2019年12月26日木曜日

MKウルトラ計画 ~究極のマインドコントロール兵器か!?~

 人間の思考と行動を他人によって自由に操る行為を洗脳、マインドコントロールと呼ぶ。カルト宗教や詐欺師などが使う技術であるが、実はアメリカやロシア(旧ソビエト連邦)では、かつて人間兵器としてマインドコントロールを利用していたことがある。

 1950年代初頭にCIA(アメリカ中央情報局)でMKウルトラ計画という暗号名の極秘プロジェクトがスタートした。1970年代初頭まで継続されたこの計画がマインドコントロールの実験だったといわれている。兵士や囚人、捕虜や患者などを実験台として、LSDやアンフェタミンなどの違法ドラッグを大量に使用して、拷問や催眠術を乱用することでマインドコントロールを行っていたのである。

 被験者の中には、死亡する者や廃人となる者などが続出した。

 中でも残酷極まりない実験が、「マンチュリアン・キャンディデート」と呼ばれる実験であった。邦訳では「操り人形」という意味であるが、マインドコントロール技術によって多重人格者=操り人形を作り上げたのである。

 必要に応じて与えるキーワードをきっかけとして、スパイや暗殺者となって任務を遂行していくのであるが、任務が終了すると自分は何をやったのか、記憶に残ることはない。まるでミステリー小説のような世界の話であるが、これは現実に行われていたことなのである。

※被験者の人権、人格を無視したマインドコントロール実験が繰り返された。電気ショックや薬物など重篤な障害や死亡にもつながる手段で「脳と思考」の操縦が試みられた。
身体を限界まで追い込み、化学、医学、時には魔術めいた手段を組み合わせて、実験が重ねられた。

 しかしその非道すぎる実験は、内部告発によって暴露されてしまう。プロジェクトは閉鎖に追い込まれ、実験結果も闇に葬られてしまった。その後情報公開法によって一部のデータは開示されたものの、実験の全貌を明らかにすることは困難であるといわれる。

※残酷な実験内容は、詳細に記録された。貴重といえるデータの一部は未だに非公開となっている。CIAによる非人道的な実験は、内部告発によって終焉を迎えた。

 ただこのMKウルトラ計画に近い技術は現在も存在している。既に現代では、マイクロチップを体内にインプラントする技術が実用段階に入っているからである。

 医療の分野では、脳にインプラントすることで精神疾患を制御する治療が研究されている。医療用といえば、とても耳障りがいい響きであるが、洗脳と背中合わせの技術といえるであろう。

 思考をコントロールする技術が悪用されないことを祈るばかりである。


《関連動画》


人間監視ツール?であるフェイスブック


2019年12月17日火曜日

ホワイトハッカーに高額報酬 ~データ防衛・敵を味方に~

バグ報奨金制度の利用企業
Google    $1500000
Apple                 1000000
テスラ                15000
グラブ(シンガポール)10000
FCA(欧米)      7500
スターバックス  4000
トヨタ                お礼のみ
NEC                   制度なし
富士通    制度なし

データ漏洩リスクなどITシステムの脆弱性をみつけた外部ハッカーに企業が報奨金を払う動きが世界的に広がっている。経済のデジタル化でソフトウェアが組み込まれた製品が増え、製造業も含めて不具合への対応が喫緊の課題になっている。Googleが優秀なハッカーに¥16000万超を用意するなど報奨金額は増加の傾向である。

東京五輪を守るホワイトハッカー

かつてセイバーメトリクスというデータの独自な分析手法を開発した一人の野球ファンをボストン・レッドソックスがデータアナリストとして雇ってチームの選手選考の際の基準を作らせたことがありましたが、今や企業のネットワークシステムの脆弱性をみつけたことを成果とみなして、社員として雇う動きが広がりつうあります。

雇うといってもハッカーなわけですから、自分のハッキングの腕を高くアピールして報酬のつり上げをするようになることは、大手の企業は見抜いての動きと考えていいでしょうね。

今や「サイバー戦争」といわれるように、ネット空間(といっても光ケーブルの世界の話です)は国家の規制を強めるべきという共産中国とそこに賛同するグループとあくまでネット空間は自由であるべき、と主張するアメリカや我が国との二極構造になりつつあります。どちらにしても世界を二つにわけた「戦争」の極で戦っている状態であることは論を待ちません。

その「世界サイバー大戦」の最中に民間企業がハッカーと呼ばれるエンジニアを高い報酬で雇うということは、企業における「サイバーコマンド」を雇うということに他なりません。

民間企業に雇われるハッカーは、サイバー大戦時代のいわば「傭兵」といえる存在です。

我が国においても日米共同でサイバー戦や宇宙戦の訓練をするようになりましたが、はたして報酬はどれくらいもらえているでしょうか?

一覧を見る限り、Googleやappleの報酬が抜きんでています。サイバー大戦の時代では、どうも国家が雇うコマンダーよりも民間企業に腕をかわれたサイバーコマンダーの方が、より高額な報酬を得られる時代なのです。

戦争がリアルな実弾が飛び交う戦争からステルス的なサイバー戦争の時代になって、コマンダーの待遇の在り方が変化しています。この時代変化と技術的進化の実態を民間企業も行政機関も素直にみつめ、判断していくべきでしょう。

ハッカー=サイバーコマンダーといっていいのでは?



世界サイバー戦争への備えはできているか? 山田敏弘氏

なぜこのマルウェアがサイバー戦争の幕開けとなったのか?



2019年11月30日土曜日

プロジェクト・ナイチンゲール ~ビッグデータの時代~ 企業情報戦略

ネット利便性の裏で個人情報集め広告利用
スマホ数秒あなたの行動まるわかり

Google、apple、Facebook、Amazon・ドットコム、のアメリカIT企業4社は、頭文字からGAFAと呼ばれ、「プラットフォーマー」としてインターネット時代への変化を先導し、個人に様々なサービスを提供する。一方あまりに巨大化したため国家による監視も厳しくなっている。巨大ITが社会にどのような影響を与えようとしているのかを探る。

「プロジェクト・ナイチンゲール」
アメリカのGoogle社が進めている近代看護教育の母の名を掲げた計画に、アメリカ国内で波紋が広がっている。

計画は全米20州などで2600の医療施設を運営する非営利団体とGoogleが提携し、患者のデータを集めてAIで分析し、治療に役立てるというものである。米紙ウォールストリートジャーナルによると扱うデータは数百万人分にのぼり、名前や生年月日、検査、診断結果、投薬記録などが含まれるという。

Googleは、「患者データは厳格な基準で、安全に管理している。広告に利用されることはない。」などと説明したものの巨大ITが大規模に医療情報を収集することへの抵抗感がいかに強いかがあらわになった。アメリカ議会下院エネルギー・商業委員会は、「Googleが患者の健康に関する情報を適切に管理できるのか、深刻な懸念がある。」とGoogleに計画の説明を求めた。


アメリカIT企業4社は、インターネット上に築いた巨大なプラットフォーム〈サービス基盤〉を通じて、情報やサービスを提供している。その利便性と引き換えに膨大な利用者の個人情報を一手に集め、分析し、広告などに利用している。

スマートフォンの地図アプリは、持ち主がいつ、どこに行き、どれくらい滞在したかといった情報を把握できる。検索や通販などを使えば、その人の関心事や買い物の傾向などがわかる。

それぞれは別々に集められたデータでも、「〈巨大ITは〉複数のデータを組み合わせ、個人の“スーパープロファイル”(詳細な人物情報)を作ることができる。201910月にアメリカ下院司法委員会の公聴会で、欧州委員会の競争当局でGAFAの分析を手掛けたトマソ・バレッティ氏は証言した。

東京新宿の居酒屋。ともに30代の女性が男性に「スマートフォンをちょっと見せて」と話しかけた。わずか数秒間の操作、「昨日は会社帰りにコンビニに10分くらい寄って午後11時半ごろに家に帰ったでしょう?」。女性が笑うと男性はうろたえた。「何でわかったの?怖い!」

男性のスマホの地図アプリ「グーグルマップ」には、いつ、どこに行ったか、という移動の履歴が地図上に事細かに残っていた。

Googleは、「位置情報は個人情報と結び付けて収集していない。」という。利用者が履歴を残さないように設定を変えることができ、削除もできる、としている。

だが、「スマホはデータ収集機器だ。あなたが誰で、どこにいて、何をしているか知っている。」アメリカソフトウェア大手オラクル幹部はこう指摘する。

沖縄県の飲食店勤務の男性(22)は、1年ほど前からGoogleでの検索やGoogleマップの使用をやめ、代わりに履歴が残らないとされるアメリカ新興の検索エンジンを使い始めた。すると自分の趣味、嗜好にあわせて表示される広告が大幅に減ったという。男性は、「いかに自分の情報を渡していたか気付いた」と振り返る。

「巨大ITに個人情報を渡しても、直接被害はない。しかし、常に誰かに監視されてるという不気味さは消えない。」





巨大ITはスマホを通じて様々な個人情報を集めている
地図アプリ(いつ、どこに、どう移動したかなど)
検索(いま関心ある事柄など)
SNS(交友関係、学歴、趣味など)

これらの情報を巨大IT企業が収集し、分析し広告などに利用している。利用者は企業が提供するサービスを無料で利用できる。

※企業は、どう新商品、サービスを顧客に提供していくか、顧客のニーズをどう収集し、次の戦略に活用していくか、これは行政が提供するサービスも同様のことがいえます。

個人情報を組織が販促のために収集すること自体が問題というよりも、収集した個人情報(ビッグデータ)を目的外に漏洩することをいかに防ぐことができるか、データをいかに有効に次に活用していけるのか、が今後ますます問われるようになっていく時代ですね。

利用者が意識しないうちに個人データを収集しているわけですから、企業や官庁には個人データを第三者に渡さないように手をうつ責任があります。



2019年11月13日水曜日

本土決戦体制から島嶼防衛体制へ ~変化する陸上自衛隊の戦略構想と装備~

陸自の戦車に変化が? 総火演で見た花形は戦車じゃなかった

令和元年8/24() 11:30配信 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190824-00170640-kurumans-bus_all

戦車がキャタピラから車輪に変わっている?

 2019825日に令和最初の陸上自衛隊「総合火力演習」が実施されますが、これに先駆けて開催された一般公開予行が、同年822日におこなわれました。 総合火力演習、通称:「総火演(そうかえん)」は、陸上自衛隊の演習のひとつで、元々は富士学校の生徒に火力戦闘とはどういうものかを理解させるために始まりました。しかし、昨今では国民の自衛隊への理解度を深める意図が強く、ショー的な演出が取り入れられています。

動画



夜間にも総合火力演習は行われるのですね。

我が国の陸上自衛隊が行う唯一の実弾射撃演習である「総合火力演習」は、一般公開されています。陸自の演習で国費を使って行われるわけですから計画性をもって、真剣勝負で実施されるのは当然です。ただ一般公開という性格上、見学に訪れる国民サービスも避けて通れないでしょう。個人的にいいたいのは、見学に訪れるみなさんにご年配の方が目立つかな、ということ。できる限り小学生や中学生、そして就職を控えた高校生を団体でいいからもっとふれられるようにできないものでしょうか?(管理人の言)


 2019年度の演習を観て感じたのは、陸上自衛隊の主要な兵器が「自動車化」しているということでした。陸上自衛隊の花形といえば、履帯(キャタピラ)を付けた戦車が思い浮かびます。
 筆者(山崎友貴)は、過去に3回に渡って総合火力演習を観覧しましたが、従来の演習の主役は、やはり戦車でした。装輪車、いわゆるタイヤの付いた装甲戦闘車などは脇役というイメージです。
 しかし、今回の演習では、16式機動装甲車や96式装輪装甲車、そして新装備である19式自走155㎜榴弾砲など、いわゆるクルマタイプがメインとなり、むしろ90式や10式といった戦車の影が少々薄くなったように感じます。

 演習の告知ポスターを見ても、16式機動装甲車がメインに据えられており、戦車はどこにも掲載されていません。この変化はどういうことなのでしょうか。

 その要因は、自衛隊を取り巻くさまざまな状況の変化にあります。ここ数十年で、東アジアにおける日本の防衛は大きく様変わりしました。

 冷戦時代の仮想敵国はソビエト連邦(以下、ソ連)であり、想定される侵攻場所を考えると、自衛隊の主戦場は旭川以北の北海道とされてきました。

※まさにソビエト連邦の上陸部隊を北海道で迎え撃つ「本土決戦構想」だったわけです。「一億玉砕」をスローガンに訓練されていた昭和20年の「決一号作戦」そのままです。民間人はどこにいればいいのでしょうね?(管理人言)

 北海道はその土地の多くが未開拓の原野であり、道を1歩でも外れそうものならキャタピラでなければ進むのが非常に難しいオフロードとなっています。そのため、戦車やキャタピラを付けた自走砲などが重要視されていたようです。また、ソ連が戦車を上陸させてくることも想定され、この場合、戦力的に戦車でなければ対抗しえないという考え方もありました。

 しかし、ソ連崩壊後はロシアが侵攻してくるという可能性は低くなり、代わりに日本国土を脅かすのは中国や北朝鮮ではないか、という想定に変わっていったのです。

 とくに中国は昨今、東アジア地域での強引な海洋進出を進めており、各国が警戒を強めています。日本も島嶼への武力侵攻を警戒しており、防衛省は2018年に陸上自衛隊の海兵隊といわれる即応部隊「水陸機動団」を設立。海上自衛隊も事実上の空母、揚陸強襲艦といわれる補給艦「いずも」や「ひゅうが」などを配備・改修しています。

 また、陸上自衛隊の装備も、これに併せて変化しており、全国どこでもスピーディに移動できる道路インフラが整った現在の日本では、キャタピラで走る戦車は第四世代の10式戦車でも70kmh程度でしか走れません。

 この速度で舗装路を移動し続ければ舗装路面は著しく傷みますし、履帯や車体の機構自体もダメージを受けます。

 そこで長距離を移動する場合は、戦車運搬車、つまり大型のトランスポーターに載せていくのが一般的で、運んだとしても、スピーディに戦場に展開するのは難しいというのが実情です。

 90式戦車にいたっては、法的な制約によって日本の大半の道路を走行するこができない上に、50tオーバーの車重ゆえに、日本全国の橋の約65%しか通過できないという大きな問題を抱えています。

 一方、戦車に取って変わる兵器といわれる16式機動戦闘車は、8つのタイヤで走る大型車で、最高時速は100kmh以上といわれています。つまり戦場まで自走していくことが可能で、即応展開が必要となる昨今の紛争や戦争に向いた兵器ということ(道交法で規定された車幅2.5mは超過していますが…)です。

 16式機動戦闘車の導入意義について、防衛省内の陸上自衛隊幕僚広報部は次のように話します。

「広域に渡って迅速に運用するためです。16式機動車両は戦車とは別のものと考えており、その戦車よりも機動性で優位な面もあり、適切な場面での運用が有効であると考えています」


https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190824-00170640-kurumans-bus_all&p=2



これからの国防はどうなる?


 16式機動戦闘車の攻撃力は90式や10式などの戦車には劣りますが、74式戦車とほぼ同等といわれており、島嶼に上陸してきた敵の侵攻へ初期攻撃をするには十分であると、防衛省は考えているようです。


公道を走ってます機動戦闘車。キャタピラの戦車よりは乗り心地はいいことでしょう。

 16式機動戦闘車をはじめとする装甲戦闘車両は、その車重から艦船だけでなく航空機によって運ぶことも可能です。航空自衛隊が2016年から運用を開始したC-2輸送機は、ギリギリですが26t程度とされる16式機動戦闘車を空中輸送できるといわれています。

 2019年度の演習にお目見えした19式装輪自走155㎜榴弾砲の車重も24t以下であり、やはり空中輸送が可能です。戦場となった島嶼にC-2が離着陸できる飛行場があるかという問題が出てきますが、それでも戦車を艦船で運ぶよりも格段に短時間で部隊を展開できるというメリットがあるのです。

 演習の後半では、島嶼防衛を主眼とした兵器の運用方法が展示されていましたが、まず戦闘車両で初期の防衛攻撃をおこない、戦車が着いたところで、敵の掃討をおこなっていくという作戦が取られていました。

 さて、このように兵器の運用のシチュエーションが変わったということもありますが、自衛隊の装備が変化しているのは、防衛予算という切実な問題もあります。

 2019年度の防衛予算は、18年度当初比で1.3%増の52574億円となり、5年連続で過去最高を更新しています。

 2012年度から防衛予算が右肩上がりとなっていますが、装備の急速な近代化と変革を迫られている自衛隊は、必ずしも潤っていないというのが実情のようです。

 私たちの生活同様に、物価の上昇によって生産コストや各維持費がかさみ、じつは自衛隊の各兵器の稼働率が低下しているともいわれています。

 陸上兵器でいえば、戦車の維持費は非常に高め。仮に10式戦車を30年運用する場合、1年あたりにかかる維持費は3000万円以上というデータが出ています。90式や74式についてはさらに旧式のため、運用コストは、さらに高価であることに違いはありません。

 一方、戦車に比べて装輪戦闘車は、維持・運用がしやすいようです。たとえば、輸送を考えただけでも、前述のように専用の運搬車が必要な戦車に対して、装輪戦闘車は自走が可能です。戦車は時として、民間の運搬車を借りて移動することもあるそうなので、そのコストだけでも違いが出てきます。

 防衛省と陸上幕僚監部は、現在配備されている90式戦車を廃止し、順次16式装輪戦闘車に切り替えていく意向です。

 もちろん戦略上、圧倒的な火力と高い悪路走破性を持つ戦車がなくなることはないといえますが、今後の怪獣映画に登場するのは、ほとんどがタイヤを持った車両、ということになるかもしれません。 (本文執筆:山崎友貴)



10式戦車動画

国産部品に極力こだわり、90式に比べ機動性も向上している現在陸自最新式の10式戦車ですが、島嶼防衛で離島に展開する場合は、やはり重すぎて揚陸艇でもヘリでも厳しいでしょうね。
現役の陸上自衛官の方のお話しですと、現代戦でも74式戦車は十分使用にたえることができるようです。ただ「(敵の砲弾が)あたらなければね。」という条件つき。
攻撃力は申し分なくとも、装甲防御力は時代遅れと解釈すべきでしょうか?
我が国の戦車の運用については、まず基本となる考え方は、我が国のどこで使うにしても地理的条件や立地にあった構造になっていることが前提でしょう。日本列島はエルアラメインの戦場ではないのです。

とはいっても、「本土決戦構想」のまま防衛戦争をするという戦略など他国では聞いたことはありません。どの国も外敵を退けるためには、本土から少しでも遠くで撃退しようとするものです。ですから攻撃力、防御力、機動力に優れた戦車(キャタピラでも)は、どう運用していくか、は重要な要素になります。海外領土が第二次大戦でほとんど失った我が国の防衛構想は、列島周辺の離島にまず上陸させない防衛構想が不可欠です。

海洋での作戦は艦船や戦闘機が主力として、離島での陸戦は、戦車しかも離島の立地にあわせた「ゲリラ戦」用の戦車の運用がベターなのではないかと考えます。南西諸島、先島諸島、小笠原諸島など意表をつくような戦車運用ができると理想ですね。

2019年10月19日土曜日

北朝鮮の我が国への「侵略行為」が止まらない!!

【ノーカット】水産庁が北朝鮮漁船との衝突映像を公開 
https://www.youtube.com/watch?v=yqYTJYNUF4c

令和元年10月に北朝鮮の違法漁業操業船が我が国の排他的経済水域に侵入。水産庁の巡視船をかわそうとして、衝突沈没してしまうという自業自得的な結末となりました。

我が国側が悪いから、損害賠償を要求しているようですが、この動画により真実は明らかでしょう。違法操業船に払う金などない。お金を払うのは北朝鮮当局の側でしょうね。

今や「情報公開」という武器が十二分に使える時代ですから、平成22年の折の尖閣諸島沖合での中国漁船体当たり事件の時と同様に、ファクトを国際社会に提示しながら我が国の主張をしていきたいものです。捏造などと相手国からいわれようが、真実は一つなのです。我が国は生き馬の目を抜くような国際社会で勝ち抜くためにあらゆる「情報戦」に勝利しなくてはなりません。


実録北朝鮮工作船事件全容 
2001.12. 22 https://www.youtube.com/watch?v=g_-s0sjSpAs

まだまだ日本人の記憶に忘れられない記憶でしょう。
戦後初めての外国侵略船と海上保安庁との「海戦」です。結果は、不法工作船の自爆を誘発し、「撃沈」しました。戦後初の海戦による「戦果」といえるでしょう。

相手は北朝鮮の工作船だということが判明しています。

北の侵略国に我が国をこれからも侵略させてはいけません。そして一日も早い拉致被害者の帰還を実現すること。それが無法な北朝鮮に対する「勝利」となるのでしょう。

2019年9月30日月曜日

軍用ドローン 「貧者の兵器」が変える紛争

 2019914日にサウジアラビアの石油施設が、軍用無人機と巡航ミサイルにより攻撃を受け、世界の原油市場を一時的に混乱させた事件がありました。

 サウジアラビアの首都リヤドから約300km離れた東部アブカイクにある国営石油会社「サウジアラムコ」の数十mのタワー型石油処理設備の心臓部が18機のドローンと巡航ミサイルにより攻撃を受けた。いずれも北西方向からの攻撃で驚くほど正確に攻撃されていた。ピーター・ブルックス元米国防次官捕代理は、「精密誘導のために衛星からの信号を受ける装置などを搭載していた可能性がある。」と指摘する。
 攻撃の主体は、イランであるとアメリカ当局は主張するが、確たる根拠がないようではっきりしない。英国NGO「ドローン・ウォーズ・UK」が公表した昨年の報告書によるとドローンは米国とイスラエルが2000年代初頭から10年以上独走して開発してきた。それが今や中国やイランなどの国家の他、イエメンの反政府武装組織フーシという非国家勢力が「第二世代」として登場している。実際今回の無人機の攻撃を「10機のドローンで攻撃した。」との声明を発表している。
 イランは、2012年に初めてミサイルを搭載できる軍用ドローンの存在が明らかになり、翌年には量産を開始している。フーシなど複数の武装組織がイラン製ドローンを入手したといわれる。主力機種の翼長は5mほどとみられる。北海道大学の鈴木一人教授によると、イランの軍用ドローンは2010年代に飛躍的に性能が向上し、1000km以上離れたイエメンからの攻撃も、「最新のイラン製ならば技術的に不可能ではない。」といわれる。また鈴木教授は「イランが自国開発のモデルにしたのは、米国の技術だ。」と指摘する。2001年に始まったアフガニスタン戦争で、イランは墜落した米国のドローンを回収して、技術を取り入れたといわれる。
 一方精密攻撃のためには、通信衛星が必要であるが、イランは自前の通信衛星を持っていない。仮にイランやフーシの犯行ならば、他国の通信衛星を使った可能性がある。鈴木教授は、ドローンの機体に飛行経路のデータが保存されている可能性はあるとしながら、「残骸をみる限りでは、データを回収するのは難しそうだ。」と指摘している。
 今ただこれだけは確実にいえるのは、従来の通常兵器に比べて格安の無人攻撃機(ドローン)が紛争に使われたことで、「貧者の兵器」がこれからの紛争、戦争の形を変えるのではないか、ということである。

小型防衛は困難

 ドローンにはパイロッイトはおらず、厳しい訓練は必要ない。小型の機体であればコストも低い一方、これを防ぐのは容易なことではない。ロイター通信などによると安価なドローンであれば、1機$1000(約11万円)程度だが、迎撃のためにパトリオットミサイルを1発使えば、約$300万(約32千万円)がかかる。
 サウジアラビアはこれまで巨費を投じて、米国などから防空システムを導入し、フーシが発射した弾道ミサイルやドローンを撃ち落としてきた。だが、石油施設への攻撃を許したことで、防空態勢の再構築が喫緊の課題となった。サウジアラビアの防空システムは主に高高度から高速で落下する弾道ミサイルの迎撃を想定する。だが、今回使われたとされるドローンや巡航ミサイルは比較的に低空低速で飛行するなどの特徴があり、レーダー検知が難しい側面がある。
 米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長は、「今回のような脅威は一つのシステムだけでは防げない。重層的な防衛能力があれば、多くの無人機が飛来するリスクを減らせる。」と指摘した。(朝日新聞2019929日日曜日記事より)

管理人より

※無人機と巡航ミサイルの予測しない攻撃をどう防ぐかが課題ということは理解できますが、ダンフォード氏の発言は、新たなミサイルディフェンスの開発と売り込みを念頭に置いた発言と思われますね。

またまた米国のビジネスチャンス到来ですな。

サウジの石油施設攻撃の4日前にアメリカのトランプ大統領は、対外強硬派のボルトン補佐官を解任しています。イラン側としては、ボルトン補佐官解任後のトランプ政権が不測の事態にどう対処してくるか、見極める必要もあったでしょう。イラン軍の犯行が濃厚ですが、政治的にはイランサイドは絶対に攻撃を認めるわけにはいかない。こうした必要な武力行使をしておいて、私たちではないよ、という「ステルス的な攻撃」が今後多くなってくるかもしれません。無人機と低空をはうように飛ぶ巡航ミサイル、それが進化すればAIによる攻撃個所の分析、自立兵器の活用となって、「人が死なない戦争」となっていくのでしょうか。

《関連動画》
サウジアラビアの石油施設へのドローンによる攻撃。
ロシアの新型水中兵器の脅威。
シリア国内のロシア基地へのドローン攻撃



2019年9月26日木曜日

政府が電磁波、サイバー攻撃に対応できる「電子戦部隊」を創設!?


 我が国政府が、宇宙での作戦能力強化に加え、電磁波を使って相手の通信やレーダーを妨害し、無能力化を図る装備の導入を積極的に進める方針であることがわかった。

 電磁波やサイバー攻撃のテクノロジーが選戦局を決めたケースとして、ロシアによる2014年のウクライナ南部クリミア併合の例がある。

 我が国防衛省によると、ロシア軍は地上からの電磁波により、ウクライナ軍の通信やレーダーを妨害し、サイバー攻撃によりあらかじめ割り出していた携帯電話ネットワークを使用するように追い込んでいた。そのうえでウクライナ軍を特定の場所に移動するように指示する偽のメールを流し、集結したウクライナ軍部隊を取り囲んで攻撃。50000人のウクライナ軍に対して、3分の1以下の15000人の通常兵力で圧倒したといわれる。
 防衛省は、「システム化された軍隊同士が戦う現代戦では、電磁波、サイバー領域の優越が戦局に決定的な影響を及ぼす。」と分析している。ロシア軍は、電子戦、サイバー戦の分野ではアメリカ軍の能力をしのぐという指摘もある。共産中国も衛星妨害用の地上配備型レーザーの開発を2020年頃に完了させる可能性がある。
 このため我が国政府は、AWACS(空中警戒管制機)などの航空機を地上からの電磁波で妨害する装置を2023年度に導入する方針である。2020年度予算の概算要求では、関連経費として38億円を計上した。将来的には衛星を妨害する装置の導入も視野にいれる。
 我が国政府は、2020年度末に新たな電子戦部隊を熊本市の陸上自衛隊健軍駐屯地に新設するなど態勢整備を図っていく。
 防衛省にあるサイバー防衛隊も人員拡充を図る。マルウェアなどを使用した反撃能力の保持に向けた検討も本格化させる方針である。(読売新聞2019923日総合13版)

【関連動画】
クリミア侵攻までの経緯 ナザレンコ・アンドリー氏

ロシアのクリミア併合から3年


2019年8月22日木曜日

イランが無人攻撃機を開発してしまった!

どうも現在アメリカのトランプ政権と折り合いのよくない西アジアのイスラム教シーア派の大国イランが無人攻撃機を開発し、中東各国に売りさばいているようである。

核開発だけでもアメリカをはじめとする国際社会では持て余し気味なのに、これでまた中東の不安定さを助長する新たな脅威となると報道されている。

どうもこのイラン製の無人攻撃機、民生品を多用してるようだ。開発コストを極力おさえるためであろう。民生品を使用しているならば、制裁もあまり効果はあるまい。無人攻撃機の部品として輸入しているわけではないからである。このあたりもさしづめよく計算されている。

注目すべきは、この無人攻撃機の技術をイランがどのように入手したのか、ということである。ニュース報道では、どうもイランの隣国であるアフガニスタンからイランの関係当局の人間が入手したということである。アフガニスタンは2001年ごろかアメリカ軍が集落に潜伏するタリバンの兵士を攻撃するために、無人攻撃機プレデターに対戦車ミサイルであるヘルファイアを搭載し、大量に投入している。

上空からタリバン兵士が潜伏する村々を攻撃するわけだが、肝心のタリバンの兵士は村の地下に退避していて、ミサイルがヒットし犠牲になるのは村の民間人という惨劇が繰り返された。

さらにプレデターも何機か撃墜され、墜落し、捕獲されている。おそらくコントロールが不能になって地上に落下した機体を回収した例もあったのでないか、と思われる。

こうしたアフガニスタンに墜落したプレデターをどうもイランの国防当局の人間が回収していったようである。そしてイラン国内に持ち帰り、分解し、中身を解析して構造を研究、ついに自前で無人攻撃機を完成させるに至り、周辺国へ売りさばいているというのである。

イランが支援する海外武装組織に売買されるようであるが、元々反米思想の過激派組織に売るわけだから、攻撃されるターゲットは決まっている。サウジアラビアでは無人機による被害が絶えないらしい。イスラエルでは、低空で侵入してくる無人攻撃機を探知、レーザー光線で撃墜する防空システムが開発された。

直接イラン軍が攻撃するわけではないが、イランが支援する組織を通じての攻撃なのでイスラエルやサウジアラビアを防衛するためにアメリカがどう出てくるか、関心をもってみている。

間接的に運用されることでこうしたステルス的な戦争形態が生じるのであるが、アフガニスタンに墜落した無人機の機体を研究して、新たな開発につなげる手法はイランの専売特許ではない。実はこの手法は元来アメリカの得意技である。

第二次大戦の時に我が国の零戦を無傷で確保して、これを丹念に分解、分析して、オリジナルの戦闘機開発につなげた例、また真偽のほどは定かではないが、アメリカは自国国内に墜落した異星人の飛行物体を生存していた異星人共々回収、機体構造や推進システムまで詳細に調査、解析し、今や極秘に反重力戦闘機なるオブジェクトを開発し、密かにミッションに投入されているという。

アメリカは未知の技術に出会ったときにそれを入手することにそつがないのである。

今回は、こうしたリバースエンジニア的な手法をイランが独自に行い、核兵器や弾道ミサイルとはちがう脅威になりつつある。核兵器、ミサイルは揃えるまでに膨大な予算を必要とする。核弾頭を維持していくのにも多大な予算がかかる・・。

イランはただのアメリカを敵視し、核大国アメリカにオリジナルな核兵器だけで対抗するだけではない。捨てられたアメリカの最新兵器を利用して、安上がりにアメリカの意気のかかった国を攻撃している。くるべき時は勝手にやってきた、

超大国アメリカが結果的にまいてしまった種がぐんぐん育ったあげく、アメリカに間接的に刃をむけて帰ってきつつある。我が国もホルムズ海峡の通航の問題もある。今後の中東問題から目が離せないであろう。


【イラン製無人攻撃機関連動画】










日本版CIA創設にむけて 武器となる諜報インテリジェンス 後編

(※以下の出典は、『諜報機関』(井上太郎著)平成26年12月初版発行、㈱青林堂より)


ペルー人質事件の顛末

ペルーの日本大使公邸占拠事件の時、人質を全員無事に救出できました。テログループはペルー政府の方針により全員射殺されました。日本でいう出前持ちに扮したり、テログループの家族と牧師さん経由で折衝しながら、内部へ地下トンネルを3本掘りました。資金も提供しながら4ケ月かけました。

ペルー日本大使館占拠事件の概要ですが、恒例の天皇誕生日祝賀パーティの最中にトゥパクアマル革命運動の14人により日本大使館が占拠されました。当初は約600人の人質、女性子供その後アメリカ人等が解放され、最終的に約100人になりました。目的は仲間の釈放と資金の為の身代金です。この革命運動には一部の赤軍派が合流していました。そんな関係で日本から公安職員が派遣されました。

ペルー日本大使公邸占拠事件は、解決までに4ケ月かかりました。大使以下人質(ほとんどは企業駐在員)は占拠グループとむしろ交流し、中からも説得工作をしていました。そして近所の日本料理屋から多くの日本食の差し入れがあり、日本の司法当局も料理屋の人間になりすまし、何度も出入りし状況を把握していました。ところが日本のマスコミは司法治安当局の指導を無視して常識外の報道スクープ合戦が行われました。

特にひどかったのはテレビ朝日と共同通信でした。テレ朝は日本料理店と組んで差し入れと称してグループと接触しました。共同通信は、数百万円を占拠グループに渡して、世界から非難を浴びました。ペルー大使公邸占拠事件の時のテレ朝取締役報道局長は、放送法違反に問われた椿貞良です。共同通信の記者はAです。特に共同通信のAは司法治安当局本部の規制ラインもお金をばらまき、完全に無視しました。突入のために3方向から掘っていたトンネルの位置まで占拠グループに情報提供した疑いももたれました。

テレ朝は椿氏を関連会社へ異動させ、共同通信のAは処分の前に自ら退社しました。この共同通信記者はその論調からも、元々ただのスクープ狙いのお金ばらまき作戦だったようで、司法当局の邪魔者として有名です。平気で左翼の味方もすれば、平気で考えが変わります。今日は保守気取りで論調していますが、ペルー人質事件始めとする売国行為は絶対に許されません。

日本の公安当局によるテロ事件の解決方法には世界が評価し、そのノウハウは合同訓練などで友好国の特殊部隊にも引き継がれています。自衛隊にも専門部隊があり、武器の使用期限が警察・自衛隊の活動を縛りますが、海外では現地組織が連携できます。「命が最優先である」が我が国の方針です。


日本の諜報機関

世界には様々な諜報機関があります。アメリカならCIA、イギリスはMI6SIS)イスラエルのモサド、共産中国の国家安全部、南朝鮮ならKCIAの後身となる国家情報院があります。

日本では、内閣府に属する「内閣情報調査室」は「日本版CIA」を目指し、昭和27年(1952年)に創設された組織で、本部は内閣府庁舎6階にあります。諜報部門は、国内、国際、経済部門の3つに分かれています。それぞれ約50人の諜報員を抱えていますが、誰がどんな調査をしているかは、お互いの諜報員同士でもわかりません。

伝統的にアメリカCIAのカウンターパートナーであるため、お互い日常的にCIAとは情報交換をしています。実務におけるトップの内閣情報官を始め、伝統的に職務上からも警察庁からの出向者がほとんどを占めるのも特徴です。

国際部門の諜報員は、拉致問題を始め、北朝鮮に関してはかなりの情報量を持ち、共産中国に関しても一時のソビエト連邦やロシアに匹敵するほどの情報が蓄積されてきています。国内部門では、左翼過激派に対する情報収集が中心ですが、各政党に対する情報収集も行われています。

日本にもアメリカCIA諜報員は配置されていますが、そのほとんどは経済CIAといわれています。一部は日本と連携し、共産中国、ロシアなどの領事館員等に対する諜報活動もしています。

内閣情報調査室の一部局である内閣衛星情報センターでは、現在4基打ち上げられている偵察衛星からもたらされる画像を分析しています。北朝鮮や共産中国の動向を注視しています。平成25年のフィリピン台風被害では、その能力が知られてしまうことから普通は絶対ありえませんが、政府間の超極秘として情報提供され、被害状況のみならず遺体捜索にも大きな役割を果たしました。フィリピンと日本国の信頼関係がわかります。アジアで共産中国と朝鮮半島だけがおかしいのです。

その極めて高い情報収集能力から、日本最強のスパイ機関と評価されているのが警視庁公安部です。公安三課が右翼団体の担当で、一課二課とで極左グループから共産党、その他政府転覆を目指す団体の監視にあたっています。警視庁公安部は通称「さくら」「千代田」という暗号名で呼ばれることもあります。さらに公安総務課には警視庁内部ですら実態が隠されている部署もあり、国家に対する極めて重要な諜報活動を行っています。

外国諜報機関のスパイ行為を捜査するのが通称外事警察です。外事一課がロシアンスパイやミサイルの部品持ち出しなど戦略物資の監視をします。外事二課が共産中国、北朝鮮のスパイや大使館職員の監視等です。外事三課は国際テロ担当ですが、外事三課の場合には、例えばCIAからパキスタンのテロリストの遠い親戚が日本に潜伏しているなどの情報が入ると、対象者として調査し、CIAと連携することもあります。

平成23年(2011年)に発覚し、そしてつい先日時効を迎えてしまいましたが、外事警察の捜査情報がネット上に大量流出する事件が発生してしまいました。世界に極秘手配されているイスラムテロ犯の姻戚関係に始まり、知り合い程度の関係までが網羅されており、監視対象にもなっていました。さらには相当数の各国大使館員の銀行口座の全てが記録されており、その情報収集能力の緻密さに驚かされました。

警察官すべてがそうであるように、警察官は職務に命をかけます。しかしこうした公安部員が相手とするのは世界のスパイ工作員です。命の危険性もあります。しかし彼らは公務員です。当然ですが給料は一般行政職と変わりません。これは自衛隊員も同じだと思います。おそらく人にはいえない日本を護るという誇りが職務に就かせているものと思います。日本の良心であると思います。

公安委員会というのは警察の管理のための委員会(監査相当)であり、公安部とは全く関係ありません。警察では我が国の国益が損なわれることのないよう対日諸工作に関する情報収集、分析に努めると共に、あらゆる法令を駆使し、違法行為に対して厳正な取り締まりを行っています。

公安調査庁は法務省の外局です。破防法等の適用を業務とし、武器の携行も捜査権限もありません。警察庁にあるのは警備局公安課、公安部があるのは警視庁だけです。外事課もあり、主として思想的犯罪を取り締まります。いわゆる諜報機関の役割もあります。よく知らないで区別もなくただ公安と呼ぶ人が多いようです。


日本の諜報能力は優秀

日本と共産中国の諜報機関の関係は、何も相手の全てのを知り、戦争して有利にすることでもかき回して潰してやろうということが目的でもありません。その諜報能力自体が核と同じに抑止力になります。当然直接交流し、お互いの平和が目的という確認もしています。政治関係が冷えても心配はありません。しっかりと安倍政権の戦略を支えています。

佐々淳行氏がいうように、公安警察は民主党政権で職務を制限されたといえます。反日左翼に力をつけられ、放射能をマスコミとグルで大騒ぎ、福島瑞穂のウソに煽られ、孫正義にお金を撒かれ原発をとめる事態に発展しました。自民党政権に戻り、反原発が朝鮮人の煽動ということがわかりました。平和な日本人のデモにしばき隊まで現れました。

日本の諜報機関の某氏が平成26年(2014年)1月の偵察通信衛星の成功について、今改めて民主党政権が終わっていて良かったと述べています。この衛星の成功により半島や共産中国の動向のかなりのことが把握できるようになっています。米国との連携でも民主党だと情報漏洩が懸念されたことも解消され、日本の危機管理は正常に戻ったといえます。

共産中国諜報機関の特徴は、人脈構築工作(ヒューミント)から展開し、目的を悟らせずして知らず知らずに日本の政策や世論を共産中国に有利な方向に仕向け、侵略を図るのが特徴です。日本の危機管理意識のない国会議員や官僚、諜報機関からすれば赤子の手をひねるようなものです。

中国共産党中央統一戦線工作部で、それこそ世界中にちらばっており、その数は20万人を越えるともいわれています。北朝鮮の3号庁舎と並び、何でもありの最も危険な工作機関です。

共産中国のスパイについて玄葉元大臣は、単なる金儲けだと評していましたが、野田元総理を始め民主党の認識はこの程度であり、ここ三年半にどれだけのスパイが潜り込んだか、安倍政権により密かに調査が始まっています。農水省に限らず外務省、経産省、防衛省に疑惑があります。

北朝鮮の動向で日本の諜報能力のどの程度が民主党政権によって把握されてしまったのかが大きな問題です。もちろん民主党が左翼にのっとられて以上、関係機関が民主党に対しできる限り秘匿もしています。しかし民主党からもれた情報がどれだけ共産中国や南北朝鮮に流れたか、これはとても大きな国益の損失になります。安倍政権により民主党の悪政の検証が進んでいますが、一番被害が深刻なのは治安と防衛に関することです。在日帰化人の左翼過激派が民主党本部事務員の身分で内閣府に入り込んでいました。さらに防衛省システム管理にも一人関わっていたことがわかっています。

警察、自衛隊それぞれに多少の役割の違いがありますが、海外での諜報活動も行っています。しかし米英、仏、中、ロシア、独などに比較すると、能力はひけをとりませんが、圧倒的に人員不足です。それこそ百分の一程度の人員規模と言われます。警察、自衛隊の海外での活動は一般的に大使館や領事館で武官もしくは書記官としても勤務します。しかし日本は諜報機関そのものとして現地に派遣できるシステムがありません。完全に民間人に扮装することが不可能な地域は、アフリカや中東にはたくさんあります。




優れた諜報能力は、核兵器以上の抑止力にもなりうるのです。相手国のありとあらゆる情報を把握し、その情報をコントロールできるまでになれば、それは最高の武器となります。仕掛ける諜報戦略によっては、相手国の体制まで崩壊させることができます。

日本の国防、諜報能力の一部でも漏洩することは国益の大きな損失につながります。能力が知られてしまっては敵に対応もされてしまいます。時にはごく一部を匂わすことにより計り知れない潜在能力を悟らせ、抑止力として活かすことができます。

核兵器は「使えない抑止力」ですが、諜報インテリジェンスは、いくらでも使えます。牽制にもなります。場合によっては「核兵器以上の使える抑止力」であると言えます。

2019年8月18日日曜日

日本版CIA創設にむけて 武器となる諜報インテリジェンス 前編

※以下の出典は、『諜報機関』(井上太郎著)平成26年12月初版発行、㈱青林堂より


日本に必要な諜報機関

我が国では、危機管理意識の強い安倍晋三政権時代に諜報機関の形が固まってきていますが、その前の政権のころからもかなり形が具体化したことはありました。

しかし完全に独立した諜報機関となると、諜報機関そのものの暴走もあり得る、という政治家独特の感覚が働いたこと、また仮に諜報機関を内閣や政府直轄機関とすると政権交代などにより、かつての民主党政権のような「左翼・リベラル政権」となった時に逆に恐ろしいことになるという理由でなかなか実現しませんでした。

もっとも「左翼政権」が誕生すれば、諜報員は自ら身をひき必然として組織は解散となり、元来の所属機関に戻ることになると考えられます。諜報機関員ともなればその役割については場合によっては命までもかけているわけですから、組織全体も隠してしまう。つまり組織全体のバックアップ体制が一番の課題となります。

諜報機関というのは、国家(日本)全体で連携しないと全く意味を持たないことになってしまいます。極論すれば、諜報機関が別の諜報機関を見張る場合もあり得ます。分野を決めてきちんと連携しないとかえって混乱を招くだけになります。

平成26年(2014年)に官邸は、日本版CIA創設プランを提出、その可決後に正式に諜報機関を設立する計画を発表します。

諜報インテリジェンスとは?

諜報インテリジェンスは、学問でもなければましてや理論などではありません。学術的に論じることは全く無意味なことであり、何の役にたつのかわかりません。

アメリカにとって日本はスパイの対象なのでしょうか?共有する情報に基づく諜報活動もあり、安保条約からNSAでは相互協力となっています。日本に対してはどちらかといえばCIAが担当であり、それはしかも経済CIAです。アメリカには商務省の諜報機関もありますが、戦略面が強く対象は共産中国やロシアになります。日本の諜報活動はバレません。ロシアに亡命したスノーデンの発言により、アメリカによる同盟国に対しての諜報活動に批判が高まっていましたが、ばれてしまう程度の諜報活動ならばやらない方がマシです。ばれてしまうのは諜報活動とはいえず、単なる偵察活動です。盗聴疑惑騒動は、世界の一般国民や企業にも行われていることなのです。そのことには触れず、気をむけさせないのは不思議なことです。

日本の政治家の場合、機密を漏らしたのが政務三役であった場合、国会議員は特別職の国家公務員であるため、国家公務員法(守秘義務)違反は適用されない上、「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」(大臣規範)で違反にはなるが罰則はありません。ですからスパイ防止法は絶対に必要です。

なぜ日本にスパイ防止法がなかったのか

日本にスパイ防止法がなかったのは、政府が戦後長い間共産中国などとの軋轢を避け、優柔不断な弱腰外交を続けてきたからと言われています。ウィーン条約によって「不逮捕特権」が認められる外交官のスパイ活動は、何らかの別件でなければ日本の裁判にかけられません。この辺りにもスパイ防止法が一刻も早く求められる理由があります。

スパイ防止法案がなかなか可決されない理由は、自民党案ではパフォーマンスに過ぎませんでした。日本の諜報機関が作成した案は、刑法81条の外患誘致罪を独立させ、戦争に限らず広く日本の国益を損なうとして死刑までありました。

自民党案が悪いのではありませんが中途半端であり、機密文書の概念が曖昧で特定が困難だったことが問題でした。その時の政権によっては、機密文書の存在が浮かび上がることになり、本来の機密が表面に出ることになってしまいます。スパイ防止法案は「中途半端な法案」よりむしろ「無い」方が、都合の悪いことを闇に葬ることができるので実効性は上がります。なまじ表面化すると報復が一般国民に及びます。

スパイ防止法案という名称からして変えなければいけないと思います。例えば「国益の確保等に関する法律」そして警察法の67条を一部改正して、警察官の武器使用を緩和することです。日本人も含めて、日本でスパイ行為をすれば撃たれることがある。これが警告となり、防止となります。

戦後日本におけるスパイ活動における謙検挙事件だけでも100件近くあることをご存じでしょうか?一時はそのほとんどがロシアと北朝鮮でした。しかしソビエト連邦の崩壊後は、ロシアのスパイは極端に少なくなり、その後は殆どが北朝鮮と共産中国になりました。そして目的のほとんどは軍事機密の入手です。さらに民間からの機密盗難もあります。

日本のスパイ事件の標的の多くは自衛隊です。ただスパイは検挙してもいずれも外交特権により帰国してしまいます。日本にはスパイ防止法がなく、日本側もたいした罪に問われることもなく片付けられてしまいます。

日本の技術は軍事に限らず極めて優秀です。日本の諜報機関は極めて少人数ですが、その能力は友好国から高い評価を受けています。

マスメディアはこの問題については、批判ばかりしていますが,仮に批判するのであれば、日本の諜報活動のどこが、なぜ悪いのか、メディアの責任として論ずるべきです。さらに諜報活動によって得られた情報を秘匿することの何がいけないのか、批判する以上明確にする責任があります。

自衛隊だけではなく、諜報活動はあくまでも日本を守るためです。どこの国も同じですが諜報活動は命がけなのです。工作活動が発覚して捕まれば海外では死刑もあり得ます。そうした内容をマスメディアも国民も知る必要がなく、むしろ知れば危険が及ぶ可能性が高い。

スパイ、工作員、諜報員、とその形は様々であり、様々な役割と使命があります。しかし絶対に必要なのは「国を護る信念」です。そして諜報機関に携わる人は例え家族であってもそのことを絶対に話しません。そうでないと周辺にまで危害が及ぶからです。国家として機密を持たずオープンにすれば、北朝鮮、共産中国等のスパイ工作員もいなくなります。確かによいことかもしれませんが、スパイの必要がない国はすなわち無防備国家であり、格好の標的です。日本はスパイ天国と言われるほどそれだけ機密も多く狙われています。スパイ防止法の制定が早急に必要といわれる理由です。

諜報機関は、対象者もしくは何らかの行動を起こしているグループに対して確実に情報収集を行います。その方法は、その対象グループに潜り込んだり、協力者を確保したり、様々な現実の状況から分析をします。デモの主催者、支援者、と簡単に割り出しています。日本の公安当局には、連合赤軍が世界各国で様々な組織と組んで起こした多くのテロ事件の調査実績がありそのノウハウがあります。ミュンヘン五輪選手村襲撃事件、テルアビブ銃乱射事件、フィリピンのモロイスラム解放戦線、ペルー大使館人質事件などがそうです。日本の警察が現地と協力し解決した事例もあり、その結果は射殺もあれば、逮捕もあり、人質救出もあります。
【関連動画】


2019年7月14日日曜日

軍事アナリスト北村淳氏『シミュレーション日本降伏』(PHP新書)より


実は「地対艦ミサイル先進国」日本の実力

20197/13() 12:36配信 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190713-00010000-voice-pol


北村淳(軍事アナリスト)



軍事アナリストの北村淳氏は近著『シミュレーション日本降伏』(PHP新書)にて、急速に軍備を増強させる中国の戦力と日本の戦力を詳細に比較しつつ、日本の領土・領海が脅かされている現状に警鐘を鳴らしている。



<<米トランプ大統領が「安保条約の破棄を示唆」とのニュースが突如として駆け抜け、日本国民に衝撃を与えた。北村淳氏は近著『シミュレーション日本降伏』にて、海洋進出を加速させる中国が魚釣島に侵攻した場合を想定したシミュレーションを展開しつつ、日本と中国両国の詳細な戦力比較を行っている。

そのなかで地上から敵軍の艦艇を攻撃するミサイル「地対艦ミサイル」について、中国が「地対艦ミサイル大国」で対する日本は「地対艦ミサイル先進国」だと述べている。本稿では同書より日本の現状を解説した一節を紹介する。>>

※本稿は北村淳著『シミュレーション日本降伏 中国から南西諸島を守る「島嶼防衛の鉄則」』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。


アメリカでは必要とされなかった地対艦ミサイル

地対艦ミサイルを語る際にきわめて興味深いのは、アメリカ軍の現状である。

トランプ政権が誕生するまでオバマ政権下で国防予算が大幅に削減されたため、戦力低下に喘あえいでいるとはいっても、依然としてアメリカ軍はありとあらゆる兵器システムを取り揃えている世界最大規模の軍隊だ。

しかしながら、そのようなアメリカ軍といえども地対艦ミサイルシステ
ムを保有してこなかった。両隣がカナダとメキシコに挟まれているアメリカ本土(ハワイ州とアラスカ州を除いた四八州とワシントンDC)は、太平洋と大西洋という広大な海洋でアジア大陸やヨーロッパ大陸と隔てられている。

そのため現在、アメリカ国防当局は自国の海岸線沿岸域での防衛はほとんど考えていない。もちろん本土決戦などまったく想定していない。

要するに、沿岸海域での迎撃戦に威力を発揮する地対艦ミサイル部隊を運用する必要性を認めていなかったのである。

したがって、アメリカ軍需産業も、地対艦ミサイルシステムには関心を示さず製造してもこなかった(ただし、対中軍事戦略の転換に伴って状況は変わりつつある)。

もっとも、地対艦ミサイルシステムはアメリカに限らず、さほど多くの国々で開発製造されているわけではないため、現存する地対艦ミサイルの多くは、軍艦に装備される対艦ミサイルのバリエーションとして副次的に生み出されている場合が多い。



https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190713-00010000-voice-pol&p=2


障害物を避けながら飛翔する日本の高性能「地対艦ミサイル」


西側諸国としては珍しく地対艦ミサイルを開発製造しているだけでなく、地対艦ミサイルの運用に特化した世界的に稀有な地対艦ミサイル部隊も保有している国が、日本である。

日本が独自に開発し製造した地対艦ミサイルシステムは「88式地対艦誘導弾」ならびにその改良型の「12式地対艦誘導弾」である。

88式地対艦誘導弾」(以下、本稿ではミサイル本体と混同するのを避けるため、88式地対艦ミサイルシステムと記述する)は、射程距離が150km以上(おそらく200km近く)で飛翔速度は1150kmhと考えられている。

この地対艦ミサイルシステムはレーダー装置、指揮統制装置、射撃管制装置、ミサイル発射装置などから構成されており、大型ならびに中型トラックに搭載されて陸上を自由に移動することができる。

88
式地対艦ミサイルシステムの改良型である「12式地対艦誘導弾」(以下、12式地対艦ミサイルシステム)は、目標捕捉能力をはじめとする攻撃性能が向上し、射程距離は200km以上(おそらく250km近く)に延伸しているものと考えられている。

88式地対艦ミサイルシステムと同じく、レーダー装置や発射装置などシステム構成ユニットはそれぞれトラックに積載される地上移動式兵器である。

これらの日本製地対艦ミサイルシステムは、地形回避飛行能力(超低空を飛行するミサイルが、地上の地形を認識して障害物を避けながら飛翔する能力)を持っている世界的にきわめて稀な地対艦ミサイルだ。

これは、陸上自衛隊の地対艦ミサイルの運用が当初は北海道に侵攻するソ連軍を想定していたために付加された機能である。

すなわち、北海道沿岸域に迫りくるソ連侵攻艦隊に対して、陸上自衛隊地対艦ミサイル連隊が海岸線付近に展開した場合、ソ連艦艇からの砲撃やミサイル攻撃に晒されてしまう。

そこで地対艦ミサイル連隊は海岸線ではなく内陸奥深くに潜み、沿岸海域に接近したソ連艦艇を内陸から攻撃して撃破する戦術を立案したのである。そのため、地上上空を100km以上飛翔するという、対艦ミサイルとしてはきわめて稀なミッションを持たされて開発されたのが、陸上自衛隊の地対艦ミサイルなのである。



https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190713-00010000-voice-pol&p=3


ロシア海軍を想定して配備される一方で、中国海軍への備えは手薄


陸上自衛隊には「地対艦ミサイル連隊」と呼ばれる地対艦ミサイルに特化した部隊が設置されており、現在、五個部隊が編成されている。

第一地対艦ミサイル連隊(北海道北千歳駐屯地)
第二地対艦ミサイル連隊(北海道美唄駐屯地)
第三地対艦ミサイル連隊(北海道上富良野駐屯地)
第四地対艦ミサイル連隊(青森県八戸駐屯地)
第五地対艦ミサイル連隊(熊本県健軍駐屯地)

この、世界でも稀に見る地対艦ミサイル連隊は、もともとはソ連軍の侵攻に備えるために生み出されたため北海道方面に集中的に配置された。当初は六個連隊が編成されていたが、ロシアの脅威が縮小したため大幅に削減されることとなった。

しかし、中国の東シナ海への侵出姿勢に対応して縮小は一個連隊にとどまり、今後も五個連隊態勢が維持されることになっている。

以上のように、日本は世界に誇れるきわめて高性能な地対艦ミサイルを開発しているだけでなく、世界でも稀な地対艦ミサイル連隊が設置されているという、いわば地対艦ミサイル先進国なのである。

ただし、このように陸上自衛隊は地対艦ミサイル連隊を五個部隊擁しているものの、南西諸島をはじめとする東シナ海方面で中国海軍に備える配置についているのは一個連隊だけである。

残りの四個連隊は北海道と青森県に配備されていてロシア海軍を想定敵としており、日本が直面する軍事的脅威の変化を無視している状態だ。

さすがに近年、島嶼防衛の重要性を日本国防当局自身が口にするようになってきたためか、地対艦ミサイル部隊(地対艦ミサイル連隊ではなく、地対艦ミサイルシステム運用の最小単位の部隊)の石垣島、宮古島、奄美大島への配備が開始されたため、地対艦ミサイル連隊の配置も修正されるものと思われる。


88式地対艦誘導弾






”米軍は警戒”なのに日本は…中国「史上最強の地対艦ミサイル」の脅威


20190710日 公開https://shuchi.php.co.jp/voice/detail/6594


北村淳(軍事アナリスト)



<<米トランプ大統領が「安保条約の破棄を示唆」とのニュースが突如として駆け抜け、日本国民に衝撃を与えた。北村淳氏は近著『シミュレーション日本降伏』にて、海洋進出を加速させる中国が魚釣島に侵攻した場合を想定したシミュレーションを展開しつつ、日本と中国両国の詳細な戦力比較を行っている。

そのなかで地上から敵軍の艦艇を攻撃するミサイル「地対艦ミサイル」について、中国が「地対艦ミサイル大国」で対する日本は「地対艦ミサイル先進国」だと述べている。本稿では同書より中国の現状を解説した一節を紹介する。>>

※本稿は北村淳著『シミュレーション日本降伏 中国から南西諸島を守る「島嶼防衛の鉄則」』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。



「地対艦ミサイル大国」へと進化する中国


アメリカと異なり、ロシア(ソ連時代から)と中国はさまざまなタイプの地対艦ミサイルを生み出している。

これは、きわめて強力なアメリカ海軍に対抗しうるだけの強力な海軍力を建設することが難しかったソ連や中国が、自国の沿岸域までアメリカ海軍部隊に接近されることを想定していたため、地対艦ミサイルや沿岸砲で沿岸防備を固めようと考えていたためである。

かつて中国が配備を進めていた地対艦ミサイルの多くは、短・中距離ミサイルであった。

これは、人民解放軍の海軍力が弱体であった当時、中国大陸沿岸部に押し寄せる敵を防ぐための沿岸防備用軍艦を取り揃えることすら困難であったため、沿岸から地対艦ミサイルを発射して何とか敵艦の接近を阻止しようとしたためであった。

最も有名であった中国製地対艦ミサイルがシルクワームと呼ばれるものであり、改良型のバリエーションも多く、北朝鮮、イラン、イラクなどにも輸出されている"ポピュラー”な地対艦ミサイルである。

イラン・イラク戦争(イラン軍もイラク軍もともに使用した)、湾岸戦争(イラク軍がアメリカ軍艦とイギリス軍艦に向けて発射したが、イギリス軍艦によって撃墜された)、イラク戦争(イラク軍がクウェートの多国籍軍に向けて発射した)などの実戦でも使用されている。

2006年のレバノン戦争では、ヒズボラが発射したシルクワームの発展型であるC-701地対艦ミサイルがイスラエル海軍コルベットに命中し、イスラエル軍に死傷者が出ている。


https://shuchi.php.co.jp/voice/detail/6594?p=1


対象的なアメリカ海軍関係者と日本の反応


中国の「積極防衛戦略」の進展に伴い、より沖合の敵艦艇を攻撃する必要性に応えるため中国技術陣が開発したのが、シルクワームファミリーの射程距離を倍増させた鷹撃(ようげき)62C-602)地対艦ミサイルである。

シルクワーム型のものよりも搭載爆薬重量は軽量化されたが、マッハ0.8のスピードで射程距離280290㎞を飛翔する。鷹撃62の改良型である鷹撃62-Aも誕生し、飛翔距離は400㎞といわれている。


これらの地対艦ミサイルはロケットエンジンやジェットエンジンで飛翔する巡航ミサイルであるが、中国はより遠距離の敵艦を破壊するための対艦弾道ミサイルの開発に努力を傾注してきた。


2013年ごろから、東風(とうふう)21型中距離弾道ミサイル(日本攻撃用の弾道ミサイル)を母体にして開発された東風21D型(DF-21D)と呼ばれる対艦弾道ミサイルが姿を現す日が間近いと見られていた。そして、20159月に行われた対日戦争勝利七十周年記念軍事パレードにDF-21D対艦弾道ミサイルが登場した。


人民解放軍の発表や米軍情報機関の分析などによると、DF-21Dの最大射程は16002700㎞であり、数個のレーダー衛星、光学監視衛星、それに超水平線レーダーなどからの情報によって制御されつつマッハ10(マッハ5という分析もある)で飛翔し、多弾頭(一つのミサイルに装着されている弾頭内部にいくつかの弾頭やおとり弾頭が仕込まれてい
て、それぞれが制御されながら目標を攻撃する)が空母などの艦艇に向けて超高速で落下する。目標の艦艇は、30ノット(時速56㎞)の速度で航行していても命中可能とされている。



DF-21Dは、主としてアメリカ海軍の巨大原子力空母を攻撃目標として開発されたが、命中精度を向上させて空母だけでなく、米海軍の大型艦から中型艦、たとえばイージス駆逐艦までをも攻撃するために開発されたのが、東風26型弾道ミサイル(DF-26)である。

DF-26は最大射程距離が3000㎞以上(あるいは4000㎞以上)といわれており、艦艇だけでなく、地上建造物などのような静止目標に対する攻撃も可能なため、アメリカ軍ではグアムの米軍攻撃用と考え「グアム・キラー」あるいは「グアム・エクスプレス」などと呼んでいる。


その長い射程距離のため、DF-26対艦弾道ミサイルは西太平洋などの外洋を航行するアメリカ軍艦を攻撃するイメージを持たれていたが、中国沿岸域からはるか内陸のアメリカ軍の攻撃を受ける恐れが低い地域から発射して、南シナ海や東シナ海の中国近海に侵攻してきたアメリカ軍艦(それに自衛隊艦艇をはじめとするアメリカ同盟軍艦艇)を撃破する、という用い方も想定可能である。


DF-21DにせよDF-26にせよ、対艦弾道ミサイルがアメリカ海軍原子力航空母艦のような巨大艦に向けて発射された場合、一発目の命中弾によって航行不能に陥らせ、二発目の命中弾によって撃沈することになるとされている。


中国内陸奥地のゴビ砂漠で実射テストが繰り返されている、といわれているが、実際に海上を航行する艦船をターゲットにした試験は行われていない。


いずれにせよ、中国側の宣伝情報が真実に近ければ、対艦弾道ミサイルはイージスシステム搭載艦でも迎撃はきわめて困難となり、史上最強の地対艦ミサイルということになる。

対艦弾道ミサイルの主たる攻撃目標は、西太平洋や東シナ海を中国に向けて接近してくるアメリカ海軍空母とされているが、米海兵隊を搭載する強襲揚陸艦や、海上自衛隊の大型艦であるヘリコプター空母も格好の標的となる。


しかしながら奇妙なことに、日本ではDF-21DDF-26の脅威はほとんど取り上げられておらず、見掛け倒しのハッタリといった評価が幅を利かせている。

しかし、アメリカ海軍関係者たちは中国対艦弾道ミサイルの完成をきわめて深刻に受け止めており、日本側での受け止め方とは好対象をなしている。





「安保条約があっても」米が日本に援軍を送らない“明確な根拠”


20190626日 公開https://shuchi.php.co.jp/article/6549


北村淳(軍事アナリスト)



<<米トランプ大統領が「安保条約の破棄を示唆」とのニュースが突如として駆け抜け、日本国民に衝撃を与えた。しかし、米シンクタンクで海軍アドバイザーを務めた軍事アナリストの北村淳氏によれば、安保条約が維持されていても、日本の危機に米軍は援軍を送らないと指摘する。


北村氏の近著『シミュレーション日本降伏』では、海洋進出を加速させる中国が魚釣島に侵攻した場合に、日本は短期間で降伏してしまうという衝撃のシミュレーションを展開し、宮古島や石垣島を含む南西諸島を守るための対策が急務だと指摘している。

日中両国の軍事戦力差を冷静に比較分析し、かつ国際社会における中国の立ち回り方も踏まえた結果に導かれたものだが、やはりこのシミュレーションにおいてアメリカ軍は日本の救援に動かない。

なぜなのか? 本稿では同書よりその理由の一端に触れた一節を紹介する。>>

※本稿は北村淳著『シミュレーション日本降伏 中国から南西諸島を守る「島嶼防衛の鉄則」』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。



かつての日本海軍・陸軍と似た陸・海・空自衛隊の状


第二次世界大戦での手痛い敗北後70年以上を経た現在においても、日本の国防システムは日本自身の経験も含めた古今東西の戦例からの教訓をしっかりと反映させているとはいえない。

なぜならば、島嶼国日本の防衛は「海洋において外敵を撃退する」態勢を堅持しなければならないにもかかわらず、相変わらず陸上自衛隊と海上自衛隊、それに航空自衛隊が互いに牽制しながらバランスを取り合っている、というかつての日本海軍と日本陸軍のような状態が続いているからである。

その結果、海上自衛隊と航空自衛隊には「島嶼防衛の鉄則」である海洋において外敵の侵攻を遮断するために必要十分な戦力が与えられておらず、陸上自衛隊は「ファイナル・ゴールキーパー・オブ・ディフェンス」を自認してはばからず、最終的には日本列島という島嶼に立てこもって外敵侵攻部隊と「本土決戦」を交えようとしている始末である(ただし、日本国防当局が来援を期待しているアメリカ軍救援部隊が到着するまでの限定的な「本土決戦」ではあるが)。

東シナ海における中国の侵出政策に対抗する方針に関しても、日本国防当局が想定する戦略は「島嶼防衛の鉄則」を大きく踏み外している。なぜならば、島が占領されたことを前提としての「島嶼奪還」といったアイデアが大手を振ってまかり通ってしまっているからだ。

「島嶼防衛の鉄則」に従うならば「海を越えて南西諸島や九州に迫る中国人民解放軍を海洋上(上空・海上・海中)において撃退してしまうだけの防衛態勢を維持することによって、中国の東シナ海侵出政策を挫折させること」が必要なのである。


https://shuchi.php.co.jp/article/6549?p=1


外敵が侵攻するしてくるまで反撃できない日本


憲法第九条やそれから誕生した専守防衛という概念が日本の国防思想に幅広く浸透してしまった結果、「外敵が自衛隊を直接攻撃した段階、あるいは外敵が日本領域(領空、領海そして領土)に侵攻してきた(あるいは、侵攻してくる状況が明確になった)段階になって初めて迎撃戦を開始することができる」という基本的思考が日本社会には深く浸透してしまっている。国防当局といえどもその例外ではない。


そのため、いくら国防のために軍事合理性があるからといっても、外敵の目に見える形での軍事攻撃が開始されるまでは、敵に先手を打って強力かつ効果的な軍事的対策を実施することすらできない。すなわち専守防衛というアイデアがまかり通ってしまっている。

このような専守防衛概念に固執していると、外敵が日本領域に向かって接近している状況を捕捉していても、外敵から攻撃を仕掛けてこない限り対応できない。

日本の領域の限界線である領海外縁線(その上空には領空外縁線、以下、海空合わせて「領海線」と呼称する)を外敵が越えた時点で初めて外敵を迎え撃つことが可能となるのだ。


海岸線からわずか12海里の領海線周辺まで敵が侵攻してきた段階で迎撃戦を開始するのではあまりにも遅きに失する。しかし歴代内閣の専守防衛の解釈に拘泥(こうでい)する限り、このようなぎりぎりの海域を防衛ラインの最前線に据えるしかないのである。

1海里は1852m。船が1時間に1海里進む速度を1ノットという。戦闘用の軍艦の最高速度は30ノット強程度のものが多い。輸送艦の最高速度は20ノット強程度である。したがって領海線に達した敵艦艇は30分以内にわが海岸線に到達してしまうのだ)

現代の兵器や通信手段の性能からは領海海域は日本沿岸域と見なすことができる。日本の領海線を防衛ラインの最前線とするということは、つまり「島嶼防衛の鉄則」から見ると、通常は第三防衛ラインを設定すべき海域に第一防衛ラインを設定していることを意味している。


要するに、外敵の侵攻を阻止するための海洋での防衛ラインは海岸線ぎりぎりの沿岸域のみであり、これでは海岸線での地上戦を当初より想定せざるをえない。

実際に海岸線での地上戦が大前提になっていることは、自衛隊の装備体系などから明らかである。すなわち「外敵は一歩たりともわが海岸線には上陸させない」という「島嶼防衛の鉄則」は日本国防当局の頭のなかには存在しない、あるいはそのような構想は排斥されているのだ。


そして、海岸線での地上戦のみならず、海岸線沿岸域を突破してさらに侵攻してきた敵を内陸で迎え撃って敵侵攻軍に打撃を与えつつ持久戦に持ち込み、日本各地から増強部隊を集結させて反撃に転ずる、というのが現代日本の「本土決戦」のシナリオである。

実際には、内陸で「本土決戦」を実施している間に、日米安全保障条約第五条が発動されてアメリカ軍救援部隊が駆けつけ、アメリカ海軍艦隊や航空戦力によって敵の海上補給線を打ち砕き、アメリカ海兵隊が敵侵攻部隊の背後側面から上陸して内陸で持久態勢をとっていた自衛隊と挟み撃ちにする。やがて、アメリカ陸軍の大部隊も日本に到着して敵侵攻軍を完全に撃破する、というシナリオが期待されている。


敵の侵攻目的地が離島である場合においても、島嶼周辺沿海域の一重の海洋防衛ラインでは敵侵攻軍を撃退することはできないことが大前提になっている。そのため、「いったんは敵に島嶼を占領させ、しかるのちに奪還戦力を集結して島嶼奪還作戦を実施する」というのが日本国防当局の基本的方針となっている。


ただし、現状では島嶼奪還作戦を自衛隊単独で実施することがきわめて困難なことを認識している日本国防当局は、海兵隊をはじめとするアメリカ救援軍の到着を待って日米共同作戦として実施することを期待しているのである。


https://shuchi.php.co.jp/article/6549?p=2


脆弱な防衛態勢を放置し続ける日本に、アメリカの援軍は来ない


このような日本国防当局の期待には、大いなる疑問符を付せざるをえない。

というのは、過去半世紀にわたって、第三国同士の領域紛争で一方当事国が他方当事国の領域を占領あるいは奪取した事態が生じた場合、アメリカが本格的軍事介入を実施したのは、サダム・フセイン政権下のイラクがクウェートに侵攻し、占領した事例だけだからである。


そのほかの軍事占領(たとえば最近の例では、ロシアによるウクライナ領の奪取)に関しては、アメリカは軍隊を送り込んではいない。


緊密な同盟国であるイギリスが、フォークランド諸島をアルゼンチンに占領されたときでさえ、アメリカは直接援軍を送らないどころか、当初の間はイギリスのサッチャー首相にアルゼンチンとの軍事対決を思いとどまるように説得を試みたほどである。

したがって、アメリカ国民の大半にとって関心の対象ではない日本の離島が中国に占領された事態が生じたとしても、アメリカ政府、アメリカ連邦議会が日本国防当局の期待に応えるかどうかには疑問符を付けざるをえないのだ。


いずれにせよ、島嶼国家日本の防衛方針は「島嶼防衛の鉄則」を完全に踏み外しており、「島嶼防衛の鉄則」によれば絶対に避けるべきである日本領土内での地上戦が想定されている。そのため、尖閣諸島のようないわゆる離島部に対する防衛方針でも「いったん取らせて、しかるのちに取り返す」という「島嶼奪還」がまかり通っている状況だ。


実際に、陸上自衛隊の編成や部隊配置は地上戦が前提とされていて、国民保護法(「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」)は、明らかに日本での地上戦が実施されることを前提とした法律なのである。


要するに現在の日本は、危険極まりない防衛ラインを設定した脆弱な防衛態勢を放置し続けている状況なのである。

※我が国の戦後の憲法9条の解釈は「事なかれ主義」です。現行憲法の9条は自衛戦争も自衛戦力の保持も否定していません。国連憲章の戦力規定にそったものだからです。




本当は「尖閣諸島」に興味がなかった中国共産党


20190627日 公開https://shuchi.php.co.jp/voice/detail/6447


北村淳(軍事アナリスト)


<<海洋進出を加速させる中国。南シナ海をコントロール下に置き、次のターゲットは東シナ海。尖閣諸島を含む南西諸島への挑発ともとれる動きが伝えられている。

米シンクタンクで海軍アドバイザーを務めた軍事アナリストの北村淳氏はいつ中国が魚釣島へ侵攻してもおかしくない情勢であると指摘し、近著『シミュレーション日本降伏』では、海洋進出を加速させる中国が魚釣島に侵攻した場合に、日本は短期間で降伏してしまうという衝撃のシミュレーションを展開している。


なぜ尖閣諸島はここまで危うい存在になってしまったのか? 同書では、かつて尖閣諸島に興味すら持たなかった中国が突如として領有権を主張するようになった経緯に言及している。 本稿ではその一節を紹介する。>>

※本稿は北村淳著『シミュレーション日本降伏 中国から南西諸島を守る「島嶼防衛の鉄則」』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。



東シナ海での領域紛争の起源


尖閣諸島は、石垣島の北北西約170㎞、沖縄本島の西約410㎞、台湾本島の北東およそ170㎞の東シナ海に点在する五つの島(魚釣島、北小島、南小島、久場島、大正島)と三つの岩礁(沖の北岩、沖の南岩、飛瀬)、それらに付属するいくつかの小岩礁からなっている。

これらの島嶼のうち最も広いのが魚釣島で、面積はおよそ三・八平方㎞、尖閣諸島の最高地点もやはり魚釣島にあり海抜三六二mの奈良原岳山頂である。1879年に琉球王国が日本に編入されて以降、尖閣諸島は実質的に日本の領土と見なされた。

ただし日本政府はこれらの島々の帰属を国際法的に明らかにしておこうと考え、1885年から10年近くにわたって尖閣諸島の歴史的な領有状況に関する調査を実施した。

その結果以下の二点が明確になった。

(1)尖閣諸島は永きにわたって無人島である。
(2) 清国(当時の中国は満州民族の王朝である清王朝に支配されていた)をはじめ、いかなる国家も尖閣諸島に支配権を及ぼしていない。



そのため、日本政府は1895114日、「先占の法理」という国際的に広く認められていた原則に基づいて、尖閣諸島を日本領土(沖縄県)に編入した。そして翌1896年、日本政府は民間実業家の古賀辰四郎に尖閣諸島の四島(魚釣島、久場島、北小島、南小島)を貸与することにした。


古賀辰四郎はアホウドリの羽毛の採取やカツオ節製造などを開始し、魚釣島は200名以上の住民が居住する有人島になった。しかし、1940年ごろには事業が衰退し、二代目の古賀善次は事業から撤退したため、尖閣諸島は再び無人島となってしまった。


https://shuchi.php.co.jp/voice/detail/6447?p=1


にわかに尖閣諸島に関心を持ち始めた中国共産党


第二次世界大戦で日本が敗北すると、尖閣諸島はアメリカ軍の占領下に置かれた。サンフランシスコ平和条約締結後も、尖閣諸島を含む北緯二九度以南の南西諸島全域はアメリカの施政下に置かれていた。


やがて1971617日に調印された日米沖縄返還協定によって、1972年五月、日本政府は尖閣諸島に対する主権を回復することとなった。

ところが、尖閣諸島の主権が日本に回復する直前の197112月になると、中国共産党政府は

「尖閣諸島は地理的に台湾に付属する島嶼であって、日本帝国主義が中国より台湾ともども奪取した(筆者注:日清戦争を指しているのだが事実歪曲である)ものであり、それを第二次世界大戦後アメリカ帝国主義が侵略し、さらに日米が結託して日本の領土に組み込もうとしている。尖閣諸島は中華人民共和国の領土であり、中国人民は奪われた領土は必ず回復する」

といった趣旨の声明を発表した(中華人民共和国外交部声明、19711230日)。


中国共産党政府は、尖閣諸島がアメリカから日本に返還されることが決定されるまではいっさいこのような見解を発表したことはなかった。それにもかかわらず、尖閣諸島が日本に返還されることになったら、すかさず領有権を主張し始めたのだ。それは次の二つの理由に基づいている、と考えられる。

第一に、1968年秋までは、中国共産党は尖閣諸島への関心など持っておらず、領有権の主張などは思いもよらなかった。


しかし1968年秋、国連アジア極東経済委員会の学術調査の一環として東シナ海の海底調査が実施された際に、尖閣諸島周辺に石油が埋蔵されている可能性が高いことが判明した。そこで、中国共産党政府はにわかに尖閣諸島に関心を持ち始めたのであった。

中国共産党政府が尖閣諸島周辺海底の地下資源に関心を持ったとはいえ、当時尖閣諸島はアメリカの統治下にあったため、軍事強国であるアメリカに対して領有権を主張することなどはできなかったのである。


幸い、アメリカが尖閣諸島を日本に返還する事が決定したため、またアメリカ政府は第三国間の領土紛争には介入しない外交原則を保持していることから、中国共産党政府は軍事弱国日本に対して尖閣諸島の領有権を主張し始めた、というのが二番目の理由である。

中国共産党政府は尖閣諸島の領有権に関する上記声明を発表しただけで、何ら軍事的行動は取らなかった。だが、それは当時の人民解放軍海軍には短い距離(300㎞~400㎞)とはいえ東シナ海を渡って尖閣諸島に侵攻することはもちろん、東シナ海で海上自衛隊やアメリカ海軍と対峙するだけの軍事能力がまったくなかったためである。


ただし「失地は軍事力を使用しても回復する」という基本原則に従い、「将来人民解放軍の戦力が強化された暁には尖閣諸島を必ず〝奪還〟する」という意思表示としての尖閣諸島の領有宣言をなしたものと考えることができる。


いうまでもなくこの領有宣言は、「1895年に『先占の法理』を根拠として日本領に組み込まれて以降、アメリカに占領統治されていた時期はあったものの、尖閣諸島は一貫して日本の領土である」という立場を取っていた(現在もその立場は不変である)日本政府の認識と真っ向から対立することになった。ここに日中間における尖閣問題が誕生したのだ。

一方、日米沖縄返還協定によって尖閣諸島は日本に返還されたものの、それ以降も久場島と大正島はアメリカ軍射爆場として米軍が日本政府から借用する区域となった。


そして、中国共産党政府が尖閣諸島の領有権を明言しても、第三国間の領土問題には介入しない、という米国伝統の外交原則に沿って、現在に至るまで、尖閣諸島の領有権に関して明確な立場を示してはいない(ただし、領有権とは切り離して尖閣諸島の施政権が日本政府の手にあることは公に支持している)。

※尖閣諸島は日本国の固有の領土です!