2018年1月14日日曜日

アメリカの兵器調達の「お財布」日本 ~共産中国の台湾、尖閣戦略、北朝鮮の五輪戦略?~

「アメリカの財布」と化している日本の兵器調達

むやみに超高額兵器を買っても日米同盟の強化にはならない
北村淳
 ルーマニア・デベセルの軍基地で行われたイージスアショアの配備式典に出席する米軍兵士ら(2016512日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / DANIEL MIHAILESCUAFPBB News


 防衛省が昨年(2017年)暮れから新年にかけて、北朝鮮の軍事的脅威の高まりへの対処を口実として、様々な兵器を「輸入調達」、あるいは「輸入調達を検討する」方針を打ち出している。具体的には、アメリカ製イージスアショア弾道ミサイル防衛システム、アメリカ製長距離巡航ミサイル、ノルウェー製長距離巡航ミサイル、アメリカ製F-35ステルス戦闘機(数十機の追加購入)、アメリカ製電子攻撃機などである。
 このような武器購入に関しては、「北朝鮮危機のどさくさに紛れて敵基地攻撃能力を手に入れてしまうのは問題である」「長距離巡航ミサイルや空母艦載機、それに電子攻撃機といった攻撃兵器の取得は、専守防衛の原則を踏みにじるものだ」などといった問題提起がなされているが、そうした日本固有の空想的平和主義者による議論はさておいて、より軍事的に重大な問題が横たわっている。それは、日本政府・国防当局の「戦略なき武器調達」、それも「安易に輸入に頼る調達」という姿勢である。
追加調達が見込まれる米海兵隊バージョンのF-35Bステルス戦闘攻撃機(出所:米海兵隊)


日本は特異な輸入国
 いうまでもなく主要兵器の調達先のほとんどはアメリカである。日本政府や国防当局には、アメリカから主要兵器を輸入することによって日米同盟が強化されるという考え方が存する。また、弾道ミサイル防衛システムや新鋭戦闘機のような超高額兵器、それほどではないにしても極めて高額な水陸両用戦闘車輛などの高額兵器を多数購入することにより、日米貿易におけるアメリカ側の貿易赤字低減に資するとの考え方もある。
たしかに、自衛隊とアメリカ軍で共通の主要装備を用いることにより、相互運用性が高まることは事実である。その結果、日米同盟が強化される、というのは、いかにももっともらしい説明ではある。しかし、自衛隊とは比べものにならないほどアメリカと同盟関係が強固であるNATO諸国の軍隊が、アメリカ軍との相互運用性を高めるためにアメリカ製の超高額兵器を大量に調達しているわけではない。
NATO構成諸国の中でも、先端技術を駆使した各種新鋭兵器を造り出す技術力が存在しない国ならば、他国から中古兵器を購入せざるを得ないだろう。しかし、ある程度の新鋭兵器を生み出せるイギリス、フランス、ドイツ、カナダなどが、日本のようにアメリカの言いなりになって超高額兵器を気前よく次から次へと輸入調達することは決してない。
アメリカ側の歓心を買うことが目的
 要するに、日本政府が言うところの「アメリカからの主要兵器の購入によって日米同盟が強化される」などという論法は、日本特有の言い回しにすぎない。日本側には、国際常識に則った軍事戦略レベルあるいは重要な戦術レベルで軍事同盟を強化する能力が欠落しているため、アメリカ製高額兵器を購入してアメリカ政府やアメリカ防衛産業の歓心を買うことによって同盟関係を維持しているようなものである。
(ちなみに、アメリカ製主要兵器を日本に売却するか否かを決定するのは、アメリカ政府、そして連邦議会であり、売却価格はアメリカ政府が決定する。日本側が拘束される売却条件もアメリカ政府が一方的に決定する。そして、日本に売却した金額のおよそ4パーセントがアメリカ政府の懐に転がり込むことになる。また、アメリカ軍がアメリカ製兵器を調達する場合、国防総省や連邦議会の厳しいチェックがあるため、企業側の利益は抑制されざるを得ない。しかし日本に売却する場合、アメリカ政府はアメリカ軍向けに利益を抑えた分の何倍もの利益を生み出す価格を日本に提示して、アメリカ防衛産業を保護することになる。)
戦略なき高額兵器の輸入
 近年、中国の海洋侵出や北朝鮮の核ミサイル開発など、日本周辺の軍事情勢が急激に焦臭さを増している。日本がそのような情勢に自主防衛能力を適応させるのはあまりにも難事業である。そのことに気がついた日本政府・国防当局は、「日米同盟の強化」によって日本の防衛能力が強化されるという宣伝をにわかに強化し始めた。
 しかしながら、軍事戦略レベル、あるいは重要戦術レベルでのアメリカとの軍事同盟強化を計る能力など日本側には存在しない。そこで、アメリカからの超高額兵器や高額兵器の輸入調達を加速させてアメリカ側の歓心を買うことで、同盟を強化しているつもりになっているのである。
 その結果、確かに弾道ミサイル防衛システムや新鋭テルス戦闘機などの新鋭兵器が自衛隊の保有装備リストに付加されていくことは事実である。しかし、それらの新鋭兵器のほとんどは、日本国防当局(本来は、国会が関与しなければならないのであるが)が策定した防衛戦略の必要性から調達が検討されて輸入されたものではない。端的に言ってしまえば、なるべく多くの高額兵器をアメリカから買ってアメリカ側を喜ばせて日米同盟を強化しようという姑息な発想に突き動かされて取り揃えられた新鋭兵器である。したがって、輸入調達を決定してから、あるいは実際に調達してから、「何のために、どのように、使うのか?」を模索する結果となりかねない。
やがては“笑いもの”になる日本
 日本は、オスプレイ中型輸送機、F-35Aステルス戦闘機、AAV7水陸両用装甲車、E2D早期警戒機、グローバルホーク無人偵察機、EA-18G電子攻撃機、F-35Bステルス攻撃機などの購入、あるいは輸入調達の検討を進めている。AAV7水陸両用装甲車などは新鋭兵器ではなく老朽兵器であるが、日本国防当局はその時代遅れの兵器をアメリカ側も驚くほどの高値で50輛以上も購入した。そうした状況を知る米軍関係者の中からは、「何のために買いまくっているのか?」「メンテナンスコストまで含めると莫大な金額になるが、他の(アメリカからのお買い物ではなく、通常の自衛隊の訓練や施設などの)予算は大丈夫なのか?」「日本防衛当局は国産化をリードする意思はないのか?」といった声が上がっている。

 もちろん、アメリカ人にとっては日本がアメリカ製高額兵器を気前よく買ってくれることに対して不満に思う道理はいない。しかしながら、日本政府はアメリカとまともな戦略レベルの突っ込んだ議論ができず、「ご機嫌取りのアメリカ詣で」のような状況が続いていることを熟知する“心ある”米軍関係戦略家たちの間からは、「アメリカ側の言いなりになって超高額兵器を買いあさる日本は“アメリカの財布”と見くびられ、“属国根性もここまで来たか!”と国際社会の笑いものになりかねない」といった危惧の声すら漏れ聞こえている。

〈管理人より〉補足すると兵器装備の開発能力のある国が、同じく開発能力のある同盟国から高価な新型兵装備を次々に戦略性もなく購入するのがどうか?ということでしょう。我が国は優れた兵装備を開発できる力は十分にありますからね。ただ我が国の戦略性を考えるとすると、今回の兵装備購入は、アメリカの新型兵器を購入することにより、最新の兵器のスペック、仕組み、使い方などのノウハウを購入しているのではないか?という疑問があります。安倍内閣になってから防衛産業の活性化をはかっているところがみられますから、将来の防衛産業の開発力醸成を念頭において、国防の最前線となる最新兵器の仕組みを研究させるのではないか?
兵器は実際に使ってみなければわかりませんからね。むろん実戦での使用ではなく、演習での使用ということになりますが。そのあたりの戦略性にわずかに期待するところです。


待ってはくれない共産中国

我が国の辺境防衛体制、法規的な不備、国民の意識の低さという軍事だけではない我が国の「脆弱性」を態勢が整わないうちに「攻撃」し、国家の戦略目的を達成してきます。尖閣諸島は、「台湾省」の一部として領土編入を狙っています。懸念はもちろんですが、そこが彼らの「脆弱性」にもならないでしょうか?
何にせよ我が国のリアルな最新軍事装備の充実を待って潔い戦いをしてこないのは間違いないことです。どんな形にせよ戦は「勝てばいい。」「労せず国家戦略を達成したい」という思いがある限り、共産中国の脅威はなくなることはないでしょう。

台湾問題で何としても「実績」をあげたい習近平

岡崎研究所
 台北タイムズの2018125日付け社説は、中国による台湾囲い込みのための「分割征服」戦略と「統一戦線」戦術が10月の共産党大会後変化を見せているとして、事例を挙げて描写し、台湾政府に対処計画があるのか懸念を示しています。要旨は次の通りです。
「分割征服」戦略が長らく、台湾を囲い込もうとする中国の「統一戦線」戦術において枢要な役割を果たしている。
 中国のアプローチは、台湾で統一プロパガンダを広めるための「代理人」となる政党、政治家、ビジネスリーダーの育成に重点が置かれ、中国に敵対的な政治的イデオロギーをもつと看做される人物を無視してきたが、最近の例は、中国がその路線を変更し、台湾人全体にエンゲージすることを最優先にしようとしていることを示唆する。
 この変化は、10月の第19回共産党大会における習近平の演説と軌を一にしており、用い得るあらゆる手段によってアイデンティティの共有と台湾人の人心獲得を促進することが、台湾への侵入および政治的逮捕とともに、今や中国の台湾政策の基礎をなしていることを示唆する。
 党大会閉幕から1か月もたたないうちに、台湾人は、中国の戦略がどのように実施されるのか、目の当たりにしている。
 最近、深圳で開催された両岸学生野球リーグは、中国が如何にしてアイデンティティの共有を促進しようとしているかの見本である。張志軍・中国国務院台湾事務弁公室主任は、「両岸は一つの家族」と書かれた旗の前に立って決勝戦の開幕を宣言した。両岸野球交流協力委員会の徐勇委員長は、野球を通じて「より多くの台湾の若者が中国を訪問し中国をより理解すること」への希望を表明した。
 試合は友好的で罪のないものだったかもしれないが、旗は、台湾人に情緒的に訴えつつ、「一つの中国」原則を言い換えたものに他ならない。
 中国は、この「両岸は一つの家族」のフレーズが台湾人の中国との感情的絆を強めることを望んでいるが、これは2013年に習が当時の蕭萬長副総統との会談で初めて用いた政治的意味合いの強いフレーズであり、中国人民政治協商会議の「2014台湾問題ワークショップ」で正式に記載されている。
 政治的逮捕についての習の指令は、台湾の人権活動家・李明哲の一件で明らかだ。同人は、ネット上のディスカッショングループを用いて中国政府を攻撃する情報や記事を拡散したとして、1128日、湖南省岳陽の地方裁判所で「国家政権転覆罪」により懲役5年を言い渡された。
 台湾の検察は、123日、中国製のソフトウェアと装備により危殆化されたおそれのある、内政局の情報サービス・情報システムの調達に関する捜査が進行中であると認めた。中国による台湾への侵入の企てに休みはないということだ。
 これらの事案は、中国の「分割征服」戦略と「統一戦線」戦術が、一見無害なスポーツイベントであれ、人的交流であれ、台湾社会への秘密裏の侵入であれ、一層複雑化し、より深くまで浸透していることを明らかにしている。
 問題は、台湾政府が中国の絶えず変化する「統一戦線」戦術への緊急対処計画を持っているか否かである。
出典:‘Chinas strategy becoming clearer’(Taipei Times, December 5, 2017
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2017/12/05/2003683436
上記は、10月の共産党大会後の中国の対台湾政策は、台湾人の多くを中国に取り込むための“統一戦線工作”の色彩を強めつつある、という台北タイムズの社説です。
 共産党大会開催までは、習近平の政治報告に「中台統一のタイムテーブル」や「武力統一」などという強硬論が現れるのではないかとの予測が米国や台湾の専門家の間で行なわれたことがあります。
 しかし、実際には、習近平自身その政治報告の中では「台湾独立勢力によるいかなる分裂活動もこれを打破する意思のみならず、能力もある」という趣旨の発言を行いつつも、「武力による統一」という強硬論ではなく、「両岸は一つの家族」という考え方に立って、「大陸における発展の機会を台湾同胞と分かち合う」という類の“統一戦線工作”を強調しました。
 中台間で「両岸は一つの家族」というスローガンを中国は強調しますが、今の台湾の人々から見ると、たとえかつての祖国や祖先が共通のものであったとしても、自由や人権無視の中国大陸は決定的魅力に欠けます。そのような台湾人の自然な反応を中国共産党幹部は十分に知らないか、あるいは知ろうとしないのが実態です。
 台湾にとって、貿易投資の最大の相手は中国であり、台湾ビジネス界にとって中国の重要性は変わっていません。しかし、その中国と統一されることを希望するか否かということになれば、話は全く別です。特に、台湾では、一党独裁体制下で蒋介石国民党政権の戒厳令の時期を経験した記憶が強く残っています。
 台北タイムズが引用した台湾人の人権活動家である李明哲の政治的逮捕の一件については、不明な点が多いのですが、中国において「国家政権転覆罪」により懲役5年を言い渡されました。このケースなどは、あらためて中国と台湾の基本的制度の違いを台湾人に認識させた直近のケースです。
 他方、習近平自身、かつて台湾の対岸の福建省で十数年間にわたり省の党書記などの地位についており、自分こそ台湾通であるとの自負が強いにちがいありません。中国共産党指導者として、さしたる実績もなく、毛沢東、鄧小平に次ぐ指導者の地位に就きました。実際に目に見えた「実績」をあげるとすれば、台湾を“統一戦線”により、中国との統一か、あるいはそれに近い状態に追い込むことでしょう。
 「中華民族の偉大な復興」というスローガンは、習近平にとっては、何よりも、台湾問題で見るべき成果を上げなければならないという課題を意味するものと思われます。

なぜ中国の潜水艦は尖閣諸島に近づいたのか

小谷哲男 (日本国際問題研究所 主任研究員)
 2018111日午前、中国海軍のものとみられる潜没潜水艦と中国海軍フリゲートが、尖閣諸島周辺の日本の接続水域に入域し、同日午後同海域から離れた。中国海軍の水上艦は20166月に一度同接続水域に入域しているが、中国海軍の潜水艦が、尖閣諸島沖の接続水域に入域するのが確認されたのは今回が初めてだ。この事案の発生を受けて、日本政府は事態を一方的にエスカレートする行為だと中国政府に抗議したが、中国政府は海自の護衛艦が先に接続水域に入ったためと自らの行動を正当化している。
 今年は日中平和友好条約締結40周年で、昨年から両国は関係改善に向けた努力を続けている。にもかかわらず、その動きに水を差すような行動をなぜ中国海軍は取ったのであろうか。以下、防衛省の発表とメディアの報道から、中国側の意図を分析する。


(写真:ロイター/アフロ)
共産党中央の指示か、現場の指揮官の独断か
 まず、今回の事案は共産党中央からの指示に基づいていたのだろうか、それとも現場の指揮官の独断によって偶発的に発生したのだろうか。前者の場合、何らかの政治的な意図に基づいて、潜水艦とフリゲートが連携して今回の動きを見せたことになる(潜没航行中の潜水艦が水上艦と通信を行う手段は限られているため、突発的に連携を行うことはまず考えられない)。現場の判断だったとすれば、潜水艦が何らかの理由で接続水域を潜没航行し、これを追尾する海自護衛艦が接続水域に入ったため、東シナ海中間線付近にいた中国海軍フリゲートも同海域に入域したのだろう。この場合、フリゲートは潜水艦の動きを把握していなかった可能性がある。
 共産党中央からの指示があったとすれば、習近平指導部は、自らが進める一帯一路構想に日本が協力の姿勢を示すことを歓迎し、日中関係全体の改善は進めたいが、日本に対して尖閣諸島に関して一歩も引いていない姿勢を見せようとしたと考えられる。あるいは、中国側に、一帯一路への協力に引き続き日本側が条件を設けていることへの反発もあるのかもしれない。または、日中防衛当局間の海空連絡メカニズムの運用開始が近いと報道されているが、中国側は危機管理の必要性を示す事態を作る中で、その運用に関しても中国側の意向の尊重を求めているのかもしれない。中国共産党第19回全国代表大会で、習近平総書記は権力をさらに固めたと見られるが、日中関係は国内的に敏感な問題なので、その改善は慎重に行う必要がある。今月中に河野太郎外務大臣が、日中韓首脳会談の調整のために訪中する予定だが、その前に日本側に政治的なシグナルを送ろうとしたのではないか。
 一方、現場の独断だった可能性はあるだろうか。中国海軍の潜水艦は2004年に一度石垣島東岸の領海を潜行したまま侵犯し、海上警備行動に基づいて海上自衛隊の追尾を受けている。その後、中国は領海侵犯を「技術上のミス」と釈明した。他に中国のものと思われる潜水艦が、2013年に3回、2014年に1回南西諸島沿いの接続水域で確認され、2016年2月には対馬沖の接続水域でも確認されている。しかし、習近平国家主席が人民解放軍の統制を強める中、日中間で最も機微な問題である尖閣諸島で、軍が独断で行動を起こすとは考えにくい。
 中国側が、尖閣の接続水域に入った場合の日本側の出方を試した可能性も考えられなくもないが、当該潜水艦は尖閣諸島沖の接続水域に入る前に宮古島沖の接続水域を潜行しており、少なくともその頃から哨戒機から投下されるソノブイと、護衛艦の艦載ヘリが投下するディッピングソナーで逐一位置を特定され、(潜水艦映画でよくあるように)艦内にはソナーの不気味な音が響き渡っていたに違いない。そのような状況で自衛隊の出方を試す必要はない。むしろ、潜水艦の艦長は一刻も早く現場海域から立ち去ることを望んだだろう。
 このため、今回の事案は共産党中央からの指示に基づいていた可能性が高い。なお、一部報道によれば、当該潜水艦の情報は米国「など」から日本に持たされたとされているが、実際の情報源は台湾である可能性が極めて高い(2004年の領海侵犯事案も、最初の情報は台湾からもたらされたとされる)。蔡英文政権が発足して以来、中国は台湾に対する圧力を強めているが、最近は中国の艦船や爆撃機が台湾を周回している。2018年に入って、中国の空母が台湾海峡も通航している。今回尖閣諸島の接続水域に入域した潜水艦が中国のどの艦隊に所属しているかは不明だが、南シナ海方面から、バシー海峡を抜けて太平洋に入り、宮古海峡から尖閣に向かったと思われる。そうであれば、習近平指導部は、海軍の作戦能力の向上とともに、台湾と日本に対する政治的圧力を目的としていたと考えられる。
日本政府が抗議よりもすべきこと
 最後に、今回の事案を受けて日本政府は中国政府に抗議をしたが、国際法上接続水域での潜水艦の潜没航行は認められており、その点で中国の行動に問題はなかった。また、日本政府は潜水艦の国籍を特定しておらず、潜水艦の行動について直接抗議をしたわけではなく、あくまでフリゲートの動きを含めた事態全体の発生についての抗議であった。ただ、日米両政府は防衛協力の指針に基づく同盟調整メカニズムを通じて、常時情報と情勢認識を共有していたはずだが、米側は国際法上問題がないにもかかわらず、日本政府が抗議をしたことに理解を示したのだろうか。米国海軍は潜水艦も含めて中国の接続水域も航行していると考えられ、そうであれば、米国政府は日本政府が中国政府に抗議をしたことを懸念している可能性がある。
 中国の行動が一方的に尖閣諸島をめぐる緊張を高めたことは確かだが、日本政府の対応として必要なのは中国政府に抗議するよりも、今回の中国の動きを可能な限り詳細に国際社会に示すことではないだろうか。現時点での防衛省の発表では、日中の艦船の細かい動向など、わからないところがまだあり、中国側の「自衛隊が先に接続水域に入った」とする主張に反論できる材料ともなっていない。国際法上の問題がないことを中国政府に抗議をするよりも、国際社会に中国が事態を悪化させる行動を取っていることを発信することの方が、同様の事態の再発を防ぐより賢明な方法ではないだろうか。

弾道ミサイルだけではない北朝鮮の反撃能力
北朝鮮政府が平昌冬季五輪大会に選手団を送る決定をしました。核兵器、弾道ミサイルをネタに自国のプレゼンスを確立したい北朝鮮ですが、隣国で開催される冬季五輪大会という戦場も見逃さなかったですね。核実験以外でどこでトレーニングしていたのか、深まる謎がありますが、スポーツ競技の祭典という名の「戦争」でも国威発揚という勝利を狙ってきます。アメリカに核大国であることを認めさせるには、核実験やミサイル実験だけではないことをよくわかっています。応援団にも気合をいれていますが、あまりメディアが美女軍団に執心しすぎることは、かえって北朝鮮の国威発揚にお墨付きを与えることになりはしないでしょうか?

【まずはここを非難】米空母に「五輪出場種目ない」=北朝鮮、半島展開をけん制
時事通信

【ソウル時事】北朝鮮の対韓国窓口機関、祖国平和統一委員会のウェブサイト「わが民族同士」は20181月13日に掲載した論評で、米空母「カール・ビンソン」が2月の平昌冬季五輪開幕前に朝鮮半島周辺水域に展開するとの報道を取り上げ、「平和と親善を目的とする五輪に、戦争と対決を招く空母が出場できる種目はない」とけん制した。


【これは常套手段かな?】東京五輪は大丈夫?平昌五輪にサイバー攻撃 

アメリカのセキュリティーソフト会社「マカフィー」が平昌五輪を狙ったサイバー攻撃を確認したと発表しました。送られてきたメールの添付ファイルを開こうとするとプログラムが作動し、そのプログラムによって、ウイルスが呼び寄せられたり、パソコンそのものが乗っ取られる可能性があるといいます。
メールは韓国の「対テロセンター」からの送付を装っていましたが、メールと対テロセンターには関連がなく、送り主は特定できていません。マカフィーの担当者は、攻撃者の目的は、五輪の情報を抜き取り、財務情報や五輪で使われている技術などの情報を売買することだといいます。過去の五輪でもサイバー攻撃の被害はありました。2020年東京五輪に向け、政府は対応に乗り出しています。2017年4月、警視庁にサイバー攻撃対策センターを新設。IoTや自動運転技術などを打ちだそうとしている東京五輪では、民間企業も同じように対策が必要だといいます。

〈管理人より〉例え金メダルがとれなくともタダでは引き下がらない北朝鮮。非合法におみやげは持ち帰ることでしょう。標的型メール攻撃という新たな軍事攻撃で。

【やはりメディア情報戦での勝利を狙うか?最強兵器?】

北朝鮮の「美女軍団」、平昌五輪へ 南北にメリット

BBC News


北朝鮮は201819日、平昌冬季五輪に代表団を派遣することを発表した。派遣されるなかには、応援団も含まれる。
北朝鮮といえばチアリーダー軍団……では決してないものの、これまで長年にわたり果たしてきた政治的役割は大きい。
どういう人が応援団に
チアリーダーなだけに、メンバーのほとんどは20代前半から20代半ばの女性たちだという。韓国の南北体育交流協会の金慶星(キムギョンソン)理事長によると、応援団は「容姿にもとづいて」選ばれるだけでなく、「イデオロギー」の適性でも審査されるという。
中国国際放送(CRIによると、大学生、宣伝隊のメンバー、音楽学校の生徒たちから厳選されるという。さらに北朝鮮政府が、事前に身元を調査し、脱北者の身内や親日派ではないことを確認するためだという。
登場の頻度は
選び抜かれた応援団は、しばしば大観衆の前に登場する。年に一度平壌で開催されるマスゲームと芸術の祭典、アリラン祭には、おそらく毎回出演している。
応援団は時折、スポーツ選手の海外遠征に同行している。2007年に開催されたFIFA女子サッカーワールドカップの際にも、中国・武漢へ派遣された。
しかし北朝鮮政府は朝鮮戦争勃発以降、韓国には3回しか応援団を派遣していない。
2002年に釜山で開催されたアジア競技大会には288人の応援団が派遣され、2003年に大邱で開催された夏季ユニバーシアードには303人の応援団が選手に同行した。2005年に仁川で開催されたアジア陸上競技選手権大会には、101人の応援団が派遣された。
2014年のアジア競技大会にも「関係改善」のために派遣されるはずだったが、経費などの諸問題について合意できず、北朝鮮は派遣を見送った。
有名なチアリーダーは
チアリーダーたちはその容姿と揃った動きが人気で、韓国にもそれなりにファンがいる。
「美女応援団 」などと呼ばれ、選手よりも注目されることが多い。一番有名な北朝鮮のチアリーダーは紛れもなく、金正恩委員長の李雪主(リソルジュ) 夫人だ。李さんは2005年のアジア陸上選手権大会で、応援団の一員として撮影されている。
平昌派遣の意義は
北朝鮮が韓国に応援団を派遣するのは、10年以上ぶり。友好と平和の印の、オリーブの枝を差し出しているかのように見える。
これまでに南北朝鮮の緊張関係は悪化を続けてきた。北朝鮮がミサイル発射を繰り返し、6回目の核実験を実施したせいで、国連や米国は制裁を繰り返し強化した。北朝鮮は核・ミサイル実験に加えて、昨年は日韓米に対して激しい挑発や脅迫の言葉を繰り返した。
魅力的な北朝鮮の美女たちが五輪大会に登場すれば、世界的な舞台で北朝鮮のイメージ改善につながるだろう。米国から大会に派遣されるチアリーダーたちとも、公式行事で共演する機会もあるかもしれない。
しかし、得をするのは北朝鮮に限らない。平昌冬季五輪の運営組織はこれまで、チケットの販売不振に頭を痛めていた。半島情勢が緊迫するなかで、主要会場が北朝鮮からわずか90キロの距離にあるのが、原因だったかもしれない。それだけに美女軍団の登場は、北朝鮮と韓国の双方にとって、状況改善にもってこいなのかもしれない。
北朝鮮・美女軍団動画



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