2016年6月8日水曜日

【米中戦争の様相】アジア安全保障会議で互いの主張を譲らず~利権をかけた外交戦~

【アジア安全保障会議】実弾の飛ぶことのない米中の既得権益をかけた「戦争」

アジア各国の首脳が集まった場であるだけに南シナ海の人工島領有の問題で一歩も譲らない共産中国の姿勢とASEANなどの周辺国との連携で共産中国の軍事力、政治力の行使を抑止したいアメリカとの間に「ここまでで手をうとう。」という妥協の考えはないようです。政権交代後のフィリピン、カンボジアの現行政権の動向が気になりますね。


中国が南シナ海問題で攻勢


共産中国、10カ国超と二国間会談・南シナ海情勢で包囲網分断に躍起
2016.6.4 20:35更新 http://www.sankei.com/world/news/160604/wor1606040051-n1.html

 シンガポールで開催中のアジア安全保障会議では、南シナ海の軍事拠点化を進める中国に対し、米国が関係国を牽引する形で懸念が表明された。不快感を強める中国は、会議と並行して二国間会談を積極的に展開し、“分断工作”を加速させている。
 「米国と周辺国は行動を起こすことになる」。カーター氏は、中国が南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島に続き、スカボロー礁(黄岩島)の埋め立てに着手した場合の対応を問われ、こう断言した。
 中国は2012年、スカボロー礁からフィリピンを追い出した。同礁は比ルソン島から約200キロに位置し、軍事拠点化されればフィリピンに展開する米軍も脅かされる。
 これに対し、中国の軍関係者は「他国も埋め立てをしている」とし、中国への非難集中に不満を述べた。だがカーター氏は、中国の最近の行動がはるかに過剰であると指摘して反論を退け、各国と連携した「法の支配」の圧力を強めた。
 一方、南シナ海の領有権で中国と衝突するベトナム軍の高官は201663日、シンガポールで、中国の孫建国副総参謀長と会談した。中国国営新華社通信によると、ベトナム側は、中国艦船の国際港への寄港を打診したという。南シナ海をにらむ要衝のカムラン湾も対象かは不明だが、先月のオバマ大統領訪越で友好関係をうたった米国としては警戒を要する動きだ。


中国国防省によると、孫氏はシンガポール滞在中、オーストラリアなど10カ国以上の軍幹部と会談し、関係強化を確認した。米国や日本と距離を置きつつ、対中包囲網を切り崩す狙いであるのは明らかだ。

「ある国は武力ひけらかし徒党組み」中国軍高官が米に反撃
国際司法判断も“ノー”「南シナ海は昔から中国のものだ」
2016.6.5 18:08更新 http://www.sankei.com/world/news/160605/wor1606050022-n1.html
 アジア太平洋地域を中心とした国防関係者らが、地域の安全保障問題について意見交換するアジア安全保障会議(シャングリラ対話)が201665日、閉幕した。最終日は、中国の孫建国副総参謀長が講演し、南シナ海情勢について「一部の国が問題を過熱させている」と述べ、関与を強める米国を強い調子で牽制(けんせい)した。
 孫氏は、中国が「領海」と主張する人工島の周辺海域に艦艇を航行させる米国を念頭に、「ある国は『航行の自由』を都合良く解釈して武力をひけらかし、徒党を組んで中国に対抗している」と反発した。
 また、南シナ海の全域を中国の管轄下とする主張は不当として、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に提訴したフィリピンを批判し、近く示される判断も「受け入れない」とした。
 孫氏は地域の安全保障と関連して、中国主導で設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)や現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」などを挙げ、「中国と周辺国が互いに利益を得る新しい秩序が必要だ」と力説した。

会場からは、中国が南シナ海で力による実効支配を強める姿勢に質問が相次いだが、孫氏は「南シナ海は昔から中国のものだ」などと自説を延々と繰り返した。
 また、米国が計画する高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備についても言及し、「地域の安定に危険を及ぼす」として反対姿勢を改めて示した。

米中が激突「孤立招きかねないのは彼らだ」…“踏み絵”に揺れるASEAN各国
2016.6.5 18:47更新 http://www.sankei.com/world/news/160605/wor1606050024-n1.html
 今年のアジア安全保障会議は、南シナ海の軍事拠点化を進める中国と、「法の支配」による国際圧力を模索する米国が激突する構図が強まった。非難合戦をエスカレートさせる両大国から“踏み絵”を迫られた形の東南アジア諸国には、困惑が深まっている。
「一部の国や人々が、いまだに冷戦時代の思考と偏見で中国を見ていることを懸念する」。中国の孫建国副総参謀長は201665日の講演で不満を爆発させた。質疑応答では、カーター米国防長官の前日の対中批判を指して、「思考に壁を築き自らを孤立に招きかねないのは彼らの方だ」と米国を非難。「(中国の)孤立は将来もない」と言い放った。
 「多くの国はむしろ昨年より友好的だ」と豪語した根拠は、会議と平行し十数カ国・組織と分刻みで行った、二国間協議にあるようだ。4日に会談した「親中派」のカンボジアの高官は「カーター氏の主張は誤りだ」と孫氏を支持した。
 一方、一緒に登壇したベトナムのグエン・チー・ビン国防次官は、南シナ海問題で適切な対処がとられなければ「兵器レース」が起きかねず「予測不能なリスクが生じる」と指摘。「国際法に基づく秩序」を訴えて、米国に同調した


南シナ海問題に一致団結して対応するとしてきた東南アジア諸国連合(ASEAN)は揺らいでいる。常設仲裁裁判所が中国の領有権主張について近く下す判断について、共同声明を模索するが、「中国に一部加盟国が配慮しているため対応がまとまらない」(外交筋)という。そもそも今回提訴したフィリピンが、ドゥテルテ次期大統領が中国との対話路線への転換姿勢を示しており、孫氏は「旧政権の重荷の除去を期待している」とほくそ笑む。
 一方、ケリー米国務長官は5日、訪問先のモンゴルで、中国が南シナ海の人工島上空などへの設定を検討している防空識別圏について「挑発的で不安定化を招く動きだ」と指摘。孫氏は今回は言及を避けた。
 北京で6日に始まる「米中戦略・経済対話」でも、米中両国が激しい応酬を繰り広げる可能性がある。(シンガポール吉村英輝)

EUFOP作戦になるのでしょうか?
「海軍艦艇を派遣しよう」中国に対抗、フランス国防相がEU各国へ呼びかけへ
2016.6.5 16:50更新 http://www.sankei.com/world/news/160605/wor1606050016-n1.html
 フランスのルドリアン国防相は201665日、欧州連合(EU)各国に対し、南シナ海の公海に海軍艦艇を派遣し、定期的に航行するよう近く呼び掛ける考えを明らかにした。シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で述べた。

 ルドリアン氏は、EUは「航行の自由」によって経済的利益を得ているとし、南シナ海情勢を懸念していると主張。「EU各国の海軍は、アジアの海域で目に見える形のプレゼンスを確保するため協調できるのではないか」と話した。(共同)


ASEAN加盟国には共産中国と経済的関係の強い国もありますからね。
カンボジア、タイなど


【米中戦略経済対話・北京】南シナ海問題・軍事拠点化へ時間稼ぎ・常設仲裁裁判所の判断に中国の理屈は通らない

米中戦略・経済対話で、南シナ海問題をめぐる応酬があり、ケリー米国務長官は「国際法と国際ルールに従うよう求める」と述べた。
 単純明快で当然の要求である。
 係争海域の岩礁を埋め立てて人工島を造成し、軍事施設を建設する行為は力による現状変更であり、露骨な国際ルールの無視だ。だが、中国側は耳を貸さない。
 来年初めに政権交代を迎えるオバマ米政権にとって、中国との本格的な対話の、残された数少ない機会でもあった。
 政権が交代しても対話の枠組みを維持し、中国に対し、国際社会の当たり前の要求を突き付けていくしかあるまい。
 米中対話の冒頭、習近平国家主席は「しばらく解決できない争いもある」とし、それにより「両国関係が障害を受けることを避けねばならない」と述べた。
 国際社会の批判と懸念の声をかわし、軍事拠点化への時間を稼ぐ思惑なのだろう。国際ルールを守るより、投資協定の協議を急ごうとするなど、自らの利益だけを追求する姿勢が目立った。
 注目したいのは、近く予定される常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)の南シナ海問題をめぐる判断である。フィリピンが国連海洋法条約に基づき、中国の領有権主張に根拠はないなどと訴えを起こした。
 中国は審理を欠席したが、国際社会の関心が集まり、対応に苦慮している。判断の内容はもとより、問われるのは、中国が判断に真摯(しんし)に耳を傾けるかどうかだ。


 「南シナ海の島々は古くから中国領だ」(中国の楊潔●国務委員)という理屈が、国際司法判断に勝るわけがあるまい。
 中国は南シナ海問題の「当事者同士の解決」(同)を主張している。領有権を争うフィリピンやベトナムとは軍事力、経済力で大差があり、またもや力で周辺国を抑え込もうとしている。
 これが、中国のいう「大国」である。
 米中対話では、北朝鮮の核・ミサイル問題への対処で協力することで一致した。両国間には協力が欠かせない分野もあるが、中国の人権問題など対立点は数多く残されている。
 こうした面でも日本は米国と連携し、粘り強く改善を働きかけていく必要がある。
●=簾の广を厂に、兼を虎に



【共産中国のAIIB、A2/AD戦略に対抗する戦略】環太平洋圏規模での「自由主義」「民主主義」による価値観外交の集合体TPPの問題

TPP早期批准に暗雲で焦るオバマ政権
岡崎研究所
20160602日(Thu)  http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6890

オバマ米大統領が、201652日付のワシントン・ポスト紙に、「TPPは世界貿易を中国ではなく米国が主導することを可能にする」との論説を寄稿し、TPP協定のメリットを訴え、早期批准を改めて求めています。オバマ大統領の論旨は、次の通りです。

TPPが米国経済強化することを訴えるオバマ
 この6年で、米国のビジネスは1400万の雇用を生み出した。この進歩を続けるため、我々は経済成長のあらゆる方策を追求する必要がある。今日、世界で最も大きな経済的機会はアジア・太平洋地域にある。この地域での貿易拡大は米国のビジネスに利益であり、中国を含む競争相手との状況を改善する。
 中国はこの最も早く成長している市場を確保するために貿易取り決めを交渉している。先週、中国と15カ国は年内に地域包括経済連携協定(RCEP)に合意するために豪州で会合した。この協定は政府補助を得ている企業や国営企業による不公正な競争を防止しない。自由で開放されたインターネットを保護しない。知的財産権も十分に尊重していない。環境、労働基準も低い。
 一方、米国がルール策定に関わるTPPは、米国経済を強化する。TPPは世界経済のほぼ40%を占める12カ国を含み、私企業が国営企業と公正に競争しうるようにしている。インターネットも自由で開放的なものにしている。知的財産権保護も強化している。18000の税の撤廃など、貿易障壁を取り除き、公平な競争環境を作っている。TPPが発効すれば、米国企業はその製品をより多く輸出でき、もっと高賃金の職を作りだす。

米国抜きの地域統合への危機感表すオバマ
 この協定は米国の国家安全保障も強化する。我々の経済が戦略的に重要な地域の諸国と密接な関係を持てば、米国はより強く、より安全になる。
 もしTPPが現実にならないと、これらのいずれも実現しない。アジア・太平洋地域は米国なしでも経済統合していくだろう。我々は主導するか、あるいは脇で傍観するかのいずれかである。TPPをやらないと、米国の商品は高い関税など貿易障壁に直面する。米国の会社は他国の会社と公正に競争するチャンスを失う。もし公正な競争ができれば、米国の労働者も企業も、誰にも負けない。
 私(オバマ)は、TPPについての人々の懐疑心を理解する。しかし、我々が世界経済から孤立することは大きな機会を逃すことになる。その代りに米国は主導してルールを作るべきである。米国やパートナーが作るルールに他国を従わせるべきで、その逆にすべきではない。
 TPPはそうする力を我々に与える。だからわが政権は議会指導者とTPPに超党派の支持を得るために努力している。遅くなるほどTPP通過は難しくなる。世界は変わり、ルールも変わりつつある。中国のような国ではなく、米国がそのルールを描くべきである。
出 典:Barack ObamaPresident Obama: The TPP would let America, not China,lead the way on global trade’(Washington Post, May 2, 2016
https://www.washingtonpost.com/opinions/president-obama-the-tpp-would-let-america-not-china-lead-the-way-on-global-trade/2016/05/02/680540e4-0fd0-11e6-93ae-50921721165d_story.html
オバマ大統領がここで主張している内容は、従来の主張の繰り返しであり、特に新味はありません。しかし、正論は何度でも繰り返す必要があります。この段階でオバマ大統領が改めてこういう主張をワシントン・ポスト紙に寄稿したことには意味があります。
大統領候補者全員がTPPに反対
 共和党は大体自由貿易支持で、TPPには賛成の人が多いですが、クルーズ氏の撤退で共和党の大統領候補にほぼ決まったと思われるトランプ氏はTPPに反対です。民主党のサンダース氏もTPP反対です。ヒラリー・クリントンは従来TPP支持でしたが、民主党の指名獲得の必要性から、今のままのTPPには賛成しがたいと言っています。こういう中で、オバマ大統領としては、改めてTPPのメリットを訴えておきたいと思ったのでしょう。
 大統領選挙終了までに米国がTPP批准をすることは困難ではないかと思われますが、米国が批准しないと、発効要件(参加国のGDP85%の国の批准)が満たされず、せっかくの交渉成果が無に帰してしまいます。オバマ大統領の任期は来年120日までです。その任期中にオバマ大統領には、ぜひとも議会を説得し、批准まで終えていただきたいと思います。
 次期大統領の可能性が高いヒラリー・クリントン政権まで先延ばしすると、選挙中の発言に縛られて、格好をつけるための再交渉などの声が出て、微妙なバランスでできている協定が壊れかねません。
 日本としても、早く批准し、もう後戻りはできないという状況を早く作ることがオバマを支援すること、またはクリントンが選挙中の発言に縛られないことを促すことになるのではないかと思われます。

【軍事的にはRIMPACで協調している】共産中国も参加しているのはなぜ!?

RIMPAC 201620166月末から27カ国、艦艇45隻、航空機200機超が参加
配信日:2016/06/03 21:25
http://flyteam.jp/airline/japan-maritime-self-defense-force/news/article/64245
2014年のRIMPACでのUSSロナルド・レーガン(CVN 76)

27カ国、艦艇45隻、潜水艦5隻、航空機200機超、人員25,000名超が参加する合同軍事演習「RIMPAC 2016」が、ハワイで2016630(=)から84(=)まで、ハワイ沖からカリフォルニア州南部で開催されます。アメリカ海軍が発表しています。
 演習はシーレーンの安全と世界の海洋セキュリティを確保するために、各国の協力関係を促進し・維持する目的で、日本からは海上自衛隊が参加します。この演習は1971年から25回目となり、災害救助や海上の治安維持活動を中心に訓練プログラムでは水陸両用の演習、対潜・防空演習や海賊対策、地雷除去操作、爆発物処理、サルベージ操作などが予定されています。
 2016年はアメリカをはじめ、日本に加え、初参加となるブラジル、デンマーク、ドイツ、イタリアを含め、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、コロンビア、フランス、インド、インドネシア、マレーシア、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、中国、ペルー、韓国、フィリピン、シンガポール、タイ、トンガ、イギリスが参加します。
 演習の司令官は第三艦隊司令のノラ・タイソン海軍中将が務め、副司令官はカナダ海軍のスコット・ビショップ少将と海上自衛隊第3護衛隊群司令の眞鍋浩司海将補が務めます。
 なお、2014年の演習には、海上自衛隊のP-3C 3機と護衛艦「きりしま (DDG-174)」、「いせ (DDH-182)」、陸上自衛隊の西部方面普通科連隊の約40名が参加しました。



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