トランプ政権の南シナ海問題への対応
ウォール・ストリート・ジャーナル紙の2017年6月6日付け社説は、トランプ政権が南シナ海で「航行の自由作戦」を実施したことを歓迎しつつも、米国には更なる行動が求められる、と主張しています。社説の要旨は次の通りです。
トランプ政権は南シナ海で少し骨のあるところを見せ始めている。しかし、フィリピンやベトナムが中国に立ち向かうには米国が地域の安定にコミットしていることを示す更なる行動が必要である。
2017年5月初めに国防総省はアジア・太平洋における軍事プレゼンスを強化するための追加支出を承認した。5月24日にはミスチーフ礁(海洋法裁判所の仲裁裁判の裁定によれば低潮高地)の12海里内の水域で駆逐艦デューイが「航行の自由作戦」を実施した。
オバマ政権も「航行の自由作戦」を行ったが、中国の管轄権を承認するものと解釈されかねない「無害通航」の態様によるものであった。今回は、デューイは海域にとどまって転落救助訓練を行い、米国がその海域を公海と考えていることを明確にした。中国はこの行動を挑発的と非難したが、これは国際法に基づく航海の自由を守るための象徴的な行動である。中国が更に人工島の軍事化を進めれば、「航行の自由作戦」はより危険を伴うものとなる。
5月17日には、中国の戦闘機(Su-30)2機が東シナ海の上空で米空軍の大気収集機WC-135に異常接近した。その後、駆逐艦デューイがミスチーフ礁の近傍にあった際には、中国の戦闘機(J-10)2機が南シナ海の上空でP-3オライオン偵察機に対していやがらせの行動に出た。
6月3日、シンガポールでのシャングリラ・ダイアローグ(アジア安全保障会議)において、マティス国防長官は中国の忍び寄る侵略について述べた。同長官は「人工島の建設と公海の地形上の施設の争いようのない軍事化は地域の安定を損なう」と述べ、中国の「国際法の露骨な無視」と「他国の利益に対する侮蔑」を激しく非難した。当然のことながら、中国はこの発言は「無責任だ」などと述べて激しく反発した。
トランプ政権は5月まで「航行の自由作戦」を控えていたが、恐らくは中国が核とミサイルを放棄するよう北朝鮮に圧力をかけることを期待してのことである。この間、東南アジアの諸国は、米国は南シナ海の安定と航行の自由は守るべき原則だと依然考えているのかと怪しんでいた。TPPからの離脱が米国の信頼性を損ねたこともあった。
「すべての可能な選択肢をやってみた後、アメリカ人は正しいことを行う。我々は依然としてここにある。皆様と共にあり続ける」とマティス長官が述べた時、同長官は守勢に立たされていることを認識していたに違いない。聴衆の中には、2012年に中国がフィリピンからスカボロー礁を奪取した時、米国が何もしなかったことを思い出した人がいたであろう。問題は中国の膨張を抑止するために、米国は次に何をするかである。
出典:‘U.S. Markers in the South China Sea’(Wall Street Journal, June 6, 2017)
https://www.wsj.com/articles/u-s-markers-in-the-south-china-sea-1496746701
https://www.wsj.com/articles/u-s-markers-in-the-south-china-sea-1496746701
トランプ政権が「航行の自由作戦」に遅まきながら踏み切ったことは歓迎すべきことです。作戦が行われたのはミスチーフ礁の海域ですが、国際法上、ミスチーフ礁は低潮高地(満潮時に水没する地形)とされ、領海を持ちません。したがって、駆逐艦デューイがその12カイリ内で転落救助訓練を行い、明確に「無害通航」でない態様で航行したことは、その海域が公海であるとの認識を表示する効果を持つことになります。
オバマ政権も何回か「航行の自由作戦」を実施しましたが、どういう法的効果を狙ったものか定かでない印象がありました。今回の作戦はその目的とする法的効果は明確であり評価出来ますが、作戦のルート、態様、法的効果を公に説明しないことについてはオバマ政権の方針を踏襲しているようです。どうしてきちんと説明しないのか、判然としません。
この社説は「更にやるべきことがある」と言いますが、他に良い知恵もありません。したがって「航行の自由作戦」は是非とも継続されなければなりません。スカボロー礁の軍事化に中国が乗り出す兆候があれば、これを阻止する必要があります。
なお、社説の末段に紹介されているマティスの発言は、シャングリラ・ダイアローグにおける「70年前、アチソン国務長官は米国が主導する秩序の創造に立ち会ったと書いたが、NATO、TPP、パリ協定を巡る出来事を見ると、今や我々はその秩序の破壊に立ち会っているのではないか」という聴衆の質問に答えたもので、「アメリカ人は常に正しいことを行う――全ての選択肢をやってみた後であるが(The Americans will always do the right thing... after they've
exhausted all the alternatives.)」というチャーチルの言葉に基づくものです。南シナ海でも「最後は米国に頼れる」ということであってほしいものです。
米海軍、5月に続き2回目の南シナ海で「航行の自由作戦」を実施
米海軍は2017年7月2日、南シナ海で中国とベトナム、台湾が領有権をめぐって対立する島々の付近の海域を通過する「航行の自由作戦」を実施した。
米海軍の駆逐艦「ステザム」は西沙(英語名パラセル)諸島のトリトン島から12カイリ以内の海域に入った。
中国はこれを受け、「深刻な政治的かつ軍事的挑発」だと批判し、「国家主権と安全を守るためにあらゆる手段」を取ると述べた。
作戦が実施された数時間後には、事前から準備されていたドナルド・トランプ米大統領と中国の習近平国家主席との電話会談が行われた。
トランプ大統領が就任した今年1月以降で、「航行の自由作戦」が実施されるのは2回目。5月には駆逐艦「デューイ」が南沙諸島(英語名スプラトリー)で中国が建設した人工島から12カイリ以内の海域を通過した。
ジェームズ・マティス国防長官は数日後、中国が人工島を軍事化するのを米国は容認しないと述べた。
南シナ海にある島々は歴史的にも周辺国の対立の種となってきたが、近年は徐々に緊張が高まってきている。
南シナ海の全域または一部の領有権を争うのは中国、ベトナム、台湾のほか、フィリピン、マレーシア、ブルネイ。
中国政府は岩礁の周囲に人工島を建設し、海軍が紛争海域を巡回している。
米国艦をついに凌駕か、中国の新鋭駆逐艦の戦闘力
「アジア最強の駆逐艦」進水、米国の新たな危惧が現実に
北村淳
2017.7.6(木)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50402
今回FONOPを実施した米海軍のアーレイバーク級駆逐艦「ステザム」(出所:米海軍)
アメリカ海軍ミサイル駆逐艦「ステザム」(横須賀を本拠地とする第7艦隊所属)が、2017年7月2日、西沙諸島のトリトン島沿岸12海里内海域を通航した模様である(アメリカ当局は公式には発表していないが中国当局は抗議と警告を発している)。2017年5月26日に引き続いて、トランプ政権下で2度目の南シナ海における「FONOP」(公海での航行自由原則維持のための作戦)ということになる。
南シナ海でのFONOPが2015年に始められてから6度目になるが、わずか1カ月の間を置いて実施されたのは今回が初めてである。
北朝鮮情勢を巡って中国に対して“気を使わざるを得なくなった”トランプ政権に苛立ちを隠せなかった対中強硬派の米海軍関係者たちは、今回のFONOP実施によって、「より頻繁なFONOPの実施」が定着することを期待している。
しかしながら、いくら中国の覇権主義的海洋進出政策を米海軍や米外交当局が牽制しようとしても、「せいぜいFONOPを南シナ海で実施するのが関の山」といった状況であるのもまた事実である。
そして、対中国戦略家たちにとって、新たな危惧が現実のものとして突きつけられた。それは、2016年6月28日に中国海軍が進水させた最新鋭の駆逐艦である。
「055型ミサイル駆逐艦」1番艦の進水式の様子(YouTubeより)
中国メディアは「アジア最強の駆逐艦」と喧伝
中国当局側の発表によると、進水した「055型ミサイル駆逐艦」は、全て“国内技術”によって建造されたという。基本排水量1万トン、満載排水量1万4000トン、全長180メートルの055型駆逐艦は、これまで中国海軍が建造してきた水上戦闘艦(航空母艦、揚陸艦を除く駆逐艦やフリゲートなど)のうちで最大であるだけでなく、第2次大戦後にアジアで建造された最大の水上戦闘艦である。
大きさだけではなく、様々な充実した装備も積載しており、「アジア最強の駆逐艦」あるいは「アメリカの最新鋭ズムウォルト級ミサイル駆逐艦に迫る世界最強の駆逐艦の1つ」と中国当局系のメディアなどは喧伝している。
055型駆逐艦は(もちろん実戦に投入されたわけではないので真の戦闘能力に対する評価は誰にも分からないが)中国当局系メディアなどによる自画自賛だけではなく、アメリカ海軍関係者の間でも評価が高く、強く危惧している人々は少なくない。すなわち、「055型駆逐艦の海上戦闘における攻撃能力はアメリカ海軍のいかなる水上戦闘艦より勝っている」として、警戒を強めているのだ。
敵を侮ってはいけない
日本では、中国の軍艦をはじめとする兵器などに対して「見かけ倒しに過ぎない」とか「張り子の虎のようなものだ」といった見方が少なくない。しかしアメリカ海軍関係機関やシンクタンクなどの軍事専門家(兵器や武器マニアの親玉といった人々ではなく、軍事戦略や安全保障政策のエキスパートたち)の多くは、「少なくとも確実なデータが入手できていない段階では、敵側の戦力などに関しての楽観的な判断は避ける」という習性を身につけている。
1941年の日米開戦以前、当然のことながら、アメリカ軍、そしてアメリカ政府は、日本海軍が巨大な戦艦や航空母艦を建造し、ゼロ戦をはじめとする多数の航空機を手にしていることを認識していた。しかし、日本の場所さえ知らないアメリカ国民はもとより多くの軍人さえも「いくら立派な戦艦やゼロ戦を持っていても、日本人ごときにとっては宝の持ち腐れで、虚仮威(こけおど)しに過ぎない」とみくびっていた。
そのため、太平洋方面(すなわち対日本)の最前線であるハワイ(太平洋艦隊)や、前進軍事拠点であるフィリピン(米フィリピン駐屯軍、とりわけフィリピンの米軍司令官マッカーサーは日本軍の“強さ”を過小評価していた)での対日防備は隙だらけで、結果として日本軍の先制攻撃を受けて大痛撃を被ることとなった。
アメリカ海軍戦略家の多くはこの種の教訓を生かし、「決して敵対する勢力の戦力を『どうせ・・・ちがいない』といった具合に自分たちにとって都合が良いように見くびってはならない」と考えている。「とりわけ、敵の人的資源に対して『士気が低いようだ』『訓練が行き届いていない』『作戦立案能力が劣る』といった評価をなすことは控えるべきであり、少なくともわが軍と同等かそれ以上の存在であると考えておけば、実戦になって『こんなはずではなかった』という事態に陥ることはない」として、敵の資源を決して過少評価せず、むしろ自軍を上回っていると想定するのである。
そのため、055型駆逐艦を論ずる米海軍関係者たちの間には、「ついに、中国海軍駆逐艦がアメリカ海軍のそれを凌駕する日がやってきてしまった」という評価が広がっているのだ。
「055型」駆逐艦の海上戦闘能力
米海軍がとくに脅威に感じているのは、055型駆逐艦が備えている海上戦闘能力である。
現在、アメリカ海軍最強と言われている水上戦闘艦は「ズムウォルト級ミサイル駆逐艦」である。2016年に就役したこの新鋭駆逐艦は、最新型の多機能レーダーシステム(AN/SY-3)、全ての艦内システムのネットワーク化、最新型のミサイル垂直発射装置(MK57-VLS: 発射管合計80セル)などを装備している。
米海軍のズムウォルト級ミサイル駆逐艦「ズムウォルト」(出所:米海軍、以下同)
MK57-VLSからは、地上攻撃用トマホーク巡航ミサイル、各種対空ミサイル、弾道ミサイル防衛用ミサイル、対潜水艦用ミサイルなどを発射することができる。このほかズムウォルト級駆逐艦は、最新推進システム、最新情報処理システム、それに高度なステルス形状を備えているため「最強の駆逐艦」と言われている。
だが、当初は32隻の建造計画があったものの、現時点では1隻が就役しているのみで、あと2隻で建造は打ち切られることになっている。
そのため航空母艦を除くアメリカ海軍の主力水上戦闘艦は、「アーレイバーク級ミサイル駆逐艦」(合計76隻を保有する予定、現在62隻が就役中、2018年中までに6隻が就役予定)と、「タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦」(現在22隻が就役中)ということになる。いずれの軍艦にも、ズムウォルト級駆逐艦よりも発射管数(アーレイバーク級駆逐艦は90セルあるいは96セル、タイコンデロガ級巡洋艦は122セル)の多いミサイル垂直発射装置(MK41-VLS)が装着されているが、情報処理システムやステルス形状などはズムウォルト級駆逐艦とは比べようもないレベルである。
タイコンデロガ級巡洋艦「シャイロー」
一方、中国の055型駆逐艦は、ズムウォルト級駆逐艦に迫るステルス形状をしており、中国が独自に開発したミサイル垂直発射装置(発射管は128セル)はMK41-VLSやMK56-VLSよりも大型のミサイルを発射することが可能である。そして、潜水艦を探知するソナー類も、米海軍や海上自衛隊の装備に勝るとも劣らない強力なシステムを搭載しており、「中華神盾」と称する対空レーダー戦闘システムもアメリカが誇るイージスシステムを凌駕するとされている。
米海軍が恐れる「YJ-18」
このような強力な防衛手段に加え、米海軍関係者たちが大きな危惧を抱いているのは、この新型駆逐艦の128セル垂直発射管からは“超強力”な「鷹撃18型超音速巡航ミサイル」(YJ-18)が発射されることである。
YJ-18は、地上目標も敵艦も攻撃することができる巡航ミサイルであり、最大射程距離は540キロメートル程度とされている。軍艦と軍艦による海上戦闘では500キロメートル以上も離れた敵艦を攻撃することはほとんど考えられないものの、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦や一部のアーレイバーク級駆逐艦が装備しているハープーン対艦ミサイルの射程距離が124キロメートルとされているため、055型駆逐艦は米巡洋艦や駆逐艦の脅威圏外から米艦艇を攻撃することが可能となる。
さらに、YJ-18は攻撃目標に接近すると最終段階の40キロメートルはマッハ3以上で飛翔する「ロシア譲りの性能」を有していると推定されており、米海軍にとっては極めて深刻な脅威となる。
このような脅威に対して、アメリカ海軍は空母打撃群を繰り出し、空母から発進する攻撃機によって敵艦艇を撃破するという基本方針に頼ってきた。そのため、巡洋艦や駆逐艦自身が搭載する対艦ミサイルを強力化する必要性は生じなかった。それよりも、防空ミサイルシステムをはじめとする防御能力に莫大な資金と最先端技術をつぎ込んできたのである。
ところが、中国海軍との戦闘が予想されるのは南シナ海あるいは東シナ海であり、中国との有事の際に、それらの海域に空母打撃群を出動させるという米海軍の大前提そのものが怪しくなってきてしまった。というのは、中国人民解放軍ロケット軍が東風21-D型対艦弾道ミサイル(DF-21D)ならびに東風26型対艦弾道ミサイル(DF-26)の運用を開始したからである。
まず、東シナ海は中国沿岸域から最大でも1000キロメートル程度の広がりしかない。また、南シナ海での予想戦域でも1500キロメートル程度の距離しか離れていない。そのため、東シナ海や南シナ海に進攻した米海軍空母はDF-21DやDF-26の餌食となりかねず、米海軍の伝統的な空母艦隊による作戦は極めて危険となる。したがって、中国との海上戦闘は、艦艇対艦艇の戦闘を想定すべきであるという考えが持ち上がってきている。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50402?page=6
すると、ハープーン対艦ミサイル程度の敵艦攻撃力しか備えていない米海軍の戦闘艦は、055型駆逐艦にはとうてい太刀打ちできないということになる(中でも、新鋭のアーレイバーク級駆逐艦とズムウォルト級ミサイル駆逐艦には、ハープーン対艦ミサイル程度の攻撃力すら備わっていないため、増設が必要となる)。
「今後5年間は隠忍自重するしかない」
以前よりこのような状況になりかねないことを危惧していた一部の海軍戦略家たちは、「YJ-18」に匹敵する強力な対艦超音速巡航ミサイルの開発を提唱していた。しかし、その開発はようやくスタートしたばかりであり、誕生するのは早くても5年後と考えられている。
一方、先日一番艦が進水した055型駆逐艦は3番艦までが引き続き誕生し、アメリカの新型対艦ミサイルが誕生する5年後までには、少なくとも8隻前後の055型駆逐艦が就役しているかもしれない。また、問題のYJ-18は055型駆逐艦より小型の052D型ミサイル駆逐艦(1番艦が2014年に就役し、間もなく6番艦と7番艦が就役する)にも搭載されるため、すでに2020年には20隻以上の中国海軍駆逐艦がアメリカ海軍艦艇をアウトレンジ攻撃する能力(敵の射程圏外から敵艦を攻撃する能力)を身につけることになる。
このため、米海軍関係者からは「少なくとも今後5年間は、(中国近海域すなわち東シナ海や南シナ海における海上戦闘では)どうあがいても中国海軍優位の状況を突き崩すことが困難になってしまった」との声も上がっている。アメリカ海軍の弟分である海上自衛隊にとっても、このような“米海軍の嘆き”は、残念ながら共通する。
このような状況に立ち至った原因は、アメリカ海軍艦艇(海自艦艇も同様)が、強力な敵艦攻撃能力を犠牲にしてまでも、超高額な予算と最高度の技術が要求される対空防御能力の充実に努力と予算を傾注しすぎたからである。この事例は、我が国の弾道ミサイル防衛態勢や、専守防衛という国防の基本方針そのものにとっても、大きな教訓とすべきである。
《維新嵐》先に完成進水した空母遼寧、2隻目の空母をみても今後共産中国が、空母を中心に海軍戦略、戦力をあらためて構築してくることは明らかです。
南シナ海と東シナ海の防衛は、日米共通の国益を守ることにつながります。空軍レベルの演習ではありますが、ついに東シナ海においても日米共同演習が実施されるに至りました。逆に事態が「深刻化」しているともいえます。
【航空自衛隊F15と米爆撃機が東シナ海で初の夜間共同訓練】米機は南シナ海上空も・中国や北朝鮮を牽制
2017.7.8 01:07更新http://www.sankei.com/world/news/170708/wor1707080014-n1.html
【ワシントン=加納宏幸】米太平洋空軍はB1B戦略爆撃機2機が平成29年7月6日、東シナ海上空で航空自衛隊のF15戦闘機2機と共同で初めてとなる夜間訓練を実施したと発表した。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で領海侵入を繰り返す中国や、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した北朝鮮を牽制(けんせい)したとみられる。
B1Bはグアム・アンダーセン空軍基地から東シナ海に飛来し、自衛隊機と訓練を実施した。米軍機と自衛隊機の相互運用性を高める狙いだという。B1Bはその後、中国が領有権を主張する南シナ海の上空を飛行して、グアムに戻った。
米太平洋空軍は声明で「今回の任務は、国際法で許された場所であればどこでも米国が航行の自由の権利を行使することを示した」と強調。また、訓練は日本など同盟国との「継ぎ目のない作戦実施」を可能にするものだと指摘した。
航空自衛隊F-15とアメリカ空軍B-1B、東シナ海で夜間共同訓練を実施
2017/07/07 12:43
http://flyteam.jp/airline/japan-air-self-defense-force/news/article/81439
離陸するB-1Bランサー
B-1Bは南シナ海上空も飛行しました。
航空自衛隊は2017年7月6日(木)、アメリカ空軍と共同訓練を実施したと発表しました。東シナ海上空の訓練空域で行ったもので、参加部隊は空自は第9航空団のF-15が2機、アメリカ空軍は第9遠征爆撃飛行隊のB-1Bランサー2機でした。訓練は、編隊航法訓練を行い、アメリカとの共同対処能力と部隊の戦術技量の向上を図るものでした。
アメリカ太平洋空軍はこの訓練について発表しており、初めての夜間に実施した空自戦闘機との共同訓練になったと発表しています。アメリカ空軍は安全、かつ効果的な方法を夜間に飛行訓練を実施することは、重要な能力としており、この訓練の意義を述べています。
アメリカ空軍は、訓練は国際法の下でアメリカが航行の自由を行使する活動に資するもので、アジア太平洋地域において不安定な行動を防ぎ、日米間の連携を示すことに繋がるとしています。
北朝鮮の弾道ミサイル実験は何のために実施されているのでしょうか?
アメリカに対して二国間外交できるような外交環境構築のため?
我が国への政治的優位性を確保するため?
共産中国の南シナ海、東シナ海への覇権拡大を「支援」するため?
みなさんはどう考えますか?
ただはっきりしていることは、私たちの国の国益伸長のためには全く迷惑で邪魔な存在であるということでしょう。
北朝鮮が弾道ミサイル、排他的経済水域内に落下か
日韓両政府によると、北朝鮮が2017年7月4日午前9時40分ごろ、弾道ミサイルを発射した。
聯合通信が伝えた韓国軍合同参謀本部の発表によると、西部・平安北道のバンヒョン飛行場から発射された。
NHKによると防衛省は、日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した可能性があると話している。
菅義偉官房長官は記者会見で、弾道ミサイルが約40分間にわたり飛翔(ひしょう)し、日本海の日本のEEZ内に落下したとみられると発表した。
安倍晋三首相は3日はドナルド・トランプ米大統領と電話協議を行い、政策をすり合わせたばかりだった。トランプ氏は同日、中国の習近平・国家主席とも電話会談している。
3首脳は、北朝鮮のミサイル・核開発終了に向けて努力を続けると合意している。
(英語記事 North
Korea fires missile towards Japanese waters, officials say)提供元:http://www.bbc.com/japanese/40490024
米政府、北朝鮮のICBM発射実験を確認
北朝鮮が2017年7月4日に発射した弾道ミサイルについて、米政府は同日、北朝鮮が主張しているとおり、大陸間弾道ミサイル(ICBM)だったと確認した。
レックス・ティラーソン国務長官は、米国や世界に対する「脅威がさらに深刻化した」とし、米国は「核武装した北朝鮮を絶対に容認しない」と述べた。
北朝鮮は4日、ICBMの発射実験に成功したと国営メディアを通じて発表していた。
米政府関係者は、北朝鮮のミサイルがアラスカ州まで到達できるようになった可能性があるとみている。
しかし専門家たちは、標的に正確に当てる技術は北朝鮮にないと考えている。
日本海に着弾した今回のミサイル発射を受け、米国防総省のダナ・ホワイト報道官は、「我々の精密な攻撃能力を見せるため」、米国と韓国が「合同(軍事)演習を実施した」と述べた。
米国はまた、北朝鮮問題を話し合うため国連安全保障理事会の緊急会合を要請した。安保理は5日に非公開の会合を開く予定。
ティラーソン長官は4日の声明で、「米国は北朝鮮による大陸間弾道ミサイルの発射を強く非難する。ICBM発射実験は、米国と同盟・パートナー国、地域、そして世界に対する脅威がさらに深刻化したのを示している」と述べた。同長官はさらに、「世界的な脅威を止めるには世界的な行動が必要だ」と強調した。
ティラーソン長官は、北朝鮮に対して経済的、軍事的な支援をしたり、国連安保理の決議を完全に守らなかったりした国があったとすれば、「危険な政権を助け、けしかけている」とくぎを刺した。
北朝鮮の発表
国営の朝鮮中央通信(KCNA)は、金正恩・朝鮮労働党委員長の立ち会いのもと、ICBM「火星14」を発射したと伝えた。ミサイルの飛行距離は933キロで、高度は2802キロに達したという。39分間飛行して海上の標的に命中させたと、同テレビは説明している。
KCNAは、金正恩委員長が「米国人たちへの独立記念日の贈り物だ」と述べたと伝えた。
ミサイルの射程
韓国のソウルで取材するスティーブン・エバンズ記者は、注目されるのはミサイルの射程距離だと指摘。米国本土に到達できるのかという点だ。
米団体の「憂慮する科学者同盟(UCS)」の物理学者、デイビッド・ライト氏は、もし報道内容が正確であれば、標準的な軌道で最大射程距離は約6700キロだという。この場合、アラスカ州が射程に入るものの、ハワイ州を含むほかの49州には到達できない。
エバンズ記者はさらに、ミサイルが大気圏に再突入する際の弾頭の耐熱性などの技術を北朝鮮が得ているかどうかは不明だと指摘している。
各国の反応
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、国連安保理に対し、北朝鮮問題で行動を起こすよう求めた。
日本の菅義偉官房長官は、「北朝鮮による度重なる挑発行為は断じて容認することはできない」と述べた。安倍晋三首相は、7、8日にドイツのハンブルクで開催される主要20カ国・地域首脳会議(G20)に合わせて日米韓首脳会談を行い、3カ国が連携して北朝鮮に圧力をかけていくと語った。
米国のドナルド・トランプ大統領もミサイル発射から時間を置かずに反応した。トランプ氏は4日、金正恩氏についてとみられるツイートで、「こいつはもっとほかにまともなやることはないのか」と書いた。
「韓国と日本がこれ以上我慢するとは思えない。もしかしたら中国が北朝鮮にすごい事をして、このナンセンスに一気に終わらせるかもしれない」
トランプ大統領は、北朝鮮が経済的に最も依存する中国が圧力をかけることで、北朝鮮の核・ミサイル開発を止めるべきだと、中国に繰り返し要請してきた。
トランプ氏は今年1月、北朝鮮が米国を攻撃する能力を持つ可能性について「そんなことは起きない」とツイッターで述べた。専門家らは、時間の猶予は5年かそれよりも短いかもしれないと指摘している。
一方、英国のボリス・ジョンソン外相は、「北朝鮮の人々が飢餓と貧困に耐えるなかでも、核兵器を作り、不法なミサイルを発射しようと全力を挙げる政権に代償を払わせるため」、国際社会が「あらためて努力する必要がある」と述べた。(英語記事 North Korea missile test was ICBM - US)提供元:http://www.bbc.com/japanese/40502838
「やむを得なければ軍事力行使する」 北朝鮮問題でヘイリー米国連大使
ニッキー・ヘイリー米国連大使は2017年7月5日、北朝鮮が前日に実施した大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験への対応を協議する国連安全保障理事会の緊急会合で、やむを得なければ米国は「相当の軍事力」を行使すると述べた。
4日のICBM発射実験についてヘイリー大使は、「外交的解決の可能性を急速に閉ざそうとしている」とし、「米国は我々と我々の同盟国を守るため、保有する多様な能力のすべてを使う準備がある」と述べた。
同大使は緊急会合で、「我々の能力の一つには相当規模の軍事力がある。やむを得なければ、それを使うが、その方向に進みたくはない」と発言した。
ICBM発射実験によって急激に軍事的緊張が高まったとするヘイリー氏は、北朝鮮への新たな安保理決議案を提出すると表明した。
フランスも北朝鮮への制裁を強化する新たな国連決議を支持した。
ロシアはICBM発射実験を強く非難するとしたものの、軍事力行使という選択肢は「除外されるべき」だと述べた。
中国の劉結一国連大使は、北朝鮮の行動を容認できないとしたが、米国が韓国で配備を進める地上配備型迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)」を引き揚げるべきとの意見を、ロシアと歩調を合わせる形で表明した。また、米国と韓国が北朝鮮国境近くで実施している合同軍事訓練の停止を求めた。
ヘイリー大使は、国連決議に違反する形で北朝鮮と貿易を続ける国々との貿易を停止することも可能だと述べた。同大使は、「どんな国であろうと、この不法な独裁政権との取引を選ぶ国は(禁輸制裁の)検討対象になる」と語った。
一方、ドナルド・トランプ米大統領は、7、8日にドイツのハンブルクで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議に先立ち、ポーランドのワルシャワに到着している。
トランプ大統領はG20に合わせて中国の習近平国家主席と会談する予定。両首脳が直接会うのは今年4月にフロリダ州の別荘「マール・ア・ラーゴ」で行われた会談に続いて2回目。
4月の首脳会談の後、トランプ氏は中国との協議に「ものすごい進展があった」と述べていたが、5日にはツイッターで、「第1四半期の中国と北朝鮮の貿易は4割近く伸びた。中国が我々に協力するって言っても、こんなものか。でもやるだけやってみなきゃならなかったから!」とコメントした。
(英語記事 North
Korea missile: US says it will use military force 'if we must')提供元:http://www.bbc.com/japanese/40515531
【寄稿】北朝鮮のICBM実験 「ゲーム・チェンジャー」か
ジョン・ニルソン=ライト博士、英王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)
北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に成功した、米国攻撃が可能だと、自信たっぷりに発表した。北朝鮮はどうやら、掛け金の高い国際ポーカーが非常に得意で、今回の発表はその駆け引きの新たな一手だ。
7月4日の米独立記念日にきっちりタイミングを合わせた堂々たるミサイル発射によって、北朝鮮を独裁支配する金正恩氏は、軍の近代化という国民への約束を実現した。そして同時に、北朝鮮のICBM発射は「あり得ない」と書いたドナルド・トランプ米大統領の自信過剰なツイートがいかに空虚なものかを暴いて見せた。
「火星14」ロケットの発射は、実際的な意味では単に、5月の発射実験からごくわずかな進展を意味するに過ぎない。5月には類似のロケットが30分間飛行し、約2111キロの高度に達し、約787キロの距離を飛んだ。
今回のミサイルは、前回より飛行時間を7~9分伸ばし、高度を約640キロ、飛距離を約140キロあまり伸ばした。
表面的にはこれは単に、北朝鮮が何十年も繰り広げてきた挑発と戦術的な武力誇示の繰り返しに過ぎない。北朝鮮は(1960年代から)長年にわたり核兵器保有を追及してきたし、昨年から今年にかけてはミサイル実験を加速化させてきた。
とはいえ、アラスカを射程圏内に収める今回の実験は、象徴的な意味でも実際的な意味でも、紛れもない「ゲーム・チェンジャー」(試合の流れを一気に変える要因)だ。
大半の米国本土からは地理的に離れているとはいえ、アラスカという米国領土がついに北朝鮮政府の標的内に入った。そして、北朝鮮が単に北東アジア地域や米国の主要同盟各国への「本物で現在の」危険だというだけでなく、米国そのものにとっての「本物で現在の」危険なのだと、米国大統領が初めて受け入れざるを得なくなった。
トランプ大統領は自分の「手」を、あまりにあけっぴろげに、かつ大声で、過剰に振りかざした。それが弱点だ。
空母カール・ビンソンを中心とする打撃群を「アルマダ(大艦隊)」と呼び、これを朝鮮半島へ派遣するという当初の戦法は、歴史用語の使い方がまずかったというだけでなく(16世紀スペインの「無敵艦隊」は結局は大敗したため、同じ言及するにしてもこれほど縁起の良くない表現はそうそうなかった)、北朝鮮の威圧に著しく失敗した。
同様に、中国に圧力をかけるトランプ政権の戦術も失敗したようだ。中国を為替操作国に指定しないという抑制的な経済措置と引き換えに、北朝鮮に懲罰的制裁を科すよう、トランプ政権はあからさまに中国に圧力をかけたのだが。
中国の習近平・国家主席は、4月のマール・ア・ラーゴ首脳会談で流れた友好的なムード音楽もさることながら、トランプ氏の追及をするりとかわしたようだ。そして北朝鮮による最新の挑発行為への中国の反応は、おそらくおなじみのもの、北朝鮮を言葉の上では非難しつつ全当事者に平静を呼びかけるという対応に留まるのだろう。
米政府がすぐに実行できる選択肢は限られている。
軍事行動は、ジョン・マケインやリンジー・グレアムといった共和党上院議員たちのタカ派的な提案はともかくとして、実際にはほとんど不可能だ。ソウルへの報復攻撃のリスクもそうだし、北朝鮮の戦略拠点や政治指導部を取り除くという意味での成功の可能性が、きわめて低いからだ。
おそらく国連安全保障理事会を再招集して追加制裁が検討されるのだろう。しかし、この政治プロセスは冗長で、制裁の実行力は良くて部分的、つまりは効果のない対応なのだ。
外交交渉は前に進む方法の一つだ。文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領の最近の訪米と、米韓両政府の方針すり合わせから、北朝鮮との部分的交渉再開が何らかの形であり得るのかとうかがわせる。もっともこれはあくまでも、核抑止強化の枠組みの中での話だが。
とはいえ今のところ、勢いがあるのは北朝鮮のみだ。北朝鮮にしてみれば、米国との交渉に応じるインセンティブ(動機)はほとんどない。北朝鮮としては、国際社会の分断を自国利益に変えながら、軍の近代化を加速化させるための時間稼ぎをする方が得策だ。
その一方で、ドイツで今週開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議では米国、韓国、日本の首脳たちは一致して、強硬策を求めるだろうが、結局は中国とロシアの賛成が得られず、当たり障りのない非難声明以上のものを確保するのに苦労するはずだ。
現在の危機は二重に危険だ。
今回の実験成功に自信を得た金正恩氏は、今まで以上にリスクを恐れず、通常の軍事瀬戸際政策に携わるようになるかもしれない。すると、近隣諸国への先制攻撃とまではいかないものの、意図してというより偶発的な誤算から衝突に至りかねない。
あるいは、交渉の余地がないはずの「赤い線(超えてはならない一線)」を北朝鮮がまたしても超えてしまった場合、その不快な現実に直面した米国が現実から目をそらすだけで終わってしまう可能性もある。
自己流の「偽ニュース」に固執する大統領にとっては、たとえ不都合な真実が出現したとしても、真実の定義を変えてしまうか、あるいは当初の「超えてはならない一線」を単に無視するのが、一番簡単な取り組み方だ。
しかしこれは対応方法としては大間違いだ。北朝鮮を抑制する効果は何もなく、かつ周辺諸国に対しては、もはや独自に軍事力を刷新した方がいいというメッセージになってしまう。これは将来へ向けて、問題をいっそう山積させるだけだ。
トランプ氏が自分は本当に「取引の名人」なのだと知らしめたいのならば、米大統領は結局のところ、ツイッターという演台からのメガホン外交を諦めて、より賢明なアプローチをとる必要がある。
これにはたとえば、北朝鮮の若い指導者のエゴと自己愛を満足させるような、高名な米国政界の重鎮を交渉役に派遣するという、発想力豊かな手もあり得る。
あるいは、韓国をはじめとする米国の同盟各国との調整をより緊密にし、北朝鮮に目立つ政治的譲歩を提供することも、ひとつの手だ。たとえば、平壌に米政府の連絡使節事務所を設けたり、あるいは朝鮮半島の通常兵力を一方的かつ連続的に削減するなどが考えらえる。
今の米政府は(地域と世界全般のため)、目玉と目玉をこすり合わせるように虚勢を張りあう以上の、より長期的かつ持続的で調整された対北朝鮮交渉戦略を、喫緊に必要としている。
衝動的で注意力散漫で落ち着きのないトランプ大統領は、ポーカーをやめてチェスに切り替えた方がいい。
ジョン・ニルソン=ライト博士は、英シンクタンク「チャタムハウス」(王立国際問題研究所)北東アジア担当上級研究員、およびケンブリッジ大学日本政治東アジア国際関係講師
日米韓三国による外交的圧力の強化を確認しています。
北朝鮮を抑えるには韓国の協力も欠かせません。そこにロシアも鍵を握っているともいえますが。共産中国をあてにすると南シナ海がやばくなる、といえるでしょうから、全面的に北朝鮮問題であてにできないでしょう。
【日米韓共同声明を発表】対北「最大限の圧力」で協力
トランプ氏、核含む防衛義務を再確認
2017.7.8 00:58http://www.sankei.com/politics/news/170708/plt1707080006-n1.html
【ハンブルク=原川貴郎】安倍晋三首相は平成29年7月6日夜(日本時間7日未明)、ドイツ・ハンブルク市内の米国総領事館でトランプ米大統領、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と首脳会談を行った。安倍首相は「北朝鮮は真剣に対話する意思などない。今は圧力をかけていくことが必要だ」と述べ、南北対話に意欲を示す文氏を牽制(けんせい)した。3首脳は会談後に共同声明を発表し、北朝鮮に「最大限の圧力をかけるため協力する」と強調した。
トランプ、文両氏の大統領就任後、日米韓の首脳が一堂に会するのは初めて。
共同声明ではトランプ氏が日韓両国に対し、核兵器の使用も含めた防衛義務を果たすことを再確認したと明記した。中国とロシアを念頭に「北朝鮮と国境を接する国々」に北朝鮮を説得するための努力も求めた。
会談では、安倍首相が国連安全保障理事会での新たな対北制裁決議採択に向けた連携を呼びかけ、米韓両首脳は賛意を示した。日韓両首脳は中国の丹東銀行(遼寧省)を対象とした米国の新たな対北措置を評価し、米国と連携する考えを示した。
3首脳はまた、北朝鮮に影響力を持つ中国に対し、対北圧力を強めるよう日米韓が働きかける方針も改めて確認した。
日米韓3カ国の安全保障協力についても協議し、安倍首相は両大統領に「協力分野をさらに拡大していきたい」と呼びかけた。拉致問題解決に向けた取り組みにも協力を求めた。
「作戦計画5030」情報戦をしかけながら、軍事攻撃オプションも辞さないアメリカ
日米韓による外交的圧力を加えるのにあわせて、軍事的な圧力も同時に北朝鮮に対して行われている。「作戦計画5030」。斬首作戦を匂わせるアメリカが北朝鮮にしかける情報戦、これに対してなんとか抗している金正恩という形を考えることができるように思う。
北朝鮮に先制攻撃か?金正恩氏の斬首作戦から変更
統帥権者・トランプ氏からの命令待つ米韓軍
2017.7.8 01:00更新http://www.sankei.com/premium/news/170708/prm1707080027-n1.html
(編集委員久保田るり子)
韓国で実施された米韓合同ミサイル演習「フォール・イーグル2017」
米韓合同軍事演習「マックス・サンダー2017」
北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)試射で緊張が高まった平成29年7月5日朝、米韓両軍は韓国東海岸で「斬首作戦」の一環のミサイル発射合同訓練を実施した。訓練では斬首作戦に使う長距離空対地ミサイル「タウルス」のPR動画も公開、仮想の北朝鮮人民武力部を撃破する刺激的な映像で北朝鮮を牽制している。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は斬首作戦を極度に恐れているという。そのため公開行動を縮小したとされるが、朝鮮半島は“挑発には挑発で”の危険なサイクルの様相となってきた。
北は情報収集に血眼・気が気でない斬首作戦
韓国軍合同参謀本部の発表によると、7月5日の訓練で動員されたのは在韓米軍の地対地ミサイル「ATACMS」と韓国軍の「玄武2A」だった。標的が「敵の指導部」だと明らかにし、斬首作戦であることを明言した。
「玄武2A」は韓国開発の射程300キロの弾道ミサイル、「ATACMS」は1発でサッカー場が粉砕できる能力を持つ。この米韓ミサイルの同時発射訓練を行った。韓国の韓民求(ハン・ミング)国防相は国会で「北朝鮮の弾道ミサイル挑発に対し米韓が弾道ミサイル訓練を行ったのは今回が始めて」と述べている。
金正恩氏は「斬首作戦」に神経をとがらせているという。韓国の情報機関、国家情報院が国会に報告したところでは、金正恩氏は今春から斬首作戦を恐れて公開活動を約3割減らしたという。金正恩氏は「米軍が偵察しているときは、活動も明け方に行い、地方視察も専用車のベンツに乗らず、幹部用のレクサスに乗っている」といい、「北朝鮮は斬首作戦の情報収集に血眼だ」としている。
最近、北朝鮮は無人機で韓国を偵察しており、6月初旬に韓国中部で発見された無人機の日本製カメラには、高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備予定基地をはじめ、斬首作戦関連の500枚以上の写真が写っていた。
ニセ情報も流す米心理戦
韓国軍と在韓米軍が斬首作戦を共同軍事訓練などで本格化させたのは昨年からだが、在韓米軍は斬首作戦に合わせ兵器配備も変更させている。
最近、配備されたのは韓国中部から北朝鮮平壌の重要施設を狙える長距離空対地ミサイル「JASSM」だ。韓国の有力紙、朝鮮日報によると、中西部の米空軍第8戦闘航空団に配備されたJASSMはF16に搭載、平壌を狙えば着弾誤差はわずか2メートル前後という。また同紙によると、米韓の情報当局は平壌出身の脱北者から北朝鮮の支配層や高官の住居となっている平壌のマンション団地などについての位置情報なども収集しているという。
米軍は世界の紛争地での戦闘で敵の撹乱や戦意喪失を狙った情報戦を仕掛けている。そのなかでも朝鮮半島の心理戦は「作戦計画5030」と呼ばれる。この作戦では北朝鮮指導者の恐怖心をあおるニセ情報も流し、金正恩氏への心理圧迫も狙うという。今春の米韓軍事合同演習では「斬首作戦」に米特殊部隊を参加させたことを米軍はわざわざ発表し、金正恩氏の不安をあおった。
トランプVS金正恩の舌戦
ICBM発射直後、トランプ大統領はツイッターで「この男は人生でほかにやることがないのか」とつぶやいた。これに金正恩氏が応酬した。
「われわれの戦略的選択に米国は非常に不愉快だろう」
「独立節(記念日)のプレゼントは気に入らないだろう」
「今後も大小のプレゼントを贈ろう」
こう言って金正恩委員長は豪快に笑った-と朝鮮中央通信が肉声として伝えた。
米朝トップの応酬は前代未聞のこと。さらに2人は直情的な性格では共通しているだけに“口撃”のエスカレートは情勢を悪化させかねない。
金正恩氏の挑発にハラを立てたからでもないだろうが、トランプ大統領は7月6日、「われわれはかなり重大な措置をいくつか考えている」(ワルシャワでの記者会見)と、軍事オプションを強く示唆している。
CNNなど米報道によるとトランプ大統領は近く、ICBM発射にともなう対北措置を承認する予定で、そのなかには有事対応の戦力増援が含まれるという。韓国軍消息筋は今回の訓練について「北朝鮮ミサイルを先制攻撃する演習と考えて構わない」と述べており、挑発のサイクルが始まっている。
在韓米軍のブルックス司令官は、同訓練後の韓国軍合同参謀本部議長との共同声明のなかで、「われわれの選択である自制が平時と戦時を区別しているが、米韓同盟の統帥権者の命令があればわれわれはその選択を直ちに変更する」と述べた。事態が戦時と判断された場合、統帥権者はトランプ大統領ということになる。
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