2018年2月22日木曜日

米中、北朝鮮、そして我が国のサイバー戦略  ~核兵器よりリアルな戦争~

米中サイバー規制が企業に強いる〝変革〟とは

急速なクラウドシフトが進むワケ


國分俊史 (多摩大学大学院教授)

 2017年に大手の金融機関や商社などの基幹システムに相次いでアマゾンやマイクロソフトなどの米国系クラウドが導入された。一方、20176月に、中国政府が施行したインターネット安全法は、日本企業を大きく動揺させた。中国国内の情報の持ち出しが制限されるだけでなく、中国政府が認証したサイバーセキュリティ技術や製品の利用が義務付けられる可能性もあり、中国市場で成長を目指す日本企業にとっては事業の前提条件を根底から覆すルールである。一見関連のないように見えるこの2つの事象の裏には米国と中国との間のサイバーセキュリティを巡る標準争いがあるとみられる。この両大国が主導するルールの理解を誤ると日本はビジネス面でも大きな痛手をこうむる。
安全保障のため知的財産の保護を図る
 ことは2010年にさかのぼる。201011月、オバマ大統領は大統領令(Executive Order 13556)を発行し、CUIControlled Unclassified Information)と呼ばれる「取扱注意情報」を扱う米国内の官民全ての組織に対して、米商務省国立標準技術研究所(NIST)が策定したサイバーセキュリティのガイドラインに沿った管理を義務付けた。CUIとは、機密情報そのものではないが、これらを広範囲に集めれば機密が特定される可能性がある情報である。20169月には連邦規則で、CUIを「処理、格納、通信」する民間企業に対して、情報システムを特定の技術体系で構築して、CUIの保護を義務付けた。
 各業界の中で最初に対応を迫られたのは防衛産業だ。国防総省から、20171231日までに同省と契約する企業とその全てのサプライヤーに対応を求める通達が出されたからだ。その他の業界は実施時期を検討しているが、多くの業界が2019年上期までに対応することになると、米国では予測されている。問題は米国政府が指定するCUIが軍事外交に関する国家レベルの情報にとどまらず、幅広い産業の企業秘密も含まれていることである。例えば自動車業界であれば試験走行データ、電力業界であれば燃料の輸送ルートや設備情報、ヘルスケア業界では個人の健康診断記録までもが該当する。
出所)米国国立公文書記録管理局などの資料を基に筆者作成  
 なぜこのような情報がCUI指定されるのか? それは、米国政府が民間企業の知的財産を中心としたデータの保護を、安全保障に不可欠な米国経済の強さを維持するうえで重要視しているからだ。企業秘密であっても、米国企業がサイバー攻撃によって競争力を失わないように、徹底した管理を促しているのである。これは日本にも多大な影響を与える。米国政府はCUIを取り扱う場合はサプライチェーン全体において当該の情報システムでの管理を求めているからだ。もちろん、それには中小企業も含まれる。米国企業のサプライヤーとなっている多くの日本企業は米国企業のCUIを無意識に保有している。そうした企業も、どの部門がCUIを取り扱っているのかを特定し、米国政府の基準に適応したシステムへの移行を迅速に行わなければ米国企業と取引ができなくなる。
 当該システムの構築には、クラウドへの移行が必須だ。要件を満たそうとすると、クラウドの利用なしでは膨大なコストがかかるからだ。ちなみに、日本のITベンダーでこの基準を満たすクラウドを有しているのはまだ1社しか存在しない。その理由はITベンダーにとって、クラウド化はビジネスモデルを破壊する「イノベーションのジレンマ」そのものだからだ。彼らはハードをクライアントに販売し、SEを現場に張り付けて異なるスペックの大量のハードウェアとソフトウェアをつなぎ合わせ、クライアント独自仕様のシステムを構築して儲けている。
 米国にはCUIに関する規則とは別に機密情報を取り扱うために必要な技術体系も存在し、米国はこれをISOにしようとしている。この基準では、クラウドの仕様を決め、データを処理するCPUや格納するメモリー、ディスクの物理的な場所をリアルタイムで特定し続けられることを求めている。推奨商品例としてNISTはインテルのTXTチップが搭載されたクラウドをあげている。こうした推奨製品には米国企業のものが多い。
米国がクラウドシフトをする背景には、サイバーセキュリティ人材を企業ごとに集めることが困難な事情がある。そのためサイバー攻撃に対処する人材をクラウドサービスの提供会社に集約し、セキュリティレベルの高いサービスを普及させることで民間企業への攻撃にも対応できる体制をつくろうとしている。
 これらを認識して対抗したのが中国だ。中国は法律で中国国内で事業展開する企業が利用する情報機器や情報サービスは中国の国家安全審査を受けることを義務付けた。つまり、中国政府の定めた規格でなければ審査が合格しない仕組みを法的に確立したのである。中国は今後、AIIBの投資対象国に対し、資金力を梃子にして中国の審査基準を認めさせ、中国IT製品の普及を目指すと見るべきである。
米国系クラウドベンダーが活況を呈する理由
 これに対して欧州の動きはどうか。167月、欧州情報ネットワークセキュリティ庁がNIS Directiveを施行。内容はEU市場で活動する企業が前述の米国基準に事実上準じた標準で指定された技術体系の採用を義務付けるものだ。期日は2018510日までであり残り時間は少なく、欧州でも情報システムのクラウド移行を加速している。アマゾンをはじめとする米国のクラウドベンダーが活況を呈しているのはこのためだ。冒頭の日本企業がクラウドに移行したこともこれに追随した動きだと思われる。一方、多くの日本企業のCIO(最高情報責任者)はいまだにクラウド不信を持つことに加えてサイバーセキュリティの観点からの有効性の認識が低い。そのため、日本企業はクラウド化が遅れてしまっている。
 確かに現段階ではクラウドでは実現できない技術課題は残っているが、安全保障目的で米欧が進めているルール形成の潮流を理解すればクラウドに移行せざるを得ないだろう。
 問題は、このような文脈でルール形成していることの認識を日本政府、民間企業の双方で行えていなかったことである。実はいまだにこうしたサイバーセキュリティのルールを統合的に説明している文書を米国政府は発信していない。日本の場合、経済産業省に米国防総省の調達基準をフォローする義務はなく、防衛省は米国防総省の動向が日本の一般的な民間企業に与える影響を考慮する義務がない。内閣サイバーセキュリティセンターは国内の官庁と重要インフラのサイバー攻撃への対応力の向上が義務であり、管轄外である。つまり、官庁には安全保障政策を起点としたルール形成が日本企業に及ぼす影響を分析し、対応をリードする機能がそもそも存在しないのだ。
 WTOISOという国際標準を作る場で公然と話し合われる状況にならない限り、他国の政府調達基準には内政干渉となるため意見が言えない。さらに言えば、今回の米欧の政策連携は諜報機関同士での協議も行われてきた。こうした情報はそれと同様の組織ではない日本の省庁ではキャッチできない。この構図は深刻である。
 今後、この手のパターンで米欧主導のルール形成に、中国がカウンタールール形成で打ち返すという安全保障政策起点のルール形成の応酬が続くだろう。サイバーセキュリティは安全保障を大義名分とした保護主義を促し、特定陣営間の標準争いになる恐れがある。
 日本においては官民が連携して、この米中を中心としたルール形成の動きを察知し、対応しなければならない。解決策は、まず民間企業が安全保障政策の情報収集能力を高めることだ。各社には安全保障政策研究者の採用、安全保障政策を研究している各国シンクタンクへの出向や研究プログラムへの参画を勧める。これらは欧米企業においては経営判断に必要なインテリジェンス能力を獲得する手段として常識である。

 また日本政府も企業活動に影響を与える安全保障政策動向を捉え、日本の調達基準に戦略的に反映させることが必要だ。それが官民双方の各国のルール形成に対する意識を変え、その動きに対する牽制を行う能力を培うことにもつながるだろう。

【進むアメリカのサイバー対策】

米、電力インフラへのサイバー攻撃に専門部署 原発や送電網の安全確保

【ワシントン=塩原永久】米エネルギー省は2018214日、原子力発電所や送電網へのサイバー攻撃に対処する専門部局を新設すると発表した。電力供給の重要施設に対するサイバー攻撃を、エネルギー安全保障上の重要課題と位置づけ、対策を強化する。
 新設するのは「サイバー安全保障・エネルギー安全保障・緊急対応局」で、次官補級がトップに就く。電力インフラに対するサイバー攻撃や、テロなどの物理的な攻撃への対応に加え、ハリケーンや「爆弾低気圧」などの気象急変のもとで、電力供給を維持することなどを任務とする。

 同省は、トランプ政権の2019会計年度(18年10月~19年9月)の予算教書で、部局の新設に9600万ドル(約102億円)の予算要求を盛り込んだ。
 同省のペリー長官は声明で、「新部局によって新たな脅威に最善の対策を採れるようになる」と述べた。
 米メディアによると、国土安全保障省と連邦捜査局(FBI)が昨夏、ハッカー集団が、米原発や電力産業の基幹施設を狙っているとの警告を発するなど、米国内で電力インフラに対するサイバー攻撃の脅威が高まっていた。

米、サイバー攻撃対策本部を設置 ロシアの選挙介入を警戒

2018/2/21 15:52 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27192630R20C18A2FF1000/
【ワシントン=川合智之】セッションズ司法長官は2018220日、サイバー攻撃対策本部を司法省に設置するよう指示したと発表した。2016年の米大統領選に介入したとして、モラー特別検察官は216日にロシアの個人・企業を訴追したばかり。201811月の議会中間選挙でもさらなる攻撃があるとみて、対抗策の検討を急ぐ。

2018220日、米ホワイトハウスでの会合にトランプ大統領とセッションズ司法長官が同席した。

 対策本部には同省と米連邦捜査局(FBI)、連邦保安官局、麻薬取締局などの治安当局が参加する。個人情報や企業の機密情報の盗難のほか、インフラへの攻撃や過激思想の流布・勧誘などのテロ対策にも対策を講じる。
 「技術の悪用がわが国に前代未聞の危機をもたらしている」。セッションズ氏は省内の指示文書で、サイバー攻撃への警戒感をあらわにした。ロシアの国名は明示しなかったが、「選挙への介入」などを優先課題に挙げ、報告書を6月末までにまとめるよう対策本部に求めた。

 16日公表された起訴状によると、ロシア企業は16年の大統領選中に数百人を雇用し、人種や移民間の対立をあおる偽情報などをツイッターやフェイスブックに大量に投稿。一部の投稿にはトランプ大統領自身も「いいね!」と肯定していたという。こうした選挙工作で米国を分断し、国際的な指導力を低下させるのがロシアの狙いだ。
 セッションズ氏は「捜査妨害技術の使用」も課題に掲げた。米アップルなどによるスマートフォン(スマホ)の暗号化が司法当局にも解けず、捜査に影響していると問題視する。
 司法当局は容疑者のスマホ内の暗号化されたデータを自由に解読できるようIT(情報技術)各社に求めているが、各社は個人情報保護との板挟みになっている。16年にはFBIによるスマホのセキュリティー解除要請を米アップルが拒否し、法廷闘争となった。

〈管理人より〉電力インフラと民主主義国家にとっては、国政を左右する選挙へのサイバー攻撃への対策はアメリカだけではない課題といえるでしょう。


【北朝鮮、共産中国、ロシアの脅威】~ただサイバー攻撃によるもの~


2017年6月のサイバー攻撃はロシア軍が実行 
トランプ政権が断定「国際的な報い受けるだろう」

【ワシントン=黒瀬悦成】米ホワイトハウスは2018215日、ウクライナを中心に世界各地で甚大な損害を引き起こした昨年6月のサイバー攻撃について「ロシア軍が実行した」と断定する声明を発表した。
 声明は、問題のサイバー攻撃は「歴史上、最も破壊的で多大な損失をもたらした」と指摘。また、攻撃は「無謀かつ無差別的で、国際的な報いを受けるだろう」として報復を示唆した。

 ホワイトハウスは「ノットペトヤ」と呼ばれるウイルスが攻撃に使われたと確認。このウイルスは、マイクロソフトの基本ソフト(OS)であるウインドウズの欠陥を悪用して攻撃を仕掛け、専門家によると最初はウクライナの会計ソフトの更新プログラムに感染し、ネットを介してウクライナ政府機関や銀行、企業などに感染が広がった。
 声明は、サイバー攻撃の狙いについて、ウクライナ南部クリミア半島を編入したロシアがウクライナ情勢をさらに不安定化させるためだったと指摘した上で、「ロシアがウクライナ紛争に関与している実態をこれまで以上に明確に示すものだ」と強調した。

 ホワイトハウスによると、攻撃による影響は欧州やアジア、北米と南米にも拡大し、総額で数十億ドル(数千億円)の被害が出たとの見方を明らかにした。

〈管理人より〉どうして誰がやったのか?が特定できるんだろう?

北ハッカー集団、サイバー攻撃対象に日本も


北朝鮮のハッカー集団が、国連の制裁などを扱う日本の国連関連団体にサイバー攻撃を行っているとの分析をアメリカの情報セキュリティー会社が2018220日、発表した。
アメリカの情報セキュリティー会社「ファイア・アイ」は、北朝鮮のハッカー集団を「APT37」と名付け、2014年から主に韓国政府や軍に集中してサイバー攻撃を展開し、軍事関連の情報などを盗んでいたと分析している。

さらに、このハッカー集団が去年、北朝鮮への制裁や人権問題を扱う日本にある国連の関連団体にもサイバー攻撃をしかけていたと新たな分析結果を発表した。また、ベトナムや中東にも対象を広げ、標的とする分野も化学や電気、医療産業などに拡大していると指摘している。
その上で、これらの活動は「北朝鮮政府のためだ」と結論づけていて、北朝鮮が自国をめぐる情報を探ろうとした可能性もある。


中露、サイバー攻撃にAI活用 北も能力獲得か 手口を学習、標的選定も
 
元在日米軍司令部サイバーセキュリティー長が証言


 中国とロシアがAI(人工知能)を活用して自動的にサイバー攻撃を仕掛ける技術を取得したことが2018213日、わかった。AIを活用すれば、人材の省力化でハッキングの効率を高められる。AIが自ら攻撃手法を学んで技術を短期間で向上でき、大規模な攻撃を仕掛けることも容易になるという。北朝鮮も同様の技術を獲得した恐れがあり、AIを悪用した攻撃の脅威が世界に広がりそうだ。(板東和正)
 元在日米軍司令部サイバーセキュリティー長のスコット・ジャーコフ氏が産経新聞の取材で明らかにした。ジャーコフ氏は現在、米セキュリティー企業「マカフィー」のサイバー戦略室シニアセキュリティアドバイザーを務め、攻撃動向などを調査。欧州警察機関(ユーロポール)などと情報を共有し、昨年、中露のAI技術取得の情報を入手したという。
 ジャーコフ氏によると、中露が獲得したAI技術は自動的に膨大な数のパソコンやスマートフォンにウイルスを送れる機能を持つ。添付ファイルを開封すればウイルス感染するメールを世界中に一斉送信し、「ハッカーが関与しなくても情報窃取やシステムを破壊する攻撃などが可能」という。また、ジャーコフ氏は「標的にする組織のシステムの欠陥を調査したり、金銭を奪える標的を探したりするAI技術も獲得した」と指摘。北朝鮮については近年、判明した同国のサイバー犯罪を分析し「AI技術を取得している可能性がある」とした。


 ジャーコフ氏は、中露がAIの使用で攻撃を強化できる点について「睡眠を取る必要がないので攻撃の効率が大幅に上がる」と分析した。AIが大量のデータを基に自ら学習する「ディープラーニング(深層学習)」を行うことで「攻撃の技術や手口が自動的に上がり、育成しなくても優秀なハッカーが誕生する」という。人間のハッカーであれば手法や攻撃を仕掛ける時間帯で犯行を特定されやすかったが「AIでは調査が難しく、攻撃側は追跡から逃れやすい」とした。
 中国には、日本の官公庁の情報を盗むサイバー攻撃を仕掛けるハッカー集団が存在。ロシアでも、米大統領選で民主党全国委員会(DNC)に攻撃した集団が確認されている。「中露のハッカー集団がAIを使うことで、さらに重大な被害が起きる」と強調した。また、防衛省がネットワークを守るシステムにAIを導入する方針にも触れ「今後のサイバー戦争はAI同士の戦いになる」とした。

〈管理人より〉「AI+サイバー攻撃」の図式。いずれは予想できることでしたが、いざリアルな形になってみると怖いものがあります。大量破壊、大量殺戮の戦争の時代は、経済の相互関係の深化によって時代遅れになりましたね。これからは「ステルス戦争」の時代で周辺国をコントロールしていく時代といえるでしょうか?

【我が国の戦略】

【電子版】英サイバーセキュリティー専門家「対策にもっと経営陣の関与を」 東京五輪など視野に日英の連携を促進


英国の国家犯罪対策庁(NCA)で国家サイバー犯罪局長などを歴任したサイバーセキュリティーの専門家、ジェイミー・サウンダーズ氏は、都内で開かれたサイバーセキュリティーに関する意見交換会で、日本のサイバーセキュリティーの課題について「ガバナンスやリスク管理の領域で、日本は英国から学べるところがある」と指摘した。サイバーセキュリティーは本来、経営陣が考えるべきであるにもかかわらず、日本ではIT部門が解決すべき課題とみなされがちという。その上で、英国がこうした課題に対して「手助けできることがあるはず」とし、今後、サイバーセキュリティー分野で日英両国が連携をさらに深めることを促した。

ラグビーW杯のサイバー攻撃対策などにも協力

サウンダーズ氏はこの分野での日本との協力関係を深めるため、2月半ばに来日。これまで日本の政府や産業界の関係者らとサイバーセキュリティーについて意見を交わしてきた。
「サイバーセキュリティーに関するテクノロジーの領域で日本が世界のリーダーであることは疑う余地がない」と評価。ただ、意見交換を通じて「サイバーセキュリティーをテクノロジーという観点からしか捉えていないことが気になった」とした。
日本では、2019年にラグビーW杯、20年に東京五輪と国際的な大規模イベントが相次ぎ、開催時期を狙ったサイバー攻撃への懸念も持ち上がっている。サウンダーズ氏がこうしたイベントのサイバー攻撃に対する戦略や計画を見たところ、とてもしっかりした内容だったという。

その上で、サウンダーズ氏は「今後、イベントが開かれるまでの時間で、策定した戦略や計画を実際にテストすることが重要。万が一、テクノロジーにトラブルなどが発生した場合のフォローアッププランなども含めた包括的な演習を行うべきと関係者にアドバイスした」とし、こうした動きに英国も協力する意欲を見せた。
サイバーセキュリティー分野の日英両国による連携をめぐっては、178月にメイ英首相が来日した際、安倍晋三首相と会談し、この分野での課題に連携して取り組むことをあらためて確認した。英国はサイバーセキュリティーの分野に先進的に取り組んでいる。
2016年から5カ年のサイバーセキュリティ―国家戦略では、5年間で約2800億円(19億ポンド)を投じる計画。英政府通信本部(GCHQ)内に設置したサイバーセキュリティ―の専門知識を集中的に管理する「国家サイバーセキュリティ―センター(NCSC)」も、この一環だ。サウンダーズ氏は英国の国家犯罪対策庁(NCA)で国家サイバー犯罪局長のほか、機密情報局長などを歴任。英国大使館によると「サイバーセキュリティ―と機密情報分野の世界的な第一人者のひとり」。

〈管理人より〉いいですね。日露戦争に勝利した「日英同盟」が静かに、着実に復活していく感覚があります。あの幕末の時代にアングロサクソン以外で世界帝国イギリスと軍事同盟関係にあったのは我が国だけでしょう。

宇宙・サイバー空間で司令塔 

防衛省「陸海空に次ぐ戦場」

2018/2/17 23:21 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27056650X10C18A2EA3000/記事保存
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 防衛省がサイバー防衛や宇宙監視の分野の能力向上を急いでいる。防衛省内に司令部機能を持つ専門組織の新設を検討するほか、サイバー防衛に従事する人員も2018年度に約4割増やし150人体制とする。宇宙やサイバーは陸海空に次ぐ「第4、第5の戦場」とも言われ、各国の攻防が激しさを増す。18年中に見直す防衛大綱の議論でも焦点になる。

与那国島に配備予定の沿岸監視レーダー=防衛省提供

宇宙やサイバー分野の対策を急ぐ

 司令部機能を持つ組織は、陸海空の3自衛隊から要員を集め、早ければ20年にも発足させる。各部隊を統括する海自の自衛艦隊、空自の航空総隊などと同格の扱いとすることを想定。サイバー攻撃への対処にあたる専門人員「サイバー防衛隊」や宇宙監視の部隊などを束ねる。
 人員の増強も進める。2018年度にサイバー防衛隊を現状の約110人から150人に増やし、19年度以降もさらに拡充する方針だ。
 宇宙分野では、22年度に宇宙状況を監視する専用部隊を新設。デブリなどを監視できる専用レーダーを海上自衛隊の山陽受信所跡地(山口県山陽小野田市)に配備する。
 こうした体制を整えるのは、各国の宇宙やサイバー分野での攻防が激しくなっているためだ。
 最近では2017年6月に、ウクライナを中心に身代金要求型ウイルス(ランサムウエア)による激しいサイバー攻撃を受け、クレジットカードの決済システムや地下鉄の支払いシステム、空港の電光掲示板などが機能停止した。米ホワイトハウスは15日に一連の攻撃はロシア軍によるものと断定する声明を発表した。
 宇宙空間では、中国による衛星破壊実験や、人工衛星の衝突などによりデブリが増加している。衛星が衝突すれば、損傷して機能を失う危険があるため対策の必要性が高まっている。
 各国はこうした現状を踏まえ対策を強化している。米国は18年9月までにサイバー攻撃に対応する部隊を15年比で3倍の6200人規模に拡大する方針だ。多国間の連携も進む。北大西洋条約機構(NATO)は今後、サイバー攻撃への防衛力向上に向けた司令センターを新設する。
 日本は海外と比べて対応が遅れているとの指摘は多く、サイバーや宇宙分野の先進国との連携も進め対応を急ぐ。
 安倍晋三首相は1月中旬にバルト3国を訪問。エストニアのラタス首相と会談し、サイバー防衛などの情報を共有する「日バルト協力対話」を立ち上げることを提案した。宇宙分野では、1月下旬の日仏の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で協力を進めると確認した。
 課題は人材育成だ。IT(情報技術)や宇宙分野に精通した専門人材は自衛隊内部には少ない。防衛省幹部は「システムや装備は予算を投じれば導入できるが、人材の育成には時間がかかる」と指摘する。外部から人材を招くことも検討するが、専門知識を持つ人材は民間企業でも厚待遇のため「公務員の給与体系では確保に限界がある」(防衛省関係者)のが実情だ。



自衛隊、宇宙監視防衛















2018年2月17日土曜日

米中戦争の時代 ~南シナ海の覇権を掌握する共産中国、揺らぐアメリカ軍の優位~

日米の無策をよそに、中国が南シナ海をほぼ掌握

中国の人工島基地、北朝鮮問題に隠れてますます充実
北村淳
中国東部・江蘇省啓東の港で進水する浚渫船「天鯤号」。人工島の造成に用いるとみられる(2017113日撮影、資料写真)。(c)AFPAFPBB News

 北朝鮮による核・ICBM開発問題、ならびに平昌オリンピックを利用しての南北対話の開始などによって、南沙諸島における中国の武装化が国際社会で目立たなくなってしまっている。そんな状況にますます危機感を強めるフィリピンは、中国人工島建設の進捗状況を物語る写真を数点公開した。それらには、人工島内に建設された“立派な”建造物やレーダーサイト、監視塔、灯台などが鮮明に映し出されている。
「人工島建設は国際貢献」?
 今回フィリピンが公開した写真以外に、米シンクタンクや米国防総省なども南沙諸島の中国人工島建設状況に関する空中写真などを断続的に公表している。
 それらの写真情報によると、かねてより明らかになっていた3つの人工島に設置された3000メートル級滑走路の周辺には、格納整備施設をはじめとする建造物などが着々と整備され、航空基地が完成しつつある。それらの主要人工島だけでなく7つの人工島すべてにさまざまなレーダー設備や通信施設が設置されており、南沙諸島に点在した人工島をネットワーク化した中国人民解放軍の前進軍事拠点(南沙海洋基地群)が完成するのは間近と考えられる。

フィリピンが公開したファイアリークロス礁の状況
フィリピンが公開したジョンソンサウス礁の状況

南沙諸島に地理的に最も近接しているフィリピンが、「中国が南沙諸島で人工島を建設し始めているらしい」との情報をいち早く国際社会に向かって発信したのは、2014年初頭のことであった。まもなく中国当局による人工島建設計画が明らかにされ、実際にいくつかの環礁で埋め立て作業が開始されていることが確認された。
それからわずか4年足らずのうちに、7つもの環礁(それらの多くは満潮時には海面下に水没する暗礁である)が人工島へと生まれ変わってしまった。それら人工島は、本格的滑走路、ヘリポート、港湾施設、強固な(と思われる)建造物群、レーダーサイト、通信施設、監視塔、巨大な灯台などが林立する軍事拠点へと大きく変貌を遂げてしまったのだ。中国当局によると、南沙諸島にナビゲーション設備や気象観測施設を設置することによって、南シナ海での海上交通や航空交通の安全性が格段と高まり、漁業従事者などにとっても操業の安全が確保されるとしている。そして万一、事故や遭難などが発生した場合にも、それら人工島に設置された各種施設を拠点にしていち早い救難活動が展開することができることを強調している。南沙諸島での人工島建設は、まさに「中国による国際貢献の最たるものである」と胸を張っているのだ。
南沙諸島に中国が造成した人工島(黄色)

「軍事施設の設置」が実効支配の証拠に
 南沙諸島を巡って中国と領有権紛争係争中のフィリピンやベトナムをはじめとする南シナ海沿岸諸国や、公海航行自由原則の維持を国是とするアメリカなどは、南沙人工島での軍事施設建設をもちろん非難している。だが、中国側はそうした非難に対して、「中国固有の領土である南沙諸島に軍事的防衛施設を建設するのは、国家主権を守るために当然の権利であり、国家としての義務でもある」と反論している。
 確かに中国側の主張するように、大型灯台、通信施設、レーダーサイト、監視塔、3000メートル級滑走路、ヘリポート、港湾施設などは、ナビゲーション関連施設、気象観測施設、そして救難施設とも見なすことも可能である(そもそも軍事施設はナビゲーション、気象観測、救難行動に有用であり、区別することはできない)。そして、「南沙諸島が中国領なのかフィリピン領なのかベトナム領なのか」といった領有権問題に関する判断とは切り離した場合、「領有権を保持している国家が防衛設備を建設するのは権利であると共に義務である」という“理屈”も、それ自体は荒唐無稽な主張ではない(もちろんフィリピンやベトナムなど係争国にとっては「100%受け入れ難い」主張ではあるが)。

 中国の“理屈”を逆説的に言い換えるならば、中国が南沙諸島の領有権を名実ともに手にするためには、誰の目から見ても「中国が南沙諸島を実効支配している」という状況をつくり出し、維持しなければならない。すなわち、「国家主権がおよぶ領域に軍事的防衛施設が設置されている」ことこそ、「その領域を実効支配している」目に見える形での証拠ということになるのだ。
無力だったアメリカ
 中国が実際に暗礁を人工島に生まれ変わらせ、それらの人工島に様々な施設を建設して多くの人員を“居住”させてしまった場合、現実的問題として、それらの人工島を「元の状態に戻せ」あるいは「人工島を放棄して立ち去れ」といった要求を中国側に突きつけることは、不可能である。それは人工島建設開始当初から誰の目にも明白であった。
 しかしながら、海洋軍事力が中国とは比べることができないほど貧弱なフィリピンや、やはり海軍力が弱体であるベトナムなどは、軍事力を背景にした強硬姿勢をもって中国の南沙人工島建設に対抗することは、とてもできない相談であった。
 そして、フィリピンが軍事的に依存している同盟国アメリカとしても、人工島建設作業そのものは軍事行動とは見なせないため、海軍力を動員しての牽制には無理があった(もっとも、オバマ政権は中国を刺激しない政策をとっていたため、人工島建設作業を軍事的に阻止することなど思いもよらなかった)。
 とはいうものの、アメリカとしては、フィリピンだけでなく日本などアメリカに軍事的に依存している同盟諸国の手前、南シナ海での中国の覇権的拡張行動に対して、なんらかの軍事的牽制を加える姿勢を(たとえポーズであっても)示さないわけにはいかない。そこでオバマ政権およびトランプ政権が実施しているのが、南沙諸島や西沙諸島での「公海航行自由原則維持のための作戦」(FONOP)である。


中国人工島建設を牽制する意図を持ったFONOPは、20151027日の開始以来、合わせて9回(オバマ政権下で4回、トランプ政権になってこれまで5回)実施された。だが、中国による人工島建設そして軍事基地化はまったくFONOPの影響を受けることなく、着実に進んでいる。 それどころか中国側は、「アメリカ海軍によるFONOPにより中国領域が軍事的脅威を受けている」と主張し、「軍事的脅威に対抗するために南沙諸島や西沙諸島の防備を強固にしなければならない」という論理により、対空ミサイルや対艦ミサイルを持ち込み、戦闘機部隊を配備するなどますます大っぴらに南沙人工島の軍備増強を加速している。結果だけを見れば、アメリカの実施している南シナ海でのFONOPは、中国側に対する牽制効果などゼロであり、逆に中国当局に対して南シナ海での軍備増強を実施する口実を与えているだけである。
腹をくくらねばならない日本
 アメリカ当局はこのような事実を無視して、戦略変更をすることなく惰性的にFONOPを続けており、まさに無策と言うしかない。
 南シナ海だけでなく東シナ海でも中国の軍事的脅威と直面している日本としては、アメリカに路線変更(もちろん日本による積極的関与も含めて)を迫る必要がある。それとともに、「尖閣諸島は日本固有の領土である」という事実を「誰の目から見ても日本が実効支配している」という状態を造り出すことによって担保しなければならない。南シナ海での現状は、「アメリカ軍事力への神頼み」あるいは「アメリカ軍事力の威を借る」ことが、中国の膨張主義的海洋進出戦略の前にはもはや無力であることを示しているのだ。
〈管理人より〉確かにFON作戦は、アメリカの積極的な南シナ海の航行路確保のための作戦とはいえません。南シナ海の自由航行の権利をかろうじて主張するだけの意味でしかないかと思います。国際司法裁判所での南シナ海の判決がでた時に中国共産党はかなり「動揺」しています。共産中国から海洋覇権を取り返すためには、渡さないためには、軍事力だけの活用だけではないかと思います。
ぶれない国家戦略と充実する軍事力でアメリカの権益に「挑戦」する共産中国。
 
英戦略研「ミリタリー・バランス2018」

発表

揺らぐ米空軍の優位 中国、新型空対空ミサイル実戦配備へ
中国の次世代ステルス戦闘機「殲20」

【ロンドン=岡部伸】英国の有力シンクタンク国際戦略研究所(IISS)は、2018214日、世界の軍事情勢を分析した報告書「ミリタリー・バランス2018」を発表した。中国が新型長距離空対空ミサイル「PL15」を開発し、2018年に実戦配備するなどロシアとともに空軍力を米国と対等レベルに急速に強化している。同研究所は「冷戦崩壊以降、米国とその同盟国が当たり前に支配してきた空の優位性が揺らぐ」と警告している。
 旧ソ連やロシアの技術を導入して武器製造してきた中国は、国防費を継続的に増やして独自の研究・開発・製造で急速に進歩を遂げ、軍の近代化を進めている。2017年に中国が公式発表した国防費だけでも1505億ドルで日本の460億ドルの約3倍だ。
 中国空軍は、17年に航空宇宙分野で限定された国しか開発できない高性能の短距離空対空ミサイルPL10を導入したが、同研究所は「18年の早い時期に新型長距離空対空ミサイルPL15を実戦配備するだろう」と指摘した。


射程約300キロ、全長6メートル近いミサイルで、配備されると戦闘機のように迅速に動けない空中給油機や早期警戒管制機(AWACS)が標的となる。このため米空軍のカーライル司令官は、「PL15は深刻な脅威」と警戒。中国の軍拡が、米国の国防力を増強させる要因となっている。
 また中国が独自に開発した第5世代ステルス戦闘機、殲(J)20を配備させた。これまでステルス戦闘機で武装する能力を持っていたのは米国と同盟国だけだった。同研究所は「最新長距離空対空ミサイルとステルス機配備を受け、東シナ海や南シナ海の海洋権益拡大に向けた中国軍の活発化が懸念される」と分析した。
 ロシアも資金投入してソ連末期から中座していた空対空ミサイルの開発を再興。1982年に開発を始めた中距離ミサイルR77は、ソ連崩壊で量産を停止していたが、約30年ぶりにロシア軍がシリアでスホイ35に搭載した。
 また80年代から開発をしながら予算不足で中断していた長距離ミサイルR37も21世紀になって開発を再開、2016年にミグ31に搭載されているのが確認された。


中国のPL15に次ぐ長い射程でAWACSを遠距離から撃ち落とす狙い。これまで自由に飛行できた空域も、安全ではなくなり、米国が南シナ海で実施する「航行の自由」作戦への影響も懸念される。
 同研究所は、「中国はロシアの技術を踏襲、欧米に対抗できるように両国が協力して開発を進めている」と分析。「2020年半ばまでに中国はさらに高性能の長距離空対空ミサイルを開発する。開発した先端兵器をアフリカなどに売却しており、世界の安全保障環境が一変する恐れがある。米国と同盟国は空軍の戦略、技術のみならず航空宇宙技術開発の見直しまで迫られる」と警告している。
〈管理人より〉アメリカはサイバー空間でも攻撃の対象となっています。

 アメリカの軍事力を相殺するための手段、経済力をそぐこと。これも軍事攻撃の手段といえるでしょう。サイバー攻撃はもはや軍事攻撃といえますね。

米欧の選挙は今後もサイバー攻撃受ける 米情報長官 
BBC News 
 2018年2月14日http://wedge.ismedia.jp/articles/-/11969 

 ダン・コーツ米国家情報長官は2018年2月13日、他の米情報機関トップと共に上院情報委員会の公聴会に出席し、ロシアなどによる「やむことのない妨害的なサイバー作戦」は今後も欧米の選挙を攻撃してくるだろうと警
告した。
提供元:http://www.bbc.com/japanese/video-43053959

https://youtu.be/HrpqH7Gavqs?t=64 


米大統領諮問機関報告

サイバー攻撃による米経済への被害は年間最大11兆円超 
【ワシントン=黒瀬悦成】米大統領に経済政策を助言するホワイトハウスの経済諮問委員会(CEA)は2018216日、米国へのサイバー攻撃に関する報告書を発表した。それによると、サイバー攻撃が2016年に米経済にもらたらした被害額は570億~1090億ドル(約6兆~11兆6千億円)に上った。実行者にはロシアや中国、イラン、北朝鮮といった国々が含まれていると指摘し、公的機関と民間企業による対策強化が「死活的に重要だ」と訴えた。
 報告書は米通信会社の2017年の分析として、サイバー攻撃のうち18%で外国政府の関連グループ、51%で犯罪組織が関与していると指摘。外国が絡む攻撃では特に中国が積極的だとし、13年の分析で経済関連の電子情報を盗み取るスパイ行為の96%に中国が関係していたとした。
 具体的な事例としては、米軍の最新鋭ステルス戦闘機F35に関する技術データを中国が盗み出し、自前のステルス戦闘機J31の開発でデータを活用した疑いがあると紹介。事実とすれば、中国はステルス技術の開発期間とコストを大幅に圧縮することができたことになると強調した。

 報告書はまた、銀行の電子決済や証券市場などの金融部門と、発電所や送電システムなどの電力インフラがサイバー攻撃の標的となった場合、米経済は壊滅的な打撃を受けると指摘。安全保障分野でも国防総省の電力の85%が民間会社から提供されているとし、電力が遮断されれば米国内外での活動や本土防衛に打撃を受けると警告した。

〈管理人より〉F-35のソフトウェアへのハッキングは、アメリカのセキュリティクリアランスを保持した人物を共産中国が買収しての所業でしょう。共産中国は未だアメリカのシークレット、トップシークレット情報にアクセスすることはできていません。「借り物の技術」を彼らがどう活用することができるのか?
SIGINTの管理の強化、ハッキングの技術的な向上についても国防力の底上げにはなるでしょうね。