2015年10月5日月曜日

人民解放軍30万人削減計画を発表!解放軍近代化と効率化を促進のため!?実体経済は闇の中。

【中国軍30万人削減】近代化と海空軍強化
岡崎研究所

20151002日(Frihttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/5421

 習近平が打ち出した人民解放軍30万人削減計画について、Diplomat誌のティエッツィ編集員が、その目的が軍の効率化・近代化にあると中国当局が公式に認めていること、また、陸から海空重視への転換には抵抗もあり得ることを、98日付同誌ウェブサイトで報告しています。 

  すなわち、習近平は、第二次大戦終結70周年記念の大規模軍事パレードの直前(93日)の演説で、人民解放軍30万人削減を発表した。習は、兵員削減を人民解放軍の「世界平和維持の高貴な使命を実行」へのコミットメントの一環と位置付けたが、軍事アナリストたちは、この動きは中国の軍事力近代化を推進する一環としての人民解放軍の再編であるとの見方で一致している。
 93日の兵員削減の発表は、1980年代以来なされてきた削減と再編の長い歴史に沿ったものである。人民解放軍の規模は、1985年に10万人、1997年に50万人、2003年に20万人、そして今回30万人と、4回削減されている。
 中国国防部の楊宇軍報道官は記者会見で、「兵員削減は世界平和の維持への中国の真摯さと切望を表し、国際的な武器管理と軍縮を進展させようとする中国の行動と責任ある態度を示すものである」と述べたが、なぜ削減がなされるのか更なる詳細を訊ねられると、その回答は、中国の平和へのコミットメントではなく、軍事改革プロセスに焦点を置いたものだった。 楊は「兵員削減を通じ、中国軍は、規模をさらに調整、最適化し、より能力を高め、軍の構造がより科学的になり、中国的特徴を持った近代的な軍事システムを構築することになろう」と説明した。さらに、削減されるのは、時代遅れの武器を装備した部隊、事務職員、非戦闘部局の人員である、と指摘し、「兵員削減は、リソースのプール、軍の情報化のスピードアップと改善に資するであろう」として、中国軍の縮小が中国の国益を守る能力を低下させないことを強調した。楊は、兵員削減は人民解放軍の改革の新しいラウンドの始まりに過ぎず、さらなる改革計画を打ち出していくことになろう、とも言っている。
 新華社の記事も軍の改革という考えを支持し、「軍の構造に揺さぶりを与え、利益を調整する処置が既に動き出しているので、軍のオーバーホールは後戻りできない段階に入った」と述べ、他方、改革のプロセスに抵抗し得る「特殊利益集団」からの脅威についても指摘している。今月5月に発表された中国の新しい国防白書は、中国海軍の役割拡大を求めているが、「陸を海より重視する」との伝統的な考えの変更は、海空に対して優位を享受してきた陸軍の軍人からの抵抗に直面し得る。
 今後2年間、兵員削減がレトリックから現実のものに進展するに従い、新しいよりスリムな人民解放軍を再定義する改革と再編を注視する必要がある、と指摘しています。

出典:Shannon Tiezzi,The Real Reason China Is Cutting 300,000 Troops’(Diplomat, September 8, 2015
http://thediplomat.com/2015/09/the-real-reason-china-is-cutting-300000-troops/
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 30万人の人民解放軍の削減計画の意図についての本論評でのティエッツィの指摘は、妥当であると思われます。
 この削減計画により、全体の予算は削減され、資金の再配分が行われることとなるでしょうが、それでも2017年に削減が完了した後でさえ、兵員200万人を擁する中国解放軍は世界最大の軍であることに変りはありません。
 今後の資金の配分においては、とくに本年5月公表の「国防白書」が述べているように、陸よりも海空に対してより多くの資金が割り当てられるものと考えるべきでしょう。それは海洋膨張主義を目指す中国の優先事項でもあります。
 今回の軍事パレードにおいて、いくつかの注目すべき兵器の機種が展示されました。これらの詳細については軍事専門家の分析が待たれるところですが、中でも注目すべき兵器は、巡航ミサイルを搭載できる第4世代の戦略爆撃機(「轟(H6K」)が登場したことです。空中で発射できる巡航ミサイルを保有しているのは米露と中国だけとなりました。
 また、初公開された対艦弾道ミサイルの「東風(DF21D」は海面に近づくと、弾頭の方向を変えて対象艦船に命中出来ると言われ、空母を保有する米軍にとっては看過できない兵器です。
 東シナ海、南シナ海、台湾海峡での有事の際には、これらの兵器が使用可能となることを米、日、台湾、東南アジア諸国などに印象付けるというのが中国の意図でしょう。これら兵器は沖縄やグアムの米軍基地を狙うことが出来るだけではなく、中国に接近する米空母にも対応が可能です。
 振り返れば、1996年、「台湾海峡の危機」の際には、急派された米空母2隻の前に、何もできなかった中国は、いまや、接近する米軍への大きな牽制力を有することを見せつけました。パレードに展示された新兵器の性能が中国軍によって現実的にどの程度使用可能の域に達しているのか、はっきりしない点はありますが、少なくともそれら兵器を保有していることを誇示出来たことは、今後、西太平洋における米軍のプレゼンスにも影響を及ぼす可能性があるでしょう。
 なお、海空重視への抵抗の可能性については、そうしたことを封じるべく、習近平の人民解放軍掌握を更に強化していくことになるのでしょう。

 習近平氏の人民解放軍30万人削減の意味が、軍の近代化にあることは、記事からわかりましたが、あくまで外国の予想であるという点は、留意しておくべきかと思います。

中国軍が30万人“リストラ”へ、再就職険しく~習主席が近代化改革を表明
20151127 2139http://news.livedoor.com/article/detail/10884910/
  2015年11月27日付の中国人民解放軍の機関紙、解放軍報などによると、中国の習近平国家主席(中央軍事委員会主席兼務)は26日の軍の重要会議で、人民解放軍の管轄区「軍区」を統合し「戦区」に再編することなどを柱とする大規模改革を実施する方針を表明した。
 軍の近代化を推進するとともに、新しい人材を積極的に登用し軍の掌握を進めたい狙いがあるとみられる。一連の軍改革は2020年までに完成することを目指している。
 同紙によれば、北京で開かれていた中央軍事委員会改革工作会議で同方針が発表された。基調講演を行った習主席は「人数や規模を重視する軍隊から質、効率を重視する軍隊への転換を推進する」と強調した。東シナ海と南シナ海で米国や東南アジアとの緊張が高まっていることを念頭に、陸軍を中心とした現在の軍構成を改め、海、空軍の戦闘力も強化。陸、海、空に戦略ミサイル部隊の第2砲兵も加えて4つの軍の指揮系統を一本化し、「統合作戦指揮部」を創設することも明らかになった。
 総参謀部などで構成する軍中枢組織の「4総部」も見直す予定で、陸軍の指揮機構を新設するとされる。
 また、中国軍は現在、地域ごとに全国で7つの軍区が設けているが、それを4から5の戦区に統廃合するとみられる。縦割りをなくして、中央軍事委員会が各戦区に設けられる統合作戦組織に直接命令を下すようにするといい、作戦の指揮能力の向上と運用の効率化を高める考えだ。
 共産党関係者によると、いまのところ、7大軍区のうち、瀋陽、蘭州、済南の三つの軍区を廃止し、南京、成都、広州、北京の4つの軍区をそれぞれ東西南北の4つの戦区に改める案が有力だという。
 しかし、廃止される瀋陽軍区と蘭州軍区は、昨年から今年にかけて失脚した制服組とトップだった徐才厚氏、郭伯雄氏のそれぞれの出身軍区である。この二つの軍区が廃止されることは、粛清的意味が強い。現在の軍指導者の多くは郭、徐両氏の息がかかっており、「粛清は今後も徹底的に続けられる」と受け止められ、多くの関係者は戦々恐々としているという。
 改革とともに、軍縮も同時に進められ、兵力230万人のうち30万人が削減される予定だ。しかし、削減対象のうち、半分以上が将校だといわれている。彼らの再就職は難しいとされる。また、中国では近年、復員軍人に対する社会保障も不十分で、地元政府の財源不足のため復員軍人手当を支給しない現象も各地にあり、元軍人による抗議デモなどが頻発している。軍現場で「政府は私たちの面倒を見てくれるのか」といった不安の声も多い。

※やはり人民解放軍30万人削減計画は、ほんとうのことでした。いよいよ軍内部を「近代化」してアメリカに対抗すべく海洋覇権主義を進めるということなんんでしょうか?


 日中「海上連絡」暗礁に…日本案に中国側反対
2015105 841http://news.livedoor.com/article/detail/10669159/読売新聞

 東シナ海での自衛隊と中国軍による偶発的な衝突を防ぐ「海上連絡メカニズム」の創設をめぐり、日本側が示した合意文書案に中国側が反対していることが201510月4日、わかった。
 日本は、中国軍による沖縄県・尖閣諸島周辺への侵入を防ぐため、連絡メカニズムの対象範囲に領海・領空を加えないよう提案したが、中国は応じていない。
 両政府は2007年4月、安倍首相と中国の温家宝(ウェンジアバオ)首相による会談で、連絡メカニズムの設置を含む防衛交流の推進で一致した。具体的な防衛当局間協議は08年4月に始まり、尖閣諸島の国有化後にいったん中断したものの、昨年11月の日中首脳会談での合意を受け、今年1月に再開された。
 これまでに
〈1〉自衛隊の海上・航空幕僚長と中国海軍・空軍司令官との間に緊急通報用電話(ホットライン)を設ける。
〈2〉艦船や航空機が接近した場合は通信要領に沿って連絡を取り合う――ことなどで一致した。

 日中連絡メカニズムは、人民解放軍の動向を把握する上で、日中が軍事的に手の内をみせあうことで不用意な武力衝突、紛争を防止するという意味があるのでしょうが、だからこそ琉球列島や先島諸島での共産中国側の軍事行動を秘匿しておきたいのかもしれません。だとしたら、この事実一つみても共産中国の軍事的な「領土的野心」がみえていると判断していいかもしれません。
 今回の30万人削減計画が海軍空軍の効率化近代化にあると当の共産中国側が認めていたとしても、それだけが理由とも思えません。
 なぜなら中国当局の「公式発表」の信ぴょう性については、国際的に「疑念」がもたれている点もあるからです。
 将来的な経済低迷の「長期化」と予算の減少を考えた時に、予算的な都合によっては、軍規模の縮小もあり得ることを人民解放軍自体に示した側面もあると考えるのは、詮索すぎることでしょうか?
 共産中国の実体経済については、GDP数値についても不安はぬぐえないようです。


【国家ぐるみ“粉飾決算”に疑念】中国GD
P統計にIMF「改善の余地」と注文
上海支局長・河崎真澄
2015.10.4 11:00更新 http://www.sankei.com/premium/news/151004/prm1510040027-n1.html



 発展途上国が世界経済をこれほど左右する時代は、近代史でも例をみない。ドル建て国内総生産(GDP)で2014年に米国の約60%、日本の2倍を超える規模にまで膨れあがった中国。この国のさまざな政策や統計発表に、日米欧の金融市場は敏感に反応し、大きく振り回される。
 一方で、密室で知らぬまに決定される政策や信頼性を欠く経済統計の数値など、明らかに発展途上国の特徴を残したままだ。その規模と透明性のアンバランスさに、先進国はいらだちを強めている。
 中国国家統計局が2015年1~6月のGDP成長率を前年同期比7・0%としていることについて、ロイター通信は9月30日、多国籍企業の幹部13人への取材を通じ、9人までが「実感は3~5%成長」と答えたと報じた。いわば中国の統計は“話半分”との皮肉を込めたとも受け取れる。
 ロイターに限らず多くのメディアや専門家が、中国の実体経済が不調なのにもかかわらずGDPのみが一定の水準を保ち続けている統計の矛盾を相次ぎ指摘してきた。


 中国国家統計局は反論のひとつとして9月9日、GDP算出方法の見直しを公表。四半期ごとのデータで直接算出する方法で、季節要因をより的確に反映する手法を取り入れ、10月19日に発表する7~9月期のGDP統計から採用することを決めたという。
 エコノミストによると、それでもなお算出手法の詳細は明らかではなく、どこまで国際基準に近づくか不透明だという。実際、中国の発表を受けて国際通貨基金(IMF)は9月17日、中国に対してGDP統計にさらに改善の余地があると注文をつけ、信頼性に重ねて疑問を投げかけた。
 09年の政権交代後、隠されていた財政赤字が明るみに出たギリシャの債務危機を発端に、欧州経済が突如、嵐に巻き込まれた教訓を、IMFは生かそうとしているのかもしれない。万一にも虚偽の経済統計が国家の名の下で公然と発表されていたとすれば、上場企業なら“粉飾決算”として糾弾されるべきことだ。
 ただ、専門家の間では「故意のGDP統計操作というよりは、基礎的なデータの精度の低さや、物価上昇分を差し引いて実質の伸び率を求める算出方法の稚拙さ」を問題視する声がある。9月30日までの7~9月期の四半期GDP統計が10月19日に発表されるというスピード感も、逆に怪しいと言わざるを得ない。


 傍証でいえば、中国の8月の輸出は前年同月比5・5%減と2カ月連続マイナス。輸入は同13・8%減で10カ月連続の減少だった。個人消費の代表格である新車販売台数は8月まで5カ月連続でマイナスを記録した。こうした実体経済の脆弱(ぜいじゃく)さから、7%成長の実現など想像しにくい。
 個別統計の信頼性にも疑念は残るが、それでも貿易や消費の数値が減少傾向を明確に示した点は注目に値する。加えて、かつて李克強首相が遼寧省トップだった07年、GDPより重視すると発言したとされる(1)電力消費量(2)鉄道貨物取扱量(3)銀行融資-のいずれも下降する傾向にある。
 李氏の発言から一時は3つの指標が「李克強指数」ともてはやされたが、省レベルの地域経済と国家レベルの経済情勢を見極める指標は、自ずと異なる。李氏はむしろこのところ「雇用情勢」を経済や社会の安定の基礎と考えて発言するケースが多く、香港メディアの一部は「新李克強指数」などと命名し始めた。
 中国共産党政権は毛沢東時代から、大衆の不満をいかに押さえ込んで社会安定を維持するかに腐心してきた。雇用安定は物価安定と並ぶ最重要課題。李氏は「GDP1%成長で年間130万~150万人の新規雇用が生まれる」などと説明した。単純に1%で150万人なら1050万人の新規雇用を生む計算だ。


 中国人的資源・社会保障省がまとめた都市部の新増就業者数は、10年の1168万人から14年には1322万人までGDP成長率と交差する形で増大する傾向にある。
 実際に新規雇用がかくも増えたとすればご同慶の至りだが、都市部失業率は10年の4・19%から14年は4・09%と不気味なまでに安定し、GDPとはなんら連動しない。農村部や出稼ぎ労働者を除外した統計でもあり、香港メディアが李氏を持ち上げるために命名したような国家レベルの経済を類推する指標にはなるまい。大衆の反発を招かぬための公式発表と指摘されても、反論は難しかろう。
 習近平国家主席が10年の任期を迎える23年までに、米中GDP逆転が起きるとみる専門家も多い。それもまずは正確な統計あってのことだ。

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