2017年4月15日土曜日

すでに始まっている「米朝戦争」 ~弾道ミサイルを相手に撃たせない戦いに勝利せよ!~

在韓邦人は守れるか?北朝鮮の反撃でソウルは火の海

シリア攻撃と似ているようで決定的に違う北朝鮮攻撃
北村淳
韓国ソウルの鉄道駅で、北朝鮮によるミサイル発射に関するテレビニュースを眺める人々(201745日撮影、資料写真)。(c)AFP/JUNG Yeon-JeAFPBB News

トランプ政権がシリア軍事施設へのトマホーク巡航ミサイルによる攻撃を実施した。日本のメディアの間では、「次は北朝鮮核兵器関連施設への空爆か?」あるいは「いよいよ斬首作戦(米国軍と韓国軍による金正恩排除作戦の名称)実施か?」といった憶測が飛び交っている。
シリア情勢と北朝鮮情勢の類似点
たしかに「シリアのアサド政権と米国」「北朝鮮の金正恩政権と米国」という2つの対決軸には構造的に類似した点も少なくない。
 シリアも北朝鮮も、米国が忌み嫌う「大量破壊兵器(核兵器、生物化学兵器)拡散」の直接当事者である。そして米国に言わせると、シリアも北朝鮮も、アサド政権と金正恩政権という独裁者政権であり国民を抑圧している。
 米国ではかつてオバマ政権が「化学兵器の使用はレッドラインを越えることを意味する」と強い警告を発していた。同様に「北朝鮮によるICBM(米国本土に届く核弾頭搭載大陸間弾道ミサイル)の完成はレッドラインを越える」という警告も発している。
 また、アサド政権の背後にはロシアの存在があり、北朝鮮の背後には(表面的には金正恩政権非難を強めているが)中国が存在する。ロシアはウクライナを侵攻し、東ヨーロッパ諸国に対する軍事的脅威を強めつつある。同様に中国も南沙諸島に軍事拠点を建設し、南シナ海そして東シナ海沿岸諸国に対する軍事的脅威を高めつつある。
だからといって、「シリア+ロシア」ならびに「北朝鮮+中国」をひとくくりにして米国に対する敵勢力とみなすこともできない。米国には、ロシアとも中国とも協調しなければならないというジレンマが存在している。
 現在戦闘中の対IS戦争では、アサド政権もロシアも、ISと戦っている。とりわけロシアの攻撃力はISを崩壊させるために極めて重要である。したがって、トランプ政権としても、プーチン政権によるアサド支援やウクライナ情勢などにはある程度目をつぶっても、ロシアとの協調を望んでいた。
 また、中国に対しても、中国が国連決議に従い対北朝鮮経済制裁を実施すると言いつつも、北朝鮮と中国の間を石炭運搬船や貨物船が行き来している状況を米国が把握していないわけではない。北朝鮮軍情報機関が満州内のとある施設で人民解放軍情報機関と同居し活動していることも米軍情報機関は承知している。つまり、中国と北朝鮮がある意味で“仲間”になっていることは暗黙の事実だ。にもかかわらず、金正恩政権の暴走を少しでも制御するには中国共産党の力が必要なことも、トランプ政権としては認めざるを得ない。したがって、北朝鮮を押さえるには、中国による南シナ海や東シナ海での覇権主義的な動きにはあえて触れずに、中国に協力を求めるしかないことになる。
 米国はこのようなジレンマを抱えつつ、「レッドラインを越えた」アサド政権に対して直接的軍事攻撃を仕掛けた。この攻撃を北朝鮮および背後の中国に対する脅しと考えることは可能である。
北朝鮮軍事攻撃に立ちはだかるハードル
 しかしながら、シリアと北朝鮮では数々の相違点がある。
 まず、シリアも北朝鮮もそれぞれ大量破壊兵器を保有しているが、北朝鮮の場合は米国本土に届くICBM(大陸間弾道ミサイル)を手にする秒読み段階にまで達している。
また、シリアには米国本土や米国の前進拠点に対する反撃能力はないが、北朝鮮には韓国や日本の米軍諸施設はもとよりグアムの米軍基地にすら反撃を実施する弾道ミサイル戦力が存在する。したがって、北朝鮮が米国にとっての「レッドライン」を超えた場合、米国すらも直接被害を被りかねない。シリアをミサイル攻撃する場合は米軍の損害を考える必要はないが、北朝鮮の場合は韓国や日本に展開する米軍も損害を被ることを織り込まねばならないのだ。
 それだけではない。シリアの軍事攻撃目標は、今回のミサイル攻撃の状況を映し出したロシアのドローンの映像でも明らかなように、地上にむき出しの航空施設や建造物がほとんどである。それに対して、北朝鮮の軍事攻撃目標の多くは地下施設や山腹の洞窟施設である。
 それらの地下式施設を、今回のシリア攻撃で用いたトマホーク巡航ミサイルで破壊することは不可能に近い。そうした強固な軍事施設を破壊するには、どうしても大型貫通爆弾(GBU-57 MOP)が必要である。これは巡航ミサイルには装着できず、B-2ステルス爆撃機(一機に2発搭載可能)で攻撃する必要が生ずる。

B2ステルス爆撃機に装着されたGBU-57大型貫通爆弾

さらには、シリア軍の軍事施設や化学兵器関連(と米国がみなす)施設の所在はおおかた判明しているのに反して、北朝鮮の大量破壊兵器や弾道ミサイルに関連した地下施設の大半は位置すら判明していない状態だ。いくらステルス爆撃機で接近可能であっても、また、大量の巡航ミサイルを精確に撃ち込むことが可能であっても、攻撃目標の正確な位置が判明していなければ攻撃できない。
韓国への反撃は確実、おそらく日本にも
そして何よりも決定的な問題点(米国にとっての)は、北朝鮮に対する軍事攻撃は“確実に”韓国(とりわけソウルとその周辺)に対する激烈な報復攻撃と、“おそらくは”日本に対する報復攻撃も引き起こしてしまうことである。
 すでに本コラム(2017年3月30日「米国で北朝鮮攻撃が議論の的に、日本は備えを急げ」)で指摘したように、米国による北朝鮮軍事攻撃の直後に、ソウルとその周辺に対しては無数の砲弾とロケット弾が雨あられと降り注ぐことになる。その事態をどのように考えるのかが、米国軍関係者の間では議論の焦点になっている。
いずれにせよ、トランプ政権が北朝鮮への軍事攻撃を決断するには、広島・長崎に原爆を投下した際と類似した理論を持ち出さざるを得ない。
 つまり、「韓国や日本における一般市民の犠牲は、米国本土がICBM攻撃された場合に生ずる損害を防ぐためにはやむを得ない犠牲と考えざるを得ない。また、北朝鮮が核兵器を手にした場合、韓国や日本自身でもさらに多くの人々が犠牲になりかねない。そのような悲惨な事態を抑止するための軍事攻撃であり、そのための犠牲は甘受せざるを得ない」──といった正当化理論である。
 米国第一主義を掲げるトランプ大統領にとっても極めてハードルが高い決断にならざるを得ないだろう。
極度に困難な立場の日本政府
今回の米国によるシリア攻撃に対して、日本政府は「化学兵器拡散を抑止するための正しい決断であった」とトランプ大統領の決断を高く評価し、支持を表明した。
 しかし、米国による北朝鮮攻撃に対して日本政府はこれまで通りに「イエスマン」であり続けるわけにはいかない。

「大量兵器拡散を抑止するための北朝鮮軍事攻撃」がトランプ政権のテーブルの上にあがっている現在、日本政府は「報復攻撃の結果生ずる在韓邦人の犠牲や、日本への弾道ミサイル着弾による惨状」を避けつつ北朝鮮の暴発を抑止しなければならないという、極度に困難な立場に立たされているのだ。

《維新嵐》北朝鮮と有事となれば、日本海、東シナ海、対馬、津軽、宗谷の3海峡の守備を固め、前線のアメリカ軍への兵站線を確保していくのは、我が国でしょう。自衛隊や海上保安庁がそれぞれどのような作戦でどう運用されて、主権域を防衛するのか、具体的なとりまとめは、当然政府により再確認しておくことは、政府の責任であろうと思います。

地政学的リスクのシナリオ分析~シリア、

北朝鮮、日本
2017.4.15(土) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49748
フィリピン海で行われた海上自衛隊と米海軍の共同巡航訓練に参加した米海軍の空母カール・ビンソン(中央、2017331日入手、資料写真)。(c)AFP/US NAVY/MCS 3rd Class Matt BROWNAFPBB News

不確実性下の意思決定においては、将来生起するシナリオを複数想定するシナリオ分析が標準的なモデルだ。地政学的リスクが高い現下の状況では、投資の意思決定において特に重要だろう。風雲急を告げる地政学的リスクについて、一般的な情報を前提に、シナリオ分析の概要を示しておきたい。
(1)シリア
元々トランプ政権は、オバマ前大統領時代のシリア政策とは一線を画し、IS打倒を優先してアサド政権の存続を容認する意向を示していた。にもかかわらず4月4日にアサド政権は、化学兵器で反体制派を攻撃する暴挙に出た。
 現時点では本当にアサド政権がこの暴挙に出たのかどうか判然としない。いずれにせよ考えられるのは、米国の北朝鮮攻撃が近いと見込んだロシアかイランあたりの勢力が背景となり、米国は中東と朝鮮半島の2面での戦争遂行が無理と見込んだ上での暴挙、と見るのが自然だろう。
しかし、これはトランプ政権にとって渡りに船のタイミングだった。内政に行き詰れば外に敵を作って叩くのは政治の常道だ。トランプ政権は、オバマケアの改正法案が撤回に追い込まれ、最高裁判事人事である種の強行採決を行ったため、経済関係の法案を実現する目途が立たなくなりつつあった。まさにそのタイミングで降って湧いたのがシリアでの化学兵器を使った反体制派向けの攻撃だった。
 トランプ大統領が2日後に実施したミサイル駆逐艦から5分間でトマホーク59発という限定的攻撃は極めて高く評価され、支持率は反転して上昇した。奇禍として利用したと言っても良いだろう。
 問題はこの後だ。対アサド政権、対IS、対クルド、更には対イラン政策やイスラエルのアメリカ大使館のエルサレムへの移転問題など多くの中東関連の政策が煮詰まらない中、和平交渉を開始しなければならない。しかも、まだ国務省の高官人事が承認されていないどころか指名さえされていない。また、駐日大使を含め多くの駐外国大使が空席のままだ。もっと言えば、対ロシア政策も流動的だ。連邦議会は4月 24 日頃まで休会に入っている。この状態でもし朝鮮半島で有事が発生すると、元々の中東と朝鮮半島の2面での戦争遂行は無理と見込んだ勢力が蠢き始める可能性もある。ただ、ロシアにはその余裕は無いだろう。いずれにせよ、後述する朝鮮半島でのシナリオ次第では、事態はどの方向にも大きく動く可能性がある。
 ただ現実的には、外交交渉の矢面に立つ国務省や駐外国大使が不在の状況で事を大きく動かすのは無理がある。アサド政権への攻撃が5分間と極めて限定的だったことの意味を勘案すれば、時間稼ぎ以外の選択肢は限られると見るのが合理的だろう。
 これは、混乱するシリアの内政事情が諸外国に拡散しないという意味では既に出来上がっていた封じ込め戦略を継承するシナリオだ。米国の国益に結び付かない事には関与しない「米国第一」シナリオと言い換えてもよいだろう。世界経済への影響では原油価格が重要だ。言うまでもなくそのシナリオは政治シナリオに依存する。
(2)朝鮮半島
米国の国是は自国の防衛だ。その意味で北朝鮮が国際社会を無視して進めた大陸弾道弾(ICBM)や核開発は、トランプ政権にとって超えさせてはならない一線(レッドライン)に近づきつつある。 報道によると4/6-7の米中首脳会談では、北朝鮮の非核化、それが無理なら北朝鮮の体制転覆に向けた斬首計画、が議題となった。これから中国による制裁強化など軍事衝突回避に向けた動きが加速すると見込まれるが、その動きが実を結ぶか結ばないか、両方のシナリオを想定する必要がある。
 北朝鮮では4月下旬にかけて、15日の金日成生誕105周年の祭日、25日の北朝鮮軍創設85周年、など国威発揚の記念日が控えている。一方、米国は、南太平洋からは4月8日にビンラディンを殺害した特殊部隊を載せた原子力空母カール・ビンソン(乗組員約5000人、艦載機FA18などが約90機)が駆逐艦や巡洋艦を伴い、また米国からは331日にサンディエゴを出港した2隻のミサイル誘導(イージスシステム)駆逐艦が、北朝鮮近海に向かっており、4月下旬には到着する見通しだ。
 現時点ではまだ威嚇行動の範囲にとどまってはいる。しかし、もしレッドラインを超えたら、米国は軍事攻撃を含めあらゆる選択肢を排除しないと表明している。軍事行動の場合、米国は全面的な戦争ではなく、特殊部隊による「斬首作戦」として独裁者一人を殺害する方針を示している。2013年のパキスタンでのアルカイダの首謀ビンラディン殺害と同じ手口だ。
 金正恩は近親者を含む相当数の側近を処刑しており、人心は既に離反している可能性が高い。独裁者一人の斬首計画が成功すれば、北朝鮮軍が後継者を立てて戦闘行為を継続する可能性は低いとみなしているのだろう。但し、意に反してもし戦闘が長引けば、難民流出、暴発、などリスクの次元は変わる可能性はある。
 レッドラインを越えなくても、かつて北朝鮮は38度線近辺での地雷や離島へのミサイル発射などを行った実績がある。こうしたマイナーな威嚇行為なら、これまでと同様に米軍が出撃する程のことではないと見て良いだろう。むしろ逆に中国や韓国が仲裁に入ることで、北朝鮮の仲介役が処刑されて閉ざされた交渉窓口が再開されるなど副次的効果が期待できる可能性はある。
(3)日本
 北朝鮮は攻撃のターゲットは日本の在日米軍だと公言している。もし斬首計画の前、あるいはその後の戦闘が長引けば、2月の日米首脳会談でトランプ大統領がThe USA stands behind Japan(米国は日本とともにある)と発言した日米安保の集団的自衛権が試される局面を想定しておく必要があるだろう。
 軍事衝突となれば難民についても相当数が日本に流れ着く可能性が高い。また、最近は自公連立政権の運営がスムーズでない場面が目立つが、日本の政界再編にまで発展する可能性さえあるだろう。
 安倍総理は4月27日に訪露して日露首脳会談を実施する予定だ。主たる議題は昨年12月の山口での安倍プーチン会談で方向づけしたサハリンの共同経済開発の詳細のはずだった。しかし、往々にして政治関係で波風が立てば経済関係も上手くいかなくなる。今回は難しい日露首脳会談になるリスクが高い。
418日からは初の日米経済対話が開始される。日本は米国から輸入拡大を迫られるか可能性が高いと見られているが、高高度ミサイル防衛システム、イージズ艦など防衛関連なら国民の支持を得やすいと見る向きは多い。
 最後となるが、意思決定は執行されてこそ初めて意味を持つ。執行に向けコンティンジェンシー計画を再確認する作業は、フィデューシャリー・デューティーとして当然の責務だろう。
(*)本記事は「りそな銀行 エコノミスト・ストラテジスト・レポート ~鳥瞰の眼・虫瞰の眼~」より転載したものです。
【在日米軍基地は士気があがっています。】

「戦闘体制だ」米軍、沖縄攻撃に反撃訓練・

嘉手納基地で
 米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)は20174月14日までに、同基地で12日に沖縄が攻撃された場合を想定した反撃訓練を実施したと明らかにした。北朝鮮の核・ミサイル開発に伴い朝鮮半島情勢の緊張が高まったことを受けた訓練の可能性がある。
 沖縄では、過重な基地負担に加え、米軍基地のために攻撃にさらされる可能性があることへの不安が根強く、基地撤廃運動につながっている。
 空軍の公開写真によると、捜索救難ヘリコプターを先頭に多数のF15戦闘機や空中警戒管制機、空中給油機がゆっくりと滑走路を進む様子が映っている。
 米空軍のゴールドフェイン参謀総長は自身のツイッターに「この素晴らしい戦闘空軍力を見よ。戦闘態勢だ」と書き込んだ。空軍によると、12日の訓練は予告無しの即応体制を向上させるのが目的だった。(共同)

【日本国自衛隊は海外邦人救出から侵攻軍の撃退、撃墜までの防衛出動で我が国の主権と独立を守れるのか?】

自衛隊は国籍不明のテロリストより弱い!?
日刊SPA

 ◆「自衛隊ができない10のこと01

 東シナ海の離島は、中国が「譲ることができない核心的利益」と主張する尖閣諸島もあり、接続水域周辺は中国の公船と日本の海保、海自などが入り乱れるホットスポットです。防衛予算や海保の国交省予算もほとんど増えないなか、無数の中国の漁船と新造され続ける中国の大きな公船の影響で、日本の漁船は操業を断念し、数の力で圧倒されつつあります。
 そんななか、人の住んでいる離島への攻撃のリスクも高まり、自衛隊も与那国駐屯地を新設。南西諸島周辺の船舶や航空機を地上からレーダーで監視する沿岸監視隊が編成され、約160人の人員を配することとなりました。自衛隊がいる与那国島の島民はこれで一安心といったところではないでしょうか。

 「離島の無人島なんて、中国にあげちゃったらいいじゃない」という発言をインターネット上で見かけますが、離島があると広大な排他的経済水域が生まれます。島の存在により、周辺の海と海底に眠る資源を利用する利権が担保されます。広大な海洋資源、水産物の漁業権も我が国にもたらされます。私達は常日頃たくさんのお魚が食卓に上っていることにありがたみを感じにくいのですが、食料の確保には広大な海は必須です。人口が13億人ともいわれる中国では、経済発展もあり、その数を養う食料が年々不足しています。身近な南シナ海の水産資源が乱獲により枯渇してきているために、魚がたくさん獲れる東シナ海を狙っているわけです。尖閣諸島のような無人島でも、領土として認められれば、そこを起点に大きな海の利権を確保できます。離島はまさに宝なのです。
 我が国のエネルギー事情を見れば、原発は停止し、電気、燃料などのエネルギーのほとんどを化石燃料に依存しているので、オイルシーレーンの航路の安全が経済の生命線です。原油が日本に毎週到着しなければ、原発が動いている九州以外は電気が止まってしまいます。もちろん、ガソリンがなければ車も動きません。東シナ海、南シナ海の航路は離島があるからこそ守られていることを私達は知っておかなければなりません。

 そこで、自衛隊が離島防衛に真剣に取り組んでいるわけですが、問題があります。それは、明らかな外国からの脅威は事前に準備し阻止することができるのですが、離島防衛の中核は「島嶼奪還作戦」です。もちろん、島を奪われないように沿岸監視を行い、領海に不用意に近寄る中国公船には警告を発し、常に海保が違法操業の船の取り締まりにあたっています。でも、自衛隊には「事前の阻止」はなかなかできない仕組みがあるのです。
 自衛隊がその本気の能力を使えるためには、大前提として「防衛出動命令」が必要です。事態対処法では、その発令の条件として「我が国に対する国または国に準ずる組織からの急迫不正の武力攻撃があること。他に取るべき手段がないこと。その実力行使は必要最低限にとどめること」を必須条件にしています。また基本的に発令には国会での承認を要します。緊急の場合は事後でもいいのですが、国会で承認されなければ部隊は撤収しなければなりません。
 ところが、この「国または国に準ずる組織の武力行使」という条件が曲者です。軍艦がはっきりとわかるように旗をかかげ、バ~ンとミサイルを打ち込み、軍服をきた軍人が大量に侵攻してきたら、それは国による武力行使です。政府も迷いなく防衛出動を自衛隊に命じることでしょう。そういう事態であれば、事前に部隊を展開することも可能です。
 しかし、偽装漁船などで「一般人風」の集団が行う破壊工作や、国家やその組織が声明を出さない攻撃もありえます。この場合、どんなに大きな破壊活動がなされても、たとえば、米国の9.11のような同時多発テロを起こされても、それは国内犯罪であり、自衛隊は対処できません。警察と海保で対応するしかないのです。
 自衛隊は後方で警察と海保の周りで避難する人たちの輸送や、後方支援を行うしかないのです。自衛隊には犯罪者を追跡する権限も、犯罪者を逮捕する権限もありません。国家の武力行使でないかたちで行われる破壊活動は、化学兵器を持ち込もうが、火力の高いミサイルを撃ち込もうが、それはただの犯罪です。警察で手におえなくなると治安出動が命じられる場合がありますが、治安出動は警察官職務執行法7条の準用になります。簡単にいうと「警察程度の力でやれ」ということなので、正当防衛射撃と最低限の武器使用しか認められません。自衛隊は出て行っても本気で対処できないのです。
 ここが悩ましいところです。

 事前にどこかの国家が侵略を意図した大規模な侵攻の準備をしていたりした場合は、こちらも準備ができます。でも、小規模で偽装された漁船などで行われる破壊工作の場合、国による武力攻撃なのか、テロなのかの線引きが難しく、疑わしいものはこれまでの対処から考えるとすべて国内犯罪扱いになります。どこかの国が侵攻してきたという明確な事実があって初めて、国会の承認が出せるということです。防衛出動の定義は難しいのです。
「国による侵略じゃないと自衛隊は国民を守れない」という仕組みは今も法律上は変わっていません。能力はあっても、法律で自衛隊が本気を出す「防衛出動・自衛権発動」の前提条件が極めてが限られているため、見極められない間は動けない可能性が高いのです。
 数千人の人が中毒症状に苦しんだあの地下鉄サリン事件というテロでも、化学防護服を警視庁に貸し出すだけで、上九一色村への強制捜査も警察対処することになりました。二十数年経った今も、現状はあの当時とほとんど変わっていないのです。
 外国による侵攻かどうかわからない小集団での破壊活動の場合、自衛隊にできることは110番だけってことになるのです。

【梨恵華】
りえか。ミリオタ腐女子。「自衛官守る会」顧問。関西外語大学卒業後、報道機関などでライターとして活動。キラキラ星のブログ(【月夜のぴよこ】)を主宰

《維新嵐》我が国の大切な領土である離島群が「奪われてから」「奪還」ということです。それだけ大変な戦闘教義を自衛隊は開発しているんでしょうか?
 島嶼防衛は、相手の出方を分析して、対象となる離島にあらかじめ適切な部隊を展開しておくことが重要ではないでしょうか?

【軍事攻撃への対処の前にやるべきことはないのか?】

戦争は、ミサイルを撃ち合ったり、空母から空爆するばかりではない。以下のような事例をみれば一目瞭然かと思いますが、どう考えても「経済戦争」かと思います。北朝鮮は、直接オンラインでアメリカの海外資産にアクセスし窃取することができます。つまりサイバー空間においては、既に「米朝戦争」ははじまっています。多大なリスクを負ってでも軍事攻撃など行って、北朝鮮への軍事効果がどれくらいあるのでしょうか?
アメリカが北朝鮮にトマホークを打ち込んだとして、はたして北朝鮮は核実験をやめるでしょうか?弾道ミサイル開発を中止するでしょうか?外国の拉致被害者を全員解放していくでしょうか?

消えた90億円・「史上最大」のサイバー窃盗の背後に浮かぶ北朝鮮・外貨獲得ルート先細り原因か?

米アイダホ州の国土安全保障省・サイバーディフェンス研究所で、サイバーセキュリティーアナリストが画面を見つめる。


 金融機関へのサイバー攻撃により大金をだまし取る犯罪を、北朝鮮が大がかりに展開させている可能性が浮かび上がっている。犯行には、過去に北朝鮮による犯行とされたサイバー攻撃を仕掛けたグループの関与が推認され、手口や組織性などから背後に北朝鮮当局の存在が色濃くにじむ。国連安全保障理事会の制裁決議などを受けて外貨獲得ルートが先細る北朝鮮が、サイバー攻撃による外貨獲得に必死となっている状況がうかがえる。
××
 「史上最大」とされるサイバー窃盗が起きたのは、2016年2月。ニューヨーク連邦準備銀行が管理するバングラデシュ中央銀行の口座がサイバー攻撃を受け、8100万ドル(約90億円)が盗まれた。
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(2017年3月24日、アジア版)によると、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長暗殺計画を描いた映画を制作したソニーの米映画子会社「ソニー・ピクチャーズエンタテイメント」に対して、2014年にサイバー攻撃を仕掛けた「ラザルス」と呼ばれるグループが関与。米司法当局が北朝鮮による指示があったとみて捜査しているという。
 ソニー子会社への攻撃は、米連邦捜査局(FBI)がすでに北朝鮮の犯行だと断定しており、情報機関の偵察総局が関与したと目されている。


同紙は、米ソフトウエア会社シマンテックの技術者の話として、「ソニーの時に使われた攻撃ツールと技術は、バングラデシュ中央銀行の時と同じものだ」と伝え、同様の攻撃は南米エクアドル、ベトナムの銀行にもあり、バングラデシュ中央銀行の事件と関連するとして連邦検事が捜査中だとしている。
××
 「ラザルス」の影は、別の事件でもちらつく。
 米紙ニューヨーク・タイムズ(2017年3月27日、国際版)によると、北朝鮮と関係するハッカーがポーランドの複数の銀行にサイバー攻撃をかけ、世界100以上の企業・団体の口座から資金を盗もうとした。実際の被害は確認されていないが、その攻撃能力の高さに専門家らは注目している。
 攻撃は2016年10月ごろから始まり、ウイルスをポーランド金融規制当局のウェブサイトに仕込ませ、アクセスした銀行が誤ってダウンロードするのを待つ手口が使われた。「ウオーター・ホール・アタック(水飲み場型攻撃)」と呼ばれるもので、水飲み場に集まる獲物を待ち伏せする方法から名付けられたものだ。


同紙は、事件を分析したシマンテックが、ポーランドの攻撃を仕掛けたハッカー集団がバングラデシュ中央銀行、ソニー子会社への攻撃にも関与していたと見ていると伝えた。
 他にも世界銀行や欧州中央銀行、バンク・オブ・アメリカ、ロシアやメキシコ、チリなどの中央銀行も標的とされており、同紙は「世界経済の大半から遮断されている北朝鮮が、現金を得るためにサイバー攻撃能力を積極的に使おうとしている」と指摘する。
 同紙は韓国当局者の話として、北朝鮮は1990年代初めからサイバー攻撃の能力を向上させてきており、1700人のハッカーとそれをサポートするコーチや指導教官ら5000人を抱え、海外で活動させているとしている。
 米財務省によると、サイバー作戦を主導する偵察総局に所属するサイバー要員は6000人に上るとされる。韓国政府は近年同国の放送局や原発運営会社などを狙ったサイバー攻撃は偵察総局の犯行とみている。


一方、米国防総省も向上する北朝鮮のサイバー攻撃に警戒を強めるなか、韓国のKBSテレビは201743日、北朝鮮が韓国軍の内部ネットワークにハッキングし、朝鮮戦争が全面再開された際に適用される米韓軍の最高機密の軍事作戦「作戦計画5027」が流出したと伝えた。
 事実なら改めて北朝鮮のサイバー攻撃能力の高さを示すものとなる。「戦略的忍耐の政策は終わった」(ティラーソン米国務長官)とするトランプ政権の姿勢が、一連の捜査を後押しすることになりそうだ。(外信部 住井亨介)

アノニマス

【海遊館ホームページが一時閲覧不能に】「アノニマス」がサイバー攻撃か?

大阪市港区の水族館「海遊館」の公式ホームページが一時的に閲覧できない状態になったことが平成294月13日、分かった。国際的ハッカー集団「アノニマス」によるサイバー攻撃の可能性があり、海遊館は大阪府警に通報した。
 海遊館によると、13日午前2時ごろから約1時間にわたってホームページが閲覧できなくなったほか、その後も数時間にわたり閲覧しづらい状態が続いた。

 ホームページを管理するサーバーに対し、短時間に大量のデータを送り付けて負荷をかけて閲覧できなくさせる「DDoS攻撃」を受けたとみられる。現在は復旧しており、ホームページの改竄(かいざん)や情報流出などはなかった。
 一方、インターネットの短文投稿サイト「ツイッター」では、アノニマスの関係者とみられるアカウントで、犯行を示唆する投稿が見つかった。
 国内では官公庁や企業のホームページなどでも、アノニマスによるとみられる同様の被害が確認されている。

《維新嵐》自衛隊や海上保安庁を強化することは今の国際情勢をみれば、よく理解できる話です。法整備を進めることは、自衛隊が有事に国家の主権と独立を守る戦いをしやすいものでなくてはいけません。
 ですが世界的に戦いのメインの潮流は、先進国の間においては、情報戦争、経済戦争です。国家国民の大切な資産が、ごっそり敵対国に雇われたハッカーにもっていかれてしまう時代なのです。このことだけみても「国家間の戦争に敗北している」のです。
現代の我が国の防衛は、国家の情報戦略の「司令塔」になるセクションを内閣官邸にたちあげ、各省庁の情報機関を統括してトータルな戦略を駆使することと、優秀な「サイバーコマンダー」を育成すること、と国家や企業に配していくことが早急に必要不可欠であると考えます。
 周辺国に戦火が飛び火するような危ない国際情勢で、アメリカは北朝鮮に軍事攻撃することはないかと思われます。あるとしたら特殊作戦で首領をピンポイントで狙うか、サイバー攻撃でしょう。

【サイバー防御演習を2・5倍に拡充】政府、新訓練施設主導で態勢強化
国の行政機関や地方自治体などが参加するサイバー攻撃への「防御演習」について、政府が平成29年度の実施回数を前年度比2・5倍に増やすことが12日、分かった。また、若手エンジニアにサイバーセキュリティー技術を身に付けてもらう育成プログラムは約40人の募集枠に対して3倍の申し込みが殺到。共に、政府が4月に設置した「ナショナルサイバートレーニングセンター」が主導し、国全体のサイバー攻撃への防衛力を強化する。
 同センターは、総務省が所管する「情報通信研究機構」(NICT、本部・東京都)内に置かれ、これまで総務省やNICTが手掛けてきたサイバー防御演習を引き継ぐ。28年度の演習は約40回実施され、1500人程度が参加したが、29年度は100回・3千人規模に大幅拡充する。
 具体的には、都道府県庁などに、市町村や地方銀行、インフラ企業の担当者らが集結。実際にあったサイバー攻撃のデータに基づき、ネットワークにハッキングが仕掛けられたという想定で演習する。各担当者は問題の検知・対応・回復という流れを実践的に学べる。28年度の開催地は12都道府県だったが、今年度は6月から順次、全47都道府県で行う。


今年度から始める育成プログラムでは、25歳以下の学生や社会人を対象に4月28日まで受講生を募集しており、応募者は12日現在で既に100人を突破したという。
 専門能力の習得を通じ、「日本のサイバーセキュリティー業界を担う人材を育てる」(井田俊輔副センター長)のが目的だ。期間は1年間で、集中的にソフトを共同開発するほか、NICTに蓄積された機密性の高いセキュリティー関連データを活用して、受講生が自宅で開発を進める。

《維新嵐》評価できるとりくみかと思います。時代はまず情報戦、経済戦に勝つことですね。その次は、電子戦、宇宙戦ということになるでしょうか?
 兵器、大量破壊兵器は先進国の間では、使える道具では「使えなくなってきている」ように感じます。相手に悟られないように、ステルス的に国家戦略を駆使していくという防衛戦略がこれからの時代有効なのかもしれません。そういう意味では、ダブルスタンダードな国際外交の場においては、日本国憲法の条文の改正も慎重に進めるべきでしょう。
 憲法改正の前に、国家元首の系統を安定化させるために、皇室典範の改正が喫緊の課題かと思われます。天皇陛下万歳。


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