2021年2月1日月曜日

〈北朝鮮〉経済制裁包囲網を破る諜報戦 ~サイバー攻撃とハッカー養成~

  かつて我が国は、朝鮮戦争後に北朝鮮が朝鮮半島統一という国家戦略実現のために駆使してきた「対南工作」遂行によって、何の罪もない邦人が北朝鮮工作員により、拉致され、連れ去られる、という戦争を経験してきました。

 北朝鮮工作員による日本人拉致は、実弾が飛び交うわけではありませんが、非人道的な我が国に対する「国家主権の侵害」行為であり、北朝鮮からいわれもない「侵略戦争」をしかけられていたのです。

 そして北朝鮮による日本人拉致の問題は、今日に至るまで一部の解決をみてはいますが、全面的な解決には至っていません。それは日本人拉致が、北朝鮮政府機関により行われた国家的な侵略戦争、宣戦布告のない戦争という新しい形態の戦争であるため、この事実を「侵略戦争」と認識することが私たちの側で認識することが遅すぎたということは否めないでしょう。

 北朝鮮は、世界でも類を見ない「諜報戦国家」であると同時に、非人道的な「侵略戦争」を平気でしかける国家であるといえます。そういう国と対峙するときは、絶対にこちらが一方的に譲歩してはならないのです。相手の戦術、出方をよく見極めて、効果的な反撃をしなければなりません。

 日本人の拉致問題にしても、拉致などしても何のメリットもないことを相手に十二分に認識させると共に、北朝鮮の工作員が国内で自由に活動できる状況に密に渡って制限をもうけ、活動を封じ込めなければならないのです。

 こうした効果的な国防政策を怠ってきたツケが、今頃になって弾道ミサイルや核弾頭、北の同盟国である共産中国による尖閣諸島の魚釣島への侵略という形になって顕著になっています。

 韓国による竹島の不法占領も戦後に我が国が、素早く動いて竹島を確保し、海保を配置しておけば、今日のような状態は回避できたかもしれません。

 2020年共産中国の武漢でおこった新型コロナウイルスは、今や世界中でパンデミック化しました。ワクチン接種は既に各国で始まっていますが、北朝鮮ではこうした新型ウイルスの感染拡大をとめられず、ワクチンを買う予算も国連からの経済制裁により枯渇しているのかもしれません。

 かつての北朝鮮ならば、世界中に工作員を送り込み、現地エージェントと共に新型ワクチンを窃取することも辞さないかもしれません。

 しかし今やインターネットの普及により、膨大な工作員を養成して、他国に船舶で送り込む必要はかなり薄れてきました。世界中どこにいてもアクセス環境とデバイスがあれば誰でもハッキングできる時代となりました。あとは適切なスキルを持った人間を養成しなければなりませんが、北朝鮮はこうした人材養成システムも金正恩氏によって整備拡充されているきらいがあります。つまり、スパイ行為を行うことがヒューミントを得る行為よりも、電子情報や暗号情報をお値打ちな形で得られる時代になってきたのです。

 昨年以来から頻発している北朝鮮によるサイバー戦争の実態について記事がありましたので、とりあげてみます。こうした記事をみながら一人でも多くの方々が「戦争の進化」を実感していただき、身近なところに「戦争」があることを認識し、対応できるだけのスキルを身に着けてほしいのです。サイバー戦争もまた「国家総力戦」なんですよ。


【独自】北朝鮮、サイバー攻撃1日150万件…韓国標的に急増

2/1() 5:01配信https://news.yahoo.co.jp/articles/337503c75600f47068a6ab758be82b087f280963

 【ソウル=建石剛】北朝鮮が昨年(2020)、韓国の金融やインフラ(社会基盤)などの公共分野で1日平均約150万件のサイバー攻撃を仕掛けた疑いがあることが、韓国政府関係者への取材でわかった。4年前に比べて急増し、金銭窃取を目的とする攻撃が目立った。韓国では、北朝鮮が新型コロナウイルス対策の国境封鎖や長引く経済制裁で外貨不足が深刻化し、サイバー攻撃で補おうとしているとの見方が出ている。

 韓国の情報機関「国家情報院」の2020年11月の国会報告では、韓国の公共分野が受けたサイバー攻撃は16年の1日平均41万件から急増し、20年は約4倍の162万件に達した。手口の約4割はハッキングで、金融機関を狙ったものや暗号資産(仮想通貨)を窃取する攻撃があった。

 韓国政府関係者によると、20年に受けた攻撃のうち90~95%は北朝鮮によるものと分析されており、1日平均約150万件に相当する。大部分は他国を経由して攻撃してきたという。

 北朝鮮のサイバー攻撃は近年、情報窃取やインフラをダウンさせるものから、金銭窃取に軸足を移している。16年にバングラデシュの中央銀行が約8000万ドル(約84億円)を奪われた事件や、17年に日米を含む世界の企業や銀行に身代金を要求した「WannaCry(ワナクライ)」と呼ばれるウイルスを使った攻撃に、北朝鮮は関与したとされている。

【独自】コロナ禍は「最高の環境」北、17歳選抜してサイバー戦争強化

2/1() 7:24配信https://news.yahoo.co.jp/articles/784c7fa915b6ad6f6a4b092b20e86a43c4d672ad

北朝鮮サイバー部隊養成のイメージ(記事)

北朝鮮サイバー部隊養成のイメージ

全国各地から優秀な高校生を選抜。17歳でIT教育を詰め込む。

平壌のIT重点大学で数年間教育を受ける。数%の「秀才」を部隊に選抜、海外留学も行う。

軍偵察総局傘下の部隊へ配属。

金銭窃取はインフラ破壊などのサイバー攻撃を行う。

NK知識人連帯などへの取材による)

【ソウル=建石剛】新型コロナウイルスの感染拡大を機に、外貨獲得目的でハッキングなどのサイバー攻撃を活発化させているとみられる北朝鮮では、サイバー部隊の養成システムが確立している。平壌(ピョンヤン)首都圏の理系大学に通っていた脱北者が読売新聞の取材に応じ、その実態を明かした。

ハッキング急増

 「1000人中10~15人の秀才のうち、数人がサイバー部隊に引き抜かれる」。2017年7月に脱北した30歳代の男性は、大学の学友のごく一部が、サイバー部隊要員として絞り込まれていく様子を振り返った。

 この男性や北朝鮮のサイバー部隊の養成に詳しい関係者によると、北朝鮮では、各地域で最も優秀な高校に通う知能指数(IQ)の高い子どもを17歳で選抜し、IT教育を詰め込む。その中でも優秀な学生を平壌近郊のIT重点大学に入学させる。大学で2~3年学ばせた後にサイバー部隊に引き抜くという。中国などに留学させてサイバー攻撃を学ばせるケースもある。

 男性が同じクラスで学んでいた友人の一人がその秀才だった。北朝鮮では海外のインターネットサイトへの接続が禁じられているが、友人は自分で研究して3日間で不正接続に成功した。海外映画やドラマは思想教育に影響するため、閲覧すると処罰対象だが、ゲームは黙認されていたという。友人は1週間でゲームのプログラムも解読した。このような人材が部隊に引き抜かれるという。

 大学では数学やプログラミングなど基礎をたたき込まれ、ハッキングなどの攻撃手法は部隊に引き抜かれてから学ぶ。男性はサイバー部隊に入った知人から「目的は知らされず、ひたすらプログラミングを習い、行き着いたのがビットコインのハッキングだった」と聞いた。ハッキングに成功すると、家族に報奨や米などの食糧の配給も行われた。部隊では自由な生活はなく、ひたすら指示されたことを行ったという。

 北朝鮮当局は家庭環境などで思想的に問題がないかも調べてサイバー部隊を選抜する。男性は「忠誠心が強い秀才たちで組織されている」と話す。

https://news.yahoo.co.jp/articles/784c7fa915b6ad6f6a4b092b20e86a43c4d672ad?page=2

コロナ禍「攻撃に最適」脱北の元大学教授指摘

 北朝鮮は軍偵察総局傘下に複数のサイバー部隊を組織しているとみられている。

 脱北者団体「NK知識人連帯」代表で、北朝鮮で大学教授を務めた経歴を持つ金興光(キムフングァン)氏によると、北朝鮮では1990年代に金正日総書記(当時)の指示で部隊が組織された。資源や資金がない北朝鮮にとって、サイバー戦争は戦力差を挽回できるためだ。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記は更に強化しているという。

 2009年頃までは偵察総局傘下に一つの部隊が置かれていただけだったが、現在は金銭窃取やインフラ(社会基盤)破壊など目的ごとに部隊が細分化された模様だ。金興光氏は要員は計5000人程度とみる。17年に世界中の銀行や企業に身代金を要求したサイバー攻撃への関与が指摘される「ラザルス」や、最近活発化している「ビーグルボーイズ」などのハッカー集団は各部隊の指揮下で活動している。

 金興光氏は世界的なコロナ禍が「北朝鮮ハッカーにとって最高の環境となった」と話す。コロナ関連の「緊急情報」などを装うことでハッキングすることが容易なためだ。米国の経済制裁などの打撃も重なり、北朝鮮はサイバー攻撃を活発化させ続けるとみられる。

ウイルスの制作に日本製のPC98が使われていた

 米国と韓国で20以上の政府機関系サイトに攻撃をしかけられた2009年7月のDOS攻撃の際に、使用されたウイルスを専門家が調査した結果、ウイルスの攻撃対象の中に韓国軍の特注ワープロで作成したファイルが含まれていたのですが、これは既に10年ほど前から使われていないもので、韓国の関係者でも存在すら知らない人がほとんどという機種でした。作成元の人間が、韓国の内部の事情について詳しい人物とはいえるものの、機種が古いため最新の情報を知らないということが推察されていました。

 さらに興味深いことにこの時のウイルスにはシフトジス(Shift_JIS)という文字コードの痕跡があったとのことです。シフトジスとは、PC上で日本語を表示するためのコードの一つであり、NECが開発した「PC98シリーズ」の初期の機種でも使われていました。この機種も受注生産は2003年に終了しており、市場に出回っていません。

 我が国捜査当局が入手した情報によると、秋葉原の某工場の倉庫に、売り物にならず山積みになっていたPC98シリーズのPCを朝鮮総連の職員たちが安値でまとめ買いしていった、という事実があります。PC98シリーズは旧式の機種でしたが、十分にウイルスのプログラムは作れましたし、そのための訓練にも使えたといわれます。

 つまり資金不足で最新機種が買えなかった北朝鮮当局が、朝鮮総連経由でPC98シリーズを入手し、そこで作成されたウイルスを攻撃に使用したと考えられます。2009年7月のサイバー攻撃の翌月8月に北朝鮮人民軍の偵察局121部隊が金正日氏から表彰されたという報道が北朝鮮から発表されています。


進化するサイバー攻撃

北朝鮮のサイバー攻撃はアメリカも警戒する。

 お金がなくなったら、弾道ミサイルをイランに売って外貨を稼ぐ、というやり方が北朝鮮の手口でした。それはなくなったわけではないでしょうが、国連から経済制裁をうける国家である以上、武器輸出は得策でない、となると手早く外貨を稼ぐ手法として「ハッキング」をしてくることは論をまたないでしょう。
 北朝鮮は、まともな国家経営をできない国であることは、もはや衆知のことでしょう。この無法国家に対峙して、日本人の全ての拉致被害者の帰国を果たすために私たちは心を一つにしなければなりません。
 サイバー攻撃で身ぐるみはがされるか、拉致されて北で望まない労働を強いられるか、などということは他人ごとではないのです。
 戦略目標は、北朝鮮をしきる金王朝の打倒と本当の意味での「民主主義国家」の実現です。拉致問題の全面解決で、金王朝打倒をめざしましょう。

アメリカはなぜ北朝鮮と戦争しないのか 抑止か自制か【日本軍事情報】
https://www.youtube.com/watch?v=F2A_0IrJlNw 
北朝鮮は、共産中国も同じですが、「勝てない戦争」はしかけません。北朝鮮が超大国であるアメリカに通常兵器で対抗するのは話になりませんが、核兵器とサイバー攻撃ならアメリカのような超大国と互角に渡り合えると思っているのでしょう。

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