中国が領土に固執するのはなぜか
中華思想2千年の「大一統」の呪縛とは…
2016.7.12 19:58更新http://www.sankei.com/world/news/160712/wor1607120039-n1.html
中国は南シナ海問題への国際司法の介入を一貫して拒み、「古来中国に属する」と宣言した「九段線」内の南シナ海を“中華の領域”と定めて、実効支配を進めてきた。一切の干渉や批判を排してまで絶海の岩礁にしがみつく姿は、伝統思想の強い呪縛を抱えているように映る。
中国軍のタカ派論客、羅援(らえん)少将は、南シナ海問題に関するこれまでの発言で、「主権問題を論じることは認めない」としたトウ小平の指示を挙げ、国家統一の基礎として「大一統(だいいっとう)」という思想を強調した。
羅氏は「大一統」の思想を「われわれの領土と主権を分割することを許さない」との意味だと説明。「九段線」の法制化や南シナ海の武装強化を訴えた。
この「大一統」とは、紀元前に成立した儒教の経典「春秋公羊伝」の言葉で、「一統をたっとぶ」とも読まれる。天子を頂点としたピラミッド型の支配構造を形作るとともに、支配対象である王朝の領土・領海で完全な支配と継承をめざす2千年の統治思想だ。
南シナ海の存在は前漢の漢籍にも記録されている。その意味では「古来」だが、スプラトリー(中国名・南沙)諸島の領有が、国民党政権下の中国政府で明確な政策課題となったのは1930年代だ。
さらに、九段線の原型(十一段線)が、南京で制定されたのは戦後の47年にすぎない。
スプラトリー諸島まで含む南シナ海統治が中国、台湾の「領土主権」に現実にかかわったのは戦後だ。しかも、50年代にはフィリピン、南北ベトナムも、それぞれ領有権を訴え始めていた。
しかし、中国の視点では、かつて国民党政権が定めた境界を完全に引き継ぎ、実効支配しないことには、共産党政権の正統性が揺らぎかねない。この国家統一の情念が、現代に息づく「大一統」の思想だ。
ハーグの仲裁裁判に関する中国国内の議論でも、「大一統」の思想に基づく中国の領土主張は、主権国家の平等な権利を認めた国際法とは「符合しない」とされていた。
習近平国家主席にすれば、いかに「独善的」とみられても、「大一統」の実現こそが正義であり、放棄や失敗は許されない。この思想的な葛藤が、仲裁の拒否など「法の支配」との対立の背後に存在している。(山本秀也)
《維新嵐》 要は「封じ込め戦略」が鍵でしょう
中華民国の幹部が、酒の席で酩酊しながら南シナ海の地図に線をひいたといわれる「九段線」ですが、思想的な背景を指摘されると単に酒の席での酒肴ではない意味があるのでは、と考えられます。
中国大陸の伝統的な思想である「大一統」が民族的な概念に置き換えられると「中華民族構想」という異民族の存在や伝統的文化の差別と破壊を肯定する思想になるのでしょう。
かつて飛鳥白鳳から奈良時代にかけての我が国の祖先たちは、統一帝国である大唐帝国からsまざまな知識、スキル、政治システムまで学んできましたが、我が国固有の文化、生活習慣にどうしてもあわない部分に関しては受け入れることはありませんでした。官吏登用試験である科挙よりも我が国では「蔭位の制度」でそれぞれ氏族の政治的なポジションが世襲的に受け継がれるシステムが維持されましたし、天皇の後宮の存在がありましたが、そこに大陸のように男性機能を去勢された官吏である宦官をおくより、側室制度も念頭においた「女房制度」が採用されたことなどに「独自性」をみることもできます。
無批判に中国大陸、漢民族の文化、生活習慣を受け入れるのではなく、あくまで「民族独自なノウハウ」は受け継がれたわけです。
これも歴史的な教訓ですが、「隣国に大国を作らせない。」ことは、軍事的、政治的、文化的な脅威から自国を防衛するための自然発生的な知恵ともいえるでしょう。
隣国だから友好関係を優先するのではなく、隣国の政治体制が自国の存亡にどれだけ脅威になるか見極めた上で、国家の防衛戦略が構築されなければなりません。
かつて摂政聖徳太子(厩戸皇子)は、統一大国隋に対抗するために、女帝擁立で独立性を隋にアピールしました。男尊女卑が骨の髄までしみついている大陸の観念では、国家のトップが女性であることは考えられません。大陸にない観念で独自性をだしながら、国家の独立を担保しようとしたわけです。
確かに共産中国の海洋覇権戦略は、国益を奪われかねない「脅威」です。ですが小国だからこそ、独自の歴史と伝統文化、民族性をもつからこそ、戦える「武器」はあるはずです。国を守る知恵はその国の歴史や伝統の中にこそあると確信します。
「母系社会」を重んじる我が国であれば、大陸の「男尊女卑」に抗し続けてきた歴史的実績があります。自衛隊を強化するだけが、国の防衛ではないと思います。
「反日デモ」を誘発すること、AKB48の総選挙を中国内陸部まで拡大していくことも十分、共産中国の覇権戦略の抑止になることでしょう。
元CSIS上級顧問エドワード・ルトワック氏のご著書に「大国は小国に勝てない。」とあります。その根拠となる要素は、小国、周辺国の連携です。連携を担保するためには強力なリーダーシップが必要になります。
日米同盟のリーダーシップとASEAN諸国やインド、ロシアとの連携で共産中国を大陸に封じ込めることが一番の理想的な戦略ですね。
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