NASAの最高情報責任者が語るデータ運用とセキュリティの最前線
Martin Giles
2021/11/08 06:00NASAの最高情報責任者が語るデータ運用とセキュリティの最前線
(msn.com)
© Forbes JAPAN
提供米航空宇宙局(NASA)は、宇宙ミッションから気候変動の研究まで幅広い任務を担っており、日々膨大な量のデータを扱っている。NASAの最高情報責任者(CIO)であるジェフリー・シートン(Jeffrey Seaton)は、宝の山であるこれらの情報から貴重な知見を導き出す上で、量子コンピュータの活用が鍵になると考えている。
これまでにない計算能力を実現する量子コンピュータは大きな話題となっているが、その本当のパワーが発揮されるのは、まだ当分先のことになりそうだ。フォーブスが先日開催したカンファレンス「CIO Next」に登壇したシートンは、NASAの業務に量子コンピュータを活用するのはいつ頃になるかと問われ、「恐らく5年以上先になるだろう」と答えた。
今年1月にNASAのCIOに就任したシートンは、もともとインターンとしてNASAの業務に参加して以来、30年にわたり、高パフォーマンスのコンピュータに携わってきた。
「NASAは良質なデータを保有しているが、それらはサイロ化され、繋がりのないデータだった」とシートンは話す。彼のチームは、研究者がより多くの生データにアクセスできるようにすると同時に、それらのデータが悪者の手に渡らないようセキュリティの強化を図り、優れた機械学習などのアルゴリズムを提供している。
チーム間でデータのやり取りを行うために、シートンは民間企業と同じように、NASAのテクノロジーを組織内で共通化するか、部門ごとに最適なソフトウェアやハードウェアを導入するかを決めている。
NASAの”部門”とは、米国内に9つある大規模な研究センターのことで、センターごとに研究分野は異なる。シートンは、バージニア州にあるLangley Research Centerで長年勤務し、NASAの中央ITチームから提供される技術サービスの品質を向上させるために、同センターのCTOを務めた。
現在、シートンは中央ITチームの責任者として数千人の従業員や請負業者を監督している。彼は、NASA全体のオペレーションに一貫性を持たせると同時に、職員たちによる中央ITチームに対する評価を把握するより良い方法を構築しようとしている。
サイバー攻撃の脅威
サイバー攻撃の脅威は、NASAでも拡大している。NASAは、宇宙や未来の航空機のデザインを研究しているため、国内外のハッカーにとって最大の攻撃目標の1つとなっている。NASAの技術チームによると、この1年で職員に対するフィッシング攻撃の件数が急増したという。
ハッカーたちは、リモートワークが増える中、職員の認証情報を盗んでNASAのシステムへの侵入を試みている。シートンと彼のチームにとっての最優先事項は、これまで通りサイバーディフェンスであり、彼らが定めたルールや基準をNASAの全職員に遵守させることだ。
シートンらは、AI(人工知能)を用いたセキュリティソフトを導入し、疑わしいメールをブロックしたり、ソフトウェアの脆弱性を修正するパッチを定期的にアップデートしている。他にも、NASA職員たちがハッカーに騙されないよう、教育活動も行っている。
「最高レベルのテクノロジーがあっても、人間による判断ミスが致命的な事態につながる」とシートンは述べた。
拡大するサイバー攻撃の脅威への対応や、ミッションクリティカルなソフトウェアの信頼性を確保することへのプレッシャーは増しているが、シートンは、それを前向きに受け止めている。
10年前には、多くのメディアがテクノロジーの利便性が向上することで、CIOの存在は不要になると書いていたとシートンはカンファレンスで述べた。彼によると、当時のテック分野のリーダーたちは基礎的なことに専念し、先進的なプロジェクトに十分取り組んでいなかったという。
それ以来、世界は大きく変わり、ITチームにとっては、自社を大きく変革するミッションに携われるチャンスが増えた。「今は、CIOにとって最高にエキサイティングな時代だ」とシートンは述べた。
KDDI総研ら、世界最速の暗号アルゴリズム開発 6G時代見据え
2021年11/9(火) 12:45配信KDDI総研ら、世界最速の暗号アルゴリズム開発 6G時代見据え(ITmedia
NEWS) - Yahoo!ニュース
総合研究所と兵庫県立大学は2021年11月9日、高速大容量通信を実現するBeyond 5G・6G通信に対応できる処理速度をもった暗号アルゴリズム「Rocca」を開発したと発表した。処理速度は138Gbpsで世界最速としている。
Roccaの鍵の長さは256ビット。認証機能を統合し、データが改ざんされていないことを保証できる「認証付き暗号」にした。KDDIによればRoccaの処理速度は米国標準の暗号アルゴリズム「AES」と比較して4.5倍、256ビットの鍵長に対応した認証付き暗号アルゴリズムとして初めて100Gbpsを超えたという。 KDDIによると、Beyond 5G・6G通信は100Gbpsを超える通信速度の実現に向けて研究が進められているという。RoccaはBeyond 5G・6G通信の速度を損なわないよう、100Gbps以上の処理速度がありつつ、量子コンピュータでの解読に耐えられるような鍵の長さを持つ暗号として開発した。 今後はさらなる高速化を目指すとともに安全性を確認。実用化に向け、スマートフォン上などで性能評価を進める。