2019年3月2日土曜日

ロシアの最新ミサイル防衛システムS-400特集

ロシアの「世界最強」地対空ミサイルを中国が入手

アメリカの仮想敵勢力が築くミサイルのカーテン

北村淳
S-400ミサイル発射装置(写真:ロシア国防省)

 ロシアの貨物船「ニキフォル・ベジチェフ(NIKIFOR BEGICHEV)」がレニングラード近郊のUst-Luga港を20171230日(現地時間)に出港し、中国に向かった。その後、2018119日の報道によると、ニキフォル・ベジチェフは201813日(現地時間)にイングリッシュ海峡で大時化(おおしけ)に遭遇し、積載していたS-400地対空ミサイルシステムの一部がダメージを受けた模様である。しかし、ダメージを受けたとされるS-400システムの詳細に関しては明らかにされることはなかった。
ロシアの貨物船「ニキフォル・ベジチェフ(NIKIFOR BEGICHEV)」
 このほど、アブダビで開催されている「国際兵器展示会(IDEX-2019)」に出席したロシアの国策会社、ロステック(Ростех:英語表記ではRostec、正式名称は「先進技術工業製品の開発生産輸出促進のための国営企業ロステック」)のCEO、セルゲイ・チェメゾフ氏が西側報道関係者に2018年の事故の顛末を語った。これによって、1年ぶりに詳細情報が判明した。
 チェメゾフ氏が語ったところによると、事故によって積み荷の40N6対空ミサイル全てがダメージを受けてしまったため、ロシアに返送して全て廃棄したとのことである。
それらのミサイルは再度ロシアで製造されて、2020年中には全て中国に届けられることになっている。また、すでに西側でも確認されているように、事故に遭遇した貨物船以外の貨物船で送られたS-400地対空ミサイルシステムは、無事中国に送り届けられている。
世界最強のS-400地対空ミサイルシステム
 S-400地対空ミサイルシステムは、地上から遠距離上空の航空機、巡航ミサイル、弾道ミサイル、そして無人機などを打ち落とすための様々な装置から構成される最先端兵器である。
 システムは長距離警戒探知用レーダー、指揮管制装置、射撃管制用レーダー、ミサイル発射装置が基本的構成で、このほかにミサイル運搬装填装置や電源装置なども付随する。いずれも大型車両に搭載されている。
 S-400が装備するレーダーシステムは超高性能であり、探知した目標を同時に80個攻撃することが可能とされている。現在のところ、世界最強の地対空ミサイルシステムである。
対空ミサイルは、S-400の構成要素であるミサイル発射装置(地上移動起倒型ミサイル発射装置:TEL)に装填される。発射することが可能な対空ミサイルは下記の通り。これらの中から用途に応じて適合するミサイルを選択することになる。
9M96E(最大射程距離:40km
9M96E2(最大射程距離:120km
48N6E(最大射程距離:150km
48N6E2(最大射程距離:195250km
40N6(最大射程距離:400km
9M96E型から48N6E2型までは、現在ロシアをはじめいくつかの国々で用いられているS-300地対空システム用に開発され改良されているミサイルだ。40N6型は、S-400システムのために開発された新鋭ミサイルで、中距離弾道ミサイルを撃破する能力を備えている。それらに加えて、40N6よりさらに強力な最大射程距離500kmのミサイルも開発中といわれている。
S-400の部隊編成
 S-400ミサイル射撃部隊の基本単位は「S-400中隊」(S-400 battery)と呼ばれる。最も基本的な編成の場合発射装置(TEL)は4両だが、射撃制御レーダー車両を追加することにより最大12両のTELを編成に加えることができる。1両のTELには4本の発射筒が装備されているため、1S-400中隊が一度の攻撃で連射できるミサイル総数は16発から48発ということになる。
 S-400中隊が2個で「S-400大隊」を形成し、2個のS-400大隊が「S-400連隊」となる。ロシアが中国はじめ外国にS-400システムを輸出する際の基本単位は1S-400連隊となっているため、少なくとも最小編成2連射分の128発の対空ミサイル本体(48N6E48N6E240N6)も輸出されることになる。
S-400でアメリカの接近を阻止するロシアと中国
 中国とロシアは、トランプ政権によってアメリカ国防戦略における筆頭仮想敵勢力と指定された。そのため、ロシア軍はシリアや東ヨーロッパ国境地域にいくつものS-400システムを配備して、シリアから東ヨーロッパを経て北極海に至るS-400対空ミサイルバリアによるミサイルのカーテンを構築し、アメリカが率いるNATO軍に対峙している。
太平洋側でも、ロシア太平洋艦隊司令部が位置するウラジオストク周辺にS-400連隊を配備して、日本海方面から接近を企てるアメリカ航空戦力に対する警戒態勢を強化した。

【S400動画】
Russia's Lethal S-400 Air Defense System on Their Way... S-400 Triumph - SA-21 Growler https://www.youtube.com/watch?v=1VK9W_S9qHA

【管理人の窓】ミサイル兵器は「汎用性」の高いものを選ぶべきでは?

我が国がトランプ政権から購入するミサイル兵器は、代表的なものは「イージスアショア」、弾道ミサイル迎撃用に改装されたイージス艦艇がすぐに思いつきますが、これらはあくまで「弾道ミサイル」の迎撃システムであり、低い軌道を飛来する「巡航ミサイル」や無人機、つまりドローンは迎撃できません。

しかし周辺国を見渡してみれば、共産中国は「装備先進国」であり、マッハ3をこえて我が国に飛来する巡航ミサイルを大量に配備して我が国に照準をあわせています。

技術を盗用されるであろう、実際に何度も共産中国に技術盗用されているロシアがよくも最新最強のミサイル防衛システムを共産中国に売れたな、と思わないではないですが、それだけロシアにとっては、アメリカという軍事覇権国家の脅威が深刻なのでしょう。

忘れてはならないのは、ロシアのS400にしろ、アメリカのイージスシステムにしろ、建前は自国のための「防衛兵器」ということです。他国を攻撃する意図をもって配備されたわけではありません。
だから仮に悪意ある国から侵略的な意図をもって攻撃されたとしても、自国領域に達する前に撃ち落とせればいいだけですから、国境辺境の要所に配備されるわけですね。

日露平和友好条約締結をもくろむ我が国もこの動きは無関係ではないでしょう。
何せ目の前のウラジオストクにこのような汎用的なミサイルシステムを配備されるわけですから。

自国防衛用のミサイルは、もはや弾道ミサイルに対応するだけではなく、低空を飛来する巡航ミサイルにも対応できるものでなければなりません。スピード&チャージな面を進化させるならば高出力のレーザー兵器の実用化を本格的に議論させるべきでしょう。

これは、アメリカとタイアップして行うのではなく、自国での単独開発が望ましいのではないでしょうか?
どうなんでしょうね?

ロシアのS400とアメリカのパトリオット3の比較をしています。
別に最新ミサイルシステムを売るのは共産中国ばかりではないようです。
ロシアがNATOに加盟するというウルトラCのような形ができないものかな?
アメリカとロシアがNATOで手を組めば、共産中国の包囲網が盤石なんでしょうがね。

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