2018年6月19日火曜日

史上初のアメリカと北朝鮮の二国間交渉・米朝首脳会談の成果 ~勝者はどっちだ?~

「米朝首脳会談」の勝者は、北朝鮮そして中国
 
斎藤 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)

2018616 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/13140

「トランプ、北朝鮮への熱情湧出」(ニューヨーク・タイムズ)、「サミットは金正恩の勝利」(ワシントン・ポスト)、「トランプは演出は上出来だったが、中身はどこに?」(ボストン・グローブ)、「トランプの奇妙な野望は不完全燃焼で幕」(ロザンゼルス・タイムズ)--いずれも米朝首脳会談終了翌朝の各紙社説のきたんない見出しだ。
 「北朝鮮の核の脅威はなくなった」―2018613日、歴史的米朝首脳会談を終え、ワシントンに戻ったトランプ大統領はこう成果を高らかに謳いあげた。だが、アメリカの主要メディアそして識者の多くは懐疑的で、むしろ「勝者」は北朝鮮そして中国だとする冷めた見方が広がっている。
2年前の大統領選でトランプ候補を熱烈支持した中西部の一部の保守系新聞を除けば、全米の多くの新聞は、首脳会談は「政治ショー」だったとし、その実体は過去の米朝を加えた6カ国協議の蒸し返しにすぎず、また北朝鮮側に譲歩しすぎたことなどにも言及している。
 これとは対照的なのが、北朝鮮メディアの報道ぶりだ。
 国営とはいえ、朝鮮中央通信は結果について「敵対的だった両国関係を時代の要求に合わせ、画期的に転換させる大きな出来事だった」と高く評価し、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」も「世紀の出会い」の詳報や関連写真を大々的に掲載し、高揚感をにじませた。
 米側の専門家たちが、今回首脳会談で金正恩委員長が「勝者」だったとみなす根拠は、以下のような理由からだ。
1.  これまで「ならず者国家」「テロ国家」の烙印を押され世界から異端視されてきた北朝鮮の最高指導者が、初めてシンガポール・サミットで世界最強国アメリカの大統領と堂々と渡り合い、各国から集まった3000人を超す報道陣による大々的露出により「普通の国家」として世界の仲間入りを果たした。国のイメージ・アップのために最大級の効果が現出された。
2.  会談終了後の「共同声明」では、米側がかねてから北朝鮮に要求してきた「完全かつ検証可能で不可逆的核廃絶」(CVID)という文言は盛り込まれず「完全な廃絶」とだけ述べて、今後、非核化実現のカギとなる検証と核再開発封じへのコミットメントが欠落した。会談直前までトランプ大統領やボルトン大統領補佐官らが公言してきた「すみやかな非核化」達成に向けての具体的なロードマップ(道筋)についても何も示されなかった。
3.  金正恩氏が「朝鮮半島の非核化に向けた堅固で揺るぎない決意を再確認」したのと引き換えに、トランプ大統領が「北朝鮮の体制の安全の保証」を約束した。
4.  この「安全の保証」と関連して、トランプ大統領自身が驚くべきことに米韓合同軍事演習について「挑発的だ」と表現して中止を約束、金委員長を喜ばせる一方、米国の同盟国である日韓両政府に動揺と衝撃を与えた。
5.  さらにトランプ大統領は会談後の記者会見の中で、在韓米軍の存在そのものにも言及「いつの時点かで32000人のわが兵士たちを韓国から引き揚げさせることを希望する」と述べ、米議会共和党幹部の間からさえ失望と反対の声が挙がった。
 これに対し、トランプ氏にとっての成果を強いて挙げるとすれば、
1.   金氏から「北朝鮮が朝鮮半島の完全な非核化に向けて取り組む」との約束をとりつけた
2.  朝鮮戦争で死亡した米兵の遺骨収集と米国への返還に即時着手する用意が表明された。
 この2点ぐらいにすぎない。
 このうち、「完全な非核化」については、今年4月南北首脳会談で採択された「板門店宣言」に盛り込まれた文言と同じであるばかりか、「北朝鮮はすべての核兵器および既存の核計画を放棄する」とより具体的に明記した20059月の北朝鮮を含む6カ国協議共同声明と比較するとむしろ後退した印象だ。
 こうしたことから、総じて言えば「史上初の米朝首脳会談」の「勝者は北朝鮮」とする指摘にはそれなりの説得力がある。

最も点を稼いだのは実は、中国

 しかし、今回首脳会談で最も点を稼いだのは実は、中国だった。この点についても、多くの米マスコミが舌鋒鋭く論じている。
 「米朝首脳会談で予期せざる勝者=中国」、「米朝サミット、最大の勝者は中国」(ニューヨーカー誌)、「歴史的米朝サミットのビッグ・ウイナーは中国か」(CBSテレビ)、「米朝首脳会談の最大勝者は中国」(ワシントン・ポスト)といった見出しで始まる解説だ。
 では実際に、中国からみて米朝首脳会談の結果はどのように映ったのか。
 まず最大の成果は、去る3月、トランプ大統領が金委員長の申し入れを即刻受け入れ首脳会談開催が決定以来、金委員長が2度にわたり訪中、習近平国家主席との直接会談により、関係修復の糸口をつかんだことだ。
 というのは、金正恩氏が2011年、最高指導者となって以来、中国との主な交渉窓口だった叔父の張成文氏の処刑を命じたことなどによって両国関係は疎遠となり、両指導者同志による直接会談は一度もなかったからだった。それまで中国は、金委員長の下で米朝関係がにわかに加速し、その結果、朝鮮半島に対する中国の影響力が相対的に減退することを懸念していたとされる。
 ところが、史上初の米朝首脳会談開催の直前に、2度にわたり、それも金委員長の方から習近平国家主席を訪ねて会談し、朝鮮半島情勢をめぐり意見交換したことで、中国の国際的立場も示威できた。年内早期の習氏の初訪朝も視野に入っている。
 とくに去る578日の両日、中国・大連で行われた2回目の中朝首脳会談では、金委員長が朝鮮半島の核政策に関連して「韓国および米国が平和実現のために前進的で同時進行的な措置をとる」ことを前提として「半島の非核化に取り組む」との基本姿勢を表明したが、米朝会談でもこの点をトランプ大統領に説明し、結果的に中国側の期待通りの成果を引き出した。
 第2に、トランプ大統領が米朝首脳会談後の記者会見で、米韓合同軍事演習の中止に言及したことだ。
 中国はこれまで6カ国協議などの場を通じ、朝鮮半島緊張緩和の一環として、北朝鮮に対しては核開発および核実験の凍結、そして米国に対しては米韓合同軍事演習の中止を同時並行的に要求してきた。今回、トランプ大統領自身がその中止を表明したことは、中国にとってはまさに「予想外の朗報」だったに違いない。
 さらにこれと関連して、大統領が将来的な在韓米軍撤退まで示唆する発言をしたことは、
今後朝鮮半島における中国の影響力を堅持する上でプラス材料となった。
 第3点目として、大統領が会見の中で、中国による対北朝鮮経済制裁緩和措置を容認したとも受け取れる発言をしたことだ。大統領は「習近平国家主席は北朝鮮との国境を(経済制裁の目的で)閉鎖してきたが、ここ数か月はそれを少し緩めてきた。それはOKだ。彼は素晴らしい人物で私の友人だ」と語っている。

成果より「政治ショー」

 中国による対北朝鮮制裁緩和措置については、米朝首脳会談開催日の12日、中国外務省スポークスマンが、北朝鮮側の核計画譲歩に応じた対北朝鮮への柔軟姿勢は国連安保理決議に沿ったものだとの見解を述べたばかりだった。
 これまで日米韓3カ国政府は、非核化実現のために北朝鮮に対し「最大限の圧力行使」を確認し合ってきただけに、今回のトランプ発言は3カ国の断固とした共同歩調に水をさすことにもなりかねない。
 これらの点を含め、今回の米朝首脳会談を総括するとすれば、開催自体にそれなりの価値はあったにせよ、トランプ大統領が十分な事前準備もなく開催を急いだあまり、成果より「政治ショー」としてのほころびがめだった、ということになろう。

 そして、もし今後の北朝鮮との実務協議で非核化に向けての具体的進展が得られなかった場合は、11月米中間選挙にもかえってマイナス材料となる可能性も否定できない。


本来は拉致問題の解決こそが最優先では?
〈管理人より〉北朝鮮は、拉致問題の「完全かつ検証可能な形で、不可逆的な解決」が実現すれば、現在の支配体制は崩壊するかもしれません。北朝鮮が拉致したすべての人たちの生存情報を公表し、生存する拉致被害者を故郷へ返すことは、「国家戦略に基づく外国人拉致」という侵略戦争を認め、成算することになるからです。拉致の問題を共同声明にいれなかったことは、北朝鮮の国家的な侵略戦争については後回し、核兵器とミサイルの問題という枝葉の問題の解決を宣言したことになりはしないでしょうか?
「拉致」は日朝の問題ではなく国際問題です。この問題の解決と過去の北朝鮮の国家的な侵略戦争こそ糾弾されなければならない、これがまず最優先かと思いますが、多くの方々はどう感じられることでしょうか?
【アメリカの対中戦略面でも疑問がある会談!?】
中国への警戒心をあらわにする米国

岡崎研究所
2018530日、ホノルルの米軍基地では、米太平洋軍の司令官交代式がとり行われた。日本からは小野寺防衛大臣が式典に参加した。交代式では、マティス国防長官がスピーチを行なった。その内容の主要点を紹介する。
・米太平洋軍は、地球の半分以上の面積を占める広い地域を管轄し、人口も多種多様で、ハリス提督の言葉を借りれば、ハリウッドからボリウッドまで、北極熊からペンギンまでをカバーする。
・太平洋岸に面した米国の5つの州のうちの1つであるワシントン州で育った私(マティス)は、昨日、このハワイに来る飛行機の窓から広い太平洋を眺め、アメリカ合衆国は、現在も、そして2世紀の間ずっと太平洋国家であったことを再認識した。
・米国の国家防衛戦略は、米軍のロード・マップであり、世界がどうあってほしいかではなく、世界がどうなっているかをありのままに直視し、現実を認めるものである。我々の2018年の国家防衛戦略は、この10年で初めてまさにそういうものになっている。それは、太平洋における諸問題を認め、米国のインド太平洋における継続的かつ確固たる関与を記している。
・米国のヴィジョンは、地域のほとんどの諸国に共有されている。全ての国家は、その大きさに関わらず、主権が尊重される。インド太平洋地域は、投資及び自由で公正で相互主義の貿易に開かれている。この地域は「多帯多路」を有しており、いかなる国家の略奪的経済や威圧の脅威に縛られることがあってはならない。
・米国は、引き続き、インド太平洋の安定に積極的に投資する。自由かつ開かれた、ルールに基づく国際秩序を強化し、この地域が成長し、70年以上繁栄することを可能とする。
・米国の国家防衛戦略は、対立の戦略ではなく、それは理想主義、実利主義そして協力のバランスを取ったものである。我々は、我々の国際的利益と同盟諸国・パートナー諸国の利益及び安定に合致するならば、競争相手とも協力と開かれた対話の機会を求め続ける。
・我々は常に平和を強い立場から追求する。我々は既存の同盟を強化し、域内の新たなパートナーを増やして行く。そのために、我々の戦略的ヴィジョンの礎石を打ち立てる。全ての国家の主権を尊重するという共有されたヴィジョンであり、テロ、自由貿易の阻害、災害等共通の脅威と闘うことを可能とする強固な安全保障体制を作って行く。
・インド太平洋地域の安定を維持する上で、この地域の同盟諸国、パートナー諸国との関係は、不可欠のものである。我々(米国)はパートナー諸国の側に立ち、彼らの国家主権の決定を支持する。何故なら、世界的平和に不可欠な海洋の安定を維持するには、大小全ての国家が存在することが地域にとって重要であるからだ。
・今日、インド洋と太平洋の連結性が高まっていることを認識し、我々は、米太平洋軍を米インド太平洋軍と改名する。何十年もの間、この太平洋軍は変化する状況に繰り返し適応させてきた。そして今日、このレガシーをもって、米国は西に焦点をあてる。
・ハリス提督は2015年にここで舵を取ってから、しばしば海洋の波の流れが変わる中でも、しっかりと船を進めてきた。提督は、卓越した洞察力をもって我が国(米国)が必要なことを予見し、国際法に基づき、お互いが協力する精神を共有する諸国と共通の目標を立てた。
・提督は、国家間の信頼醸成の重要な要素である外交官たちを支援しながら、我々の統合軍を準備が整った、能力もあり、決死の覚悟もあるものにしてくれた。適切に設定した目標を掲げてパートナーシップを追求した提督の積極的な努力により、この重要な地域における我々の信用性と能力は確かなものとなった。
・提督は、また、米国にとって、どんな関係も当たり前のものではないことを示してくれた。休むことなく多国間関係を向上させるために努力し、緊急テロ対抗措置でパートナー諸国と連携し、対処してくれた。
・同時に、提督は、北朝鮮に対する国連安保理の制裁を維持するために統合パトロールを実施した。また、提督は、公海は全ての国家に開かれていなければならないことを示すために、航行の自由作戦を指揮した。このような行動の成功は、ハリス提督が国際法の役割を認めたことと提督の戦略的ヴィジョンによるものである。
・今、デイヴィッドソン提督が舵を握り、国家防錆戦略の3つの柱を担うことに私(マティス)は信頼を置いている。インド太平洋軍の決死の覚悟を高め、ハリス提督が発展させた同盟諸国やパートナー諸国との関係の上に、さらに安定と国際法遵守を強化する信頼の絆を固くし、同時に、インド太平洋軍内の行動を改善して行くことである。
・デイヴィッドソン提督は、司令官承認の公聴会で、インド太平洋軍が史上最も強固で闘える軍隊となるよう全力であたることを約束してくれた。今日、米国及び広いインド太平洋地域の国々は、あなた(デイヴィッドソン司令官)を頼りにしている。
出典:Secretary of Defense James N. Mattis ‘Remarks at U.S. Indo-Pacific Command Change of Command Ceremony’ May 30, 2018
マティス国防長官の演説は、ハリー・ハリス太平洋軍前司令官に対し賛辞を送り、フィリップ・デイヴィッドソン新インド太平洋軍司令官を歓迎し鼓舞したものである。
 同盟諸国(allies)、パートナー諸国(partners)、諸国(countries)という言葉は多々使用されているが、国の固有名詞が出てきたのは北朝鮮のみである。しかし、演説内容から、明らかに中国に対して警告を発していることが分かる。特に、中国が掲げる「一帯一路」構想に対して、多帯多路(many belts and many roads)という言葉を使用していることからも、それは明白である。
 大小かかわらず国家主権が重要と言っているのも、大国を自負する中国に対して、インド太平洋地域の他の様々な中小諸国を仲間として、同盟国ないし友好国として受け入れる用意があることを示している。この内容は、52日にターンブル豪首相とマクロン仏大統領が、「大魚が小魚や小エビを食べてしまってはいけない」と言っていた比喩とも重なる。
 太平洋軍がインド太平洋軍と改名した530日の翌日、531日、この改名を象徴するかのように、米海軍は、インド海軍及び海上自衛隊とともに日米印の3か国共同軍事演習「マラバール2018」をグアム沖で行った。
 なお、デイヴィッドソン新司令官の政策等に関しては、上院で行われた指名承認のための公聴会が参考になる。本ウェッジのサイト上の岡崎研究所の記事でも扱っているので、参照されたい。(5月7日掲載5月8日掲載、及び5月15日掲載。)

【共産中国が「安心しない」戦略を願う】

鍵はインドとASEANか

インド太平洋地域におけるインドの役割

岡崎研究所

201861日―3日、シンガポールのシャングリラ・ホテルで、英国のシンクタンクIISSInternational Institute for Strategic Studies : 国際戦略研究所)が主催する第17回アジア戦略サミットが開催された。そのオープニングの基調講演を行ったのが、インドのナレンドゥラ・モディ首相である。約35分(A4版テキストにして約8ページ)のモディ首相の演説は、前半がASEAN(東南アジア諸国連合)への賛辞と印ASEAN関係の緊密化について語られ、後半は、インド太平洋地域の特徴を7項目の要素で説明している。それらの内容を紹介しながら、インド太平洋地域におけるインドの役割を考えてみたい。

インドとASEANとの関係強化

 今年1月のインドの共和国記念日に、モディ首相は、ASEAN10か国首脳を招いた。モディ首相は、「ASEANインド・サミットは、我々(インド)のASEANとの係わりと我々のアクト・イースト政策Act East policy)の証である。」と述べている。「アクト・イースト政策」は、まだ耳慣れない言葉かもしれないが、日本にとっては、かつて1980年代にマレイシアのマハティール首相が提唱した「ルック・イースト政策」が思い出される。恐らく、それをもじったものかもしれないが、インドとしては、ASEAN、さらには太平洋まで東側を向いて行動して行くという決意の表現なのだろう。
 モディ首相は、シンガポールに到着する前に、インドネシアを訪問し、首脳会談を開き、インドとインドネシアとの関係を「包括的戦略パートナーシップ」に格上げしたと言い、それから短時間、マレイシアにも寄り、マハティール首脳とも会ってきたことを披露した。
 モディ首相の演説では、古来より、「インド人の思考には海洋が重要な位置を占めてきた。」と言われたように、海洋国家としてのインドが強調された。シンガポールとは、25年にわたり中断することなく海軍演習をしてきて、近く新たに3か国でやることが決まっていて、さらには他のASEAN諸国にも拡大したいことが述べられた。そして、米日と共にマラバール演習を行っていること、インド洋でのミラン演習に多数の諸国が参加し、太平洋のRIMPAC演習にも参加することにも触れられた。
 モディ首相は、インド太平洋地域は、インド洋の先のアフリカから太平洋の端の南北アメリカまで、ASEANを中心に幅広い範囲を含むと地理的に定義し、ASEANとは、この25年間で、対話のパートナーから戦略的パートナーになったと語った。

インド太平洋地域とは?

 モディ首相は、インド太平洋地域に関して、次の7つの要素を挙げている。
1    自由で開かれた、排他的ではない地域である。
2    東南アジアがその十字路にあり、ASEANはその中心的存在である。
3    繁栄と安全保障のために、ルールに基づいた秩序を、対話を通して進化させることが重要である。
4    全ての国が平等に、海と空の共通空間を使用するアクセスを有する。
5    この地域、我々全ての国々が、グローバル化の恩恵を受けてきた。
6    連結性が不可欠である。インフラの整備のみならず、信頼の橋を築くことが重要である。
7    これら全ては、大国の対立の時代に戻らなければ、可能である。対立のアジアは、全ての国を後退させる。
モディ首相は、演説の最後の方で、「我々は、民主主義的でルールに基づいた国際秩序を促進させる。」と述べ、大小かかわらず各国が平等に扱われ、主権が尊重されるべきことを主張した。
 IISSの筆頭理事、ジョン・チップマン事務局長によると、今回のシャングリラ会議には、575名の参加者、40か国の国防大臣の参加があり、今までで最大規模だったそうだ。IISS1958年に設立されて今年で丁度60周年を迎える。その記念の年であると言うのみならず、場所がシンガポールというのも重要である。朝鮮半島の地政学を大きく揺さぶる612日の米朝首脳会談がシンガポールで開催させる直前のアジア戦略サミットだった。
 また、チップマン事務局長が指摘したように、アジア全体が地政学的にインド太平洋という大きな戦略的舞台になってきたという重要な局面でのシャングリラ会議だった。この基調講演者として、13億人の民を抱える世界最大の民主主義国のインドの首相が招かれ、開幕したということは、大きな意義があろう。
 モディ首相も含め、誰も表立って名指しこそしないが、インド太平洋地域における中国の一方的力の誇示を暗に批判して、それに対抗するには、法に基づいた国際秩序を、価値を共にするパートナー諸国で協力して打ち立て行動しなければならない、と語りかけた。このような内容は、インドの首相のみならず、日米豪等の首脳からも、よく語られることがある。
 20年程前に、駐日シンガポール大使が、自民党外交調査会で、中国の台頭に対処するには、日本とASEANだけでは難しく、米国が入ってくれなければ対処できない、と語ったことがある。それから中国はさらに巨大化した。もはやインドも仲間に入れて、一緒に対処しなければならなくなったのかもしれない。
参考:’Prime Minister’s Keynote Address at Shangri La Dialogue (June 01, 2018’, Ministry of External Affairs, Government of India, June 01, 2018
日印共同軍事演習

【日韓で共産中国を牽制できるか?】

日本と韓国、どちらが嫌い? 良い意味でも悪い意味でも中国を刺激する日韓

モーニングスター株式会社

 

https://www.msn.com/ja-jp/news/world/日本と韓国、どちらが嫌い%ef%bc%9f-良い意味でも悪い意味でも中国を刺激する日韓/ar-AAyN5oi?ocid=spartandhp#page=2

© Searchina 提供 韓国について中国人の感情は、日本に侵略された過去から中国同様に反日であり、中国人の共感を得やすいと指摘。しかし、経済発展に伴い中国を見下すようになった韓国には我慢ならないとした。

中国にとって、日本と韓国という隣国は歴史的にも密接な関係にあった国と言える。古代において、中国は日韓に大きな影響を与えさまざまな進んだ文化を伝えたが、近代においてはこの2つの小さな国に先を越され、「バカにされてきた」ことが我慢ならないという気持ちもあるようだ。

中国メディアの快資訊は9日、「日本と韓国、どちらのほうが嫌い?」と質問する記事を掲載した。これは主に、日本と韓国から「見下される」ことに対する反感を示しているようだ。

記事は、まず韓国について、日本に侵略された過去から中国同様に反日であり、中国人の共感を得やすいと指摘。しかし、経済発展に伴い中国を見下すようになった韓国には我慢ならないとした。さらに、一部の学者が主張する「韓国起源説」も中国人の感情を逆なでしているようだ。漢字や羅針盤など多くの中国古来の文化を韓国が起源だと主張する人がいて、嫌韓感情を煽っているとした。

日本に関しては、歴史問題ゆえに反日感情が強いのは言うまでもない。記事は、日本を憎む気持ちは中国人の心の中に烙印として押されているため、今後数世紀は消えないだろうとしている。しかし、これには教育が大きな理由を占めているだろう。

だが記事は、日本や韓国からは学ぶべき点も非常に多いと指摘。日本の科学技術のレベルの高さや、韓流は中国でも大人気となったことなどは認めざるを得ないとしており、複雑な感情をのぞかせた。しかし、「中国は発展の軌道にすでに乗っており、努力によって間もなく中国の夢が実現するに違いない」と主張した。

このように、日韓は良い意味でも悪い意味でも中国を刺激しているようだ。特に日本に対しては科学技術の進歩などで尊敬の気持ちがあるのも事実のようであり、これからも中国が強く意識する隣国となっていくだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)


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