我が国政府が、宇宙での作戦能力強化に加え、電磁波を使って相手の通信やレーダーを妨害し、無能力化を図る装備の導入を積極的に進める方針であることがわかった。
電磁波やサイバー攻撃のテクノロジーが選戦局を決めたケースとして、ロシアによる2014年のウクライナ南部クリミア併合の例がある。
我が国防衛省によると、ロシア軍は地上からの電磁波により、ウクライナ軍の通信やレーダーを妨害し、サイバー攻撃によりあらかじめ割り出していた携帯電話ネットワークを使用するように追い込んでいた。そのうえでウクライナ軍を特定の場所に移動するように指示する偽のメールを流し、集結したウクライナ軍部隊を取り囲んで攻撃。50000人のウクライナ軍に対して、3分の1以下の15000人の通常兵力で圧倒したといわれる。
防衛省は、「システム化された軍隊同士が戦う現代戦では、電磁波、サイバー領域の優越が戦局に決定的な影響を及ぼす。」と分析している。ロシア軍は、電子戦、サイバー戦の分野ではアメリカ軍の能力をしのぐという指摘もある。共産中国も衛星妨害用の地上配備型レーザーの開発を2020年頃に完了させる可能性がある。
このため我が国政府は、AWACS(空中警戒管制機)などの航空機を地上からの電磁波で妨害する装置を2023年度に導入する方針である。2020年度予算の概算要求では、関連経費として38億円を計上した。将来的には衛星を妨害する装置の導入も視野にいれる。
我が国政府は、2020年度末に新たな電子戦部隊を熊本市の陸上自衛隊健軍駐屯地に新設するなど態勢整備を図っていく。
防衛省にあるサイバー防衛隊も人員拡充を図る。マルウェアなどを使用した反撃能力の保持に向けた検討も本格化させる方針である。(読売新聞2019年9月23日総合13版)
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