2018年5月7日月曜日

【世界最強か!?】海上自衛隊の最新鋭潜水艦論

極秘だらけの最新鋭潜水艦に迫る! 
見つかったら最期の「音の戦い」

藤田 直央 朝日新聞政治部 専門記者)
20180319https://withnews.jp/article/f0180319005qq000000000000000W06k10101qq000016945A
https://youtu.be/Mok_NcGXtzU  
潜水艦せいりゅう引き渡し式
 海上自衛隊の最新鋭潜水艦「そうりゅう型」で「○○りゅう」と名がつく9番目として、三菱重工から引き渡された「せいりゅう」と乗組員。活動は極秘で、この艦名の塗装も敵の識別を助けないよう出港後に消される=2018年3月12日、神戸市兵庫区の三菱重工神戸造船所



 第二潜水隊群の「第6潜水隊」(神奈川県横須賀市)にせいりゅうは配備される。せいりゅうの艦橋に書かれた艦番号「509」は出港後に消される。


 「音の戦い」。潜水艦に乗る人たちは、深海での駆け引きをそう言います。海上自衛隊は冷戦期はソ連、今は中国の海洋進出の牽制に力を入れますが、潜水艦の活動は秘密に包まれています。少しでも迫ろうと、最新鋭艦の出発式があった神戸と、潜水艦部隊の拠点で艦内取材を許された横須賀へ行ってきました。(朝日新聞専門記者・藤田直央)

最新鋭「そうりゅう型」

 うららかな春の神戸港。平成303月12日午前、三菱重工神戸造船所の埠頭で、完成した「せいりゅう」が海上自衛隊に引き渡されました。建造費531億円、全長84m、最大幅9.1mの最新鋭艦の甲板で、乗組員60数人が山本朋広防衛副大臣の訓示を受けました。


 「本艦はそうりゅう型潜水艦の第9番艦で、世界トップクラスの性能を持つ最新鋭潜水艦として、45カ月の建造期間を経て完成したものです」

 「隊員諸君は、領土の四方を海に囲まれた我が国において平和と独立を守る気概をもって、一致団結、任務に精励し、よき伝統を築くよう切に希望します」



 防衛の重点を南西諸島へと移す政府は、潜水艦を2022年度に22隻まで増やす計画で、この「せいりゅう」は18隻目です。「○○りゅう」と呼ばれる最新鋭の「そうりゅう型」では9隻目で、艦橋に書かれた艦番号「509」の9がそれを示します。
 艦長の平間武彦2等海佐は、「皆様のご期待にお応えすべく錬成訓練に励み、装備機器の全能発揮を目指し、一日も早く海上防衛の任務に就けるよう精進します」と挨拶。音楽隊が「蛍の光」を奏で、家族や同僚が見送る中、午後に「せいりゅう」は出港しました。

忍者のように隠密に


 密かに敵情を探り、いざとなれば暗殺も実行する忍者のような兵器。そんな潜水艦の「隠密性」を高めようと各国は開発にしのぎを削り、日本も戦前から国産を続けています。「そうりゅう型」は何が新しいのか、「○○しお」と呼ばれる9隻の「おやしお型」と比べて説明します。


 「おやしお型」はディーゼル・エンジンで発電した電気を電池に蓄え、スクリューを回して進みます。潜航中に電池が減れば、ディーゼルに必要な酸素を取り込むため、スノーケルという作業をしないといけません。海面すれすれに管だけ出しますが、それでも見つかる可能性は深海よりぐんと高まります。
 一方で、「そうりゅう型」はディーゼルに加え、非大気依存推進(AIP)機関と呼ばれるスターリング・エンジンも搭載。外から酸素を取り込まなくていいよう液体酸素用のタンクを備えており、スノーケルの頻度を減らせます。スターリングはディーゼルよりはるかに静かなのも利点です。
 また、「そうりゅう型」は艦全体が無反響タイルで覆われていますが、「おやしお型」は艦橋のみです。相手はソナーを使って海中へ音波を出し、その跳ね返りで潜水艦を探します。無反響タイルで覆われている部分が広いほど見つかりにくくなるわけです。
※「そうりゅう型」潜水艦の全体を覆う四角い無反響タイル。反射で位置を知ろうとする相手からの音波を吸い取る。一つ前の「おやしお型」ではタイルは艦橋にしかない
 艦尾にあるX型の4枚の舵も「そうりゅう型」の特徴です。2枚を組み合わせる「おやしお型」の十字型より柔軟に方向転換できるほか、海底に「沈座」した時にX型の方が舵が傷つきにくいのです。この「沈座」も「音の戦い」に大いに関係があります。
 潜水艦が「沈座」すると、音の世界では海底の地形と区別がつかなくなります。音波の跳ね返りで潜水艦を探そうとする相手から姿を隠せるというわけです。
逆に、その潜水艦がどこまで深く潜れるかがわかれば、相手にとっては探しやすくなります。「そうりゅう型」にしろ「おやしお型」にしろ、潜る能力に関する数字は「トップシークレット」と関係者は口をつぐみます。

 逆に、その潜水艦がどこまで深く潜れるかがわかれば、相手にとっては探しやすくなります。「そうりゅう型」にしろ「おやしお型」にしろ、潜る能力に関する数字は「トップシークレット」と関係者は口をつぐみます。

艦内でも静粛徹底

 潜水艦を神戸では外から見るだけでしたが、2日後の314日に艦内に入る機会がありました。広島の呉と並ぶ海上自衛隊潜水艦隊の拠点、神奈川の横須賀にある基地で、係留中の「おやしお型」の「うずしお」に記者団が取材で乗りました。
※米軍横須賀基地内にある海上自衛隊第二潜水隊群第2潜水隊に属する「おやしお型」の潜水艦「うずしお」。全長81.7m、最大幅8.9m。艦尾の舵が最新鋭の「そうりゅう型」のX字と違い十文字で、無反響タイルが覆うのは艦橋だけだ。
撮影と録音を禁じられた艦内でも、「音の戦い」は徹底していました。人がいるはずのない深海で音を響かせれば相手に気づかれます。任務中でも生活でも、いかに音を出さないかです。
水上艦と違い、室内や通路にはゴムマットが敷き詰められています。歩く音を立てないためで、さらに乗組員は航行中は自衛隊の革靴から運動靴に履き替えます。

 動力となる油圧や高圧空気などの細い管が内壁にむき出しですが、所々でひもで束ねられています。振動で管同士が接触する音を抑えるためです。工具などを落として「コン」という音が艦内に響こうものなら、上官の注意が飛びます。

 6畳ほどの食堂では息抜きでDVDを見られますが、そばにヘッドホンが数個掛かっていました。壁には「プロフェッショナル」「信ずるより確かめよ」という艦長の標語。相手に気づかれずに、相手の動きを探ることへのこだわりがにじみます。

敵への脅威と身の危険

 潜水艦が隠密に徹するのはどの国も同じです。それは、海中からいきなり攻撃できることが相手に与える脅威と、海中にいることが相手に知られる危険が、ともに甚大だからです。
 潜水艦の攻撃で最も強力なのは核ミサイルで、トランプ米政権も核戦略の柱に掲げています。海の思わぬ所から核ミサイルが飛びだし反撃されるというおそれが相手の攻撃を「抑止」するというもので、核兵器を持たない日本への「核の傘」にもなっています。

 ただ、日本の潜水艦もふつうの魚雷や対艦ミサイルは積んでおり、冷戦期のソ連軍や今の中国軍の海洋進出を牽制しています。「日本の潜水艦がどこかにいないか、と広い範囲を探すこと自体が敵を消耗させる」と艦長経験者は話します。
 それでも、もし見つかってしまったら。潜水艦は味方とも通信しない単独行動が基本なので、有事なら支援のないまま敵に追い回され、魚雷で狙われかねません。逆に、自衛隊の水上艦や対潜ヘリコプターは、敵の潜水艦を懸命に探すわけです。
日本の潜水艦の場合、最新鋭の「そうりゅう型」でも潜航継続には限界があります。スターリング・エンジンはまだ補助的なもので、発電は「おやしお型」と同じディーゼルに主に頼るからです。

 電池が切れたらそこでおしまい。艦長は60数人の乗組員の命を優先して降参するため、浮上して姿をさらす判断を迫られます。

原子力潜水艦との違い

 「日本の潜水艦の場合」と書きましたが、日本にない原子力潜水艦を持つ国は事情が違います。原子力発電なので酸素を取り込むスノーケルをしなくていい原潜は、見つかっても長時間、高速で海中を逃げ回れます。存在がばれるからと攻撃をためらうことも減るので、ディーゼルの潜水艦よりも相手への脅威は増します。
 では、日本はなぜ原潜を造らないのでしょう。そんな質問に、昨年6月の国会で当時の稲田朋美防衛相が答えています。

 「原子力を自衛隊の艦艇の推進力として利用することは憲法上は禁止されないが、原子力基本法第2条で利用は平和目的に限るとされている。この規定の解釈として、船舶の推進力として一般化していない現状では認められない」
つまり原子力は、非軍事の分野で船の動力として広く使われるようになるまでは、潜水艦を含む自衛隊の船には使えない。それが政府の立場です。ちなみに日本での原子力船開発は、国内初の「むつ」が1974年に放射線漏れ事故を起こしてから頓挫したままです。
※197492日に試験中に放射線漏れがあり、母港のむつ市に地元の反対などで戻れなくなっていた。
原潜を持つ国は米中ロ英仏やインドといった核兵器保有国でもあります。唯一の戦争被爆国であり、最近では福島第一原発事故も経験した国民感情もふまえ、海上自衛隊では原潜導入の検討を控えています。

 ただ、ディーゼル発電による充電で浮上を繰り返す日本の潜水艦は、何かと空腹が鳴ってしまう忍者のようなものです。東シナ海でのせめぎ合いでは中国の原潜が目立つようになり、自民党内には日本も原潜を持つべきだという声もあります。
 今回の取材では、「音の戦い」に神経をすり減らす海上自衛隊の潜水艦関係者に、原潜への屈折した憧れのようなものも感じました。ある乗組員は「アメリカの原潜は見つかってからが勝負、日本の潜水艦は見つかったら最期と言われます」と話しました。

「日本列島はいい形」

 話を横須賀での潜水艦「うずしお」の取材に戻します。314日午後、艦内をめぐり士官室に戻ると、艦長の中島隆雄2等海佐の姿がありました。海底の地形も示す「日本海洋地図」が広がるテーブルを前に、「音の戦い」での駆け引きを語りました。

 「相手がこちらを見つければ、こちらも音でわかる。相手の動きが変わるからです。でもどう変わるかは言えません」。そして、「日本列島は非常にいい形をしている。西の国からみると非常にじゃまです」と自信をのぞかせました。
 「長すぎて守るのが大変だ」と政府が苦労している日本列島ですが、「おやしお型」を預かる中島艦長には、中国軍の水上艦や潜水艦が太平洋に出る航路を絞り込める関門に見えているようでした。

 潜水艦を駆使した勢力圏争いは東シナ海にとどまらず、世界中に広がっています。

 米海軍太平洋艦隊はちょうどこの日にツイッターで、米英の原潜計3隻が参加した北極圏での演習で艦橋が氷を突き破る4日前の写真を流しました。温暖化で氷が溶ける北極圏では航路や資源の開発が注目されており、中国も1月下旬に「氷上のシルクロード」をロシアなどと協力して整備する構想を打ち出しています。
安倍内閣は日本の防衛力のあり方を定めた「防衛計画の大綱」を今年見直す方針です。どんどん増やす潜水艦を、海洋の安全保障や権益確保にどう活用するのかも問われます。

 ただ、海上自衛隊には、「音の戦い」を担う人づくりが追いつくのかという不安もあります。潜水艦隊約1900人の司令官から2016年末に横須賀地方総監になった道満誠一海将は、総監部を訪れた記者団にこう話しました。

 「一年に一隻ずつ増えていくので非常に厳しい。景気がいいので若い人が自衛隊に応募してくれないのが一番心配です。コアになる人たちを分散させ、歯を食いしばってどう人を育てるかです」

【我が国は世界に冠たる潜水艦大国です!】
対馬海峡、津軽海峡、宗谷海峡の3海峡を封鎖する、冷戦時代はソビエト連邦海軍艦艇を封じ込めた実績あり、今はロシア海軍、そして赤い大国共産中国海軍でしょう。

最新鋭潜水艦「せいりゅう」配備へ、艦名は「守護女神」に由来

 海上自衛隊の最新鋭そうりゅう型潜水艦「せいりゅう」(2950トン)の引き渡し式が12日、三菱重工業神戸造船所(神戸市兵庫区)で行われた。海自横須賀基地(神奈川県横須賀市)に配備される。 
 せいりゅうは全長84メートル、幅9・1メートルで、水中の最高速度は20ノット。約530億円かけて建造され、平成28年10月に艦装整備のため進水した。高性能ソナーなどを装備し、探索能力やステルス性能に優れる。艦名は醍醐寺(京都市)の守護女神「清(せい)瀧(りゅう)権(ごん)現(げん)」にちなんで名付けられた。
 引き渡し式には、山本朋広防衛副大臣ら関係者約260人が出席。山本副大臣は艦上に整列した自衛隊員らに「四方を海に囲まれたわが国を守るため、しっかりと任務にあたってほしい」と訓示した。

動画
海上自衛隊潜水艦ダイジェスト2017
潜水艦そうりゅう 水雷長

【これがあるから潜水艦作戦も安心して遂行できるというものです!潜水艦事故対応OK】

海自に潜水艦救難艦「ちよだ」引き渡し 
岡山の三井造船玉野事業所

潜水艦救難艦ちよだ 命名。進水式


 三井造船玉野事業所(岡山県玉野市)で建造していた海上自衛隊の潜水艦救難艦「ちよだ」(約5600トン)が完成し、同事業所で「引渡(ひきわたし)式」が行われた。
 全長128メートル、全幅20メートル。潜水艦の非常事態に対応、乗員救助などに当たる装備を持つ自衛艦で、手術施設も備え、災害時の医療支援にも活用される。建造費約534億円。平成27年10月着工。神奈川県横須賀市の横須賀基地に配備。
 20日の式典には同社や防衛省幹部らが出席。田中孝雄社長が防衛装備庁の佐藤直人装備官に引き渡し書を手渡した。村川豊海上幕僚長は乗員に「わが国の平和と独立を守るため一致団結して任務に精励を」などと訓示。同艦は市民らの見送りを受けて出港した。

【シゴトを知ろう】海上自衛官 ~番外編~


乗り物の中でも最大級の大きさを誇る戦艦や空母を目の前にして圧倒された経験を持つ人もいるのではないでしょうか。日本の安全を守るために、その戦艦や空母を扱う職業が海上自衛官です。 海上自衛隊横須賀地方総監部(神奈川県)に配備されている護衛艦「はたかぜ」の魚雷員として日々訓練を行っている澤田貴郁(たかふみ)さんに、海上自衛官の生活や習慣についてお話を伺いました。

艦艇の色は空と海の色を足して平均した色。国によって異なる

――海上自衛隊には多くの職種があるそうですが、希望する職種に就けるのでしょうか?

海上自衛隊には、航空部隊を含めると30以上の職種があります。入隊してすぐに教育隊で訓練を受けて自衛隊の基礎を学ぶのですが、そこで適性検査があり希望職種も聞かれます。そして、適性検査の結果に本人の希望を加味して職種が決まります。

人気があるのは射撃員と電測員(*1)です。私は掃海機雷員(*2)を第1希望にしましたが、実際には第3希望の魚雷員(*3)になりました。海上自衛隊では、一度決まった職種を定年まで続けるのが基本です。護衛艦に乗る場合も、ずっと同じ護衛艦に乗り続けます。

*1
 電測員:護衛艦、潜水艦などに乗り組み、任務に必要な情報をレーダーやコンピューターを用いて収集したりする。

*2
 掃海機雷員:掃海艦などに乗り組み、海に投下されている機雷を処分したりする。

*3
 魚雷員:護衛艦や潜水艦に乗り組み、魚雷で潜水艦を攻撃したりする。


――
航空自衛隊と海上自衛隊の航空部隊とは何が違うのでしょうか?

航空自衛隊にある航空機は戦闘機が主体です。それに対して、海上自衛隊の航空機は哨戒機(しょうかいき)、救難飛行機、掃海・輸送機が主体となります。哨戒機とは、簡単にいうと洋上をパトロールするための航空機です。平時から日本の領海上空を飛んで、怪しい潜水艦がいないかどうか監視しています。

――
米軍の艦艇がたくさん停泊していますが、海上自衛隊の艦艇とはだいぶ色が違いますね。

実は、外舷(*4)の色は国によって違います。各国の空と海の色を足して平均した色に塗られています。これはカモフラージュのためで、海の上で目立たないようにするのが目的です。もちろん、自国の艦艇が分かりやすいようにという意味もあります。海上自衛隊の艦艇は、南極観測船「しらせ」を除いて全て同じ色に塗られています。
 ちなみに外舷の色は訓令(行政機関からの命令)によって定められおり、基本的に露天甲板(風雨にさらされる甲板部分)は暗灰色、その他の船体外部は灰色で塗ることになっています。厳密にいうと、外舷と甲板とは色が違うことになりますね。なお、塗装が剥げたりさびが出たりした場合は、海上自衛官が塗り直したりさびを落としたりしています。


*4
 外舷(がいげん):船の外側のこと。

航行中は運動不足になりがち。夕食は低カロリーな魚料理が定番

実は護衛艦「はたかぜ」は3代目。2代目退役後、15年ぶりに復活した

――航行している時の食事は誰が作るのでしょうか?

護衛艦のような大きな船には専門の調理員がいます。停泊時は昼食のみ、航行している時は3食全て船内で食べます。昼食は肉料理、夕食は魚料理のことが多いですね。航行していると隊員の運動量が少なくなり肥満気味の隊員が増える傾向があるため、夕食はカロリーの低い魚料理が出されるようになりました。ちなみに、かつては当直員に夜食が出されていましたが、最近ではそれも少なくなったようです。


――
海上自衛隊ならではの習慣があれば教えてください。

毎週金曜日の昼食はどの船でも必ずカレーです。通常の食事と同様、護衛艦の場合は調理員が作ります。それぞれの船でカレーのレシピは異なっており、味も違うそうです。「はたかぜ」のカレーはおいしいと評判なんですよ(笑)。

船の中で火災が発生することを避けるため、調理室で火は使いません。電気と蒸気を使って調理します。ガスを使うよりもその方が安全性が高いからです。


――
海上自衛隊で使われている業界用語はありますか?

「上陸する」は、単に艦艇から陸に上がることを意味するだけではなく、自宅に戻る、街に出ることを表しています。つまり、艦艇から外に出てプライベートな時間を過ごすことを「上陸する」と言うのです。また、「帰る」とは艦艇に戻ること(朝、出勤してくること)を指します。護衛艦こそが「家」であることをイメージしています。

あとは、陸にある建物や隊舎内の広い場所を「甲板」と言います。船の上の甲板も「甲板」、陸の建物の中にある廊下など甲板のように平らで広い場所は全て「甲板」です。

私の中では、これらの言葉が業界用語という意識はもうすっかり無くなっていました(笑)。

護衛艦では大人数が一緒に生活するため、居住スペースは最低限

――護衛艦の中の居住スペースはどのようになっているのでしょうか?

護衛艦自体は大きいのですが、居住空間は意外と狭いです。「はたかぜ」には約180人の自衛隊員が乗っていますので、寝る場所は通常3段ベッドです。私物はベッドの横にあるロッカーに入れます。とても小さいのですが、そこに私物を全部入れなければいけません。お風呂にはシャワーと浴槽があります。お風呂の入り口にちょっとしたくつろぎのスペースがあって、テレビが見られるようになっています。


――
海上自衛官になるには、やはり泳げないとだめでしょうか?

そう思っている人がとても多いのですが、入隊時に泳げなくても問題ありません。入隊してから、泳げるようになるまでみっちりと指導してもらえます(笑)。実は私も自衛隊に入るまで泳げなかったのですが、入隊して最初の教育期間(6カ月)で泳げるようになりました。早い人だと1カ月くらいで泳げるようになりますよ。

海上自衛隊では1年に1回体力測定があり、その際にクロールと平泳ぎで各50m泳ぎます。規定のタイム以内で泳ぐように指導されますが、それも問題なくクリアしています。


自衛官と聞くと堅いイメージがありましたが、食事や居住スペースのお話を伺って少し親近感が湧きました。

海上自衛官には多くの職種があるため、職種に合わせて教育を受けることになります。幹部候補生、航空学生、自衛官候補生などさまざまなコースがあり、それぞれ応募の条件が異なります。海上自衛官に興味がある人は、自分に合った職種はどれなのかを調べ、進路を選択してみてはいかがでしょうか。


profile】海上自衛隊横須賀地方総監部 護衛艦「はたかぜ」2等海曹 魚雷員 澤田貴郁(さわだ たかふみ)


リンク:海上自衛隊 横須賀地方隊



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