2015年10月30日金曜日

プーチンもびっくり!ロシアの軍事力&経済

ロシアの“サラミ戦術”に対抗せよ!鍵となる近代的ゲリラ戦
岡崎研究所

20151026日(Monhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/5514

元米国防次官補代理で、2005-06年の国防計画(QDR4年ごとに見直し)の策定を主宰したJim Thomasが、ルーマニアの研究所所員のインタビューに答え、ロシアが限定的・非正規の軍事力を用いてNATOの縁辺諸国を脅かすようになっていることについて、いかに西側が対抗すべきかを述べています。
iStockより
 すなわち、冷戦での西側の勝利は、次の要因による。
 ①ソ連は、米欧の団結を割ることができなかった。特に西欧が団結して中距離ミサイルを配備したことが大きい。
 ②レーガンの国防予算増強にソ連が対抗できなかった。
 ③西側が、Air Land Battle等、新しい戦術を開発した。
 ④米国はAir Land Battle戦術を可能とするため、DARPA(国防高等研究計画局)を活用して技術開発をした。これにより精密誘導兵器、ステルス技術、データ・リンクによる米軍の統合指揮能力の飛躍的向上等、絶対的優位を築くに至った。
NATO加盟国を悩ませるA2/AD
 冷戦終結後、NATOはロシアと基本関係文書に調印し、NATO新規加盟国には核兵器を展開しないこと、新規加盟国の有事には緊急展開兵力の派遣で対処することにした。
 しかし現在のロシアは、空・海双方で敵の接近を撥ね付けるA2/AD(=Anti-Access/Area-Denial)において優れた能力を備えている。戦術核兵器も、A2/AD戦で用いることを明らかにしている。これは、NATOが新規加盟国に緊急展開兵力を派遣することを困難にさせる。さらにロシアは、非正規兵力の使用に長けている。
 ロシアはA2/AD能力でNATOを抑止し、一方で非正規兵力を駆使してクリミアを併合する等、一枚一枚“サラミ・ソーセージを切り取っていくような戦術”を開発したのである。
 同様の戦術は、アジアでも用いられている。漁民、あるいは市民の抗議活動が利用されることもある。
 NATOの縁辺諸国も、自身のロシアに対するA2/AD能力を高めるべきだろう。更に核兵器も含めて、米国・NATO諸国の兵力を縁辺諸国に常駐させることも考えるべきだろう。

縁辺諸国は、敵の浸透・侵攻に対する市民レベルでの抵抗能力も高めるべきである。
 こうすることによって、NATO側は、サラミ戦術のコストがロシアにとって高くつくように仕向ける。反撃用兵力を分散配置するとか、兵器を隠して配置しておくとか、秘密の兵站網を整備する。小型ミサイル、精密誘導砲を備えたトラック移動の「近代的なゲリラ兵力は、非常に有効な手段となる。これまで西側は、敵の攻撃に対して上から目線で「罰」を与えることで抑止しようとしてきたが、これからは敵の作戦を長引かせることで抑止する方向に変えて行かねばならない。
黒海はロシアのA2/AD能力でカバーされた湖のようになりつつあるが、ルーマニアも自身のA2/AD能力を高める必要がある。防空能力、海岸防備能力、そして対戦車兵器、地雷を整備する他、市民防衛体制も整える必要がある。長期的には、沿岸作戦用潜水艦部隊を持ってもいいかもしれない、と述べています。


出 典:Jim Thomas & Octavian Manea ‘Protraction: A 21st Century Flavor of Deterrence’(Small Wars Journal, September 11, 2015

***

 旧ソ連圏諸国はロシアを怖がり、NATOの庇護を求めます。するとロシアは対抗措置を取り、また今度はNATO側がそれに対抗します。果てしない悪循環は対立を嵩じさせますが、日本がどうこう言う筋合いのものではありません。
 バルト諸国、旧東欧諸国の防衛能力強化においては、NATO全体よりも、米国が二国間ベースで対応する例が増えています。つまり、欧州方面においてもアジアと同様、米国を扇の要としたhub&spokesの体制が形成されつつあります。ここにおいては、ドイツが対露、対米関係を如何にもっていくかが鍵となりつつあります。
 日本、アジアにとって意味があるのは、中露のA2/AD能力向上により、中露の周辺では「絶対的優位に立っているはずの米軍」を使用できない状況が出てきているということです。
 上記インタビューでは、西側が「近代的ゲリラ兵力」を整備することが提唱されていますが、その場合、米軍自身がその兵力を提供するのでないと、米国のコミットメントは相対化します。
 上記インタビューでは、当然のことながら、小笠原列島周辺での中国漁船の行動、南シナ海における中国軍の行動のような「海におけるサラミ戦術」は議論されていません。日本はこれも含め、南西諸島の防衛等、対策を米国とともに練っていくことが求められています。
 日本が今、米国と調整しなければならないのは、中露のサラミ戦術への対応だけではありません。核の傘、中露海軍協力への対応、オホーツク海での活動調整などもあります。
米国無人機を低コストに無力化・ ロシア軍の秋季演習
 小泉悠 (財団法人未来工学研究所客員研究員)

2015年10月初頭にロシアが実施したシリア領内への巡航ミサイル攻撃は、世界に大きな衝撃を与えた。ロシアが冷戦後初めて、中東に軍事介入を行ったことに加え、西側の専売特許と思われていた長距離精密攻撃をロシアが実施し得たこともその背景にはあると思われる。
 実際、今回のシリア介入では、ロシアは巡航ミサイル攻撃に加えて衛星誘導兵器やレーザー誘導兵器を用いた精密攻撃を展開し、依然として西側に比肩する水準ではないにせよ、作戦能力の回復を強く印象づけた。
NCWという新しい軍事作戦の遂行方法
 だが、現代戦においては個々の兵器やその運搬手段の性能だけでなく、目標の捜索・監視、情報の伝達、部隊の指揮・通信等を効率的に実施するためのC4ISR(指揮・統制・通信・コンピュータ・インテリジェンス・監視・偵察)能力が死活的な重要性を有するようになった。このような能力を中心に据えた現代的な軍事作戦の遂行手法は、NCW(ネットワーク中心の戦い)と呼ばれる。
今年夏、モスクワ航空宇宙サロン(MAKS2015)で展示された電子戦システム(筆者撮影)
 2008年のグルジア戦争では、ロシア軍は精密攻撃能力だけでなく、近代的な指揮・通信能力や目標捜索・監視を行う無人偵察機の欠如を露呈し、徹底的な軍改革の必要性が叫ばれる結果となった。
 2014年に始まったウクライナへの軍事介入や今回のシリア介入でロシア軍が旧来型の作戦遂行能力を大きく回復させたことが実証されたが、NCWのような目に見えない領域における作戦能力の進展度合いはこれまでほとんど明らかになっていなかった。たしかにウクライナ紛争では、ロシア軍は強力な電子戦を展開し、ウクライナに送り込まれた米軍事顧問団さえその能力を高く評価するに至ったと伝えられるものの、電子の世界におけるロシア軍の実力はなかなか見えにくい。

 こうした中、9月に実施されたロシアとベラルーシの合同演習「同盟の盾」演習の模様を伝えるロシア国防省の機関紙『赤い星』に、その実態を垣間見せてくれる興味深い記事が掲載されたので紹介したい。
(翻訳)
 オレグ・パチニューク「ハッカーの試みは失敗する」『赤い星』2015915
 916日、ロシアとベラルーシの合同作戦演習「同盟の盾2015」が終了する。両軍が実施した訓練における特徴的のひとつは、航空戦力と電子戦機材の活発な使用であった。軍の通信部隊では、敵のハッカーによるサイバー攻撃の撃退も実施された。
 合同演習「同盟の盾2015」のシナリオは、ロシア及びベラルーシの軍人によって三つの演習場(キンギセップ、ストゥルーガ・クラスヌィエ、カメンカ)で実施された。連合国家地域連合部隊の空挺部隊は、プスコフ州ストゥルーガ・クラスヌィエで任務を遂行した。同地では、プスコフ州に駐屯する空挺師団とベラルーシ特殊作戦軍のスラブの兄弟が限りなく実戦に近い条件下での戦術行動を演練した。

同訓練には、約150点の軍事機材が投入された。空からは、西部軍管区の航空部隊に所属するKa-52ヘリコプターが火力支援を実施した。Ka-52攻撃ヘリコプターの編隊は、降下に先立って仮想敵部隊に対する攻撃を行い、降下地点の安全を確保した。
現代的な電子制圧手段
 21世紀の武力闘争がますます高度技術化し、無人化システムによる偵察及び攻撃を特色とするようになったことに鑑み、「同盟の盾2015」演習では現代的な電子制圧手段が活発に使用された。
 西部軍管区の電子戦部隊は、演習の第二段階において、仮想敵の無人機を妨害するために「ジーチェリ」自動電子妨害システムを使用した。「敵」は無人機を使用して連合国家地域連合部隊の隷下部隊に関する情報を入手し、主攻方向を特定しようと試みた。しかし、西部軍管区広報部長のオレグ・コチェトフ中佐によると、電子戦部隊は「ジーチェリ」妨害ステーションを用いて敵UAV(無人機)の管制及び情報伝達周波数を特定し、妨害電波を発振して通信回線をブロックした。この任務は、「ジーチェリ」のオペレーターがUAVの管制システムを妨害する一方、同地域における我が航空機の活動は妨害しないようにするという複雑なものであった。
 電子戦部隊が空中で「敵」と戦う一方、通信部隊はバーチャル空間での戦いを繰り広げた。演習シナリオにおいて、非合法武装勢力の「ハッカー」達は、情報の撹乱及び欺瞞情報の流布を目的として地域連合部隊の通信回線にネットワーク攻撃を仕掛けようとした。そこでサイバーテロリストからの防護のため、通信部隊はネットワーク攻撃の監視システムを運用した。
 もちろん、ハッカーや「ゲーマー」達と、我が通信部隊の戦いの詳細を明らかにすることはできない。ここでは、通信部隊が機器コンプレクス及びプログラムにインストールされた「ファイヤーウォール」を用いて機器類の機能状態を間断なく監視したとだけ言っておこう。
 「ファイヤーウォール」は侵入の試みを即時に通知し、その後、オペレーターは手動で攻撃側コンピューターをブロックするとともに、三つある予備回線(ケーブル、衛星、又は電波回線)のひとつへと通信を移行させた。
こうした訓練はすべてのシナリオで実施され、それぞれのシナリオでは3-4回のサイバー攻撃が実施された。
 (後略)
米軍のステルス無人偵察機をハッキングして強制着陸させる
 この記事の興味深い点は主に次の二点である。第一に、依然として無人偵察機戦力で劣勢にあるロシアは、それが電波によって敵の操縦者と紐づけられている点を逆手に取って電子妨害を行い、その無力化を図っている。これまでにも、イランがそれまで存在さえ知られていなかった米軍のステルス無人偵察機RQ-170をハッキングして強制着陸させた事例が知られているほか、ウクライナ紛争でも、ロシア側、ウクライナ側双方がこうしたオペレーションを実施していると言われる。

米国の無人機を低コストに無力化する
 米軍が世界の戦場で実施しているような大規模な無人偵察機の運用には、グローバルな通信ネットワークの確立など多大のコストを要するが、ロシアの戦略は、これをより低コストに無効化する「非対称」型戦略と言えよう。ロシアは米軍の世界的な軍事活動を支えるGPS衛星測位システムの妨害手段にも注力していると言われ、米軍もこれに対抗してGPSに依存しない測位システムの開発を進めているほか、米海軍大学では最近、六分儀による位置測定を15年振りにカリキュラムに含めたことが報じられている。
 これまでは通信インフラの安全性を前提として組み立てられてきた米国の軍事戦略が再考を余儀なくされる可能性をこの演習は示していると言えよう。もっとも、ロシア軍自身も最近では無人機を大々的に活用するようになってきており、ロシア軍の「非対称」戦略は諸刃の剣という側面もある。
 第二に、サイバー攻撃が通常の軍事作戦と一体化する形でロシア軍の演習に組み込まれている点である。ロシア軍は従来から電子戦総局を中心にサイバー戦能力の拡充に努め、2011年には国防省が『サイバー戦概念』と呼ばれる将来のサイバー戦に関する文書を公表している。この文書では、サイバー戦を従来の軍事作戦の延長線上に捉え、将来的に通常戦とサイバー戦が一体となった戦場空間の出現を予見しているが、すでにこうしたビジョンが演習に取り入れられていることは興味深い。
 従来、ロシアが実施したサイバー攻撃としては、大量の「サイバー民兵」を動員して政府機関にDDoS攻撃を仕掛けた事例が複数知られているが、今後は銃弾の飛び交う戦場でもサイバー攻撃が想定される時代になっていることをこの演習は示唆している。当然、専守防衛の概念を持たないロシアは自国が敵野戦軍に対して攻勢的なサイバー戦を行うことも想定してよう。
 また、この演習の後に実施されたロシア軍の中央軍管区秋季大演習「ツェントル2015」では、「アンドロメダ-D」自動指揮通信システムが初めて大規模に使用されたほか、記事中で触れられている「ジーチェリ」電子妨害システムなど150基が投入されたという。詳しくは明らかになっていないが、こうした大規模演習での電子やサイバーの世界で目には見えない激しい仮想戦闘が繰り広げられたに違いない。
 今後はこうした面でもロシアの軍事力の動向に注目すべき時代が来ているようだ。


知れば安心! ロシアビジネス

プーチン大統領の85% ロシア人気質とは?

中村繁夫 (アドバンスト マテリアル ジャパン社長)

20151027日(Tuehttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/5537

 ロシアには多くのアネクドート(小咄)がある。何度もモスクワに行くうちに、笑いのツボが判ってくる。普通の日本人はロシア語が理解できないからロシア人が笑っていてもサッパリ笑えない。例えば、こんなアネクドートがある。
 “旧ソ連の独裁者が死んで天国の門を叩いた。天国の門番は「お前は地獄行きだ。帰れ」といった。数日たってから天国に無数の難民が押し寄せた。門番が良く見る無数の難民たちは地獄の鬼の大群だった。”
 とざっと、こんな具合だが虐げられている国ほどブラックジョークは冴えわたるようである。また、こんなアネクドートもある。
 “真夜中にプーチンが台所に来て冷蔵庫を開けた。すると、プリンがブルブルと震えた。大統領はこう言った。「心配するな、ビールを取りに来ただけだ」”
 このアネクドートはロシア人が好んで喋るアネクドートで北朝鮮で同じような軽口を云えば本当に逮捕されるかもしれない。
 プーチンは日本人にとっては一見、冷酷なイメージがあるようだが実は結構お茶目なところもある。ロシアの国民は力強い指導者に人気が集まる。特にロシアの女性は妥協を許さないくらい男らしいタイプが好きなようだ。シリアへの爆撃についても、チェチェン紛争時代からプーチン大統領は一貫してテロとの戦いの姿勢は変わらない。
 ウクライナ問題でも理路整然とロシアの正当性を主張している。欧米(NATO)からの経済制裁についても断固とした姿勢を崩さないからロシア国内の人気は一向に陰ることはないようだ。最高指導者に就任してはや15年になるが、いまだにプーチンの人気は85%を維持している。経済は破たん寸前だというのに、こんな高い支持率を持っている大統領など聞いたことはない。
 ロシア人は我慢強い民族である。旧ソ連の崩壊の時もそうだったがハイパーインフレの中でもアネクドートを口にして厳しさを笑い飛ばせるところがある。
ロシアの「つるふさの法則」って知ってるか?
 ロシアの最高権力者には禿げ頭と髪ふさふさの大統領が交互に現れるというジョークがある。ロシア人は酔っぱらいながら、こんな話ばかりしてウオッカを飲むのが大好きである。
 まずはじめは、社会主義革命を成功させた禿げ頭のレーニンである。その次が髪ふさふさの独裁者スターリンだ。続いてベリヤでマレンコフ、次が有名なところでキューバ危機のフルシチョフでその次がブレジネフである。
 続いて禿げのアントロポフで次がチェルネンコ、1985年にペレストロイカを始めたゴルバチョフは知っての通りのあざ付の禿げ頭である(てっきり当時は北方領土の地図のシミかと思っていた)。
 そしてフサフサの白髪の大統領のエリツィンで、ついに2000年にはプーチンになる。2008年にメドベージェフになり、2012年は再び禿げ頭のプーチンの返り咲きである。
 まあ、見事な偶然だがプーチンの次が気になって夜も寝られないロシア人もいるかもしれない。

さて、そのプーチン大統領が今年は日本に来ると言いながら結局来なかった。ソチオリンピック以来、安倍首相はプーチン大統領に訪日の実現を打診してきたが、欧米のロシアへの経済制裁のために日本側も足並みを揃えなければならないので結局先送りになっているようだ。
逆さ地図から見る日露関係の新発想
 今年の8月にはプーチン大統領が北方領土を訪問しているが領土交渉の実現を考えているとの見方も多い。その後も93日~5日まで、極東ウラジオストクで経済フォーラムを開催した。プーチン大統領が自ら極東開発について日本の資本投資や技術協力についての可能性を打診したが、日本からの参加者よりも中国や韓国からの参加者の方が多かった。
 プーチン大統領の本音は中国でもなければ韓国でもないのに日本人はあと一つロシアに対して拭いきれないような誤解があるようにも見える。井上靖の小説『おろしや国酔夢譚』主人公の大黒屋光太夫がエカテリナ2世に謁見した時からも日本政府はロシアには冷淡であった。海外情勢を豊富に知る光太夫は生涯軟禁されて一生を送ったようだ。当時から日本は大陸からの視点を持つという事はなかったようだ。
 日本から見た極東の地図を逆さにするとロシアにとって日本列島がいかに重要であるかが理解できる。日本人でこの逆さ地図を見れば、シベリア開発が大変身近なものだとわかるのだが、自由貿易を標榜する産業人ですら、いまだにロシアからの視点で発想する人物は少ないように思うのは私だけだろうか?
日本に最も近い欧州沿海州にエルミタージュやプーシキン美術館を移設せよ
 日本の資本や技術提供なしに極東経済の発展はないことは明らかで、極東共同開発のテーブルに、北方領土のカードをロシアは乗せたくて仕方がないのである。ロシアの友人に聞いたところ日本を嫌いなロシア人など滅多にいないが、日本人はなぜかロシアを誤解していると言っている。そんな誤解を解くためには双方の交流を進めるしか王道はないように思われる。
 例えば、今年の9月の経済フォーラムが行われたウラジオストックは新潟から飛行機でたった1時間半のところにある。成田からの直行便もある。2時間10分のフライトである。日本からの一番近いヨーロッパなのに日本人旅行客はサッパリである。
 私自身はこれまでロシアには60回以上の訪問をしているが、ロシア人ほどおおらかで親日的な国民はそうはいない。表面的にはとっつきが悪いから日本人が誤解しているのである。この際、産業面の協力だと言っても時間ばかりかかるからロシア文化で交流を進める事を提案したい。
 今年の34日に東京の学士会館で「ロシアセミナー」を開催した時のことである。私の勝手なお願いでロシアのアファナシエフ大使にロシア民謡を大使館の子女に歌って貰う事を依頼した。大使は快く私の願いを聞き入れてくれた。その結果、会場には素晴らしい友好の輪が広がった。
 この発想をさらに広げるなら、サンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館やモスクワのプーシキン美術館やトレチャコフ美術館のコレクションを極東のウラジオストックやハバロフスクに時々持ってきて展覧会をして貰いたい。
ロシア民謡を歌い踊ってくれた大使館の子供たち
 さらにモスクワのボリショイ劇場を夏の間だけでも極東で公演してくれたら芸術好きの日本人がロシアに喜んで大挙して訪問することは確実だ。私にしてみれば「少なくとも北方領土の返還よりも簡単ではないか」と思うがプーチン大統領は何と答えるだろうか?
2回ロシアビジネス交流会では何が起こるか分からない
 そんなこともあって日露の友好関係をさらに深めるために、来る1112日に第2回ロシアビジネス交流会というイベントを企画している。目的は日露の経済関係を深化させることであるから私の尊敬している著名な日露の経済人を招聘して行われるものである。
 すでに書いたように今年の34日にも東京でロシアセミナーを行って大成功している。この事実を見ても分かるが、日本人の多くの経済人は日露取引を期待していることは明らかなのだが、何から手を付けるべきなのかが分からないのである。私の答えは単純明快である。まず会ってみて、話してみて、意見交換から疑問を出してみて、ロシア人の反応を見れば何事も簡単に理解できるはずである。
 無論、複雑な問題もあるだろうが、政治的な領土問題は棚上げにしてまずは経済関係をスタートさせることから始めればよいだけの話である。
 今回のパネルディスカッションでは不肖ながら私が司会を務めさせて頂く。
タイトルは「大国ロシアのこれからとビジネスチャンス」である。参加いただく論客は以下の先生である。下斗米伸夫 (法政大学)、谷本正行 (国際協力銀行 資源ファイナンス部門 石油・天然ガス部長)、Alexander Vladimirovich Kravtsov YAR Bank 会長)、司会: 中村繁夫 (アドバンストマテリアルジャパン)
 経済を知るためには総合的な分析が必要になってくるから色んな議論がなされるだろう。ロシア人はもちろん、ロシア通が多く集まることになると思う。情報、人脈を一挙に強化できるいい機会であり、本当のロシアの状況を勉強できるチャンスなのでぜひご参加をご検討頂ければ幸いである。無論、今回はさらにバージョンアップして一緒にロシア舞踊やロシア音楽も企画している事は言を待たない。
関連リンクここから、申し込んで頂ければ幸甚である。)
 




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