「新品」を欲しがる自衛隊的発想、米陸軍
少将が批判
「新装備を買う前に、もっと維持整備を考えよ!」
2017.10.20(金)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51388
米カリフォルニア州沖で行われた演習で、海上自衛隊のひゅうが型護衛艦に着艦する米海兵隊のオスプレイ(2015年9月3日撮影、資料写真)。V-22オスプレイやAAV7などの新規調達が日本の防衛装備品の維持費を圧迫している。(c)AFP/MARK RALSTON 〔AFPBB News〕
近年、自衛隊の装備調達が「維持費」を無視しているとして批判を受けている。実際に、それは自衛隊の装備品の稼働率を低下させ、また現場を苦労させることにもつながっている。こうした中、米陸軍安全保障援助コマンドの司令官がそうした発想を批判するインタビューが公表された。同司令官は、153カ国に対する1720億ドル(約19.4兆円)・5300件以上の米陸軍系装備品の提供と維持整備指導を担当している。今回はその批判の概要を紹介し、我が国にとってどれほど重要な意味をもっているのかを論じたい。
その装備は本当にその国に必要なのか?
米陸軍安全保障援助コマンド司令官、ステファン・ファーメン少将は、軍事情報サイト「ディフェンスニュース」(10月11日付)の中で、同盟国が予算の使い方を変えてもっと防衛装備品の維持を重視するよう早急に議論を始めるべきだとの考えを明らかにした。ファーメン少将は次のように述べる。
「(私の職務は相手国の陸軍に対して援助をすることだが)、世界各国の同盟国やパートナー国を訪ねていていつも思うのは、彼らはピカピカの装備ばかりを追いかけて、維持整備への投資が不足しがちだということだ。それは、多数の問題を生じさせる。我々は、同盟国のアパッチ戦闘ヘリやブラックホーク輸送ヘリが調達までに5年もかかったり、維持整備の失敗により、稼働できずに置物状態になることを望んでいない。仮にその国で20機のブラックホーク輸送ヘリが必要だとしても、これを18機にすれば、次の10~15年間、十分に維持整備をしてすべて稼働させられるだろう。だからこそ、我々はこうした意味のある議論を早急に開始しようとしているのだ」
またファーメン少将は、自分たちの任務は、その装備が本当にその国に必要なのか、どのように維持整備していくか、をアドバイスするのみならず、既存の装備の可能性を広げてあげることでもあると述べている。
これは、マティス国防長官が述べたように、民生品のIoT化と同じく、古いプラットフォーム(車両・航空機・艦船等)であってもちゃんと維持整備しておけば、新しいIT技術を取り入れることで強力な装備品にできるということである。
自衛隊にとっては耳が痛い指摘
ファーメン少将の見解は、同盟国やパートナー国が、安易な「新品」志向によって防衛装備品を維持できなくなっている状況を指摘したものである。この指摘は非常に重い意味を持つと言えよう。
以下では、ファーメン少将の指摘から読み取るべき3つのポイントを挙げてみたい。
(1)「維持整備」も製品である
発展途上国や新興国を中心に、米国の装備品を買い込んだものの使えなくなっている事例が多発している。特にイラクやアフガンでは、米軍が撤退した駐屯地を装備事引き継いだがすぐに使えなくなってしまった事例が過去に相次いだ。そこで、武器輸出を目指す我が国も、維持整備も含めて売り込む必要があることを肝に銘じなければならない。そして、それは自衛隊と同じ装備を、自衛隊のシステムで何十年も稼働し、維持整備を通じて、当該国との何十年にもわたる「強固な絆」ができることをも意味している。
(2)自衛隊の維持整備軽視も改めるべき
ファーメン氏の指摘は、まさしく自衛隊的発想を批判したものだと言うことができる。
例えばグローバルホークを調達したものの、その維持費は当初の想定を上回っている。また、V-22オスプレイやAAV7などの新規調達が防衛装備品の維持費を圧迫している。同時に、部品枯渇の問題は3自衛隊に共通しており、稼働できなくなる自衛隊の装備が増えてきている。
元航空自衛隊空将であり、空自補給本部長を務めた吉岡秀之氏も「軍事研究」2016年10月号で、空自では予算における優先順位の低さや契約およびマネジメントの問題から、部品の在庫不足が発生しており、その結果、別の機体から部品を取り外して流用する「共喰い整備」を行い、空自装備の稼働率が低下していると指摘している。
また、朝日新聞(2017年4月13日付)は、F-35戦闘機、V-22オスプレイ、E2D早期警戒機の4機種の維持費だけで年間800億円が消えるとしている。これに今後、誰も膨大な維持費を指摘せずに無責任に持ち上げている「イージスアショア」等が続けば、どれだけの維持費(特にイージスアショアは警備費や人事配置なども含めて膨れ上がる)がかかり、そして、どれだけその他の防衛装備品や「人員」の維持費を圧迫することになるか目に見えている。
ファーメン少将の指摘はこうした自衛隊の現状を図らずも批判したものであり、重く受け止めるべきである。少なくとも、正面装備の調達数を削減し、それを3Dプリンタの現場での運用および研究、もしくは部品の在庫なりに振り向ける努力が必要だろう(自衛隊の3Dプリンタ活用への取り組みは、世界の中で大きく後れをとっている)。
(3)プラットフォームが新品である必要はない
古いプラットフォームであっても、きちんと維持し、新しい技術に基づいた改良をするなり装備を載せれば強靭化できるという発想が重要である。実は、こうしたファーメン少将の発想は最近の流れでもある。もはやプラットフォームが新品である必要はなく、その上のソフトウエアや武装が最新鋭であることが重要なのだ。
実際、米軍はB-52やC-17、台湾軍は潜水艦やミサイル、オランダ海軍は旧式艦艇、韓国やポーランドは旧式戦闘機などの部品を3Dプリンタで製造し、しかも能力向上と低コスト化に成功している(体成型で作成できるため、強度を増加しつつ軽量化を実現できる)。古いプラットフォームの大きな可能性に、防衛省自衛隊はもっと注目すべきであろう。
* * *
いずれにせよ、ファーメン少将の指摘は今後の防衛装備調達でより意識されてしかるべきである。我が国としても重く受け止めるべき大事な視点と言えるだろう。
《維新嵐》かつて長嶋茂雄氏が読売ジャイアンツの監督をされていたころに、他球団の主力選手を知名度とお金で引き抜いてくるマネジメントを「なんでもほしがるチョーさん!」と揶揄していたメディアがありましたが、あの時の長嶋監督は他球団の主力選手、つまりいわば「中古」の選手の活用ともいえます。プロ野球選手は「中古」でも実績のある選手は高価な買い物になりますが、兵器装備は中古であれば価格も安く入手できるということです。
中古品で性能、質が劣化していては困りますが、ほどよく使いこなされていて、新品同様に使えるなら、かえって新品を買うよりお買い得とはいえるかもしれません。武器を販売する側のアメリカの方からの指摘ですので、この防衛装備の調達については、防衛装備庁で猛省するべき課題かと思います。
今後、朝鮮半島情勢や共産中国の東シナ海進出へ備えて装備の調達、既存装備の整備という観点からも大きく従来のやり方を見直し、イノベーションを追求してほしいというのは、自衛隊オーナーである日本国民の一人として強く思うところです。
無償で供与!?売るべきでは?
【もう1国では守れない国際安全保障環境】そりゃ集団的自衛権の行使しかないでしょう!
価値観を同じくする国同士による「助け合い軍事力」の行使こそ国際協調の鍵といえるのではないでしょうか?「競争よりも協調」でしょう。そのためにも兵器装備のシェアは重要な要素であり、整備スキルの維持と補給調達の効率化は常に見直すべき課題といえるでしょう。
アメリカ空軍B-1B、空自と韓国空軍と共同訓練を実施
2017/10/23 11:52
https://flyteam.jp/airline/japan-air-self-defense-force/news/article/85774
アメリカ空軍B-1Bと空自F-2
訓練は、日米韓三カ国の連携の一環として実施されたもので、アメリカ空軍のB-1Bは空自との訓練を終えた後、韓国空軍のF-15Kとも二国間共同訓練を実施しています。詳しくは航空自衛隊、アメリカ空軍のウェブサイトを参照ください。
陸海空3自衛隊、沼津海浜訓練場などで実動演習を実施
2017/10/23 12:03
https://flyteam.jp/airline/japan-air-self-defense-force/news/article/85750
演習の実施場所は、沼津海浜訓練場、種子島と対馬周辺区域、自衛隊施設、日本周辺海空域です。主な訓練は、水陸両用作戦、水陸両用作戦、海空作戦で、統合幕僚監部、陸上幕僚監部、海上幕僚監部と航空幕僚監部、陸上自衛隊からは各方面隊、中央即応集団、海上自衛隊からは自衛艦隊、各地方隊、航空自衛隊からは航空総隊、航空支援集団などが参加します。
参加規模は、人員約15,000名、車両約1,500両、艦艇6隻、航空機約170機となっています。この演習は、2017年度で実動演習11回、指揮所演習11回と計22回目です。
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