2018年5月20日日曜日

【共産中国軍がアメリカ軍機を先制攻撃!】くすぶる米中戦争の火種

リムパック参加の中国軍、次は何をしでかすのか?

国際ルールを無視して米軍機に高出力レーザー照射

北村淳
ジブチにある米軍基地キャンプ・レモニエで軍用機に乗り込む海兵隊や水兵ら。米国防総省提供(20131224日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / US DEPARTMENT OF DEFENSE / US Marine Corps Staff Sgt. Robert L. Fisher IIIAFPBB News

 紅海とアデン湾を結ぶ海上交通の要衝に位置するジブチの首都ジブチ市周辺には、かつて宗主国であったフランス軍の基地をはじめ、大規模なアメリカ軍基地、ドイツ軍、イタリア軍、スペイン軍の施設、それに自衛隊初の海外基地などが存在している。それらに加えて昨年(2017年)夏には、中国軍初の海外基地も開設された。ちなみに、フランス、アメリカ、日本、ドイツ、イタリア、スペインの軍事施設はいずれもジブチ国際空港に位置している。その中で最大の施設はアメリカ軍のキャンプ・レモニエであり(滑走路はジブチ国際空港と共用)、それと隣接してフランス軍と自衛隊の基地が設置されている。中国軍基地はキャンプ・レモニエからジブチ市街を挟んで10キロメートルほどの海岸にある。
ジブチは紅海とアデン湾を結ぶ海上交通の要衝に位置する(出所:Googleマップ)
ジブチで、中国軍事基地の開設式に参加した中国人民解放軍の軍人ら(201781日撮影)。(c)AFP PHOTO / STRAFPBB News
米軍機へのレーザー照射で搭乗員が負傷
 そのジブチで、2018年4月下旬から5月上旬にかけて、キャンプ・レモニエから発着するアメリカ軍航空機に対して強力なレーザーが照射される事件が連続して発生した。そして52日には、米空軍C-130輸送機の搭乗員2名が、レーザーの照射を受けて負傷するという事態にまで至った。
 幸いにも失明するような重傷ではなかったものの、ペンタゴン広報官によると「ジブチで頻発している米軍機に対するレーザー照射事件で用いられているレーザーは、極めて高出力であり、市販のレーザー装置から発せられたものではなく軍用レーザーと考えざるをえない・・・場合によっては失明の恐れもあり、極めて危険な行為である」ということである。
 米軍機に対する一連の軍用レーザーによる“照射攻撃”は、いずれも中国軍基地付近から発せられていた。そのため、連邦航空局(FAA)は「中国軍ジブチ基地周辺750メートル付近から高出力レーザーが照射された事案が数回発生している。この地域周辺を通過する際には、最大限の注意を払うように」といった警告を航空関係者に対して発した。

各国のジブチ基地エリア


中国政府は米政府の抗議を一蹴
 照射事件が起き始めてから数件に関しては、搭乗員たちに直接的被害が発生しなかったこともあり、米側が中国側に抗議することはなかった。しかし、負傷者が生ずるに至って、アメリカ政府は中国政府に対して公式な外交的抗議を申し渡した。
 ところが中国側の反応は、米軍当局が予想していたとおり「米軍機に対して故意にレーザーを照射した覚えはない」「基地周辺でのレーザー照射は、鳥を追い払うためと、基地上空に接近する可能性があるドローンを撃退するためである」といった声が聞こえてくるのみであった。中国外交当局も「厳正に事態を調査したが、アメリカの主張は全く根拠のないものである」と米側の公式抗議を一蹴している。
 中国によるレーザー照射に米軍が激怒しているのは、失明の恐れすらあるような危険な攻撃を受けたことに対する直接的な怒りだけではなく、中国がジブチおいても国際的取り決めを守らないことに対してである。中国は高出力レーザーの使用に関する国際的取り決めに参加している。それにもかかわらず、数回にわたって軍用レーザーを米軍機に向けて照射し、そのうえ中国国防当局は「中国は、地域の安全保障と平和維持のために、国際ルールそして現地の法令などに厳正に従って行動している。言われなき外交的抗議は受け付けない」と米国側の抗議を無視する姿勢を崩さない。
「関与政策」のなれのはて
 米軍関係者からは、「百歩譲って、米軍機に対する軍用レーザー照射事件が、上部からの命令に従ったのではなく個人が勝手に行ったものであったとしても、海外に駐屯する部隊の統制すらまともに行えない無責任な国際協力部隊の存在は、迷惑なだけでなく危険極まりない」と危惧の念も聞こえている。そして、今回の高出力レーザー照射事件や、南シナ海での人工島建設のように、中国が国際ルールを踏みにじる行為を繰り返しているのは、アメリカ側にも責任の一端があるという指摘がある。つまり、アメリカ側が「なんとかして中国を国際社会の枠組みに組み込んでまおう」という、いわゆる「関与政策」をとり続けて来たことの結果だというわけだ。今年になってトランプ政権は、国際安全保障環境を「大国間の角逐」状況にあると明言するに至った。すなわち、中国との関係は、これまでの協調関係の維持を目指す「関与政策」から一転して、対決に打ち勝つことを前提とした「封じ込め」、あるいはそこまでいかなくとも「封じ込め的政策」へと大きく舵を切ったのである。
RIMPAC-2018から中国を閉め出せ」
 そこで対中強硬派の米海軍関係者たちの間に、レーザー照射事件を機に、またまた浮上してきたのが「RIMPAC-2018から中国海軍を閉め出せ」という声である。
 RIMPAC(リムパック)とは、2年に一度アメリカ太平洋艦隊が主催して行われる多国籍海軍合同演習だ。各国の海軍(海兵隊を含む)が参加し、ホノルルを中心に実施される。2014年からは中国も参加するようになり、今年の夏に開催されるRIMPACにも参加することになっている。なぜ、米海軍を中心とする同盟海軍にとって仮想敵である中国が、合同演習に参加し始めたのか? それは、中国に対する弱腰ともいえるほどの「関与政策」を取っていたオバマ政権が、多くの米海軍関係者たちの反対を押し切って招待したからであった。
 しかしながら、1回目の参加(RIMPAC-2014)では、中国海軍は公式に参加した艦艇以外にも電子情報収集艦(スパイ艦)を訓練海域に派遣して情報収集活動を展開するという国際ルール違反を犯した。そして2回目のRIMPAC-2016では、参加国の“仲間”である海上自衛隊に対して公然と非礼を行うという国際的な海軍信義則を踏みにじる行為を繰り返して、主催者である米海軍を困惑させるとともに激怒させた(参考「中国海軍の参加で意味不明となりつつあるリムパック」2017.7.13)。このため、今回のジブチでのレーザー照射事件を受けて、これまで何度も中国海軍をRIMPACから排除せよと主張してきた米海軍対中強硬派の人々の間から、「これまでRIMPACに参加させることによって、中国軍が国際ルールを尊重するよう促してきたものの、全く効果はない。アメリカの安全保障戦略の基本的スタンスが『大国間角逐』へと方針転換したのであるから、この際RIMPAC-2018から中国を閉め出すべきだ」との声が上がっている。とはいっても、RIMPAC-2018への中国海軍の参加を間近に迫った現時点で拒絶するのは外交的には困難と考えざるを得ない。そのため、対中強硬派は「中国海軍は今度はなにをしでかすのか?」と身構えるしかないというのが現状である。
USNavy RIMPAC2016

【米中レーザー照射事件の関連記事】

中国がジブチで米軍機にレーザー照射 外交ルートで抗議
【ワシントン=黒瀬悦成】米国防総省は201853日、アフリカ東部ジブチで中国人民解放軍基地付近の上空を飛行していた米軍のC130輸送機に軍事用高出力レーザーが照射され、操縦士2人が軽傷を負ったとして、中国政府に外交ルートを通じて抗議したことを明らかにした。
 ジブチでは、中国軍が2017年8月、初の本格的な外国基地を開設。中国軍基地の近くには、米軍がイエメンなど周辺地域での対テロ掃討作戦の重要拠点としているアフリカ大陸最大の基地「キャンプ・レモニア」が存在し、米軍は中国軍の動向に警戒を強めていた。
 国防総省のホワイト報道官は3日の記者会見で「レーザーを照射したのは中国だと確信している。深刻な事態だ」と強調。この数週間で複数回のレーザー照射が確認されたことも明らかにした。
 米軍機への妨害行為の理由について、ホワイト氏は「分からない」と述べるにとどめたが、航空機へのレーザー照射は通常、操縦士らの顔面を狙って行われ、光線によって一時的に目を見えなくし事故を誘発させることが目的とされる。
 米軍機へのレーザー照射は、東西冷戦時代に旧ソ連軍が行ったことが確認されている。また、ネラー海兵隊総司令官が2日の記者会見で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)周辺の反対派住民が米軍機に対して同様の妨害行為を行ったことがあると指摘し、「安全上、やらないでもらえると助かる」と要請した。

〈管理人〉高出力レーザーの照射は、アメリカにとっては旧ソビエト連邦以来の事件であったわけです。あからさまなアメリカに対する「攻撃」事案ですな。海南島での米中の航空機衝突以来でしょうか。また共産中国がやらかしてしまいました。照射をされた米輸送機のカメラ映像があれば、報復としてネットに公開してやることもできますね。


【実はあるあるアメリカ軍による高出力レーザーの開発】

米軍、対空レーザー出力を2022年までに10倍化の開発計画。航空機撃墜にも有効に
複数配備でミサイルの迎撃も自動化可能


レーザー兵器は過去数年間、パッケージサイズの縮小とともに高出力化を果たし、ドローンなどを撃ち落とすには十分な性能を得てきました。そして米軍は現在、出力を50100kWにまで高め、航空機を撃墜することもできる対空レーザーの開発を進めています。
 50kW
レーザーの初試験は、大型トラックに搭載する高出力レーザー試験用トラック「HEL-MTT(High Energy Laser - Mobile Test Truck)」の装備をアップグレードして2018年に実施する予定。さらに2022年には兵員輸送用装甲車ほどの車両に100kW級のレーザーを搭載する計画をしています。
 
レーザー兵器は、基本的に照準を合わせ続けるだけで命中状態を持続でき、飛んでくるミサイルやロケット弾をレーザーで迎撃するのに適しています。レーザーは光の速度で飛ぶため、照準とトリガーを完全に自動化しあらゆる飛翔体の接近を感知撃墜するようプログラミングされるようになるはずです。また基本的に電力さえあれば使えるため、弾薬のコストがかからないメリットもあります(発電用燃料は必要)
 
ただ、100kW程度ではまだ出力は十分ではないとのこと。その理由はミサイルの弾頭をレーザーで貫通させるには十分な時間が確保できない可能性があるから。この問題には複数のレーザートラックを同時に使うなどの用意が必要になりそうです。
 
また、雨や霧、砂塵舞う環境下ではレーザーの威力が半減してしまいます。もちろん、それでも無人機のセンサーを破壊するぐらいは可能なので、一定の効果は得られます。
 
レーザー兵器の本格的な実用化はこれからです。しかし(音もなく目にも見えない)レーザー光線での攻撃が可能になるのなら、互いに戦闘行為そのものを回避することのほうが多くなるかもしれません。
〈記事出典〉
2017719, 午後02:00   https://japanese.engadget.com/2017/07/19/10/



【関連動画】


【RIMPAC 2018】参加予定の中国軍、米軍機への高出力レーザー照射、次は何をしでかすのか?
https://www.youtube.com/watch?v=Ixm5uHQzMUw
CHILE - LISTO para RIMPAC 2018 - SACANDO LA CARA POR SUDAMERICA https://www.youtube.com/watch?v=29wdPolTv9Q


とうとうリムパックから閉め出された中国海軍

対中融和派の理想は空想に過ぎなかった

北村淳

2014年のリムパックの様子。この年に初めて中国海軍が参加した。米海軍が公開(資料写真、201478日撮影)。(c)AFP PHOTO /US NAVY/ Amanda R. Gray/ HANDOUTAFPBB News

 南シナ海への軍事的拡張をますます加速させると同時に、アフリカのジブチではアメリカ軍機に対してレーザー照射を行うなど、中国の国際ルールを無視する行動に、米海軍の対中強硬派は堪忍袋の緒が切れる寸前である。
 先々週の本コラム(「リムパック参加の中国軍、次は何をしでかすのか?」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53102)では、そうした対中強硬派の人々が、「RIMPAC(リムパック)-2018から中国を閉め出せ」という声を再び強めているものの、中国海軍を閉め出すことはさすがのトランプ政権でも無理であろうと歯ぎしりしている、といった状況を報告した。
 しかし、対中強硬派の歯ぎしりは驚き(喜びの驚き)に変わった。「闘う修道士」と呼ばれた元海兵隊総司令官マティス国防長官が率いるペンタゴン(米国防総省)は、オバマ政権が中国に発していたRIMPAC-2018への招待を“ドタキャン”したのである。
中国の覇権主義的行動はRIMPACにそぐわない
 RIMPACは、2年に一度、ハワイの真珠湾を拠点として開催される多国籍海軍合同演習であり、20カ国近くの海軍が参加する。今年(2018年)はRIMPAC-2018627日から82日にかけて開催されることになっている。

RIMPACに参加してきた国および2018年の参加予定国
中国海軍は2014年、2016年とRIMPACに参加しているが、523日、ペンタゴンは「RIMPAC-2018への中国の招待を取り消す」と発表した。
「中国は多国間の領域紛争が継続している南シナ海において、一方的に『軍事化』を推し進めており、南シナ海での軍事的緊張状態を悪化させている。このような、中国による軍事化、すなわち軍事力を背景にして周辺諸国を威嚇する覇権主義的行動は、RIMPACの原則や目的とは相容れないものである」というのが取り消しの理由だ。そしてペンタゴンは、中国による直近の軍事化の事例として以下のような動きを指摘した。
 2018年の4月から5月にかけて、中国は南沙諸島に建設した7つの人工島のうちの3つ、ファイアリークロス礁、スービー礁、ミスチーフ礁に地対艦ミサイルシステムと地対空ミサイルシステムを設置した。それらの人工島にはいずれも3000メートル級滑走路が設置されているため、中国本土から1200キロメートル以上も離れた南沙諸島に強力な前進航空基地が3つも誕生することになる。

ウッディー島、南沙人工島、海南島からの地対艦・地対空ミサイルの射程圏

 引き続いて、中国空軍は、南沙諸島や西沙諸島の航空拠点に爆撃機数機を派遣する訓練を実施し、中国による南シナ海の行政支配拠点である三沙市政庁が設置されているウッディー島(永興島)には、核爆弾や長距離巡航ミサイルを搭載することが可能なH-6K(戦神)爆撃機を展開している状況が確認された。
 そして、そのウッディー島に、HQ-9(紅旗9型)地対空ミサイルシステムをはじめとするカムフラージュされた各種兵器が展開している模様が、アメリカの商業衛星によって映し出された。このように、西沙諸島の軍事化がますます伸展している状況が明らかになっている。
対中融和派と対中強硬派のせめぎ合い
「中国をRIMPACに参加させるな」という主張は、オバマ政権が中国艦隊を初めてRIMPAC-2014に参加させる決定を下したときから、絶えず唱えられてきた。
 中国をRIMPACに参加させるか否かは、中国に対する関与政策を支持するのか、あるいは封じ込め政策を支持するのか、という対中政策に関する基本的立場のせめぎ合いの具体的事案であった。中国に対する関与政策を支持する陣営、すなわち中国をアメリカを盟主とする西側陣営にできるだけ取り込み、西側陣営と協調的行動を取る存在に変化させるために、中国とのある程度の妥協も容認せざるを得ないという対中融和派の人々は、RIMPACに中国を参加させることは絶好の機会であると考えた。
 なぜならば、多国籍海軍による合同演習に中国海軍を参加させることにより、国際的な海軍のルールや国際海洋法秩序を理解させて、海洋での予期せぬ衝突を防ぎ、軍事力を振りかざしての海洋侵出を抑制できるものと信じていたからである。
 一方、中国による覇権主義的海洋進出政策への対決姿勢を強化して封じ込めなければならないという方針を堅持する対中強硬論者たちにとって、仮想敵である中国海軍を、米海軍とその同盟国や友好国の海軍の集まりであるRIMPACに参加させることなど論外の企てであり、断固として容認できないアイデアであった。
ことごとく踏みにじられた対中融和派の期待
 対中強硬派の人々は、中国海軍がRIMPACに参加しても、対中融和派の人々が考えるような啓蒙効果は起こりえないと考えていた。それどころか、多国籍海軍演習に参加する中国海軍の真意は、米海軍や同盟海軍などの情報を収集することにあり、国際協調を学ぼうなどという意思はない、と確信していた。実際に、RIMPAC-2014において、中国海軍はRIMPACに参加する艦艇以外に情報収集艦を派遣し、アメリカ海軍をはじめとする各国海軍の電子情報の収集に勤しんだ。また、引き続いて参加したRIMPAC-2016では、海上自衛隊に対して国際儀礼を踏みにじる非礼を働き主催者であるアメリカ海軍は困惑した。
 それだけではない、中国がRIMPACに参加した2014年に開始された南シナ海での人工島建設はその後アメリカ海軍などの予想を上回るスピードで推進され、本格的な滑走路まで建設されるに至り、現在は7つの“立派な”人工島全てにレーダー施設が設置され、それらの3つは3000メートル級滑走路や大型艦艇が着岸可能な港湾施設を有する本格的な海洋基地としての体裁を整えつつある有様である。このような事実は、対中融和派の理想は全く空想に近いものであり、現実は対中強硬派が呈していた疑惑の通りであったことを証明している。
 しかしながら、「RIMPACに中国海軍を参加させるな」という対中強硬派の抗議は、オバマ政権下では無視され続ける結果となった。そして、トランプ政権下でもなかなか中国に発せられたRIMPACへの招待が取り消されることはなかった。
ようやく日の目を見た対中強硬派
 政権発足後1年を経て公表された国防方針において、トランプ政権は「大国間角逐」すなわち「中国・ロシアとの対決」に打ち勝たねばならないという基本方針を打ち出した。その状況に至って、これまで4年間にわたって押さえ込まれてきた対中強硬派の主張がようやく日の目を見ることになったのである。

 RIMPACからの中国海軍の締め出しを第一歩に、いよいよ米海軍を中心とする対中強硬派による“反撃”が開始されることになる。だが、中国に与えてしまった4年間によって、中国海洋戦力による南シナ海での軍事的優勢は大幅に進展してしまった。したがって、米軍側の“反撃”は4年前に比べれば数段困難なものになってしまったこともまた事実である。

中国をRIMPACに招待しない理由


岡崎研究所
 米国防総省は2018523日、夏に開催されるRIMPAC(環太平洋合同演習)への中国の招待を取り消したことを発表した。RIMPACは、2年毎に米海軍の主催で行われる世界最大規模の海上演習である。中国海軍は、オバマ政権時代の2014年に初めてRIMPACに正式メンバーとして招待され、2016年にも参加している。この件に関する国防総省のChristopher Logan報道官の声明は次の通りである。

米国は、自由で開かれたインド太平洋にコミットしている。中国による、南シナ海における係争地の継続的な軍事化は、地域の緊張と不安定を助長する一方である。中国のそうした行為への最初の対応として、我々は、中国海軍を2018年のRIMPACに招待しないことにした。中国の振る舞いは、RIMPACの原則と目的に反する。
 我々は、中国がスプラトリー諸島の係争地に対艦ミサイル、地対空ミサイル、電波妨害器を配備している、強い証拠を持っている。ウッディ島への中国の爆撃機の着陸も緊張を高めている。
 中国は、人工島の建設は、海上の安全、航行の支援、捜索・救援、漁業保護、その他、非軍事的目的のためとしているが、武器の配備は軍事的用途以外の何物でもない。
 我々は中国に、これらの軍事システムを直ちに撤去し、南シナ海の軍事化をやめるよう、求めてきた。
 係争地への最近の武器の配備と継続的な軍事化が、スプラトリー諸島を軍事化しないとの習近平国家主席の米国と世界に対する約束を破るものである。

 中国は、YJ-12B 対艦巡航ミサイル(射程545km)、 HQ-9B 地対空ミサイル(射程295km)をスプラトリー諸島のファイアリー・クロス、スービ、ミスチーフの3つの礁に配備し、パラセル諸島のウッディ島において戦略爆撃機H6Kの離着陸訓練を行うなど、南シナ海の軍事化を急速に進めている。上記3礁には、3000メートル級の滑走路も設置されている。こうした行動について中国側は、防衛目的であり軍事化ではない、と言っているが、そんな詭弁は通らない。上記声明も指摘する通り、中国の行動は、南シナ海を軍事化する意図はないとの2015年の習近平の約束に明らかに違背している。
 今回、トランプ政権は、2017年に自らが発した招待を取り消すことで、こうした中国の行動は認められないというメッセージを送った。もちろん、RIMPACへの招待を取り消したからといって、中国が南シナ海の軍事化を止めるとは到底思われない。しかし、効果の有無にかかわらず、絶えず問題提起をしていくことに意味がある。南シナ海における航行の自由作戦の実施も同様である。

 中国を今年のRIMPACに招待することを取り消した直接の理由は南シナ海の軍事化であるが、過去のRIMPACで中国が問題行動をとったことからも、中国を招待しないことは適切な判断と言える。2014年には、中国海軍は情報収集艦を送り込み、他の参加国の艦船に対してスパイ活動を行ったとして、厳しく非難された。2016年には、中国艦船を海上自衛隊幹部が見学することを拒否している。軍事演習にライバル国を招待する場合、その目的は、軍同士の交流により、透明性と信頼性を高め、不測の衝突を避けるという点にある。他の参加国にスパイ行為を働いたり、他の参加国の軍人による見学を拒否するなど、信頼醸成に真っ向から反する行動である。オバマ政権が中国をRIMPACに招待した当時から、中国を招待すべきでないとする反対論も根強かった。オバマ政権は、中国に対し宥和的に接することが、中国を協調的姿勢に導くと考えたのであろうが、全く甘い判断であったと言うべきである。

《管理人》共産中国をRINPACへの参加を認めることは、彼らによる実地の諜報活動を認める、ということですね。敵に塩以上の機会を与えるということになる、共産中国にとっての仮想敵国の長所短所(=弱点)をさらしていくことになるため、今回の共産中国の参加の見合わせは次へつなげる1歩であろうと考えたいものです。

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