戦略なきシリア攻撃、背景にホワイトハウスの権力闘争
佐々木伸 (星槎大学客員教授)
2017年4月12日http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9362
トランプ政権のシリア攻撃は長期的な戦略に基づいたものではなく、場当たり的な作戦だったことが一段と明らかになりつつある。その背景には、孤立主義を主張するバノン首席戦略官派と、国際的な関与を強めるトランプ大統領の娘婿クシュナー上級顧問派との権力闘争が激化していることがある。
沈黙する大統領
「米第一主義」を掲げてきたトランプ氏が化学兵器を使用したシリアへの攻撃に踏み切ったことで、「米国の国益に関係のない他国の問題から距離を置く」としてきたこれまでの「不介入戦略」は大きく転換、時には人道的な問題でも軍事介入する姿勢が示される形になった。
トランプ氏自身、攻撃に関する声明の中で「シリアでの殺りくや流血を終結させるため米国の行動に加わるよう」世界に呼び掛け、シリアの和平に主導権を取っていく考えすら示唆した。
トランプ政権の方針転換を鮮明にしたのはティラーソン国務長官だ。長官はG7の開催されたイタリアで、「世界のどこであっても、無辜の人々に対する犯罪をなすどんな者に対しても責任を取らせる」と踏み込み、トランプ氏が批判してきた米国の伝統的な価値観に回帰するような態度を見せた。
だが、7日以降、トランプ氏はツイッターも含め、シリア問題に関する発言を一切控え、沈黙している。なぜか。その大きな理由はシリア介入派とこれに反対する一派が対立し、長期戦略を描けないでいるからだ。
米メディアなどによると、シリア攻撃を積極的に主張したのは、クシュナー上級顧問やコーン国家経済会議委員長らニューヨーク出身の実業家勢力だ。これにマクマスター補佐官(国家安全保障担当)、マティス国防長官、ティラーソン国務長官らも賛同したようだ。
イバンカの助言が影響?
特にクシュナー氏の夫人で、トランプ大統領が溺愛する長女のイバンカ氏が化学兵器で被害を受けた赤ちゃんらに衝撃を受け、トランプ氏に助言したことが攻撃に傾いた大きな引き金になったと見られている。家族重視のトランプ氏の姿が思い浮かぶ。
対して慎重論を唱えたのは、バノン首席戦略官やプリーバス首席補佐官、ミラー上級顧問らトランプ氏の大統領当選を支えた「米第一主義」論者たちだ。ミサイル攻撃後、この一派の支持者らからは「介入は裏切り」という批判も出始めている。
「不介入戦略」を掲げてきたトランプ政権にはもともと、長期を展望したシリア政策はない。ミサイル攻撃のほんの数日前まで、アサド政権の存続を「政治的現実」(スパイサー大統領報道官)として容認していたにもかかわらず、攻撃後唐突に「アサド氏の退陣を要求」(ヘイリー米国連大使)している事実が場当たり的な政策しか持っていないことを浮き彫りにしている。
シリア内戦の終結のため外交的なイニシアチブを取り、和平交渉を積極的に推進する考えはあるのかどうか。アサド政権の居座りを認めるのか、追放を掲げるのか。反体制派をオバマ政権同様、支援するのか、支援を打ち切るのか。過激派組織「イスラム国」(IS)の壊滅作戦と並行して内戦終結も目指すのかどうか。
本来はこうした点を入れたシリア政策を策定していなければ、武力行使には踏み切ることはできないはずだ。戦略のないまま、軍事的に攻撃することはその後の展開に不確定要素が多すぎてリスクが大きいからだ。
こうした戦略の欠如に加え、両派の権力闘争が激化しているため、シリア政策を策定することがさらに困難な状況になっていると言えるだろう。トランプ氏が何らかの発言をすることはどちらかの意見に与することになり、同氏としても簡単には決められない。
IS壊滅作戦にも影響
アサド政権側にも大きな疑問がある。アサド政権がなぜ、米国の懲罰攻撃を招く恐れがある化学兵器を使ったのか、ということだ。ロシアやイランの支援が奏功して反体制派に対して圧倒的な優位に立っていた現状を考えれば、化学兵器をあえて使う必要はなかったはずだ。
これに対してはさまざまな見方がある。軍の一部が独走したという説や、過去3回に渡って化学兵器で攻撃をしたが、国際社会から大きな関心は呼ばず、今回も見過ごされると慢心したのではないかという見方もある。
アナリストの1人は「計算された使用」だったと指摘する。その背景には政権軍の人員不足がある。政権軍は今や1万8000人ほどしかいない上、ロシアから結果を出すよう強い圧力を受け続けていたため、大きな打撃を与えられる化学兵器に「つい頼ったのではないか」という分析だ。
ロシアが化学兵器の使用を前もって承知していたという米当局者の発言も報じられたが、トランプ政権はこれを否定した。ロシアをこれ以上怒らせてはIS壊滅作戦に支障が出かねないと危惧したためだったろう。
というのも、ロシアは米国のミサイル攻撃後、シリアにおける偶発的な衝突を回避するための米ロのホットラインを一方的に遮断した。このため、ロシアの防空網に引っかかることを恐れた米国のIS攻撃は激減、IS壊滅作戦が遅れる懸念が高まっている。
ティラーソン国務長官は12日、ロシアを訪問し、ロシアのラブロフ外相にアサド政権支援を弱めるよう要求するといわれているが、ミサイル攻撃を「国際法違反の侵略」と非難するロシアがこれを受け容れる見通しは全くない。米ロ関係は改善どころか、新たに悪化の道をたどるのは決定的だ。
《維新嵐》アメリカがシリア軍の基地をトマホーク巡航ミサイルで攻撃するきっかけとなったシリア政府?と思われる「戦争犯罪」の実態です。どんな理由があるにしろNBC兵器は、非人道兵器であり、国際法によらなくても「人道的に」使用することは許されません。アメリカはオバマ政権の時にシリアでの化学兵器使用を許す、格好になりました。誰かがNBC兵器使用に歯止めをかけなければいけないのですが、それははたしてアメリカなのでしょうか?
本来は、国連軍が行うべきことなのではないでしょうか?
有事に即応できない現在の国連体制、第二次大戦の戦勝国による安保体制には限界があります。新たな国際的な枠組みを再構築するときなのではないでしょうか?
どんな理由をこねようが、アサド政権の人道的責任は問われるべきです。自国内で化学兵器を使用されること自体、アサド政権の責任です。
シリア北西部で使われたのはサリン=化学兵器禁止機関
2017年4月20日http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9442
シリア北西部ハーン・シェイフンで2017年4月4日に多数の住民が死傷した攻撃は、猛毒のサリンかサリンに似た物質を使った化学攻撃だったと、化学兵器禁止機関(OPCW)が発表した。化学兵器禁止条約に基づき設置されたOPCWは2017年4月19日、被害者10人から採取した物質を検査した結果、「疑いようのない」結果が出たと明らかにした。
OPCWのアフメト・ウズムジュ事務局長は、ハーン・シェイフン爆撃で死亡した犠牲者3人から採取したサンプルを、OPCW指定の検査機関2カ所で分析したほか、病院で手当てを受けた被害者7人から採取したサンプルを他の検査機関2カ所で調べたと説明。
「OPCWが指定する検査機関が分析した結果、被害者はサリンないしはサリンのような物質を浴びたようだと判明した。詳細な解析は今後も続くが、現時点で判明した解析結果は疑いようがない」とウズムジュ氏は言明した。
事務局長によると、検査チームは引き続き被害者の聞き取り調査やサンプル採取を続けており、安全が確保されるならば調査チームを現地に派遣する用意もあると述べた。
反政府勢力支配地域にあるハーン・シェイフンへの攻撃では、少なくとも87人が死亡した。攻撃直後の映像では、多くの子供を含む住民が呼吸困難で苦しみ、口から泡を吹いている様子などが映っている。
シリアのバシャール・アル・アサド大統領は12日、AFP通信との単独インタビューで、化学攻撃など「100%でっちあげだ」と反発している。
一方で、シリアを支援するロシアは、反政府勢力の化学兵器貯蔵庫が爆撃されたのだと主張していたが、この説は大多数に否定されている。
米政府は対応として、シリア北西部の空軍基地を空爆した。
シリアでは2013年8月、首都ダマスカス郊外で住民数百人が死亡する攻撃があり、国連はサリンが使用されたと断定。これを受けて同年、米ロ合意とロシアの調停をもとにシリアは化学兵器禁止条約に加盟し、化学兵器の廃棄に合意した。
《維新嵐》アメリカは、シリア問題から離れて核実験を繰り返す北朝鮮にむかっています。シリアの化学兵器は北朝鮮製造とのことですが、確かにこのままだと「国防兵器」として自衛戦争の主張の中で核兵器まで使用されるのではないか?という懸念はわかります。しかしこれも本来国連が軍事的抑止力を発揮して解決すべき問題なのではないでしょうか?
“斬首”より“別荘へようこそ” 金正恩に核開発を断念させる方法
2017年4月14日http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9370
さきの米中首脳会談は、米軍のシリア攻撃によって、すっかり影が薄くなってしまった。
会談自体は、やはり北朝鮮の核開発問題が主要な議題になったようだ。首脳会談真っ最中の攻撃断行は、核・ミサイル開発に血道をあげる北朝鮮に対するトランプ政権の警告だという。日米のメディアは、軍事行動の可能性とあわせて、“斬首作戦”つまり金正恩朝鮮労働党委員長の暗殺計画も報じている。米国は、本当に北朝鮮への攻撃に踏み切るのか。
しかし、「軍事行動」と一口でいっても、事はそう簡単にはいくものではない。かならずしも成算がないうえに、「全面戦争」の可能性すら危ぶまれるからだ。
米軍が軍事行動に出た場合、北朝鮮の兵力の70%が集中するDMZ(非武装地帯)周辺、の軍事基地と、核開発の“聖地”寧辺の施設を主な標的とするだろう。しかし、最も危険な存在である弾道ミサイルの完全破壊は、移動式発射装置を保有しているなどの事情から、困難視されている。
北朝鮮が報復として、移動式装置を駆使して、ミサイルを発射してくれば、日本、韓国に飛来するまでにそれほど時間がかからない。人的被害は生じなくとも、わが国の陸地のどこかに着弾したとしたら、極めて深刻な事態だ。北朝鮮に報復能力が残る限り、米としても攻撃に簡単に踏み切ることはできない。
“斬首作戦”にしても困難が伴う。米軍は金正恩が、どこに潜んでいるのかを特定しなければならない。
イラク戦争の時、第一撃でサダム・フセイン大統領(当時)を殺害するはずだったが、失敗、拘束まで1年9カ月という時間がかかった。
9・11同時テロの指導者、ウサマ・ビン・ラーディンの殺害にも、事件発生から約10年という長い長い期間を要している。
北朝鮮の核問題で米は「中国と連携」=米大統領補佐官
2017年4月17日http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9414
北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる緊張が高まるなか、H・R・マクマスター米大統領補佐官(国家安全保障担当)は2017年4月16日、米中両国が対応策について「さまざまな選択肢」を検討していると述べた。
マクマスター補佐官は米ABCニュースとのインタビューで、現在の状況が「続くわけにはいかない」との認識で中国と一致していると述べた。ドナルド・トランプ大統領もこれに先立ち、中国が「協力してくれている」と述べていた。
北朝鮮は15日に故金日成主席の生誕105周年を祝賀する大規模な軍事パレードを行ったほか、16日には弾道ミサイル1発の発射を試みたものの失敗した。
米国は、北朝鮮にとって最大の同盟国の中国に対し、北朝鮮への圧力を高めるよう求めている。
マクマスター補佐官の発言は、北朝鮮問題をめぐる米中の連携を当局者が初めて確認したものとみられる。
アフガニスタンの首都カブールを訪問中のマクマスター補佐官は、北朝鮮の16日のミサイル発射は、「挑発的で、安定を脅かし、脅迫するといういつもの行動だ」と批判し、「(トランプ)大統領は、米国や、地域の同盟国や提携国が、敵対的な核保有国に脅かされることを許さないと明示してきた」と述べた。
マクマスター補佐官はさらに、「このような状況が続くわけにはいかないと、中国の人々や指導部を含む国際的な合意が今ではできていると思う」と語った。
トランプ大統領と中国の習近平国家主席が今月初めに米南部フロリダ州で会談した際には、北朝鮮についての協議も行われた。上海で取材するBBCのロビン・ブラント記者によると、習氏は米側に対し「意思疎通と連携」で協力する考えを示したという。
韓国と米国の軍関係者は16日、北朝鮮のミサイルが発射直後に爆発したと述べた。米太平洋司令本部は弾道ミサイルだという見方を示した。
情報収集は続いているが、ある米関係筋は発射に失敗したミサイルが大陸間弾道ミサイル(ICBM)だった可能性は低いと述べた。
弾道ミサイルは、発射当初は加速装置と誘導装置が使われ、高い軌道を飛ぶが、重力落下で標的に達する。ICBMは大気圏外にいったん出るが、ほかの弾道ミサイルは大気圏内を飛行する。
北朝鮮はICBMに搭載可能な核弾頭の開発によって、世界各地を攻撃できる能力を得ようとしている。
北朝鮮は、ミサイルに搭載可能な段階まで弾頭の小型化に成功に達したと主張するが、証拠が少ないため専門家たちはこれを疑問視している。
北朝鮮は国連安保理決議に違反する形で、これまでに5回の核実験と多数のミサイル発射試験を行っている。失敗した事例もあるものの、北朝鮮は開発計画を進めてきた。
一方、米国のマイク・ペンス副大統領は10日間の予定でアジアを歴訪中。同地域の同盟各国に対して、べ安全保障に対する米国の積極姿勢をあらためて伝えるのが目的だ。
16日に韓国ソウルに到着したペンス副大統領は、北朝鮮がミサイル発射を試みたことについて「挑発」だと述べた。ペンス氏は黄教安(ファン・ギョアン)大統領代行兼首相と北朝鮮問題について協議する予定。
英国のボリス・ジョンソン外相は、北朝鮮が「好戦的な行動をやめ、国連安保理の決議に従うべきだと」述べた。
中国の王毅外相は14日、地域情勢は緊張が高まっており、「衝突がいつ始まってもおかしくない」と警告した。
米海軍の原子力空母カール・ビンソンを中心とする打撃群の朝鮮半島接近によって、北朝鮮情勢はさらに緊迫の度を強めている。
《維新嵐》とりあえず共産中国をアメリカはおさえましたね。北朝鮮の核兵器は共産中国にとっても「脅威」ですからね。
「戦略的忍耐の時代は終わった」北朝鮮問題で米副大統領
2017年4月17日http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9415
韓国を訪問中のマイク・ペンス米副大統領は2017年4月17日、北朝鮮に対する「戦略的忍耐の時代」は終わったと述べた。
黄教安(ファン・ギョアン)大統領代行との会談後に共同記者会見に臨んだペンス副大統領は、過去の米政権が「戦略的忍耐」の政策をとるなかで北朝鮮は核やミサイルの実験を続けてきたと指摘した。
ペンス氏は韓国への支援をあらためて表明し、「我々は100%、あなたたちを応援する」と語った。
黄大統領代行は、北朝鮮の脅威からの防衛を目的に、最新鋭迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)」が早期に配備されたことへの歓迎の意を表明した。
一方、ペンス氏はTHAAD配備に反発した中国が韓国に対して取った報復的措置は遺憾だと述べた。
レックス・ティラーソン米国務長官が先月、板門店を訪れた際にも、先制攻撃的な軍事行動は選択肢に入っていると語っていた。
ペンス副大統領は同日午前、南北の軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)を訪れた。
副大統領は国連軍の基地「キャンプ・ボニファス」をヘリコプターで訪れ、兵士らを激励した後、板門店に向かった。
父親が1950~1953年の朝鮮戦争で戦ったペンス氏は記者団に対し、米韓両軍の協力関係は「歴史的」で、「両国民のゆるぎない結びつきの証」だと述べた。
米国と北朝鮮の間で緊張が高まるなか、ペンス副大統領は10日間の予定でアジアを歴訪している。
韓国の聯合ニュースによると、米韓両国の空軍は17日、北朝鮮に対応する準備態勢を強化するため合同軍事演習を行った。2週間にわたる演習「マックス・サンダー」には、米軍から約1000人、韓国軍から約500人が参加する。
一方、北朝鮮は15日に金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の祖父、故金日成(キム・イルソン)氏の生誕105年を祝う大規模な軍事パレードを行ったほか、16日には弾道ミサイルの発射を試みたが失敗している。
北朝鮮情報サイト「38ノース」によると、専門家らは北朝鮮の核施設の動きから6回目になる核実験が近く実施される可能性があると指摘している。
終焉を迎えた北朝鮮への忍耐
2017年4月19日http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9387
2017年3月17日付のウォールストリート・ジャーナル紙の社説は、ティラーソン国務長官が、北朝鮮に対する「戦略的忍耐」は終わったと述べたことや、THAADの韓国配備に中国が圧力をかけていることを批判したのは適切であるとして、その対応を評価しています。その要旨は、以下の通りです。
(iStock)
初のアジア訪問を行っているティラーソン国務長官は、北朝鮮が核保有の野心を諦め、政権崩壊を待つというオバマ政権の政策について、「戦略的忍耐という政策は終わった」と述べた。その前日には、北朝鮮に対する20年に及ぶ「失敗したアプローチ」を批判している。
ティラーソンが述べたことは正しい。北朝鮮に賄賂を贈って核開発を諦めさせようとしたり、中国に説得させようとしたりした、これまで失敗してきたアプローチは、1994年のクリントンとガルーチによる米朝枠組み合意まで遡る。米国は数年がかりの多国間協議に参加し、守られることのない約束のために金や譲歩を与えてしまった。
ブッシュ大統領は、2006年に北朝鮮が初めて核実験を行った後、テロ支援国家指定を解除してしまった。北朝鮮への圧力が効果を出しつつあったのに、ブッシュを説得しそれをやめさせてしまったライスとヒルは、多くの追及に答えるべきだ。
オバマ大統領も北朝鮮を説得しようとしたが、その時点で北朝鮮は核とミサイルのストックを増やすことを決断していた。オバマ政権はそれを受け「戦略的忍耐」政策をとったわけだが、そのせいで今や北朝鮮はソウル、東京、シアトルを破壊する能力を備えつつある。
ティラーソンは、米国のTHAADを受け入れている韓国に対して、中国が経済的な報復をとっていると指摘し、「すべての国にとっての深刻な脅威に対処しようとする地域大国のやることではない」、「THAADが必要となっている脅威に対し、中国が直接対処することを求める」と述べた。また、ティラーソンは米国や同盟国を防衛するため、軍事力を含むあらゆるツールを排除しないとも述べている。脅威や現状に鑑みれば、ティラーソンの率直な発言は適切である。ティラーソンとトランプ大統領は、北朝鮮が対米核攻撃能力を持つ前に、米国がそれを阻止する覚悟を決めているということを、これまで無視を決め込んできた中国に分からせようとしている。
ホワイトハウスには、北朝鮮とビジネスをしている中国企業を米国の金融システムから追放したり、北朝鮮による次のミサイル発射を迎撃するといった選択肢がある。国際社会が失敗した戦略を転換する必要を認識する第一歩として、ティラーソンの発言は好ましいものであった。
出 典:Wall Street Journal ‘Tillerson Tells
the Korean Truth’ (March 17, 2017)
https://www.wsj.com/articles/tillerson-tells-the-korean-truth-1489790513
https://www.wsj.com/articles/tillerson-tells-the-korean-truth-1489790513
ティラーソンが、北朝鮮の核開発を阻止しようとした過去20年のアプローチが失敗であったというのは正しい判断です。米国は1994年の枠組み合意をはじめとして、北朝鮮の核開発を阻止すべく、六か国協議などいくつもの働きかけを行ってきましたが、いずれも成果を上げられませんでした。
北朝鮮に一番影響力を持っているのは中国であり、米国は機会あるごとに中国が北朝鮮に圧力を加えて核開発を中止させるよう要請しましたが、中国はこれに応じませんでした。中国が北朝鮮に対して持っている梃子は、食料、石油の供給を大幅に減らすか、中断することですが、中国はその結果北朝鮮体制が崩壊して、国境線まで親米政権が拡大すること、また大量の難民が中国に押し寄せるおそれからこれを望まず、この梃子を使いたがりません。逆にそれを知っている北朝鮮が、いわば中国に対して梃子を持っているのが実情です。
それでは、ティラーソン、あるいはトランプ政権はいかなる対北朝鮮政策を考えているのでしょうか。
ティラーソンは韓国訪問中、戦略的忍耐の時代は終わった、あらゆる選択肢が排除されない、と述べました。ただ、いかなる選択肢が北朝鮮の核開発に歯止めをかけられるかは明らかではありません。
社説は、北朝鮮とビジネスをしている中国企業を米国の金融システムから追放することを選択肢の一つに挙げています。しかし、中国が北朝鮮に厳しい経済制裁を課すことは考えられません。社説はまた、北朝鮮による次のミサイル発射を迎撃するという選択肢があると言っています。もし迎撃すれば北朝鮮は黙っていないと思われ、何らかの報復措置を取る危険があります。他方、迎撃したとしても、北朝鮮が核、ミサイルの開発を止めるかどうか疑問が残ります。
北朝鮮の核開発を止めさせることは、極めて重要で困難な課題です。その手段によっては、北朝鮮が報復措置を取り、事態がエスカレートする危険があります。基本的には北朝鮮に対して抑止が効くかどうかという問題です。北朝鮮に対する新しい選択肢は、朝鮮半島、東アジア、ひいては世界の安定の大きな波乱要因となり得ます。日本としても重大な関心を持つべき問題で、今後トランプ政権がどのような検討をするのか細心の注意を払ってフォローするとともに、直接の利害関係国として、米国と密接な協議を行うべきです。
《維新嵐》シリアの次は、北朝鮮の核兵器と弾道ミサイルということでしょうか?空母打撃群ぼ動きが気になるところです。しかし全面戦争をする気はないようにみています。カールビンソン空母打撃群は一体何がしたいんでしょう?
米空母カール・ビンソン、進路は朝鮮半島の反対
2017年4月19日http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9433
米海軍の原子力空母カール・ビンソンを中心とする打撃群が、当初向かっているとされた朝鮮半島とは反対の方向に進んでいたことが明らかになった。
米海軍は2017年4月8日、カール・ビンソン打撃群を、北朝鮮による核・ミサイル開発をめぐって緊張が高まる朝鮮半島近海に派遣すると発表した。ドナルド・トランプ大統領も「大艦隊」が派遣されていると述べていた。
しかし、空母打撃群は先週末にインドネシアのスマトラ島とジャワ島の間にあるスンダ海峡を通ってインド洋に進んでいたことが発覚した。
米太平洋軍司令部は2017年4月18日、シンガポールを今月8日に出港した打撃群は、オーストラリア南西部のパースへの寄港をやめたが、予定されていた同国軍との演習を北西部沿岸で完了したと発表した。
打撃群は現在、「命令通りに西太平洋に進んでいる」という。
BBCのスティーブン・エバンズ特派員は、朝鮮半島に向かっていなかったのは、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長を威嚇するための意図的な嘘だったのか、それとも計画が変更されたのか、あるいは単純に意思伝達がうまくいかなかったのか、理由は不明だと語った。
マイク・ペンス米副大統領は19日、アジア歴訪で2番目に訪問した日本で空母ロナルド・レーガンを視察した際、「いかなる攻撃も撃退し、通常兵器もしくは核兵器のいかなる使用にも、米国の圧倒的で効果的な反撃をする」と、強い調子で警告した。
北朝鮮と米国の間の緊張が高まるなか、打撃群の派遣は米国が北朝鮮への先制攻撃を行うのではないかとの憶測を呼んでいた。
ペンス副大統領は19日、北朝鮮がアジア太平洋地域で「最も危険で、平和と安全への喫緊の脅威だ」と述べた。
北朝鮮は先週末、金委員長の祖父、故・金日成(キム・イルソン)氏の生誕105年を祝う大規模な軍事パレードを行ったほか、16日にはミサイル発射実験を再び行った。米国防総省によると、ミサイルは発射から数秒後に爆発し、実験は失敗した。
米国は北朝鮮が「挑発しようとしている」と非難している。ジェームズ・マティス国防長官は18日、ミサイル実験は無謀な行為だと述べた。
マティス長官は、中国とは北朝鮮問題で「緊密に協力している」と語った。
北朝鮮の韓成烈(ハン・ソンリョル)外務次官は、ジョン・サドワースBBC特派員とのインタビューで、ミサイル実験を「毎週、毎月、毎年」する述べ、米国が軍事行動をとれば「全面戦争になる」と警告した。
韓次官は、「もし米国が我々に対して軍事的攻撃を計画しているというなら、我々は、我々のやり方と方法で、先制核攻撃で反応する」と語った。
https://youtu.be/NlRRDBiaxUs
CVN70空母カールビンソン フライトシュミレーション
国連安全保障理事会が北朝鮮を非難=米ロ一転合意、追加制裁警告
時事通信2017年4/21(金) 5:08配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170421-00000008-jij-int
【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会は2017年4月20日、北朝鮮による16日の弾道ミサイル発射を強く非難する報道機関向け声明を発表した。
声明は核実験を実施しないよう求め、状況を注視しつつ、「制裁を含むさらなる重大措置」を取ることを警告した。米ロの対立で声明発表はいったん見送られたが、修正案で合意に至った。
報道機関向け声明に法的拘束力はなく、安保理の意思表示としても決議や議長声明より弱いが、発表には安保理の全会一致が必要となる。今回、中国を含め、ロシアを除く全理事国は、声明案に当初から同意していた。
ロシアは米作成の当初案に、過去の声明にあった「対話を通じた(解決)」の文言を入れるよう要求。米国は最終的に受け入れた。修正案には当初案になかった「制裁を含む」の文言も追加された。
声明は核実験を実施しないよう求め、状況を注視しつつ、「制裁を含むさらなる重大措置」を取ることを警告した。米ロの対立で声明発表はいったん見送られたが、修正案で合意に至った。
報道機関向け声明に法的拘束力はなく、安保理の意思表示としても決議や議長声明より弱いが、発表には安保理の全会一致が必要となる。今回、中国を含め、ロシアを除く全理事国は、声明案に当初から同意していた。
ロシアは米作成の当初案に、過去の声明にあった「対話を通じた(解決)」の文言を入れるよう要求。米国は最終的に受け入れた。修正案には当初案になかった「制裁を含む」の文言も追加された。
《維新嵐》ようやく国連安保理が決断できましたね。アメリカが根回ししたのか?
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