2015年8月27日木曜日

日本の防衛予算 ~GDP比1%枠への挑戦~ 求められる効率的な予算運用

国防予算を語らずに安保の議論ができるのか
米軍戦略家たちも憂慮、中国の国防予算は日本の数倍以上
多国籍合同訓練「ドーンブリッツ2015」においてサンディエゴ港に入港するイージス駆逐艦「あしがら」。合同訓練への参加には、もちろん多大な費用がかかる

来年(平成28年)度の防衛費概算要求額が5911億円と過去最大の要求額となった。本年度当初予算に比べて2.2%増加しており、4年連続で国防予算は増加することになる。
 概算要求の詳細な内容が伝わる以前の段階ではあるが、米軍関係者の間では日本の国防予算の額ならびに増加率に関してちょっとした議論がかわされている。
 日本周辺の軍事情勢に関心を持っている人々の間で、日本がMV-22ティルトローター輸送機、F-35A戦闘機、AAV7水陸両用強襲車、E-2D早期警戒機、グローバルホーク無人偵察機などのアメリカ製高額兵器を多数調達することになっているのは周知の事実である。このような高額兵器の“買い物リスト”を承知しているため、日本の国防費が増大していくのは当然と思われており、アメリカをはじめ世界的に国防費が圧縮傾向にある中で日本の国防費が“順調”に増加していることに疑問を感じている人々は見当たらない。
 関心が持たれているのは、「いくら国防費が増加しているといっても、日本の軍事予算はわずか410億ドルにしか過ぎないではないか」という国防予算の規模に関する点である。
中国に比べて日本の国防予算規模は小さすぎる

 概算要求額は確かに5911億円史上最高額ではあるものの、ドル高円安の影響で410億ドルと、数年前のドル安円高の時代に比べるとドル換算では目減りしている。例えばストックホルム国際平和研究所の2015年度各国国防費データでは、現在ほどドル高が進んでいなかったため、日本の国防費はおよそ450億ドルとなっている。
このように通貨レートの変動があるため、そう単純に国防費の増減を論ずるわけにはいかないが、同じくドル換算した各国の国防予算の比較程度の大雑把な分析には用いることができる。
 例えば米海軍関係の極東政策アナリストは次のように指摘している。
「日本の国防予算が410億ドルであるとはいえ、日本にとって最大の軍事的脅威国である中国の国防予算は1450億ドルに達している。まして、1450億ドルという数字は中国共産党政府の公式発表であり、実質的な国防費は少なくともその倍に達していると考えるのが我々の常識である。したがって、中国の国防予算は日本の少なくとも67倍の規模に達しているのだ。このような状況で、日本の国防予算が増加しているなどと言っていて良いのか」
 これに対して国防費を総額で比較するのは単純すぎるとの声もある。「為替変動ファクターを別にしても、それぞれの国ごとに兵器や装備の調達方法も違うし、軍需産業の生産コストも様々だ。それに、国防予算の最大の割合を占める人件費の基準そのものに、国によってかなり大きな差がある」
 しかし、日本や中国の状況に通じている人々からは、「だからこそ、日中国防費の大きな差は、ますます問題なのだ」という反論がなされている。あくまでも国防予算総額に関する直感的な比較にすぎないのだが、以下のように日本の国防費が小規模すぎることを指摘する。
「確かに、現役軍人数およそ300万名規模の人民解放軍と25万名規模の自衛隊とを比較すれば、いくら自衛隊の給与が我々アメリカ軍より高額であるといっても、人民解放軍の人件費が自衛隊のそれをはるかに上回っていることは間違いない。しかし、人件費関係項目を国防予算から差し引いたとしても、日中国防費のアンバランスさは凄まじい」
「人件費を別にすると、日本も中国も新鋭兵器調達に血道を上げているようで、それらの占める割合が両国共にかなり増加しているであろう。問題は、日常の教育訓練や、大規模演習、他国軍隊との合同訓練、それにプレゼンスを示すための海外展開などの平時の作戦関係費の増加率だ。このような観点から考えると、日本の国防費は圧倒的に小規模ということになるのではないか?」
任務・訓練が増えるのになぜ予算は増えないのか

 こうした状況の中で、筆者周辺の米軍戦略家たちの間では、「日本の国防予算の規模はいつになったら拡大するのか?」という話題が取り沙汰され続けている。
とりわけ現在は、安倍政権が「日米同盟を強化し抑止力を高める」ための安保法案を成立させようと努力している状況を目の当たりにしているため、同盟国日本の国防予算が「日米同盟を強化し抑止力を高める」だけの規模に増加するかどうかを注視しているわけである。
 しかしながら、安倍首相自ら国会で、「国防費は、すでに一昨年末に決定された中期防衛力整備計画において5カ年分の総枠は決定しており、新しい法制によって新たに増額されるようなことはない」といった内容を明言している。安保法制が成立したとしても、なんら国防費には影響を与えないというのが日本政府の見解のようである。
 そんな日本政府の見解に対して、米軍関係者たちの間で次のような疑問が持ち上がっている。「日本政府は新たに集団的自衛権の行使を容認し、アメリカ軍や多国籍軍の戦闘部隊に対する兵站補給任務も解禁することになる。それに伴って自衛隊に様々な任務が付加されることになるのに、なぜ新たな予算が付与されないのか?」
 もちろん、安保法制が可決されたからといって、直ちに集団的自衛権を行使するわけではないし、兵站部隊が海外に派遣されるわけではない。また、安倍首相も語っているように、少なくとも現時点では、それらの新任務に向けて特別な兵器や装備の調達が必要になるわけではない。
 しかし、新たな任務により将来的に出動することとなる自衛隊は、当然のことながらそれらに対応した教育訓練を開始しなければならない。そして、集団的自衛権にせよ兵站補給任務にせよ、アメリカ軍や多国籍軍との共同作戦が想定されるため、アメリカ軍やその他の国々の軍隊との共同訓練や大規模合同演習などに現在以上に参加しなければならなくなる。
 このような新たに必要となる費用を考えると、「新兵器を購入する必要がないから、安保法制は国防費とは関係ない」という政府の見解に米軍関係者たちが素朴な疑問を抱くのも無理はない。なんといっても、実戦に明け暮れているアメリカ軍にとって、教育訓練費、合同演習のための遠征費、それにあらゆる軍事行動の趨勢を決める兵站関連の整備費がいかに巨額に上るのかは、骨身にしみている問題なのだ。
日米同盟強化にはカネがかかる
 訓練や遠征などに巨額の費用がかかるのは、もちろん自衛隊でも事情は同じであろう。
昨今、日米同盟の強化が唱えられているのに呼応して、日米合同訓練が質・量ともに強化されている。例えば、現在カリフォルニアのサンディエゴ周辺で実施されている水陸両用戦の多国籍合同訓練「ドーンブリッツ2015」にも、前回(2013年)から海上自衛隊と陸上自衛隊が参加している。この訓練は水陸両用戦の訓練であるため、海上自衛隊艦艇に陸上自衛隊員(参加者全員ではない)が積載されてホノルル経由でサンディエゴに到達し、合同訓練に参加した後、再びホノルル経由で日本に帰還するのである。
 このような訓練を積み重ねることにより、確かに日米同盟は強化されるし、抑止力も高まるであろう。現在ドーンブリッツに派遣されている海上自衛隊艦艇はヘリコプター空母1隻、輸送艦1隻、それにイージス駆逐艦1隻の合わせて3隻であり。このうちヘリコプター空母とイージス駆逐艦は海上自衛隊にとっては主力の水上戦闘艦であるし、おおすみ型輸送艦も3隻しか保有していないうちの1隻を送り出しているのである。
サンディエゴに入港するヘリコプター空母「ひゅうが」

歓迎を受ける「ひゅうが」

サンディエゴに入港する輸送艦「くにさき」
要するに、少ない防衛資源をやりくりしてカリフォルニアに艦隊を派遣し日米合同訓練に従事している間は、日本の防衛にそれだけ穴が空いていることになっているのである。また、3カ月にわたって大型艦をアメリカに派遣するために、海上自衛隊に特別の燃料費が上乗せされているわけでもない。
 海上自衛隊が十二分に艦艇を保有しており、燃料もあり余るほど支給されている状況ならば、虎の子の軍艦3隻をアメリカに派遣しても、さして日本防衛には影響しないかもしれない。しかし、そのようにするには、現在の国防予算では全く話にならないのだ。
 ドーンブリッツはほんの一例であるが、このような日米の合同訓練や、軍艦だけでなく航空機や隊員の相互訪問などが日米同盟を強化していくのであり、安保法制が可決されると自動的に日米同盟が強化され抑止力が高まるのではない。
 国防費を増加させることなく日米同盟を強化させ抑止力を高めよう、というのは単なる幻想である。

※財務省が防衛予算を低くおさえたい意向があり、それが防衛予算の少ない理由といわれます。節約できるところとお金をかけるべきところを十分検討されて、無駄のない予算執行をお願いします。
 防衛予算は、国民の「血税」ですから。

【自衛隊の合同軍事演習】

ドーン・ブリッツ2013の公式動画~防衛省~

配信日:2013/10/20 12:10
http://flyteam.jp/news/article/27880
防衛省・自衛隊は、2013610日から23日までアメリカ・カリフォルニアで実施された統合訓練「ドーン・ブリッツ13」の動画を2013109日にYouTubeにアップしました。

これまでアメリカ軍発表のものしかありませんでしたが、自衛隊側から撮影した動画をたっぷり見ることができます。護衛艦「ひゅうが」から離艦するCH-47JAAH-64DSH-60K、「ひゅうが」に着艦したMV-22Bオスプレイ、LCACの揚陸風景、AH-64Dの射撃など見どころ盛りだくさんです。


実録!日米合同軍事演習 2013「アイアンフィスト 2013」緊張感の高さに度肝を抜かれる
2013/11/12 に公開

米豪合同軍事演習に自衛隊が初参加、「離島奪還作戦」の様子公開=「なぜ韓国は入っていない?中国の属国だからか…」―韓国ネット
Record China2015712()1931分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150712-00000030-rcdc-cn

 2015712日、韓国・聯合ニュースは、米国とオーストラリアが実施する大規模な軍事演習に自衛隊が初めて参加したと報じた。
  日本政府は11日、敵部隊が島を占拠した状況で自衛隊と米軍が海上から船に乗って海岸に接近し、島を奪還することを想定した訓練の様子を公開した。訓練は、オーストラリア北部の準州であるノーザン・テリトリー内のフォッグベイエリアで実施された。陸上自衛隊は偵察用ボートを利用して上陸後、小銃を持って警戒態勢を維持した。

今月5日から21日まで予定されている「タリスマン・セイバー」は、オーストラリアと米国が2年に一度実施し、両国から約3万人以上が参加する大規模な合同訓練だ。自衛隊は、この訓練に隊員約40人を初めて派遣した。陸上自衛隊は当初、米軍と訓練するだけで豪軍とは訓練しないため、日米豪の3カ国連合訓練は行われないと説明していた。

この報道に、韓国のネットユーザーから多くの意見が寄せられている。以下はその一部。

「実質的に中国の人工島奪還だな」

「自衛隊の膨張の目的は、火を見るよりも明らかだ。米国は日本を育てて、監視とけん制を行う気だ」

3国同盟に韓国は入ってないんだな。中国の属国だからか…」

「そんなに戦争がしたければ、すればよい」
「これは、もう戦争の準備だ」

「訓練というのは、いつも仮想敵国を設定するものだ。中国なのか?ロシアなのか?」

「奪還する島は、独島(日本名:竹島)じゃないだろうな」

「韓国は、すべてに不満があるというのが事実だ。米国と中国に依存している存在でしかない。そんな米国の軍事訓練にも呼ばれないし、自分の無能さを直視せず、過去の歴史問題に没頭している」

「米国・日本・オーストラリア・ベトナム・フィリピンvs中国だな」

「米国の希望はここに韓国が入って、中国けん制の体制を作ることだろうが、安倍内閣の下では、夢のような話だろう」(翻訳・編集/三田)



【自衛隊の戦力】

米軍は「隊員の質、能力ともに極めて高い」と評価

2015829 110 http://news.livedoor.com/article/detail/10526193/



幸か不幸か、安倍首相のおかげで安全保障関連法案そのものへの関心が高まった。この時流に先駆けて、東京新聞論説兼編集委員で’92年より防衛庁取材を担当している半田滋さんが自衛隊の仕事内容や軍事力の実態を紹介する

駐屯地や基地では何をしているの?

陸自は本来、戦争になれば、戦場へ出て行く野戦部隊なので、駐屯地は「仮住まい」という位置づけ。ひと昔前は「仮住まいなのだから必要ないだろう」と大蔵省(現財務省)に反対され、コピー機を置く予算さえつかなかった。駐屯地では、午前6時の起床から午後5時の課業終了まで訓練、体育、事務をこなす。消灯は午後10時。

陸自の訓練はどのようなもの?

年に12回、東富士演習場など全国にある大規模な演習場に泊まり込み、上陸した敵と戦うための本格的な演習をする。駐屯地の訓練は街に進入した敵を撃退するための都市型訓練や射撃訓練など。
公表はされていないが、予算の関係から実弾射撃できる回数は極めて少ない。そのせいか2012年、オーストラリアであった15か国の軍隊が参加した射撃大会で陸自はビリから2番目だった。
2004年、陸自は米軍が戦闘を続けるイラクへ派遣された。戦闘には参加せず、道路や建物の補修などをしたが、この派遣がきっかけとなり、戦地派遣を想定した訓練も開始された。

海自、空自の訓練は?

海自の場合、侵略した外国の軍艦や潜水艦と戦う想定で護衛艦と呼ばれる海自の軍艦や哨戒機を使った訓練を日本近海で実施。米国まで行ってミサイルの実射訓練をすることも。潜水艦との戦いや海の爆弾である機雷を除去する能力は極めて高い。
空自は戦闘機同士が戦う空中戦の訓練や、日本に侵攻した航空機を地上からミサイルで撃ち落とすための訓練をしている。近年、レーダーに映りにくいステルス戦闘機に乗っていれば安心との神話が生まれ、空自はステルス戦闘機のF35を米国から購入している。F35は一機170億円もする世界一高い戦闘機だ。

ところで自衛隊は強いの?

海自の護衛艦は47隻で米海軍に続き実質的に世界第2位。オーストラリアがうらやましがっている高性能な潜水艦を含め、潜水艦は17隻を保有。哨戒機は70機ある。空自は戦闘機260機のほか、地対空ミサイル部隊があり、両自の防衛力はたいしたもの。陸自はソ連崩壊後、中国を意識した南西防衛に切り換え、移動しやすい部隊に変身する途上にある。
冷戦後、各国とも国防費を削減するなか、日本の防衛費の削減幅は小さく、安倍政権になってから3年連続で上昇。他国の本格侵攻に備えるという重厚長大な訓練を今でもやっているのは自衛隊を含め数少ない。米軍は自衛隊について「隊員の質、能力ともに極めて高い」と評価しているらしい。

殉職するとどうなるの? 家族補償は?

訓練中の事故などで亡くなった自衛官は自衛隊創設以来、1874人。
公務時の死亡と認定されれば遺族補償年金や同一時金が支払われる。金額は給与によって違う。海外派遣で死亡した場合、賞恤金と特別報奨金を合わせた1億円が遺族に支払われる。ちなみに戦争がなかったので戦死者はゼロ。仮に安全保障関連法案が成立した場合、戦死者が出ることも予想されるけど……

監修:半田滋(はんだ・しげる) 東京新聞論説兼編集委員。’92年より防衛庁取材を担当している。2007年、東京新聞・中日新聞連載の「新防人考」で第13回平和・協同ジャーナリスト基金賞(大賞)を受賞。
※どの国においても「国防軍」は国民にとって「エリート」であり、国の名誉であり、国民全体から尊敬の念をもってみられています。
 僕らの国にも「自衛隊」という「国防軍」があり、世界的に災害支援活動、復興支援活動、国連の紛争監視活動に活躍しています。もっと自分たちの国の「国防軍」に誇りをもっていいのではないでしょうか?
 その自衛隊がさらに仕事がしやすくなるための安倍内閣の安全保障関連法案です。日本がいわれのない侵略戦争にまきこまれないための法律です。


0 件のコメント:

コメントを投稿