2016年6月21日火曜日

【共産中国の軍事的脅威にどう対処するのか?】民主主義・自由平等の価値観を共有できる同盟関係で覇権主義を抑止する

 相次ぐ共産中国による我が国接続水域、領海への侵入行為が目立ちます。接続水域は領海ではありませんので、自由航行の原則から無害通航は国際法に反することはありませんが、相手が共産中国という我が国への領土的な野心をみせている国家となると外交的な抗議も含めて、「抑止」「防衛」の政策を見直し、検討し、非常有事に備えておくことは重要なことです。

 実弾がとびかうような紛争や我が国が不利になるような対処をすれば、共産中国は確実にその隙をついて押し込んできて、ついには我が国自体の存立すら危うい状況になってくるのは容易にイメージできます。ですから大前提としては国際法を遵守すること、簡単に武力に訴えないこと、軍事同盟関係を固めておくことが重要になりますね。

尖閣:南の公海を中国艦が往復
毎日新聞
http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e5%b0%96%e9%96%a3%e5%8d%97%e3%81%ae%e5%85%ac%e6%b5%b7%e3%82%92%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e8%89%a6%e3%81%8c%e5%be%80%e5%be%a9/ar-AAhkIx9?ocid=spartandhp

防衛省は2016620日、中国海軍所属の情報収集艦1隻が19日午後5時ごろから20日午後2時ごろにかけ、沖縄県・尖閣諸島南の公海上を東西に複数回往復したと発表した。海上自衛隊の補給艦が確認した。情報収集艦はその後、尖閣諸島西の公海を北へ向けて航行した。外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は20日、駐日中国公使に懸念を伝えた。

 防衛省によると、この情報収集艦は昨年11月にも同じ海域を東西に反復航行。今月15日と16日には鹿児島県沖の日本領海と沖縄県・北大東島沖の接続水域も航行している。【村尾哲】

ついには「艦隊が」



中国海軍艦艇、616日に宮古島付近から太平洋に航行 P-
3Cなどが確認
配信日:2016/06/20 14:55
http://flyteam.jp/airline/japan-maritime-self-defense-force/news/article/64832

統合幕僚監部は2016616()、海上自衛隊第12護衛隊所属「あぶくま」と第5航空群所属P-3Cが、宮古島付近で中国海軍艦艇を確認したと発表しました。

中国海軍艦艇は5隻で、宮古島の北東約110キロメートルの海域を14時ごろから16時ごろにかけ、東シナ海から太平洋に向けて南東進していたものです。

この5隻はルーヤン
級ミサイル駆逐艦「153」、ジャンカイ
級フリゲート「572」、ダーラオ級潜水艦救難艦「867」、フチ級補給艦「966」、アンウェイ級病院船「866」でした。

〈宮古島近海を通航した共産中国艦艇〉
ルーヤン級ミサイル駆逐艦「153
ジャンカイ級フリゲート「572
ダーラオ級潜水艦救難艦「867」
フチ級補給艦「966」
アンウェイ級病院船「866」

これら一連の共産中国艦艇による我が国への領海接近にはきっかけとなった軍事演習があります。

日米同盟+インド(核兵器保有国)

マラバール2016に参加するCVN-74F/A-18E-2C
配信日:2016/06/19 21:25
http://flyteam.jp/airline/japan-maritime-self-defense-force/news/article/64801

VFA-14トップハッターズのF/A-18Eスーパーホーネット

中国海軍ドンディアオ級情報収集艦の領海侵入で注目されている日米印共同訓練「マラバール2016」ですが、この様子をアメリカ太平洋軍が画像で紹介しています。

マラバールにはインド海軍の補給艦「サクティ(INS Shakti, A57)」、ミサイル・コルベット「キルヒ(INS Kirch, P62)」、フリゲート艦「サヒャディ(Sahyadri, F49)と「サトプラ(Satpura, F48)」、海上自衛隊から護衛艦「ひゅうが(DDH-181)」、アメリカ海軍からミサイル巡洋艦「モービル・ベイ(CG-53)」、空母USSジョンC.ステニス(CVN-74)も参加しています。

演習には海上自衛隊から救難飛行艇US-2、哨戒機P-3C、哨戒機P-1が参加しているほか、アメリカ海軍はCVN-74を旗艦とする空母打撃群(JCSSG)CVW-9所属飛行隊が加わっています。また、インド海軍も各艦艇にヘリコプターなどを搭載しています。

アメリカ太平洋軍が紹介している画像は、CVN-74に着艦する第14戦闘攻撃飛行隊(VFA-14)トップハッターズのF/A-18Eスーパーホーネット、第112早期警戒飛行隊(VAW-112)ゴールデンホークスのE-2Cの様子を公開しています。

集団的自衛権の行使一部容認という方針変更でつかんだ日印同盟

日本、米印海上共同訓練「マラバール」の正式参加国に 印外相表明

【ニューデリー=岩田智雄】インドのスワラジ外相は2016619日、ニューデリーで記者会見し、米印海上共同訓練「マラバール」への日本の正式参加についての産経新聞の質問に対し「米印両国はすでに日本が正式参加国となることを決めた」と述べ、インド政府として初めて、来年インド側で開かれる予定のマラバールには、日本が正式なメンバー国となると表明した。
 マラバールについては、昨年の日印首脳会談で、日本が恒常的に参加することで両国が合意したものの、モディ印首相は日本を「定期的なパートナー」と呼び、正式参加国になったとの認識は示していなかった。今年のマラバールは今月、日本近海で行われた。
 一方、中国が軍事拠点化を進める南シナ海問題についての産経新聞の質問に対し「関係国によって平和的に解決されるべきだが、できなければ、国際的な制度がある。どの国も国連海洋法条約に訴えることができる」と述べ、フィリピンによる常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)への提訴を支持した。
 中国は、南シナ海問題は当事国同士で解決すべきだと主張し、仲裁裁判所の判断を拒否する立場を表明している。

アメリカ海軍は2個空母打撃群による大規模な軍事演習、超大国アメリカの軍事力の誇示、誰に?もちろん共産中国

J.C.ステニスとレーガン空母打撃群、フィリピン海で訓練
を実施
配信日:2016/06/19 22:10
http://flyteam.jp/airline/united-states-navy/news/article/64804
CVN-74CVN-76の空母打撃群がフィリピン海を航行

アメリカ太平洋軍は2016618()、フィリピン海で空母USSジョンC.ステニス(CVN-74)と第9空母航空団(CVW-9)、ロナルド・レーガン(CVN-76)と第5空母航空団(CVW-5)による訓練を実施したと発表しています。訓練の前日、617()付けで発表しています。

国際海域でアメリカ海軍の空母2隻とその空母航空団の航空機が近接して任務を行う能力を、訓練を通じて確認しています。空母航空団は防空訓練、海上監視活動、補給訓練、空中戦闘訓練、長距離爆撃、共同作戦などの各種演習を行います。

なお、第3空母打撃群(CSG-3)CVN-74と、モービル・ベイ(CG-53)、第21駆逐戦隊(DESRON-21)、ストックデール(DDG-106)、チャン・フー(DDG-93)、ウィリアム・P・ローレンス(DDG-110)CVW-9、第5空母打撃群(CSG-5)CVN-76とシャイロー(CG-67)、チャンセラーズビル(CG-62)、第15駆逐戦隊(DESRON-15)、カーティス・ウィルバー(DDG-54)、マッキャンベル(DDG-85)、ベンフォールド(DDG-65)CVW-5で構成しています。


共産中国の艦船の領海接近についての我が国の対応は「抗議」という形で示されていますが、以下のように勇ましいスタンスの主張もあります。
 
中国海軍に対する日本政府の抗議は筋違いだ 「抗議」ではなく「仕返し」をする必要がある
東洋経済オンライン 文谷数重
© 東洋経済オンライン 69日に尖閣諸島の接続水域を通過したジャンカイI級フリゲート艦(出所:WIKIMEDIA

 東シナ海における中国海軍の行動が話題になっている。201669日、中国軍艦が尖閣諸島の接続水域を通過し、2016615日には沖永良部島の領海部を通過した件だ。
 これに対し日本政府は即座に抗議した。その内容は「日中間の緊張行為を高める」といったもの。日中は領土争いを抱えており、安全保障の分野では対立している。この状況で中国海軍の行動は挑発であるとするものだ。
 だが、日本の立場からすれば抗議をするべきではなかった。事件の本質は尖閣を巡る一種のゲームにおけるルール違反である。それであれば、中国が以降のルール違反を躊躇する対応、つまり「抗議」ではなく「仕返し」をするべきであった。
 こう書くと過激に感じるかもしれないが、決してそうではない。「抗議をしたことの問題点」と「仕返しを行うことの利点」を順を追って説明していこう。
 まず承知すべきは、今回の中国軍艦の行動は完全に合法である、ということだ。9日に中国軍艦が通過した尖閣接続水域は、どこの国の船舶でも自由に航行し、あるいは漂泊もできる。軍艦であれば軍事的な陣形を組み、航空機を発着し、潜水するといった軍事行動も自由である。
 接続水域の性質は、ほぼ公海だ。日本は自国との出入国、関税、環境汚染対策といった権利があるものの、それ以外はなにも主張できない。つまり、日本は中国軍艦の行動に何も言えない。尖閣諸島が日本の領土であったとしても、日本は中国軍艦の今回の通過を「接続水域である」ことを理由に文句は言う資格はないのだ。
 15日の沖永良部島の領海通過も完全に合法である。報道されているように今回の通過は「無害通航」である。これは領海であっても沿岸国に不利益を与えず、遅滞なく通過するかぎり自由に航行できる、というもの。日本は領海における無害通航を世界中の商船・軍艦に認めている。
 さらに通航をする際の事前許可や事前通報も不要としている。ある意味で日本の領海内における航行は完全に自由なのだ。今回、中国は従前から認められている権利を行使しただけであり、それに抗議するのは筋違いである。
 今回の抗議の論拠は、日本の海洋法に対するスタンスともまったく合致していない。
 日本の立場は、「海を自由に使いたい」というもの。海洋国であり、海上輸送や航空輸送から大きな恩恵を受けている。このため航海の自由や上空通過の自由を広く認め、他国にもそれを求める態度を取ってきた。
 例えば、中国が進めている国際法独自解釈への反対がそれだ。最近では、東シナ海に中国が設定した防空識別圏について反対の意思を明確にした。中国は領空の外まで管轄権を主張したが「上空通過の自由が侵害される」と抗議をし、自国の民間航空会社にもその要求を無視することを求めた。
 今回の抗議はこの時の立場に反している。日本は中国軍艦の接続水域通過や領海の無害通航を問題視したわけだが、これは従来の主張である「接続水域での活動は沿岸国からの制約は受けない」や「無害通航には許可や事前通報は不要」といった主張とは相いれないものだ。
 従来のスタンス、航海の自由や上空通過の権利を重視し、中国の国際法の独自解釈に対抗してきたことからすれば、今回の抗議は筋が通らない。その意味で論外ともいえる抗議なのである。
 なによりもおかしな点は、事件の本質と対応がズレていること。今回の事件は接続水域や領海の通過そのものが問題なのではない。にもかかわらず、そのことに抗議した点が対応としてピント外れだ。
 冒頭にも記したが、日本として看過できないのは「尖閣ゲーム」のルールに中国が違反した点である。
 尖閣問題では日中間に暗黙のルールがある。これは相互に無駄なエスカレーションを防止するといったものだ。「現地での対立には軍艦を使わずに巡視船を使う」や「政府は互いに国民感情を刺激することはしない」がそれにあたる。
 だが、中国は今回、安定していたゲームを不安定化させる行為に出た。本来は無駄な緊張を避けるべき尖閣諸島付近に軍艦を送り、それで日本の国民感情を刺激した。そしてそれが沈静化しないうち、さらに不必要な無害通行を行い再び日本の国民感情を刺激した。
 これは日中関係を危くする行為だ。仮に日本の国民感情が爆発した場合、日本政府も強硬態度に出ざるを得なくなる。そうなれば、中国の国民感情も沸騰し、中国政府も強硬態度にでざるを得なくなる。このような負のスパイラルに落ち込んでしまいかねない。
 事態が収拾不能となると、互いに損するだけの応酬が続く。これは2010年の漁船船長起訴や、2013年の尖閣国有化での失敗を思い起こせばよい。尖閣での対立が日中の安全保障関係を悪化させるだけではなく、経済や相互の自国民・財産保護を損なう事態となる。
 この点からすれば、日本は中国にルール違反を繰り返させないような対応を行う必要があった。「そんなことをすれば中国も損をしますよ」といったことが伝わるような仕返しである。しかし日本はそうせず、従来認めていた接続水域や領海の通過についてまで咎め立てるといった的外れな対応をとってしまった。
 では、どうすればよかったのか。
 中国が尖閣での暗黙のルールを破ったのであれば、日本は別の場所で中国に損をさせればよかった。それにより尖閣でのエスカレーションを防止しつつ、中国にルール違反を躊躇させることができる。
 仕返しの具体例としては、南沙人工島の12マイル以内の通過を挙げられる。中国が尖閣付近、目安としての接続水域に軍艦を一回入れるたび、日本も機械的に護衛艦を一隻通すといったものだ。こうすれば中国は尖閣付近での行動には慎重になる。事実上無価値の尖閣での実効支配積み上げを行うと、現実に支配が進んでいる南シナ海の領土主張で切り崩しを受ける。それを避けるために慎重になるだろう。
 なお、人工島12マイル以内の通過は深刻な問題を引き起こさない。日本の立場は南沙人工島には領海は発生しないといったものだが、そこは説明不要だ。「国際法上なんら問題はない」とだけ言えばよい。中国は日本の行為については「無害通航の範囲を超える」といった言い方で不満を述べるかもしれないが、通過自体を問題視することはできないのである。
 こうした日本の行動に対し、中国がさほど強硬な妨害をすることはない。南シナ海の現況では、そうすれば中国が不利になるためだ。異常接近の嫌がらせや体当たり程度はする。だが、そこから先はない。もし日本の護衛艦を沈めることになれば、中国は完全な悪者となってしまう。東シナ海防空識別圏設定での前例もある。中国は飛行計画を通知しなければ撃墜を含む措置をとると宣言した。だが、実際にそれをしなかった日本を含む外国民間機に対して何もしていない。中国としても国際社会の反応や国際法との整合性を取らなければならないのである。
 今後も同じような事態が起こることが予想される。その際、日本は中国への抗議のために営々とはぐくんできた海洋利用自由の原則を歪めるべきではない。繰り返しになるが、正々堂々と「仕返し」することを考えるべきだ。

台湾国防軍は健在なり! ~外国頼みでない自主防衛への決断~

台湾国防軍



台湾はアメリカから必要な軍事支援を受けられる「同盟国」ですね。その根拠となる法規が「台湾関係法」ですが、アメリカが政治的に共産中国を刺激することをためらって最新兵器の台湾への供与に消極的になっていました。そこにオバマ政権の2期めに入り変化の兆しが現れました。


ステップ①アメリカからの軍事支援を引き出す
中国がアメリカ呼びつけ猛抗議
オバマ政権、4年ぶり武器供与・台湾に軍艦売却を米議会に通告

 オバマ米政権は2015516日、台湾に対しミサイルフリゲート艦2隻など総額18億3千万ドル(約2228億円)相当の武器を売却する方針を決定、議会に通告した。台湾への武器供与決定は2011年9月以来、約4年ぶり。台湾との安全保障協力を進め、東シナ海や南シナ海で海洋進出に力を入れる中国をけん制する狙いがある。中国の鄭沢光外務次官は16日、在中国米大使館の臨時大使を呼び出し、武器売却に対して「厳正な申し入れ」を行い抗議し、武器売却企業を含めて米側に制裁を実施すると表明した。

 アーネスト大統領報道官は16日の記者会見で、武器売却は台湾への防衛支援を義務付けた米国内法「台湾関係法」に基づくものだとした上で、「一つの中国」政策を維持する米政府の姿勢に「変わりはない」と述べた。売却を決めたのは、高速で機動性があるフリゲート艦のほか、水陸両用車や携帯型地対空ミサイル「スティンガー」など。実際の売却には議会の承認が必要となる。(共同)

《維新嵐》 背景までは具体的に書いていませんが、アメリカ・オバマ政権による台湾への軍事支援は明らかに共産中国による南シナ海への覇権拡大に呼応したものでしょう。しかしこれだけでは、台湾の防衛に必要な軍事力を得られないということがあるようです。明けて2016年についに独自防衛力の強化に乗り出しています。

ステップ②シギントの強化
台湾、陸海空軍に並ぶ「第4軍種」「サイバー軍」創設か

台湾の馮世寛国防部長(国防相に相当)は2016526日、立法院(国会)での質疑で、新たにサイバー戦に従事する部隊を創設する意向を表明した。規模や名称は不明だが、陸海空軍に並ぶ「第4軍種」にするとしている。中央通信社が伝えた。台湾の交通部(交通省)は11日、立法院で、中国からのサイバー攻撃が「戦争に準じる程度」まで深刻化していると報告している。(台北 田中靖人)

《維新嵐》 いわゆる「情報は最大の武器」ですから、サイバー戦部隊の創設とともに台湾のシギントによる戦略のレベルを一段あげようという狙いかと推測します。我が国のサイバー防衛隊のように自国軍におけるシステム防護という意味ではなく、民間企業のネットインフラの防護も含めた意味での充実強化が狙い。でないと国防軍格にしていく意味がありません。我が国のサイバー防衛隊は自衛隊内のシステムを守ることが任務であり、あくまで「専守防衛」が原則ですが、これでは文字通り生き馬の目をぬくようなサイバー(情報)戦争においては話になりません。


ステップ③海軍力の強化
【台湾海軍、主要艦艇を自主建造へ】中国配慮の欧米から調達見込めず舵切る

【台北=田中靖人】台湾海軍は2016620日、主力艦を含む艦艇を順次、自主建造に切り替える方針を発表した。2018~30年で、4700億台湾元(約1兆5千億円)を投じる。保有艦艇の老朽化が進む中、中国に配慮する欧米から新造艦の調達が見込めず、自主建造にかじを切った。ただ、搭載する武器やレーダーなどまで自主開発品とするかは「検討中」(海軍高官)で、課題は山積している。
 海軍は20日、9月に造船業界が開く展示会の説明会で計画を公表。次世代の「主力艦」やミサイルフリゲート艦、潜水艦、ドック型輸送揚陸艦、潜水艦救難艦など計12種の大まかな性能要求を示した。これまでも自主建造の方針は掲げてきたが、具体的な艦種や予算規模を示すのは初めて。


また、立法院(国会に相当)での質疑では、ドック型輸送揚陸艦と高速機雷敷設艇の開発に加え、就役済みの自主開発コルベット艦「沱江」級の量産を優先する方針を表明した。海軍高官によると、現有する駆逐艦とフリゲート艦計26隻も順次更新し、防空能力の高いイージス艦の導入も目指す。20日付の自由時報は、6千~8千トンのイージス艦4~6隻を建造し、キッド級駆逐艦と交代させると報じた。実現すれば、アジア太平洋地域の海軍力の均衡に変化が生じる可能性がある。
 背景には、「一つの中国」原則を掲げる中国の圧力で、海外からの調達が難しいことがある。近代化が急速に進む中国海軍に対し、台湾は米海軍の中古品の払い下げが中心。主要戦闘艦では米海軍で現役の艦種はなく、大型の新造艦は1990年代にフランスから購入したラファイエット級フリゲート艦が最後になる。だが、同艦購入をめぐっては大規模な汚職事件が発生、中国に機密情報が漏れたとの指摘もある。潜水艦4隻のうち2隻は、第二次世界大戦直後に就役した“骨董(こっとう)品”で、米国からの潜水艦調達計画は約15年間にわたり実現していない。


一方で、国防部(国防省)所属の研究開発機関「中山科学研究院」が対艦ミサイル「雄風」など一部の新鋭兵器の開発に成功。昨年にはステルス設計の「沱江」級も就役させており、軍艦の設計、建造に自信を深めたことも計画を後押ししているとみられる。
 ただ、高性能のイージスシステムを自主開発とするか、米国から導入するかなど、詳細は検討中といい、全体像が明らかになるには、なお時間を要しそうだ。

《維新嵐》 台湾海軍がイージス艦艇を運用するとなるとアジアでは日本、韓国に次ぐ運用実績になりますね。

ステップ④台湾軍が「核兵器」を開発、配備するという可能性

トランプの中国好きが高める台湾海峡リスク
岡崎研究所 20160809日(Tuehttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/7453

米ブルッキングス研究所のオハンロン上席研究員が、201674日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙で、トランプ大統領候補のアジア政策は、台湾の核化の動きを助長するなど、台湾海峡の戦争リスクを増大すると警告しています。主要点は次の通りです。
 ドナルド・トランプはアジアからの米軍撤退を主張し、日韓は核武装をするのが最善かもしれないと示唆している。この考えは基本的に間違っている。それは日中戦争のリスクをもたらし、NPT不拡散体制を揺るがす。
iStock
台湾海峡の戦争リスク
 しかし、最大の危険は台湾海峡に戦争リスクをもたらすことである。在日米軍基地なくして、米国は中国の台湾攻撃を抑止できない。その場合、中国は、台湾への武力行使について今まで程には躊躇しなくなるだろう。
 さらに、台湾は核武装に向かうかもしれない。中国はこれまで台湾が核化すればそれを阻止するため攻撃することを明らかにしている。米国は、1979年台湾関係法により台湾防衛にコミットしている。これは、NATO条約第5条ほど明確な規定ではないが、今まで中国抑止の効果を発揮してきた。今の状況は安定的であるが微妙である。中国は、2つのこと、すなわち台湾の独立と台湾の核化の場合には武力を行使すると述べてきている。
 トランプが大統領になれば、台湾の指導者は大きなジレンマに直面する。台湾は1970年代と1980年代末期に核開発をしようとしたことがある。核の傘がなくなれば、台湾にとって核化のインセンティブは大きくなる。トランプのアジア戦略を実行すれば、米国にとって、海軍と長距離爆撃機を除き、台湾を防衛する手段がなくなる。これらの能力だけでは中国による台湾の封鎖を解除することは難しい。
 このような状況は米国にとり決して望ましいことではない。台湾を、中国に対して自らで守らねばならないような状況に追いやることは危険である。トランプのアジア政策の最悪の結末はここにある。
出典:Michael OHanlon If a President Trump Turns His Back on Taiwan (Wall Street Journal, July 4, 2016)
http://www.wsj.com/articles/if-a-president-trump-turns-his-back-on-taiwan-1467650733

上記論説は、全くの正論です。トランプ候補の政策は、中国に間違ったシグナルを送り、台湾の核化インセンティブを強めるという2つのことにより、海峡情勢をこの上なく危険にするとオハンロンは主張します。台湾の現状を動かすことは、中国に行動のキッカケを与えることになりかねません。注意深く現状を維持、強化していくことが肝要です。
 トランプの対外政策、同盟政策は非常に問題が多いです。しかし、トランプが共和党候補になったという現実は直視する必要があります。当面出来ることは、種々頭の体操をしながら、大統領選挙の行方をフォローするしかないように思われます。トランプの外交政策の問題は、国際秩序の維持に係る米国の国際的役割を全く理解せず、他の多くの国と同じような自国第一主義を取っていることです。
中国にとって好都合なトランプ
 中国は、トランプを好んでいると言われます。米国のアジアからの撤退は、中国にとっては戦略的に好都合です。場合によっては、米中間の「新たな大国関係」が築けるかもしれません。G2でアジアと世界を仕切れるかもしれません。南シナ海のような問題についても矛先が弱まると思っているかもしれません。
 過去、台湾による核開発疑惑が問題となったことがあります。その都度、米国は一貫して台湾の核化に反対の立場を取ってきました。台湾は、1971年の国連中国代表権問題の決着により、中国が国連に入った後、NPT条約の締約国ではなくなりました。しかし、台湾は、IAEAとの特別査察協定と米台原子力協定により、IAEAの査察を受けています。このような枠組みの中で台湾が核化することは実際不可能に近いことです。更に、核の問題で米国の後ろ盾を失うことは台湾にとり存亡の危機に直面することを意味するので、簡単にはそれに乗り出せないでしょう。しかし、トランプが大統領になれば、台湾で核化の声が大きく成りうることは、オハンロンが指摘する通りです。それは、海峡情勢の危険を高めます。
 米国のある国際政治学者は、核は保有する国が多ければ多いほど、国際均衡は安定すると論じましたが、それは恐怖の均衡による安定です。台湾の核化が起きれば、それは単に核不拡散の問題にとどまらず、台湾海峡の危険増大という極めて深刻な地域問題となります。

ステップ⑤防空体制の強化、「地対空ミサイル」の配備が不可欠!?

戦闘機は不要?再考迫られる台湾安全保障政策
岡崎研究所
20160523日(Monhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/6801

ランド研究所のロストンボ上席アナリストが、2016413日付Difence Newsに「台湾はその防空戦略を再考するように求められている」との論説を書き、台湾は戦闘機ではなく、地対空ミサイルに重点をおいた防空戦略をとるべきである、と論じています。論旨は次の通り。

中国から攻略されてしまった戦闘機
 台湾の防空計画者は非常に困難な問題に直面している。中国は大きな軍を保有、過去25年それを近代化してきたが、それを抑止する能力を必要とする。近代戦では、制空権はそれ自体重要であるが、地上軍、海軍による作戦を可能にするものでもある。
 台湾にとり重要な能力は中国人民解放軍の制空権を争う能力である。過去、台湾の防空の主力は戦闘機であった。これからも防空予算の大部分が戦闘機に振り向けられよう。しかし中国はこれらの戦闘機に対処する方策を見出しており、戦闘機は台湾の国防予算での高価なぜいたく品になっている。
 台湾は戦闘機に頼る防空を超えた発想をすべきである。地対空ミサイルがより大きな防空能力を提供するし、将来へのより良い投資である。
 中国は地上での台湾の航空機への脅威である。台湾の戦闘機は弾道ミサイル、巡航ミサイル、航空機の攻撃に脆弱である。中国は正確なミサイルに投資してきた。
 台湾は山に戦闘機を隠せるが、そこから持続的な作戦をすることはできない。中国はいまや飛行中の航空機を見つけ、着陸までフォローし、攻撃する能力を持つ。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6801?page=2
空中でも、90年代に使われ始めた台湾の戦闘機は数的に劣勢、質的にも中国機に劣る。台湾はF-16を新しいレーダーなどで強化しているが、中国に後れを取っている。
 台湾の戦闘機はもし人民解放軍が大規模攻撃に出た場合、大きな役割を果たせず、中国は簡単に空中優位を得るだろう。1991年の湾岸戦争は、空からの精密攻撃に対し地上軍(イラク軍)は生き残れないことを示した。中国が制空権をとれば、台湾国防軍の効果的活動は阻止されるだろう。台湾は空からの攻撃のない地域を、防衛のために必要とする。
投資すべきは戦闘機ではない
 台湾が防空を再考、再構築する必要がある。台湾の300機以上の戦闘機は予算を大規模に消費しているが、地上でも空中でも防空の主力にはならない。
 台湾はどうすればいいのか。地対空ミサイルは完全な解決策ではない。しかし戦闘機よりも残存性が高く、中国の空中優位を争える。固定目標を守れなくとも、攻撃のコストを高くできるし、台湾の他の軍種を中国の空中攻撃から守りうる。
 今後、台湾は防空のために相当な投資をするだろう。これらの投資を戦闘機よりも地対空ミサイルに向けるべきであろう。
出典:Michael J. Lostumbo, Taiwan Forced To Rethink Its Air Defense Strategy’(Defence News, April 13, 2016
http://www.defensenews.com/story/defense/commentary/2016/04/13/taiwan-forced-rethink-its-air-defense-strategy/82897760/
 この論説は、筆者を含む数人が行なったランド研究所での台湾防空戦略に関する研究報告(国防省の政策担当次官室がスポンサー)の主要結論を紹介したものです。元の研究報告書は130ページにも上るもので、台湾の防空についての諸問題を詳細に検討したうえでの結論であって、思い付きを言ったものではありません。そういうものとして受け取るべきものです。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6801?page=3
筆者は、台湾の防空または制空権については、台湾の保有する戦闘機ではできないと結論付け、地対空ミサイルを中心とした防空戦略を主とすべしと論じています。
 中台間の軍事バランスが中国有利になっていること、空軍についても量・質の面で中国が台湾を圧倒していることは明らかです。台湾が台湾のみで中国に対して台湾空域の防衛をすることを考えれば、こういう結論しかありえないでしょう。
米国介入の有無は最重要ファクター
 しかし、中国が台湾を大規模攻撃する際に、米国が何もしないという事態は台湾関係法との関係からも考えられません。米空軍が台湾防衛に乗り出す場合には、状況は大きく異なってくるでしょう。そういう状況を念頭に置いていないという点で、この報告書は現実に起こりうる事態を十分に踏まえていないのではないかと思われます。
 また、台湾の戦闘機についても、質の良いものを米が供与すれば、台湾側の質的劣勢はある程度是正されるのではないでしょうか。
 純粋な軍事的評価をすることも重要ですが、有事の際には、政治的に色々なことが起こり得ます。それをも考慮して、台湾としては適切な判断をすべきものではないかと思われます。
 米国の介入の有無は、本件について考える上で最重要のファクターです。あたかもそれがない場合を想定しての議論は、誤解にもつながり得ます。

 なお、日本が与那国島に対空ミサイルを配備し、日本の空域を守ることは、台湾上空の制空権のあり方にも影響を与えるでしょう。南西諸島防衛と台湾の関係については、検討してみる必要があります。





2016年6月17日金曜日

我が国の防衛に戦車は必要なのか?~あらためて考えてみる~

《維新の嵐》
 個人的には、日本列島の防衛戦略の上で戦車なるものがどれくらい必要であるのか疑問をもっている一人です。
 陸上自衛隊が、「本土決戦」を主体とする防衛構想にこだわるなら陸上戦闘において民間人にまちがいなく死傷者の数が膨大にでるであろうことは間違いないでしょう。
 戦車は市街戦や山岳地帯において極限された戦略環境においてしか使えない兵器であろうと認識しています。
 歩兵用の対戦車火器も発達して威力が増大してきたことが大きいですが、最近は歩兵の強化スーツなるものも現れて、さらにAIの進化でロボット兵士がでてきそうな気配も感じます。かつて二つの大戦時は陸戦の花形であった戦車も時代は変わり、武器体系の変遷とともに運用方法も変化してきています。
最新の戦車の運用法とはいかなるものなのでしょうか?陸上自衛隊で戦車連帯の指揮官であった木元氏はどうお考えなのでしょうか?

いったいなぜ、日本には戦車が必要なのか? そこには4つのワケがある
木元寛明

東洋経済オンライン

なぜ、日本に戦車が必要なのでしょうか?

 昭和43(1968)10 月、私は富士駐屯地の戦車教導隊に配属されました。23 歳の見習幹部でした。これが私と戦車との付き合いのはじまりです。私は同年3 月に防衛大学校を卒業、福岡県久留米市の陸上自衛隊幹部候補生学校で半年間の教育を受け、卒業直前に「機甲科」職種に指定され、母隊となった戦車教導隊に赴任しました。
 以来、富士学校機甲科部で戦車小隊長、戦車中隊長の教育を受け、部隊・陸幕などの勤務を経て、第2 戦車大隊長(2 師団)、第71 戦車連隊長(7 師団)の指揮官職に就きました。この間タッチした戦車は、米軍供与のM4A3E8戦車、国産の61式、74式、90式戦車でした。10式戦車を除く陸上自衛隊のほとんどの戦車と行動を共にしたことになります。
 最近では、軍事史研究に専念し、講演活動なども行っているのですが、次のような質問をよく受けます。

 ――日本の国土が外国の軍隊から直接侵攻される可能性はありますか?
 いや、見通せる将来では、本土への直接侵攻はないと思います。ただし、現下の情勢では離島への侵攻は否定できません。

 ――ということは、離島を除く日本の本土で、外国の軍隊と地上戦を交えることはない、ということですね。
 はい、そのとおりです。わが国の本土での地上戦の可能性はきわめて低い、と私は思います。

 ――では、本土で地上戦がないにもかかわらず、陸上自衛隊が最新鋭の戦車、たとえば90式戦車、10式戦車、あるいは機動戦闘車を装備するのは、いったいどういう理由なのですか?

 以下はこの質問に対する私の回答です。
 1は、陸上戦力の本質は土地と人間を支配することです。精強で健全な陸上戦力が存在することにより、日本の国土、国民、財産、資源などを保全することができるのです。太平洋戦争敗戦後に日本全土が連合国軍に占領されました。日本は、連合国軍の陸上戦力の支配下に置かれて、独立を完全に失いました。
 わが国は、194592日、戦艦ミズーリ艦上で降伏文書に調印、195196日、サンフランシスコ講和条約に調印して独立を回復、この間、連合国軍の占領下にあり、日本の国土・国民は連合国軍総司令部=GHQ100%支配されました。
 敗戦時のわが国は、米軍の戦略爆撃と空襲により焦土と化していましたが、米軍は陸軍・海兵隊の戦闘部隊(陸上戦力)を上陸させ、日本の津々浦々まで完全に支配したのです。このことは「最終的な勝利の決め手は、陸上戦力による国土・国民の支配にある」ことを如実に示しています。平和時における陸上戦力が目立つ必要はありませんが「無言の鎮め(サイレント・プレッシャー)」として厳然として存在することが役割なのです。
 2は、軍事力の本質、抑止力です。抑止力が真に効力を発揮するためには、相手国に「日本に手を出すと痛い目にあうゾ」と思わせるだけの備えや軍事力の規模、兵器、訓練錬度、士気、国民の支持、同盟国の防衛意志などが不可欠です。
 朝鮮戦争は、抑止が破綻したわかりやすい例です。
 1950625日、北朝鮮軍は150両のソ連製T34/85中戦車を先頭に、突如、南進を開始しました。奇襲された韓国軍は対戦車手段をほとんど持たず、T34中戦車になすすべがありませんでした。北朝鮮軍は3日間でソウルを陥落させ、日本から急派された米スミス支隊を烏山で一蹴し、米第24歩兵師団を大田で撃破し、半島南部の大邱・釜山に迫りました。
 北と南の著しい軍事バランスの不均衡が、北朝鮮軍の侵攻を誘発したのです。米軍は、「朝鮮半島の山岳地形、貧弱な道路網、脆弱な橋梁は、戦車の運用に不向きである」と判断して、韓国軍の要請にもかかわらずに戦車を貸与していなかったのです。戦車戦力の1500は決定的でした。
 1950112日、アチソン米国務長官は「西太平洋における米国の防衛線は、アリューシャン‐日本‐沖縄‐フィリピンを結ぶ線である」と述べ、朝鮮半島と台湾を防衛線から外しました。この「アチソン声明」も北朝鮮に誤解を与え、南進を誘った要因の一半となりました。
 真の抑止力であるためには、精強な部隊を作るだけではなく、部隊がその能力を完全に発揮できるシステム、すなわち法体系の整備、部隊への国民の支持などが重要であることは論をまちません。
 この点に関しては、「わが国の現状は極めて不十分」といわざるをえません。このような状態を放置してきた政府・政治家の責任はもとより、国民一般の国防に関する無関心さも大きな要因です。国防を政局と切り離して、冷静に対応する英知が望まれます。
 昨今、米国政府が「尖閣諸島の防衛は日米安保条約の対象」としばしば言及していることは、アチソン声明にかんがみ、米国の防衛意志を中国に明確に示すもので、極めて意義深いことなのです。
 3は、陸上戦力は国土防衛の最後の砦です。万が一侵攻を受けた場合、最終的には侵攻部隊を海に追い落とさなくてはなりません。これは攻勢による決戦であり、その骨幹となる装備が戦車なのです。たとえ日本本土への直接侵攻の蓋然性が低いとしても、それがゼロでないかぎり、「国家百年の計」として侵攻部隊を海に追い落とすための備えを営々と持続しなければなりません。
 国土防衛作戦は、対着上陸作戦――沿岸地域における防勢行動――から始まり、陸海空全戦力を集中し、米軍の来援を得て、最終的には決戦――攻勢行動――により侵攻部隊を完全に撃破することです。国土の寸土たりとも侵攻国に与えてはいけないのです。
 50年、100年先は別としても、見通せる将来では、陸上戦力の骨幹となるのは相変わらず戦車でしょう。戦車の最大の特色は、ハイテクノロジーを駆使した攻撃力と防御力が一体となった究極の兵器であることです。
 陸上戦力は国土防衛の最後の砦です。陸上自衛隊をして最後の砦たらしめる本尊が戦車なのです。したがって、最新鋭の戦車を開発し、必要最小限の戦車を部隊に装備し、勝つための訓練を徹底して行い、ノウハウを次の世代に確実に伝えなければなりません。
 4は、戦車は国家の防衛意思を体現した陸上装備のシンボルです。一躍、世界のトップクラスに躍り出た90式戦車は、約20年間の研究開発、エンジンなど主要構成品の研究試作、システムの研究、1次・2次試作などを経て制式化し、この間1500社以上の企業が関係したといわれます。
 戦車の研究開発から製造までを一貫して行える国は、世界を見渡しても10指に満たないでしょう。戦車は国家の技術力を挙げての結晶であり、官民協力の成果でもあります。このことは戦車という究極の兵器に、国家の防衛意思が具体的に込められていることの証左です。
 戦車の研究開発は、ひとたび中断すると技術の進歩に追いつくことが極めて困難となります。世界に冠たる戦車を作り続けることが国家究極の防衛意思の表明なのです。


木元寛明
1945年広島県に生まれる。1968年に防衛大学校第12期を卒業後、陸上自衛隊で戦車大隊長、戦車連隊長、主任研究開発官などを歴任し、2000年に退官。退官後はセコム(株)研修部にて幹部社員の研修を担当する。2008年以降軍事史研究に専念する。


日本戦車変遷史


【共産中国の軍事的脅威にどう対処するのか?】まず外交戦で先島諸島・南西諸島を守る ~領土問題化せず紛争を回避する~

「接続水域」航行への抗議は中国の思うつぼだった
ロシアも航行したのに中国にだけ抗議、中国は作戦開始?
北村淳 2016.6.16(木)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47081
戦争平和社会学者。東京生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。警視庁公安部勤務後、平成元年に北米に渡る。ハワイ大学ならびにブリティッシュ・コロンビア大学で助手・講師等を務め、戦争発生メカニズムの研究によってブリティッシュ・コロンビア大学でPh.D.(政治社会学博士)取得。専攻は軍事社会学・海軍戦略論・国家論。米シンクタンクで海軍アドバイザーなどを務める。現在安全保障戦略コンサルタントとしてシアトル在住。日本語著書に『アメリカ海兵隊のドクトリン』(芙蓉書房)、『米軍の見た自衛隊の実力』(宝島社)、『写真で見るトモダチ作戦』(並木書房)、『海兵隊とオスプレイ』(並木書房)、『尖閣を守れない自衛隊』(宝島社)、『巡航ミサイル1000億円で中国も北朝鮮も怖くない』(講談社)等がある。


尖閣諸島周辺の日本の接続水域を航行した中国海軍の054型フリゲート

201669日、ロシア軍艦と中国軍艦が時を同じくして尖閣諸島周辺の日本の「接続水域」(主権を有する国の海岸より24海里から12海里にかけての海域)内を航行した。
 この事案への日本政府の対応は、中国政府の目論見通りに日米同盟に打撃を加え、中国側に利することとなりそうだ
日本政府は中国政府に対してのみ抗議
日本政府は、「ロシア軍艦が日本の接続水域を航行した」事実に関してロシア政府に何らの抗議もしていない。しかしながら、「中国軍艦が日本の接続水域を航行した」事案に関しては中国政府に厳重抗議を行っている。
接続水域に入ったロシア海軍のウダロイ級駆逐艦
通常、外国軍艦による接続水域内の航行は、国際法上何らの問題も生じない。なぜならば、接続水域は国際法上「公海」とされているため、いかなる国の軍艦といえども「航行自由原則」を享受しているからだ。
 国際法上問題が生ずる可能性があるのは、外国軍艦による「領海」(主権を有する国の海岸より12海里内の海域)内の航行である。ただし外国軍艦が他国の領海内を通過するに際して、領海国に対して軍事的脅威を与える行動や何らかの軍事行動(偵察や軍事的調査などの実施)を疑わせるような行動をとらず、スムーズに航行する場合には国際法上認められる「無害通航権」の行使とみなされる。
 今回、日本政府が中国政府に対してのみ抗議したということは、ロシア軍艦に対しては航行自由原則を認め、中国軍艦に対しては航行自由原則を認めなかったことになる。
 このような日本政府による中国とロシアに対する態度の差は、尖閣問題にとどまらず南沙諸島問題をも巻き込んで、日本やアメリカに厄介な影を投げかけることになリかねない。
中国軍艦に対する「航行自由原則」の制限を主張
なぜ日本政府はロシアには何ら抗議せず、中国には厳重抗議したのか。その理由としては、「日本と中国の間には尖閣諸島の領有権をめぐる紛争が存在しているために、日本政府が中国軍艦には接続水域内の航行すらも認めないという姿勢をとっているから」としか説明のしようがない。
 安倍政権は20155月の閣議決定において、「無害通航権の行使とは認めがたい外国艦船に対しては、原則として海上警備行動を発令する」ことを決定している。
 また、今年の1月には、中国政府に対して「尖閣諸島周辺の日本領海に中国軍艦が侵入した場合、海上警備行動を発令して海自軍艦を派遣する」という閣議決定を伝達している(もちろん、これは日本の領海内が問題になるのであり、接続水域は範囲外である)。
今回の中国への厳重抗議は、その閣議決定を踏まえた日本政府が、「日本の領海内航行には至らずとも、中国軍艦が日本の接続水域内を航行することも日本に対する軍事的威嚇とみなし、航行の自粛を求める」という立場を中国政府に対して表明したものとみなすことができる。
 つまり、日本政府は領有権紛争海域において、限定的とはいえ「航行自由原則」に対する制限を主張していることになる。
予想される中国政府からの“反撃”
中国政府は、南沙諸島周辺海域をはじめとする南シナ海で、「航行自由原則」に対する制限を主張している。中国領海内を通航しようとする外国軍艦は事前に中国政府の許可を受けなければならない、という無害通航権の制約の主張である。
 中国政府は「我々の主張と似通った制限を、尖閣周辺海域で日本政府は実施している」という解釈を国際社会に喧伝するであろう。
 そして、アメリカに対しては次のように主張するであろう。
「日本政府は東シナ海で、“自国防衛のための『航行自由原則』に対する一定の制限”を実施している。中国政府は、それと似通った制限を南シナ海で実施しているのだ」
「アメリカ政府は、南シナ海での中国による自衛措置に対して『航行自由原則』の維持のためと称してFONOPを旗印に軍艦を派遣し中国を脅迫している。それならば、東シナ海での日本政府による『航行自由原則』に対する制限措置に対して、アメリカ政府はどのように対処するのか?」
 さらには日本の領海内に中国軍の軍艦を侵入させることを正当化する、こんな難癖も言い出しかねない。
「アメリカは領有権紛争が存在することを口実に、南沙諸島周辺海域を中国の海ではなく公海と言い立てて、渚碧礁(スービ礁)や永暑礁(ファイアリークロス礁)の周辺12海里内海域にまで軍艦や航空機を乗り入れている。そして、そのような軍事的挑発行動を“航行自由原則維持のための作戦(FONOP)”と名付け、あたかも国際海洋法を擁護するための行為と正当化している。それならば、中国としても領有権紛争係争中の海域である尖閣諸島周辺12海里に軍艦を乗り入れても、アメリカから文句を言われる筋合いはない──」
日本を全面支援するわけにはいかない米国
米海軍関係者の間には、尖閣諸島の日本領海や先島諸島をはじめとする南西諸島の接続水域内に、中国が中国版FONOPとして軍艦を送り込んで来る日も遠くないであろうと危惧する者も少なくない。
 つまり、「国連海洋法条約に加盟している中国としては、日本政府による『航行自由原則』を無視するような姿勢に抗議するためにも、アメリカと同様にFONOPを実施することになるであろう」という推測である。
 実際にこのような事態に陥った場合、アメリカ側としては、日本政府の中国軍艦に対する強硬姿勢(もちろん日本政府が腹をくくった場合だが)を表立って全面的に支持するわけにはいかなくなってしまう。言うまでもなく、アメリカは南シナ海での中国の海洋進出を「航行自由原則を踏みにじる所業」といった観点から批判しているからだ。
 河野統幕長(海将)は、「万が一、(中国軍艦が日本の)領海に入った場合はそれ相応の対応をする」と述べている。具体的な対応策は口にしていないが、自衛隊法に基づいて「海上警備行動」の発令を防衛大臣に要請することを意味していると思われる。しかしいくら警察権の行使程度に限定されるとはいえ、海上自衛隊の軍艦が出動して中国軍艦と対峙するからには、軍事衝突が発生する可能性は決して低くはない。
 そのような場合、軍事行動に何よりも正当性事由(たとえでっち上げたものであっても)を重んずるアメリカ政府としては、日米安全保障条約を根拠に日本に援軍を差し向けることは極めて困難となるであろう。
(なお、本稿を完成させた直後、中国海軍情報収集艦が口永良部島沖の日本領海内を航行したとのニュースが伝えられた。本稿で問題になった接続水域内通航と違い、領海内通航であるため「無害通航権」の行使、そして中国版FONOPの開始、といった視点が必要になるものと思われる。この問題に関しては、いまだ情報が乏しいため、次回触れさせていただきたい。)

 防衛省、中国海軍情報収集艦の領海侵入を発表 海自P-3Cが確認
配信日:2016/06/15 11:10
http://flyteam.jp/airline/japan-maritime-self-defense-force/news/article/64660

防衛省は中国海軍のドンディアオ級情報収集艦1隻が2016615()330分ごろ、鹿児島県の口永良部島付近の領海を航行したことを確認したと発表しました。海上自衛隊のP-3Cが確認したものです。この情報収集艦「855」は、南東に進み、5時ごろに領海を出たとしています。
 領海侵入に対する対応、外務省などの外交ルートなど政府対応なども今後明らかにされる見通しです。


《維新嵐》 北村氏のお考えに疑問を感じます。まず尖閣諸島領有についての我が国政府の姿勢はこれを「領土の領有権問題」と認識されてないですよね。
「日中の両国間に領土問題は存在しない。」が基本姿勢のはずではないでしょうか?その我が国固有の領土である尖閣諸島周辺近海に共産中国の公船や漁船が侵入したり、国有地である尖閣諸島の一部の島嶼群に対し勝手に領有権を共産中国が主張する事態があるため、接続水域といえど「領海」への審判の恐れありとしての抗議と考えることができます。
我が国固有の主権域である尖閣諸島に対し、自国の「領有権」を主張して公船を侵入させてくる共産中国と尖閣諸島に対しては領有権を主張しないロシアとの間に対応の違いがあるのは仕方ないことだと考えます。たとえ接続水域とはいえ、日本の主権域にある島嶼群への「領有権」を主張している以上、領海を侵犯されるリスクは高い、それを防ぐための未然の抗議といえるわけです。繰り返しますが「日中の間に領土問題は存在しない」「尖閣諸島の一部は国有地」この前提がある限り、不当に領有権を主張する共産中国側の行為は尖閣近海の領海内であれば「侵犯行為」であり、接続水域であれば「領海侵犯するリスク大」という警戒心をおこします。領海への侵略行為のリスクのある国なら「抗議」や「警告」を発せられてもやむを得ないのではないでしょうか?
鹿児島県口永良部島近海の領海侵犯は、明らかな「国際法違反」です。厳重な抗議と対応が必要なことはいうまでもないことですが、どう政府は対応してくるでしょうか?


次の論文では、先に述べた考え方がよく理解できるかと思います。中国海警の近年の我が国領海への動きにもふれています。そして「紛争」を未然に防止するための提案もされています。

中国海軍による尖閣接続水域航行 ロシア海軍を識別できていなかったのか
東シナ海での危機管理メカニズムが急務

 小谷哲男 (日本国際問題研究所 主任研究員)
20160614日(Tuehttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/7032

中国海軍の艦船が、201669日未明に尖閣諸島周辺の接続水域を初めて航行し、東シナ海における日中間の緊張が再び高まっている。ロシア海軍が先に同海域に入ったこともあり、中国側の意図やロシア海軍の動きとの関連など、不明な点が多い。以下では、中国海軍の動きを分析し、今後の東シナ海情勢の見通しを考えてみたい

中国の意図とは…?

尖閣について特定の立場をとっていないロシア
 まず、時系列を追ってみよう。
 2016682150分ごろ、ロシア海軍の駆逐艦や補給艦など艦船3隻が尖閣諸島の久場島と大正島の間の接続水域に南から入った。3隻は5時間余りにわたって接続水域を航行したあと、9305分ごろ、久場島と大正島の間を北に向かって接続水域から出た。ロシア海軍の動きは、海上自衛隊の護衛艦「はたかぜ」が監視していた。
 82130分頃、尖閣諸島北方の海域に遊弋していた中国海軍フリゲート艦が突然警告音のような汽笛をならし、南下の動きを開始したため、付近で警戒監視していた護衛艦「せとぎり」がこれを追跡した。9050分ごろ、同フリゲート艦が、久場島の北東で接続水域に入り、南側に向かったあと、Uターンするように向きを北向きに変え、およそ2時間20分にわたって接続水域の中を航行した。この間「せとぎり」が監視を続け、航行の目的などを確認するため、無線で呼びかけを続けた。同フリゲート艦は、310分ごろに大正島の北北西で接続水域から出て、そのまま北の方向に航行した。
 この間、公邸にいた安倍晋三首相にはリアルタイムで情報が入り、対処については、シンガポールに外遊中の中谷元防衛相が米軍との連絡も含めて実施した。齋木昭隆外務事務次官は、中国の程永華大使を2時に外務省に呼び出し、挑発行為について抗議をした。程大使は尖閣諸島の主権を主張し、抗議は受け付けないとするも、「事態のエスカレートは望まない」と回答した。
まず、ロシア海軍の動きはどのように理解するべきだろうか。ロシア海軍が今回の航路を取ったことはこれまでもあった。今回尖閣の接続水域を航行したロシア艦船は、インド洋や東南アジアなどでの訓練を終えて、母港のウラジオストックに帰港中だったと考えられる。
 日露戦争時、バルチック艦隊がバルト海からインド洋、そして対馬海峡を目指した時も、尖閣諸島が属する八重山諸島付近を航行したことを考えれば、今回も通常の航路を通ったとみるのが正しいだろう。ロシアは尖閣諸島の領有権について特定の立場をとっておらず、ロシア海軍が接続水域内を航行することは、国際法上も問題はない。このため、日本政府もロシアに抗議をしていない。
中国海軍はロシア海軍を識別できていなかったのか
 では、中国海軍の動きはどのように分析できるだろうか。これまでのところ、2つの見方が存在する。
 1つは、日本がホストしたG7伊勢志摩サミットで、それぞれウクライナと南シナ海における行動を批判された中ロが連携して、日本に圧力をかけたという見方である。中国のメディアは「中ロ連携行動」と報道している。だが、この見方には無理がある。まず、ロシアが尖閣諸島の領有権に関して中国と歩調を合わせれば、フリーハンドを失い、中国に利用されることになる。また、中ロ両政府が連携していたならば、東京の中国大使館も事態を把握していたはずだが、深夜に外務省に呼び出された程大使は事態を知らなかったと日本側は分析している。
 もう1つは、中国海軍が、ロシア海軍が接続水域に入ったことに便乗したという見方である。 ロシア海軍が接続水域に入るのを確認した中国海軍は、「主権維持行為」の一環としてロシア艦艇の監視を口実に、接続水域に入るという既成事実を作った。現場の艦長には、その程度の決定権はあると考えられ、このような突発的事態であれば、軍より格下の外交部(中国外務省)に連絡が入ってなくても不思議ではない。共産党政治局にも事後連絡でよい。
 実際の時系列をみれば、この2つ目の分析の方が説得力はある。しかし、それでも疑問は残る。中国海軍は、尖閣の接続水域に入ったのがロシア海軍だと認識していたのだろうか。中国海軍は尖閣諸島の北方にいたが、ロシア海軍は南から接続水域に入っている。中国海軍のレーダーもその動きは探知していたはずだが、識別までできていたかは疑問だ。東シナ海を24時間常続監視している日本とは違い、中国にはそこまでの監視能力はまだない。
仮に中国海軍がロシア海軍を識別できていなかったとすれば、次のような分析も可能だ。尖閣の北方にいた中国のフリゲート艦は、レーダーで4隻(ロシア海軍3+海自1隻)の船影が尖閣の接続水域に接近し、入るのを確認した。ただし、識別はできておらず、海自が4隻の護衛艦を接続水域に入れてきた場合に備えて、確認および「主権維持行為」のために北方から接続水域に入り、ロシア艦船であることを確認した上で、接続水域から離脱したというものだ。つまり、中国海軍がロシア海軍を識別できていなかったため、今回の事態が起こった可能性がある。
 201511月には、中国海軍情報収集艦が、尖閣諸島南方の接続水域の外側で反復航行する事案が初めて確認された。その他の中国海軍艦船も、尖閣諸島により近い海域で確認されるようになっていたが、接続水域には入らなかった。中国側は、軍艦を接続水域に入れることは日本側の対応を招き、事態が拡大することを認識していたはずだ。だが、日本側が先に海自を接続水域に入れれば、中国側も接続水域、さらには領海に入る手はずだったのではないか。
 日本がロシアに抗議をしなかったように、中国にしてもロシア海軍が尖閣の接続水域を航行することには何の問題もない。接続水域にいるのがロシア海軍だとわかっていれば、中国海軍が「主権維持行為」を行う必要もない。ロシア海軍だと識別できていなかったために、接続水域に入るというリスクの高い行動を取らざるを得なかったと考えられる。
「東シナ海は安定している」
国際社会の誤解
 この見方が正しいとすれば、尖閣諸島周辺における中国側の監視・識別能力が不足しているため、第三国艦船という想定外の要因によって、東シナ海における緊張が拡大する可能性を示している。また、意図はどうであれ、中国海軍が尖閣の接続水域に入るという前例ができた以上、今後も同様の事案が発生する可能性は非常に高い。
 このため、日本は中国による一方的な現状変更の試みに毅然と対処し、南シナ海だけでなく、東シナ海においても中国の行動が緊張を高めていることを国際社会に訴える必要がある。
 国際社会には、南シナ海問題に対する懸念を強める一方、東シナ海は安定していると誤解する傾向がある。中国の政府公船(国家海警局所属)は、領海の外側にある接続水域にはほぼ常駐し、およそ10日間接続水域に留まった後、領海に数時間侵入し、帰還するという行動パターンが確認されるようになったからだ。2015年度に中国の政府公船が尖閣諸島の領海に侵入した回数は、前年度と同じ34回だった。
だが、14年度は3000トン級以上の大型船の割合は35%であったが、15年度は60%に増えた。海警は、12000トンと通常の軍艦よりも大きい巡視船も所有するようになっている。2015年末以降は機関砲を搭載した船による領海侵入も発生するようになった。頻度は変わっていないが、実際の状況はますます悪化しているのだ。このことを積極的に国際社会に発信し、東シナ海でも中国の行動を牽制する必要がある。
海上連絡メカニズムを先行させよ
 他方、日中防衛当局間で協議が行われてきた「海空連絡メカニズム」の運用開始も急務だ。
 日中は、「海空連絡メカニズム」の中身、つまり防衛当局間にホットラインを設置すること、定期行儀を行うこと、および艦船および航空機同士が連絡に使う無線の周波数については原則合意している。ただ、中国側がこのメカニズムを尖閣諸島の領海と領空でも適用することを主張しているため、運用開始ができていない。これを領海と領空でも適応するなら、中国はこれを日本の領海と領空を侵犯する口実に使うだろう。それは認められない。
 他方、中国の空軍は領空でのメカニズム適応にこだわっているが、中国海軍は領海での適用には必ずしも固執していない可能性が高い。仮にそうであれば、「海空」を切り離し、海自と中国海軍の間の海上連絡メカニズムとして先行運用してはどうか。米中にも同様の枠組みがあるが、海軍同士の枠組みを先に作り、後に空軍同士の枠組みを作っている。
 危機管理のメカニズムができても、中国の現状変更行動を抑制することには直接つながらないだろう。メカニズムがある米中双方の軍同士でもいまだに一触即発の事態は起こっている。だが、危機が起こった際に、米中が直接連絡するメカニズムは機能している。日中間で危機を適切に管理するためにも、海上連絡メカニズムを先行させることが望ましい。
《維新嵐》

海軍同士による海上連絡メカニズムの運用には反対するものではありません。その前に外交的な手段として尖閣諸島は我が国の固有の領土であり、日中間に領土問題は存在しないことを強くアピールし続け、共産中国の公船に不当に領海が侵犯される、侵犯のリスクが増大している状況をアピールすることが不可欠なのです。
軍事だけが国防ではないのです。この点は国会議員や国家官僚には強く主張したいと思います。


中国軍艦、今度は沖縄・北大東島の接続水域に

読売新聞
http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e8%bb%8d%e8%89%a6%e3%80%81%e4%bb%8a%e5%ba%a6%e3%81%af%e6%b2%96%e7%b8%84%e3%83%bb%e5%8c%97%e5%a4%a7%e6%9d%b1%e5%b3%b6%e3%81%ae%e6%8e%a5%e7%b6%9a%e6%b0%b4%e5%9f%9f%e3%81%ab/ar-AAh7zQh?ocid=spartandhp
防衛省は2016616日、中国海軍の情報収集艦1隻が沖縄県の北大東島周辺の接続水域内を航行したと発表した。
15日に鹿児島県沖の領海に侵入したのと同一艦で、沖縄東方海域で実施されている日米印共同訓練に参加していた3か国の艦艇を追尾する形で接続水域に入った。同水域内の航行は国際法上、問題ないが、中国軍艦による挑発行為が継続していることから、外務省は16日、在日中国大使館に「強い懸念」を伝えた。

防衛省の発表によると、16日午後3時5分頃、海上自衛隊の護衛艦「ひゅうが」が北大東島北の接続水域に入るドンディアオ級情報収集艦を確認。午後4時頃、同島北北西の同水域から出た。北大東島は、沖縄本島の東約360キロ。

《維新嵐》

共産中国の情報収集艦艇は明らかに政治的な意図をもって動いていますね。やはり我が国独自に「A2AD戦略」を共産中国に対して発動する必要を強く感じます。あくまで国際法を前提に抑止を!以下の考え方は多くの国民が共感できるのではないでしょうか?



中国軍艦の侵入・敵対的行動を即刻やめよ
日本国民はあきれかえり、怒っている。もし国際社会の良き一員でありたいなら、隣家へ土足で踏み込むような真似(まね)を二度としてはならない。
 中国海軍の情報収集艦が鹿児島県口永良部島(くちのえらぶじま)周辺の領海へ侵入した。海上自衛隊機が侵入前から警告したが、引き返さなかった。
 政府が外交ルートで非難したのは当然だ。侵入の常態化は許されない。同様の事態になれば日本の海を守り抜くことをためらってはならない。自衛隊に海上警備行動などを発令して対処すべきだ。

 尖閣諸島(沖縄県)をねらう中国の軍艦が領海に侵入したのは、平成16年11月に原子力潜水艦が同県石垣島周辺の領海を潜没航行して以来の異常事態となる。
 6日前には中国のフリゲート艦が尖閣沖の接続水域へ侵入し、政府が抗議したばかりである。「状況をエスカレートさせた」(岸田文雄外相)点で悪質さは際立つ。中国国防省は「航行の自由の原則に合致している」と主張したが、極めて説得力に欠ける。
 情報収集艦は武装したれっきとした軍艦である。沖縄東方海域で実施中の日米印の共同演習「マラバール」へ加わるインド海軍の艦船を追尾していた。演習の監視と妨害をねらった行為といえる。
日本が南シナ海での「航行の自由」の確保をはかる米国と連携していることへの意趣返しのつもりもあろう。中国潜水艦の太平洋進出に欠かせない海底地形図を作るため、日本の領海を計測した恐れもある。

国際法が許す無害通航とは考えにくいし、日本の安全保障上、容認できるものでもない。中国の軍艦の領海侵入は不測の事態を招きかねない。日本は米国と連携し、守りを固めねばならない。最も肝心なのは、日本が自ら努力することだ。警戒監視に当たる自衛隊への国民の期待は大きい。

政府中枢の危機管理も緊張感が欠かせない。15日には安倍晋三首相と菅義偉官房長官が参院選の地方遊説へ出かけたが領海侵入時は未明で2人とも在京していた。
危機の発生は昼夜を問わない。海警行動の発令や、国家安全保障会議(NSC)の開催など、迅速な対応をとるための態勢を再確認しておくべきだ。首相の地方出張中は、副総理や官房長官などの重要閣僚が在京していることが望ましい。