2016年11月19日土曜日

ドナルド・トランプ新大統領の構想する「強いアメリカ」はまず海軍力の増強から・・・共産中国はアメリカの都合では動きません!

トランプ政権に“史上最強”の海軍長官が誕生か?
海軍を中心に「強い米軍」の復活を誓うトランプ新大統領
北村淳
米軍関係者はトランプ氏の軍事力強化策に大きな期待を寄せている。バージニア州のノーフォーク海軍基地で整列する潜水艦乗組員(出所:米海軍、photo by Chief Petty Officer Darryl I. Wood/Released

アメリカの「反トランプ」メディアが垂れ流す報道を受け売りし、トランプ候補の“暴言”を興味本位に取り上げていた日本のメディアにとって、トランプ大統領の誕生は「青天の霹靂」といったところであったようだ。
 しかしながら、トランプ陣営による「350隻海軍の建設」や「フィラデルフィア海軍工廠の復活」をはじめとする海軍増強策や、その他の軍事力強化策に期待を抱いていたアメリカ軍関係者やシンクタンクの研究者たちにとって、クリントン氏の敗北は青天の霹靂でもなんでもなく、まさに期待していた通りの結果であった。
 トランプ陣営が打ち出す軍事力強化策や国防政策は、88名に及ぶ現役の提督や将軍たちに公的に支持され、幅広い国防関係者たちの間でもトランプ支持が広まっていた。そうした状況を、日本の多くのメディアは把握していなかったようだ。
トランプ次期政権の軍事力強化策
 トランプ陣営が打ち出す軍事力強化策は「350隻海軍」だけではなく、より広範囲にわたっている。選挙期間中にトランプ候補が直接公言した施策や、トランプ陣営の軍事アドバイザーたちが語った増強策などのうち、主だったものは以下の通りである。
1)オバマ政権によって45万まで削減されることになっているアメリカ陸軍兵力を、54万のレベルにまで増強する。
(現在の兵員数はおよそ49万だが、オバマ政権の削減案が達成されると、2018年度には45万になる。)
2)現在のところアメリカ空軍は、戦闘機を1113機しか保有していないが、それを1200機以上のレベルに増強する。
3)アメリカ海軍と行動を共にする“アメリカの尖兵”であるアメリカ海兵隊はオバマ政権下で兵力18万まで削減されたが、それを20万まで戻す。
4)最先端のサイバー技術への投資を加速し、サイバー防衛能力ならびにサイバー攻撃能力を飛躍的に強化する。
5)最新の弾道ミサイル防衛能力を強化する。
6)現在およそ250隻の主要戦闘艦艇を350隻レベルに増強する。
7)フィラデルフィア海軍工廠を復活させ、「アメリカの鉄で、アメリカの技術者・労働者の力で、アメリカの軍艦を建造する」能力を飛躍的に増大させる。
8)海軍関係の艦艇船舶建造費として、毎年200億ドル(およそ2兆円)の予算を計上する。
9)タイコンデロガ級巡洋艦の近代化改修を急ぎ、すべての巡洋艦に弾道ミサイル防衛能力を付与する。
(未改修22隻の巡洋艦にこのような改装を施すには、およそ50億ドルと数年間の時間が必要となる。)
10)オバマ政権が建造数を40隻程度に削減してしまった、21世紀型海軍戦略での活躍が期待される沿海域戦闘艦(LCS)を50隻レベルに引き戻す。
11)財政的理由により新規建造が足踏み状態に陥ってしまっていた攻撃原子力潜水艦を毎年2隻のペースで建造し、配備数を速やかに増強する。
 これらの軍事力増強策のなかで最も予算を必要とするのは、言うまでもなく、多数の新鋭軍艦を建造することになる海軍力増強策である。海兵隊も海軍とともに海軍省の一員であるため、トランプ次期政権の軍事力増強案の根幹は「海軍力増強」であると言っても過言ではない。
 アメリカが地政学的には広大な疑似島国である以上、海軍力の強化を中心に据えて「強いアメリカの再興」を計る方針はごく自然なものであると言えよう。
海軍長官の筆頭候補、フォーブス議員
アメリカ海軍をはじめ、海軍関係専門家たち、それにアメリカ軍指導者たちや軍需企業関係者たちは、トランプ陣営が打ち出す海軍増強策が現実のものとなるであろうと考えている。その理由は、トランプ次期大統領の軍事政策顧問の1人にランディ・フォーブス連邦下院議員が名を連ねているからである。
 バージニア州選出のフォーブス下院議員は、下院軍事委員会・海軍遠征軍小委員会委員長の重責を担ってきており、海軍政策のエキスパートとして海軍関係者や海軍戦略家・研究者などからも高い評価を受けている人物である。
 かねてよりフォーブス議員は「350隻海軍」「200億ドル建艦費」を唱道してきており、トランプ陣営はフォーブス議員の提案を全面的に受け入れていることが明白だ。そして、このような海軍増強策を前面に押し出してきたランディ・フォーブス氏が、トランプ政権における海軍長官の筆頭候補と目されているのだ。
 だからこそ、海軍首脳や海軍関係者たちはトランプ政権の誕生を期待し、選挙で勝利した現在、“大海軍建設”計画が始動する可能性がほぼ確実になったことに胸をなで下ろしているのである。
中国海軍にとっては“最悪の海軍長官”
アメリカ海軍関係者たちとは逆に、中国人民解放軍とりわけ中国海軍は、フォーブス議員が海軍長官に就任することに関しては大いに当惑しているはずである。
 というのは、海軍戦略に造詣の深いフォーブス議員は、当然のことながら中国海軍の動向にも精通しており、アメリカならびに日本などの同盟諸国の安全保障を全うするためには中国が推し進めている覇権主義的海洋拡張戦略を食い止めなければならないと主張しているからである。海軍戦略分野における対中強硬派の代表格であるフォーブス議員による、中国に対して封じ込め的なスタンスをとるべきであるとする主張は、以下のように本コラムにもしばしば登場しているので再確認していただきたい。
・「ホノルル沖に出現した招かれざる客、中国海軍のスパイ艦「北極星」」(2014724日)
・「国産地対艦ミサイルの輸出を解禁して中国海軍を封じ込めよ」(20141113日)
・「窮地に立たされ日本を利用しようとする米国」(201579日)
・「オバマ政権も海軍も 中国と波風を立てたくない米国」(201593日)
・「中国潜水艦がフランスを見習って米空母を“撃沈”」(20151224日)
・「大迷惑な中国海軍、またもリムパックに堂々参加」(201669日)
・「リムパックで海上自衛隊を露骨に侮辱した中国海軍」(201684日)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48398?page=5
国防長官候補のさらに強力な助っ人
トランプ陣営には、フォーブス議員以上に強力な軍事政策顧問が控えている。アラバマ州選出のジェフ・セッションズ上院議員である。上院軍事委員会委員であるセッションズ上院議員は、トランプ陣営が安全保障政策の根幹に据えているPEACE THROUGH STRENGTHすなわち「強力な軍事力こそが平和な国際関係を実現するための原動力となる」という平和哲学の権化であり、トランプ政権における国防長官の筆頭候補と目されている。
 同議員はリアリストの立場から、アメリカの国防政策、そして軍事力の再編を推し進めようとしており、フォーブス議員が提案している海軍拡張計画を財政的に実現化させるべく、国防戦略のレベルにおける諸提言を展開している。
 セッションズ“国防長官”とフォーブス“海軍長官”が誕生すれば、トランプ次期大統領の「偉大なアメリカの再現」の原動力となる「強い米軍の復活」が極めて現実的なものとなることは間違いない。

 ただし日本にとっては、アメリカから大幅な防衛費の増大自主防衛能力の強化が強力に求められることになるのは確実である。その事情については次回に述べさせていただきたい。

《維新嵐》 トランプ氏の安全保障戦略はよく練られているかと思います。我が国の防衛費の増大と自主防衛力の強化が求められるですか、望むところですね。我が国の防衛費は、GDP2~3%はあってもいいくらいです。実質世界第2位の経済大国にみあった軍事力の整備を今実現するときです。「国防軍」創設を果たすべく政府は邁進すべきでしょう。そのためには、在日米軍の駐留経費はおさえなければなりません。アメリカ依存型の安全保障から自立型の安全保障へ。そして官庁利権に牛耳られている情報セクションを内閣の直下におくことを実現すべきです。内閣情報局をたちあげるのもいいし、国家安全保障局に情報戦略を執行させてもいいかと思います。核武装より国家の情報戦略を確立し、サイバー軍の創設を実行すべきです。

稲田防衛大臣いいこといいますね!駐留経費を増やす余裕はどこにもありません!


「日本の貢献を明確に伝えよ」

ケント・カルダー米ジョンズ・ホプキンズ大教授談話

 トランプ次期米大統領が主張する海軍力の強化は、中国が台頭しているアジアに最もふさわしい政策といえる。日本からペルシャ湾に至るシーレーン(海上交通路)を維持する米軍のプレゼンスの費用はそれほど高くつかない。
 トランプ氏が、オバマ大統領やクリントン前国務長官と同様に尖閣諸島が(米国の日本防衛義務を定めた)日米安全保障条約第5条の適用範囲と言うのか、南シナ海をどうするかは何も語っておらず分からない。
 トランプ氏はディール(取引)の豊富な経験があるというが、同盟の運用は最適な価格を追求するディールとは異なる。責任感を持って、核兵器について無責任なことをいうのはやめてほしい。トランプ氏が、アジア諸国が(米国に)ただ乗りしていると信じているのも、駐留米軍に対する日本の貢献について知らないからだろう。


 安倍晋三首相が201611月17日にトランプ氏と会談するのは良いことだ。レーガン元大統領が就任したとき、日本の人々はどのような人物か分からず、「危険なカウボーイ」と思っていた。それが中曽根康弘元首相と会い、良好な友人関係を築いた。トランプ氏とも同じことができる可能性がある。
 「米国を再び偉大にする」ために協力できる分野はインフラの整備だ。安倍首相は米国への新幹線システムの導入に言及すると思う。日本にとり同盟がいかに重要か、日本がどれだけ同盟に貢献しているかも明確にする必要がある。
 幸いにも安倍政権が集団的自衛権行使を容認したことは、日米が協力する機会を作り、同盟を強化する。日本が持つ世界最強の掃海能力は米軍の空母戦闘群にとり重要であり、真っ先に取り組むべきは米海軍と海上自衛隊の協力だ。(談 ワシントン 加納宏幸)

《維新嵐》 アメリカが第二次大戦で大日本帝国から得たアジア・太平洋での権益を守りたければ、日米安全保障体制を崩してはなりません。もう日米は「相互防衛援助協定」にしてもいいくらいの関係ではないでしょうか?
 軍事同盟は、お互いを「補完しあう」関係です。そこを日本人は特に忘れないようにしましょう。


【中国共産党は待ってはくれません!冷静に迫ります

中国、覇権実現へ「取れる状況になるのを待つ。それだけだ」


「今日、われわれは中華民族の偉大な復興の新局面を切り開かねばならない」

 米大統領選で共和党のドナルド・トランプ氏が勝利宣言した2日後の今月11日、北京の人民大会堂で孫文の生誕150周年を祝う式典が開かれ、中国の習近平国家主席は同じ表現を4度繰り返した。欧米列強による国土の蚕食に抵抗した「救国の英雄」をたたえる重要講話の中で、習氏は台湾を念頭にした「祖国の完全統一」とともに、世界に君臨する超大国復活に向けた新たな展開を予告した。
 長期戦略として世界の“核心”を目指す中国は、トランプ次期米大統領という世界秩序に生まれた変数をどう捉えているのか。多くの対米専門家はその外交政策の不確実性を強調するが、ほぼ共通するのは「米国によるアジア太平洋地域への関与の低下と、経済利益における米中の衝突」が生まれるとの予測だ。前者は中国が地域で突出した影響力を持つチャンスの到来を意味する。
 中国人民大学米国研究センター主任の時殷弘教授はオバマ政権が進めたアジア重視の「リバランス(再均衡)政策」の行方についてこう語る。「トランプの経済孤立主義によって、再均衡政策の背骨だった環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)はへし折られた。その世界観から判断しても、外交面でも同盟国などへの影響力は弱まるだろう」


 オバマ政権の再均衡政策は、習指導部が進めてきた露骨な海洋進出の封じ込めに失敗した。米国はアジアでの存在感強化を図る一方で、北朝鮮やイランの非核化、リーマン・ショック以降の世界経済の立て直しなど世界的な課題解決に向けて中国に協力を求め、その影響力増大を歓迎してきたためだ。
 こうしたオバマ政権の融和姿勢は、中国の最高指導者、●(=登におおざと)小平が打ち出した「韜光養晦(とうこうようかい)」(姿勢を低く保ち、強くなるまで待つ)の外交戦略を中国に放棄させた。
 時氏は、南シナ海の領有権をめぐって争うフィリピンやベトナム、マレーシアなども米国への信頼が低下し、「そう簡単に中国に対抗することはできなくなる」とする。
 ただ、安全保障面で米国が軍事力を大幅に削減するとの見方には、次期政権が共和党主導であることなどから否定的だ。
 実際、トランプ氏の顧問であるアレクサンダー・グレイ、ピーター・ナバロ両氏は米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」で、オバマ政権の再均衡戦略が「(中国の)侵略と不安定を地域にもたらす結果になった」と批判した上で、こう表明した。
 「トランプ氏は米海軍の艦船を増強する。海軍力はアジア地域の安定にとり最も重要だ。現在も南シナ海を通じた巨額の貿易を保護し、中国の膨らむ野望を抑制している」


 トランプ氏が発言通りの政策を展開すれば、中国が期待するような米国のアジア太平洋での関与低下は起きないかもしれない。
 一方、オバマ政権が中国との間で南シナ海、サイバー攻撃などの問題を抱える中、両国関係の決定的な悪化を防いできたのは、米中間の貿易関係だ。
 しかし、トランプ氏は選挙期間中、中国からの輸入品に「一律45%の関税を課す」と“脅し”をかけており、南シナ海問題への姿勢と併せ、中国に対してはオバマ政権より強い姿勢に出るとみられている。
 だが、中国は貿易黒字で得たドルを注ぎ込み1兆2千億ドル(約130兆円)近い米国債を保有する。米国は、中国がこうした「人質」を確保する中、どこまで対中政策で大胆な行動がとれるのか。
 中国でも、トランプ氏の経済保護主義が米中の経済・金融関係に打撃を与え、苦境に陥っている中国経済に追い打ちをかける恐れがある、との懸念は根強い。
 ある軍事関係筋は「中国の戦略は極めて単純だ」と指摘する。「いま取れないものは棚上げし、取れる状況になるのを待つ。それだけだ」(北京 西見由章、ワシントン 黒瀬悦成)

中国海軍の海洋覇権をどうみるか? 川村純彦氏



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