【米中戦争の確率は「70%以上」】そのとき日本はどうすべきか?
米国のドナルド・トランプ大統領は大統領選挙キャンペーン中、「駐留米軍撤退」を示唆していたが、駐留米軍が米国の世界戦略に不可欠である現実を、44年もの軍歴を誇る退役海兵隊大将ジャームズ・マティス国防長官ら、軍事的合理性を重んじるプロの助言で理解し、封印した。
小欄は過日、駐留米軍撤退に伴うわが国の防衛予算の在り方について、安全保障関係者と共にシミュレーションを試みた。後述するが、予想通り、結果は「激増」であった。
ただ、駐留米軍撤退の有無にかかわらず、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の占領を狙い、北朝鮮が核開発を進め、弾道ミサイルを乱射する…わが国を取り巻く危機的環境を直視すれば、自衛隊が使えるヒト・モノ・カネの数量は圧倒的に不足している。当然、日本の国会は、軍事膨張路線をひた走る敵性国家に対する「備え」を議論しなければならない。
ところが、野党国会議員のエネルギーは、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に絡む「戦闘」と「武力衝突」の違いをただす「国語のお勉強」に集中する。日本の国会議員の内、期限切れを迎える新戦略兵器削減条約(新START)の延長問題を知る人物は何人いるだろう?
トランプ氏は1月下旬、ロシアのウラジミール・プーチン大統領との電話会談で新STARTの延長問題を提起されたが、何のことだがわからなかった、とか。日本の政治家にもぜひ、「国語」ではなく「国防のお勉強」をしていただきたい。
国会で「国語のお勉強」が許される国際情勢か
国防長官就任を前に、マティス氏は米国議会の公聴会で明言した。
「強い同盟国を持つ国は栄え、そうでない国は衰退する」
マティス国防長官は来日時も、「強い同盟国日本」を求め、「日米関係は試すまでもない。政権移行期に乗じた挑発行動を防ぐために訪日した」とも語った。
実際、ジョージ・ブッシュ大統領(子)就任の3カ月後、南シナ海上空で、米海軍の電子偵察機EP-3に、中国海軍のJ-8II戦闘機が急接近して空中衝突し、戦闘機は墜落、EP-3も中国・海南島に不時着した。2001年の《海南島事件》である。米新政権の出方を見極める軍事行動だったといわれる。
では、果たして日本は「強い同盟国」「試すまでもない同盟国」なのであろうか。少なくても、国会論議を見る限り、そうは思えない。
南スーダンPKOへの派遣部隊の日報に、大統領派と反大統領派の間で「戦闘」があったと記されていたが、政策論争能力の乏しい野党は、この二文字のうっかりミスに噛み付いた。
海外での武力行使を禁じた憲法第9条にPKO参加部隊が違反しないよう定めた《参加五原則》に触れぬよう、政府は「戦闘」と「武力衝突」を法的に区別して使ってきた。世界平和に背を向ける硬直した憲法の隙間を縫い、バカバカしいとは感じつつ、「戦闘」と「武力衝突」を別概念としてきたのだった。
政府批判を強める野党議員は「国連を裏切れ!」と叫んでいるに等しい。国連事務総長特別顧問は南スーダン情勢に関し「大虐殺が生起する恐れが常に存在する」と断言。その国連は加盟国に、虐殺など人権を踏みにじる蛮行に遭っている市民を助けるべく、紛争地に武力介入する《保護責任》への参加を促しているからだ。
いずれにしても、少し前まで、米軍撤退も可能性ゼロではなかった日米関係の緊張下、国会で「国語のお勉強」をしている場合ではない。「強い同盟国」「試すまでもない同盟国」になるには、どういう戦略が必要なのか、国会で議論しなければならない情勢なのだ。議論の一助として、現行の年間防衛予算5兆円が米軍撤退後、どう変わるのか…小欄らのシミュレーション結果を一部掲載しておく。
《防衛予算は3~4倍の15~20兆円に。内訳は、陸上自衛隊の2~3倍/海上自衛隊と航空自衛隊は3~4倍にせざるを得ない》
防衛予算は、米軍が本土&ハワイ&グアムより来援するまで、侵略目的で押し寄せる現時点での中国人民解放軍戦力を迎え撃つために必要な兵器の種類や戦闘員数を基にはじき出した。米軍来援には、軍種・作戦にもよるが、準備と移動で数週間~半年以上かかる。
以上は、人民解放軍のみとの戦闘に伴う防衛予算増で、北朝鮮やロシアへの備えも担保すれば、4~6倍の20~30兆円に膨らむ。
しかも、「来援する」という楽観分析の上、核・弾道ミサイルへの迎撃や報復、策源地(敵ミサイル基地)への攻撃も米軍まかせ。人民解放軍情報も8割前後を、米軍にお願いするが、提供されるとは限らない。
マティス長官の来日時や日米首脳会談後の共同声明では、人民解放軍が尖閣諸島に対して侵略にのり出せば、日米安全保障条約第5条の適用対象と確認され、情けないほど安堵したが、わが国の国民や政治家の多くは誤認識している。バラク・オバマ氏も大統領時代、尖閣諸島に触れたが、わざわざ「日本の施政下」だと断った上で、尖閣諸島は「5条の適用対象」と話している。
オバマ発言は、重要な意味を含んでいた。米国にとり尖閣諸島は「日本の施政下」であって「領有」を認めたわけではない現実。米国は領有権の係争問題では介入・明言を避ける。現に、わが国が領有権を主張しながら実効支配できていない北方領土や竹島(島根県隠岐の島町)に関し、米国は「日本の施政下」「5条の適用対象」とは、絶対に言わない。
逆に中国は、「5条の適用対象」にさせない「戦況」を創り出す戦略・作戦の構築に全力をあげる。具体的には、海警局の重武装公船や漁民を装う海上武装民兵を投入し、尖閣諸島の実効支配(=中国の施政下)を執拗に狙ってきている。
かかる状況では、武力攻撃事態認定→自衛隊の防衛出動→5条適用は、不可能だ。中国が「海上警察力」や「漁民」しか出していないのに、国際的には国軍と認知される自衛隊を出せば、国際社会はカネの縁も手伝い、中国の肩を持つはずだ。自衛隊に警察権を行使させる主張も散見されるが、実力を縛るだけ。
つまり、緒戦は海上保安庁など警察力を中心に、独力で尖閣諸島を守り抜かねばならない。人民解放軍が出撃してきても、《日米防衛協力の指針=ガイドライン》では、日本の離島防衛は自衛隊が主体的に行い、米軍は自衛隊を支援・補完するとうたわれている。小さな無人島群すら守り通せぬのなら、米国が日本を信用し、共に戦う道理がない。
リチャード・アーミテージ元米国務副長官とはかつて会食後、ウイスキーのストレートを何杯もショットグラスでイッキ飲みし、楽しく語らった思い出があるが、幾つかの想定での米軍来援を尋ねると、元軍人の顔に戻って答えを返してきた。
「日本次第だ。自衛官が戦えば、米軍将兵も共に戦う。だが、日本が米国の後ろに隠れるのなら、米軍将兵の血は一滴も流さない」
「日本が米国の後ろに隠れない」姿勢を明確にする観点でも、日米首脳会談後の共同声明で、日米同盟における両国の任務分担の一層の見直しに触れた点は評価できる。安倍晋三首相も「自衛隊の役割・能力を見直していくことは当然」と述べている。
米軍再建は自国のため
折しも、トランプ政権は、オバマ前政権でガタガタにされた米軍の再建に乗り出す。同盟国の防衛ではなく「米国の安全」のために使われる公算が大きいとしても、同盟相手たるわが国も、防衛費増額で応える重大な局面を迎えた。
オバマ前大統領が財政再建に伴い2013年に始めた国防費の強制削減措置で、シンクタンク・米戦略予算評価センター(CSBA)によれば、2010~14会計年度の下落幅は21%に達した。トランプ政権は、議会と協力して強制削減措置を撤回し、米軍再建に傾注する。
その結果、陸軍が今秋までに計画する新兵の募集目標6万2500人を6万8500人へと6千人上積み。1973年に完全志願制になって以来、最大の募集となり、過去80年で最低に落ち込んだ兵力(48万人)が54万人へと増強される。
過去100年で最少規模の海軍現有艦艇274隻も350隻に増やす方向とみられるが、超党派の国防諮問委員会が勧告した保有艦艇目標323~346隻をも上回る配備数だ。創軍以来の最少となった空軍の戦闘機は1200機に回復、海兵隊の36大隊態勢も視野に入った。
繰り返すが、米軍の増強分が同盟国防衛に投射されるか否かは未知数だ。米国向けに使うのがスジだからだ。
もっとも、オバマ政権に比べトランプ政権が「米中直接激突」に身構えているフシはある。例えば、トランプ政権が新設した国家通商会議(NTC)委員長に抜擢されたカリフォルニア大学のピーター・ナバロ教授が著書《米中もし戦わば-戦争の地政学=文藝春秋》に盛り込んだ安全保障観。第1章《米中戦争が起きる確率》では《70%以上》という数字を記している。算出理由はこうだ。
《世界史を概観すると、一五〇〇年以降、中国のような新興勢力がアメリカのような既存の大国に対峙した一五例のうち一一例において(すなわち、七〇%以上の確率で)戦争が起きている》
この著書が出版されたのは昨年11月であったが、安全保障関係者の間では近年、《トゥキディデスの罠》と呼ばれる現象・法則が再注目されていた。オバマ大統領が2015年、中国の軍事膨張を念頭に、習近平国家主席との米中首脳会談で使ってもいる。おおよそ、次のような現象・法則を指す。
《紀元前5世紀、新興のアテネと既存支配者のスパルタの間で戦争が始まった。歴史家のトゥキディデスは『急速に台頭する新興大国は必ずや既存大国に挑戦し、既存大国が受けて立てば、戦争が起こってしまう。戦争を回避できなかった原因は、スパルタに潰されまいと力を付けるアテネと、現状維持を望むスパルタの恐怖心にある』と指摘した》
戦争は30年近く続いた揚げ句、両国とも滅んだ。《トゥキディデスの罠》未遂は歴史上15回ぼっ発し、内11回が戦争へとエスカレートした。新興ドイツが既存の英国に挑んだ史実は象徴的だ。2度にわたる世界大戦への導火線となったのはご存じの通り。ひるがえって、中国がアテネ、米国はスパルタという構図が、現代の国際社会によみがえりつつある。
米中が軍事力を行使し激突すれば、同盟国・日本は最前線の「不沈空母」としての役割を求められる。在日米軍基地は緒戦で猛攻撃される可能性が濃厚で、日本にとっても国際法上認められている自衛戦争に他ならぬ。人民解放軍のミサイル攻撃などを回避せんと、駐留米軍が一旦、グアムまで下がる戦略も観測される。米軍の来援は、前述したごとく、日本の戦いブリにかかっている。
日米同盟の大前提は、安倍首相が何度も口にするように「価値観の共有」だ。が、小欄は国家主権や国民の生命を戦争覚悟で守る米国と、正視を避け続けてきた日本の間で、価値観が共有できているのか疑問に思う。
先日の国会で、安倍首相は「南スーダンで駆け付け警護の任務中に自衛官に死亡者が出たら総理はどう責任をとるのか」との質問に対し、「辞任などを含めて責任をとる」といった主旨の答弁をした。
けれども、米軍は多くの戦死者を出しても、最高司令官たる大統領は辞任などしない。その代わり、戦死者に勲章をはじめ名誉を与え、国家をあげて丁重に弔う。
首相=最高司令官が、わずかながらも戦死が想定されるのを承知で自衛隊に任務付与するのなら、辞任は任務付与に対する信念と責任の放棄に過ぎない。辞任ではなく、国家と任務に殉じた者へ名誉を与え、国家としての弔いを責任もって行うべきだ。 より安全に任務が遂行しやすくなる装備や法的環境を整備していくのが最高司令官の責務でもある。
そもそも、PKOに参加する各国軍は《駆け付け警護》などという“軍事用語”を使わない。他国のPKO部隊との共同防衛や市民保護は、論じるまでもない当たり前の任務なのである。 【野口裕之の軍事情勢】より
マティス国防長官の来日と日本の安全保障政策の修正
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軍事研究タブーは「百害あって一利なし」?
中国、北朝鮮からの危機にさらされながら…世界と乖離する日本学術界
防衛省の安全保障技術研究推進制度のイメージ。諸外国では大学による軍事研究が行われているが、日本ではいまだに〝アレルギー〟が強く、研究者による応募を禁じる動きも広がっている
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軍事研究が「タブー」のままでいいのか。防衛省が大学や企業などを対象に研究費を助成する公募制度をめぐり、研究者の間で議論が起きている。過去の戦争への加担を反省し、日本の学術界は軍事研究と距離を置いてきた背景があり、「防衛省の研究への参加=戦争に加担」といった極端な〝軍事アレルギー〟を示す研究者も少なくない。すでに公募参加の禁止を決めた関西大などの例もある。ただ、科学と軍事の研究境界線はあいまいな部分が多く、世界を見渡せば、相互に協調して技術力や防衛力の向上につなげている国が目立つ。日本の大学の国際競争力低下の背景には、研究資金不足や学外との共同研究の少なさもあるとされる。「自衛レベルの研究は許されるべきだ」「軍事研究は兵器研究ではない」-。現実に即した対応を求める声も上がりつつある。(細田裕也)
浮上する「現実論」
「平和利用の哲学がない科学技術は凶器だ」「このままでは世界中から不信感を抱かれる」
2月4日、東京都内で開かれた科学者の代表機関である「日本学術会議」のシンポジウム。接近する学術と軍事の現状などをテーマに、内外からの意見を聴取するために開催されたのだが、参加者からは批判的な声が次々と上がった。
議論の的は、防衛省の公募制度「安全保障技術研究推進制度」。防衛分野にも応用可能な研究を支援しようと平成27年度に創設された。防衛省の外局・防衛装備庁がテーマを決めて募集する。同庁によると、研究には3年間で最大9千万円を支給するが、2年間で153件の応募があり、19件が採択された。政府は来年度の予算案に今年度(約6億円)の約18倍となる約110億円を計上している。 この制度をめぐり、学術会議が揺れているのだ。
戦時中、大学が戦争に加担したとの反省から、学術会議は終戦5年後の昭和25年、「戦争目的の科学研究には絶対に従わない」とする声明を発表。42年にも同様の声明を出し、多くの大学が軍事研究と距離を置くきっかけとなった。
一方、声明発表後の社会情勢の急激な変化から、「自衛権の範囲内での研究は認めるべきだ」との現実論も研究者に急浮上。昨年、学術会議は安全保障と学術に関する検討委員会を内部に設け、声明見直しの検討に乗り出したのだが、冒頭のような「軍学共同」に対する否定的な意見はいまなお根強い。
学術会議の大西隆・豊橋技術科学大学長が検討委の設置当初、「自衛隊の活動目的にかなう基礎研究を大学で行うのは許容される」と表明したことに対し、シンポでは「会長自ら声明に違反している。抜け道をつくろうとの姿勢が見える」といった批判が続出。大西会長が「会長としての判断と学長としての判断は別」と応じた。
検討委は4月の総会での結論を目指して審議を続ける方針だが、着地点は見えていない。
関西の国立大や「関関同立」の対応は
公募制度に距離を置く大学は関西で少なくない。
関西大は昨年12月、「人類の平和・福祉に反する研究活動に従事しない」とする研究倫理基準に従い、学内の研究者による応募を禁止した。関西学院大も「軍事開発や人権抑圧など反人類的内容を目的とする研究教育は行わない」との倫理基準を設けており、「この基準に抵触するとみられ、応募は難しい」と担当者は語る。事実上、応募を禁止しているといえる。
応募を規制するルールはないが、制度に慎重な姿勢を見せている大学もある。
「これから全学的な議論を進める方針」とするのは同志社大。公募制度について、すでに学内の関連部署での議論を進めており、関西大のようなルールを設けるかどうかは今後さらに検討するという。
一方、京都大や大阪大、立命館大は現時点で議論を静観している。公募に応じる研究者が現れれば、各大学が設ける基準などに応じ、慎重に検証する方針。「申請を希望する研究者がいれば、研究内容を総合的に判断する」(大阪大)、「申請を検討した研究者は学内にはいなかったが、今後手を挙げる人がいれば、その都度検討したい」(立命館大)としている。
リスク排除は不可能
実際に研究が防衛省の公募制度に採択された研究者は、議論をどう受け止めているのだろうか。
「研究で人の命や健康を守ることができると判断して応募した」と話すのは、28年度の公募に採択された大阪市立大の山田裕介教授(固体触媒)だ。
山田教授は、ガスマスクの特殊なフィルターの開発を提案。現状のガスマスクは、吸着した有毒物質を吸着剤(フィルター)にため込んでしまうため、どうしても着用時間に限界がある。そこで、吸着した有害物質を特殊な技術で分解・除去するフィルターの開発を目指している。
具体的にイメージする活用法は農薬散布や災害救助など。フィルターが開発できれば、高濃度の農薬による健康被害を防いだり、火山が噴火し有毒ガスが噴出する現場でも、長時間にわたって救助活動を行ったりすることができると訴えている。
公募した研究について、防衛省は民生分野だけでなく、防衛分野での応用も想定する。ただ、山田教授は「どんな状況になっても、私の研究で直接的に人を傷つけることはない」としており、「公募制度は兵器などを開発する、いわゆる軍事研究とは異なる」と受け止める。
もちろん、難しさも認識している。「切れ味のよい包丁を開発したとしても、悪意ある使い手がそれを殺傷に利用する可能性を作り手は排除できない」
どんな研究をしても、使い手が人間である限り、リスクは完全に排除できないとの見方を示し、「だからこそ、研究が何を目的にしているのかが大切だ」と山田教授は強調する。
期待集める「デュアルユース」
最先端の科学技術については、軍事・民生への応用をめぐる明確な線引きが困難で、両者の境界はよりあいまいになっている。
例えば、私たちの暮らしに欠かせなくなった「インターネット」や「衛星利用測位システム(GPS)」は、もともとが軍事に由来する技術として有名だ。あの「電子レンジ」も、レーダー開発の実験中に生まれた副産物として知られる。
軍事技術を民生技術に転用する「スピンオフ」は、すでに広く根付いており、国によっては、その逆の「スピンオン」も用いられてきた。
こうした経緯もあり、軍・民いずれにも転用できる「デュアルユース(軍民両用)」の概念は、21世紀のイノベーションを牽引(けんいん)していく起爆剤として、大きな期待を集めているのだ。
欧米では軍学連携が盛ん
大学による軍事研究は是か非か。こうした議論が続く日本を尻目に、軍事研究に〝アレルギー〟を持たない欧米やアジアの大学では双方の連携が盛んだ。こうした取り組みが結果的に大学の研究力を押し上げているとの見方もある。そこで浮かび上がるのが、日本の大学の研究力低下だ。
英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)が発表した「世界大学ランキング」では、東京大が39位にランクインしたものの、アジアでは4位にとどまる。
上位980校中、日本の大学は69校が入り、数ではアジアでトップだが、上位200位内に入ったのは東京大と91位の京都大(昨年88位)の2校だけ。アジアでは、シンガポール国立大が24位で最も高く、北京大(中国)が29位、清華大(中国)が35位に。韓国は200位内に4校入るなどしており、同誌は周辺国の大学が順位を伸ばす中での日本の競争力低下を懸念する。
フィル・バディ編集長は、日本の大学の資金不足や海外の大学との共同研究の少なさを挙げ、「日本は後れを取らないようにしなければならない」と警告している。
軍事的野心を隠そうともせず強引な海洋進出を強める中国や核ミサイル開発を進める北朝鮮など、近年の日本の安全保障環境は厳しさを増している。平和を維持するために軍事技術の研究開発が必要なのはもちろん、日本の武器である「技術」の国際競争力維持・向上のためにもオールジャパン体制で取り組みを進めることが求められる。軍事研究を「平和主義に反する」「戦争への協力になる」などと決めつけ、思考停止状態で忌避する風潮は一刻も早く改めるべきだろう。
軍事研究・研究者の軍事オンチこそが国益を失う
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まあそりゃそうだな、とタイトルから激しく同意します。ついでにいえば軍事オンチの政治家と軍事アレルギーかつ無知な官僚と官僚のイエスマンになっている知識人こそが国益を損なう。個人や組織の「既得権益」にすがる連中が国益を損なう。