テロ攻撃について子供にどう話すべきか
BBC News
2017年6月21日http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9938
BBCニュース 家族・教育担当記者キャサリン・セルグレン
テロ攻撃のニュースは常に恐ろしいものだ。しかし親にとってはそれに加えて、自分の子供に何をどう言うべきかの問題がある。
子供にニュースを見せるべきではないのか。ただテレビを消すのが一番良いのか。子供が目にする写真や動画はトラウマになるのか。あるいは、何があったのか、そのまま自分の子供に語るべきか。
ニュースについて話す
テロ事件については、話題を避けるよりも子供たちと会話をした方がいいと、専門家たちは言う。
子供とトラウマを専門とする臨床心理士のエマ・シトロンさんは、こうした出来事について家族の間で話すのを避けない方がいいと助言する。
「子供たちに基本的な事実を伝えて、知りたいことを教えて、何が知りたいか聞いて、知りたい事柄について知ることができるようにしてあげてください」
さらにシトロンさんは、「支えて、安心させて、子供たちのそばにいて、抱きしめて、子供が泣いたら一緒に泣いて、子供の気持ちの反応に合わせて反応してあげてください」
「子供たちの要求に応えて。子供が何を知りたがっているのか、把握する必要があります」
テレビを消すべきか
テレビやラジオを消すのは自然な防衛本能だが、英国王立精神科医学会のバーナドカ・ドビツカ医師は、トラウマになるようなニュースの内容が子供に伝わらないようにするのは、今の社会では現実的ではないと指摘する。
「こうした出来事の情報がいっさい子供に届かないように、親が情報を遮断するのは無理です。子供も若者も、24時間365日、常にニュースを浴びているというのが現実です」
ドビツカ医師は、親にとって一番大事なのは、子供のそばにいて、子供が自分の気持ちを上手に扱えるように手伝うことだという。
「ニュースを隠そうとしても仕方ありません。子供はよそで知ることになるし、親はその時そばにいて、順々に説明してあげることができません」
「嫌な詳細は避ける」
ニュースについて話すのは大事だが、親は不要な詳細は伝えない方がいいとシトロンさんは補足する。
「嫌な詳細は避けて。必要ないので。そういった話は不要です」
「現場の様子を細かく説明しないでください。どれだけ血が流れたかとか、どれほど残酷だったかなどは不要です。現場の写真や映像は見せたりしない方が良いでしょう。子供にトラウマを与える可能性があるので、避けた方がいいです」
シトロンさんはさらに、年長の子供たちには、ネットで何をどれだけ読むべきか親がはっきりと基準を示す必要があるとアドバイスする。
「細かな裏話をネットで探しまわったりしないよう、お子さんに話してください。そんな情報は、ともかく必要ないので。若者たちを守っていく必要があります」
役に立つ言い方
シトロンさんは、親は子供の様子に応じて会話を進めていくべきだと言う。さらに会話の中では、出来る限り落ち着いて安心させる表現を使うようにすることを勧めている。
「『これはとても珍しい出来事』とか、『ものすごくひどいことだけど、こんなことはめったに起こらないのは良かった』、『これまで以上に、しっかり警備されるようになる』などの、一般的な言い方はすごく安心を与えます」
「子供たちに出かけるのを怖がってほしくないし、幸せで健康でバランスのとれた普通の生活ができないような大人にはなってもらいたくないので」
「ママ、こういうことはまたあるの」と質問された場合には、本当のことを伝えつつも、自分たちの普段の日常の活動については、たっぷり安心させてあげるのが良いとシトロンさんは勧める。
「私なら『もちろんあるかもしれない』と言います。嘘はつかないように。『でも、とても可能性は低くて、ものすごくまれな出来事だし、警察は絶対に今までより厳しく警備するから』と付け足します」
「『これまで通りサッカーやネットボールの練習に行っても全然大丈夫。スカウトのキャンプに行っても全く大丈夫』など、子供たちの活動を肯定してあげてください」
「『いつも通りの生活を普通に続けなきゃならないし、悪い人たちのせいで怖気づいたりしちゃいけない』と伝えてください」
先生は攻撃について話すか
「学校が攻撃について話す機会を生徒に与えていないなら、かなり意外です」。英中等学校校長会のジェフ・バートン事務局長はこう話す。
「もし生徒が話したいなら、先生は生徒に質問してもらい、適切で信頼できる情報源をどう見るのが良いかを話し合うはずです」
学校も地域の結束を強調するため、努力することになるとバートン事務局長は説明する。
感を重視すべく懸命に取り組むようになると言う。
「学校は、地域のつながりや地域で共有する価値観を強調することになります。あらゆる機会を捉えて、自分たちの地域社会の長所をほめて大勢で分かち合うようにしていくでしょう」
ただし、校長として15年の経験をもつバートン氏は、学校が直接的な影響を受けていない限り、今は「普段通り」の平静な態度を貫くはずだと言う。
「決まった作業の繰り返しというのは大事で、人はそれを頼りに大変な時期を切り抜けられたりします。落ち着いた目的意識が保てるので」
自分の子供が心に傷を受けたと気づくには
トラウマのしるしは個人差が非常に大きいが、気を付けるべき症状には以下が含まれる。
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子供が怖がり、べったりしがみつくようになり、不安がる
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おねしょ
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思い出や自分の考えにとらわれる
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集中できない
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イライラして反抗的になる
·
頭痛や腹痛などの身体症状
報道内容のせいで子供がトラウマを受けたかもしれないと思った場合は、かかりつけの医者に相談することができる。
問題が続くようなら、医師は地元の児童青年精神保健サービス(Camhs)で、さらに支援を受けるよう勧めるかもしれない。
けれども親は、心配しすぎないようにすることも大事だ。ドビツカ医師が言うように、「大多数の若者はいまの状態に対応できるし、大丈夫」なのだから。
《維新嵐》有事に対する対処、世の中多様なイデオロギーが存在すること、民衆を巻き添えにすることも厭わないテロへの考え方、捉え方など次世代を担う子供たちに「考えさせる」「意識を高める」ために大人が接することはとても重要なことかと考えます。
むしろ民放のゴールデンタイムに放映されているいわゆる「お笑い番組」に方が、子供たちへの悪影響を心配すべきです。民間放送のお笑い番組は、大人はもちろん子供たちから「思考能力」や「アイデンティティ形成能力」を奪う弊害があるように思います。
【2017年発生したテロ事件】~ISが直接手を下したというよりも、ISの思想的影響を受けたテロといえる。いわゆる「ホームグローンテロ」~
パリ・シャンゼリゼ通りで車が治安車両に突っ込む 車内から小銃や拳銃
2017年6月20日http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9921
パリ中心部の繁華街シャンゼリゼ通りで2017年6月19日、乗用車が憲兵隊の車両に突っ込み炎上し、運転していた男は死亡した。車内からはカラシニコフ銃や拳銃、ガス缶が見つかった。
死亡した男は治安当局の監視下にあった。男以外に死傷者は出ていない。
ジェラール・コロン内相は、「攻撃未遂」だったとし、「フランスで治安部隊が再び攻撃の標的になった」と述べた。
フランスでは近年、テロ攻撃が相次いでおり、非常事態宣言が出されている。
今年4月には、同じシャンゼリゼ通りで男が警官らに向けて発砲し、一人が死亡、二人が負傷した。
18日には、国民議会(下院)の決選投票が実施され、エマニュエル・マクロン大統領が率いる新党「共和国前進」が大勝した。
今回の攻撃現場を取材するBBCのヒュー・スコフィールド記者によると、人けのない通りに白い車がドアが一つ開いた状態で停車しており、警察犬が出動している。
現場は警察署の近くで、警官や憲兵の車両が多数停車している場所だという。
犯行に使われた乗用車はルノー「メガーヌ」で、爆発物処理班が現場に派遣され車を調べている。
現場を訪れたコロン内相は、車内で見つかった武器や爆発物で「自動車が爆破される可能性もあった」と語った。
警官らは窓ガラスを割って男を車から引き出さなくてはならなかったと報じられている。
捜査筋によると、男は「イスラム教過激派の運動」のメンバーだったことから、2015年から当局の監視リストに載せられていた。
警察は、パリの南エソンヌ県内にある男の家を捜索しているもよう。
検察の対テロ担当部門による捜査が開始された。現場近くにはエリゼ宮(大統領府)や米国大使館がある。
ロンドン・テロで高笑いのIS、懸念される報復の連鎖
2017年6月21日http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9932
ロンドン北部のモスク付近で白人の運転する車がイスラム教徒に突っ込んだテロ事件は典型的なヘイトクライム(憎悪犯罪)と見られているが、最大の勝利者は欧米でイスラム教徒とキリスト教徒との対立を煽ってきた過激派組織「イスラム国」(IS)だ。IS側にはキリスト教徒攻撃を正当化できる理由ができたことになり、報復の連鎖が懸念されている。
事件のあったモスク付近で「全てのテロに反対する」というメッセージを掲げる人々(Photo by Dan Kitwood/Getty Images)
高笑いのIS
19日真夜中に起きた今回のテロの容疑者はロンドンから200キロ離れたウェールズに住む47歳のダレン・オズボーン。オズボーンは4人の子供がおり、これまでイスラム嫌いの過激な言動を示したことはなかったという。治安当局の監視リストにも入っていなかった。
しかし、犯行2日前には「イスラム教徒に危害を加える」といった発言をしていたといわれ、治安当局はロンドンなどで相次ぐイスラム過激派によるテロ事件に触発されて反イスラム感情を高めていった可能性があるとみて調べている。
英国では、3月のロンドンの国会議事堂付近の車暴走テロ、5月のマンチェスターの爆弾テロ、6月初めのロンドン繁華街での車両テロなどが立て続きに起き、イスラム教徒への嫌がらせや迫害事件が多発していた。
ロンドン市当局によると、6月初めのテロ以降の1週間で約120回に上る反イスラム事件が発生、前の1週間が36件だったのに比べ急増していた。今回の事件直後には、ロンドンの別のモスク(イスラム礼拝所)に脅迫電話がかかるなどイスラム教徒への嫌がらせや迫害が一段と増加しそうな状況だ。
ロンドンにはカーン市長も含め100万人以上のイスラム教徒が居住しているが、「どこにいても安全ではない気がする」といった不安感がイスラム教徒コミュニティーに流れている。
ロンドンにはカーン市長も含め100万人以上のイスラム教徒が居住しているが、「どこにいても安全ではない気がする」といった不安感がイスラム教徒コミュニティーに流れている。
だが、こうしたイスラム教徒を追い詰める社会の分断に高笑いしているのがISだ。ISは機関誌やネット上で、欧米でのテロの目的を「イスラム教徒とキリスト教徒の分断を図ること」とし、イスラム教徒がキリスト教徒に迫害されれば、イスラム教徒には「2つの選択肢しかなくなる」と指摘。
2つの選択肢について「イスラム教を捨てるか、あるいはISに加入するか」とし、テロによって欧米のキリスト教徒社会にイスラム教徒に対する忌避感情を人工的に作り上げ、社会から除外され、行き場を失ったイスラム教徒が過激派に依存せざるを得なくなる状況が生まれるのを目標にしてきた。
パリのシャンゼリゼ通りでは19日、憲兵隊の車列に車を衝突させ、爆破しようとしたイスラム過激派によるテロ事件が起こっており、フランスでも反イスラム感情が高まっている。
欧州でこうした感情が高まれば、社会の分断が進み、反イスラムのヘイトクライムも続発、テロの連鎖でさらに両教徒の対立が深まるという悪循環に陥りかねない。ISの狙い通りの展開になる懸念があるのだ。
英国のメイ首相はイスラム教徒の過激化や極右のヘイトクライムの大きな原因の1つがネットでの過激なメッセージや、やり取りにあるとして、過激派の不審なメールなどを密かに読み、監視するためアップルやフェースブックなどに対し、治安機関がネット上で自由にアクセスできるよう協力を要請。この問題が過激派対策の大きな問題として浮上してきそう。
泥沼に引き込まれるトランプ政権
ISのテロはシリアやイラクでの戦況が悪化すれば、欧米で激化するという連関性が指摘されているが、その戦場ではISがいよいよ組織壊滅の瀬戸際に立たされている。2大拠点のうち、イラクのモスルでは、最後まで抵抗している数百人の戦闘員が、組織の指導者バグダディがISの創設を宣言した大モスクにまで追い詰められた。「あと2週間で一掃できる」(イラク軍)という状況だ。
シリアの拠点である首都ラッカでも、クルド人を主体とするアラブ民主軍(SDF)が米軍の空爆支援を受けて市内に突入、激戦となっている。ISはラッカの戦力を東南部のデイル・アルゾウル県に分散。将来的にはゲリラ戦を展開、生き残りを図る作戦だが、米国はラッカをまず制圧することを優先している。
トランプ政権のシリア政策は内戦に介入せず、ISの壊滅に集中するというのが骨格だが、その思惑とは裏腹に否応なくIS以後の主要国の覇権争いの泥沼に引きずり込まれようとしている。
その良い例が6月18日に起きた米軍機によるシリア軍機撃墜だ。シリアをめぐる紛争で米軍機がシリア軍機を撃墜したのは初めて。米軍はイラン支援の親シリア政府勢力が、米国の友好勢力、シリア民主軍(SDF)に肉薄したとして親シリア政府勢力を空爆していたが、撃墜事件はその延長線上にある。
しかしシリアのアサド政権を支援するロシアは19日、この撃墜を「国際法のあからさまな侵犯」と非難。シリア上空でのロシア軍機と米主導の有志連合軍機の衝突回避に使われていた取り決めを停止するとともに、米軍機が今後、ユーフラテス川西側のシリア領空で作戦を展開するなら、撃墜すると警告、米ロ衝突のリスクすら浮上する事態になった。
米ロの緊張とは別に、イランはこのほど東部シリアのIS支配地にイラン西部から数発のミサイルを撃ち込んだ。ISに対するイランのミサイル攻撃は初めてで、シリア内戦への軍事介入を本格化させている軍事力を見せつけた。米国はロシアとだけではなく、イランとも偶発的に衝突する危険性に直面している。
IS壊滅と主要国によるIS以後に向けた動きが激化する中、欧州ではイスラム過激派によるテロが多発し、それに対応して反イスラムのヘイトクライムが起きる懸念が高まってきた。混沌としたシリア情勢は欧州でのテロの連鎖を引き起こしながら、危機的な様相を見せている。
ブリュッセル中央駅で自爆攻撃未遂か 現場で射殺
2017年6月21日http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9933
ベルギーの捜査当局は2017年6月20日、首都ブリュッセルの中央駅で自爆攻撃を試みた男を射殺したと発表した。テロ攻撃として捜査している。負傷者はいないもよう。
検察によると、男は駅の構内で小規模の爆発を起こした後に撃たれ、後に死亡したという。
ベルギー紙「ラ・リーブル・ベルジーク」が検察官の話として伝えたところによると、男はリュックサックを背負い、爆弾ベルトを身に着けていた。駅構内の兵士たちに気づかれ、起爆させたという。
構内で働くニコラス・ファン・ヘレウェーゲンさんは、人の叫び声が聞こえたため駅の中二階に降りていくと、現場を目撃したとAFP通信に話した。
「男は『アッラーフ・アクバル』と叫んでから、キャスター付きのスーツケースを爆発させた」とファン・ヘレウェーゲンさんは話している。
「爆発した時、私は壁の裏にいた。下に降りて行って同僚たちに、全員を避難させるよう伝えた。(容疑者は)まだその場にいたが、その後は見えなくなった」
「それほど大きい爆発ではなかったが、衝撃はかなり大きかった。みんな走って逃げていた」
ファン・ヘーレウェーゲンさんは容疑者について、がっしりした体格で日焼けした肌、短髪で、白いシャツとジーンズを身に着けていたと話した。
「電線が出ているのが見えたので、何かを装着しているのが分かった。自爆チョッキだったかもしれない」
商店はシャッターを下し
電車を待っていた弁護士のレミー・ボナッフさん(23)は、爆発直後の現場を撮影した。ロイター通信に対して、近くにいた人たちにけがはない様子で、近くの壁にも損傷は見て取れなかったと話した。
「誰もけがした人はいなかったし、これは要するに未遂事件だったようで、うれしい」とボナッフさんは話した。
爆発直後に駅に着いたアラシュ・アーザミさんはBBCに対して、「駅に入ったとたん、警備員に大声で避難するよう言われた。周りを見ると、通りを走って隠れようとする人たちが見えたので、自分たちもそうすることにした」と話した。
地元ラジオ局によると、中央駅と近くの広場「グランプラス」に避難命令が出され、商店やレストランは店を閉めてシャッターを下すよう指示されたという。
中央駅を通過する地下鉄も、警察の指示で一時的に運行を停止した。
ブリュッセルでは昨年3月、過激派勢力の「イスラム国」(IS)によるとされる空港と地下鉄駅での連続攻撃で、32人が死亡した。ブリュッセル襲撃の実行グループは、130人が死亡した2015年11月のパリ連続襲撃にも関わっていたとされている。
パリでは中心部の繁華街シャンゼリゼ通りで19日、乗用車が憲兵隊の車両に突っ込み炎上し、運転していた男は死亡した。車内からはカラシニコフ銃や拳銃、ガス缶が発見されている。
ロンドンでは19日未明、北部のイスラム教施設の前で白人男性が車で歩行者の中に突入し、1人が死亡、9人が負傷した。英国ではこれに先立ち、5月にマンチェスターのコンサート会場で自爆攻撃があり約140人が死傷、今月3日にはロンドン橋周辺でワゴン車と刃物を使った無差別攻撃が起きている。
《維新嵐》アメリカ軍などの空爆と特殊部隊による幹部暗殺、イラク軍の攻勢などにより、IS自体は弱体化してきているかとは思うのですが、世の中富める者と貧しい者の理不尽な格差や宗教上の確執などが存在する限り、これまた理不尽なテロがなくなることもないのかもしれません。
イラク・モスルでISがモスクを爆破 「国家樹立」宣言の場所
2017年6月22日http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9946
イラク北部のモスルで過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)の掃討作戦が続くなか、イラク軍は2017年6月21日、ISが市内の歴史的なイスラム教礼拝所「ヌリ・モスク」を爆破したと明らかにした。
有名な斜塔があることでも知られるヌリ・モスクは、ISの最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者が2014年にカリフ制国家の樹立を宣言した場所だった。
しかし、ISは系列のアマク通信を通じて、モスクを破壊したのは米軍機の空爆だと主張した。
イラクのハイダル・アバディ首相は、モスクの爆破はISによる「正式な敗北宣言」だとしている。
イラクに駐留する米軍の司令官、ジョセフ・マーティン少将はISが「モスルとイラクの偉大な宝の一つを破壊した」と語った。「これはモスル、そしてイラクすべての人に対する犯罪であり、この残酷な組織がなぜ一掃されなくてはならないのか示す一例でもある」。
ISはこれまでもイラクやシリアで複数の歴史的建造物を破壊している。
国連によると、ISはモスルで10万人以上の住民を「人間の盾」として人質に取っている可能性がある。
昨年10月以来、何千人ものイラク治安部隊やクルド人部隊ペシュメルガ、イスラム教スンニ派のアラブ人部族、シーア派民兵が、米主導の有志連合の戦闘機や軍事顧問の支援を受けISと戦っている。
イラク政府は今年1月にモスル東部を完全に「解放」したと発表。しかし市西部での戦闘は、狭く曲がりくねった道に阻まれ、より困難な展開になっている。
戦闘は「最終段階」に
イラク軍の発表文によると、モスクと「ハドバ」(せむし)と呼ばれる斜塔の両方が爆破された。
モスクの建設は西暦1172年に始まったとされる。
ISは2014年6月にモスルを掌握。その1カ月後、バグダディ容疑者はモスク内にある説教台からカリフ制国家の樹立を宣言した。カリフ制国家とは、預言者ムハンマドの代理人「カリフ」によるイスラム法(シャリア)に基づく統治を意味する。
バグダディ容疑者はそれまで、長年姿を見せていなかった。
ISの主要拠点となっていたモスルで、ISが依然として掌握しているのは旧市街のみ。司令官らは18日に攻撃の「最終段階」を開始すると発表し、イラクの対テロ部隊や陸軍、連邦警察があらゆる方向から攻撃を仕掛けた。
イラク軍によると、モスルへの攻撃が始まった昨年10月には6000人近くいた戦闘員も現在は、300人以下に減っているという。
今週に入り、イラク軍は飛行機からビラを投下し、住民たちに対し広い場所を避け、あらゆる機会をとらえて避難するよう呼びかけた。
赤十字国際委員会(ICRC)は20日、モスル西部から避難してくる民間人に、銃撃や爆撃によるけが人が増加していると警告した。
提供元:http://www.bbc.com/japanese/40363271
ISの拠点陥落すれど、新たに生まれる“新首都”
ISの拠点陥落すれど、新たに生まれる“新首都”
2017年6月29日http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9996
過激派組織「イスラム国」(IS)のイラクの拠点、モスルの奪還が目前に迫ってきた。しかしモスルがイラク軍に制圧されても問題は解決したわけではない。急がれるのはモスルの治安の回復と破壊された市の再建だが、宗派対立や利権争いが待ち構えており、戦後処理を誤れば、ISの復活という悪夢が現実になりかねない。
破壊されたモスル市街(Martyn
Aim/Getty Images)
スンニ派との和解がカギ
イラクは一度、大きな失敗をしている。イラク戦争で侵攻した米軍がサダム・フセイン独裁政権を倒した後、国内は国際テロ組織アルカイダの蜂起で内乱状態に陥った。しかし2007年、米軍の増派とスンニ派部族勢力の協力でアルカイダをほぼ壊滅し、四散させた。このスンニ派部族勢力の協力は「アンバルの覚醒」と呼ばれ、過激派壊滅のモデルとまで言われた。
だが、独裁政権の後に政権を握った多数派のシーア派政権はそれまでの報復の意図もあって、石油収入を中心とした経済的な利権を独占し、スンニ派を政治の場や国家の意思決定から排除した。スンニ派に対する迫害も日常的に発生し、スンニ派地域と住民の政府に対する不満は高まっていった。
イラクの勢力は、南部を中心としたシーア派が人口の60%、中央部のスンニ派が20%、そして北部のクルド人が20%というのが概観。スンニ派だったフセイン政権時代には、少数派が多数派を牛耳っていたわけだが、逆に権力を握ったシーア派政権はスンニ派を追いやり、その怒りと不満を放置した。
ここに付け入ったのがスンニ派のISだ。ISはそもそも、アルカイダ系の過激派と、米軍に打倒されて行き場を失ったフセイン政権の軍人や情報機関出身者の合体組織だ。米軍に追い立てられた組織メンバーは隣国のシリアの砂漠地帯に逃れ、2014年にシリアからイラクに侵攻、モスルなどを占領した。
このISの電撃侵攻がうまくいった背景には、不満を強めていたスンニ派住民らが積極的に協力したという側面も大きい。シーア派政権がスンニ派を軽視せず、利権や政治を公平に分担していれば、恐らくはISの勢力拡大はこれほど成功してはいなかったろう。再び失敗を繰り返さないためには、権力と富をスンニ派といかに共有していくかがカギとなる。
モスルで生き残っているIS戦闘員は約350人。6月21日にはISのモスル占領の象徴的な場所とされる12世紀の「ヌーリ・モスク」を自ら爆破した。現在は旧市街地の1キロ四方に追い詰められ、住民5万人を“人間の盾”にして最後の抵抗を続けている。モスル奪還作戦が始まった昨年の10月には、5000人ほどの戦闘員がいたとされるが、ほとんどが自爆テロやイラク軍の攻撃と米軍の空爆で死亡した。
イラク軍は先週「数日以内に制圧する」としていたが、死を賭したIS側の抵抗で作戦完了にはもう少し手間取るかもしれない。しかし制圧は時間の問題であることに変わりはなく、イラクや米欧の関心は奪還後の治安の回復とモスルの再建に向けられている。
山積する難題
大河チグリス川で分断される人口200万人のイラク第2の都市はこの8カ月間の戦闘でメチャメチャに破壊された。イラクがこうした市の再建の前にまず取り組まなければならないのは、今後の再建の方針や治安回復・維持の方針を決める「暫定評議会」の発足だ。
米国が治安回復で一番重要視している点がシーア派主体のイラク治安部隊に警察権限を与えないということだ。スンニ派の都市であるモスルの住民の中にはISに協力をしていたと疑われる多くの人たちがおり、イラク治安部隊が報復のため拷問や処刑を実行する懸念が強いからだ。
このため治安はスンニ派の警察部隊に担わせる方針だが、警察官の人選から始めなければならない。治安とともに焦眉の急は、地雷や仕掛け爆弾、不発弾など爆発物の処理だ。爆発物の処理が終わらなければ、市のインフラ、水、電気の復旧、がれきの撤去と道路の整備などもままならない。
モスルを脱出した住民約70万人の帰還も必要になるが、家を失った人たちも多く、そもそも帰還できるかどうかも分からない。このほか、食料支援、医療や健康問題の手当、病院の再開、教育や学校の開始などを早急に進めなければならない。
こうした再建には何十億ドルも必要と試算されており、イラク単独でまかなうのは無理で、当然国際的な援助が必要になってくる。日本を含めた西側先進国は1年ほど前からモスル以後に向けたスキームを議論してきており、日本にも相当の支援が求められるのは必至。本当に大変なのはこれからなのだ。
砂漠への一時撤退
モスルを失った後、ISの戦いはどうなっていくのか。モスルはISにとって、イラク領内に残った唯一の大規模拠点だが、今後はイラクとシリアの国境地帯でのゲリラ活動に移り、時折バグダッドなどで自爆テロを敢行するといった作戦に変わっていくのは間違いあるまい。
この点に関しては、2016年8月に米空爆で殺害されたISの公式スポークスマン、ムハマド・アドナニがはからずも“予言”していた形になっていく公算が濃厚だ。アドナニは2007年の壊滅的な状況からISの前身である「イラクのイスラム国」がいかに蘇ったかを強調。
「領土の喪失は敗北を意味するものではない。砂漠に一時的に撤退し、再起を期す」などと述べ、いったんは後退しても再起できると戦闘員らを鼓舞していた。その後、ISのニューズレターもこの「一時的撤退」(インヒヤズ)という考えを宣伝してきた。
ISはシリアでも首都であるラッカで米支援のアラブ民主軍(SDF)と激戦を展開しているが、幹部らはラッカから南東約190キロのマヤディーンに移ったと見られ、同地が“新首都”になりつつある。マヤディーンを含むデイル・ゾール県が「一時撤退」後のISの新たな戦場ということだろう。
先細りになったISが今後、シリアのアルカイダ系過激派である旧ヌスラ戦線に身を寄せる可能性もあり、アサド政権軍やイラン支援のシーア派民兵軍団と、米支援の武装勢力によるIS壊滅に向けた「先陣争い」の混乱に乗じて生き残りを図っていくことになるだろう。
【我が国近海でアメリカ海軍のイージス駆逐艦が衝突大破】
この事件は、テロの可能性はないでしょうか?
報道ではテロについてはふれませんが、米海軍の駆逐艦の損傷状況をみるにつけ、アメリカを狙ったテロではないのか?という疑念もぬぐえません。
米海軍、イージス艦衝突の犠牲者7人の名前を公表
BBC News
2017年6月19日http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9915
静岡県の伊豆半島沖で平成29年6月17日にイージス駆逐艦とコンテナ船が衝突した事故で、米海軍は6月18日、遺体で発見された7人の乗組員の名前を公表した。
米海軍の発表文によると、7人は艦内の乗組員の居住スペースで見つかった。
事故ではこのほか、少なくとも3人が負傷。海軍は衝突の経緯を調査している。
イージス駆逐艦フィッツジェラルドとフィリピン船籍のコンテナ船が衝突したのは17日の午前2時半ごろで、多くの乗組員は就寝していた。事故後、7人の行方不明が明らかになっていた。
フィッツジェラルドは事故後、横須賀基地に曳航(えいこう)された。
米海軍は、ダイバーたちがフィッツジェラルドの損傷部分に入り遺体を発見したと述べた。
米海軍第7艦隊司令官のジョセフ・アウコイン中将は記者団に対し、衝突によってフィッツジェラルドの水位線よりも低い位置に「深い溝」ができたと話した。
アウコイン中将は、浸水が「破滅的に広がらないようにした」乗組員たちの「勇敢な努力」のおかげで、フィッツジェラルドは沈没を免れたと語った。
通航記録によると、コンテナ船のACXクリスタルは衝突の約25分前に急旋回をしていた。航路を変えた理由は現時点で分かっていない。
フィッツジェラルドの航路は公表されていない。
ACXクリスタルへの損傷は、フィッツジェラルドほどではない様子。20人の乗組員から負傷者は出ていない。
遺体で発見されたフィッツジェラルド乗組員7人の名前と年齢は以下の通り。
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ダコタ・カイル・リグズビー(19)
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シンゴ・アレクサンダー・ダグラス(25)
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ゴック・T・トルオン・ヒュン(25)
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ノエ・ヘルナンデス(26)
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カルロス・ビクター・ガンゾン・シバヤン(23)
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サビエー・アレック・マーティン(24)
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ギャリー・リオ・レム・ジュニア(37)
<米イージス艦衝突1週間>回避義務が焦点、究明長期化も
2017年6/24(土) 22:51配信 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170624-00000093-mai-soci
イージス駆逐艦フィッツジェラルド。コンテナ船との衝突で右舷部分が大きく損傷した
(http://www.nikkei.com/content/pic/20170617/96958A9E93819695E3E59AE2818DE3E5E2E4E0E2E3E5E2E2E2E2E2E2-DSXMZO1780115017062017MM0001-PN1-7.jpg)
イージス駆逐艦と衝突したコンテナ船=いずれも2017年6月17日、本社ヘリから
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イージス駆逐艦フィッツジェラルド。コンテナ船との衝突で右舷部分が大きく損傷した
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イージス駆逐艦と衝突したコンテナ船=いずれも2017年6月17日、本社ヘリから
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静岡県伊豆半島沖で米海軍のイージス駆逐艦「フィッツジェラルド」とフィリピン船籍の大型コンテナ船が衝突し、乗組員7人が死亡した事故は平成29年6月24日で発生から1週間。どちらに回避義務があったかなど事故原因の解明には今後、日米間の捜査協力がどれだけ実現するかが鍵となる。だが、イージス艦は軍事機密を搭載しているだけに、米側の協力は難航する恐れがあり、全容解明は長期化も予想される。
事故が起きた海域を管轄する下田海上保安部は、業務上過失往来危険容疑などを視野に、コンテナ船の船長ら乗組員から事情を聴いている。「2船は同じ方向に航行中に衝突した」というコンテナ船乗組員の証言もあるといい、海保は、コンテナ船がイージス艦の右後方からぶつかった可能性もあるとみて、コンテナ船の航海データ記録装置(VDR)の分析を進めている。
事故が起きた海域を管轄する下田海上保安部は、業務上過失往来危険容疑などを視野に、コンテナ船の船長ら乗組員から事情を聴いている。「2船は同じ方向に航行中に衝突した」というコンテナ船乗組員の証言もあるといい、海保は、コンテナ船がイージス艦の右後方からぶつかった可能性もあるとみて、コンテナ船の航海データ記録装置(VDR)の分析を進めている。
捜査の焦点は、どちらに回避義務があったかだ。海上衝突予防法では、2隻の船が交差する場合、相手を右に見る船が回避行動を取らなければならない。追い越しの場合、追い越す船が、追い越される船を妨害してはならないと定めている。
海保関係者は「洋上の衝突事故は道路もブレーキ痕もなく、潮の流れで向きも変わる。どういった航跡で衝突したのかを特定するには、非常に時間がかかる」と指摘。イージス艦については、日米地位協定により米国側に第1次裁判権があり、海保は米軍と捜査協力について協議を続けているという。
米海軍の第7艦隊司令官のジョセフ・アーコイン中将は18日の記者会見で「日本の捜査機関に対しても、必要であれば協力する」と述べた。米海軍作戦部長のジョン・リチャードソン大将も22日、「日米で複数の調査が行われているが、そのプロセスはできる限り早く明らかにされるだろう」と声明を出している。【堀和彦、田中義宏】
【維新嵐】これが米海軍を狙った民間船を使用した海上テロだとしたら、集団的自衛権を行使できる我が国としても、今後の「テロとの戦い」への参戦にも嫌とはいいにくい状況になるだろうし、国防費の増額のきっかけにもなるでしょうね。
【我が国はテロと戦える国家になれるのか?】
かつてオウム真理教による地下鉄サリン事件、その前年に起った松本サリン事件のことを思い返してみると、一概に反対できないものがあります。
日本の国会、対テロ共謀罪の法案可決
BBC News
日本の国会は平成29年6月15日、テロ攻撃の共謀行為を計画段階から処罰できるようにする法案を可決成立させた。「共謀罪」を含む「改正組織的犯罪処罰法」については、国内で反対の声も多い。
安倍晋三首相率いる連立与党などは参院本会議で、採決を強行した。複数の野党は廃案を声高に求めていた。投票総数235票のうち、賛成165票、反対70票だった。
日本政府は2020年東京五輪までにテロ警戒態勢を強化し、国際組織犯罪防止条約の締結に不可欠だと説明してきた。しかし反対勢力は、法律の文言があいまいで、市民の自由を損ない、罪のない一般市民の不当な監視を可能にするなど乱用の恐れがあると批判する。政府は、法に従う一般市民には適用しないと主張するが、反対の声は根強く、法案に反対して国会議事堂前をはじめとする各地で、連日のように抗議集会が開かれていた。
新法は277の対象行為について、計画段階で犯罪とみなし、処罰を可能にする。政府は当初、国際組織犯罪防止条約の解釈上、対象犯罪は676で減らせないと主張したが、 多くの反対に遭い、今国会で「テロ等準備罪」法案に名称を変更して提出する際、対象犯罪を半減させた。
対象行為には、資金調達や現場の下見など犯罪の準備行為が含まれる。「組織的犯罪集団」の一人が、犯罪準備した場合、その集団全体が訴追され得る。集団とはこの場合、二人以上の者と定義されている。
対象行為にはテロの実行に関するものなど重大犯罪も含まれるが、反対する人たちは、音楽の違法コピー(著作権法違反)や保安林のキノコ狩り(森林法違反)など、より軽い犯罪も対象になることを批判している。
これについて政府は、違法な音楽コピーやキノコ狩りなどは犯罪組織の資金源になる可能性があると説明してきたが、毎日新聞は4月の社説で「海の幸の違法採取はどうなのか。盗んだ海産物を売れば資金源になりそうだが、対象犯罪ではない。山と海では何が違うのか」と書き、対象犯罪を選んだ基準が「政府の説明では分からない」と批判した。
採決にあたって自民、公明両党は、委員会採決を省略できる「中間報告」の手続きにもとづき、一方的に参院法務委員会の審議を打ち切り、本会議採決を強行した。
反対勢力はこれについて、安倍首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部を国家戦略特区に新設することをめぐる問題で、首相への追及が続くことを阻止するのが目的だったのではないかと批判している。
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