「日本版海兵隊」の水陸機動団が始動
広大な南西諸島を防衛 輸送などに課題…
「日本版海兵隊」となる陸上自衛隊の離島奪還専門部隊「水陸機動団」が始動した。平成30年4月7日に相浦駐屯地(長崎県佐世保市)で隊旗授与式を開き、訓練を公開した。手本とする米海兵隊も参加した。中国の軍事的脅威が増す中、南西諸島の防衛力強化の要と期待される。ただ、即応体制の整備や輸送力不足など課題は少なくない。
訓練は離島が占領されたとの想定で実施した。飛来したヘリコプター2機から陸自隊員と米海兵隊員が次々と地上に降下。水陸両用車「AAV7」が砲撃しながら隊員らとともに前進し敵陣地を制圧、奪還に成功した-。
イラク日報問題の影響で式典出席を見送った小野寺五典防衛相は「水陸機動団の創設により初めて本格的な水陸両用作戦能力を有することになる。団結して困難に立ち向かうことを期待する」と訓示を寄せた。
平成30年3月27日に新設された水陸機動団は2100人態勢で、2個の機動連隊、戦闘上陸大隊、後方支援大隊などで構成している。将来的には3千人規模に拡充し、1個連隊を沖縄に配備する構想もある。
水陸機動団が守る南西諸島は広大で、鹿児島県の大隅諸島から沖縄県の与那国島まで。全長約1200キロで日本の本州と同じ程度とされる。しかし、自衛隊は主要戦力を南西諸島に配備しておらず「防衛の空白地帯」とされてきた。その間隙(かんげき)を突くように中国は南西諸島周辺の海空域で活動を活発化させている。
水陸機動団は島嶼(とうしょ)侵攻を許した場合、奪還作戦の先陣を切る役割を担うが、解決すべき課題も横たわる。
陸自は水陸機動団を運ぶ主要輸送機としてオスプレイ17機を米国から購入し、佐賀空港(佐賀市)への配備計画を進めている。佐賀空港と相浦駐屯地は60キロと近距離で、迅速な有事対応が可能だからだ。だが、平成30年2月に陸自ヘリが佐賀県内の民家に墜落し、計画は暗礁に乗り上げている。
このため、防衛省は今秋に納入される最初の5機を、米軍のオスプレイ整備拠点がある木更津駐屯地(千葉県木更津市)に暫定配備する方向だ。ただ、木更津と相浦駐屯地は約1千キロも離れている。佐賀に比べて少なくとも2時間以上のロスが生じ、部隊展開への影響は避けられない。
米海兵隊は上陸作戦の際、水陸両用車や装甲車を強襲揚陸艦で海上輸送するが、自衛隊には一隻もない。代わりに、海自の「おおすみ」型輸送艦3隻を改修して対応するが、輸送力不足は否定できない。
AAV7も水陸機動団の発足時に36両を配備する予定だったが、米国の生産体制の都合で12両にとどまった。そもそもAAV7は米軍が1970年代に配備した“年代物”で、水上速度が時速13キロと遅い。陸自内では「敵から狙い撃ちにされる」との批判が根強く、防衛省は国産化を視野に入れた水陸両用車の技術研究を進めている。
ソフト面の課題も残る。護衛艦からの艦砲射撃や戦闘機による航空攻撃といった援護が島嶼奪還には欠かせない。陸海空3自衛隊の高度な連携を必要とするが、互いの“アレルギー”を完全に克服するには時間もかかる。水陸機動団長の青木伸一陸将補も「まだ能力は完全なものではない」と課題を認める。
日本では攻撃的要素を含む海兵隊機能の保有について「平和憲法の枠を超える」とタブー視されてきた。ただ、現実的な脅威を前に防衛政策を停滞させる余裕はない。水陸機動団の誕生は、日本の領土を守り抜くという強い意志の表れでもある。(石鍋圭)
【管理人より偉そうな持論】憲法の9条では、国家の主権と独立を守るための国防戦争は否定していませんし、国防戦争遂行のための軍事組織、装備を保有することも問題はありません。安保関連法により、条件によりますが集団的自衛権の行使も可能というあたりまえの解釈になりました。これらの解釈を政府が公式にとる覚悟と勇気があるなら、憲法9条についての改正は必要ないものと考えます。「集団的自衛権は保持はするが行使はできない。」というわけのわからない内閣法制局の従来の解釈はまちがいでした、ごめんなさい、から解釈を抜本的に変更して、自衛隊を「日本国国防軍」として実現すべきです。
水陸機動団は、大規模災害への支援についても自衛隊の作戦の幅を広げてくれることが期待できます。ただそのためにも揚陸艇、強襲揚陸艦、輸送艦の配備は欠かせません。そしていずれは、陸上自衛隊そのものが「海兵隊化」されていくことが理想と考えます。つまり「本土決戦戦略」から「海洋出撃戦略」「周辺島嶼出撃戦略」への転換が重要です。
水陸機動団訓練展示
【水陸機動団の問題点】戦略編
島を奪われることを前提にする日本の論外な防衛戦略
「島嶼防衛」と「島嶼奪還」の混用は慎め
北村淳
2018.4.12(木)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52829
水陸機動団の発足式(2018年4月7日、出所:米海兵隊)
2017年3月末に発足した陸上自衛隊・水陸機動団の編成式が、平成30年4月7日、執り行われた。水陸両用機動団は、島嶼防衛(注)を強化する努力の一環として発足された部隊であるとされている。(注:他国と陸上で隣接していない日本のような完全な島嶼国の防衛も、規模の大きい『島嶼防衛』ということができる。ただし本稿では、自動車や鉄道といった陸上交通手段では到達することができず、船舶や航空機といった海洋交通手段でしか到達することができない島嶼、すなわち本州、九州、四国、北海道以外の日本国土とその周辺海域の防衛を「島嶼防衛」と呼称する。)
「島嶼奪還」は「島嶼防衛」ではない
本コラムではしばしば、日本のメディアでは「島嶼防衛」と「島嶼奪還」の混用が目につくと指摘してきた。水陸機動団の発足を取り上げている報道の多くも、あいかわらず島嶼防衛と島嶼奪還を混同してはばからない。もっとも、防衛省による水陸両用機動団に関する説明(平成29年版防衛白書)自体が誤解を招く一因となっている。説明にはこう書かれている。
「平成29年度末に新編される水陸機動団は、万が一島嶼を占拠された場合、速やかに上陸・奪回・確保するための本格的な水陸両用作戦を行うことを主な任務とする陸自が初めて保有する本格的な水陸両用作戦部隊です。(中略)水陸機動団が新編されることにより、島嶼防衛に関する能力向上が図られ、わが国の抑止力が向上します」
防衛省による説明は、水陸機動団は島嶼奪還のために新設される部隊であり、それによって自衛隊の島嶼防衛能力が強化される、との印象を与えているのだ。これでは、水陸両用作戦などに精通していない日本のメディアや一般の人々が、島嶼防衛と島嶼奪還を混同してしまっても致し方ないといえよう。そもそも島嶼防衛というのは、読んで字のごとく「島嶼を外敵の侵攻から防衛する」ことを意味している。そして、島嶼奪還とは、やはり読んで字のごとく「外敵に侵攻されて占拠あるいは占領されてしまった島嶼を奪い返す」ことを意味する。要するに、島嶼奪還とは島嶼防衛に失敗した場合にのみ必要な作戦であって、はじめから島嶼防衛を語らずして島嶼奪還の準備構築に努力を傾注するのは愚の骨頂といわざるをえない。
「取らせてから取り返す」は防衛戦略とみなせない
しばしば、日本国防当局の島嶼防衛方針とりわけ尖閣諸島防衛方針は、「取らせてから取り返す」といわれている。しかしながら、「取らせてから取り返す」方針は島嶼防衛戦略とはみなしようがない。この方針は、外敵の侵攻以前に尖閣諸島や先島諸島などの防衛するべき島嶼とその近隣島嶼に地上部隊を配置につけておき敵侵攻部隊の上陸を撃退する、すなわち「島嶼守備隊により守る」という方針に異を唱える人々により打ち出された方針である。かつて日露戦争の時期に海軍大臣山本権兵衛の片腕として活躍した海軍戦略家、佐藤鐵太郎が繰り返し力説したように、島嶼の防衛は「敵を一歩たりとも上陸させない」ことを基本原則とすべきである。
第2次世界大戦における太平洋の島嶼での攻防戦をはじめとする古今東西の戦例は、「島嶼を守るためには、敵侵攻部隊をできるだけ島嶼沿岸より遠方の海域で撃破してしまわなければならない」という教訓を我々に与えている。 とはいってもこの教訓は、「守備隊により守る」方針が正しいことを示しているわけではない。その反対に、「守備隊により守る」方針による島嶼防衛の事例は、ほとんどが失敗していることも歴史的事実である。つまり、「取らせてから取り返す」も、「守備隊により守る」も、ともに島嶼防衛にとっては誤った方針なのだ。
「外敵を一歩も寄せ付けない」中国の接近阻止戦略
佐藤鐵太郎が唱導した基本方針を現代風に言い換えると、「島嶼防衛の基本方針は『接近阻止戦略』でなければならない」ということになる。
接近阻止戦略とは、アメリカとその仲間による中国侵攻に対抗するための中国人民解放軍の防衛戦略である(ただし、中国の場合は島嶼防衛戦略ではなく、東シナ海と南シナ海から中国に侵攻してくる外敵に対処するための国防戦略である)。この戦略は、人民解放軍では「積極防衛戦略」、アメリカでは「A2/AD戦略」と呼称されている。中国版接近阻止戦略を一言で言うと、中国本土沿岸域に「外敵を一歩も寄せ付けない」という国防戦略である。具体的には、対艦弾道ミサイル(地上から発射される)、対艦攻撃用長距離巡航ミサイル(地上・軍艦・航空機から発射される)、各種軍艦(ミサイル駆逐艦、攻撃潜水艦など)、各種航空機(ミサイル爆撃機、戦闘攻撃機など)によって、できるだけ西太平洋上でアメリカ侵攻部隊に痛撃を加え、少なくとも南西諸島周辺の東シナ海洋上や南シナ海洋上においてはアメリカ軍艦艇や航空機を海の藻屑にしてしまうことを目標とする。このような基本方針こそが、まさに島嶼国日本、そして離島部の島嶼防衛にとって必要な防衛戦略なのだ。
陸上自衛隊が果たす重要な役割
「日本の領域に侵攻を企てる外敵をことごとく海洋上で打ち破ること(接近阻止)こそが、島嶼防衛である」というと、あたかも海洋戦力(海上自衛隊と航空自衛隊)の独壇場のように思われるかもしれない。だが、ミサイル戦技術が伸展した現代においては、陸上移動軍(陸上自衛隊)も「島嶼防衛=接近阻止」には重要な役割を果たす。すなわち、中国軍の接近阻止原理の裏返しで、日本の島嶼に接近を企てる外敵侵攻軍は、海自艦艇や空自戦闘攻撃機による迎撃のみならず、地上から陸上自衛隊が発射する地対艦ミサイルによっても迎撃され、島嶼沿岸からはるか沖合(200km前後)の洋上においてことごとく撃退されることになるのである。
「外敵侵攻軍を島嶼沿岸域には寄せ付けず、一歩たりとも上陸は許さない」という接近阻止戦略を島嶼防衛の基本方針に据えずに、当初から「取らせてから取り返す」などと公言しているのは重大なる戦略ミスである。即刻「島嶼防衛=接近阻止」という島嶼防衛の鉄則に軌道修正を図らなければならない。
【重要な水陸起動団の任務】~対中抑止の要、最前線の部隊としての役割があります。
水陸両用基本訓練課程
陸自水陸機動団は“島嶼奪還”部隊ではない
米海兵隊との“共同訓練”を巡る何重もの誤解
北村淳
2018.10.18(木)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54408
上陸する陸上自衛隊水陸機動団「AAV7」(写真:米海兵隊)
陸上自衛隊水陸機動団は10月2日から11日にかけて、フィリピンで開催された米比共同訓練「カマンダグ」における人道支援・災害救援(HA/DR)活動のための水陸両用作戦訓練に参加した。
(筆者注:カマンダグに参加していた水陸機動団隊員2名が10月2日に現地で交通事故に巻き込まれ、うち前原傑2等陸曹 [1等陸曹に特別昇任] は6日に死亡した。謹んで哀悼の意を表します。)また、その後の10月14日、鹿児島県の種子島で、陸自水陸機動団(陸自第1ヘリコプター団、海自輸送艦「おおすみ」も参加)はアメリカ海兵隊(海兵隊員10名が参加)とともに“島嶼奪還”のための“共同訓練”を実施した。
米比の水陸両用作戦共同訓練「カマンダグ2」
アメリカ軍とフィリピン軍による共同訓練である「カマンダグ」(海の戦士たちの連携)は2017年にスタートした。2016年まで長年にわたって実施されてきた米比共同水陸両用上陸作戦訓練(PHIBLEX)に代わる米比水陸両用作戦共同訓練である。
2回目となる本年の「カマンダグ2」には、アメリカ海兵隊(第3海兵旅団、第31海兵遠征隊から抽出した部隊)、フィリピン海兵隊、フィリピン空軍、佐世保を母港としているアメリカ海軍ドック型揚陸艦「アッシュランド」(満載1万6883トン、海兵隊員400名と36輛のAAV7、あるいは4隻のLCAC、などを積載可能)、フィリピン海軍「ダバオ・デル・スル」(満載1万1583トン、海兵隊員500名と2隻の汎用揚陸艇などを積載可能)、それに陸上自衛隊の水陸機動団が参加した。
フィリピン海軍揚陸艦「ダバオ・デル・スル」(写真:米海軍)
米海軍揚陸艦「アッシュランド」内で待機する水陸機動団と米海兵隊のAAV7部隊(写真:米海兵隊)
アメリカ海兵隊、フィリピン海兵隊、陸自水陸機動団それぞれの部隊は洋上の揚陸艦から「AAV7」(水陸両用兵員輸送軽装甲車)で海岸に上陸し、反対にAAV7で揚陸艦に帰還する訓練が実施された。このようなAAV7による上陸訓練の他に、日米共同訓練では上陸部隊による大規模災害を想定したHA/DR活動訓練が行われた。また、米比共同訓練としては、上陸訓練やHA/DR訓練に加えて実弾を用いての対テロ掃討訓練も実施された。
米海軍揚陸艦から発進した水陸機動団AAV7(写真:米海兵隊)
米海軍揚陸艦に帰還してきた水陸機動団AAV7(写真:米海兵隊)
自衛隊は、揚陸艦から海岸線に到達する道具の1つであるAAV7を手にしたものの、AAV7や上陸部隊を積載して作戦目的地沖合まで運搬する揚陸艦をいまだ手にしていない。だからこそ、アメリカ海軍揚陸艦に海兵隊とともに乗り込み、揚陸艦からAAV7を発艦させたり揚陸艦に帰還したりする訓練は、自衛隊にとってこの上もなく貴重な機会である。陸自水陸機動団は、海上自衛隊が揚陸艦を装備するまでの期間、アメリカ海軍揚陸艦をはじめとする各国の揚陸艦に乗り込んで少しでも多くの経験を積みノウハウを身につけなければ、せっかく手に入れたAAV7が宝の持ち腐れとなってしまうであろう。
誤解されている水陸機動団
フィリピンでの水陸両用訓練と違い、種子島での水陸両用訓練では、自衛隊が揚陸艦を保有していないこともあり、海上自衛隊輸送艦「おおすみ」からCRRC(戦闘強襲偵察用舟艇)と呼ばれるゴムボートに水陸機動団隊員たちが乗り込んで海岸に上陸したり、陸自輸送ヘリコプターから水陸機動団隊員とアメリカ海兵隊員たちが作戦目標地点に降下して、敵が占拠している飛行場を取り戻すという、いわゆる“島嶼奪還”作戦の訓練が行われた。
日本での水陸機動団の訓練は「島嶼防衛」を標榜せざるを得ない事情がある。そもそも水陸機動団を発足させる時点で、尖閣諸島をはじめとする南西諸島方面への中国の軍事的脅威から日本の島嶼を防衛することを表看板に掲げているからだ。それだけではない。日本ではメディアや政府そして防衛当局自身の水陸両用作戦に対する認識の浅さから、「水陸両用作戦」を「上陸作戦」と混同し、「島嶼防衛」を「島嶼奪還」と混同してしまう傾向が極めて強い。
そのため、水陸両用作戦を表芸とする水陸機動団は、あたかも「島嶼防衛」の中核部隊、「島嶼奪還」作戦に投入される部隊、「上陸作戦」のためのエリート部隊とみなされてしまいがちである。それだからこそ、水陸機動団の訓練は必ずといってよいほど“島嶼奪還”訓練という報道がされている有様だ。
これで「日米共同訓練」?
さらにおかしなことには、陸上自衛隊220名にアメリカ海兵隊10名が加わって実施された種子島での“島嶼奪還訓練”を、日米同盟の強化状況を中国側に誇示する効果を狙った“日米共同訓練”とみなすような報道がなされている。だが、それは認識が甘いと言わざるを得ない。
数百名単位のアメリカ海兵隊員とフィリピン海兵隊員それに米比双方の航空機や米海軍揚陸艦「アッシュランド」とフィリピン海軍揚陸艦「ダバオ・デル・スル」が参加しての「カマンダグ」は名実ともに米比共同訓練といえる。しかし、わずか10名のアメリカ海兵隊員が参加しただけの訓練を“日米共同訓練”と称することには大きな疑問符が付く。ようやく水陸両用作戦に特化した水陸機動団が発足した日本と違い、かねてより中国海軍は海兵隊組織(中国海軍陸戦隊)の構築に努力を傾注してきた。そして、アメリカ海兵隊のドクトリンはもとより、現代の水陸両用作戦に関する知見もかなり蓄積していると考えられている。そんな中国海軍陸戦隊や中国海軍にとって、わずか10名しかアメリカ海兵隊員が参加していない“日米共同訓練”をもってして日米連携の強化を謳っても、威圧にはほど遠いことはもとより「米海兵隊の虎の威を借る」効果すら生じない。
“展示訓練”用の強襲上陸作戦
何よりも問題なのは、水陸機動団による水陸両用作戦の訓練に「島嶼奪還」というタイトルを付す風潮である。
現代の水陸両用作戦環境では、水陸機動団が島嶼防衛作戦に何らかの形で投入される余地はないわけではないが、AAV7やCRRCそれにヘリコプターやオスプレイで敵が占領した島嶼に着上陸(すなわち強襲上陸)して敵占領部隊を排除し島嶼を取り戻す島嶼奪還作戦は、水陸両用作戦を「派手に宣伝する」ための展示訓練だけのシナリオといっても過言ではない。それにもかかわらず、水陸両用作戦の訓練を“島嶼奪還”訓練と繰り返し宣伝しているようでは、日本国防当局の水陸両用作戦に対する理解のなさ、というよりは日本国防当局には“まとも”な島嶼防衛戦略が欠落していることを中国軍当局や国際社会に向かってさらけ出しているのと同じである。
日本国防当局そして日本のメディアは、「水陸両用作戦」と「上陸作戦」の混同、「島嶼防衛」と「島嶼奪還」の混同を排除する努力をすべきであろう。
https://www.youtube.com/watch?v=gMMGnzwADTc
海上の日米の軍事的連携は、島嶼防衛だけではなく緊密化しています。
尖閣の領海侵入常態化…中国、海洋強国へ軍と連携
2018.4.13
08:30 https://www.sankei.com/world/news/180413/wor1804130024-n1.html
【北京=藤本欣也】強国路線を掲げる中国の習近平政権は、「海洋強国」の建設を加速させている。その一環として2018年3月、尖閣諸島沖で領海侵入を繰り返す海警局(海上保安庁に相当)を、最高軍事機関である中央軍事委員会の指揮下に置く機構改革を発表した。今後は軍事力を利用する形で、日本の実効支配を崩す動きを強めていくとみられる。
「中日関係は改善の勢いが続いている」
中国の李克強首相が2018年4月9日、北京を訪問した河野洋平元衆院議長との会談でこう述べたように、両国は冷却化した関係から脱しつつある。王毅国務委員兼外相も15日から日本を訪問し、約8年ぶりに閣僚級のハイレベル経済対話を行う。
しかし尖閣周辺の波も同様に静まるかといえばそうではない。平成30年1月11日、中国海軍の攻撃型原子力潜水艦が尖閣周辺の接続水域を航行したことが初めて確認されたときも、平成29年11月の日中首脳会談を受けて関係改善ムードが高まっていた時期で、日本では驚きをもって受け止められた。
2017年10月の共産党大会で「海洋強国の建設を加速させる」ことを確認した習政権に対し、海洋進出の手を緩めることを期待するのは現実的ではない。
中国で海洋権益の保護を担当する海警局は、日本政府による尖閣国有化の翌2013年に発足。尖閣沖の日本領海への公船の侵入を常態化させてきた。
3月には人民武装警察部隊に編入されることが発表され、国務院(政府)から中央軍事委員会の管理下に入ることになった。海軍と連携を深め、尖閣周辺での活動を一層強化するのが狙いとみられている。
こうした中国が最近、警戒感をあらわにしたのが、2018年4月7日に長崎県の駐屯地で隊旗授与式が行われた陸上自衛隊の離島奪還専門部隊「水陸機動団」だ。「日本版海兵隊」とされる。
中国外務省報道官は「日本は隣国の安全保障上の利益と懸念を尊重せよ」と反発した。これについて、尖閣に詳しい海洋専門家は「日本側も軍と一体となって尖閣に対処しようとしているのでは-との懸念だろう。特に米海兵隊との連携を危惧している」とみる。
今後の見通しについて、同専門家は「尖閣は中国における対日戦略の象徴だ。両国関係に関わりなく、日本の実効支配を崩していく中国の姿勢に変わりはない」との見方を示している。
【管理人より偉そうなことをいいます】尖閣諸島は、我が国を防衛する最前線の拠点であり、我が国固有の領土であることに全く疑いはありません。しかし尖閣諸島に一部国会議員のいわれるように自衛隊の部隊を配備することは、共産中国に「日本軍に尖閣を占領された」との口実を与えかねません。また周囲を中国海警、海上民兵の偽装漁船で固められると島嶼へのロジスティクスの問題が大きくなり、部隊の安定した駐屯に悪影響が懸念されると考えられます。太平洋戦争で米軍の反撃の端緒となったガダルカナルの消耗戦を繰り返す結果になりかねません。尖閣諸島には正規軍たる自衛隊を配備するのではなく、海上保安庁の部隊を「海難レスキュー」の目的で配備する方が効果的ではないでしょうか?海保なら国際海洋法条約の適用で動けますし、人道支援のための基地なら非難もしづらいかと考えます。国防は軍事的な要素ばかりではありません。戦争の形態は多様化し、リアルな軍事戦略攻撃がおこりにくくなっているように思います。仮想敵国の社会的、人的インフラを破壊する戦争はおきにくくなっているように感じます。
共産中国は、海洋大国をめざして尖閣諸島や沖縄をとりにきます。待ってはくれません。こちらも国益をかけて戦うしかないのですよ。
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