2018年6月15日金曜日

共産中国&北朝鮮にむきあう日米同盟のあり方 ~今のままで本当にいいのか?~

苦悩するアメリカと“助けない同盟国”日本

英仏は南シナ海での米軍FONOPに援軍派遣を表明

北村淳

シンガポールで開催されているアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で演説するジェームズ・マティス米国防長官(201862日撮影)。(c)AFP/ROSLAN RAHMANAFPBB News


 これまで数週間にわたってシンガポールでの米朝首脳会談に国際社会の関心が集中している状況に反比例して、ますます国際社会の関心が遠ざかっているのが、中国による南シナ海での軍事的優勢態勢の強化(アメリカ政府が言うところの「南シナ海の軍事化」)である。このままでは、アメリカの国是である「公海航行自由原則」が南シナ海で崩れ去るとともに、南シナ海とその周辺地域での軍事バランスが圧倒的に中国有利に傾いてしまうことになりかねない。
FONOPでかろうじて牽制するも逆効果
 だが、もちろんそんな悪夢をアメリカ軍・政府当局が甘んじて受け入れようとしているわけではない。5月下旬には、中国空軍が爆撃機を南シナ海の軍事拠点に展開させて、敵艦艇を攻撃する訓練を含む大規模な機動訓練を実施したのに呼応させて、アメリカ海軍は、ミサイル巡洋艦アンティータムとミサイル駆逐艦ヒギンズを西沙諸島に派遣し、公海航行自由原則維持のための作戦(FONOP)を実施した。
 しかしながら、西沙諸島や南沙諸島でのFONOPは、オバマ政権下で4回、そしてトランプ政権下で7回実施されてはいるものの、それによって中国が軍事的に圧迫されて人工島建設や海洋軍事基地建設を躊躇するような気配は全くない。
 本コラムでもたびたび指摘しているように、たとえ中国政府が中国領と主張する島嶼環礁(人工島を含む)沿岸12海里内海域を、米海軍軍艦が通航したとはいっても、何ら軍事的威嚇行動を取ることなく、単に航行しているだけである。その航行は、国際海洋法によって認知されている無害通航権の行使ということになり、国当局による「中国領海内を通航する際には中国側に事前通告すること」という要求を無視したというデモンストレーションを実施しただけの結果となってしまっている。 さらには、アメリカにとっては逆効果の結果も現出している。中国側は、「アメリカ海軍艦艇が中国の主権を踏みにじっている」と騒ぎ立てて、軍艦や航空機を派遣して「アメリカ軍艦を追い払う」とともに、「アメリカの軍事的脅威から中国の国土を防衛する」ためという口実で南沙人工島や西沙諸島の軍備を増強しているのだ。
国際社会を結集させたいアメリカ
 このようなFONOPの状態に鑑みて、アメリカのメディアすらも南シナ海情勢にはさしたる関心を示さなくなりつつある。2018年5月末のFONOPもあまり報道されることはなかった。
 アメリカ軍当局にとっては、このまま南シナ海を失陥してしまっては、同盟国や友好国からの信頼を大きく損なってしまうだけではなく、アメリカ自身の海軍戦略、軍事戦略が大打撃を受けることになる。なぜならば、南シナ海の海上航路帯は日本経済などにとっての生命線であると同時に、アメリカ海軍にとっても重要な作戦用航路帯となっているからである。とはいっても、かつて精強を誇ったアメリカ海軍も、対テロ戦争への莫大な軍事費支出や、オバマ大統領による強制財政削減措置による大幅な軍事費削減などにより、強硬策を実施することは不可能な状況である。たとえば南シナ海に空母打撃群を3セット展開させて中国海洋戦力を締め上げるといった圧力などはとてもかけられない。
そこで、トランプ政権が打ち出した海軍再建作業が完成するまでの期間は、同盟国や友好国から援軍を引き出して、「多国籍海洋戦力」により、中国によるこれ以上の「南シナ海の軍事化」を食い止めよう、あるいはスローダウンさせよう、という苦肉の策を模索することになった。   実際に、米朝首脳会談の10日前にシンガポールで開催された「シャングリラ会合」(注)で、アメリカのマティス国防長官は、中国による南シナ海での軍事化に対して強い懸念を表明するとともに、「場合によっては中国と南シナ海で対決する」との姿勢を打ち出した。このような、対中姿勢を念押しすることによって、南シナ海での中国の膨張主義的な軍備拡張に対抗する勢力を結集しようというのが、マティス長官の狙いだ。
(注:シャングリラ会合は、ロンドンを本拠にする民間シンクタンクである国際戦略研究所が毎年主催し、アジア太平洋地域の国防当局者たちがシンガポールのシャングリラホテルに集まって意見交換をする国際会議)
 アメリカが計画する具体的な対中牽制行動としては、まず、現在実施中のFONOPに同盟国や友好国の海軍が参加して、多国籍海軍によるFONOPを継続的に実施する。当面はそれをしばらく続け、やがては多国籍海軍によって南シナ海での軍事的優勢を取り戻す策を模索しようというのである。したがって、とりあえずはシャングリラ会合参加国の中からFONOPへの参加を表明してくれる国が現れることを米側は期待している。アメリカにとって幸いなことに、トランプ大統領の貿易政策に大反発しているイギリスとフランスが、公海航行自由原則の維持という観点から南シナ海に軍艦を派遣して米海軍のFONOPと共同歩調を取ることを表明した。
南シナ海に展開しているフランス海軍フリゲート「ヴァンデミエール」(写真:フランス海軍)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53312?page=4


イギリス・フランスは両国ともアメリカとはNATOの同盟国であるが、南シナ海での対中牽制活動はNATOの作戦ではない。この海域においては、あくまで同盟国として、自主的に(もちろんそれぞれの自国の国益を見据えて)南シナ海でのFONOPに参加するということだ。
頼ることしか考えていない日本政府
 一方、南シナ海問題でイギリス・フランスと対照的なのが、日本政府の姿勢だ。
 イギリスやフランスと違い、日本にとって南シナ海は国民経済の死命を左右するエネルギー原料供給航路帯、すなわち海の生命線、が貫通している戦略的に最重要な海域である。それにもかかわらず日本は、アジア地域のアメリカ同盟国の中で最大の海軍力を誇るのにもかかわらず、南シナ海における公海航行自由原則を維持するための具体的行動を発動しようとはしていない。
 まして、同盟国アメリカが海軍戦力の弱体化に頭を悩ませており、はるかヨーロッパから派遣されるイギリス海軍やフランス海軍の軍艦に期待を寄せているのだ。本来は、このようなときにこそ、無理をしてでも同盟国と足並みを揃えるべきであろう。そうした議論すら出ないようでは、日米同盟の強化などは絵に描いた餅と言える。自らは同盟国に助け船を出そうとはせずに、米朝首脳会談でアメリカに日本の拉致被害者問題解決を伸展させてもらおうと必死にすがりついている日本政府の姿勢に、国際社会がどのような評価を下しているかは推して知るべしといえよう。
《管理人》我が国が海軍力を行使して、FOP作戦に参加していくには、憲法9条の解釈を「自衛権行使」「自衛戦争」であれば、武力による威嚇、武力行使は可能と変更すべきでしょう。お手本となったパリ不戦条約の精神は禁じているのは「侵略戦争」です。侵略戦争の定義があいまいということはありますがね。

自衛隊トップの河野克俊統幕長「北朝鮮が弾道ミサイルを発射する可能性は低い」 警戒監視は継続

2018/06/14 16:58
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e8%87%aa%e8%a1%9b%e9%9a%8a%e3%83%88%e3%83%83%e3%83%97%e3%81%ae%e6%b2%b3%e9%87%8e%e5%85%8b%e4%bf%8a%e7%b5%b1%e5%b9%95%e9%95%b7%e3%80%8c%e5%8c%97%e6%9c%9d%e9%ae%ae%e3%81%8c%e5%bc%be%e9%81%93%e3%83%9f%e3%82%b5%e3%82%a4%e3%83%ab%e3%82%92%e7%99%ba%e5%b0%84%e3%81%99%e3%82%8b%e5%8f%af%e8%83%bd%e6%80%a7%e3%81%af%e4%bd%8e%e3%81%84%e3%80%8d-%e8%ad%a6%e6%88%92%e7%9b%a3%e8%a6%96%e3%81%af%e7%b6%99%e7%b6%9a/ar-AAyCYKT?ocid=spartandhp

© 産経新聞 提供 河野克俊統合幕僚長(早坂洋祐撮影)

 自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長は平成30614日の記者会見で、北朝鮮による弾道ミサイル発射は当面、行われないとの見方を示した。「米朝の非核化交渉がこれから開始される。常識的に北朝鮮が今までのように発射してくる可能性は低いのではないか」と述べた。一方、自衛隊による弾道ミサイルへの警戒監視は「北朝鮮が(非核化に向け)具体的なアクションをとったということではない」として、引き続き現在の態勢を維持する考えを示した。トランプ米大統領が中止に言及した米韓軍事合同演習については「この地域の平和と安定に寄与している」とした上で「米韓の問題であり、大きな政治の流れの中で決断されたので(コメントは)控えたい」とした。北朝鮮の弾道ミサイルを想定した日米韓3カ国の共同訓練は「今後もやっていきたいが、各国の同意の下で実施する話なので、話し合いながら進めていかなければならない」と語った。

※北朝鮮は弾道ミサイルを日本列島に落とすことはあり得ません。?


【中止してどうなる?米韓合同軍事演習】
米韓合同軍事演習は、北朝鮮だけでなく、共産中国への米韓の政治的主張にもなっているはずでは?むろんロシアにもね。





米韓演習中止は日本とも協議を 

ジェームス・ズムワルト元米国務次官補代理
(東アジア・太平洋担当)



 トランプ米大統領が米朝首脳会談後の記者会見で、北朝鮮との対話継続中は米韓合同軍事演習を中止すると明らかにした。実際に決定を発表すれば同盟国に影響を与えるため、米国として韓国と緊密に議論することを希望する。また、地域に展開する米軍に関わる日米同盟上の問題でもあり、日米が事前に協議することも非常に重要になる。
 トランプ氏と安倍晋三首相が会談や電話会談を重ね、強固で頻繁なコミュニケーションを取っていることは非常に良いことだ。軍事演習は同盟の問題であり、北朝鮮と交渉する課題ではないのだから、トランプ氏が首相と協議していることが望ましい。
 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が日米、米韓の同盟関係にくさびを打ち込もうとする試みが成功しないことを望んでいる。その意味で、首相や菅義偉官房長官が米朝首脳会談後に非常に前向きな声明を出したことはプラスだ。日米、米韓の分裂を防ぐには緊密な連携が必要で、引き続きそれができれば、分裂させる試みは成就しないだろう。
 金氏は中国の習近平国家主席、韓国の文在寅大統領とも会談しており、日朝も関与することが適切だ。北朝鮮の核・ミサイルは日米にとり共通の脅威だが、日本人拉致問題は米国には解決できない。拉致問題は個人の自由を奪う基本的人権の侵害であり、米国として日本を支援すべきだが、最終的には日本が直接、取り組む必要がある。(聞き手 加納宏幸)

【「拉致問題」は日朝だけの問題にあらず、これは「国際問題」でしょう】

北朝鮮に好き勝手をさせず、国際社会の影響下に常においておくには「拉致問題」の解決を迫り、徹底することでしょう。完全かつ検証可能で不可逆的な解決をしていくのは、拉致の問題です。北朝鮮が世界中で実行してきた非人道行為、侵略行為を暴き、拉致実行犯は「英雄」ではなく「戦争犯罪者」にしていくこと。この問題を徹底追及していけば、北朝鮮の現在の政治体制は崩壊するのでは?
横田めぐみさんや田口八重子さんなどの北朝鮮の国家機密に深く携わる拉致被害者の帰国を実現し、知られざる北朝鮮の情報戦、工作テロの実態を赤裸々に語っていただきましょう。



「これで最後に」家族と思い共有
 社会部編集委員 中村将

 拉致被害者家族とと面会した安倍晋三首相。左から横田哲也氏、横田拓也氏、浜本七郎氏、横田早紀江さん、家族会代表・飯塚繁雄氏=14日午後、首相官邸(春名中撮影)
 安倍晋三首相との面会後に記者会見した拉致被害者の家族らは「焦らずに確実に対応してほしい」との気持ちを政府側に伝えたことを明らかにした。「これで最後にしてほしい」との切実な思いがにじむ。
 米朝首脳会談を機に、拉致問題が動き出しそうな気配になった今、世論の盛り上がりが、政府を後押しすることは間違いない。被害者家族らが発してきた言葉から、その思いを改めて共有していきたい。
 「たくさんの人が次から次へと北朝鮮に連れて行かれ、何もわからないままにされている。それで本当にいいんですか、という怒りが大きな力になりました」
 「親は、だれでもそうなると思います。やりますよ。気が狂うほど。同じ立場になれば、みなさんきっとそうされるでしょう」
 横田めぐみさんの母、早紀江さん(82)の言葉だ。
 白髪になって久しい。最近は、自分のことを「どこにでもいるおばあさん」と表現する。「お母さん」ではないところに、過ぎ去った時間の長さを感じる。
 救出運動の先頭に立ち、歴代首相に何度も問題解決を訴えてきた家族会初代代表で、夫の滋さん(85)は病床にある。めぐみさんの消息に加え、滋さんの健康も気遣う早紀江さんの心労は限界にきている。


 被害者家族はそれぞれ境遇の違いはあっても、みな同じ思いでいる。日本政府が肉親を取り戻してくれる日をずっと待っている。
 平成14年9月の日朝首脳会談で「死亡」「未入境」とした被害者について、これまで家族が納得できる説明をしていない北朝鮮はこの間、被害者の偽遺骨まで提示して幕引きを図ろうとしたかと思えば、安否調査を再開するとの姿勢を示したこともあった。
 怒り、期待、落胆…。めまぐるしく変わる家族の気持ちを思うとき、拉致という国家犯罪に手を染めた北朝鮮が、いまだにその拉致をカードとしている不条理が鮮明になる。それでも、問題を決着させる交渉に着手すべきときが来た。
 拉致問題の解決なしには北朝鮮への経済支援には一切踏み切れない。だが問題を解決すれば、さまざまな支援ができ、それは北朝鮮が未来を描く上で、大きな利益になるということを理解させなければならない。
 「答えが見えるまで簡単に動いてほしくない」との家族の言葉は重い。「答え」とは、拉致被害者たちの帰国であることはいうまでもない。安易な妥協は許されない。


《管理人より》核兵器や弾道ミサイルの廃棄も大事なことでしょうが、北朝鮮を国際的に不利な状況に追い込み、現体制を崩壊させ、新たな政治体制に転換させるためには、拉致問題の全面的な責任を北朝鮮にたらせないと意味がありません。

日本はしばしば中国に攻め込んできたのに、どうして中国は日本に攻め込まなかったの?=中国メディア

モーニングスター株式会社
2018/06/14 14:12

 中国メディア・今日頭条は2018613日、「日本はこれまで度々中国に攻め込んできたが、どうして中国はこれまで日本に攻め込んでこなかったのか」とする記事を掲載した。
 記事は、「古くよりわが国と日本は少なからぬ接触があった。古代の日本はわが国の付属国であったが、それにもかかわらず恩を忘れてしばしばわが国に攻め込んできた。抗日戦争だけではなく、唐の時代の白村江の戦い、明の時代の朝鮮出兵などがある。戦争の結果はいずれもわが国の勝利に終わり、日本人を退けることに成功するのだが、どうしてかつて国力が充実していた時に、日本を手中に収めようとしなかったのか」とした。
 そのうえで、「理由は、今から600年以上前の明朝初期に活躍した政治家・劉基が語った話の中にあった。明朝初期、皇帝の朱元璋は数々の苦難の上についにモンゴル人を撃退した。強かったモンゴル人を倒したことでいささか奢っていた朱元璋は、この勢いで日本の倭寇もやっつけようとした。そこで、自らの参謀であった劉基を呼び寄せてそのプランを打ち明けたのだが、劉基は『いけません。征服しても無益です』と諌めたのだ」と説明している。
 さらに劉基が、日本は小さいものの海の戦いに優れていること、明朝が成立したばかりで民の心も軍事力も安定していないことに加え、「日本は手に入れられても、日本人の心を手に入れることができない」こと、さらに「資源に乏しい日本はどんなに発展しても、中国を倒すことはできないので、焦る必要はない」ことなどを理由に挙げたと伝えた。
 記事は、「劉基は、中国の水軍が強くなればおのずと何でも手に入るようになると考えていた。それは理屈も根拠もある話であり、歴史の発展もそのすべてを物語っているのだ」としている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)

《管理人より》倭寇の大半は、中国大陸の住民ではなかったかな?
我が国が大陸からの一方的な侵略をうけなかったのは、天皇を頂点とする強固な政治体制、中央集権体制を構築したこと、強力な軍事力を保持し続けたことが主な要因でしょう。元寇のときをみれば明らかですが、地の利を生かした戦術を駆使して大陸の侵攻勢力を撃退できました。「大国は小国に勝てません。」我が国の防衛戦略はあくまで我が国独自の戦略観に立脚したものであることが大前提となるかと考えます。
 
しかし・・・現代は、SIGINTを狙う国境なきサイバー攻撃の時代です。防衛のあり方も自衛官だけが強く意識し、訓練してればいいという時代ではないです。一億総コマンダーの時代ともいえるでしょう



0 件のコメント:

コメントを投稿