2015年10月31日土曜日

米中大戦勃発か!?元陸自幕僚幹部松村劭氏の「米中戦略観」

米中の戦略的関係

元陸上自衛隊幕僚幹部 元米国デュピュイ戦略研究所東アジア代表 
松村劭
2005.09.15

 9月13日、ワシントンで北京政権の胡錦涛国家主席とブッシュ大統領が会談した。両首脳は、それぞれ自国の言い分を主張して合意するものは何もなかった。朝鮮半島の非核化に同意したというが、軍事的には無意味な同意である。自由・平和政権にならない限り、北朝鮮に一切の核手段を与えないという米国の主張と北京の主張は折り合わなかった。
  北京政権の人々は米中関係を戦略的関係という。しかし、その中身の説明はない。その関係は明らかに次の三つの関係である。


  第一は、海洋国家と大陸国家の対立である。特に台湾を含む西太平洋の制海権を米国が握って放さないことである。
  第二は、自由主義政権と独裁政権の対立である。米国の自由主義の輸出という白い革命の脅威に北京は困っている。
  第三は、米国のアジアにおける覇権の現状維持に対する北京の中華思想による現状打破の挑戦である。朝鮮半島から米軍を追い出し、沖縄から米軍基地を撤収させ、ASEAN諸国に嫌米の風を吹かせることである。 


  このような構造的戦略関係にあるかぎり、そしてソ連が再興しないかぎり、「戦略的米中結託」は夢想であろう。便利主義による一時的な対米の「中ロ結託」の方が戦略的に妥当である。
  米国が中国と友好になるのは、中国が屈服して、その巨大な人口マーケットを米国経済界の意のままに明渡したときである



日中戦争の防止策(平成19年3月)



北京の対日政策

元陸上自衛隊幕僚幹部 元米国デュピュイ戦略研究所東アジア代表 
松村劭
2005.09.15

 福沢諭吉の「脱亜入欧」の思考様式を借りてみよう。大河を挟んで白人国家群の岸辺と、その対岸に黄色人種の国家群があると想像してみよう。福沢諭吉は、日本を白人国家側の岸辺におくことを主張した。
 今日、北京が日本を見る眼は、河の向こう岸に立つアメリカの覇権下に抱かれた日本と見えるだろう。そこで北京の対日政策の基本的選択案を考えてみよう。それは日本の選択肢そのものでもある。


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第一案) 日本は北京側の岸辺に移る。
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第二案) 日本は河の中洲に移る――日本の中立化
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第三案) 日米は太平洋の両端において対等同盟する。
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第四案) 日本は米国の翼に下で保護されつづける。――現状維持案


  北京にとって最も望ましいのは、第一案である。次案は第二案だ。北京にとって最も都合の悪い案は第三案である。日本の指導者が安全保障戦略もなく、国内における権力争奪にううつを抜かしている第四案なら、引きつづき日本国内の対外政策を混乱させればよい。
  日本にとって、最悪の案は、第二案である。中立といえば格好がよいが、国際的に孤立する。それは滅亡への駆け足にほかならない。次案は第四案である。とにかくアメリカの傘下で、ヘコヘコしながら日米にお世辞笑いするたけである。明日の日本がどこへ行くかも見えない。
  第一案を選んで、日中同盟 ・協商路線をとれば米英の対岸に立つ。それだけの覚悟があるか  将来不安な北京政権と抱き合って地獄に落ちるかもしれない。日露戦争12年前の日本国民の選択は賢明であったのだが――
  最良の案は、第三案である。それは大西洋を挟んだ米英関係の太平洋版となる。しかし、これの案が成り立つためには、日本が整えなければならない三つの条件がある。その条件は、 第一に、日本の首相が米国大統領から信頼と尊敬を受けるに値する国際戦略能力があることである。それは太平洋における外交と軍事の戦略であり、その会話に耐えうるだけの歴史的知識をもっていること
である。
  第二に、日本の首相は西太平洋諸国の指導者たちの村意識として指導的立場を築いていることである。もっとも日本と朝鮮半島の二つの国とは竹島問題が棘になっいてるので、双方は河の対岸に立っているから対立的であるのは仕方がない。 第三に、西太平洋における制海権の確保について軍事的に日米
共同作戦を実行できるように、作戦機能的に自立的な能力を持っていることである。もちろん核の傘は米国に依存することが前提になる。
  こうして見ると、米中関係が「戦略的関係」なら「日中関係も戦略的関係」にほかならない


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