2016年8月16日火曜日

問答無用の尖閣諸島への侵略行為② ~中国共産党内の勢力争いのせいか?~

 尖閣諸島において我が国「接続水域」(領海侵犯にはなっていない)へ侵入し、無法行為を働く共産中国の漁船集団とは何者なのか?
 海上保安庁はついに現地の状況を、ネット動画にて公開しました。共産中国による生々しい「海洋侵略」の実態です。戦闘艦にて派手に攻撃するのではなく、「漁民」=民間人を大量に送り込み、領海領土の既成事実を作り、重ねていく。新しい時代の「侵略」の形態ですね。

尖閣諸島周辺海域にひしめく中国漁船や公船
海上保安庁が動画を公開

尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域で中国海警局の公船と漁船が活動を活発化させている問題で、海上保安庁は平成28815日、同海域の様子を撮影した動画を公式ホームページに公開した。同庁の巡視船や航空機で5~9日に撮影したもの。動画は7つあり、いずれも無音声。撮影時間は計約4分になる。
 同海域では当時、200隻を超える漁船が操業。8日には、過去最多の計15隻の公船が同時に接続水域や領海を航行していた。

 動画では、魚釣島を背景に、狭い水域内にひしめき合う漁船や公船、対応する巡視船が映し出される。また、巡視船が多数の漁船を監視したり、領海に進入した公船と漁船に退去を要求する様子も見ることができる。

尖閣上陸の映像、海保が公開。

漁業監視船が尖閣近海へ

以上の動画は過去の動画。最新の動画については、海上保安庁のオフィシャルサイトへアクセスしてみてください。



尖閣に押し寄せる大量の中国船、東シナ海と南シナ海問題が連動する理由
小原凡司 (東京財団研究員・元駐中国防衛駐在官)

20160812日(Frihttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/7532

著者 小原凡司(おはら・ぼんじ)

東京財団研究員・元駐中国防衛駐在官

1963年生まれ。85年防衛大学校卒業、98年筑波大学大学院修士課程修了。駐中国防衛駐在官(海軍武官)、防衛省海上幕僚監部情報班長、海上自衛隊第21航空隊司令などを歴任。IHS Janesを経て、131月より現職。
201686日午前8時過ぎ、尖閣諸島の接続水域に中国海警局の巡視船6隻が侵入し、周辺海域に中国漁船約230隻が出現した。同日午後には、海警局の巡視船1隻が加わって7隻が接続水域に侵入し、8日に至って、海警局の巡視船及び他の公船の隻数は15隻、漁船の数は400隻にも上った。
 一体、これが、単なる漁業活動だと言えるだろうか? 日本政府の再三の抗議にも、中国は公船の活動を低下させるどころか、エスカレートさせている。後述するが、日本と中国は、互いに互いが自分をけん制していると考えているため、状況がより複雑になってしまっているのだ。
尖閣沖に現れた中国公船 (提供:第11管区海上保安本部/AP/アフロ)
 今回の中国公船及び漁船の活動は、「軍事力ではなく法執行機関の船舶等を用いて尖閣諸島周辺海域における優勢を高め、日本の実効支配を崩す」という中国の戦略に沿ったものだ。しかし、これだけあからさまに日本を挑発するには、理由がなくてはならない。中国指導部は、「日本のことを不愉快に思っている」ということを示したのである。
 中国が不愉快に思うのは、日本が南シナ海問題への関与を強めていると考えるからだ。安倍政権の内閣改造も影響している可能性がある。日本が南シナ海問題から手を引くよう、東シナ海で緊張を高め、日本をけん制しているのだと言える。
「南シナ海問題において日本は無関係」
という中国の考え
 しかし、これは日本の見方である。中国は、「日本が中国をけん制している」と捉える。中国では、「中国が東シナ海における行動を鎮静化するよう、南シナ海における中国の行動を日本が繰り返し批判し、国際社会における中国の立場を悪化させることで、中国をけん制している」と考えられているのだ。
 そのため、中国は、「日本が南シナ海問題を利用して中国をけん制しても、中国は東シナ海における行動を抑えることなどない」ということを示そうとしている。尖閣諸島周辺に、中国海警局を始めとする法執行機関の巡視船と漁船を大量に送り込み、中国は尖閣諸島を実効支配でき、またその意思があることを示そうというのだ。
中国は、「日本は南シナ海問題に全く無関係だ」と考えているということでもある。中国が南シナ海を領海化しようとするのは、米国が中国の発展を妨害するのを阻止するためである。中国は、米国の軍事攻撃を真剣に恐れている。
 南シナ海全体を中国のコントロール下におこうとすることで、周辺の東南アジア諸国と軋轢を生じていることは、中国も理解している。しかし、それは、中国にとってみれば、中国と当事者である東南アジアの国との間の領土紛争である。しかも、中国を防衛するために東南アジア諸国が「少々の」犠牲を払うことは「仕方がない」ことなのだ。
 そして、この中国のストーリーの中に、日本は出てこない。「無関係であるにもかかわらず、日本は米国の尻馬に乗って中国を叩いている」と考えるから、余計に日本に腹を立てるのだ。さらに、中国は、こうした日本の行動には、南シナ海問題以外に目的があるからだと考える。中国の認識では、その日本の目的が、尖閣諸島を巡る領有権争いにおいて、日本が有利に立つことなのである。
 つまり日本と中国は、双方とも、「相手が自分をけん制している」と考えている。そして、中国は、中国に対するけん制など効かないということを実力で証明しようとしているのだ。日本からすれば、それは中国の誤解である。日本は、南シナ海における状況に無関係な訳ではない。もちろん日本は、中国をけん制するために、南シナ海問題において中国に嫌がらせをしている訳でもない。単に、「国際的な問題を解決するのに軍事力等の暴力的手段を用いない」という最低限のルールを守って欲しいだけだ。
中国の「被害者意識」と「権利意識」
 日本と中国では、南シナ海問題の認識の仕方がまるで異なる。日本にとって、南シナ海は重要な民間海上輸送路である。「誰にでも開かれた海」という原則があって、初めて日本のシーレーンは安全に航行できる輸送路になる。日本は、「中国が軍事力や法執行機関という実力を行使する組織を用いてこの原則を変えようとしている」と受け止めている。そして、それは、「暴力的手段を用いれば国際的なルールを変えられる」という国際社会の出現につながるものだと考えるからこそ、中国がとる手段に反対するのである。
 一方の中国にすれば、南シナ海問題は、中国を防衛するために必要な安全保障上の問題に過ぎない。国際秩序に対する挑戦であるということを、中国は認めようとしない。そもそも、中国にしてみれば、現在の国際秩序は欧米諸国が勝手に決めたものに過ぎない。それを中国が守る必要などない、というわけだ。中国の認識によれば、国際秩序や国際社会のルールは、大国が決めるものなのだ。中国がプレイすべきは、大国間のゲームだと認識しているのである。「認識している」というより、「信じている」といった方が正しいかも知れない。
これまで、自分たちの利益のためなら軍事力でも用いてきた欧米諸国、特に米国が、ひとたび自分たちの権益が満足するレベルに達したら、自分たちの権益を守れるように作ったのが、現在の国際秩序であり国際的なルールだと考えるのだ。そのストーリー中では、中国は「欧米諸国に不当に抑圧される被害者」である。「戦勝国であり大国である中国が、本来、国際秩序を形成すべきであるにもかかわらず」という前提が付くことによって、被害者意識はさらに高まり、鬱憤が溜まることになる。
 中国は、このような強い被害者意識と権利意識を背景に、「強くならなければ、いつまでも不当に抑圧される」と考える。実際に、中国の研究者たちは、「中国が軍備を増強して強くなったからこそ、米国が中国に対する態度を変えた。米国は、中国と衝突を避けなければならないと考えるようになったので、事態をエスカレートさせないように慎重に対応するようになった」と主張する。中国の軍事力増強が地域を安定させ、中国の安全を保障していると言うのである。
尖閣問題において「対等」を狙う中国
 この考え方は、東シナ海にも適用されている。中国は、「これまで、尖閣諸島周辺海域で日本の海上保安庁が圧倒的に優勢を保っていたために、尖閣諸島領有に関する議論は常に日本有利に進められてきた」としている。そして、中国が海警局を強化し、大量の漁船による漁業活動を展開するようになって、日中の勢力が対等になった今、尖閣諸島の領有について日中が対等な立場で議論できるようになったと言うのだ。
 問題は、中国が言う「対等」とは何かである。現状が不公平だと言う認識では、現状を変えることができて初めて公平だということになる。「対等」であるという意味は、中国が勝てる状態のことを言っているに等しい。
 一方で、中国の研究者等は、日本の対応を非常に気にかけている。会って話をすると、必ず、「日本はどう対応するのか?」と質問してくる。しかも、表現を変えつつ、何度も質問されるのだ。例え、挑発的な行動に出たとしても、中国の本音は、日本と軍事衝突したくないのである。日本と軍事衝突すれば、米中戦争にエスカレートする可能性がある。そして、米中戦争になれば、中国は敗北する。
 中国が狙うのは、日本が海上警備行動を発令しない範囲において、尖閣諸島の実効支配を奪うことである。日本が手を出しにくいように、少しずつエスカレートさせてきたのだ。しかし、今回の事案で、中国側が日本の出方に神経質になっているのは、自分たちでも「エスカレーションの度合いが強かった」と認識しているからに他ならない。
背景にあるのは権力闘争か
 それにもかかわらず、なぜ中国は、大量の漁船と公船を送り込むという行動に出たのだろうか? そこには、中国の内政、特に権力闘争が関係している可能性がある。習近平主席とその周辺、或いは習主席の「やり方」に反対するグループのいずれかにとって、日本を怒らせ騒がせることが、有利に働くということだ。
 そのどちらが仕掛けているのか断定することはできないが、状況からは、習主席の「やり方」に反対するグループが、習主席に外交上の失点を上積みするために、日本に危機感を抱かせ、国際社会に働きかけさせようと企図したように見える。今、日本が国際社会に「中国の悪行」を吹聴して中国が困るのは、G20の直前だからだ。
 2016年のG20サミットは、中国の杭州で、94日及び5日の2日間の日程で開催される。議長国である中国は、この場で他の参加国の首脳から非難の集中砲火を浴びるようなことになれば、完全に面子を失う。外交の大失態どころか、習主席の権威さえ脅かしかねない。
 中国の研究者たちによれば、中国国内で、王毅外交部長(日本で言う外務大臣)がG20前に訪日するという噂が囁かれているという。中国は、自分で日本を怒らせるようなことをしておきながら、G20の場で中国を非難しないように日本に働きかける、という訳だ。同じ人間が指示しているとしたら、おかしな話だ。
 さらに今回の事案が中国国内の権力闘争に関係していると考えさせるのは、中国が大量の漁船と公船を尖閣周辺海域に送り込んできたのが、中国で北戴河会議が開かれている時期だからである。北戴河会議とは、毎年夏に共産党の高級幹部が北戴河という避暑地に集まり、5年に1度の党大会に向けて、党の方針や人事等の調整を行う会議である。
 現地では、自らの保身・出世のために、家族ぐるみで様々な工作が行われると言う。2000年代半ばころから「北戴河会議はなくなった」とも言われるが、自分だけが行かなかった場合のリスクを考えれば、恐ろしくて「行かない」という選択をすることは難しい。結局のところ、現在でも、夏の北戴河には、党の指導者たちが集まっている。
 今年の北戴河は熱いだろう。習主席とその「やり方」に反対するグループの闘争がし烈になっているだろうからだ。大量の漁船や公船が尖閣諸島周辺海域にやって来たのは、まさにこの時期なのである。本来であれば、中国の指導者たちは、権力闘争以外の問題にかまっている余裕などないはずである。その時期に起こった事案は、権力闘争に利用するために起こされた可能性があるのだ。
独裁体制を目指す習近平?
 中国の権力闘争が激しくなったのは、習主席の「やり方」が、他の指導者たちにとって受け入れられないものだからだと考えられる。表には出てこないものの、習主席の「やり方」とは、政治局常務委員制を廃止することではないかと言われる。常務委員制を廃止するということは、集団意思決定体制を廃止し、習主席が一人で全てを決定する独裁体制にするということなのだ。
 胡錦濤前主席は、習主席に全ての権力を移譲する際、江沢民派の影響を削ぐために、政治局常務委員を9名から7名に削減した。習主席は、いきなり常務委員を無くすのではなく、4名に削減することを考えているとも聞く。4名だと、22になって、最終的に習主席が決定するという構図だ。習主席の常務委員削減は、胡前主席の削減とは全く意味が異なる。
 来年秋の19回党大会に向けて、中国共産党内の権力闘争は激しさを増すだろう。それまでの間は、外交は権力闘争の道具程度にしか扱われない可能性もある。尖閣諸島周辺海域に存在する大量の漁船や公船が引き上げるかどうかは、まず、北戴河会議において、仕掛けた側が、満足する程度に相手が失点したと考えるかどうかによるだろう。もし、習主席の失点が十分でないと考えれば、G20に向けて、さらに行動をエスカレートさせる可能性もある。
 日本に対する強いけん制の意味があることは間違いがなくとも、日中関係が主たる問題ではないとすると、日本の対応は難しくなる。日本が中国に対して何を働きかけようが、中国の関心は国内政治にあるからだ。
 日本に対する強硬な姿勢に中国の権力闘争が影響していることは、中国の研究者たちも認めるが、大量の漁船と公船を送り込んだのは習主席側であるという話も聞く。習主席の政策に批判的な指導者たちの反対を抑え込み、党内の結束を図るために日中間の危機を演出しているというものだ。中国国内政治は、日本で言われるように、「太子党(或いは紅二代)」、「共青団(共産党青年団)」、「江沢民派(或いは上海幇)」間の闘争といった単純な構造ではない。個人の権益等によって、合従連衡を繰り返している。そのために、北戴河会議のような場が重要なのだ。中国の権力闘争の様相がよくわからないように、内政が対外政策に及ぼす影響の度合いも計ることは難しい。
問われる日本の覚悟
 しかし、日本にとって、その理由がどうであれ、尖閣諸島周辺海域に中国が大量の漁船と公船を送り込んできている事実が重要である。中国が力の信奉者であるとすれば、日本が自衛隊を使用しないと考える範囲において、エスカレートする行動を止めることはない。また、日本が抗議しても、中国に非があるとは考えないだろう。それどころか、強く抗議をすれば、「日本が国際社会を煽っている」とさえ捉えかねない。
 日本は、中国との間で、軍事衝突を避けるための議論を進めなければならないのは当然である。一方で、中国の行動を止めるためには、最終的に日本は自衛隊を使用しなければならないことを覚悟しなければならない。その時に、国際社会から非難されないためには、普段から、尖閣諸島周辺海域における中国のエスカレーションの状況を、日本国内外に明確に知らしめなければならない。そして、実際に衝突した際には米軍が必ず参戦するよう、腰が引け気味の米国を巻き込んでおかなければならない。
 危険な状況になりつつある尖閣諸島を巡る状況に対して、日本がやらなければならないことは多いはずだ。「その時に日本はどう対応するのか」についての議論は、一刻も早く始めなければならないのではないだろうか。

【東シナ海への漁船団大量出撃の理由】

尖閣で挑発の中国・習近平指導部、国内での引き締め狙う


【北京=矢板明夫】中国の漁船と公船が連日のように尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に押し寄せ、日本への挑発を繰り返している。ここ数年南シナ海への外洋拡張を続けてきた中国が、再び東シナ海にシフトし始めたことを強く印象づける。共産党関係者は「習近平国家主席周辺が主導している。日本との緊張関係を作り出すことが目的だ」と指摘した上で、現在河北省の避暑地で開かれている党の重要会合、北戴河会議で「党内の結束を訴え、反対意見を封じ込めたい思惑がある」と分析した。
 この関係者によれば、共産党長老と現役指導部らが参加する北戴河会議は7月末に始まったもようで、党長老らの習指導部に対する批判が高まることは必至だといわれている。内政面では最近景気が低迷し、各地でデモが頻発。仲裁裁判所の裁定では中国が「核心的利益」と主張する南シナ海問題で“全面敗北”し、米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国への配備が決まるなど、外交面でも失点が続いた。
 党長老たちはいらだち、李克強首相と習氏の経済政策における対立も深刻化しているという。党内には李瑞環・元政治協商会議主席ら改革派長老を中心に、習指導部が主導する現在の対外強硬路線を改め、日米などと協調を図るべきだといった意見が強まっていると証言する党幹部もいる。


これらの意見に対抗するため、習指導部は東シナ海で挑発行為をすることで意図的に日本との緊張関係を作り、国民の危機感を高めようとしているようだ。

 今回、尖閣周辺に230隻の漁船が同時に押し寄せた。事前に綿密に準備し、ほとんどが浙江、福建省から出発したものとみられる。両省はいずれも習氏の元勤務地で、習氏周辺や地方指導者と深い関係にある。習氏の側近で、人民解放軍の羅援少将は数年前から、軍の地方組織、人民武装部が民兵を訓練して漁船に乗せて海洋権益を守るべきだとメディアで提言している。今回、漁船に乗っているのは新しく訓練された民兵の可能性もある。

《維新嵐》 自国民に危機意識をもたせるために、公船と漁船団を東シナ海に送り込む。漁民ではなく、正式な軍事訓練をうけた「海上民兵」でした。もう理屈抜きで南西諸島、沖縄を守るしかありませんな。南西諸島防衛の支度ができるころには、もう手遅れになっているかもしれません。そうならないためには、兵装を準備は「スピード&チャージ」で進めてほしいです。ドクトリンの研究も同様です。

習近平政権、日本支配の打破へ新段階・南シナ海関与を牽制も
尖閣へ集結の中国漁船約230隻、乗り込むのは軍事訓練受けた漁民か?

【北京=西見由章】尖閣諸島(沖縄県石垣市)の周辺海域に中国が漁船約230隻を集結させたのは、日本の実効支配を崩すため新たなステージに踏み出そうとする習近平政権の明確な意思がうかがえる。南シナ海問題への関与を牽制(けんせい)する狙いもあるようだ。
 これだけ大量の中国漁船が尖閣諸島周辺に集まったのは、日中平和友好条約締結のため国家指導者、鄧小平が来日する半年前の1978年4月に100隻以上の中国漁船が集結して以来とみられ、極めて異例だ。当時、漁船の一部が日本領海に侵入し、領有権問題の存在をアピールした。
 今回も漁船に乗り込んでいるのは「射撃などの軍事訓練を受けた漁民」(中国軍事研究者)で、中国当局や軍の意を受けて動く民兵の一種とみられる。
 中国当局は安倍晋三政権の内閣改造で、安倍首相に政治信条の近い稲田朋美氏の防衛相起用などを受けて政権の「右傾化」を警戒。今後の南シナ海問題への関与強化に対抗する狙いもあるようだ。
 先月12日にオランダ・ハーグの仲裁裁判所が南シナ海における中国の主権を全面的に否定する判断を示して以降も、中国は海洋進出の既成事実を積み重ねる姿勢を崩していない。今後、行動をエスカレートさせる可能性もある。

 中国が大量の船や大型船を尖閣周辺に出せば海上保安庁による対応は難しくなる。中国は海上警備行動の発令を「軍事力の行使だ」として牽制しているが、日本側の毅然(きぜん)とした対応が求められている。

【東シナ海への漁船団大量出撃の実態】
漁民に偽装した解放軍兵士が漁船を操って尖閣諸島沖合や南シナ海へ。
漁船の移動を海洋侵略の先兵とする国家。共産中国流「戦わずして勝つ」ための戦術。
「海の人民戦争だ」中国漁船に乗り込んだ海上民兵の実態とは 100人超動員、日本への憎しみ教育受ける


© 産経新聞 提供 出発を待つ中国漁船=福建省(矢板明夫撮影)

【福建省泉州市(中国東南部)=矢板明夫】尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の海域に平成28年8月、中国公船20隻以上とともに押し寄せた400隻以上の中国漁船に、訓練を受けた多数の海上民兵が乗り込んでいることが分かった。複数の中国漁業関係者が明らかにした。一連の行動は、中国当局が尖閣諸島の主権をアピールするため計画的に実行。海上民兵は、他の漁民を束ねるとともに、周辺海域の地理的状況や日本側の巡回態勢に関する情報収集などの任務を担っているという。
 福建省の漁業関係者によれば、8月上旬に尖閣周辺に集まった漁船には少なくとも100人以上の海上民兵が乗り込み、大半が船長など船を指揮できる立場にいる。彼らの船には中国独自の衛星測位システムが設置され、海警局の公船などと連携を取りながら前進、停泊、撤退などの統一行動をとる。帰国後は政府から燃料の補助や、船の大きさと航行距離、貢献の度合いに応じて数万~十数万元(十数万~約300万円)の手当てがもらえるという。
 地元の漁民によれば、福建省や浙江省の港から尖閣近くに向かうには約20時間かかり、大量の燃料を使う。また、日本の海上保安庁の船に「作業を妨害される」こともあるため、通常は敬遠する漁民が多いという。

しかし、今年の夏期休漁期間中の7月、複数の漁船は当局から「(漁が始まる)8月に釣魚島(尖閣諸島の中国名)に行くように」と指示されたといい、その際、海警局の護衛がつくことを示唆されたという。
 中国当局は今回の行動のために海上民兵を動員し訓練を重ねたとされ、福建省石獅市では7月下旬、160人の海上民兵が同市にある大学、泉州海洋学院で軍事訓練を受けた。浙江省でも同様の訓練を実施。海上民兵に日本への憎しみを植え付けるため、「南京大虐殺」や「甲午大海戦」(日清戦争の黄海海戦)といった映画を思想教育の一環として鑑賞させたという。
 常万全国防相も出発前の7月末、浙江省の海上民兵の部隊を視察し「海上における動員準備をしっかりせよ。海の人民戦争の威力を十分に発揮せよ」などと激励した。
    
 中国で「民兵」とは、退役軍人などで構成される準軍事組織で、警戒や軍の物資輸送、国境防衛、治安維持などの役割を担う。このうち漁民や港湾労働者らなど海事関係者が組織するのが海上民兵といわれる。
 中国の民兵は、改革開放当初の1970年代末は3千万人いたのが、2011年には800万人まで減少した。しかし、海上民兵だけは重要視され増強される傾向にあり、中国の軍事専門家によれば、現在は総勢約30万人の海上民兵が存在するという。

海上民兵が近年、一層重視されるようになったのは、2013年4月、中国の習近平国家主席が海南島の海上民兵部隊を視察して激励したのが契機とされる。その後、南シナ海に武装した海上民兵部隊が出現。東シナ海に面する福建省と浙江省でも同様の準備が進められている。
 毛沢東時代の海上民兵の主な仮想敵は台湾だったが、近年は東、南シナ海での緊張の高まりとともに、仮想敵は東南アジア諸国と日本になったという。

 地元紙によると、浙江省の海上民兵、漁船船長の徐文波氏が今年2月、地元の軍区から「重大な海上軍事任務を完遂した」として「二等功」を授与され、表彰された。具体的な任務は伏せられたが、記事には「約20時間も航海した」との記述があり、距離からして尖閣諸島周辺での任務を実行した可能性もある。

《維新嵐》 海上民兵は、「軍人」としての扱いはされません。民兵を「侵略」の先軍として動員する以上自衛隊の防衛出動は不可能ですね。我が国側に「軍事訓練を受けた漁師」はいません。民兵を国軍として動員することは国際法違反ともいえますが、相手の主力が民間人であれば、海上保安庁の仕事になります。

【海上自衛隊の反撃はじまるか?】

【尖閣防衛】ミサイル開発へ…23年度の配備目標
読売新聞                                                       
政府は、沖縄県・尖閣諸島などの離島防衛を強化するため、新型の地対艦ミサイルを開発する方針を固めた。
飛距離300キロを想定している。宮古島など先島諸島の主要な島に配備する方針で、尖閣諸島の領海までを射程に入れる。2017年度予算の防衛省の概算要求に開発費を盛り込み、23年度頃の配備を目指す。中国は尖閣周辺での挑発行動を繰り返しており、長距離攻撃能力の強化で抑止力を高める狙いがある。
開発するのは、輸送や移動が容易な車両搭載型ミサイル。GPS(全地球測位システム)などを利用した誘導装置を搭載し、離島周辺に展開する他国軍艦などを近隣の島から攻撃する能力を持たせる。13年に閣議決定した防衛計画の大綱(防衛大綱)では、離島防衛強化が打ち出されており、開発はこの一環だ。


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