2017年5月24日水曜日

【産経ニュース記事より】河野克俊統合幕僚長(会見要旨)

「一自衛官として、自衛隊の根拠規定が憲法に明記されるならば、非常にありがたい」


 自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は平成29523日、都内の日本外国特派員協会で記者会見した。安倍晋三首相が憲法9条の改正に意欲を示したことについて見解を問われた河野氏は、「憲法という非常に高度な政治的問題なので、統幕長という立場から申し上げるのは適当ではない」とした上で、「一自衛官として申し上げるならば、自衛隊の根拠規定が憲法に明記されるということであれば、非常にありがたいと思う」と述べた。
会見の概要は以下の通り。

 「わが国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増している。領土や主権をめぐるグレーゾーン事態の増加、その長期化の傾向など、周辺国による軍事力の強化や軍事行動の活発化が顕著だ。北朝鮮は平成28年、2度の核実験や20発以上の弾道ミサイル発射を強行した。平成29年3月6日には4発の弾道ミサイルを同時に発射し、5月14日、21日にも弾道ミサイルを発射した」

 「こうした度重なる軍事的挑発は、国際社会に背を向けた度重なる挑発的言動とあいまって、わが国を含む地域、国際社会の安全に対する重大かつ差し迫った脅威で、その脅威は新たな段階に入っている」


「中国は組織的に高い水準で国防費を増加させ、東シナ海や南シナ海をはじめとする海空域における活動を質・量ともに急速に拡大させている。昨年末には、空母「遼寧」を含む計6隻の海軍艦艇が沖縄本島・宮古島間を通過した。遼寧の太平洋進出が確認されたのはこれが初めてだ。平成28年9月、戦闘機と推定される軍用機が初めて沖縄本島・宮古島間を通過した。このような中、昨年度の緊急発進回数、スクランブルの合計は、過去最多の1168回となった。うち871回が中国軍機への緊急発進で、前年と比較して約1・5倍、280回の増加となっている」

 「宇宙空間やサイバー空間の安定的利用への挑戦や大量破壊兵器の拡散といったグローバルな安全保障環境における課題の一つとして、ISIL(イスラム国)をはじめとする国際テロ組織の問題がある。国家統治の空白地域がテロ組織の活動の温床となり、国境や地域を越えて活動する組織もあることから、引き続き国際社会にとって安全保障上の課題と考えている。わが国自身の問題として正面から捉えなければならない状況だ。今日も英国でテロと思われる事案が発生したが、オリンピックを控えているわが国にとっても安全保障上の重大な案件としてみていく必要がある」


「以上を踏まえ、わが国の安全保障のあり方について申しあげたい。柔軟かつ即応性の高い運用に努めること、米軍との各種協力を推進すること、アジア太平洋地域における協調的な各種取組やグローバルな安全保障環境改善のための各種取り組みを推進することが必要だ」

 「弾道ミサイル防衛に関しては、わが国全体を多層的かつ持続的に防護する体制の強化に向け、イージス・システム搭載護衛艦の増勢、能力向上型迎撃ミサイル・SM3ブロック2Aの日米共同開発の推進、配備の検討などを行うこととしている。日米韓のオペレーション上の連携を強化することが極めて重要だ。平成28年11月23日に、日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)が署名されたことは北朝鮮の核・ミサイル問題等への対応にあたり、重要な意義を有するものだ」


「次に、日米同盟。日米同盟はわが国の安全保障の基軸であるとともに、アジア太平洋地域、更には世界全体の安定と繁栄のための公共財だ。米軍との連携の強化および相互運用性の向上を図っていく。例えば昨年11月の日米共同統合演習(キーンソード17)では、グアム・テニアンでの水陸両用作戦訓練等の統合運用に関わる訓練などを実施した。4月23日から29日までの米空母カール・ビンソンの航行にあわせ、海上自衛隊の護衛艦さみだれ、あしがらが日米共同巡航訓練を実施し、4月28日には航空自衛隊が空母カール・ビンソンの艦載機と各種戦術訓練を沖縄東方沖で実施した。空母打撃軍とともに海上自衛隊の艦艇および航空自衛隊の航空機がそれぞれ同時に訓練を実施することは、日米同盟全体の抑止力・対処力を一層強化し、地域の安定に向けたわが国の意思と高い能力を示すものだ」

 「自衛隊は2012年から、南スーダンにおけるUNMISSに施設隊を派遣してきた。昨年12月からの第11次要員に対しては、平和安全法制で新たに決められた駆け付け警護、宿営地の共同防護の任務を与えた。南スーダンでの活動は今年1月で派遣開始から5年という節目を超え、これまでの自衛隊のPKO活動の中で最大規模の実績を重ねてきた。わが国としては一定の区切りをつけたと考え、稲田朋美防衛相からの業務終結命令に基づき、派遣施設隊は本年5月末に順次南スーダンから撤収することになっている。司令部要員は引き続きUNMISS司令部に勤務させ、UNMISSへの活動は継続していく」


「海賊対処行動。ソマリア沖アデン湾、ソマリアの貧困といった根本的な要因がいまだ解決しておらず、今年に入り複数回生起しているように、海賊の脅威は引き続き存在している。自衛隊としては極めて重要な海上交通路における航行の安全確保に万全を期するとともに、国際社会の平和と安定に貢献するため、引き続き諸外国の部隊を含む国際社会と連携し、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動を確実に継続していく」

 「国際防衛協力について。自衛隊は安全保障・防衛分野における国際協力の必要性がかつてなく高まる中、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、2カ国間および多国間の防衛協力・交流を強化している。2国間関係では参謀総長級の相互訪問などのハイレベル交流に加え、幕僚間の協議なども実施し実務レベルでの相互理解の促進を図っている。また、近年、日米韓、日米豪、日米印、日米英、日米仏などの3カ国間訓練や毎年隊において実施されているコブラ・ゴールドをはじめとする多国間訓練へも積極的に参加している」

 「5月には初めて日仏英米共同訓練を実施した。今年はASEAN発足50周年で、日・ASEAN防衛協力の指針である『ビエンチャン・ビジョン』の下、ASEANとの協力を通じ、ASEANの一体性と中心性の強化にかかる努力を全面的に支援していく。


 わが国の防衛の基本方針を踏まえ、統合運用を基本とする柔軟かつ即応性の高い運用に努め、日米同盟を強化しつつ、諸外国との2カ国間・多国間の安全保障協力を積極的に推進することにより、国民の生命・財産と領土・領海・領空を確実に守りぬく所存だ」

 --米国のハリス太平洋軍司令官についてどう見ているか

 「ハリス太平洋軍司令官は日本の勤務経験の長い方で、私も昔から知っている。日本ばかりでなく太平洋地域での勤務も長い方だ。前の配置も太平洋艦隊司令官。非常に日本に対する理解の深い方が今の太平洋軍司令官に就いていることは、わが国を取り巻く厳しい安全保障環境を考えるときに、ベストの人が太平洋軍司令官に就いてくれたと思っている」

 --北朝鮮の弾道ミサイルについて。核弾頭が十分に小型化され、それを搭載したミサイルは、日本に届くものをすでに北朝鮮が持っていると思うか。米国本土に届くICBMはいつごろ開発されると考えるか

 「詳細の分析が必要だが、現時点では例えば14日、2000kmを越えるロフテッドの発射をした。当然日本は射程内に入っているということは言える。問題は核弾頭を弾道ミサイルに搭載できるほど小型化が進んでいるかどうかだ。現時点では明確には言えない。ただ、われわれとしては楽観してはいけないと考えている」


--米国本土については

 「今回の、いわゆる韓国・アメリカなどで評価されているのは中距離弾道ミサイルということだった。したがって、ICBMといわれるアメリカを射程に入れるミサイルについては、やはりその方向に着実に進んでいるとは思う」

 --尖閣諸島では数週間ごとに中国船が入ってきては出ていくことが定期的に行われている。今後も続くと思うか。これから状況が悪化したり、進展することは

 「尖閣の状況については海警という中国のコーストガードが定期的にわが国の領海を侵犯をしている。このような状況は、当面変わらないと思う。われわれは決して事態をエスカレーションさせないよう、冷静に対応している。尖閣をめぐる領土・領空・領海については断固として守るが、決してエスカレーションをさせないように冷静に対応していきたい」

 --日本防衛に関わる判断の際、北朝鮮は日本を攻撃できる核兵器を持っているという前提で物事を決めているか。それとも、北朝鮮にはまだその能力はないと考えるか


「北朝鮮は在日米軍を狙った訓練をしたと公言した。核弾頭がミサイルに搭載できるだけ小型化されているかどうかについてはより詳細な分析が必要だ。時間を北朝鮮に与えれば、そのような技術を持つ可能性は高い。ミサイル・核を放棄させるという今の国際社会の圧力は重要だ」
 --現状というより、いろいろ判断しているとき、北朝鮮にその能力があるという前提で判断をするかどうかという質問だ
 「これは非常に機微に触れる問題なので、仮定の話については言及を避けたい」

 --安倍晋三首相が最近憲法を変えたいと発言している。今の日本国憲法、法律の中で、自衛隊に関して「今は制限されてできないが、今後していく必要がある、できるようにすべきだ」と考えることはあるか。「自衛隊の存在そのものが憲法違反だ」という考えの専門家もいるが、それについての考えは

 「自衛隊の役割をこれから拡大するかどうかということだが、これはもう、いつに政治の決定によるものであり、私からお答えすることは適当ではないと思う。安倍首相が言われた憲法を変えるということについてだが、憲法という非常に高度な政治問題なので、統幕長という立場から申し上げるのは適当ではないと思う。ただし、一自衛官として申し上げるならば、自衛隊というものの根拠規定が憲法に明記されるということであれば、されることになれば、非常にありがたいなあとは思う」


--北朝鮮の弾頭の小型化などについて。以前、弾頭が入っていくために「ヒートシールド」が必要で、北朝鮮はそれをまだ開発していないという話がある。「ヒートシールド」の開発は、今北朝鮮は実現していくか

 「今回、相当なロフテッドで上げているので、ウォーヘッド(弾頭)の試験をした可能性はあるが、その結果どうだったかということについてはまだ承知していない」

 --南シナ海の情勢について。護衛艦「いずも」が先日、シンガポールで米軍と共同訓練した。自衛隊は今後、南シナ海に関わっていくことを考えているか

 「現在、東シナ海では常時、警戒監視を実施している。現時点において、南シナ海で常時、警戒監視をするという計画はない。ただ、南シナ海は、わが国の海上交通の安全確保においても非常に重要な海域だ。従って、南シナ海などの安全と安定に寄与していきたいとは考えている。今回、いずもともう1隻、護衛艦を南シナ海に派遣しているのも、南シナ海の平和と安定に寄与するためだ。その際、米国、オーストラリアとの協力も考えていきたいと思っている」

 --米国で新政権が誕生し、日米の防衛に関する関係について変化はあったか。中国は水陸両用戦の能力を高めているが、日本もそういった計画はあるか


「トランプ政権が発足する前には駐留経費の問題で、日本に対して非常に強い姿勢でキャンペーン中は臨まれたということがあった。それに対し、一部日本の方も懸念をしていた。しかし、トランプ政権発足後、安倍首相とトランプ大統領との会談、稲田朋美防衛相とマティス国防長官の会談などを通じ、日米の防衛協力は全く変化なく深化したと思っている。水陸両用機能については従来、自衛隊は非常に弱かった部分だ。これの強化は自衛隊のプライオリティの高い課題であり、米海兵隊の協力も得て向上を図っている。来年3月には専門部隊を創設する」

 --マラッカ海峡周辺は日本の貨物船等にとって重要な海域だ。自衛隊は今後、そういった地域での活動はあるか

 「マラッカ海峡はわが国のシーレーンについて非常に重要な海峡だ。マラッカ海峡周辺においても海賊事案が発生しているということも承知している。そのため、シンガポール、マレーシア、インドネシアなどが協力して対処に当たられていることも承知しているし非常に敬意を払っている。一方でわれわれの兵力も限られており、現時点ではマラッカでの対応は計画はない」


--弾道ミサイル対応で、イージス艦に積めるSM3の数は限られており、同時に多数のミサイルが飛んできたら対処に限界があると一般に言われている。その限界はどうお考えになるか。限界があるにも関わらずなぜ巨額なお金を費やすのか。それとも日米同盟が機能するために必要だとか別のロジックがあるのか。ミサイル防衛の限界についてどう考えるか

 「飽和攻撃、多数同時に撃たれた場合、非常に厳しいものがあるというのはその通りだ。ただし、そのために今現在、新しい新型のSM3ブロックIIAの開発も進めているし、イージス艦の増勢も進めている。日本国民の生命と財産を守るための防衛なので、日本は憲法上の制約があり非常に手段は限られている。その中で、BMD(弾道ミサイル防衛)の防衛というのは憲法上も認められている手段だ。その一方でやはり、費用対効果という観点も必要だ。その観点から、さらに効果的なBMDの防衛態勢はどうかということについて今検討しているところだ」


--米国が朝鮮半島沖にカール・ビンソンを送ったり、原潜を送ったり圧力を強めているがミサイルの発射が止まらない。北朝鮮への抑止は効いていると思うか。日本自身として圧力を強めることは何ができると考えるか

 「カール・ビンソンが抑止として効いているかという質問だが、これについてはなかなか答えるのが難しい。カール・ビンソンだけではなく、中国の圧力等々を含め、米国が圧力をかけていると思う。したがって空母の展開というのは、その圧力の一つだと認識している。日本が独自でできる抑止だが、ご承知のとおり日本は軍事的な手段は非常に限られているので、やはり経済的な制裁などが中心になるのではないかと思う」

 --北朝鮮は経済的に豊かではない国だが、ロケットなどの開発には非常に大きなお金を投資している。そのお金はどこから来ているのか

 「私が教えてほしい。ただ、これは確証があるわけではないが、北朝鮮という国はあらゆる非合法な手段を含めて資金の調達はやっているといわれている。そこら辺の理由なのかなと思う」


河野統合幕僚長 「統合司令部」の新設を検討



《維新嵐》まさに自衛官の多くの「本音」ともいえる内容でしょう。これを読んでくださるみなさん一人一人が、我が国の「国防」についてどういう方法がよりよいのか、考えるきっかけになればと思います。日本国民みんなで考え、前進していきましょう。一部の人たちで決めるのではなく、日本国民みんなで。



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