イスラエル総理府諜報特務局(通称モサド)
「モサドこそが最強の諜報機関だ。」
「モサドほど極悪非道な工作を仕掛ける組織はない。」
最強諜報機関モサドの成立
しかしイギリス政府は一方で、オスマントルコの支配下にあったアラブ人の独立を支援する約束を結んでいた。
このイギリスのダブルスタンダードが、現在のパレスチナ問題の一因であるのだが、このようにしてユダヤ人とアラブ人の長期にわたる対立が始まることとなった。
ユダヤ人たちは、事あるごとにアラブ人やパレスチナ人から襲撃をうけた。そこでユダヤ人共同体である「イシュヴ」のリーダーたちは、秘密組織を結成し、自衛のための手段とすることを決定した。秘密組織のメンバーたちは、アラブ人、パレスチナ人の穏健派を探し出し、金を渡して襲撃の予定をはじめとする様々な情報を聞き出すことに成功した。
さらにユダヤ人たちは「ハガナ」という義勇軍を結成し、武力による自衛も開始する。秘密組織イシュヴと義勇軍ハガナこそが、後世に最強と恐れられた「モサド」の原型である。
やがて義勇軍ハガナ内部に「情報部」が誕生する。イシュヴとハガナは凄まじい諜報戦に暗躍したが、そのターゲットには、アラブやパレスチナだけではなく、イギリスも含まれていた。
最強諜報機関モサドの発展期
1948年5月14日にイギリスのパレスチナ委任統治が終了する。ユダヤ人たちは、「パレスチナ分割決議」(パレスチナをおよそ半分に分割し、半分をユダヤ人が、あとの半分をアラブ人が統治し、両者にとって聖地であるエルサレムは国際管理とする)を根拠にしてユダヤ人の国家であるイスラエルを建国した。
義勇軍ハガナは、イスラエル国防軍となり、アマン(国防軍作戦部情報課)、シンベット(国防省保安局)、外務省政治局という3つの情報機関が創設された。
このうち外務省政治局の諜報活動の評判は芳しくなく、強固な中央集権的諜報機関の創設が叫ばれるようになり、1949年にモサドがこれに代わる形で発足した。
やがてモサドはイスラエルを代表する諜報機関に成長する。現在のイスラエルには複数の諜報機関が存在しており、各機関はインテリジェンスコミュニティーと呼ばれる定例会議で交流を図っており、議長はモサド長官が務める。
ハレル氏の功績において無視できないことは、CIAとの連携に成功したことである。ハレル氏は1954年に渡米し、「CIA中興の祖」とされるアレン・ダラス氏と密談する。
「CIA・モサド」のホットラインを作ることに成功した。モサドはこの連携によって、最新の盗聴部、探知機、カメラを入手した。
モサド関連動画
北芝健氏「モサド」
モサドの組織構成
イスラエルは、周囲を敵に囲まれている。そのためモサドの諜報活動の成否は国家の存亡に直結する死活的な問題であった。その活動は主にアラブ諸国の監視、反イスラエルを標榜するテロ組織の監視及び主要メンバーの暗殺、国外に居住するユダヤ人を秘密裏にイスラエルに帰国させることであった。
モサドが抱える諜報員の数は2000人程度(2008年当時)と推定されているが、黎明期のモサドは、人員、資金、装備には恵まれてはいなかった。そのため「少数精鋭のモットー」が導き出されたのである。ただモサドには大きな強みがあった。それは海外に居住するユダヤ人協力者たちの存在であった。彼らは「サヤン」と呼ばれ、モサドが世界中の国々で秘密工作を行う時の大きな助けとなった。
モサドでは工作員を「カッツァ」と呼ぶ。これはCIAにおける「ケースオフィサー」と考えていいだろう。暗殺を専門とする工作員は、「キドン」と呼ばれ、あらゆる暗殺術をマスターしている。作戦が決行される時は、対象国のイスラエル大使館に駐在するモサドの指揮官の下、現地のカッツァ、場合によってはキドンのチームが召集される。
モサドは、好戦性の高い組織である。敵対者には容赦なく死を与え、時にはMI6、CIA、KGBといった大国の諜報機関をも相手に回し、出し抜いてきた。
モサドの世界に知らしめることになった事件としては、「ミグ21奪取作戦」「A・アイヒマン誘拐作戦」「ミュンヘンオリンピック事件への報復作戦」など数知れない。
モサドを支える秘密チーム
サヤン・・・海外に暮らすユダヤ人のモサド協力者。中国共産党に協力している華僑に似ている。
カッツァ・・・モサドの工作員。様々な秘密活動を実行する現場のスパイ。
キドン・・・モサドが秘匿する暗殺チーム。殺人のパターンは様々で各国の諜報機関に恐れられている。
モサドのリクルート活動
モサドは「一本釣り」によるスパイ獲得を行っている。リクルーターと呼ばれる採用担当者は、採用候補者をみつけたら、数年かけて対象の身辺調査を行うのである。
社交性、思想、マナーに加え、友人の評価、運動神経、性癖なども徹底的に調査される。これらの調査をクリアすると正式に勧誘し、仲間として迎えられるといわれる。
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