2017年7月28日金曜日

米中戦争の時代 ~アメリカの対中牽制計画・共産中国の実態~

見解① 暖簾に腕押しとなりそうな米海軍の対中牽制計画

FONOPをいくら繰り返しても中国にとっては“無意味”

北村淳
南シナ海で洋上燃料補給のために待機する米海軍のミサイル駆逐艦デューイ(2017519日撮影、25日公開、資料写真)。(c)AFP/US NAVY/Mass Communication Specialist 3rd Class Kryzentia WeiermannAFPBB News

 20174月にフロリダで行われた習近平国家主席との会談以降、トランプ大統領は中国に対する強硬的態度を引っ込める姿勢をとっていた。北朝鮮のICBM開発を抑制させるために、中国が影響力を行使することを期待していたからである。
 しかしながら、3カ月を経過しても“中国の北朝鮮に対する影響力”が功を奏する気配はない。北朝鮮のミサイル開発が抑制されるどころかICBM試射は成功してしまうし、そもそも中国が北朝鮮に対して本気で圧力をかけようとしているのか? という疑念が深まってきた。
 その結果、トランプ大統領は大統領選挙期間中に口にしていた中国に対する“強面”な政策を復活し始めた。そのうちの1つが、かねてより海軍から提出されていた南シナ海での積極的行動計画である。先週、トランプ政権がその中国抑制計画を承認したことが明らかになった。
 その計画とは、「南シナ海に海軍艦艇や各種軍用機を送り込んで、『公海での航行自由原則維持のための作戦』すなわちFONOPを頻繁に実施し、恒常的にアメリカ海洋戦力の南シナ海におけるプレゼンスを維持する」というものである。
 アメリカ海軍が「南シナ海でのFONOPを恒常的に繰り返す」といっても、それが直ちに中国による南沙諸島や西沙諸島の軍事拠点化を中断させる可能性はゼロに近い。しかしアメリカ海軍は、FONOPに限らず南シナ海に海軍艦艇や軍用機を頻繁に展開させてアメリカ海洋戦力のプレゼンスを示すことこそが、南シナ海をはじめ東アジアでの中国の覇権確保に対する唯一の軍事的牽制行動であると考えており、海軍の存在価値を高めるためにもなんとしてでも実施しようというわけだ。
議論がかみ合わないアメリカと中国
 ところが、南シナ海に対するアメリカの立場と中国の立場は、そもそも議論がかみ合っていない。いくらアメリカ海軍が頻繁にFONOPを実施しようが、恒常的にプレゼンスを示そうが、中国による南シナ海への覇権的進出政策に対して少しも牽制にはならない可能性が高い。アメリカと中国のそれぞれの主張を見ていこう。
【アメリカの立場】
 アメリカがとっている基本的な立場は以下のとおりである。
「南沙諸島に中国が誕生させ軍事拠点化を推し進めている7つの人工島は、もともと国連海洋法条約の定義に従うと『暗礁』と定義されるため、特定の国家の領土となりうる要件を持ち合わせていない。それら“中国人工島”は中国が勝手に『海洋に建設した陸地』であって、国連海洋法条約が規定する領海や排他的経済水域などの基準とはなり得ない。
 要するに、中国が暗礁を人工島化して立派な飛行場を建設しようが、本格的軍事施設を設置しようが、それらの人工島は中国の領土とはなり得ない。
 したがって、アメリカの軍艦がそれらの人工島から12海里以内の海域を通航することはもちろん、公海上であるからには国連海洋法条約が禁止しているような行為(たとえば海賊行為)以外のいかなる行動を取っても何ら問題は生じない」
(ただし「いかなる行動も取りうる」とはいっても、これまでのところ、場合によっては中国との軍事衝突が起きかねない軍事的威嚇とみなされるような行動は差し控えている。)
 中国は、上記のように国連海洋法条約上中国の領海にはなり得ない「暗礁を改造した人工島の周辺海域」を、あたかも「中国の領海」であるかのごとく振る舞っている。加えて、国連海洋法条約に規定されていない「中国の領海内を航行するには、事前に中国当局に通告する」ことも国際社会に求めている。そこでアメリカ海軍は、「このような中国の勝手な振る舞いを見過ごしていると、やがては中国が領土と主張している南沙諸島人工島や西沙諸島などの周辺海域のみならず、南シナ海全体へと“中国の横暴”が広められてしまう」との強い危惧を抱いている。
実際に、中国は南シナ海の8割以上の海域をカバーする『九段線』という不明瞭な境界線を設定して、その内側海域を中国の歴史的な主権的海域であると主張している。
「中国による一方的な南シナ海の軍事的支配が確固たるものとなってしまうと、南シナ海を縦貫する国際社会が利用している海上航路帯や、米海軍自身も恩恵を受けている軍事的航路帯が中国にコントロールされることになりかねない。そこで、アメリカはFONOPをはじめとして南シナ海での軍事的プレゼンスを維持し、中国の横暴を抑制しなければならない」──というのが、今回トランプ政権が承認したアメリカ海軍の南シナ海での対中牽制計画の基となった論理である。
【中国の立場】
 一方、中国の立場からみると、以下のような主張となる。
「アメリカは国連海洋法条約だの国際慣習法を振りかざすが、そのような“国際法”は軍事的覇権国によって確立され国際社会に押しつけられたたルールに過ぎない。現にアメリカ自身が自らの都合によって国連海洋法条約を批准していないではないか。
 そもそも歴史的に形成されてきた『九段線』の概念は、国連海洋法条約よりも古くから存在しており、歴史的に中国の主権的海域であった南シナ海に、後から誕生した国連海洋法条約の規定を適用するのはナンセンスである。
 そのような中国の主権がおよぶ海域内にある島嶼環礁に、中国が人工島を誕生させようが、海洋交通のための各種施設を建設しようが、防衛のための軍事施設を設置しようが、それらは中国の国内問題であってアメリカなどに干渉されるいわれは全くない」
“暖簾に腕押し”となりかねない対中牽制計画
 中国にとっては、アメリカ海軍が「FONOP」と称して南沙人工島や西沙諸島の12海里以内の海域に軍艦などを派遣してきた場合、それらの行動は「中国の領海内を通航する場合には中国当局に事前通告しなければならない」という中国独自の規定には反しているものの、アメリカ軍艦が敵対的行動を取ったり軍事的威嚇を実施しない限り、「国連海洋法条約で認められている無害通航権の行使」ということになる。
 つまり、アメリカ側がいくらFONOPを繰り返しても、「中国の領海での無害通航権の行使」と考える中国にとってはまったく意味を持たないことになる。アメリカにとっては有意義でも中国にとって無意味な作戦をいくら頻繁に繰り返しても、何の役にも立たない。
 そのような無駄を避けるためには「中国側が軍事的威嚇と受け止めかねない露骨な軍事行動を実施するしかない」と主張する海軍関係者も見受けられる。しかし、そのようなオプションは、中国との軍事衝突の引き金となりかねない以上、実施される可能性は極めて低い。
 したがって、今後しばらくの期間は、アメリカがFONOPを頻繁に実施したり、南シナ海に軍艦や航空機を恒常的に展開し、それに対して中国が抗議を繰り返す、というパターンが繰り返されるであろう。
 その間に、南沙人工島や西沙諸島での中国軍事拠点の建設は、「アメリカが軍事的威圧を加えているので、防衛態勢の強化が必要である」という口実によって、さらに推し進められていくことになるものと考えられる。

《維新嵐》まず南沙、西沙諸島と周辺海域の利権こそ手放したくない。何もない西沙諸島に掘っ立て小屋をたて、一人で独力で生活をはじめ、精神障害を患っても任務完遂してきた人民解放軍の一兵士から共産中国の南シナ海覇権支配はスタートしています。三世代の内に国家目的を達成すればいい、という国家戦略に我が国は対抗していけるのか?


米空母、南シナ海に=中国をけん制か
時事通信20172/19() 1:07配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170219-00000003-jij-n_ame

【ワシントン時事】米原子力空母カール・ビンソンは2017218日、南シナ海での活動を開始した。
 米軍は発表で「通常の作戦行動」と説明しているが、軍事面を含め南シナ海への進出姿勢が顕著な中国をけん制する狙いもあるとみられる。
 カール・ビンソンを中心に編成した空母打撃群は20171月初めに米西海岸のサンディエゴを出航した。これまでハワイとグアムなどの沖合で訓練を実施してきた。打撃群の司令官は「(作戦)能力を明確に示し、(域内)同盟国との強固な関係をさらに強めたい」と述べた。

《維新嵐》決して明言できない軍事行動。牽制のための軍事作戦であることは誰にでも分かる話でしょう。

米爆撃機、対北朝鮮攻撃訓練=ICBM発射でけん制
 20177月7日、米空軍は、米爆撃機「B─1B」2機が南シナ海の上空を飛行したと声明で発表した。中国が領有権を主張する南シナ海について、国際領域とみなしていることを示した形となる。提供写真(2017年 ロイター/U.S. Air Force/Airman 1st Class Gerald R. Willis(ロイター)
【ソウル時事】米B1B戦略爆撃機2機が201778日、韓国北東部・江原道の演習場で、北朝鮮施設への攻撃を想定した精密爆撃訓練を実施した。
 韓国国防省当局者が明らかにした。韓国空軍機と合同で行われたという。大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を強行した北朝鮮をけん制する狙いがある。
 訓練は、B1Bが北朝鮮の弾道ミサイル発射台を爆撃し、さらに韓国軍のF15K戦闘機が地下施設を攻撃するという想定で実施。B1Bは精密誘導爆弾を投下したという。
 また、B1Bは韓国での訓練後、グアムのアンダーセン空軍基地へ戻る途中、九州周辺の空域で日本の航空自衛隊のF2戦闘機2機と共同訓練を実施。防衛省航空幕僚監部は「日米韓の強固で緊密な連携の一環」と説明した。
《維新嵐》北朝鮮問題にかこつけて、実際は共産中国への示威行動でしょう。共産中国にステルス爆撃機を作戦に投入できる力はありません。

見解②【石平が解く「米中衝突」】
中国は南シナ海をあきらめない。アジア支配をあきらめることになるからだ。それを米国は許さない


石平

拓殖大学客員教授。1962年、中国四川省成都市生まれ。80年、北京大学哲学部に入学後、中国民主化運動に傾倒。84年、同大学を卒業後、四川大学講師を経て、88年に来日。95年、神戸大学大学院文化学研究科博士課程を修了し、民間研究機関に勤務。
2002年より執筆活動に入り、07年に日本国籍を取得。14年『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(PHP新書)で第23回山本七平賞を受賞。著書多数、共著に『リベラルの中国認識が日本を滅ぼす 日中関係とプロパガンダ』(産経新聞出版)など。
※この記事は、アメリカのアジア政策と米中関係の歴史から、トランプ政権の「中国潰し戦略」を読み解く『トランプvs.中国は歴史の必然である 近現代史で読み解く米中衝突』(石平著、産経新聞出版刊)から抜粋しました。

●台湾問題は中国にとっての「宗教問題」

 中国は「一つの中国」原則によって、台湾の外交を完全に封じ込めてきました。たとえばオリンピックがそうですが、政府だけでなく、民間団体も締め出しました。台湾の選手は、中華民国としてオリンピックに出場できません。「チャイニーズタイペイ」代表として出場せざるを得ないわけです。
 それほどまでに中国がこだわる台湾問題とは何なのか。
 以前、中国の軍人が、中国人にとっての宗教とは何かについて書いていたのを読んだことがありますが、それが的を射ていると思います。
 西洋人にはキリスト教があり、日本人には神道がありますが、中国には本当の意味での宗教がありません。しかし、中国には宗教の代わりになるものがあり、それが「祖国統一」という信仰だというのです。
「統一教」こそが中国の宗教なのです。宗教ですから理屈ではありません。いずれ台湾を完全に中華人民共和国の一部として統一しなければならない。だから中国は台湾を国として絶対に認めません。


「祖国統一」信仰の布教戦略は、台湾が中国抜きでは生きていけなくなるように仕向けるというものです。柿が熟して落ちてくるように、統一のタイミングを見計らっています。台湾経済の中国依存度は確かに高まっているので、現在の習近平政権も台湾問題は急がず、ゆっくり待って、必ず統一しようと考えているわけです。
 しかし中国のその戦略は、アメリカをはじめとする国際社会が、台湾が国家であることを認めない構図の上に成り立っています。その構図、枠組みが台湾問題の最後の一線であり、これが崩れると、中国は台湾を失う可能性が出てきます。ですからその構図の維持には、共産党指導者は誰であろうと、本気にならざるを得なくなります。彼らにとっての宗教問題だからです。
 中国は毛沢東と周恩来、●(=登におおざと)小平から現在の習近平まで、この構図の中で外交を続けてきました。しかし、トランプが簡単にそれを引っ繰り返してしまったので、中国の対米関係が崩れてしまっただけでなく、中国の外交戦略は台無しになりました。
 トランプは習近平の一番痛いところをわきまえているのです。
 彼が示した行動で非常に大事なことは、トランプは習近平やキッシンジャーの指図を一切、受けるつもりはないということです。既存の枠組みを一切認めない。
 そうして彼は一気に中国の首を押さえる「カード」を手に入れたのです。


「タブー」が「カード」に

 タブーは一度破られるとタブーではなくなります。
 トランプは次期大統領として台湾の蔡総統と電話会談を行いましたが、それによって何が起こったわけでもありませんでした。そうなるとトランプからすれば、今度は大統領として電話会談を行ってもよいではないかという話になります。もちろん、簡単ではありませんが、習近平に圧力をかけたいときには、そのような行動に出る可能性もある。
 それでもトランプは台湾問題を簡単に解決しようとはしないでしょう。いきなりリスクを冒して台湾と国交を結ぶようなことをトランプはしない。もし解決しようとしたら、本当に戦争になる可能性も否めないからです。中国にとっては、台湾問題は外交問題ではなく内政問題であり、宗教問題なのです。台湾が中国の一部であるという原則が本当に崩れてしまったときに共産党指導者が何も行動に出なければ、国内を統治することは不可能になります。だからこそ、台湾問題を解決しようとすれば、中国は過激な反応を示さざるを得ません。
 しかし、トランプは今後、習近平を揺さぶることができる一番有力なカードを手に入れたのは確かです。これまでのアメリカ大統領は、誰もこの台湾カードを持っていませんでしたし、カードを持とうという発想もありませんでした。


 中国との関係において台湾問題を持ち出すのはこれまではタブーでしたが、トランプの行動により、現在は「カード」に代わりました。中国からすれば「問題」ではなかったはずの台湾問題が掘り起こされてしまったということになります。しかもこの問題は、中国の根本を揺るがす大問題で、中国は劣勢です。
 2016年12月5日、トランプの経済顧問、スティーブン・ムーアはトランプと台湾総統との電話会談で中国からの反発を招いていることについて、中国の感情を害しても「知ったことではない」と言い放ち、こう述べています。
「台湾は我々の同盟国だ。自由を信奉する人々だから、これまでも支援してきた。我々は同盟国を支援しなければならない。中国がいやがっても、無視すればいい」(CNN)
 習近平のアキレス腱はどこなのかが、これで白日の下に晒されました。台湾カードを手に入れたことによって、トランプは貿易問題と南シナ海問題で中国を攻めることができるようになったのです。
 トランプ大統領が誕生したことによって今、アメリカの政策の不確実性を世界中が懸念しています。しかし、じつはトランプのアジア政策は、近代になってアジアにやって来てから一貫しているアメリカの政策そのものです。伝統的なアメリカの姿だということです。


 本書で歴史を振り返れば、オバマ政権ですらも伝統的なアメリカのアジア政策に沿った戦略を立てていたこと、そこから中国に対する幻想をそぎ落として純化したものがトランプ政権だということがわかるでしょう。
 一方で中国大陸の数千年の歴史を振り返れば、たとえトランプ大統領の奇襲によって守りに回ったとしても、中国が南シナ海をあきらめることは絶対にないということもわかります。南シナ海をあきらめることはアジア支配をあきらめることになります。アジア支配は中国共産党という王朝の存続にかかわってくる中国にとっての大問題ですから南シナ海をあきらめるわけにはいかないのです。
 伝統的なアメリカは中国のアジア支配を絶対に許しません。一方で、自らの生存をかけてアジアの覇権掌握を強硬に進める中国も絶対に手を引かない。必然的に米中という大国は衝突することになります。歴史を振り返ればそれは明らかなのです。
 そしてそのとき、じつは日本こそが中国の侵略を警戒しなければなりません。

「習政権の国際戦略と米中対立の行方」
石平氏講演会


《維新嵐》大国同士の間では、今や軍事力を伴う戦争、実弾がとびかう戦争はおこるべくもないでしょう。同盟関係が深化していたり、経済相互依存関係が寝深かったりする現状があるからです。こうした中での軍事力保有とはどういう意味をもっているのでしょうか? 共産中国の侵略が本格化するのなら、外国人土地買収問題や外国人参政権、留学生による技術「窃取」、サイバー攻撃という形で深化していくのでしょう。


見解③【米中戦争】「航空強国」を宣言した中国の弱点
独力では優秀なエンジンを製造できず…ロシア製を使わざるを得ない現状

中国のステルス戦闘機「殲-20」(ロイター)

 中国の習近平国家主席は「わが国を航空強国にする」と宣言したが、同時に「富国強兵戦略のための重要な措置として、航空エンジンの自主開発と製造生産の実現を加速す
る」とも宣言した。つまり、中国航空機産業の最大の弱点は、独力では優秀なエンジンを製造できないことだ。(夕刊フジ)
 中国は2016年10月、ロシアから戦闘機用エンジン「AL-31」と、爆撃機や輸送機用エンジン「D-30」を輸入する、総額10億ドル(約1150億円)に上る契約を締結した。この契約で、中国は3年以内に、ロシアから合計約100台のエンジンを入手することになる。
 中国は10年から、D-30エンジンを調達していて、人民解放軍の「轟-6」爆撃機や、「運-20」輸送機に搭載している。
 また、1990年代から、AL-31エンジンを搭載した「Su-27(スホーイ27)戦闘機」「Su-30(スホーイ30)戦闘機」を輸入してきた。2000年代からは「殲-10(J-10)」(=イスラエルの支援を得て開発した国産戦闘機)や、「殲-11(J-11)」(=Su-27をライセンス生産した戦闘機)にも、AL-31が搭載されるようになった。
 中国は、国産エンジン「WS-10」の開発を進めてきたが、期待通りの性能を達成できず、ロシア製のAL-31を使わざるを得ない現状がある。一方で、WS-10の後継であるWS-15の開発を進めていて、国産エンジン開発への執念を感じる。


2016年11月、中国が第5世代ステルス戦闘機だと宣伝する「殲-20(J-20)」が公開された。中国のメディアは「このJ-20は、米空軍の第5世代戦闘機『Fー22』(ラプター)や、『F-35』(ライトニング)に対抗できる」と主張しているが、大きな性能差があると主張する専門家が多い。
 J-20が素晴らしい戦闘機であれば、他の戦闘機は不要なはずだが、ロシアから最新の「Su-35E」(スホーイ35E)を24機購入する契約を結び、16年末までに4機を取得し、残りは3年以内に納入される予定だ。
 中国がSu-35の購入を急いだ理由は、同機に搭載されている最新エンジンAL-41や、最新のレーダーや電子戦機器を獲得するためだ。ロシア側は知的財産の保護を強く主張し、それに違反すると多額の違約金を課す契約だ。しかし、中国は徹底して最新技術の窃取を図るであろう。
 また、中国のエンジン開発における最近の動向として、「中国航空発動機集団(AECC)」が昨年8月末に設立され、資本金7700億円、従業員約10万人の巨大企業となり、ロールス・ロイスやGEに対抗する航空エンジン企業を目指すという。

 中国の国家ぐるみの、エンジン開発体制の整備を侮るべきではない。

■渡部悦和(わたなべ・よしかず) ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー、元陸上自衛隊東部方面総監。1955年、愛媛県生まれ。78年東京大学卒業後、陸上自衛隊に入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、第28普通科連隊長(函館)、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011年に東部方面総監。13年退職。著書に『米中戦争そのとき日本は』(講談社現代新書)など。

《維新嵐》殲-20は、テスト段階という印象を大きく受けます。自前で航空技術を開発する能力のない国ですから、留学生として若者を我が国に留学させて、技術を学ばせるか、サイバー攻撃でアメリカなどの最新軍事情報をゲットしてくるか?




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