世界の諜報戦の主武器は、弾道ミサイルでも巡航ミサイルでもなく、シギント(暗号諜報)、ヒューミント(人的諜報)、そしてオシント(公刊諜報)ですね。
今や諜報戦を制しないと勝利はないようです。
EU「スパイ大量追放」で〝プーチン諜報網壊滅〟 ウクライナ「実名リスト」公表後に加速 「日本にも外交官や企業などに諜報員が潜む」と識者
2022/04/09
15:00EU「スパイ大量追放」で〝プーチン諜報網壊滅〟 ウクライナ「実名リスト」公表後に加速 「日本にも外交官や企業などに諜報員が潜む」と識者
(msn.com)
ウクライナ国防省情報総局がネット上で2022年3月28日に公表したのは、「欧州の侵略国の犯罪活動に関与したFSB職員」と題したリスト。620人の氏名や生年月日、旅券情報のほか、無料通話ソフト「スカイプ」のアドレスなども記載されている。
アドレスの中には、英スパイ映画「007」シリーズの主人公、ジェームズ・ボンドやその愛用車「アストンマーティンDB9」をほうふつさせるものもあった。
すると翌29日、ベルギーやオランダ、アイルランド、チェコは、スパイ行為に関与した疑いがあるとして、ロシアの外交官を含む在外公館職員計43人の国外追放を発表した。
ドイツとフランスの外務省も、自国に駐在する多数のロシア外交官らの追放を決めた。フランスは「安全保障に反する活動を行った」ことを理由に掲げる。
リスト公表前にもエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国がロシア外交官ら計10人を、ポーランドは大使館勤務の人員の約半数にあたるロシア外交官ら45人を追放している。
「リスト記載のメンバーと追放者が重なっている可能性は十分にある。現地の協力者など一部のネットワークは温存されるとしても、追放はロシアにとって、かなりの打撃だ」とみるのは、元公安調査庁職員で日本戦略研究フォーラム政策提言委員の藤谷昌敏氏だ。
ロシアは偽情報の流布やサイバー攻撃など情報戦を得意とするが、古典的な諜報活動のヒューミント(人的情報収集)も重要な位置を占める。
公安調査庁時代にロシアや国際テロ部門などを歴任した経験を持つ藤谷氏は、「ロシアは内部協力者や工作員など人的ネットワークを海外に張り巡らせている。諜報員は特権的に守られる大使館員や外交官、大使館勤務のコックなどに偽装する例もある。各国は『侵攻への抗議』という追放の大義名分を得た形だろう」と語った。
英検察当局は今月(2022年4月)6日、ロシア当局に情報を提供したドイツ・ベルリンの英国大使館勤務の英国籍の男を訴追した。
FSBはウクライナ侵攻でも情報収集や戦闘活動など深く関与している。海外のスパイ網が失われることで、西側諸国の追加経済制裁や軍事支援、プーチン大統領を含む戦争犯罪の捜査など水面下の動きをつかむことが困難になる。
ただでさえプーチン大統領には都合のいい情報しか上がっていないと指摘されるが、ますます不正確な情報をもとに判断を迫られることになりそうだ。
日本企業に潜む諜報員
日本では外務省の森健良事務次官が8日、ロシアのガルージン駐日大使を同省に呼び出し、在日ロシア大使館とロシア通商代表部の職員計8人の追放を伝達した。追放対象者にはガルージン氏は含まれない。森氏はガルージン氏に「(ウクライナでの)民間人殺害を否定し、フェイクと主張するロシア側のプロパガンダは全く受け入れられない」と抗議した。
ロシアは日本でも活発に諜報活動を行ってきた。昨年6月、同代表部職員に譲渡する目的で、軍事技術を不正入手した元調査会社経営の男が逮捕された。2020年1月には同代表部の工作を受けたソフトバンク元社員が機密情報を不正取得する事件も発覚したことも記憶に新しい。
前出の藤谷氏は「日本にも外交官や企業などに諜報員が潜むとされる。外交やビジネスなどに影響を与えるので難しい面もあるが、安全保障の観点からも追放できる態勢を作らなければならない」と強調した。
※いわゆるスパイ防止法は否定するものでもありませんが、わざわざスパイを摘発する法律を決めなくても、国内に潜伏するスパイを監視、マークしながら、こちらに必要な情報をひきだしていくやり方もあるかもしれません。
※ロシア大使館付きの外交官=公然のスパイといえる、は国外へ退去されました。大使館でインテリジェンス活動を行うことは、どの国も行っていますね。オシント、ヒューミントの収集です。
〝スパイ暗躍〟日本の実態
「諜報機関所属の要員だった」在日ロシア外交官、初の国外追放 日米の分断・離間工作に関与の可能性
2022/04/21
11:27〝スパイ暗躍〟日本の実態 「諜報機関所属の要員だった」在日ロシア外交官、初の国外追放 日米の分断・離間工作に関与の可能性
(msn.com)
ロシアのウクライナ侵攻を受け、日本政府が国外追放を決めた在日ロシア大使館の外交官らが2022年4月20日午後、出国した。「実際は諜報機関所属の要員だった」との指摘もある。日本では戦後、スパイ活動を取り締まる法律が存在しないため、世界各国の諜報員や協力者らが傍若無人に振る舞い、「スパイ天国」と揶揄(やゆ)されてきた。戦後の国際秩序が大きく揺らぎ、日本の安全保障環境が脅かされるなか、日本の国家機密や、同盟・友好国の重要情報は守られているのか。岸田文雄政権には迅速な法整備と、諜報・防諜体制の強化が求められそうだ。
◇
「(追放対象8人の職務内容については)事柄の性質上、人定事項は公表しない」「現時点でロシア側から対抗措置の連絡はない。いずれにせよ(ロシアの)在留邦人や日本企業の活動の保護には、引き続き万全を期していく考えだ」
松野博一官房長官は20日の記者会見で語った。
外務省によると、追放対象は在日ロシア大使館に在籍する外交官と、在日ロシア通商代表部職員の計8人で、ミハイル・ガルージン駐日大使は含まれない。ロシア外交官の追放は初めて。
政府は8日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊ブチャなどでの大量虐殺を受け、それまでの経済制裁に加えて、ロシア外交官らの追放を決めた。国際刑事裁判所(ICC)が「戦争犯罪」や「人道に対する罪」の疑いで捜査を開始しており、欧米諸国と足並みをそろえた。
これに対し、ロシア外務省のマリア・ザハロワ情報局長は同日、「ロシアは日本の決定に対して、適切に応答する」といい、対抗措置を取ることを表明している。
ウクライナ外務省によると、ロシアが侵攻を開始した2月24日から4月8日までに、世界各国が追放したロシアの外交官らは計443人。英誌「エコノミスト」によると、400人超もの大量の外交官追放は、史上最多の規模だという。
日本の追放処分をどうみるか。
中村逸郎氏「日米分断・離間工作に関与の可能性」
ロシア政治に詳しい筑波学院大学の中村逸郎教授は「ウラジーミル・プーチン大統領は2018年ごろ、日本との平和条約締結交渉をめぐり、『米軍が駐留していることで問題が複雑化している』との認識を示していた。ロシアの外交官らは、沖縄でロシアとの観光交流などを進めながら、『反基地運動』に接触して反米感情を高め、日本政府と沖縄、日本と米国を分断・離間工作に関わった可能性が指摘されている。在日米軍の機密を探っていたとの見方もある。今回、ロシアの対抗措置を受けても、日本には失うものは少ない。逆に、工作活動を止めるメリットが大きい」と語った。
ロシアに有利な主張をする人物、メディアも「協力者」
現に、日本では戦後、ソ連やロシアによる対日工作が何度も発覚した。
1954年、米国に亡命したソ連内務省のユーリー・ラストボロフの供述で、対日諜報活動が発覚した「ラストボロフ事件」がまず有名だ。旧日本軍人らを協力者として、日本の内外政策や在日米軍の動向を探っていた。外務省職員の関与も疑われた。
82年には、米国に亡命した元ソ連国家保安委員会(KGB)将校、スタニスラフ・レフチェンコが米議会で、日本の与野党国会議員や政府職員、学者、メディア幹部などの対ソ協力を供述した。「レフチェンコ事件」と呼ばれ、戦後最大規模のスパイ事件とされた。
その後も、官庁や民間企業が関わるロシア絡みの諜報活動は発覚しており、早急な対策が急がれる。
元公安調査庁調査第2部長の菅沼光弘氏は「機密情報の窃取に限らず、ロシアに有利な主張をする人物やメディアも、ロシア側からみれば『協力者』であり、根深い問題だ。日本も国家の基礎である『インテリジェンス(諜報)』への意識を高め、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)や、対外諜報庁(SVR)の活動を詳細に把握しなければならない。独自の情報機関設置や、スパイ防止法の制定に動くべきだ」と語った。
■ロシア関係の主なスパイ事件
1997年 翻訳業の男性が、ロシア対外諜報庁(SVR)機関員と接触し、未公開のパソコン関連機器のマニュアルを渡し、書類送検された。
2000年 防衛庁(当時)防衛研究所勤務の海上自衛隊三佐が、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)所属の大使館付武官に防衛庁の戦術概説など秘密資料を渡したとして逮捕された。
2002年 GRU所属の在日ロシア通商代表部元部員が、元航空自衛隊准尉の防衛装備品会社社長に対して、米国製戦闘機用ミサイルの資料を要求していた。元部員が書類送検された。
2008年 内閣情報調査室職員が、GRU所属とみられる在日ロシア大使館2等書記官に内政情報を漏らし、職員と書記官が書類送検された。
2020年 ソフトバンク元社員が、在日ロシア通商代表部元職員の工作を受けて機密情報を不正取得し、逮捕された。元職員も書類送検された。
2021年 元調査会社経営の男が、在日ロシア通商代表部職員に譲渡する目的で、軍事技術を不正入手し、逮捕された。
プーチンの正体
日刊ゲンダイDIGITAL
2022/04/09
06:30やっぱり出てきた「ロシアには北海道の領有権ある」の不気味…牽制か破れかぶれか?
(msn.com)
© 日刊ゲンダイDIGITAL ロシアの原子力潜水艦はオホーツク海を潜航、日本列島の近くを行き来する(C)タス=共同
やはり来たか、という展開だ。「プーチンの戦争」によって国際社会で孤立化を深めるロシアが、対ロ制裁に連なる日本への牽制を強めている。元上院議長が「ロシアは北海道を領有する権利を持つ」と発言。ロシアから平和条約締結交渉を一方的に蹴っ飛ばされるなど、日ロ関係が急速に悪化する中、波紋が広がっている。
問題発言の主はプーチン体制下で2011年まで上院議長を務め、現在は下院第3勢力の左派系野党「公正ロシア」の党首を務めるセルゲイ・ミロノフ議員。いわゆる体制内野党のトップだ。
ロシアのネットメディア「レグナム」が配信したインタビュー記事(4日付)で、「どの国でも隣国に対して領有権を主張でき、国益の観点からそうする正当な理由がある。これまでクリル諸島(北方領土と千島列島)を欲しがっていたのは日本だけだった」と持論を展開。先立つ1日には「日本はクリル諸島に関して常にロシアにクレームをつけているが、一部の専門家によれば、ロシアは北海道の完全な権利を有しているという」とツイートしていた。
ウクライナで想定外の苦戦にあえぐロシアに二正面で構える余裕はないとはいえ、気味の悪さは拭えない。
「万が一、ロシア軍が北海道侵攻を企てたとすれば、専守防衛が国是である以上、海岸線では防御できない。自衛隊は旭川-帯広ラインで押し戻すのが精いっぱいです」(防衛省関係者)
近海では米ロが一触即発
「ウクライナ戦争をめぐり、米国が主導するNATO(北大西洋条約機構)の直接介入を阻止したいプーチン政権は核使用をチラつかせていますが、米国への対抗措置のひとつがオホーツク海からワシントンへの核ミサイル攻撃です。そうしたことから、北方領土や千島列島で軍事演習を繰り返している。在日米軍は当然、そうした動きを監視しています。ウクライナ戦争が米ロ戦争に拡大した場合、SSBNを沈めることが在日米軍の最大の役割になるからです」(米外交関係者)
日本近海で米ロが一触即発……。一刻も早い戦争終結を願うしかない。
※北海道は、オホーツク海のぽっかり空いた国防上の「穴」(ロシアの見方)
我が国からすれば、北からの侵攻を阻止するための重要な国防上の要。我が国の国防線は北海道の先にあります。これもロシアが我が国の制裁措置を妨害するためのプロパガンダ戦。史実を武器にロシアに反論しましょう。
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