2015年6月2日火曜日

世界はISIL・イスラミックステートを屈服させられるのか?

地上軍をISIL掃討に投入せざるを得ないアメリカの経済的事情
カネをドブに捨ててきた有志連合軍のISIL空爆
 オバマ大統領は、ISIL(いわゆるイスラム国)を壊滅させるための軍事作戦に、限定的ながらもアメリカ地上部隊を投入することを盛り込んだ軍隊使用権限(AUMF)承認申請を連邦議会に提出した。このようなホワイトハウスの動きに対して日本政府は支持する意向を表明した。
 ただし、「日本はアメリカを含む国際社会のISILに対抗する取り組みを一貫して支持してきている・・・今日まで積み重ねてきた人道支援は中東諸国から大きな評価を得ており、しっかり支援していきたい」という声明は、いまだに日本は有志連合国とは一線を画した戦争とは無縁の第三者的存在であるといった姿勢を日本国民向けに示している。
 しかしながら、日本は軍事作戦には参加していないものの、すでに昨年夏より有志連合国の一員であることは本コラム(「イスラム国と戦う『有志連合』、まぎれもなく日本は一員である」)で指摘した通りである。したがって、いよいよアメリカ軍地上部隊の投入が秒読みとなった現在、日本政府も国民も対岸の出来事のような程度の関心ではなく、地上部隊投入の意味合いを明確に認識しておかねばならない。
 なんといっても、日本が多額の人道支援資金を提供することで有志連合国は軍事作戦の戦費を捻出することができるのであるから、日本も立派な有志連合国の一員なのである。
これまでの空爆状況

 オバマ大統領はなぜ限定的とはいえアメリカ地上作戦部隊の投入をも盛り込んだ最長3年の対ISIL戦争に踏み切ることになったのか。それは、これまで半年にわたってアメリカ主導の有志連合国により実施してきた空爆攻撃だけでは、ISILの壊滅はおろか勢力弱体化すら不可能と判断せざるを得なくなってきたからである。
 イラク領内のISIL支配地域に対する空爆は、アメリカ、フランス、イギリス、オーストラリア、カナダ、オランダ、ベルギー、モロッコの8カ国によって実施されている。また、シリア領内のISIL支配地域に対する空爆はアメリカ、ヨルダン、バーレーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、モロッコの7カ国軍によって実施されている。これら13カ国以外にもドイツ、デンマーク、ノルウェイ、ポルトガル、スペイン、ニュージーランド、トルコが、武器弾薬の供給や軍事顧問団による地上軍の訓練などの空爆以外の軍事支援を実施している。
 これらの有志連合国軍による空爆状況は、アメリカ国防総省による2014年末までの公式集計によると下記の通りである。
・作戦機出撃任務数:6981
・爆弾等発射数:5886
・偵察機出撃任務数:2164
・輸送機出動任務数:1992
・空輸物資総量:14555トン
・空中給油機出動任務数:4828
・空中給油回数:28956
空爆に要する莫大な費用

 ところで、このようなISIL支配領域に対する空爆にかかる費用は1日あたりどのくらいかかっているのであろうか?
 もちろん、日によって出撃する航空機の機数や投下する爆弾の数は異なるため一定ではないが、平均するとおよそ840万ドル(10億円以上)と言われている。
 この巨額に上る戦費は、出撃する戦闘機や爆撃機それに管制機や空中給油機などのランニングコストや、航空機から投下される爆弾の費用、艦艇から発射される巡航ミサイルの費用、それに航空母艦をはじめとして作戦に参加している艦艇の燃料費などが含まれている。
ちなみに、空爆作戦に参加しているアメリカ軍航空機が1時間作戦飛行を実施するのにかかる費用は下記の通りである。
F-16戦闘機:9000ドル
FA-18戦闘機:11000ドル
AV-8B戦闘攻撃機:13400ドル
F-22戦闘機:21500ドル
E-3早期警戒管制機:14200ドル
E-8対地攻撃管制機:22800ドル
RC-135電子偵察機:23200ドル
KC-10A空中給油輸送機:15400ドル
B-1B爆撃機:46500ドル
 ISIL空爆の出撃基地はクウェート、バーレーン、それにペルシャ湾上の空母などのため片道900キロメートルから1500キロメートルと長距離であるため、作戦行動時間は数時間に及ぶ。当然空中給油も必要になる場合が多い。したがって、航空機を飛ばすだけで巨額の費用がかかってしまうことは容易に理解できよう。
 投下する爆弾やミサイルももちろん安くはない。最も安価なGBU-31 JDAMといわれる誘導爆弾は1発あたり3万ドルであるが、民間人などへの攻撃を避けるためにより精密なピンポイント攻撃を可能にしたGBU-39精密誘導爆弾の場合は1発あたり214000ドルとされている。AGM-114ヘルファイアという対戦車ミサイルは1基あたり11万ドルであり、ペルシャ湾や紅海海上の米海軍艦艇から発射されるBGM-109トマホーク長距離巡航ミサイルは1基あたり100万ドルである。
 もちろん、空爆作戦に参加しているアメリカ軍以外の有志連合国も米軍ほど多数の航空機は参加させていないものの、参加している戦闘機や投下している爆弾はアメリカ軍と共通であるため、空爆のランニングコストそのものはアメリカ軍と大差はない。
 以上のように空爆作戦に参加している有志連合国の軍事支出は巨額にのぼっている。
必要なのはまともな地上部隊の投入

 それでは、多数の航空機と莫大な費用をかけて継続されている対ISIL空爆作戦は目覚ましい成果を上げているのであろうか?
アメリカ軍のISIL攻撃を統括しているアメリカ中央軍司令部によると、24日までの空爆で破壊あるいは損害を与えたISILの攻撃目標は4817カ所(または輌)であり、その内訳は下記の通り。
・戦車、装甲車、トラックなどの車輌:1240
・重火器類、車載型簡易爆弾など:198
・部隊集結地、検問所、掩蓋陣地など 1423
・武器集積所:33
・通信施設をはじめとする諸設備:144
・トレーニングキャンプ:21
・司令部、戦闘用、補給活動用建造物:899
・その他の建造物:621
・ボート:39
・石油関連施設:130
ISILがコントロールする橋・道路:69
 確かに2月上旬までで5000近くもの目標を攻撃し、ISILの勢力拡大をスローダウンさせてはいる。だが、その内容を軍事的に解釈すると1日あたり平均840万ドルもかけて実施している空爆作戦としてはコストパフォーマンスが低すぎる」という声が専門家や政治家の間からあがっている。
 要するに専門家たちはこう指摘しているのである。
 「航空戦力による本格的な空爆作戦の目的は、敵の戦略要地を破壊して戦争継続能力に痛撃を与えることにある。だが半年近くに及ぶ空爆で破壊したISILの戦略要地は石油関連施設が130カ所、橋や道路が69カ所と全体のわずか4%にすぎない。攻撃の6割以上が各種車輌や前進拠点それにISIL部隊などに対するものであって、味方地上戦闘部隊に対する支援攻撃を実施しているような結果しか得られていない」
 その「味方地上戦闘部隊」とは、現在のところアメリカ軍をはじめとする有志連合国軍の地上部隊ではなく、以前よりISILとの地上戦を展開しているイラク政府軍部隊、クルド人部隊、シリア反アサド政権勢力の部隊である。そして、イラク政府軍はそれなりの武器弾薬は保有しているものの極めて士気が低く、クルド人部隊は士気旺盛であるものの武器弾薬は欠乏しており、もともと烏合の衆であるシリア反アサド政権勢力には武器弾薬と士気の両者が欠落している、といった状況である。
 「このようになんとも心もとない状態の味方地上戦闘部隊に対してこれまでのように空爆による支援を実施しても、ISILに決定的な打撃を与え続けることは不可能であると判断せざるを得ない。言葉は悪いがまともな地上部隊を投入しなければ、有志連合軍による空爆はドブにカネを捨てる結果になりかねない」
これが、アメリカで地上部隊を投入しなければならないと考える人々に共有されている基本的論理である。
マケイン上院議員は「中途半端で姑息な投入」と批判

 これまでも、ISIL壊滅のためのアメリカ地上部隊投入という意見は繰り返されてきたものの、上記のような空爆のパフォーマンスの悪さというデータをつきつけられて、ようやくオバマ大統領も地上軍投入へと踏み切らざるを得なくなった。
 ただし、オバマ大統領としてはアフガニスタン戦争やイラク戦争のような大規模地上戦への発展だけは何としてでも避けたい。そこで、アメリカ軍地上部隊の作戦は「捜索救出作戦」「特殊作戦」に限定して、主たる地上戦は有志連合軍の教育訓練を受けたイラク政府軍やクルド人部隊に実施させることにより、アメリカ軍が本格的地上戦に参加するのを避けようとしている。
 しかし、ジョン・マケイン上院議員をはじめとする少なからぬ政治家たちは、そのような姑息な地上部隊投入方針では対ISIL戦が好転することは望めない、と反駁している。
 そしてマケイン上院議員は、「当初から地上軍に対して大幅な制限を加えているオバマ大統領の中途半端な方針は軍事戦略とはいえない。本当にISILを壊滅させるためには、ある程度強力なアメリカ地上軍の投入が必要であることは、残念ながら忌まわしい事実であると認めなければならない」と主張している。

 このように、アメリカ地上軍の対ISIL地上戦への投入は間違いないものの、どの程度の規模と役割が与えられるかに関しては、ホワイトハウスと連邦議会で激しい戦略論争が展開されることになる。


イスラム国(ISIL)はなぜラマディ、パルミラで勝利したのか
アメリカとイランの急接近で存在感高めるシーア派民兵

畑中美樹(国際開発センター エネルギー・環境室研究顧問)
20150525日(Mon)  http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5003

 201542日にイラクのティクリートからの撤退を余儀なくされたイスラム国(ISIL)の反撃が顕著となっている。517日にイラク西部のアンバル州の州都ラマディを制圧したのに続き、3日後の520日にはシリア中部のパルミラも制圧したからだ。
ローマ時代の遺跡が残るパルミラ。写真は昨年3月警備するシリア兵を撮影したもの(aflo/NYT

  ISILは、米国主導の有志連合の空爆により「指導部・戦闘員」「資金源である石油施設」「制圧した領土」を喪失し弱体化しつつあると見られていただけに、こうしたISILの反転攻勢を意外と受け止める向きは少なくない。
戦闘の最前線で活躍するシーア派民兵の威力
 しかし、よく考えてみればイラク政府がティクリートを奪還できたのは、総兵力3万人の3分の2を占めるシーア派民兵の存在があったからである。シリアのアサド政権が反政府勢力に軍事面で優勢であったのも、レバノンのイスラム過激派組織ヒズボラやイラクのシーア派民兵の加勢があったからであった。
 ところが、イラクではティクリートの奪還後、シーア派民兵によるものではないかとされる略奪・放火事件が頻発したことからスンニ派住民の反発が高まってしまった。このためアバディ・イラク首相は、次はアンバル州の解放だとの威勢の良い話をしたもののシーア派民兵の派兵は見送らざるを得なかった。
 加えて、宗派対立の再燃を懸念する米政府の圧力もあったとされる。結局、アンバル州でISILと戦うことになったのはスンニ派が主流のイラク軍・治安部隊・警察となってしまった。しかもアンバル州の地方幹部からの度重なる弾薬類などの補充要請にイラク政府が的確に答えられなかったことも事態を悪化させてしまった。
シリアではアサド政権を支えてきたイラクからのシーア派民兵の多くが、3月にはティクリート奪還作戦のために母国に戻らざるを得なくなった。他方、シリア国内の反政府勢力はアル・カイダ系の「ヌスラ戦線」を中心に共闘作戦を取りはじめることとなった。それまで各派で分散していた反政府派の攻撃が、統一された作戦へと切り替わったことで質・量の両面で政府軍には強敵となっている。
 さらに受け身に回ったアサド政権が、防衛拠点を首都ダマスカスと近郊に限定させたことも反政府勢力には幸いした。ISILもその隙を突く形でパルミラ攻勢に出ることができたわけである。
ISIL潰しにシーア派民兵を利用したいアメリカの思惑
 では、これからどうなるのか。筆者は6月末が期限のイランと米英仏等との核最終合意が影響すると見る。紆余曲折はあろうが、オバマ米大統領が外交的成果としてイラン核合意を必要としており、ロウハニ・イラン大統領も経済的成果として同合意が不可欠であることから見て早晩合意するはずだ。
 それはイランの国際社会への復帰を意味する。これまでイランの後押しするイラクのシーア派民兵を表立って評価できなかった米英等も、ISILを叩くためとして同民兵の導入に前向きとなるのではないだろうか。
 米国の進めるイラク政府軍やシリアの穏健な反政府勢力の訓練による育成には時間を要するし、時間をかけても成果につながるか疑わしい点も残ろう。そう考えれば、米英等がこの夏以降、ISIL潰しのためにイランのイラク・シーア派民兵支援を容認すると見るのは考えすぎだろうか?


シリア東部で特殊作戦=米軍が「イスラム国」幹部殺害

時事通信2015516()2159分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150516-00000122-jij-n_ame


 米政府は2015516日、オバマ大統領の指示を受けて特殊部隊がシリア東部で15日に急襲作戦を行い、過激派組織「イスラム国」幹部アブ・サヤフ容疑者を殺害し、妻のウム・サヤフ容疑者を拘束したと発表した。米兵に死傷者はなかった。人質救出以外で、米軍がシリアで同組織を攻撃する地上作戦を遂行したのは初めてとみられる。

 米政府によると、アブ・サヤフ容疑者は、同組織の主要な収入源である石油密売を統括し、軍事作戦にも関与していた。ウム・サヤフ容疑者も同組織の活動で重要な役割を果たしていた。同容疑者はイラク国内で拘束中という。

 米メディアなどによれば、陸軍特殊部隊がアブ・サヤフ容疑者を拘束するためにイラクから新型輸送機オスプレイなどで出動。現地到着直後に交戦となって至近距離での戦闘に発展し、米部隊は同組織の戦闘員十数人も殺害した。米部隊はまた、両容疑者の「奴隷」だったとみられるイラクの少数派ヤジディ教徒の女性1人を解放した。米政府からシリア政府への事前通告はなかった。

陸軍特殊部隊について】 

特殊部隊グリーンベレーのCQB(近接戦闘)・第7特殊部隊グループ - Special Forces Green Berets CQB 2015/05/01 に公開

特殊部隊グリーンベレー ヘリボーン訓練
特殊部隊グリーンベレー 敵地パラシュート降下

※アメリカ軍がついに地上部隊を投入しましたね。ビンラディン殺害の時にシギントとヒューミントによる情報収集、解析と特殊部隊の突入というドクトリンを開発しましたからね。世界の要人は十分注意すべきでしょう。でもこれは明らかに「主権侵害」ですけどね。


アメリカ・特殊部隊による拉致、暗殺作戦
を強化】直近の襲撃で情報の“宝庫”を入手

アル・カポネの経理マンと評されるアブ・サヤフを暗殺

佐々木伸 (星槎大学客員教授)20150611http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5057
 中東の過激派組織イスラム国がイラクに侵攻し、イラク第2の都市、モスルを占領してから10日で1年が経過した。イスラム国の壊滅を目指す米国は有志連合を主導してイラクとシリアで空爆作戦を続けているが、同組織が崩壊する兆しはなく、顧問団450人の増派を余儀なくされた。米戦略の手詰まり感が深まる中、オバマ大統領はイスラム国の指導者の暗殺と拉致という秘密作戦を激化させそうな雲行きだ。
地上部隊の大規模投入を拒否するオバマ・ドクトリン
 ブッシュ前政権が始めたアフガニスタンとイラクの2つ戦争を「愚かな戦争」と批判して大統領に上り詰めた現実主義者のオバマ氏は、カネと人命を消費する紛争地帯への大規模な地上軍派遣には応じるつもりはない。大統領は就任以来、2つの戦争からの米軍撤退をしゃにむに推進し、イラクからは2011年に撤退を完了させ、アフガニスタンからも2016年末までに撤退させるという日程を確定させている。
暗殺にも使用される無人機(istock
 大統領のこの性急な政策がイスラム国の台頭を生んだとも言えるが、地上部隊の大規模投入を拒否する戦略こそが「オバマ・ドクトリン」だ。その眼目は「最小の費用で最大の効果を挙げる」というのに尽きる。とりわけテロとの戦いでは、地上戦闘部隊を派遣する代わりに3つの戦術が柱になっている。第1に、地上戦はあくまでも地元勢力に行わせるということ。第2に、米軍は空爆による支援に徹すること、第3に無人機(ドローン)と特殊部隊による暗殺と拉致作戦の実行、である。
 この第3の秘密作戦の中で、無人機による暗殺作戦はオバマ政権になってから激増。これまでに国際テロ組織のアルカイダの幹部ら3000人以上を殺害し、現在もパキスタンとイエメンで暗殺作戦が続いている。一方の秘密に包まれている海軍のシールズや陸軍のデルタ・フォースなどの特殊部隊の作戦は2011年のアルカイダの指導者オサマ・ビンラディンの暗殺以来、分かっているだけでこれまで10件に及んでいる。
主な作戦を挙げてみると、リビアでのナイロビ爆弾事件の主犯を拉致、ソマリア海岸でのテロ組織アルシャバーブへの攻撃、キプロス沖でのリビアのタンカー急襲、シリアの米人質救出作戦、イエメンでの米人質救出作戦、そして先月のシリア東部のイスラム国の拠点急襲などだ。
 特に直近の516日深夜に敢行された作戦では、イラクから武装ヘリ、ブラックホークとオスプレーに分乗した約20人のデルタ・フォースが闇に紛れて拠点を襲撃、銃撃戦の末、同組織の経理責任者アブ・サヤフを殺害、その妻のウム・サヤフをイラクに拉致し、パソコン、携帯電話など多数の証拠品を押収した。
 アブ・サヤフは「米犯罪史の中の伝説のギャング、アル・カポネの経理マンのような存在」(米紙)といわれるように、石油の密売など組織の資金活動や資金管理を担当していたチュニジア人幹部だ。拘束されてイラクで米捜査官の尋問を受けている妻も西側の人質事件に通じた人物だとされる。
情報を伝達する運び屋(クーリエ)として妻たちも重要な役割
 米紙などによると、押収した証拠品の中には、米国がこれまで知らなかった貴重な情報が含まれていた。情報の“宝庫”とも言える可能性がある。この情報により、米軍はアブ・ハミドという組織の有力幹部のシリアの潜伏先を突き止めて531日に空爆、殺害したことが濃厚だという。
 また指導者のアブバクル・バグダディに関しても貴重な情報を入手したもよう。バグダディの動向や、いかにして米軍の空爆を回避しているのかなどの一端も明らかになり、幹部らがバグダディと会う時には、居場所を特定されないよう携帯電話などすべての電子機器が没収される仕組みだという。またバグダディを含め組織の上級幹部の妻たちが米国の交信傍受を回避するため、情報を伝達する運び屋(クーリエ)として重要な役割を務めているようだ。
 すでに米情報当局はイスラム国の首都ラッカにある組織の中枢部門が入っている7つの建物を特定しているが、これらの建物には多数の住民が入居している上、何人かの西側の人質も収容されており、これらの人たちを巻き添えにする恐れが強いことから空爆ができないでいる。となれば、民間人の被害を最小限にするため、特殊部隊の投入も十分考えられるだろう。
 6日付の米有力紙ニューヨーク・タイムズは、闇に包まれた特殊精鋭部隊「シールズ第6班」の実態を長文の特ダネとして報じたが、世界が驚がくするような秘密作戦が近く、実施されるかもしれない。


いまやシリア全土の半分を制圧“完全復活”した「イスラム国」
軍事ジャーナリスト・黒井文太郎
2015615 80http://news.livedoor.com/article/detail/10231369/
■黒井文太郎(くろい・ぶんたろう) 1963年生まれ。月刊『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長等を経て軍事ジャーナリスト。著書・編書に『イスラム国の正体』(KKベストセラーズ)『イスラムのテロリスト』『日本の情報機関』『北朝鮮に備える軍事学』(いずれも講談社)『アルカイダの全貌』(三修社)『ビンラディン抹殺指令』(洋泉社)等がある
   米軍を中心とする有志連合の空爆にも関わらず、「イスラム国」(IS)の勢いが再び盛り返している。イラクでは、それまでイラク政府軍が死守していた西部アンバル県の県都ラマディを攻略。いまやイラク西部を広範囲に手中に収め、さらに北部のクルド人自治区の近傍でも活動を活発化させている。
  他方、シリアでもダマスカス市南部のパレスチナ人居住区であるヤルムーク難民キャンプの一部を奪取したほか、それまでシリア政府軍が掌握していた中部ホムス県の遺跡の町パルミラも攻略した。北部の中心都市アレッポの近傍でも再び攻勢に出ている上、ホムス県の主要部にまで迫る勢いだ。
一時はティクリートを攻略される
 「イスラム国」をめぐる情勢を簡単に振り返ってみると、まず昨年6月にイラク西部で一斉攻勢をかけ、一気に支配地域を広げた。このとき、イラク政府軍から大量の武器を鹵獲(ろかく)し、戦力が格段に向上した。「イスラム国」の脅威が国際的なトップニュースになったのは、この時期である。
   「イスラム国」はその勢いをかって、イラク北部のクルド自治区の中心都市アルビルや、首都バグダッド近郊まで迫ったが、そこで米軍が有志連合を組んで空爆を開始する。イラクでは昨年8月、シリアでは9月のことである。
   この空爆によって、「イスラム国」の破竹の勢いはとりあえず止められた。イラクではバグダッド近郊からはなんとか押し返し、クルド人自治区周辺でもクルド人治安部隊「ペシュメルガ」が「イスラム国」部隊を各地で撃退した。
   シリアでは昨年9月から、トルコ国境の町コバニ(アラブ名はアイン・アル・アラブ)の制圧を狙う「イスラム国」と防衛するクルド人部隊の死闘が繰り広げられたが、今年1月、有志連合の空爆もあって、ついに「イスラム国」はコバニから撤退した。クルド人部隊はさらに周辺部で「イスラム国」部隊を追撃した。
    ただし、今年1月時点では、イラクでもシリアでも、とりあえず「イスラム国」の勢いを止めたという程度だった。有志連合の空爆といっても、平均すれば110回以下という小規模なものであり、なにより「イスラム国」を追撃する地元の地上戦力がイラクでもシリアでも脆弱だったからだ。今年1月時点で、シリアではほとんど「イスラム国」を排撃できていなかったし、イラクでも「イスラム国」支配地域の約5%程度しか奪還できていなかった。
   しかし、今年1月以降、とくにイラクではペシュメルガと有志連合の連携がうまくいきはじめ、北部を中心に「イスラム国」を各地で撃破した。今年3月末頃までに、イラクでは「イスラム国」支配地域の25%程度が奪還された。その頃には、主要都市ティクリートもイラク政府軍によって奪還された。
一転、ラマディとパルミラを制圧
 しかし、「イスラム国」の劣勢もそこまでだった。戦況はしばらく膠着状態に入ったが、56日にはバイジ石油施設を制圧(68日に奪還)、517日には前述したようにラマディを制圧し、やはりイラク政府軍から再び大量の武器を鹵獲(ろかく)した。現在、イラク政府軍とシーア派民兵が奪還を目指して戦闘中だが、奪還には至っていない。
   他方、シリアではコバニ攻防戦の後、各地で一進一退の攻防となっていたが、「イスラム国」はその間もホムス県や東部デルゾール県などで徐々に勢力を伸ばした。前述したダマスカス市内のパレスチナ難民キャンプの制圧は今年4月上旬、パルミラの制圧は520日である。
   現在もアレッポ市北部近郊でシリア反政府軍を攻め立てているほか、北東部の主要都市ハサカではシリア政府軍とクルド人部隊に対して有利に戦いを進めており、さらにデルゾール市中心部に立てこもるシリア政府軍をまさに攻め落とそうという勢いである。昨年来、「イスラム国」はシリア全土の3分の1を支配していたが、現在はほぼ2分の1に支配地域を拡大し、現在も拡張中である。
 「イスラム国」の勢いは完全に復活したといえる。
ISはなぜこんなにしぶといのか?
 「イスラム国」がこれほどしぶとい理由は、いくつもある。まずは、「イスラム国」と戦う陣営の力不足だ。
   イラクでは、米軍3000人を中心として有志連合の軍事顧問団が入り、イラク政府軍を訓練しているが、それがなかなかうまくいっていない。本来は今年4月にも「イスラム国」が占拠している北部の主要都市モスルに対する奪還作戦が開始される予定だったが、その準備はまだまだ整っていない。
   前述した5月のラマディ陥落も、数千人の重武装のイラク政府軍は、数百人規模の「イスラム国」部隊を前に逃亡するという失態をみせている。「イスラム国」側はこの攻略作戦で、30件以上もの自爆攻撃を実行しており、両者の士気の違いは明らかだ。イラク政府軍には作戦や指揮統制にも問題がある。
   シリアでは、シリア政府軍と反政府軍が熾烈な戦いを繰り広げており、「イスラム国」はその間隙を衝いて支配地を広げている。政府軍も反政府軍も、互いを主要な敵と位置づけており、「イスラム国」を駆逐する戦力を振り分ける余裕はない。シリア政府軍などはむしろ、反政府軍の力を殺ぐために、「イスラム国」を助けるための空爆すら実施しているほどだ。
相変わらず多い外国人戦闘員
 「イスラム国」はイラク政府軍やシリア政府軍、反政府軍の拠点を攻略しながら、敵の武器を鹵獲(ろかく)して戦力を強化している。とくにイラク政府軍から入手した武器は膨大なもので、さらに数年程度は戦闘を続行できるストックがあるとの見方もある。
   ただ、有志連合の空爆や、自爆攻撃をはじめ決死隊的な作戦を厭わない「イスラム国」の部隊では、戦闘員の戦死が多い。米当局は「空爆開始以降で1万人以上」とか、「毎月1000人以上の戦闘員を殺害」と発表している。現地でのカウントが難しいこれらの数字はおそらく誇張されたものだが、それでもかなりの数の「イスラム国」戦闘員が戦士したのは確実であろう。
   しかし、それでも「イスラム国」の戦闘員は、まだまだ健在である。一つには、占領地域で広く戦闘員を徴募しているということがある。「イスラム国」占領地域では、「イスラム国」への参加を拒否することは死に直結する危険行為であり、断ることは難しい。また、困窮したシリア難民の若者が、「メシを食うため」に「イスラム国」に参加するケースも少なくない。
   また、中東アラブ圏や欧州のイスラム移民社会からの志願兵も、あいかわらず後を絶たない。これは一種のブームのようになっており、「イスラム国」の戦闘員は、今後もしばらく補充され続けることになるだろう。現在も「イスラム国」は3万~5万人の兵力を維持しているものとみられ、そのおよそ6割が外国人とみられる。
兵力をまだまだ維持できる資金
 「イスラム国」の資金は、昨年後半のような最盛期に比べればかなり落ちた。新たに占領した町村での略奪や、石油密売収益などが、いまやかなり小規模になっているからだ。
   しかし、「イスラム国」の占領エリアには1000万人とも1200万人ともいわれる住民が居住しており、「イスラム国」は彼らから「税」という名目で金品を強制徴収している。「イスラム国」占領エリアでの経済活動は著しく低下しているが、それでもこれだけの住民が生活していれば、そこから吸い上げる資金で兵力を維持することは可能だ。
   確かに「イスラム国」の消耗は大きいが、それでも戦闘員、武器、資金が枯渇しないかぎり、「イスラム国」にはまだまだ戦う力がある。



イスラム国とアサド政権が共同作戦

さらに深まるシリア内戦の複雑怪奇

反政府勢力にアルカイダ系の「ヌスラ戦線」 支援に二の足を踏むオバマ政権

佐々木伸 (星槎大学客員教授)

20150605http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5045
中東では信じられないようなことが起こることは、長年この地域の情勢をウオッチしてきた者にとっては珍しいことではない。この“疑惑”もそうした類いの話なのかもしれない。内戦中のシリアのバッシャール・アサド政権と過激派組織イスラム国(ISIL)が裏で手を結び、反政府勢力つぶしに協力し合っているというのだ。

劣勢が伝えられていたイスラム国は5月、イラク西部のアンバル州の州都ラマディ、シリア中部の世界遺産都市パルミラを相次いで制圧。これまで死んだふりをしていたのではないかと思われるほどの攻勢ぶりを示し、オバマ米政権を慌てさせている。そうした中で今度は6月初めから、政府軍と反政府勢力が激戦中のシリア最大の都市、北部のアレッポに向けて進撃を開始、反政府勢力を背後から攻撃している。
悪魔とも手を結ぶ
アサド政権とイスラム国の共同軍事作戦
 イスラム国はこれまでのところアレッポ北東の数カ所の村落を制圧、アレッポとトルコ国境の間に位置する戦略的な要衝、アザズの攻略に集中している。アザズはトルコからの反政府勢力の補給路の拠点で、「イスラム国がこの町を制圧すれば、アレッポの支配権を得ることになる」といわれる重要な町だ。
劣勢に立たされるシリアの反政府勢力(Reuters/Aflo
 問題は、このイスラム国の攻勢に、アサド政権が手を貸している疑惑が濃厚になっている点だ。反政府勢力などによると、まずシリア政府軍の戦闘機が反政府勢力の陣地を攻撃、さらに長距離砲で砲撃した後に、イスラム国の戦闘員が進撃するという「明らかな共同軍事作戦」だ。反政府勢力の指導者は「アサドは戦闘機をイスラム国の空軍として配備している」と非難、閉鎖中のシリアの米大使館もツイッターで、政府が同組織を支援しているのではないかと強く批判した。
 両者が協調するのは、反政府勢力を弱体化ないしは排除することが互いの利益になるからだ。アサド政権はイスラム国に対抗し得る唯一の正当な勢力であると主張できるし、イスラム国側も“領土拡大”という果実を手に入れることができるからである。
 元々、アサド政権とイスラム国が裏でつながっているといううわさは絶えなかった。実際、イスラム国はシリア軍に対して、石油を大量に密売していることが分かっている。前線を超えてイスラム国のタンクローリーがシリア軍側に出入りするところが日常的に目撃されている。またイスラム国は占領した発電所からの電気もシリア軍に売っていることも知られている。
今回、軍事行動で協調している疑惑が濃厚になったことについて、ベイルートの情報筋は「アサド政権は生き残るためには悪魔とも手を結ぶだろう」と指摘している。
反政府勢力にアルカイダ系の「ヌスラ戦線」
支援に二の足を踏むオバマ政権
 アサド政権のこうしたなりふり構わぬ姿勢はそれだけ追い詰められていることの裏返しでもある。というのも、アレッポ県に隣接する北西部のイドリブ県が最近、「反政府連合」に制圧されるなど重要な支配地を失った。加えて中部パルミラをイスラム国に占領されて、同組織が国土の50%以上を支配するに至り、領土的に相当圧迫を受けていた。こうした状況に加え、この春から政権内部の亀裂が次々と露呈された。大統領の側近の1人、ラフィク・シェハデ軍情報部長が3月に解任されたのに続き、長年の忠臣だったルストム・ガザレ政治治安局長がライバルに殴られたことが原因で死亡した。
 さらに大統領のいとこで、ダマスカス県の治安責任者だったハフェズ・マクルーフ氏も昨年解任されて国外逃亡中だし、これまたいとこのムンゼル・アサド氏は4月、クーデターを企てたといううわさの中で拘束された。一連のこうした事態について「アサド政権終焉の始まり」(ベイルルート筋)という見方が強まっており、アサド大統領の危機感が高まっていたのである。

 「反政府連合」はアサド政権とイスラム国による共同軍事作戦を撃退するため、オバマ政権にアレッポに迫るイスラム国を空爆するよう要請しているが、米国は動こうとしていない。その理由は、この「反政府連合」に国際テロ組織アルカイダのシリア分派「ヌスラ戦線」が一員として加わっているためだ。テロ組織を利するような軍事行動はしないというのが米政権の考えだが、イスラム国がさらにアレッポに迫った時、座視するのかどうか。オバマ大統領が難しい決断を迫られる時は遠くない。

【テロ指導者殺害だけではダメ】オバマ政権
の反テロ政策の効果の限界
岡崎研究所 20150721日  http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5161

米ワシントン・ポスト紙は、616日付社説で、テロリスト殺害をメインにするオバマの対テロ政策では問題は解決しない、特にリビアでは政治的解決が不可欠であり、オバマ政権は確固とした取り組みをすべきである、と主張しています。
 すなわち、614日、米国防省は、米国の空爆によりアフリカで最も危険なテロリストであるモフタータル・ベルモフタール(2013年のアルジェリア人質事件を主導)が死亡したと思われると述べた。イエメンではアルカイダ指導者が米のドローンで殺害された。過激派指導者が居なくなることは良いことだが、リビアとイエメンの危機的状況が解決されたわけではない。オバマ政権の反テロ政策の効果の限界を示すものだ。
 オバマはリビア、イエメン、ソマリアにいる反米テロリストへのドローン攻撃は許可してきた。しかし、安定的な政府樹立のための努力は不充分だ。その結果、これら三国はアルカイダとISの活動員リクルートの場所となり、イエメンとリビアはますます暴力的な状況になっている。
 リビアは特に懸念される。リビアでは、二つの軍と政府(世俗派政府とイスラム派政府)が対立しており、背後にはそれぞれ海外のスポンサーが付いている。対立激化のため、経済の生命線である石油生産も極端に縮小している。
 混乱の中、北アフリカからの経済移民はリビアの海岸地帯に集結し、密輸業者の手によって違法移民となり欧州に向かっている。今年の夏、約50万人が地中海を渡るだろうと予想されている(途中で既に数千人が死亡)。
 人道危機とテロ脅威防止のためには、リビアの政治的解決が不可欠だ。しかし、米欧の努力には力が入っていない。オバマ政権と同盟国は、レオン国連特使に任せきりだ。先週、同特使は、数カ月の交渉の末、統一政府樹立のための調停案を出したが、西側が承認するトブルクにある世俗派政府はそれを直ちに拒否した。レオン特使は努力を続けているが、国連には、米やNATO(カダフィ政権崩壊後過早に撤退してしまった)のような力はない。
 オバマ政権はトブルクの政府とその支援者であるエジプトにもっと圧力をかけるべきだ。国連調停案をのまない場合は石油収入の差し押さえや同政府指導者に対する制裁で以て迫るべきだ。更に、西欧側は、リビアの軍隊によるISなどジハーディストとの戦いを如何に支援できるかにつき検討すべきだ、と主張しています。

出典:‘A dangerous mission in Libya requires a firm approach’(Washingon Post, Lune 16, 2015
http://www.washingtonpost.com/opinions/a-dangerous-mission-requires-a-firm-approach/2015/06/16/9d2df416-1399-11e5-9ddc-e3353542100c_story.html
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 社説の論旨は正論といってよいでしょう。今リビアは酷いカオスになっています。中央政府は存在せず、破綻国家のようになっています。2011年のカダフィ政権崩壊後、反カダフィ勢力が分裂、期待された国内安定化は成らず、世俗派政権(国際社会が承認する。エジプト、UAEが支援)とイスラム政権(カタール、トルコが支援)の二つが敵対しています(西南部は諸グループが支配)。世俗派政権は、トリポリを失い、現在はリビアの東半分を支配し、本部を東北部の都市トブルクにおいています。暴力が拡大し、ほぼすべての大使館が閉鎖、避難しています。混乱の間隙を縫って、過激派が活動しています。アルカイダ系過激派に加えて、最近は、ISが勢力を拡大し、リビアを戦闘員確保の場(シリアのISの最大リクルート先はサウジ、その次はリビア)にしていると言われています。更に、最近は、北アフリカから欧州に向かう違法移民の集結、出発地になっています。違法移民の多くが欧州へ向かう途中に難破、死亡するなど大きな人道問題にもなっています。
 アラブの春はリビアにも及び、2011年の米欧によるカダフィ政権への空爆は、市民を同政権の弾圧から守るために安保理決議を得て行われました。当時は、人道的介入論適用の第一例としてもてはやされ、カダフィ政権の崩壊後には西欧などにも高揚感すらありました。介入を当初から強く主張したのは、英国のキャメロン、仏国のサルコジでした。オバマは、西欧に引っ張られる形で介入に参加し、オバマは、「背後からリードしている」と言いましたが、米国の関与は中途半端であるとの批判を受けました。
 必要な場合には、人道的介入は行われてしかるべきでしょう。しかし、レジーム・チェンジについては慎重な判断が必要でしょう。レジーム・チェンジだけでは、問題は解決しません。チェンジ後の政府につきプランがないと、国内は内戦になり、結局、今のリビアのように政治的、人道的コストが却って高くなります。
 これまでの経緯も考えれば、現下のリビアについては、英仏などはもっと関与すべきで、十分に関与していないように見えます。欧州出身の国連特使が和平調停をやってはいますが、英仏がもっと主導性を発揮すべきでしょう。また、ISの拡大に鑑みれば、国連としてもリビアにもっと力を入れるべきではないでしょうか。リビアはリビアの問題であると同時に、ISを通じて中東全体の問題になっているのです。






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