(※以下の出典は、『諜報機関』(井上太郎著)平成26年12月初版発行、㈱青林堂より)
ペルー人質事件の顛末
ペルーの日本大使公邸占拠事件の時、人質を全員無事に救出できました。テログループはペルー政府の方針により全員射殺されました。日本でいう出前持ちに扮したり、テログループの家族と牧師さん経由で折衝しながら、内部へ地下トンネルを3本掘りました。資金も提供しながら4ケ月かけました。
ペルー日本大使館占拠事件の概要ですが、恒例の天皇誕生日祝賀パーティの最中にトゥパクアマル革命運動の14人により日本大使館が占拠されました。当初は約600人の人質、女性子供その後アメリカ人等が解放され、最終的に約100人になりました。目的は仲間の釈放と資金の為の身代金です。この革命運動には一部の赤軍派が合流していました。そんな関係で日本から公安職員が派遣されました。
ペルー日本大使公邸占拠事件は、解決までに4ケ月かかりました。大使以下人質(ほとんどは企業駐在員)は占拠グループとむしろ交流し、中からも説得工作をしていました。そして近所の日本料理屋から多くの日本食の差し入れがあり、日本の司法当局も料理屋の人間になりすまし、何度も出入りし状況を把握していました。ところが日本のマスコミは司法治安当局の指導を無視して常識外の報道スクープ合戦が行われました。
特にひどかったのはテレビ朝日と共同通信でした。テレ朝は日本料理店と組んで差し入れと称してグループと接触しました。共同通信は、数百万円を占拠グループに渡して、世界から非難を浴びました。ペルー大使公邸占拠事件の時のテレ朝取締役報道局長は、放送法違反に問われた椿貞良です。共同通信の記者はAです。特に共同通信のAは司法治安当局本部の規制ラインもお金をばらまき、完全に無視しました。突入のために3方向から掘っていたトンネルの位置まで占拠グループに情報提供した疑いももたれました。
テレ朝は椿氏を関連会社へ異動させ、共同通信のAは処分の前に自ら退社しました。この共同通信記者はその論調からも、元々ただのスクープ狙いのお金ばらまき作戦だったようで、司法当局の邪魔者として有名です。平気で左翼の味方もすれば、平気で考えが変わります。今日は保守気取りで論調していますが、ペルー人質事件始めとする売国行為は絶対に許されません。
日本の公安当局によるテロ事件の解決方法には世界が評価し、そのノウハウは合同訓練などで友好国の特殊部隊にも引き継がれています。自衛隊にも専門部隊があり、武器の使用期限が警察・自衛隊の活動を縛りますが、海外では現地組織が連携できます。「命が最優先である」が我が国の方針です。
日本の諜報機関
世界には様々な諜報機関があります。アメリカならCIA、イギリスはMI6(SIS)イスラエルのモサド、共産中国の国家安全部、南朝鮮ならKCIAの後身となる国家情報院があります。
日本では、内閣府に属する「内閣情報調査室」は「日本版CIA」を目指し、昭和27年(1952年)に創設された組織で、本部は内閣府庁舎6階にあります。諜報部門は、国内、国際、経済部門の3つに分かれています。それぞれ約50人の諜報員を抱えていますが、誰がどんな調査をしているかは、お互いの諜報員同士でもわかりません。
伝統的にアメリカCIAのカウンターパートナーであるため、お互い日常的にCIAとは情報交換をしています。実務におけるトップの内閣情報官を始め、伝統的に職務上からも警察庁からの出向者がほとんどを占めるのも特徴です。
国際部門の諜報員は、拉致問題を始め、北朝鮮に関してはかなりの情報量を持ち、共産中国に関しても一時のソビエト連邦やロシアに匹敵するほどの情報が蓄積されてきています。国内部門では、左翼過激派に対する情報収集が中心ですが、各政党に対する情報収集も行われています。
日本にもアメリカCIA諜報員は配置されていますが、そのほとんどは経済CIAといわれています。一部は日本と連携し、共産中国、ロシアなどの領事館員等に対する諜報活動もしています。
内閣情報調査室の一部局である内閣衛星情報センターでは、現在4基打ち上げられている偵察衛星からもたらされる画像を分析しています。北朝鮮や共産中国の動向を注視しています。平成25年のフィリピン台風被害では、その能力が知られてしまうことから普通は絶対ありえませんが、政府間の超極秘として情報提供され、被害状況のみならず遺体捜索にも大きな役割を果たしました。フィリピンと日本国の信頼関係がわかります。アジアで共産中国と朝鮮半島だけがおかしいのです。
その極めて高い情報収集能力から、日本最強のスパイ機関と評価されているのが警視庁公安部です。公安三課が右翼団体の担当で、一課二課とで極左グループから共産党、その他政府転覆を目指す団体の監視にあたっています。警視庁公安部は通称「さくら」「千代田」という暗号名で呼ばれることもあります。さらに公安総務課には警視庁内部ですら実態が隠されている部署もあり、国家に対する極めて重要な諜報活動を行っています。
外国諜報機関のスパイ行為を捜査するのが通称外事警察です。外事一課がロシアンスパイやミサイルの部品持ち出しなど戦略物資の監視をします。外事二課が共産中国、北朝鮮のスパイや大使館職員の監視等です。外事三課は国際テロ担当ですが、外事三課の場合には、例えばCIAからパキスタンのテロリストの遠い親戚が日本に潜伏しているなどの情報が入ると、対象者として調査し、CIAと連携することもあります。
平成23年(2011年)に発覚し、そしてつい先日時効を迎えてしまいましたが、外事警察の捜査情報がネット上に大量流出する事件が発生してしまいました。世界に極秘手配されているイスラムテロ犯の姻戚関係に始まり、知り合い程度の関係までが網羅されており、監視対象にもなっていました。さらには相当数の各国大使館員の銀行口座の全てが記録されており、その情報収集能力の緻密さに驚かされました。
警察官すべてがそうであるように、警察官は職務に命をかけます。しかしこうした公安部員が相手とするのは世界のスパイ工作員です。命の危険性もあります。しかし彼らは公務員です。当然ですが給料は一般行政職と変わりません。これは自衛隊員も同じだと思います。おそらく人にはいえない日本を護るという誇りが職務に就かせているものと思います。日本の良心であると思います。
公安委員会というのは警察の管理のための委員会(監査相当)であり、公安部とは全く関係ありません。警察では我が国の国益が損なわれることのないよう対日諸工作に関する情報収集、分析に努めると共に、あらゆる法令を駆使し、違法行為に対して厳正な取り締まりを行っています。
公安調査庁は法務省の外局です。破防法等の適用を業務とし、武器の携行も捜査権限もありません。警察庁にあるのは警備局公安課、公安部があるのは警視庁だけです。外事課もあり、主として思想的犯罪を取り締まります。いわゆる諜報機関の役割もあります。よく知らないで区別もなくただ公安と呼ぶ人が多いようです。
日本の諜報能力は優秀
日本と共産中国の諜報機関の関係は、何も相手の全てのを知り、戦争して有利にすることでもかき回して潰してやろうということが目的でもありません。その諜報能力自体が核と同じに抑止力になります。当然直接交流し、お互いの平和が目的という確認もしています。政治関係が冷えても心配はありません。しっかりと安倍政権の戦略を支えています。
佐々淳行氏がいうように、公安警察は民主党政権で職務を制限されたといえます。反日左翼に力をつけられ、放射能をマスコミとグルで大騒ぎ、福島瑞穂のウソに煽られ、孫正義にお金を撒かれ原発をとめる事態に発展しました。自民党政権に戻り、反原発が朝鮮人の煽動ということがわかりました。平和な日本人のデモにしばき隊まで現れました。
日本の諜報機関の某氏が平成26年(2014年)1月の偵察通信衛星の成功について、今改めて民主党政権が終わっていて良かったと述べています。この衛星の成功により半島や共産中国の動向のかなりのことが把握できるようになっています。米国との連携でも民主党だと情報漏洩が懸念されたことも解消され、日本の危機管理は正常に戻ったといえます。
共産中国諜報機関の特徴は、人脈構築工作(ヒューミント)から展開し、目的を悟らせずして知らず知らずに日本の政策や世論を共産中国に有利な方向に仕向け、侵略を図るのが特徴です。日本の危機管理意識のない国会議員や官僚、諜報機関からすれば赤子の手をひねるようなものです。
中国共産党中央統一戦線工作部で、それこそ世界中にちらばっており、その数は20万人を越えるともいわれています。北朝鮮の3号庁舎と並び、何でもありの最も危険な工作機関です。
共産中国のスパイについて玄葉元大臣は、単なる金儲けだと評していましたが、野田元総理を始め民主党の認識はこの程度であり、ここ三年半にどれだけのスパイが潜り込んだか、安倍政権により密かに調査が始まっています。農水省に限らず外務省、経産省、防衛省に疑惑があります。
北朝鮮の動向で日本の諜報能力のどの程度が民主党政権によって把握されてしまったのかが大きな問題です。もちろん民主党が左翼にのっとられて以上、関係機関が民主党に対しできる限り秘匿もしています。しかし民主党からもれた情報がどれだけ共産中国や南北朝鮮に流れたか、これはとても大きな国益の損失になります。安倍政権により民主党の悪政の検証が進んでいますが、一番被害が深刻なのは治安と防衛に関することです。在日帰化人の左翼過激派が民主党本部事務員の身分で内閣府に入り込んでいました。さらに防衛省システム管理にも一人関わっていたことがわかっています。
警察、自衛隊それぞれに多少の役割の違いがありますが、海外での諜報活動も行っています。しかし米英、仏、中、ロシア、独などに比較すると、能力はひけをとりませんが、圧倒的に人員不足です。それこそ百分の一程度の人員規模と言われます。警察、自衛隊の海外での活動は一般的に大使館や領事館で武官もしくは書記官としても勤務します。しかし日本は諜報機関そのものとして現地に派遣できるシステムがありません。完全に民間人に扮装することが不可能な地域は、アフリカや中東にはたくさんあります。
優れた諜報能力は、核兵器以上の抑止力にもなりうるのです。相手国のありとあらゆる情報を把握し、その情報をコントロールできるまでになれば、それは最高の武器となります。仕掛ける諜報戦略によっては、相手国の体制まで崩壊させることができます。
日本の国防、諜報能力の一部でも漏洩することは国益の大きな損失につながります。能力が知られてしまっては敵に対応もされてしまいます。時にはごく一部を匂わすことにより計り知れない潜在能力を悟らせ、抑止力として活かすことができます。
核兵器は「使えない抑止力」ですが、諜報インテリジェンスは、いくらでも使えます。牽制にもなります。場合によっては「核兵器以上の使える抑止力」であると言えます。