2017年7月3日月曜日

南シナ海の共産中国による海洋覇権主義阻止へむけて ~ヘリ搭載護衛艦いずもの抜群の存在感~

FONOP参加よりはるかに効果的な「いずも」の活躍

ASEAN各国の士官を招待して南シナ海を航行

北村淳


海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」(写真:防衛省)

 南シナ海、そしてインド洋方面に長期にわたって展開中の海上自衛隊のヘリコプター空母「いずも」が、先週、ASEAN諸国の若手将校を乗艦させて南シナ海を航海した。
 中国が一方的に「主権的海域」と主張している九段線内海域へは乗り入れなかったようではあるが、中国による軍事的コントロール態勢が強化されつつある南シナ海情勢を睨んで、日本とASEAN諸国との協力関係を少しでも促進するための努力として大いに評価されるべき軍艦の運用であった。

南シナ海に中国が設定している九段線(太い点線)

※いくらなんでもあつかましすぎる九段線。蒋介石時代の国民党政府内において「適当に」ひかれた中国の海域?


揺れ動くトランプ大統領の対中姿勢
中国による南シナ海の覇権確保政策に対して、これまでアメリカは軍事的威嚇を含んだ強圧的な対抗策を実施してこなかった。本コラムでも繰り返し触れてきたように、中国に対して融和的であったオバマ政権時代に中国による南シナ海支配態勢は飛躍的に進展し、もはや戦争以外に突き崩すことができない状態に立ち至っている(公に口にされることはないが、国際常識になっていると言ってよい)。
トランプ大統領は、大統領選挙期間中から政権発足後しばらくの期間は、南シナ海問題を含めて中国に対して強硬な姿勢を示していた。しかし、北朝鮮問題が急浮上したため、習近平政権に対して融和的な姿勢を示さなければならなくなってしまった。マティス国防長官やティラーソン国務長官は、中国の南シナ海での拡張主義的行動に対して警鐘を鳴らしてはいるものの、オバマ政権後期の対中牽制的ポーズと五十歩百歩といったレベルに留まっている。
 ただし中国は、トランプ政権が期待していたような効果的圧力を北朝鮮にかけていない。そのことに対してアメリカ側ではいらだちが募っており、ある程度は中国に対して強硬な立場を取らないと、北朝鮮に対する圧力も反故にされかねないとの懸念も高まってきている。そこで、米国はようやく南シナ海でのFONOP(公海航行自由原則維持のための作戦)を再開し、FONOP以外にも軍艦や偵察機なども派遣するようになったのである。
FONOPしか手がないアメリカ
 しかし、たとえトランプ大統領が再び中国に対して強硬な姿勢を取るようになったとしても、南シナ海(それに東シナ海)を巡ってのアメリカによる対中牽制行動は、現在のレベルから飛躍的に強硬になることは考えにくい。
 なぜならば、アメリカには「第三国間の領有権紛争には直接関与しない」という外交原則が伝統的に存在しているからだ。
 そのため、これまで実施された南シナ海でのFONOPも、対象国が関与している領域紛争に介入したり、領有権の主張を真っ向から否定することは決してない。あくまでも「国際海洋法の重要な原則の1つである『公海での航行自由原則』を侵害している(あるいは脅かす恐れがある)国家に対して、航行自由原則を尊重させる」ために軍艦や軍用機を派遣して示威活動を行っているのである。
 実際に南シナ海でのFONOPでは、中国が人工島化したり武装を固めつつある島嶼環礁の周辺海域に軍艦を派遣してはいるものの、それらの海域での中国、フィリピン、ベトナムなどによる領域紛争に関して触れることはない。
外交方針を転換しても効果は見込めない
今後、もしもトランプ政権がアメリカ外交の伝統を打ち破って、「アメリカの国益を守るために第三国間の領域紛争にも関与する」という立場へ方針転換するならば、中国が建設した7つの人工島などでの中国領有権を否定することができるようになる。
 しかし、南沙諸島は中国とフィリピン、あるいは中国とベトナムといったように2カ国間での領有権紛争ではない。いずれの島嶼環礁も、中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、台湾、そしてブルネイによる多国間で領有権紛争が続いているため、アメリカが中国の領有権を認めないといっても紛争が収束するわけではない。
 さらに、南沙諸島に軍事拠点を築いているのは中国だけではなく、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシアも拠点を確保している(規模の大小は様々であり、いずれも中国の足下にもおよばないが)。したがって、アメリカが南沙諸島での中国だけの領有権を否定するということは、国際法的には全く説明がつかない対中国挑発行動に過ぎなくなる。
 このように、アメリカが中国に対して融和的姿勢を取るにせよ、強硬姿勢を取るにせよ、中国の南シナ海政策に対して取り得る牽制行動は、結局のところこれまでどおりにFONOPの域を出ないということになってしまうのだ。
海自の予算増加は必然
かねてよりアメリカ政府は、南シナ海でのFONOPに、日本の海上自衛隊やオーストラリア海軍などを参加させたい意向を表明してきた。
 しかし、すでに中国が南沙諸島に7つもの人工島を建設してしまい、それらの人工島や西沙諸島などでの防衛態勢を強化しつつある状況では、アメリカ海軍によるFONOPの効果はゼロに等しい。ただ単に「アメリカは南シナ海問題に関心を持っている」というポーズを示しているだけの状態と言っても過言ではない。
そのような効果が見込めないFONOPに海上自衛隊艦艇を参加させるのは、日本国民の血税の無駄使いにもなりかねない。
 とはいえ、南シナ海はアメリカ以上に日本にとって「生命線」とも言える重要な海上航路帯が横たわっている海域だ。中国の横暴に対して、アメリカだけに牽制行動を任せておくわけにはいかないのは当然である。
 そこで、今回の「いずも」の“ASEAN取り込み作戦”が大きな意味を持つ。日本の外交的協力関係を南シナ海周辺諸国へ拡大強化していくこうした努力は、効果がほとんど見込めないFONOPへの参加よりも、はるかに賢い軍艦の運用法であると言えよう。


「いずも」と同行した護衛艦「さざなみ」(写真:防衛省)

 ただし、このように軍艦を南シナ海など外洋に派遣するには、当然のことながら燃料をはじめとして莫大な費用がかかる。

 日本の国民経済にとって生命線ともいえる南シナ海での日本の国益を維持するためには、今後ますます海上自衛隊艦艇や航空機を南シナ海やインド洋などに展開させる機会が増加するのは必至だ。そのためには、国防費(とりわけ海上自衛隊)を飛躍的に増加させなければ、日本周辺警備や基本的訓練などに関連する費用などを削減せざるを得なくなり、自衛隊自身が弱体化してしまうという本末転倒の結果となりかねない。

《維新嵐》護衛艦いずもは、全通甲板をもち対潜哨戒/攻撃ヘリが5機同時に離発着できるという対潜戦には不可欠な艦艇ですが、同時に海上自衛隊の護衛艦隊の「指揮艦」としての中枢機能も併せ持っています。そのわが国の海軍を代表して南シナ海沿岸国の要人をのせて航海できるということは、さりげなくわが国の海防のスタンスを国際的にアピールすることになっているのでしょう。

【自衛隊の「存在感」強化へ】日米連携で中国への対抗姿勢を鮮明に~中国は護衛艦いずもにピリピリ
 稲田朋美防衛相は20176月3日のアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で講演し、米国と連携して南シナ海への関与を強めていく姿勢を鮮明にした。日本政府は東南アジア諸国連合(ASEAN)への支援など間接的な関与にとどまらず、最近では海上自衛隊が米軍と南シナ海で共同訓練を行って公表するなど、自衛隊のプレゼンス(存在)の直接的な誇示も強めており、中国の強引な海洋進出に南シナ海からも対抗する。
 「安倍晋三政権はルールに基づく秩序への挑戦に対し、ただ傍観するという対応はとっていない。秩序を擁護する決意を行動で示し、その努力を継続する」
 稲田氏は講演でそう述べ、決意を「行動」で示す姿勢を強調した。その手段として稲田氏は、米軍などとの「共同活動」を挙げ、日米が南シナ海で行っている共同訓練に言及。今後、南シナ海での自衛隊のプレゼンスをさらに高めていく考えをにじませた。
 象徴的なのは、海自最大のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」の動きだ。
 いずもは平成29年5月初旬、護衛艦「さざなみ」とともに日本を出港。初の「米艦防護」を実施した後に南シナ海に入り、米艦と共同訓練(5月7~10日)▽シンガポールで国際観艦式に参加(同15日)▽ベトナムの要衝カムラン湾に寄港(同20日)▽米艦と共同訓練(同26、27日)-と、各地で活発な動きをみせており、今後も当面、南シナ海にとどまる見通しだ。
 政府関係者は「いずもへのASEAN各国の反響は非常に大きい」と語る。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(英語版)も3月、いずもの航行について「南シナ海問題に干渉しようとする日本の固い決意の表れだ」との専門家の談話を紹介し、警戒感を示した。
 こうした日本の関与強化に対し、3日の日米防衛相会談では、マティス米国防長官が非常に高く評価。自衛隊と米空母2隻が日本海で行った共同訓練も話題となり、「日米同盟の抑止力・対処力をいっそう強化する」ことで一致した。
 政府は対ASEANで装備品協力も進めており、フィリピンには3月から練習機の貸与をスタート。5月に改正自衛隊法が成立し、無償供与も可能となった。自衛隊が他国軍に非軍事分野のノウハウを伝える能力構築支援もASEANで幅広く展開中で、硬軟織り交ぜて関与強化に動く。(シンガポール 千葉倫之)

《維新嵐》砲火をまじえることなく、仮想敵国をおさえるためには「存在感」をさりげなくアピールすることも効果的でしょう。もっとも事前に「強力な」点をみせておく必要がありますがね。


対潜哨戒/攻撃ヘリコプター搭載護衛艦いずも

いずもの南シナ海派遣に感謝が殺到する!?


 ヘリ搭載護衛艦いずもとかが、またひゅうがといせが進水したことにより、海上自衛隊となってようやく旧軍以来の「空母を中心とした艦隊」による作戦行動が可能となっています。太平洋を挟んで日米という二つの「海洋国家」が強力な軍事同盟を構築し、太平洋の平和秩序を守れる根拠の一つといえるでしょう。
 我が国の国防海軍構築の方向性は、決して間違ってはいません。我が国の国益を守ることが大前提なのは当然ですが、安保関連法により、同盟国との多国間防衛を強固にしていくことにより、二度と太平洋で戦禍がおこらないようにしていかなくてはなりません。
 ヘリ空母いずもとかがの国防に対する責任は重大なんですよ。
そして共同経済活動を打ち出した「北の大国」ロシアとの平和友好条約締結を実現させ、安保協力を拡大させていく、いずれはロシアとも安保条約を締結し、日米露による三国軍事同盟で世界の平和秩序維持、構築に貢献していけるならば言うことはありませんね。

護衛艦「かが」京都・舞鶴港に入港
海自最大全長248m、哨戒ヘリ5機同時発着可能
大規模災害時支援活動にも期待


 全長248メートルで、哨戒ヘリ5機が同時に発着艦できる飛行甲板を備えている海上自衛隊最大の護衛艦「かが」(排水量1万9500トン)が平成29年7月11日、京都府の舞鶴港に入港した。
 かがは、3月22日に就役し、呉基地の第4護衛隊に配備された。空母のように艦首から艦尾まで平らな甲板が広がり、潜水艦を探す哨戒ヘリ7機に加え、救難・輸送ヘリ2機の計9機を搭載、運用する。
 この日朝、かがが接岸すると、歓迎行事が行われ、関係者らに艦内の公開が行われた。

https://youtu.be/t9akpNK6ocI  
 https://www.youtube.com/watch?v=t9akpNK6ocI
 かがは乗員以外に450人を収容・輸送できるスペースを備えており、日本近海などでの警戒活動のほか、大規模災害時の支援活動でも活躍する。


進化する防衛の力 ~あらゆる事態に対応するために~ 
https://www.youtube.com/watch?v=1V4VqzQE-hk&feature=youtu.be https://youtu.be/1V4VqzQE-hk

0 件のコメント:

コメントを投稿