2021年7月5日月曜日

 米IT企業にサイバー攻撃=世界に被害拡大の恐れ

2021/07/04 18:12米IT企業にサイバー攻撃=世界に被害拡大の恐れ (msn.com)

【ワシントン時事】米IT企業がサイバー攻撃を受け、同社のソフトを利用する企業に身代金が要求される被害が広がっていることが3日までに分かった。影響は米国外でも確認されており、世界各地に拡大する恐れがある。バイデン大統領は3日、関係当局に調査を指示した。

 標的となったのは、ITシステム管理ソフトを提供するカセヤ。ハッカーは2日までに同社のシステムに侵入し、サーバーを通じて顧客企業のデータを暗号化して身代金を要求する「ランサムウエア」を仕組んだ。ロイター通信は、4日の米独立記念日に伴う連休を狙ったサイバー攻撃だった可能性があるという専門家の見解を報じた。

 カセヤの顧客企業はさらに幅広い企業のデータ管理サービスを提供しているため、被害が連鎖的に広がる恐れがある。スウェーデンのスーパー大手「コープ」は、レジのシステムに障害が発生、3日までに約800店舗が一時閉鎖に追い込まれた。

 カセヤは、顧客企業にサーバーを停止するよう通知し、3日時点で「被害は極めて少数だと思われる」としているが、AFP通信は1000社以上のデータが暗号化されたと伝えている。 


ランサムウェア感染の様子。
ランサムウェア感染画面。
脅威と対処法

データを暗号化して、いわば人質にとるわけですが、身代金を支払ったとしても暗号化されたファイルは元に戻るのかな?
そこまでしてくれるなら、お金をいただけるなら確実にファイルの安全は保障します、お戻しします、という確約がほしいな・・・そういう問題じゃないか!
病院や公的機関については、ぜひこういう攻撃はやめてほしいものだ。人間のやることじゃないな。







2021年7月3日土曜日

イギリス国際シンクタンク報告書 「日本のサイバー戦能力は最下層レベル」・・・かなりヤバイ評価。

 日本、北朝鮮と同じ最下層に「サイバー能力」情報共有・防衛で見劣り

読売新聞

2021/06/30 14:49日本、北朝鮮と同じ最下層に…「サイバー能力」情報共有・防衛で見劣り (msn.com)

【ロンドン=池田慶太】英国際戦略研究所(IISS)は20216月28日、主要国のサイバー能力を総合評価した報告書を発表した。国別では米国をトップとする一方、日本は民間との情報共有や、防衛能力で見劣りするとみなされ、最も低いグループに位置付けられた。

 日米欧や中露など15か国を、国家戦略やサイバー分野のインテリジェンス(情報)、国際的リーダーシップなど7項目で評価した。

 最も能力が高い第1グループは米国のみ。中国による欧米の先端技術獲得を同盟国と共に阻止し、今後10年は優位を保つと分析した。

 英仏などが並ぶ第2グループでは、中露がやや勝ると評価。特に中国については、「唯一、米国の仲間入りをする可能性がある」と指摘した。最下層には日本のほか、北朝鮮、ベトナム、インドなどが入った。


さらに詳しくみていきましょう。


日本のサイバー能力は「脆弱」=英シンクタンクが報告書

2021/06/30 12:34日本のサイバー能力は「脆弱」=英シンクタンクが報告書 (msn.com)

【ロンドン時事】英シンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」が公表した15カ国のサイバー能力を分析した報告書で、日本は3段階で最低の「第3級」に分類された。「いくつかの分野では強みがあるが、他の分野では大きな脆弱(ぜいじゃく)性がある」という。日本のデジタル分野の出遅れが響いた。

 報告書は20216月28日付。最高の「第1級」に分類されたのは米国のみ。「第2級」はオーストラリア、中国、フランス、ロシア、英国など。「第3級」は日本のほか、インドやインドネシア、イラン、北朝鮮などだった。

 報告書は米英など英語圏5カ国による機密情報共有の枠組み「ファイブアイズ」の同盟国としてフランス、イスラエル、日本の3カ国を挙げた。ただ、フランスとイスラエルを「サイバー能力の高いパートナー」と位置付けたのに対し、日本は「同じく同盟国だが、強力な経済力にもかかわらず、サイバー空間の安全保障面では能力が低い」と指摘した。

 日本に関してはさらに、「多くの企業が防衛力強化のためのコストを負担しようとしない」などと問題点も列挙した。

 報告書はそれぞれの国の能力を「戦略とドクトリン」「サイバー空間における世界的リーダーシップ」など七つの項目で分析した。その上で、「少なくとも今後10年は米国の優位が続く可能性が高い」とする一方、中国が「第1級の米国に加わる軌道に乗っている」と結論付けた。 

ホワイトハッカー育成トレセン(サイバー演習)

我が国のサイバー戦争への対策は、まだまだ緒についたばかりというところか?
予算面でのとりくみに十分さが感じられないのか? 国家的な規模のサイバーコマンドが正規軍として存在しないからなのか? 民間での人材育成が遅れているからなのか?

今や先進国、経済力、技術力の高い国への「攻撃」は、軍事攻撃ではありません。情報、経済において仮想敵国の中枢に切り込む、そして骨抜きにする戦争が主流です。そして当事国はその攻撃を否定するという「ステルス攻撃」の時代といえるでしょう。
まさに宣戦布告なき仮想敵国の政治や経済の中枢を狙う「機略戦」の時代といえるかもしれません。
我が国もエシュロンの中核を担うべき国際的な立場を実現したいのなら、情報戦大国となるべく体制を整えなくてはならないはずです。

太平洋諸国との国際平和関係を深めることが、我が国のプレゼンスを強化すること、自衛隊ばかりが国防の最前線ではありませんね。
太平洋は今や日米VS共産中国との情報戦、外交戦の熾烈な戦場といえるでしょう。

島嶼国めぐり対中暗闘 インフラ整備阻止、情報戦がカギ

2021/07/02 19:56島嶼国めぐり対中暗闘 インフラ整備阻止、情報戦がカギ (msn.com)

菅義偉(すが・よしひで)首相は20217月2日の太平洋・島サミットで、太平洋島嶼国に対するインフラ整備支援に向けた意欲を改めて強調した。政府は表向き中国に対抗する意図を否定するが、太平洋島嶼国への進出を強める中国系企業に対する警戒感を強めている。特に安全保障に直結するインフラ分野では、米国などと連携して中国の影響力をそぎたい考えで、島サミットはこうした取り組みを進めるうえで重要な会議となった。

「特定の国を念頭においての発言ではない」

会合終了後、坂井学官房副長官は記者団に、首相が「権威主義との競争」に言及したことをこう説明した。資源が乏しい太平洋島嶼国の多くが対中依存を強めており、中国に対する敵対的なイメージを回避したい島嶼国への配慮がにじむ。

だが、日本政府は水面下で中国の影響力排除を狙った動きを進めている。ミクロネシア3カ国での海底通信ケーブル敷設事業をめぐる中国企業の進出に「待った」をかけたのも、その一つだった。

昨年、島嶼国のミクロネシア連邦、ナウル、キリバスの3カ国では、世界銀行とアジア開発銀行(ADB)が主導して海底通信ケーブルの敷設事業が計画されていた。日本とフランス、中国の企業が入札に参加したが、中国企業が最低価格を提示したため、事業主体となる可能性が高かった。

中国の企業は米国が投資禁止対象としている通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の関連企業だった。通信ケーブルは陸上施設が標的となって情報流出の恐れがある。

「中国企業が主体になれば安全保障上の脅威になりかねない」。危機感を抱いた日本政府は水面下で米国に協力を求めた。計画では米領グアムで米国企業が敷設したケーブルと接続されることになっていたため、米政府はグアムでの接続に難色を示し、計画の仕切り直しにこぎつけた。

中国系企業は携帯電話事業や港湾整備をめぐっても太平洋島嶼国への進出を強めている。日米両政府などは事前に進出を阻むべく「情報戦」を展開しているが、政府高官は「それぞれに事情があるだけに日頃の関係強化が重要だ」と話す。日本政府としては島サミットで構築した信頼関係やネットワークも活用することで、島嶼国で繰り広げられる情報戦を制したい考えだ。(市岡豊大)

米中情報戦が本格化、日本はチャンス!?
何もしなければチャンスはただすぎていくだけ・・・尖閣諸島にしろ軍事力でなく、情報戦(プロパガンダ)と海洋警察力、漁業の産業力で領海、排他的経済水域の確保を!




2021年6月12日土曜日

ロシア当局による諜報活動

 このロシア大使館職員による機密情報漏洩事案については、記事を追いながらどういう内容の諜報活動であったか、みていきたいと思います。


軍事文献、不正入手の疑いで逮捕 「ロシア人スパイに提供」

20216/10() 20:10配信https://news.yahoo.co.jp/articles/6549b7da40fa7d49d57aec0f47e8ee6ef30fb64a

 在日ロシア通商代表部の職員に譲渡する目的で、データベースの利用規約に反して不正に軍事技術関連の文献を入手したとして、神奈川県警は2021610日までに、電子計算機使用詐欺の疑いで、元調査会社経営の無職宮坂和雄容疑者(70)=神奈川県座間市=を逮捕した。  

県警によると、宮坂容疑者は長年、技術文献の調査会社を経営しており「30年間で複数のロシア人スパイに文献を提供し、約1千万円を受け取った」と供述している。  逮捕容疑は通商代表部の40代の男性職員と共謀し、2019712月、文献を検索するデータベースにアクセスし、技術文献のコピー8点を入手した疑い。


ロシア側に軍事関連の文献提供「1000万円以上稼いだ」元調査会社経営の70歳逮捕

6/10() 22:17配信https://news.yahoo.co.jp/articles/24ed8da5d2ebef1ddb79c8dd53eb8f3e2f00faf9

在日ロシア通商代表部の職員に渡す目的で軍事技術関連などの文献を不正に入手したとして、神奈川県警は2021610日、同県座間市、無職の男(70)を電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕したと発表した。県警は9日、外務省を通じて、ロシア大使館に職員を出頭させるよう要請した。

 発表によると、男は2019年7~12月、利用目的を偽って国内のデータベースサービス会社に会員登録し、レーダーを用いた偵察能力向上や半導体の研究開発などに関する日本や米国の文献の複写8点を入手した疑い。

 調べに対し、同代表部の40歳代の男性職員に依頼され、文献を渡したと説明。「約30年間、複数のロシア人に軍事や科学関係の文献を提供し、1000万円以上を稼いだ」と供述している。県警幹部によると、長年、都内で技術文献の調査会社を経営していたという。

 利用されたデータベースサービスは「国内の個人」を会員登録の対象としている。県警は、ロシア側が自分たちの欲している情報や技術を悟らせないように、男を使った可能性もあるとみて調べる。

文献詐取容疑で70歳逮捕 「ロシア人に30年提供」

6/10() 20:33配信https://news.yahoo.co.jp/articles/cc7c016055b85f48f053ef2a1945ba2d08d1a8f9

 在日ロシア通商代表部の職員に渡す意図を隠して不正に文献を入手したとして、神奈川県警は同県座間市の無職、宮坂和雄容疑者(70)を電子計算機使用詐欺容疑で逮捕し、2021610日発表した。  

宮阪容疑者は「約30年にわたって複数のロシア人に軍事、科学技術関係の資料を渡し、対価として1千万円以上を受け取った」と供述。県警は特別捜査本部を設置して捜査を続ける。  外事課によると、宮坂容疑者は2019712月、通商代表部の40代の男性職員と共謀し、本人に渡す目的を隠して、データベースサービス提供法人のシステムに会員登録し文献8点を入手した疑いがある。  

文献は半導体の研究開発にかかわる先端技術や無人戦闘車両についてのもので、米国のものも含まれていた。宮坂容疑者はこれらを職員に渡したと説明。県警は在日ロシア大使館に職員の出頭を要請した。  

県警によると、宮坂容疑者は以前、要望に応じて文献を調査する会社を経営していたという。県警は、宮坂容疑者が入手した文献に基づく技術がロシアで軍事転用された場合、安全保障環境や経済安全保障に悪影響を生じさせる恐れがあったとみている。  

ロシア大使館は朝日新聞の電話取材に対し、「コメントすることができない」と話した。(大宮慎次朗)朝日新聞社

軍事文献を不正入手 70歳男を逮捕、ロシアのスパイに渡したか

6/10() 21:57配信https://news.yahoo.co.jp/articles/113650cfcd4e2a004076191118f4a8cf1f58678b

 在日ロシア通商代表部の職員に渡すため軍事的文献を不正に入手したとして、70歳の男が逮捕されました。  

逮捕されたのは神奈川県座間市の無職・宮坂和雄容疑者(70)です。警察によりますと、宮坂容疑者はおととしから去年にかけて、在日ロシア通商代表部の男性職員(40代)に渡す目的を隠し、文献を検索できるデータベースから無人戦車や偵察用レーダーの文献8点を不正に入手した疑いがもたれています。  

不正入手した文献は男性職員に渡したということで、宮坂容疑者は取り調べに対し「30年にわたって文献を複数回渡して1000万以上稼いだ」「ロシアのスパイだとわかっていた」などと供述し、容疑を認めているということです。  

神奈川県警は、外務省を通じてロシア大使館に対し男性職員を出頭させるよう要請しています。(1021:14


ロシアスパイ事件のまとめ

軍事文献など不正入手 ロシア外交官に譲渡した疑いで無職逮捕

6/10() 20:37配信https://news.yahoo.co.jp/articles/c94517fd3050ba17ef83d84380a5626872f43fcf

 神奈川県警は2021610日、軍事関係の文献を不正に入手したとして、同県座間市立野台、無職、宮坂和雄容疑者(70)を電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕したと発表した。宮坂容疑者は30年以上にわたり、ロシアの外交官に軍事や科学技術に関する文献を譲渡し、報酬として1000万円以上を受け取っていた疑いが持たれている。県警はロシアによるスパイ事件とみて外事課に特別捜査本部を設置し、全容解明を進める。  

逮捕容疑は2019712月、40代の在日ロシア通商代表部の男性職員と共謀し、論文の複写や提供を行うデータベースサービス提供会社から、無人戦車やレーダーを用いた軍事偵察、半導体の研究開発を記した米国などの文献8点を、第三者に渡す意図を隠して会員登録し、不正に入手したとしている。容疑を認めているという。県警は9日、ロシア大使館に対し、男性職員の出頭を要請した。  

外事課によると、この男性職員は複数の日本人協力者と接触して情報収集していたとされる。宮坂容疑者は以前、技術文献の調査会社を経営していたことから、文献の入手や調査に精通していた。この男性職員以外にも複数のロシア人に文献を譲渡し、1回あたり10万~15万円の報酬を受け取っていたとみられている。【牧野大輔】


スパイの機密情報を渡すテクニック

ロシアの日本人スパイ 一瞬で手渡しする手法使用か

00:45 2021/06/11 15:36ロシアの日本人スパイ 一瞬で手渡しする手法使用か (msn.com)

「フラッシュコンタクト」と呼ばれるスパイの手法を使っていたとみられます。 神奈川県座間市の宮坂和雄容疑者(70)はおととし、在日ロシア通商代表部の40代の男性職員に譲り渡す目的を隠し、論文などの検索データベースから軍事技術に応用できる文献を入手した疑いで今月11日に送検されました。 その後の警察への取材で、宮坂容疑者が「ひとけのない場所で一瞬で文献と報酬の現金の受け渡しをしていた」と供述していることが分かりました。 周囲に気付かれないよう、すれ違った瞬間に情報を手渡す手法は、フラッシュコンタクトと呼ばれています。 受け渡し場所は主に都内で、ロシア側が毎回、指定していたとみられています。

この典型的?ともいえるスパイ事件のオチはなんともね・・・大丈夫か、この国は。


ロシアスパイと日本人の男性を不起訴処分 横浜地検

テレ朝news

2021/07/16 22:44ロシアスパイと日本人の男性を不起訴処分 横浜地検 (msn.com)

ロシア側に譲り渡す目的を隠して軍事関係などの文献を入手した疑いが持たれていた日本人の男性らについて、横浜地検は不起訴処分としました。

 神奈川県座間市の70歳の男性と在日ロシア通商代表部の42歳の男性職員はおととし、文献検索データベースから軍事技術に応用できる文献など8点を入手した疑いが持たれていました。

 横浜地検は2人について、今月16日付で不起訴処分としました。

 理由については明らかにしていませんが、起訴猶予とみられます。

 日本人の男性は警察の取り調べに「30年に渡ってロシアスパイに文献を渡し、1000万円以上稼いだ」と容疑を認めていました。

 一方、在日ロシア通商代表部の男性職員は警察の出頭要請を無視して先月12日に出国し、書類送検されていました。


ロシアによる諜報活動・動画編




※積極的に外国諜報員を摘発できる法律が必要なんじゃないのかな?
小泉進次郎氏あたりに国会に法案提出してもらったらどうかな?




2021年4月6日火曜日

次世代の量子通信暗号技術。

 将来のデジタル社会基盤を支える「東芝の量子暗号通信」

絶対に盗聴、解読できない暗号通信技術が実用化

将来のデジタル社会基盤を支える「東芝の量子暗号通信」 |日本経済新聞 電子版特集 (nikkei.co.jp)

ネットワークを通じて多種多様かつ大量の機密情報がやりとりされる今日、それらの情報をいかにして保護するかが大きな社会課題となっている。量子コンピューター技術の実用化をはじめとし、デジタル技術のめざましい発展により、現在の複雑な暗号が瞬時に解読されてしまうのも時間の問題だと言われているからだ。この社会課題を解決し、将来にわたり通信の安全性を担保できる新しい暗号通信技術が実用化された。量子力学を応用した「量子暗号」だ。東芝はこの技術の研究開発に20年以上前から取り組み、ついに実用化にこぎ着けた。量子暗号通信は、情報の安全の確保という社会課題の解決にどう貢献するのだろうか。

ネットワーク社会に迫る安全性の課題

インターネットの普及が始まって四半世紀が経過した。この間、通信や端末の技術革新が急速に進み、ネットワークはもはや私たちの生活やビジネスになくてはならない重要な社会基盤となっている。しかし、高度にデジタル化した現代社会において大きな課題となっているのが、ネットワークを流れる通信の安全性をいかに守るかということである。

ネットワークでは個人・企業・国家に関するあらゆる機密情報がやりとりされている。そのなかには金銭的価値を持つ情報も数多く含まれており、そうした情報を狙った悪意ある攻撃者による盗聴・窃取・改ざんの脅威に常にさらされているのが実状だ。このような脅威に対抗するため、これまでは情報を暗号化する技術が使われてきた。たとえネットワークの経路途中で通信内容が漏れたとしても、暗号を解読できなければ情報そのものは漏えいしないという発想である。

ところがコンピューティング技術の発展により、従来の暗号技術は今後リスクにさらされる可能性がある。現在のコンピューターとはまったく異なる原理で計算処理を行う「量子コンピューター」が登場してくると、解読のための計算に数千~数万年かかると言われていた暗号であっても、瞬時に解読されてしまうという可能性があることがわかってきた。このまま手を打たなければ、ネットワークに求められる「情報を安全にやりとりする」という基本機能が果たせなくなり、ひいてはネットワークに頼った現代社会の崩壊を招くおそれもある。

そこで注目されているのが、量子コンピューターにも応用されている「量子力学」の理論に基づいた暗号技術だ。東芝もいちはやく量子暗号の研究開発に着手し、実用化に向けて動き出している。

20年以上にわたり「量子」を研究

東芝をはじめ、世界の企業がこぞって開発を急ぐ量子の技術。そもそも量子とは何なのか。量子コンピューターや量子暗号通信に量子力学の理論を応用するとは、どういうことなのか。量子暗号通信の事業化プロジェクトで責任者を務める村井信哉氏は次のように説明する。

「量子とは粒子の両方の性質を併せ持つ、小さな物質やエネルギーのことです。原子を構成する陽子や電子、光の粒子である光子などが代表的な量子です。この量子の微視的な物理現象を表すのが量子力学であり、重ね合わせや量子もつれといった量子力学の現象を計算に利用して処理速度を飛躍的に高めたのが、量子コンピューターです。一方、東芝が取り組んだ量子暗号通信は、暗号鍵の通信に量子力学の原理を利用した技術です。どちらも量子力学の原理を応用したものですが、応用先が異なっているわけです」   東芝が量子暗号通信に関する研究開発に着手したのは20年以上も前のことだという。

「東芝は1991年に英国ケンブリッジ研究所を設立し、さまざまな技術の基礎研究に取り組んでいます。そうした研究テーマの一つとして、2000年頃に始めたのが量子でした。基礎研究の結果、応用先として注目したのが量子暗号通信です。およそ10年にわたって基本的な原理についての研究を進め、10年頃からは日本の通信技術研究部門と共同で量子暗号通信の実用化に向けた研究開発を推進してきました」(村井氏)

 東芝の技術的優位性は「高速」「安定性」

 量子暗号通信は、従来の暗号通信とどのような違いがあるのか。従来の暗号通信は情報を暗号化して読めなくしたうえで、暗号を解くための鍵を相手に送るという仕組みになっている。暗号も鍵も非常に複雑で、解読に膨大な時間を要することが安全性の担保につながっている。だが、上述したように量子コンピューターを使えば、簡単に解読されてしまうおそれがあるのだ。

「量子暗号通信はこの暗号鍵の受け渡しに量子力学を応用し、どんなに計算処理が高速なコンピューターを使っても絶対に解読できないことが基本機能です。ネットワークを流れる通信は光ファイバーなどを波として伝播しますが、量子暗号通信では非常に微弱な光の粒 ―― 光子に鍵の情報を乗せて通信します。光子はネットワークの経路途中で搾取されたとしても、その粒が取られて減少するので必ず気づきます。また意図的に同じ光子の粒を作成することもできません。これらが量子力学のふるまいを応用した量子暗号通信の原理であり、安全である根拠となります」(村井氏)

 ただし、量子暗号通信には条件もある。ネットワーク経路の途中で光子の増幅やコピーはできないので、長距離の伝送が難しいということだ。「量子暗号通信の原理自体は一般的なものなので、他社の同等製品との違いはありません。しかし東芝の量子暗号通信は、光子のノイズ除去や並列計算処理により高速化を実現、光子を安定させて最大120kmの長距離配送ができるなど、これまでの研究開発の積み重ねによる技術的な優位性があります。当社による資料比較になりますが、鍵配送速度や通信距離において当社製品は他社製品を大きく上回っており、まさに現時点で世界最高性能と自負しています。また専用の光ファイバー回線を用意しなくても、既設の光ファイバーに量子暗号通信を多重化できるところも大きな特長です」(村井氏)

図1:従来の暗号通信と「量子暗号通信」の違い

図2:量子暗号通信の原理


実証実験の成果を受けて実用化が始まる

 東芝が量子暗号通信システム製品の提供を開始したのは2010月である。ここに至るまでに数多くの実証実験が繰り返し行われてきた。11年には情報通信研究機構(NICT)が運営する「東京QKD(量子鍵配送)ネットワーク」を利用した最初の実証実験が行われ、20年には宮城県仙台市の東芝ライフサイエンス解析センターと東北大学東北メディカル・メガバンク機構を結び、数百ギガバイトを超えるデータ量のゲノム配列データを量子暗号通信で伝送する実証実験が行われている。また海外でも複数の実証実験が実施されており、米国・ニューヨーク市のウォールストリート金融市場とニュージャージー州のバックオフィス拠点を結ぶQuantum Xchange社の「Phio QKDネットワーク」などでその効果が確認されている。

 量子暗号通信ビジネスを担当する江島克郎氏によると、量子暗号通信システム製品に関する引き合いは官公庁・金融機関・医療機関など機密性の高い通信を必要とする分野を中心に幅広い領域の企業から寄せられているという。

 「量子暗号通信システム製品は、盗聴されるとその損失や被害額が極めて大きい情報、あるいは秘匿価値の極めて高い情報を安全に通信するための用途を中心に商談を進めています。例えば国家安全保障にかかわる政府機関の機密情報、金融機関における高額かつ高度な金融取引(トレーディング)情報、医療機関におけるゲノム情報、臨床データ、製薬開発など秘匿性の高い情報などが最初の応用先になると考えています」

 このほか製造業でも、製品開発・生産情報など付加価値の高い知的財産(IP)をやりとりする用途などを想定して実証実験が一部始まっているそうだ。

図4:仙台市で行われたゲノム配列データ転送の実証実験


普及に向けてさらなる改善に取り組む

 いよいよ実用化に向けて動き出している東芝の量子暗号通信だが、同社では今後、さらなる改善に取り組む予定だという。

 「研究開発を現在進めているのが、通信可能な距離を倍にする当社の独自技術『ツインフィールドQKD』です。まずはこの技術をしっかりと実用化していくことが重要だと考えています。また光ファイバーを敷設できない拠点間を接続するために衛星を使った量子鍵配送を可能にしたり、さまざまなユーザーが容易に利用できるソフトウェアプラットフォームを用意したりといった取り組みをしています。とくにプラットフォームづくりには、光ファイバー回線を提供する通信事業者などパートナー各社との協業を進めています。前述したとおり、機密性の高い情報を取り扱う医療分野、政府機関、金融機関向けのネットワークセキュリティへの適用も期待されています。英国の研究機関との実例としては、量子暗号を使用して離れた生産施設間で機密データを安全に転送することにも成功しています。インダストリーIoTを支えるインフラとしての可能性を期待されています。今後は国内外で量子暗号鍵配送ネットワークを構築し、金融機関を中心とした顧客向け量子鍵配送サービスを25年度までに本格的に開始する予定です。東芝の予測では量子鍵配送サービス市場は35年度に全世界で約200億米ドル(約2.1兆円)と見ています。東芝は30年度には約30億ドル(約3150億円)の売上高を目指し、量子暗号通信業界のリーディングカンパニーを目指します」(江島氏)

 将来にわたって安全な通信を確保する ―― この社会課題の解決に取り組んだ東芝の量子暗号通信は、これから着実に普及していくことだろう。

 

※絶対に、といってしまって大丈夫なんでしょうか?

2021年4月2日金曜日

イギリスの国家インテリジェンスの源泉。

 新聞の事前検閲制度の存在

政府の検閲は、本当に公開を危険であると判断した情報にしか適用されない。これにより政府とメディアとの間で緊張関係が保たれている。

また検閲した個所を伏字や白ページにすることを禁じている。どの情報を消去、隠蔽したのか国民にわからない仕組みになっている。

国民のインテリジェンス能力を高める「教育番組」が制作される

BBCの番組「スプークス」。MI5を舞台としたテレビドラマで2002年~2011年まで長期に渡って放映された。日本では同作品はDVD化されている。(邦題『MI5 英国機密諜報部』アマゾンプライムでも視聴可能)。2001年の同時多発テロを受けて国民にカウンターインテリジェンスの重要性を知らしめることが目的。様々な人間模様を描き、防諜の世界を伝える演出がなされている。時代を先取りするようなテーマ、盗聴、監視、偽装の技法は実際のインテリジェンスの現場で使われたやり方を使う。「インテリジェンスの教科書」との異名をとる。

2019年公開の映画『新聞記者』(社会派サスペンス)

イギリスのスパイ映画では、スパイや情報工作を「国家のために見えないものを見る仕事」としてポジティブにとらえている。イギリス国民は、「諜報員は、知的プロフェッショナルが国のために就く仕事」としてイメージを持っている。

英国上流階級 子どもの教育事情|にしぐち瑞穂のロイヤルスクープ| 25anshttps://www.youtube.com/watch?v=XmhABWoLc1M

現地のプレップスクールでは、クラスで「スパイゲーム」を遊んでいる。イギリスの子供たちは、ゲームを通じて「spy」とは「頭」を使って何かをみつけ探し出すという意味であると自然に学ぶ。スパイは知恵を持つ者が就く職業であり、かっこいいクールな存在であると認識されている。

【スパイゲーム】

教師:「I spy with my little eye something beginning with “A”(私はAで始まるものを見つけました。)といって、生徒がそのAで始まるものの答えを考えて探すゲームである。見つけた生徒は、今度は他の生徒に「見つけたもの」を質問する「主役」の側になれる。

「アクティブ・ラーニング」発祥地はイギリス

1993年に学習向上プロジェクトの一環として参加型の授業が始まった。生徒同士が話し合い、コミュニケーションスキルと「自分の力で考える」力を養成するモデルが定着している。

先生の話を聞くだけでなく、生徒たちが自らディスカッションを行っている。歌やゲーム、テレビを視聴するなど自由なカリキュラムも多く、能動的な学習活動である。

教科書はなく、配布されるプリントをベースに「自学自習の精神」で学習活動が行われる。

クリティカルシンキング(批判的思考)を養う討論型の授業を行う。生徒同士が一つの課題について話し合う時間が頻繁にある。自分の意見が他人から批判され、かつ他人の意見を批判的に観察する機会を初等教育から取得させる。

他の生徒の考え方をなぞってはいけない。クラスメイトの意見を真似するとすぐに「コピーしている」と周囲から指摘が入る。従って絶えず独創的なアイディアをださないといけない。意見の表明が遅れるのもダメなので、スピーディに自分の考えをまとめる習慣が身に付きます。英語以外の母国語のの生徒も積極的に挙手し、自分の意見をアピールしている。

イギリスでは、このような環境で小学校から他人の意見に対して疑問を抱き、批判や反論を行う訓練を重ねています。イギリス人はよく批判的思考とプレゼンテーションが巧みだといわれますが、こうした教育的背景があるわけです。

紳士な英国スパイ?。

英国紳士の超過激なスパイ組織...映画『キングスマン:ファースト・エージェント』最新予告編 https://www.youtube.com/watch?v=xg3KbfIHX3E

相手を説得する技術 ~「ショーアンドテル」~

毎週1回、授業中に行われる。クラスで約10人の生徒が、自分の好きな本や玩具、おやつなどを持参し、「好きな理由」を5分程度で説明する、というイベント。

いかに多くの生徒から納得(賛同)を得られるかを競うプレゼンテーションであり、子供同士の世界でも説得力が求められる。

発表者は、プレゼンの前夜からシナリオを作成し、予行演習に没頭するという。いざ発表という場面になると、日ごろのアクティブ・ラーニングで培った批判的精神旺盛な生徒が容赦なく意地悪な質問を浴びせてくる。それらに感情を抑えて反論しながら、自分の主張を多くの聴き手に論理的に伝えるのである。多様性のある環境の中で論理性や表現力を磨くことが目的。

歴史学の授業では「座学」より、「屋外授業」

クリミア戦争で活躍した看護師ナイチンゲールを教材に取り上げるときに、ロンドン市内のセント・トーマス病院の中にある「ナイチンゲール博物館」へ見学にいく。

音楽を学問として扱う学習

楽器を学び、音楽を学問として学ぶ。

トランペット、フルート、ヴィオラ、ギター、パーカッションなど多種多様な楽器のレッスンがある。どの生徒も必ず一つは楽器をマスターできるように課外授業が組まれている。

学校でのカリキュラムの他に地区からも音楽の教師が派遣される。リーズナブルに個人レッスンが受講できる。

イギリスにおける「全国共通能力試験」

GCSE(中等教育修了一般資格試験)は16歳で受験する。

GCSEの試験結果は大学受験にも影響する。試験の選択科目の中には音楽や演劇がある。音楽の試験には、作曲技法や音楽史の問題があり、高度かつ学術的な理解が求められる。GCSEに対応する基礎知識や能力を身に着けるために、初等教育から音楽を学ぶ環境が整備されている。


2021年3月17日水曜日

「サイオプス」とは何か?

 「武力」としての情報戦略

Psychological Operations」(=PSYOP)心理作戦。「サイオプス」と呼ばれる。

Psychological Warfare」心理戦争。「サイオプス」とは別の意味になる。

 軍事的威圧をかけることなく、心理戦をしかけて他国の世論を自国の都合のいい方向に誘導し、自国の利益を確保する。

 「サイオプス」は軍事技術として発展してきた純粋な「武力」である。本来ならば、戦争相手もしくは敵国への巧妙な攻撃手段なのである。しかし「サイオプス」は、あからさまな武力にみえない、みせないようにカムフラージュしているものである。

 同盟国だけでなく、自国民にも平然としかけられるものとなっている。

 現在、私たちの世界は銃弾こそ飛び交わさなくても、流言飛語やデマゴーグ、プロパガンダが飛び交う「情報戦争」の真っただ中にある。そこで最強の兵器となっているのが、アメリカの「サイオプス」システムなのである。

 

サイオプスを構成する「3つの戦略」

  サイオプスは、情報操作に関するあらゆるチャンネルをシステム統合した総体という説明がわかりやすい。


 カテゴリー① 情報戦(Information Warfare

歴史的な戦争において使用されてきた最もオーソドックスな画概念。

敵に対して戦場においてはこちらの戦力や作戦の漏洩を防ぐとともに、まちがった情報を与えて相手を混乱させる。

(攻勢対情報)相手にしかけるもの。

(防勢対情報)相手がしかけてきた情報戦を防ぐ。

戦争や戦場に限定された作戦が情報戦となる。

カテゴリー② 「国家心理戦」

敵国には敵国民の戦意を挫き、反政府の世論をを喚起する。逆に自国民には戦意を高めて政府を支持するように世論を換気する。さらに周辺国や中立国、友好国への働きかけや国際世論の喚起もこの「国家心理戦」のカテゴリーに入ってくる。

国家心理戦は、戦時に限定されない。むしろ平時において活用するものである。国家政策をより有効化することが目的であり、政治的、経済的、軍事的、外交的などあらゆる方面で国家の利害の最大化を目指すのである。

カテゴリー③ 「軍事心理戦」

軍と国家が共同で行うものである。軍事活動において最も効果的な心理作戦は、「自軍のイメージアップ」&「敵軍のイメージダウン」にある。「正義」と「悪」の対立構造を作り、相手国を占領した場合も「占領軍」ではなく悪辣な独裁者から国民を救った「解放軍」というイメージを周囲に植え付ける。そうなると自軍の士気は高まり、相手の戦意は下がり、なおかつ戦争後も相手国の国民の管理もしやすくなる。

一例として2007年に陸上自衛隊がイラクのサマワに部隊を派遣した際に、現地での活動をスムーズに行うために実行した作戦があげられる。

イスラム圏では通常男性は濃いヒゲを生やす。そこで自衛隊の隊長は、故意にヒゲをのばした。さらに陸自の車両に現地で人気のあった日本のアニメである『キャプテン翼』のイラストを描いていた。

軍が主体となった情報操作を「情報戦」と呼び、国家が主体となった情報操作が「サイオプス」となる。軍もまた国家の構成要素の一つである以上、サイオプスの方が上位概念となっているわけである。

サイオプスの母胎は、民事作戦(Information Superiority)、民間に対する作戦である。

軍隊に対する情報戦、民間に対する情報戦

サイオプスは軍事技術として発展してきた。その母胎が「情報戦」である。軍事における情報戦は大きくわけて二つに大別できる。

・敵の軍隊に対する作戦

 有事の際は、直接的な「攻撃」が行われる。

①フェイクニュースやプロパガンダの流布。

②指揮統制中枢、情報発信源の物理的な破壊行為。

③敵国の重要インフラに対するサイバー攻撃。

 マルウェアの活用、不正なハッキング、ハッキングによるデータやソフトウェアの破壊行為。

④情報機器の破壊などの電子戦。(電磁パルス攻撃)

⑤心理戦

⑥軍事的欺瞞

・民間に対する作戦(民事作戦・Cvil Affair Oparations)

こちらがサイオプスの母胎となっている。

情報戦とは、「攻撃情報優勢」(Information Superiority)の確保、つまり相手には重要な情報を与えず、味方は相手の重要な情報を奪うことにある。

そのため戦争をしていない時でも偵察衛星、偵察機、偵察艦などを使って敵の基地を調べたり、自軍の情報が漏れないように基地に偽装工作を施したりという活動は常時行われている。

中心的なオペレーションは軍事心理戦。作戦エリアにおいて地元住民と友好的な関係を築くための作戦。敵が活動するエリアでは逆に地元住民と対立するように仕向けるわけである。地元住民と友好関係を築くには、部隊行動以上に本国からの支援、具体的に経済援助などが重要になり、「国家心理戦」と重なってくる。

国家心理戦

国家機関を総動員して民間企業に協力させながら以下のような作戦を行う。

①政治宣伝 ~プロパガンダ工作

②軍事宣伝 ~戦意作戦(MO・Morale Operation)と呼ぶ宣伝と敵に降伏、逃亡、対上官犯罪などの利敵行為をさせる宣伝の2種類がある。

③教育 ~団結を阻害して士気を減退させるような、味方にとって有害なステレオタイプを解消することや、利敵行為を防止するための精神教育なども行う。

④検閲 ~政府の情報機関などによって新聞などの出版物や放送、映像、郵便などにおける表現や内容に対して強制的に関与する。

⑤宣伝外交(Propaganda diplomacy) ~政府当局による国際世論の誘導、広報外交(Public diplomacy)。文化、教育、科学、技術、芸術、スポーツ、観光、親善などの分野における活動として行われる。

⑥テロリズム(Terrorism) ~政府、国民世論、国際世論において継続的な恐怖によって誘導すること。破壊工作、暗殺、爆破、狙撃、放火、誘拐、虐殺、襲撃、宣伝などがあげられる。

諜報機関は、国家心理戦を計画、立案のための情報を提出することが任務といっていい。国家心理戦の実務を担うのは、ごく一般的な公務員であり、政治家であり、ビジネスマンなのである。

直接的な軍事作戦よりも民事作戦の方が次第に重要度が増してきた。民事作戦を機能させていくには、国家心理戦で活動中のあらゆる国家機関や企業との協力関係が不可欠であり、そのためには、軍の組織をいったん改組改変して組みなおす必要性が出てきた。


動画

心理戦で負けないメンタルの作り方

好きな女性を好きにさせる方法 心理作戦
米軍の対北心理作戦が続行されている 西岡力






マイターアタックとは何か?

 MITRE ATT&CK」が分析したサイバー攻撃の類型

ESET/マルウェア情報局(キヤノンマーケティングジャパン)

2021/03/16 14:00「MITRE ATT&CK」が分析したサイバー攻撃の類型 (msn.com)

 本記事はキヤノンマーケティングジャパンが提供する「マルウェア情報局」に掲載された「MITRE ATT&CKから見えてくるサイバー攻撃の類型」を再編集したものです。







© アスキー 提供

 近年、セキュリティ業界で「MITRE ATT&CK」という言葉をしばしば耳にするようになった。MITRE ATT&CKとは、米国MITRE社が運営しているセキュリティに関するフレームワーク・ナレッジベースのことである。この記事では、そのMITRE ATT&CKの概要と、重要なポイントである「サイバー攻撃の体系化・類型化」に着目して解説する。


 MITREとは

  MITRE(マイター)は1958年に設立。米国の連邦政府による資金提供のもと、運営される非営利組織である。MITRE社は、RDセンターと官民のパートナーシップを通じた「世界をより安全にするための問題解決」が使命であり、NSECNational Security Engineering Center)や、FFRDCsFederally Funded Research and Development Centers)などの傘下組織で構成されている。

 MITRE社が対象にする分野は人工知能、直感的なデータサイエンス、量子情報科学、医療情報学、宇宙安全保障、政策と経済、信頼できる自律性、サイバー脅威の共有、サイバー回復力など幅広く、さまざまな分野で革新的なアイデアを生み出している。

 特に、サイバーセキュリティの分野では、世界中の脆弱性情報に対して番号を付けるCVECommon Vulnerabilities and Exposures:共通脆弱性識別子) の運用で知られており、サイバーセキュリティ分野における貢献は大きい。

 

MITRE ATT&CKとは

  MITRE社が運用する「MITER ATT&CK(マイターアタック)」とは、攻撃者の攻撃手法や戦術を分析して作成された、MITERが開発するセキュリティのフレームワーク・ナレッジベースである。

 ATT&CKは「Adversarial Tactics, Techniques, and Common Knowledge」の略であり、直訳すると「敵対的な(脅威における)戦術とテクニック、および(セキュリティの)一般常識」となる。

 戦術については「エンタープライズ向け」と「モバイル向け」で分類されている。モバイル向けというのは、主にスマートフォンを対象とする攻撃である。

 

・エンタープライズ向け

             エンタープライズ向け戦術の名称と概要

 

・モバイル向け

               モバイル向け戦術の名称と概要

 

 MITRE ATT&CKには、戦術ごとの個別の攻撃の技術・手法に対する実際の実例、緩和策、検知方法、セキュリティベンダーやホワイトハッカーの調査報告へのリンクなどが掲載されている。すなわち、「サイバー攻撃の戦術やテクニックなどを攻撃のライフサイクル別に整理・体系化し、フレームワークとして定義したもの」がMITRE ATT&CKであり、その知見を集約したナレッジベースでもある。

 MITRE ATT&CK20139月から公開されており、不定期もしくは四半期に一度、最新の脅威情報が追加されている。

 

MITRE ATT&CKが注目される理由

  MITRE ATT&CKのフレームワークは、多くのセキュリティ製品で採用が進んでいる。2018年後半から急速に普及が進んだ理由は、このフレームワークの革新性が大きい。

 MITRE ATTCKの登場以前は、こうした共通的なフレームワークが存在しておらず、例えば、ペネトレーションテスト(システムに対して、様々な技術を駆使して侵入を試みることで、システムにセキュリティ上の脆弱性が存在するかどうかをテストする手法)を実施する際も、現場の担当者の個人的な知見をもとに、テストが実施されていた。そのため、担当者の経験やスキルによって、テストの効果が変わってしまうこともあった。しかし、MITRE ATT&CKのフレームワークを利用することで、担当者の見識に依存しないテストが実施可能となる。

 システム侵入の実現性を検証するペネトレーションテストとは?【前編】

 https://eset-info.canon-its.jp/malware_info/special/detail/200915.html

 また、MITRE ATT&CKの特徴として、攻撃成立後(Post Exploit)の段階にも着目している点が挙げられる。近年、サイバー攻撃が巧妙化している状況を受け、攻撃を防ぎ、予防する対策に加え、一定の攻撃を受けることを前提に、受けた後の被害を最小限に留めるという考え方が主流になってきている。つまり、従来よりもセキュリティ対策の範囲が拡大してきているわけだが、こうした状況もATT&CKの注目度を上げる要因の一つとなっている。


MITRE ATT&CKの考え方

  MITRE ATT&CKは「Tactics」、「Techniques」、「Group」、「Software」という4つの要素で構成されている。

 ・Tactics

 サイバー攻撃における戦術のことであり、使われた技術によって目指すゴール(目的)でもある。例えば、「Credential Access(認証情報へのアクセス)」がそれに該当する。

 ・Techniques

 サイバー攻撃に使われる技術(戦法)である。例えば、「Credential Dumping(認証情報のダンプ)が該当する。

 

 ・Group

 攻撃者あるいは攻撃グループのことである。例えば、「APT28」が該当する。

 ・Software

 サイバー攻撃に使われる攻撃ツールである。例えば、「Mimikatz」が該当する。

  これら4つの要素をマトリックス形式で整理したものが「Matrices」である。Matricesはエンタープライズとモバイルに大別され、さらにエンタープライズは「プレ」、「Windows」、「Mac OS」、「Linux」、「クラウド」、「ネットワーク」に分類される。モバイルはOS別に「Android」、「iOS」に分類されている。また、エンタープライズの「クラウド」はAWSAzureなど主要ベンダーごとに分かれている。

 Matricesにより、サイバー攻撃の体系化・類型化が可能になるが、それをより見やすく可視化するためのツールとして「MITRE ATT&CK Navigator」が用意されている。MITRE ATT&CK Navigatorを使うことで、速やかに戦術ごとのテクニックなどを参照し、可視化できる。

 MITRE ATT&CKをセキュリティ対策に活用する際、MITRE ATT&CK Navigatorは強力な助けとなるだろう。

 

MITRE ATT&CKを活用し、セキュリティ対策を強化

  MITRE ATT&CKは通常、四半期に一度アップデートされるため、定期的に確認することでほぼ最新のサイバー攻撃のトレンドとその対処方法を参照することができる。

 また、ペネトレーションテストなどのセキュリティ対策を評価する際に用いることで、既存のセキュリティ対策と現実の攻撃手法とのギャップを浮かび上がらせることも可能だ。導入検討中のセキュリティ対策ソリューションについて、リスクに対するギャップ分析にも活用できる。

 高度化するサイバー攻撃に対する防御を固めていく際に、各種対策の優先順位を決定することは重要なポイントとなる。その優先順位を決めるための手段として、今回紹介したMITRE ATT&CKを活用することで、強固なセキュリティ対策の確立に大きく寄与することが期待される。

 

関連サイト

動画
暗号化とは何をしているのでしょうか? マルウェア情報局




2021年2月20日土曜日

福岡ソフトバンクホークスの情報戦略 ~プロ野球でのデータ解析~

  令和に入ってからの日本シリーズにおいてセントラルリーグの読売ジャイアンツ相手に4連勝を二度、2年連続ストレートで日本一を達成している目下のところ最強球団の福岡ソフトバンクホークス。工藤公康監督の采配もさることながら、それだけではこの快挙は成し遂げられないことでしょう。観戦していて、特に思うのは、先発投手の調子が芳しくなくても打線がワンチャンスを逃さずに効果的に攻撃し、得点をあげて逃げ切る、対戦チームのことが深く分析していないとなかなか難しい試合運びをしているな、と思いました。

 プロ野球のレベルも日進月歩ですが、現代的な野球の在り方を実践しているホークスの強さの源はこれんだな、という記事をみつけました。

 その根本にあるのは、やはりデータの収集と分析。そのクオリティがどれだけの正確性に裏付けられているかですね。昨今あらゆる競技でデータ収集と解析の重要性がいわれますが、プロ野球も例外ではなかったということです。

 これは采配の妙とあわせて観戦する側も、どっちのチームが勝った負けたではなく、野球のもつ知的なかけひき、インテリジェンスの妙なども楽しめるようにグレードアップしていかないとなりませんな。人生の戦略、仕事の進め方にも参考になるかもしれません。

記事

最強ソフトバンクにある「研究開発」部門って何だ?

その仕事内容は

西日本スポーツ

2021/02/19 12:09最強ソフトバンクにある「研究開発」部門って何だ? その仕事内容は (msn.com)

キドコロ研究開発中?

担当スタッフは「城所氏」球団OB城所龍磨氏と意外な縁も

5年連続日本一を目指す福岡ソフトバンクの宮崎春季キャンプは実戦段階に入った。ポジション争いが本格化する一方で「RD担当」が奮闘している。RDとはリサーチ&ディベロップメントで、研究開発のこと。メーカーやITを中心に多くの分野に広がりつつあるが、プロ野球チームでは? 今キャンプで行われている「RD」の取り組みとは。実態に迫った。(取材・構成=森 淳)

◇ ◇ ◇

RD」には今キャンプ第3クールから各日数人ずつが参加している。室内練習場の一角。野手が手にしたバットのグリップには「ブラストモーション」と呼ばれるスイングの速度や軌道を測る機器が装着されている。上半身の拘束具のような「Kベスト」は、動作の連動性や効率を測る。別の日には投手がセンサーを装着してブルペン投球。モーションキャプチャ「オプティトラック」で動作を解析する。フィードバックは後日、ビデオ会議アプリなどを使って行われる。

これらの取り組みを任されているのが城所収二RD担当(35)だ。元高校球児でスポーツ科学博士。バットとボールの衝突運動を研究してきた。球団に入る前は国立スポーツ科学センターで主に卓球を担当。バイオメカニクスの先端を担ってきた。球団OBで元外野手の城所龍磨氏(現球団職員)と親戚関係はないが「出身が隣の街、同学年ですし私は存じていました。入団当初、名字で知ってもらいやすかった」と笑う。

RD担当は昨年、球団のチーム戦略室に置かれた。契機は2019年の秋キャンプ。米大リーグの選手らが利用し、日本でも浸透しつつあった米トレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」のスタッフを招き、選手の動作解析を行った。

首脳陣や選手の反応も踏まえ、導入にあたって球団は考えた。チーム戦略室の須山晃次室長(43)は「彼らとの提携も一つだが、球団内で人材を抱えてやれるのでは?という発想になった。バイオメカニクス、データサイエンスなどを研究し、活動している人をリクルートした」と言う。

測定機器や分析システムが増え、採れるデータも増えたが、的確に読み取り、活用できなければ効果は乏しい。選手や首脳陣に、どんなデータを提供するか。昨年、福岡県筑後市のファーム施設で始動した城所担当も「かなり考えました。イメージできるものに重きを置きました」と言う。

専門的な数値なら、身近な数字に置き換える必要がある。必要に応じてグラフなどビジュアル化した。その仕事は発掘や翻訳のようでもある。データにハイスピードカメラの映像も組み合わせ、見た目に分かりやすくもした。最初の12カ月はフィードバックする中身の吟味に費やした。

スタッフは今年1人増えて2人になったが、それでもフィードバックに数週間が必要。時短が課題で、お家芸の人工知能(AI)活用も今後のテーマだ。また、測定はあくまでも練習のみ。選手に機器を着けて試合に出てもらうわけにもいかないが、近年は映像を使ってAIで動作解析する技術も発達してきた。城所氏も「近い将来(機器を装着しての測定と)精度の遜色ないAIアルゴリズム(計算手法)が出てくるのでは」と注視を続ける。

引き続き筑後を活動のベースに、今年は選手を定期的に測定する。並行してペイペイドームでの計測環境も整備。新たな機器の導入も検討中だ。須山室長によると、動作解析のほか選手の育成方針、コンディショニングなど、さまざまな情報を体系化してデータベースにするアイデアもある。城島球団会長付特別アドバイザーは選手育成の「マニュアル化」を提唱したが、共通するような考えだ。

新たな取り組みに理解があり、特にIT関連を奨励する球団の土壌もある。楽天やDeNAなど他球団も力を入れている分野だが、城所氏は「ホークスでやっていることが他球団に波及していくぐらい先頭を切っていかないと。そう思って日々取り組んでいます」と力を込めた。


須山晃次(すやま・こうじ)1977516日生まれ。浜松市出身。浜松北高から早大、ローソン野球部を経て米インディアナ大の大学院でスポーツマネジメント専攻。米大リーグ・ジャイアンツ傘下1Aでのインターンやマネジメント会社、データ分析・配信会社を経て、2019年にソフトバンク球団入り。

城所収二(きどころ・しゅうじ)19851220日生まれ。愛知県新城市出身。新城東高から中京大に進んでバイオメカニクスを学び、早大大学院でスポーツ科学博士に。国立スポーツ科学センターを経て、20201月からソフトバンク球団RD担当。

動画



打倒ソフトバンクホークスの鍵は、やはりホークスの弱点を洗い出し、解析して戦略を構築していくことに限るかな。