2019年3月19日火曜日

あらためて「サイバー攻撃」の脅威

 今回は、読売新聞の記事から引用しながら、我が国におけるサイバーセキュリティについて思いを馳せてみたいと思います。我が国は世界の中でみても「技術大国」「経済大国」としてみられている側面が多分にある国です。確かに民間業界における製品技術や経営手法など形のないものにまで、海外から注目される技術は少ないくないかと思いますが、だからこそそれを非合法な手段で窃取する輩が後を絶たない現状があります。

世界では「持っている国は狙われる」のです。


サイバー攻撃の脅威 
~官民連携で防御態勢を築け~

インターネット空間で中央官庁や自治体、民間企業は激しいサイバー攻撃にさらされている。

2017年には、ランサムウェア(身代金)と呼ばれるウイルスが世界中に拡大し、日本でも病院や鉄道、銀行、大手企業が一時的な操業停止などの被害に遭遇した。
政府機関への攻撃は、年間700万件に達している。

政府は近く国と自治体、電力、鉄道、空港などの重要インフラ事業者で作る「サイバーセキュリティ協議会」を設置する。サイバー攻撃の情報を官民で幅広く共有する初の試みである。

参加者に守秘義務を課し、被害を受けた企業が、攻撃された手口を明らかにしやすいようにする。同様の手法による被害の拡大を防ぐことにつながるだろう。

政府や企業が攻撃を探知した場合に、即時に警戒情報を発出し、共有するシステムも検討する。多様な機関が相互に連携し、適切な措置を講じる意義は大きい。

司令塔となる内閣サイバーセキュリティセンターは、欧米各国との情報交換などに基づく知見を企業に提供し、対策作りを主導しなければならない。

様々なものとインターネットがつながるIOTが普及し、身近な機器が情報窃取に悪用されかねないことにも留意が必要である。

政府は2019年度から情報通信機器の調達について、安全保障を考慮した契約方法に改める。不正行為への関与が疑われる中国企業の機器を排除する狙いがある。

重要インフラの事業者に対し、安全保障上の懸念がある企業の部品を使用しないよう促す方針である。サイバー攻撃で通信や金融の機能がマヒすれば、影響は計り知れない。政府の対応は妥当であろう。

6月には主要20ケ国・地域(G20)首脳会議、9月にはラグビーワールドカップ、来年2020年は東京五輪と大きな催しが続く。関係機関が協力し、円滑な運営を目指さなければならない。

自衛隊の情報通信網の強化も急務である。専門人材の育成と確保に努めるとともに同盟国であるアメリカとサイバー空間でも協力しあえる環境を整える必要がある。

防衛省は、エストニアにある北大西洋条約機構(NATO)サイバー防衛協力センターに職員を派遣した。サイバー空間の国際ルールの策定にむけ、日本は主体的な役割を果たすべきである。

サイバー攻撃の深刻な脅威から社会や経済のシステムを守る必要がある。政府は態勢構築を急がなければならない。(記事出典:読売新聞2019318日㈪朝刊より)

〈管理人〉生き馬の目を抜くような世界情報大戦の時代に勝つために

高度な情報戦の時代になり、世界は「第三次世界大戦」は光ファイバーケーブルの世界でおきているようなものです。我が国も国民が必死になって働いて創出したアイディア、技術を外国からのハッキングによって奪われる事例が後を絶ちません。
 サイバーセキュリティの体制を強化していくことは、今後の情報大戦への生き残りをかけて不可欠なことですが、サイバー攻撃は「攻める側が圧倒的に有利」という状態は変わっていないように感じます。

 共産中国がいわゆる政府や企業を狙ってスパイ行為をしている「諜報戦国家」であることは今や白日の下にさらされました。台湾の企業が北朝鮮へIT支援をしている実態もあり、親日国だから油断できる状態でもありません。

 我が国政府が自国民間企業に安全保障上懸念のある企業の製品を使用しないよう促すだけではなく、政府機関が特定民間企業と連携して諜報活動を展開する、政治的なインテリジェンスを収集していく体制の確立、官民共同の「攻めの情報戦体制の確立」まで踏み込む必要が不可欠なのではないか、と感じます。

我が国政府は2019227日に第3回の「日印サイバー協議」を開催し、次世代通信規格である5Gについてのサイバー攻撃への対策についてインドと連携していく方針を固めることとなった。狙いは共産中国の華為やZTEなどの製品への安全保障上のリスクを共有し、インド市場を共産中国製品が席捲するのを防止することである。


【衝撃】世界で最も危険なハッカーTOP8
https://www.youtube.com/watch?v=tchjsmNmYE8


ロシアでは「フェイクニュース禁止法案」可決される

ロシアの下院で、インターネット上のフェイクニュースを禁止する法案が可決された。
法案は201937日にロシア下院を通過し、13日に上院において審議が行われ、その後プーチン大統領の署名を経て成立する。

 法案は、社会秩序や治安、ロシア国民の生命、財産に害をもたらす「不確実な情報」をネット上で発言したり、拡散したりすることを禁止している。

 情報がフェイクにあたるかどうかは検察当局が判断を行うことになる。違反すれば法人は最大150万ルーブル(約250万円)、個人は40万ルーブル(約70万円)の罰金が科せられることになる。対象のWEBサイトやSNSは、通信監督当局によって接続を遮断される。
 新聞や雑誌、テレビなどのマスメディアの報道は対象外となるが、ロシアの有力メディアからも批判の声があがっている。経済紙ペドモスチは、政府に批判的な声を報じるオンラインメディアの報道がフェイクニュースと認定されてしまう恐れがあると伝えた。

 ロシア下院では、同時にロシアの社会や国家、国家の象徴に対するネット上の侮辱を禁止する法案も可決された。「国家の象徴」にはプーチン氏も含まれるという。違反すれば最大15日間拘留される可能性がある。
 プーチン政権はネットの監視を強めており、当局が国内のネットワークを国外から遮断できるようにする法案も審議中である。

 アメリカ誌フォーチュンの電子版によるとフェイクニュースの取り締まりを口実に言論を締め付ける動きはエジプトやマレーシアでも進んでいる。(記事出典:読売新聞2019310日号より)


ロシアではフェイクニュースは「戦略兵器」

〈管理人〉ロシアは「フェイクニュース部隊」が存在するほど、フェイクニュース自体を戦略兵器として位置付けている国です。クリミア併合などは典型例であり、フェイクニュースで獲得したといっても過言ではありません。
 この法案の趣旨はシンプルではないでしょうか?
要は「戦略兵器」であるフェイクニュースをロシア国内から政府にむけてしかけられることを予防する目的があるのでしょう。外国からのフェイクニュースについては、ネットワークの遮断で対抗するということ。
 フェイクニュースは、国家の中枢にしかけられるサイバー攻撃の一形態です。うまく国家戦略に活用できれば有効な武器となりますが、逆に政府内部に外からしかけられると大変な脅威となります。その自衛策を先んじて講じているとみられます。
 我が国のサイバーセキュリティの強化はこうしたフェイクニュースやネットのヘイトスピーチといったサイバー攻撃からも自衛していかなければなりません。
 まさに官民共同の防衛体制が絶対に不可欠です。



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