最初は、王監督時代の福岡ダイエーホークスでの話であったと記憶しています。
確かセンター方向から観客の立場で双眼鏡で、保守が投手に出すブロックサインをのぞいて、次にくるであろう球種やコースを把握するための行為があったのかどうか、という話だったと思います。
要は、こうしたスタジアムの外でのサインをのぞく行為はダメです。禁止になったと思いますが、これはわざわざ球界のルールで咎めるようなことなのでしょうか?
当時からかなり違和感がありました。
野球におけるサインはリアルな戦争では暗号と同じとみていいでしょう。サインを解読できれば、バッテリーが企画する次の配球やコースが読めるわけです。ひいては対戦チームの次にやってくる作戦や戦術もわかります。だからこそサインを出す方は、より解読されにくいようにサインを重複的に組んで味方選手に伝達しようとします。
キーになるサインを決めて、それと別のサインの組み合わせで党首や野手に作戦を伝達する、それをブロックサインというのですが、各球団どこでも作戦そのものを他に知られないために工夫して考案しています。
野球という競技は、ルールに基づいてプレーされるものですが、ルールにない、「情報戦」を制しないと勝てないし、頂点にたつことはできません。94年の日本シリーズ西武ライオンズVS読売ジャイアンツの試合では、サイン読みはよくわかりませんが、フェイク情報による攪乱はさかんに行われていたようです。
例えば当時西武の4番清原は外角が打てない、苦手、という情報。それを信じて当時の読売G先発陣は清原に対しては徹底した外角攻めをしました、当初は・・・。
ですが清原は実は外角球を打つ達人でした。外角にきた低め、高めの直球、変化球を右方向に打つ、しかも長打にできるスキルがあったのです。誰がこうしたフェイクを流したのでしょう?
これは野球におけるプロパガンダ戦ですが、サッカーにおいてもトルシエ監督時代のヘッドコーチだった山本昌邦氏のご著書にありますが、国際試合で対戦チームの戦術を偵察した話があります。非公式に対戦相手の練習場が見下ろせる場所をみつけておいて、試合直前の練習を偵察するわけです。
スポーツには、公式ルールに基づいて秩序ある試合をしなければなりませんが、勝利という結果を追求するためには、公式ルールにはない戦いも勝たなければいけません。
そのために「大きな声ではいえないが、対戦チームを分析するための戦い」も制しなければならないのです。それが情報戦です。情報戦を制することは不可欠なことですが、ルールに必ずあうとは限りませんから、こういう戦い方をしています、勝利の秘訣です、などと大きま声で話すことではありません。むしろ相手に知られてはいけない戦術といえます。
情報戦とはそういうものなのです。
だから「サイン盗みはだめ」といって指導を厳しくしても、それでなくなるものではないのです。対戦チームの暗号を解読することは有効な戦術、不可欠の戦いだからです。
確かV9時代の読売Gもサイン盗みを行っています。野球に強いチーム、強豪チームは情報戦でも勝者です。センター方向からのサイン盗みが厳しくなれば違う情報収集方法を構築するだけです。
野球だけでなく世の中には、大きな声でいえないけど、表には出せないけど重要な作業があるのです。サイバー戦の概念が出てからはより、情報戦のもつステルス性が強化されています。情報戦をを制することが勝利の重要なファクターであり、これを表のルールで規制しても意味がないことなのです。
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