鮮半島を利用している」との見方がある。

次は「韓国」も?
元自衛隊幹部はこう指摘する。
 「中国が尖閣諸島を手に入れれば、潜水艦や空母、航空機を次々と太平洋に進出させ、日本や在日米軍への攻撃力を一機に高めることになる」
 中国が国際的に根拠のない持論を持ちだし、武力衝突も辞さないその高圧的な行動で尖閣諸島を利用し、中国の軍事力を高めようとしていることは容易に想像できる。
 トランプ米大統領は、米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューで、2017年4月に行われた米中首脳会談での習近平国家主席の発言を紹介した。
 「韓国は中国の一部だったことがある」


《維新嵐》「ウラジオストクの潜在的な主権は中国にある。」とも主張しています。また中朝国境をこえてシベリアへの漢人の流入、千島列島への漢人の流入もみられますから、彼らの「覇権拡大」は、日本海やオホーツク海にまで視野に入っているのかもしれません。
 大陸に統一国家が誕生した時は、我が国の政治は緊張し、政治改革が進んでいます。共産中国が海洋覇権を拡大しようとするまさに今の時代、まさに歴史は繰り返していますね。国内政治的には、天皇を頂点とした挙国一致の体制を確立して、大陸からの外圧に対抗しなければなりません。国外的には、共産中国を牽制できる外国との同盟、連携体制を維持確立していく。これは一国とは限りません。むしろ複数国の方が、強力な対抗力、抑止力を発揮できるかと考えます。そしてシナ男尊女卑の価値観の政治体制に対抗するには、カギとなるのは「女性天皇」「女系による皇位継承」であることは歴史から学べることです。
国の伝統や歴史は、民族の未来を切り拓くための教科書といえます。

みんなで「偉い先生方」にとらわれずに伝統や歴史の事実を追求しましょう。

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