2017年9月24日日曜日

アメリカ政府における「セキュリティクリアランス」・情報戦の定義

~国家の機密情報にアクセスするための資格~

基幹システムを運用するためのベース。運用のためのキーであるため、資格取得のための審査は厳しい。セキュリティクリアランスの制度を作らないと、国際間、特にアメリカには相手にもしてもらえない。

〈情報基幹システム〉

 アメリカの情報ネットワーク~情報はネットワークで扱われる~

それぞれの情報にアクセスするためには、それぞれのレベルに応じたセキュリティクリアランスの取得申請と認可が必要になる。

SCI=シークレット・コンパートメンテッド・インフォメーション(コンポーネント)とは、駐留する場所の情報しかアクセスできない。見る必要のない情報にはアクセスできない。ただリクエストすれば閲覧のみ可能である。

トップシークレット

 「ジェイウィクス(JWICS/Joint Worldwide Intelligence Communication System)」で扱う。

 インターネットとは隔離されており、人工衛星の回線を使用する。(秘匿回線)
ハッキングは不可能である。「スキッフ(SCIF/Sensitive Compartmented Information Facility)というエリアにあり、厳重に警備されている。
 UAV(Unmanned aerial Vehicle/無人航空機)は、飛行しながら画像を衛星回線で送ることができる。
 F-22ラプター戦闘機は、シパーネットとジェイウィクスの端末が入っており、基幹システムとして運用される。情報収集を衛星回線で行う。

シークレット

 「シパーネット(SIPRNet/Secret Internet Protocol Router Network)」で扱う。

独自のネットワークで、ハッキングは不可能である。クリアランスをもつ人間しかアクセスできない。PCをおく場所も決まっている。部屋の強度、ドアの設置方法なども決まっている。
 インターネット回線は、「タックラン(TACLAN/TacticalLAN)」を使用する。共産中国はここに侵入したいのだが、ネット経由では不可能である。

アンクラスィファイド(非機密)

外に出してもいい情報である。情報公開法(Freedom of Information Act)により公開できる情報は公開しなければならない。
 「ニッパーネット(NIPRNet/Unclassified but Sensitive Internet Protcol Router Network)」で扱う。
 インターネットに接続され、Eメールが送付可能である。給料明細や連絡事項が存在する。共産中国がハッキングできるのはここまで。ハッキングされやすい。扱う情報は機密扱いでないため問題ない。


〈資格の期限〉

アメリカ連邦政府すべてに統一して機能しているシステムであり、官民共有の資格である。(ジェネラルダイナミクス、レイセオンなどの民間企業の社員もクリアランスを取得しないと働くことができない。)
1回取得すると10年間有効であるが、トップシークレットクリアランスは5年間有効である。ただ国務省、情報省、軍隊でシークレットクリアランスを取得すると10年間有効となる。
途中で辞めてCIAに入庁しても有効期限はそのまま継続される。

   〈資格の調査〉

OPMoffice Personnel Manage)〉
第三者機関である資格調査機関。ここでは以下のことを行う。

・申請した人間の「バックグラウンドチェック」を行う。

   日本でいうマイナンバーにあたる「ソシアルセキュリティナンバー」を使ってチェックが行われる。セキュリティクリアランス取得にあたり、クレジットスコア(借金)の有無が重視され、特にきちんと返済しているかどうかが重視される。返済されていればスコアがあがる。(クレジットスコアはアメリカ国民全員が持っている。)

400台~「BAD」※400をきるとクリアランスの取得は不可となる。
500台~「SOSO
600台~「OK
700台~「GOOD
800台~「EXCELENT

   渡航歴~クリアランスの申請書にどこにいったのか、を全て書かなければいけない。

   妻(夫)の国籍、出身地~スパウス(spouse/配偶者)の情報は全て書かされる。妻(夫)が敵性国家の人間、特に漢人であると基本的にクリアランス取得は不可。

   調査組織OPM~自分のことを知っている人間を最低2人は書かされ、調査が行われる。

 情報は、基本的には取り扱い自由である。その中で識別を厳にして、機密の段階をつけて、扱われなければならない。
 国家がある以上、機密があるのは当然である。「ここは機密にしておく必要があるが、残りは全て自由」というルール構築が必要である。国民の「知る権利」を奪うとはいえない。どちらか一方だけ主張するのは、情報の意義を知らない、ということである。

・取得費用は有料、軍人は軍が負担する。
・政治家は、クリアランスが絶対必要である。クリアランスがないと議員になれない。
・クリアランスを認可されるには様々な条件が必要である。

〈情報漏洩に対する対策〉

エシュロン(Echelon/軍事目的の通信傍受システム)
 「カウンターインテリジェンス(CI/counterintelligence)」=外国の敵意ある情報活動を無効化するための活動。情報漏洩を行う人物を徹底的にマークしている。
 アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドが独自に構築している。アメリカ以外は、シパーネットに入ってこられないが、同盟国として必要な情報は共有される。シパーネットは、いったん共有する情報を外に出す。アメリカ以外の国はこれにアクセスすることになる。シートの下には、情報がシークレットかトップシークレットか、参加国のどこまでが共有しているのかがわかるようになっている。

(引用文献:『米中激戦!~いまの「自衛隊」で日本を守れるか』2017年6月10日 藤井厳喜・飯柴智亮著 KKベストセラーズ)



アメリカ世界独裁の戦略と現状
ミシェル・コロン氏

【「情報戦」の定義】

「(保全)自分の情報や情報組織を敵の攻撃から守り、敵の情報組織を攻撃して、情報を攪乱し情報活動を妨げること。」

〈特徴〉
①目的を達成するために情報を主用する。
②情報操作などで、我に有利な情勢を作為する。
③戦闘による物理的な破壊ではなく、非破壊活動(ハッキングや欺瞞)で敵の軍事機能を無力化する。

〈情報操作について、旧ソビエト連邦の定義
「誰かを本筋から踏み外させることを目的として不正確な情報を国際的に提示すること。」
〈アメリカの旧ソビエト連邦に対する高度な情報操作〉
ソビエト連邦の軍事力を故意に過大評価することで、米軍が軍事予算確保を狙ったともいわれる。

〈平時においても経済情報を含んだ国家間の情報戦は活発〉
現在では、コンピュータに代表される民間情報関連技術の発達が、軍民間の区別をあいまいにしています。いかに早く正確な情報を得るかが軍事的優位の要素であり、また情報能力の発揮のしどころである。

〈アメリカ軍での情報戦のとらえ方〉
①偽情報やプロパガンダの流布
②指揮統制中枢や情報発信の物理的な破壊
③コンピュータウイルスの投入
④ハッカーによる不正アクセス
⑤ハッカーコンピュータウイルスによるデータに対する改竄、破壊もしくは電磁パルスによる物理的破壊
(引用文献:『日本の軍事力~自衛隊の本当の実力~』2017年7月20日 中村秀樹著 KKベストセラーズより)

情報戦の世界は、政治、経済、外交、軍事の4つの分野で戦われる。
まず政治の分野では、相手国政府が何を考えているのか、サイバースパイ活動により、情報を入手し優位にたつ。或いはツイッターやフェイスブックのようなSNSなどを使って、自分たちに有利な情報を政治的に流しプロパガンダに利用する。世論を誘導する。そういう政治的な活動がすでに盛んにサイバー空間で行われている。
経済の分野では、他国の技術情報を盗んでくる。具体的には企業の技術情報と大学の科学技術情報などをサイバースパイ活動により入手する。これはいま世界中で活発に行われており、三菱重工業などへのサイバー攻撃の例をみてもわかるように、日本も相当の被害にあっていると思われる。
 外交の分野では、外交交渉を有利に運ぶため、相手国政府の特に外交面での情報をサイバー攻撃により入手する。(中略)
軍事の分野では、いざ戦争となったとき、戦いを有利に進めるため、常に相手国の中枢システムなどへのサイバー攻撃をしかけ弱点を探している。
(引用文献:『「第5の戦場」サイバー戦の脅威』2012年2月10日 伊東寛著 祥伝社より)


戦争はまず情報戦から!日本人の誤った戦争観
情報戦 ~政治と報道と倫理の問題 





































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